インフォマート発注の導入メリット|請求から入金まで一元化する狙い 2026

長谷川 奈津
長谷川 奈津
インフォマート発注の導入メリット|請求から入金まで一元化する狙い 2026

この記事のポイント

  • インフォマート 発注の仕組みと導入メリットを
  • 受発注から請求・入金までを一元化する狙い
  • システム化と外注の使い分け

「インフォマート 発注」と検索して、この記事にたどり着いた方は、おそらく取引先から「BtoBプラットフォームで発注してほしい」と言われて仕組みを調べている担当者か、あるいは自社の受発注業務が電話とFAXと手入力の山になっていて、そろそろ何とかしたいと感じている経営者・バックオフィス担当者ではないでしょうか。結論から言うと、インフォマートの発注システムは「取引先との受発注・請求・入金までの帳票を、紙とFAXからデジタルに一元化する」ためのサービスです。そして、その導入や運用を検討する過程で、実は「システムを入れるだけでは解決しない事務作業」が必ず残ります。この記事では、インフォマート発注の導入メリットと無料でできる範囲を発注者の目線で整理したうえで、システム化と外注(業務委託)をどう使い分けると事務コストが本当に下がるのかまで、意思決定できる粒度で解説します。

先にお伝えしておくと、私はフリーランス向けの契約・法務相談を専門にしている行政書士です。受発注のトラブルや、事務を外注したときの契約でつまずく事例を、日々たくさん見ています。これ、知らない人が本当に多いんですが、「システムを入れたのに事務が減らなかった」という相談の多くは、システムと人手(外注)の切り分けを最初に設計しなかったことが原因です。だからこそ、この記事では単なる機能紹介ではなく、「どこまで自動化し、どこから人に任せるか」まで踏み込みます。

インフォマートの発注システムとは|まず全体像を正しくつかむ

インフォマートが提供する「BtoBプラットフォーム」は、企業間の取引で発生する見積・発注・受注・納品・請求・支払といった一連の帳票を、インターネット上でやりとりするためのサービス群です。「インフォマート 発注」で調べている方が最初に混乱しやすいのは、インフォマートのサービスが1つではなく、用途別に分かれている点です。ここを整理しないまま資料請求すると、「自分が使いたいのはどれなのか」が分からなくなります。

大きく分けると、飲食・宿泊業界などの現場向けに特化した受発注サービス(食材や資材を毎日発注するタイプ)と、業界を問わず請求書や契約書といった帳票をやりとりする汎用的なサービスがあります。前者は「今日の仕入れを取引先に発注する」ような、頻度の高い定型発注に強く、後者は「毎月の請求・支払をペーパーレスにする」用途に向いています。自社がどちらの課題を抱えているかで、見るべきサービスが変わります。

インフォマート自身は、このプラットフォームの規模の大きさを次のように説明しています。

100万社以上の利用実績 BtoBプラットフォーム利用企業は100万社以上。プラットフォーム内ならこれらの企業といつでも帳票のやりとりが可能。あらゆる企業にご利用いただけ、さまざまな課題を解決するサービスです。 出典: infomart.co.jp

つまり、取引先がすでにこのプラットフォームを使っているなら、自社も同じ土俵に乗ることで、電話やFAXを介さずに直接データで発注・請求ができるようになる、というのが基本構造です。逆に言えば、取引先が使っていない相手との取引は、従来どおりの方法が残ります。ここは導入前に必ず確認すべきポイントで、「全取引が一気にデジタル化される」わけではないことは、最初に理解しておいてください。

受発注システムと請求書システムの違いを混同しない

「インフォマート 発注」で調べていると、受発注(モノやサービスを注文する)機能と、請求書(お金を請求・支払う)機能の話が入り混じって出てきます。この2つは連動していますが、導入の目的が異なります。受発注機能は「何を・いくつ・いつ納品してもらうか」を管理するもの、請求書機能は「その取引の代金をいくら・いつ払うか」を管理するものです。

多くの企業でまず効果が出やすいのは、実は請求・支払まわりのデジタル化です。理由は、受発注は業界や商材によって運用が千差万別なのに対し、請求書のやりとりは業界を問わず「毎月必ず・大量に・締め日に集中して」発生するからです。紙の請求書を受け取り、内容を確認し、経理システムに手入力し、承認を回し、振込データを作る。この一連の流れは、どの会社でも似た構造で、しかも人手がかかります。ここをデジタル化すると効果が数字で見えやすい。導入検討の際は、「自社で一番時間を食っている帳票はどれか」を先に特定してから、対応するサービスを選ぶのが失敗しないコツです。

「発注する側」と「受注する側」で見える画面が違う

もう一つ、最初に押さえておきたいのが立場による違いです。あなたが取引先に注文を出す「発注者」なのか、注文を受ける「受注者」なのかで、システムに求める機能も、費用負担の考え方も変わります。一般に、プラットフォーム型の受発注サービスは、発注する大手企業側が導入を主導し、受注側(サプライヤー)は取引を続けるために合わせて使う、という構図になりがちです。

この記事の読者の多くは、事務や運用を効率化したい発注側だと思いますので、以降は主に発注者の視点で「導入して何が楽になるのか」「どこにコストと手間が残るのか」を見ていきます。自分がどちらの立場でこのシステムに関わるのかを意識すると、資料や商談での説明も格段に理解しやすくなります。

インフォマート発注を導入する主なメリット

ここからは、発注者がインフォマートの受発注・請求システムを導入することで得られる代表的なメリットを、実務の粒度で整理します。抽象的な「効率化」ではなく、「どの作業が・どう変わるのか」で説明します。

メリット1|FAX・電話・手入力のミスが減る

最も分かりやすい効果が、FAX・電話・メールと手入力で発生していたミスの削減です。紙やFAXの発注では、数量の読み間違い、転記ミス、聞き間違いが一定の確率で必ず起きます。受発注データがそのままシステムに乗ると、この転記工程自体がなくなります。インフォマートも、データ受注による効果を次のように説明しています。

データ受注でFAX・電話のミスや手入力を削減し、信頼性が向上します。データ一元管理で作業負担を軽減し、在庫欠品リスクも低減。24時間いつでも受注可能なので営業活動の幅が広がります。 出典: infomart.co.jp

つまり、「発注書をFAXで送り、相手が手入力し、間違えたら電話で確認する」という往復のやりとりが、データの受け渡し1回で済むようになります。ミスの再発防止にかかっていた時間、いわゆる「手戻り」のコストは、実際にやってみると想像以上に大きい部分です。1件あたりの手戻りが平均10分だとして、月に50件発生していれば、それだけで月8時間以上の作業が消えます。ここが自動化で丸ごとなくなるインパクトは小さくありません。

メリット2|受発注から請求・支払までを一元化できる

2つ目のメリットは、この記事のタイトルにもある「請求から入金まで一元化する」という狙いそのものです。従来は、発注は発注システム、請求書は紙、支払は会計ソフト、というように工程ごとにツールと担当がバラバラでした。これをプラットフォーム上で連携させると、「発注した内容」と「届いた請求書」の突き合わせが自動化され、金額違いや二重請求のチェックがしやすくなります。

インフォマート自身も、業務のデジタル化による効果を次のように述べています。

業務のデジタル化で事務処理やミスを削減します。仕入れ・在庫をリアルタイムに可視化し、経営判断や原価管理が迅速化。さらにスマホでどこでも発注ができ、効率的な運用が可能です。 出典: infomart.co.jp

一元化の本当の価値は、単に楽になることだけではありません。発注から入金までのデータがひとつながりになると、「今月いくら発注して、いくら請求が来て、いつ払うのか」という資金繰りの見通しが立てやすくなります。特に、月末に請求書が一斉に届いて経理が徹夜する、という中小企業あるあるの状況は、締め処理の平準化によって大きく緩和されます。経営判断のスピードという観点でも、データの一元化は効いてきます。

メリット3|取引先とつながりやすい・24時間発注できる

3つ目は、プラットフォームならではのメリットです。すでに100万社以上が利用しているため、新しい取引先とも「同じシステム上でつながるだけ」で帳票のやりとりを始められます。個別にEDI(電子データ交換)の仕組みを1社ずつ構築するのに比べ、導入のハードルが大きく下がります。

また、発注は24時間いつでも可能です。営業時間内に電話しなければならない、というFAX・電話発注の制約がなくなり、担当者が自分の都合のよいタイミングで発注できます。スマホから発注できる点も、店舗や現場を持つ事業者には効きます。厨房や倉庫で在庫を確認しながらその場で発注する、といった運用が可能になり、「事務所に戻ってから発注書を作る」という無駄がなくなります。

メリット4|ペーパーレスで保管・検索・電子帳簿保存法対応が楽になる

4つ目に見落とされがちなのが、書類の保管と検索、そして法対応の観点です。紙の発注書・請求書は、ファイリングし、保管し、必要なときに探し出す、という地味に重い作業を伴います。これがデジタル化されると、過去の取引を検索一発で引き出せるようになります。「去年の同じ時期にいくらで仕入れたか」を数秒で確認できるのは、価格交渉や原価管理の場面で強力です。

さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応という観点でも、帳票がデジタルで一元管理されていると対応が楽になります。この領域は制度改正が続いているため、※自社の状況が複雑な場合(海外取引や特殊な会計処理がある等)は、顧問税理士や公的機関の情報を必ず確認してください。制度の基本的な考え方は、国税庁のサイト(国税庁)で公開されている情報が一次情報として信頼できます。つまり、システム導入はペーパーレス化そのものだけでなく、法対応のコストを下げる副次効果も持っている、ということです。

「無料」でどこまでできるのか|費用構造を正しく理解する

「インフォマート 発注」を調べる人が必ず気にするのが費用、特に「無料でどこまで使えるのか」です。ここは誤解が多いので、丁寧に整理します。

一般に、プラットフォーム型の受発注サービスでは、「発注側(注文を出す側)は無料または低コストで使え、受注側(注文を受ける側)が利用料を負担する」という料金モデルが採られることが多いです。理由はシンプルで、発注する大手企業を無料で呼び込み、その取引に乗りたい受注側から利用料を得る、というプラットフォームのビジネス構造だからです。ただし、これはサービスやプランによって条件が異なるため、「自分の立場・使いたい機能で、いくらかかるのか」は必ず見積もりで確認してください。「無料」という言葉だけで判断すると、後から「その機能はオプションで有料でした」となりがちです。

無料の範囲と有料になりやすいポイント

無料で使える範囲は、多くの場合「基本的な帳票のやりとり(発注データの送受信など)」に限られます。一方で、有料になりやすいのは、自社の基幹システムや会計ソフトとのデータ連携(API連携)、大量のデータを扱うための上位プラン、専任サポート、カスタマイズなどです。

これ、契約実務の視点で本当に大事なんですが、無料プランで始めて運用に乗ってから「あの機能も欲しい」となったときに、追加費用の交渉が発生します。だからこそ、資料請求や商談の段階で「自社が最終的にやりたい運用(例:会計ソフトへの自動連携まで)を実現するには、トータルでいくらかかるのか」を、最初に一括で見積もってもらうのが賢いやり方です。目先の「無料」に飛びつくのではなく、3年運用したときの総コストで比較しましょう。

導入費用だけでなく「運用の人件費」も計算に入れる

もう一つ忘れてはいけないのが、システム利用料以外にかかる「運用の人件費」です。システムを導入しても、マスタ登録(取引先や商品の初期設定)、日々のデータ確認、イレギュラー対応、取引先へのシステム利用の依頼といった作業は人が行います。ここを誰がやるのかを決めずに導入すると、「システム代は払っているのに、結局は担当者が疲弊している」という状態になります。

私が契約相談で見てきた限りでも、システム導入の失敗事例の多くは、機能ではなく「運用体制を設計しなかったこと」に原因があります。つまり、費用を考えるときは「システム利用料+初期設定の工数+日々の運用工数」の3点セットで見積もる必要がある、ということです。そして、この「初期設定」や「日々の運用」の部分こそ、外注(業務委託)で吸収できる領域だという点を、次の章で掘り下げます。

システム化と外注(業務委託)の使い分け|ここが本当の分岐点

インフォマートのようなシステムを入れれば、受発注や請求の「型が決まった処理」は自動化されます。しかし、先ほど触れたように、システムだけでは残る作業があります。ここを人手でどう埋めるかが、事務コストを本当に下げられるかどうかの分岐点です。

システムが得意なこと・苦手なこと

システムが得意なのは、ルールが決まっている繰り返し作業です。「発注データを送る」「請求書を受け取って会計ソフトに取り込む」といった定型処理は、システム化で圧倒的に速くなります。一方、システムが苦手なのは、判断や例外対応、初期の設定作業、そして取引先とのコミュニケーションです。

たとえば、取引先ごとに異なる商品名の表記ゆれを整える、初期のマスタを何千件も登録する、届いた請求書の内容に疑問があるときに取引先へ確認する、取引先にシステム利用をお願いして操作を教える。こうした作業は、システムを入れただけでは自動化されません。ここに人手が必要です。そして、この人手を「正社員の残業」で埋めるのか、「外部の業務委託」で埋めるのかで、コストが大きく変わります。

定型的な事務ほど外注に向いている

結論を言えば、マスタ登録・データ入力・請求書の突合チェック・帳票の整理といった「手順が決まっているが量が多い」事務作業は、外注(業務委託)に最も向いています。理由は3つあります。第一に、繁忙期(月末・締め日)だけ量が増える性質なので、正社員を抱えるより変動費として外注したほうが無駄がない。第二に、専門スキルというより「正確さと速さ」が求められる作業なので、経験者に任せれば品質が安定する。第三に、社内の人材を、判断や交渉といった付加価値の高い仕事に回せる。

実際、こうしたバックオフィス事務の外注ニーズは年々高まっています。データ入力や経理事務のアウトソーシングの相場感を知りたい場合は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような職種別の単価データベースが参考になります。事務系の業務委託は、作業内容と量によって単価が変わるため、こうした相場データを踏まえて見積もりを比較すると、適正価格の判断がしやすくなります。

外注とシステムは「対立」ではなく「補完」

ここで誤解してほしくないのは、「システムを入れるなら外注は不要」「外注するならシステムは不要」という二択ではない、ということです。むしろ両者は補完関係にあります。システムで定型処理を自動化し、システムに乗り切らない設定・例外・確認作業を外注で吸収する。この組み合わせが、最も事務コストを下げる構成です。

具体的には、システム導入の初期フェーズ(マスタ登録や取引先への案内)を外注でスピーディーに立ち上げ、運用が安定したら日々のデータチェックを外注で回す、という使い方が現実的です。システムベンダーは「システムの使い方」は教えてくれますが、「あなたの会社の事務を実際に回す人」までは提供してくれません。そこを外部人材で補うのが、賢い導入設計です。業務の切り出し方については、業務委託契約書の作り方|発注者向けテンプレート付きで、契約書に落とし込む際の具体的な項目を解説しています。

事務・バックオフィス業務を外注する費用の相場

システム化と外注を組み合わせる方針が固まったら、次に気になるのは「外注するといくらかかるのか」です。ここでは、発注者が意思決定できるよう、事務・バックオフィス系の業務委託の費用相場を整理します。

時給・月額・成果報酬の3パターン

事務系の業務委託の料金体系は、大きく3つに分かれます。1つ目は時給制で、データ入力や単発の作業に多く、相場は1,200円〜2,500円程度が一つの目安です。2つ目は月額制(顧問・継続契約)で、経理事務やバックオフィス全般を継続的に任せる場合に使われ、業務範囲によって月3万円〜15万円程度と幅があります。3つ目は成果報酬・件数単価で、「請求書1件あたり」「入力1件あたり」といった従量課金です。

どの体系が向いているかは、業務の性質で決まります。量が読めない・波がある作業なら時給制や件数単価、毎月安定して発生する作業なら月額制のほうが管理も予算化もしやすい。導入初期のマスタ登録のような「一時的に大量」な作業は時給・件数で、運用フェーズの「毎月コンスタント」な作業は月額で、と使い分けるのが合理的です。

仲介会社経由と直接依頼のコスト差

ここで、発注者として必ず知っておいてほしいのが、「同じ人材に頼むのでも、経路によって支払額が変わる」という事実です。代理店や派遣会社、仲介エージェントを通すと、その会社の運営費や利益が中間マージンとして料金に上乗せされます。一般に、この中間マージンは20%〜40%程度と言われ、案件によってはそれ以上になることもあります。

つまり、あなたが月10万円払っていても、実際に作業する人の手元には6万円台しか届いていない、というケースが起こり得るわけです。これに対して、業務委託マッチングサービスなどを通じてフリーランスへ直接依頼すると、この中間マージンがない分、同じ予算でより多くの作業を頼めるか、同じ作業をより安く頼めます。手数料0%で直接つながれる仕組みなら、その差はそのまま発注者と受注者の双方の利益になります。仲介手数料の考え方や最低時給の目安については、@SOHOでのお仕事の受発注における最低時給の考え方についてで詳しく解説しています。

見積もりを比較するときのチェックポイント

相場を踏まえたうえで、複数の候補から見積もりを取る際は、金額だけでなく「その金額に何が含まれているか」を必ず確認してください。同じ「月5万円」でも、対応する業務範囲、修正回数、レスポンスの速さ、機密保持(NDA)の有無が違えば、実質的なコストは全く異なります。

私が失敗事例として何度も見てきたのが、「安さだけで選んで、結局やり直しで高くついた」というパターンです。特に、事務系の業務委託では「どこまでやってくれるのか(業務範囲)」の認識がずれると、後から追加費用や手戻りが発生します。見積もり比較の段階で、業務範囲を1つずつ書き出して、各社に同じ条件で見積もりを出してもらうこと。これが、失敗しない発注の第一歩です。

発注業務を外注するときの契約・法務の注意点

行政書士として、ここは特に力を入れてお伝えしたい部分です。システムを入れ、外注先も決まった。でも、契約をきちんと結ばないと、後で必ずトラブルになります。法律はあなたの味方ですが、それは正しく使ったときの話です。

業務委託契約書は必ず書面で

まず大原則として、業務委託は口約束ではなく、必ず契約書を交わしてください。「知り合いだから」「小さい仕事だから」と口頭で始めると、業務範囲・報酬・納期・修正対応の認識がずれたときに、証拠が何も残りません。契約書には、少なくとも「委託する業務の具体的な内容」「報酬額と支払い条件」「納期」「機密保持」「契約解除の条件」を盛り込みます。

つまり、契約書は相手を縛るためではなく、「お互いが同じ認識でいることを確認する書類」です。これがあるだけで、後々のトラブルの9割は防げます。テンプレートと各項目の書き方は、業務委託契約書の作り方|発注者向けテンプレート付きにまとめてあります。

フリーランス保護新法と下請法を知っておく

先日、あるフリーランスの方から相談を受けました。「事務作業を請け負って納品したのに、発注者が『思っていたのと違う』と言って報酬を払ってくれない」と。結論から言うと、これは2024年11月に施行されたフリーランス保護新法で問題になり得る行為です。発注者は、成果物を受け取った日から原則60日以内に報酬を支払う義務があります。つまり、「イメージと違う」は、それだけでは支払いを拒む正当な理由にはなりません。

これ、発注者側が知らないと、悪気なく法律違反をしてしまうことがあるんです。特に、資本金1,000万円超の企業がフリーランスに発注する場合は、下請法(取適法)も関わってきます。発注時に書面(発注書)を交付する義務、支払いを不当に遅らせない義務など、発注者側にも守るべきルールがあります。これらの制度の詳しい内容は、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで、発注書のチェックリスト付きで解説しています。※自社が下請法の対象になるか判断が難しい場合は、公正取引委員会(公正取引委員会)の情報を確認するか、専門家に相談してください。

個人情報・機密情報を扱う外注では特に慎重に

発注業務の外注では、取引先の情報、価格、仕入れ条件といった機密情報を扱うことになります。ここは特に慎重に契約を組む必要があります。機密保持契約(NDA)を結ぶのはもちろん、「どの情報を・どこまで・どう扱うか」を明確にしておきます。

つまり、便利さだけで外注範囲を広げると、情報管理のリスクも一緒に広がる、ということです。だからこそ、外注先を選ぶときは、料金や作業品質だけでなく、「情報の扱いに対する意識が信頼できるか」も評価軸に入れてください。特定の相手を批判する意図はありませんが、身元がはっきりしない相手や、前払いを強く要求してくる相手には、機密情報を渡す前に一度立ち止まる慎重さが必要です。※契約内容に不安がある場合は、行政書士や弁護士に一度チェックしてもらうことをおすすめします。

20年市場を見てきた運営者視点の一次観察

ここで少し、フリーランス・在宅ワークの市場を20年以上運営してきた立場からの観察をお伝えします。他のサイトではあまり語られない、現場を長く見てきたからこそ気づくことです。

運営者として見てきた限りでは、システム導入と事務の外注をうまく組み合わせて成功している会社には、ある共通点があります。それは、「作業を丸投げする」のではなく、「一緒に運用を育てる関係」を外注先と築いていることです。長く続く発注者ほど、単発の作業依頼を積み重ねるのではなく、「この人に任せると、うちの事務が楽になる」という信頼関係の構築に時間を使っています。最初のマスタ登録を丁寧に一緒にやった外注先は、運用フェーズでも例外対応の勘所を分かってくれる。この積み重ねが、結局は事務コストを一番下げるのです。

もう一つ、20年この市場を見てきて確信していることがあります。それは、中間マージンが乗らない直接取引の本当の価値は、単に「安い」ことではなく、「双方が得をする」という構造にある、という点です。仲介手数料が抜かれないと、発注者は同じ予算でより多くの仕事を頼めます。同時に、受け手のフリーランスは手取りが厚くなります。手取りが厚い受け手は、余裕を持って質の高い仕事をし、長く付き合ってくれる。つまり手数料0%の直接取引は、金額の安さという表面的な話ではなく、「発注者と受注者の双方が納得して、長く続く関係になれる」という質の話なのです。これは、20年間、無数の受発注の現場を見てきたからこそ言える実感です。

独自データから見る、発注業務の外注という選択肢

最後に、在宅ワーク・業務委託の求人市場のデータから見えてくる傾向を整理します。ここ数年、企業が外部人材に依頼する業務の中で、経理・データ入力・事務代行といったバックオフィス系の需要が着実に伸びています。背景には、この記事で見てきた「システムは入れたが、運用の人手が足りない」という構造的な課題があります。

システム化が進むほど、逆説的に「システムに乗り切らない人の手」の価値が上がります。マスタ登録、例外処理、取引先とのやりとり、届いたデータの最終チェック。こうした業務は、AIやシステムが進化しても、当面は人が担い続ける領域です。実際、こうした事務系の業務委託を探す発注者と、それを請け負いたい経験者のマッチングは、年々活発になっています。事務やバックオフィスに限らず、システム連携やデータ処理の自動化まで含めて依頼したい場合は、アプリケーション開発のお仕事AIコンサル・業務活用支援のお仕事といった、より専門的なスキルを持つ人材への依頼も選択肢になります。

発注業務のデジタル化を進めるうえで、社内にシステムやデータに詳しい人材がいない場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような領域の専門家に、導入支援そのものを外注するという手もあります。また、事務代行を任せる際に相手の基礎的なビジネススキルを確認したいなら、ビジネス文書検定のような資格を一つの目安にするのも実務的な判断です。システム連携やAPI活用まで踏み込むなら、CCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク・インフラ系の資格を持つ人材、あるいはソフトウェア作成者の年収・単価相場を参考に、開発スキルを持つ人材への依頼も検討できます。

インフォマートのような受発注・請求システムの導入は、事務効率化の強力な一手です。ただし、それは「システムに乗せる部分」を自動化するだけであって、「システムに乗り切らない部分」は必ず残ります。その残りをどう埋めるか。社内で抱えるのか、中間マージンの乗った仲介経由で外注するのか、直接依頼でコストを抑えつつ長く続く関係を築くのか。この設計こそが、事務コストを本当に下げられるかどうかの分かれ道です。システムと外注は対立するものではなく、組み合わせてこそ効果が最大化する。そのことを、発注業務のデジタル化を考えるすべての方に、お伝えしたいと思います。

よくある質問

Q. インフォマートの発注システムは発注側なら無料で使えますか?

プラットフォーム型の受発注サービスでは、発注側は無料または低コスト、受注側が利用料を負担する料金モデルが多く見られます。ただし、会計ソフトとのデータ連携や上位プラン、専任サポートなどは有料になりやすい部分です。「無料」の言葉だけで判断せず、自社が最終的にやりたい運用を実現するトータル費用を、見積もりで必ず確認してください。

Q. システムを導入すれば事務作業はすべて自動化できますか?

いいえ、システムで自動化できるのは手順が決まった定型処理です。マスタ登録、例外対応、届いたデータの最終チェック、取引先へのシステム利用の案内といった作業は人手が残ります。この「システムに乗り切らない事務」を業務委託で吸収する設計をしないと、システム代は払っているのに担当者が疲弊する、という状態になりがちです。

Q. 事務やバックオフィスを外注する費用の相場はどのくらいですか?

時給制ならデータ入力などで1,200円〜2,500円程度、月額の継続契約なら業務範囲により月3万円〜15万円程度が一つの目安です。ただし代理店や派遣を通すと20%〜40%程度の中間マージンが上乗せされるため、フリーランスへ直接依頼すると同じ予算でより多く頼めるか、より安く頼めます。

Q. 事務作業を外注するとき契約で気をつけることは何ですか?

必ず業務委託契約書を書面で交わし、業務範囲・報酬・納期・機密保持・解除条件を明記してください。2024年施行のフリーランス保護新法により、発注者は成果物受領から原則60日以内の支払い義務があります。資本金1,000万円超の企業は下請法も関わるため、発注書の交付など発注者側のルールも確認が必要です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月29日最終更新:2026年7月15日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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