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内部環境分析とは|自社の強みと弱みを洗い出す方法

@SOHO編集部
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内部環境分析とは|自社の強みと弱みを洗い出す方法

この記事のポイント

  • ✓自社の人・物・お金・情報などの経営資源を見直し
  • ✓強みと弱みを洗い出す作業です
  • ✓ヒト・モノ・カネ・情報の棚卸し

事業計画を立てるとき、補助金の申請書を書くとき、新しい商品を考えるとき、「自社の強みと弱みを書いてください」と求められる場面は多くあります。ところが、いざ書こうとすると「うちの強みは何だろう」「弱みはいくらでも思いつくが、どれを書けばよいのか」と手が止まりがちです。内部環境分析は、この強みと弱みを、思いつきではなく決まった視点で洗い出すための作業です。

この記事では、内部環境分析の意味と外部環境分析との違い、分析の前に集める情報、ヒト・モノ・カネ・情報の棚卸し、経済産業省のローカルベンチマークの4つの視点、VRIO分析と業務の流れの分析、強みと弱みの書き方、分析の結果を次の行動に落とし込む方法までを、手順に沿って整理します。分析の結果から出てきた取り組みを、担当と期限を付けてチームで進めたい場合の選択肢として、プロジェクト管理の道具Pinatecaにも触れます。

内部環境分析とは

内部環境分析とは、自社が持っている経営資源と、その使い方を見直して、自社の強みと弱みを明らかにする作業のことです。経営資源とは、事業を進めるために使えるもののことで、一般に人材、設備や商品、資金、情報やノウハウなどを指します。

東京商工会議所の経営の解説は、内部環境と外部環境の違いを次のように説明しています。

外部環境とは、人口動態、政治、経済、自然、社会、技術、文化という視点で情報を整理するもので、消費者のライフスタイルなど世の中の動きも含み、自社でコントールすることが難しいものである。一方、内部環境は、自社の経営能力、生産能力、マーケティング能力、情報収集能力、人材能力、財務能力など社内にある資源であり、自社でコントールができるものである。 出典: 東京商工会議所「経営のカギ」

ここで大事なのは、内部環境は「自社でコントロールできるもの」だという点です。景気や人口の変化は自社の力では変えられませんが、人材の育て方、設備の使い方、お金の使い道、情報の共有のしかたは、自社の判断で変えられます。だからこそ、内部環境分析で見つけた弱みは、改善の取り組みに直接つなげられます。

SWOT分析の中での位置づけ

内部環境分析は、SWOT分析の一部として行われることが多い作業です。SWOT分析とは、自社の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)、外部の機会(Opportunities)と脅威(Threats)の4つを整理する方法です。このうち、強みと弱みを洗い出すのが内部環境分析で、機会と脅威を洗い出すのが外部環境分析にあたります。

同じ解説は、強みと弱みについて、次のような注意も添えています。既存の顧客との強いつながりは強みになるが、それに頼りきると新しい顧客を得られていないという弱みにもなる、というものです。強みと弱みは、同じ事実の表と裏になっていることが多く、1つの事実を両方の面から見る姿勢が求められます。

内部環境分析をする目的と、使われる場面

内部環境分析は、分析そのものが目的ではありません。分析の結果を何に使うかを先に決めておくと、集める情報と、どこまで細かく見るかが決まります。

よく使われる3つの場面

1つ目は、事業計画や経営計画を立てる場面です。どの事業に力を入れ、どこを改善するかを決めるには、自社の得意なことと苦手なことを知っておく必要があります。

2つ目は、補助金や融資の申請の場面です。補助金の申請書や金融機関に出す事業計画書では、自社の強みと課題を書く欄があることが多く、ここで書いた強みと計画の内容が結びついているかが見られます。

3つ目は、新しい商品やサービスを考える場面です。自社の強みを生かせる商品なら、他社が簡単にまねできず、限られた人数と予算でも始めやすくなります。

目的によって、見る範囲を変える

会社全体の方針を決めるなら会社全体の資源を、1つの商品の改善なら、その商品に関わる人と工程と顧客の情報を中心に見ます。範囲を広げすぎると、情報を集めるだけで疲れてしまい、結論が出ないまま終わることがあります。最初に「この分析の結果を、何の判断に使うのか」を1行で書いてから始めると、範囲がぶれにくくなります。

分析の前に集める情報

内部環境分析を、会議室で思いついたことを出し合うだけで済ませると、声の大きい人の意見や、最近あった出来事に引きずられた結論になりがちです。分析の前に、次のような情報を集めておくと、事実にもとづいた議論ができます。

種類 集める情報の例 手に入る場所
お金 売上と利益の推移、商品ごとの売上、費用の内訳 決算書、試算表、会計ソフト
顧客 顧客の数、継続している顧客の割合、問い合わせの内容 顧客の名簿、問い合わせの記録、アンケート
人 人数、年齢の構成、持っている資格や技能、離職の状況 人事の記録、資格の一覧
業務 仕事の流れ、時間がかかっている工程、ミスの記録 業務の手順書、日報、ミスの報告
外からの声 取引先や顧客からの評価、選ばれた理由、断られた理由 営業の記録、顧客への聞き取り

特に役に立つのが、顧客や取引先からの声です。社内では当たり前だと思っていることが、外から見ると強みになっていることがよくあります。「なぜうちを選んでくれたのか」を、何人かの顧客に直接聞いてみるだけでも、社内の会議では出てこない強みが見つかります。

ヒト・モノ・カネ・情報で棚卸しをする

内部環境分析の最初の一歩として取り組みやすいのが、経営資源をヒト・モノ・カネ・情報の4つに分けて、持っているものを書き出す方法です。

ヒト(人材)

どんな人が、何人いて、どんな技能や経験を持っているかを書き出します。資格の一覧だけでなく、「この人がいるから受けられる仕事」「この人しかできない作業」も書いておくと、強みと弱みの両方が見えてきます。特定の人しかできない作業は、その人がいる間は強みですが、休んだり辞めたりしたときに止まる弱みでもあります。

モノ(設備・商品・場所)

設備、店舗や事務所の立地、商品やサービスの種類、在庫などを書き出します。設備は、持っているかどうかだけでなく、どれだけ使われているかも見ます。使われていない設備は、費用がかかっている弱みである一方で、新しい仕事に使える余力という強みにもなります。

カネ(資金)

売上と利益の推移、手元の資金、借入の状況、費用の内訳などを見ます。決算書の数字は、同じ業種の他社と比べると、自社の位置がつかみやすくなります。比べ方は、次の節で紹介する経済産業省のローカルベンチマークの財務の指標が参考になります。

情報(ノウハウ・顧客情報・ブランド)

顧客の名簿、取引の履歴、業務のノウハウ、社名や商品名の知られ方などです。目に見えない資源なので見落としやすいものの、他社がまねしにくい強みになりやすい部分です。ノウハウが特定の人の頭の中にしかないなら、それを手順書や記録に残しているかどうかも、強みと弱みの分かれ目になります。

ローカルベンチマークの4つの視点で見直す

自社だけで強みと弱みを考えると、視点が偏ることがあります。経済産業省が提供しているローカルベンチマークは、企業の経営状態を把握するための道具で、いわば「企業の健康診断」のようなものです。財務の面と、財務以外の面の両方から自社を見直す枠組みになっています。

経済産業省のチラシによると、ローカルベンチマークは、財務の情報を「6つの指標」で分析し、財務以外の情報を「4つの視点」で把握する構成です。

区分 項目 何が分かるか
6つの指標(財務) 売上高増加率、営業利益率、労働生産性、EBITDA有利子負債倍率、営業運転資本回転期間、自己資本比率 売上が続いているか、利益を出せているか、生産性、借入の重さ、お金の回り方、安全性
4つの視点(財務以外) 経営者への着目、事業への着目、関係者への着目、内部管理体制への着目 経営者の考え方、事業の特徴、取引先や顧客との関係、社内の管理の仕組み

財務の情報は企業の過去の姿を映し、財務以外の情報は企業の現在の姿を映して将来の可能性を評価するもの、と位置づけられています。内部環境分析に使うときは、4つの視点をそのまま問いに置き換えると、話し合いの材料にしやすくなります。

  • 経営者への着目:経営者は事業の将来をどう考え、誰に引き継ぐつもりか
  • 事業への着目:自社の商品やサービスは、どんな顧客に、なぜ選ばれているか
  • 関係者への着目:主な取引先や顧客は誰で、その関係は特定の相手に偏っていないか
  • 内部管理体制への着目:人材の育成、情報の共有、業務の管理の仕組みは整っているか

ローカルベンチマークのシートはExcelの形式で公開されているほか、中小企業庁が運営するWebサイトでも作成できると案内されています。詳しくは経済産業省のローカルベンチマークのページで確かめられます。金融機関や支援機関との対話に使うことも想定された道具なので、作ったシートは、融資や補助金の相談のときの説明の材料にもなります。

VRIO分析で、強みが本物かを確かめる

棚卸しで強みの候補が出そろったら、それが本当に競争で生きる強みかを確かめます。そのときに使われるのがVRIO分析です。VRIO分析とは、経営資源を次の4つの問いに順番に当てはめ、その資源がどの程度の強みになるかを判断する方法です。

問い 意味 問いの例
Value(経済的な価値) その資源は、顧客にとって価値があるか その技術があることで、顧客は何が助かっているか
Rarity(希少性) その資源を持つ会社は少ないか 同じことができる会社は、地域や業界にどれだけあるか
Imitability(模倣の難しさ) 他社がまねするのは難しいか 他社が同じものを用意するのに、どれだけの時間とお金がかかるか
Organization(組織) その資源を生かす仕組みが社内にあるか その強みを、特定の人に頼らず使い続けられる仕組みがあるか

4つの問いのすべてに「はい」と答えられる資源ほど、長く続く強みになります。逆に、価値はあっても他社もすぐ持てるものなら、それは「他社と同じ水準」であって、際立った強みとはいえません。

4つ目の問いで止まる強みは多い

小さな会社でよくあるのが、4つ目の「組織」の問いで止まる強みです。たとえば、顧客からの評判がよい職人の技術があっても、それがその職人1人に頼っていて、技術を引き継ぐ仕組みがないなら、強みを生かし続けられるとはいえません。この場合、分析の結論は「技術そのものは強みだが、引き継ぐ仕組みがないことが弱み」になり、次の取り組みは「手順を記録し、若手と組んで作業する機会をつくる」になります。

当てはめるときは、1つの資源ごとに上から順に

VRIO分析は、複数の資源をまとめて評価するより、1つの資源ごとに上の問いから順に答えていくと迷いません。1つ目の問いで「いいえ」になった資源は、そこで評価を止めます。答えるときは、「はい」「いいえ」だけでなく、そう判断した理由を一言書き添えておくと、後で見直すときや、他の人と話し合うときに役立ちます。判断に迷った問いは、顧客や取引先の声で確かめる項目として残しておきます。

業務の流れで、どこに強みと弱みがあるかを見る

経営資源の棚卸しとは別の角度として、仕事の流れに沿って強みと弱みを探す方法もあります。顧客に商品やサービスが届くまでの流れを、工程ごとに分けて見ていくやり方です。

流れを工程に分ける

たとえば、注文を受けて作る会社なら、仕事の流れは次のように分けられます。

  1. 集客と営業(顧客に知ってもらい、注文を受ける)
  2. 仕入れ(材料や商品を手に入れる)
  3. 製造や作業(商品やサービスを形にする)
  4. 納品と請求(顧客に届け、代金を受け取る)
  5. アフターサービス(使った後の相談や修理に応える)

これに、人材の採用や育成、設備の管理、経理などの、流れ全体を支える仕事が加わります。こうした仕事の流れを、価値を生む主な活動と、それを支える活動に分けて見る考え方は、バリューチェーンと呼ばれます。

工程ごとに、時間とお金と評判を見る

工程ごとに、「時間がかかっているところ」「お金がかかっているところ」「顧客から評価されているところ」「ミスや苦情が多いところ」を書き出します。たとえば、製造の品質は顧客から評価されているのに、見積もりを出すまでに1週間かかり、その間に他社に決まってしまう、ということが分かれば、強みは製造の品質、弱みは見積もりの速さ、と整理できます。工程に分けて見ると、「全体としては悪くないが、この工程だけが足を引っ張っている」という弱みが見つかりやすくなります。

社内で話し合って洗い出す進め方

内部環境分析は、1人で資料を読み込んで書くこともできますが、何人かで話し合って洗い出すと、部署ごとに見えている強みと弱みが集まります。ここでは、話し合いを1回2時間ほどで進める場合の流れを紹介します。

1. 目的と範囲を最初に伝える

始めに、分析の結果を何に使うのかと、どこまでを対象にするのかを参加者に伝えます。「来年度の事業計画で、どの商品に力を入れるかを決めるため」「対象は飲食の事業だけ」のように、1行で伝えられる形にしておきます。目的が共有されていないと、話がそれたときに戻す基準がなくなります。

2. 集めた情報を共有する

分析の前に集めた売上の推移、顧客の声、ミスの記録などを、最初の15分ほどで全員に共有します。数字や声を先に見ておくと、思いつきではなく事実にもとづいた意見が出やすくなります。

3. 付箋に1枚1項目で書き出す

参加者に、強みと思うこと、弱みと思うことを、付箋に1枚1項目で書いてもらいます。最初は話し合わず、各自が黙って書く時間を10分ほど設けると、立場が上の人の意見に引っ張られずに済みます。オンラインで行う場合は、共有の表やホワイトボードの道具を使っても同じ進め方ができます。

4. ヒト・モノ・カネ・情報で分けて並べる

書き出した付箋を、ヒト・モノ・カネ・情報、またはローカルベンチマークの4つの視点で分けて並べます。同じ内容の付箋はまとめ、強みと弱みの両方に出てきた項目には印を付けます。両方に出てくる項目は、同じ事実を表と裏から見ていることが多く、話し合いの中心にすべき項目です。

5. 事実で裏付けて、絞り込む

並べた項目のうち、集めた情報や顧客の声で裏付けられるものを残します。裏付けがない項目は、「次回までに確かめる」として別にしておきます。最後に、強みと弱みをそれぞれ3つから5つに絞り、この後の「強みと弱みの書き方」の節で紹介する形で文章にします。

個人事業やフリーランスが自分で行う場合

内部環境分析は、会社だけでなく、個人事業やフリーランスとして働く人にも役立ちます。人数が1人でも、持っている資源と、その使い方を見直す考え方は同じです。

自分の資源を書き出す

ヒトは自分の技能と経験、使える時間です。モノは仕事に使う機材やソフト、作業の場所です。カネは手元の資金と、毎月の売上の安定度です。情報は、過去の実績、取引先とのつながり、仕事の進め方のノウハウです。書き出してみると、「技能はあるが、使える時間が足りない」「実績はあるが、人に見せられる形にまとまっていない」といった弱みが見えてきます。

取引先に選ばれた理由を聞く

個人で働く人にとっても、強みを知るいちばん確かな方法は、取引先に選んだ理由を聞くことです。「納期を守る」「説明が分かりやすい」「修正の対応が早い」など、自分では当たり前だと思っていることが、選ばれる理由になっていることがあります。聞いた理由は、提案書やプロフィールの文章にそのまま使えます。

弱みは、外に頼むか、学ぶか、やめるかで考える

個人の場合、すべての弱みを自分で補う必要はありません。経理や請求の作業のように苦手なことは道具や外部の専門家に頼む、単価を上げるために必要な技能は学ぶ、利益の出ない仕事は受けるのをやめる、という3つの方向で考えると、限られた時間の使い方が決まります。

強みと弱みの書き方

分析で見えてきたことを、強みと弱みとして書き出すときには、いくつかの書き方のこつがあります。書き方が曖昧だと、分析の結果を次の行動につなげられません。

事実と、それが何に効くかを書く

「技術力が高い」「対応が丁寧」のような書き方は、どの会社でも書ける表現で、何が強みなのかが伝わりません。強みは、事実と、それが顧客にとって何に効いているかをセットで書きます。

曖昧な書き方 具体的な書き方
技術力が高い 精度の高い加工ができ、他社で断られた部品の注文が月に数件届いている
対応が丁寧 問い合わせに当日中に返信しており、継続して注文する顧客が多い
人材が足りない 見積もりを作れる人が1人しかおらず、繁忙期は返答が1週間遅れる
知名度が低い 地域の外からの問い合わせがほとんどなく、売上の大半が市内の顧客

弱みは、責める言葉ではなく状態で書く

弱みを書くとき、「営業が弱い」「管理が甘い」のように、担当者を責めるような言葉になると、話し合いの場が重くなり、本当の弱みが出てこなくなります。弱みは「見積もりの作成に平均で5日かかっている」のように、状態として書きます。状態として書いた弱みは、何を変えればよいかが見えやすく、改善の取り組みにもつなげやすくなります。

強みと弱みは、それぞれ3つから5つに絞る

洗い出しの段階では多く出してかまいませんが、最終的に書き出すときは、強みと弱みをそれぞれ3つから5つに絞ります。10個以上並べると、どれに力を入れるかが決まりません。顧客への影響が大きいもの、外部環境の変化と関係が深いものを優先して残します。

分析の結果を、計画書や申請書に書くときのこつ

内部環境分析の結果は、事業計画書や補助金の申請書の「自社の強み」「課題」の欄に書くことが多くあります。読む側は、たくさんの申請書や計画書に目を通す人です。短い文章で、強みが事実にもとづいていて、計画とつながっていることが伝わるように書きます。

強みは、根拠と一緒に1文で

「強みは丁寧な接客です」だけでは、どの会社でも書ける文章になります。「強みは、購入後の相談に担当者が個別に応じる体制で、継続して利用する顧客が多いことです」のように、強みの中身と、それが成果に結びついている根拠を1文に入れます。根拠には、顧客の声、継続の状況、受注の経路など、自社で確かめられる事実を使います。

課題は、計画で解決する形に

弱みや課題を書くときは、その後に続く計画の内容で解決できる形にしておきます。たとえば計画が「受付の仕組みを整えて見積もりを速くする」なら、課題は「見積もりの作成を1人の担当者が担っていて、返答に時間がかかっている」と書きます。課題と計画が対応していると、読む側は「この計画で何が良くなるのか」を理解しやすくなります。

強みと計画の結びつきを1行で示す

計画の説明の中で、「この取り組みは、分析で挙げた強みの○○を生かすものです」と1行添えるだけで、分析と計画のつながりがはっきりします。内部環境分析を行ったことが、計画の説得力につながる部分です。

分析の表のひな形

計画書や申請書に書く前の下書きとして、次のような表を作っておくと、強みと弱みと取り組みの対応が一目で分かります。

区分 内容(事実で書く) 根拠 関係する取り組み
強み 購入後の相談に個別に応じる体制がある 顧客への聞き取り、継続の状況 相談の受付を広げる
強み 地域の取引先と長く取引している 取引の履歴 取引先と組んだ新商品
弱み 見積もりを作れる人が1人だけ 繁忙期の返答の遅れ 見積もりのひな形と2人目の育成
弱み 地域の外に知られていない 問い合わせの地域の偏り Webでの発信

分析の結果を、次の行動に落とし込む

内部環境分析がうまくいかない理由で多いのは、分析の結果を表にまとめたところで止まってしまうことです。強みと弱みが分かったら、それをもとに何をするかを決めるところまで進めます。

強みと弱みに、外部環境を掛け合わせる

強みと弱みが出そろったら、外部環境分析で見つけた機会と脅威と組み合わせて、取り組みの方向を考えます。

  • 強みを生かして、機会をつかむ取り組み
  • 強みを生かして、脅威の影響を小さくする取り組み
  • 弱みを補って、機会を逃さないようにする取り組み
  • 弱みと脅威が重なって、大きな損失にならないようにする取り組み

この組み合わせの考え方は、クロスSWOT分析と呼ばれます。内部環境分析だけでは「何が得意か」は分かっても「今それをどこに使うべきか」は分からないので、外部環境と組み合わせる段階が欠かせません。

取り組みには、担当と期限と最初の一歩を付ける

方向が決まったら、取り組みごとに担当者、期限、最初の一歩を決めます。「見積もりを速くする」という方向なら、「見積もりの手順を書き出す」「見積もりのひな形を作る」「2人目が見積もりを作れるように教える」のように、作業の単位まで分けます。最初の一歩は、1週間以内に終えられる大きさにしておくと、取り組みが動き出しやすくなります。

紙や表計算で足りる場面と、共有の道具が要る場面

分析の結果と取り組みの一覧は、1人か2人で進めるなら、紙やExcel、スプレッドシートの表で十分管理できます。表の列に「取り組み」「担当」「期限」「状況」を設け、週に1回見直すだけでも、取り組みが止まっているかどうかが分かります。

一方で、取り組みの数が増え、何人かで担当を分けて進める段階になると、表の更新が追いつかず、誰がどこまで進めたかが分からなくなりがちです。そうした場合の選択肢の1つがPinatecaです。公式サイトによると、Pinatecaには、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リスト、ディスカッション、グリッド、時間割、リソースの8種類のボードがあり、無料プランからすべての種類を使えます。取り組みを1枚ずつのカードにして、カンバンのボードで「未着手」「進行中」「完了」のように列を動かして進み具合を共有でき、ガントチャートのボードでは期限の重なりを横棒で確かめられます。グリッドのボードは縦と横の2つの軸でカードを並べられるので、取り組みを「効果の大きさ」と「手間の大きさ」で並べて、どれから手を付けるかを話し合う使い方もできます。カードごとのコメントやワークスペースのチャットで、取り組みについての相談をカードの隣に残せます。料金は、5人までのチームならボード10個まで無料で、6人目または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円・税抜、年払いなら1人あたり月額400円)になると案内されています。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

なお、Pinatecaは取り組みの進み具合を共有する道具で、SWOT分析やVRIO分析の決まった型のテンプレートがあるとは公式サイトに書かれていません。分析そのものは、紙や表計算で行い、出てきた取り組みを管理する場面で使う形になります。

内部環境分析でよくある失敗

最後に、内部環境分析でよく見かける失敗を整理しておきます。

社内の思い込みだけで書く

社内の人だけで強みを考えると、「長く続けてきたこと」「社内で自慢にしていること」が強みとして並びがちです。しかし、それが顧客に選ばれる理由になっているとは限りません。顧客や取引先の声で、強みを裏付けてから書くようにします。

弱みを書き出して終わる

弱みの一覧ができると、それだけで分析が終わった気になります。弱みは、改善の取り組みにつなげて初めて意味を持ちます。すべての弱みに手を付ける必要はなく、外部環境の変化と重なって影響が大きくなる弱みから、優先して取り組みます。

枠を埋めること自体が目的になる

ヒト・モノ・カネ・情報や、4つの視点の枠を使うと、すべての枠に何か書かなければならない気持ちになります。しかし、枠は考える手がかりであって、全部を埋める必要はありません。無理に埋めた項目は根拠が薄く、後の判断を誤らせます。書けない枠があれば、そこは「情報が足りない」という気づきとして残し、次回までに何を確かめるかを決めておくほうが役に立ちます。

一度やって終わりにする

自社の内部環境は、人の入れ替わり、設備の更新、顧客の変化によって変わっていきます。内部環境分析は、事業計画を見直す時期に合わせて、年に1回程度は見直すと、変化に気づきやすくなります。前回の分析の表を残しておけば、強みが増えたか、弱みが改善したかを比べられます。

分析の仕事を外部に頼む、受けるという選択肢

内部環境分析は、社内だけで進められる作業ですが、社外の目を入れると、社内では当たり前になっている強みや、見ないようにしてきた弱みに気づきやすくなります。分析の進行役や、顧客への聞き取りを外部の専門家に頼む会社もあります。

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、分析の仕事で長く頼まれ続ける人は、立派な分析の表を作る人よりも、分析の結果を「次の1か月で何をするか」まで落とし込んで渡せる人です。依頼する側が求めているのは、分析そのものより、次の打ち手だからです。仲介の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算で依頼する側は分析の後の実行の支援まで頼みやすくなり、受ける側も手取りが厚くなります。

マーケティングの戦略づくりや分析の報告書の作成を仕事として受ける場合は、マーケ戦略・分析・レポート作成のお仕事で、案件の種類と求められる技能を紹介しています。Webサイトのアクセスの分析や改善の提案まで含めて受ける場合は、Webサイトコンサル・保守・分析のお仕事が参考になります。

経営の分析を体系的に学びたい人には、中小企業の経営の課題を診断し、助言する国家資格の中小企業診断士の解説が役に立ちます。上場の準備などで、社内の管理の仕組みを整える段階に進む会社は、上場準備(IPO)に不可欠な内部統制構築支援のコストと期間で、外部の支援を受けるときの費用と期間の目安を解説しています。

よくある質問

Q. 内部環境分析と外部環境分析は何が違いますか?

内部環境分析は、自社の人材、設備、資金、情報などの経営資源を見直し、強みと弱みを洗い出す作業です。外部環境分析は、景気、人口、技術の変化、競合の動きなど、自社では変えられない外の状況から機会と脅威を洗い出す作業です。両方を組み合わせると、強みをどこに使い、どの弱みから補うかを決められます。

Q. 内部環境分析にはどんな方法がありますか?

取り組みやすいのは、ヒト・モノ・カネ・情報の4つに分けて経営資源を書き出す方法です。財務と財務以外の両面から見るなら、経済産業省のローカルベンチマークの6つの指標と4つの視点が使えます。強みが本物かを確かめるにはVRIO分析、どの工程に課題があるかを見るには仕事の流れを工程に分ける方法が向いています。

Q. 自社の強みが思いつかないときはどうすればよいですか?

社内で考えるより、顧客や取引先に「なぜ選んでくれたのか」を直接聞くのが近道です。社内では当たり前だと思っていることが、外から見ると強みになっていることがよくあります。聞いた内容は、事実とそれが顧客にとって何に効いているかをセットで書き出すと、計画や申請書にも使える強みになります。

Q. 内部環境分析はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?

決まった頻度はありませんが、事業計画を見直す時期に合わせて年に1回程度見直すと、人の入れ替わりや設備の更新、顧客の変化に気づきやすくなります。前回の分析の表を残しておけば、強みが増えたか、弱みが改善したかを比べられます。大きな取引先の変化や新しい事業を始めるときは、その時点でも見直します。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月21日最終更新:2026年10月23日
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