実績ゼロでホームページ制作を受注するなら、架空サイトの見せ方を変える

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
実績ゼロでホームページ制作を受注するなら、架空サイトの見せ方を変える

この記事のポイント

  • ✓ホームページ制作の実績ゼロから受注するために
  • ✓架空サイトをどう作りどう見せるかを整理しました
  • ✓作品として並べても評価されない理由

実績ゼロでホームページ制作を受注できるのか。結論から書くと、できます。ただし「架空のサイトを何本か作って並べる」という定番のやり方は、そのままでは効きません。理由ははっきりしていて、依頼者が見ているのは完成したデザインの美しさではなく、その形になった理由だからです。同じ架空サイトでも、課題と制約を設計に組み込み、判断の過程を添えて出すと、評価はまったく別のものになります。この記事では、架空サイトの作り方そのものより、見せ方の設計に絞って書きます。

実績ゼロは、思われているほど不利ではない

まず前提を一つ崩しておきます。「その業種の制作実績がないと受注できない」という思い込みです。制作の現場では、未経験の業種を受けることは珍しくありません。

全ての業界において実績があるWeb制作会社など、恐らく存在しないでしょう。多くのWeb制作会社では過去に経験したことがない業界に属するクライアントのホームページ制作を受けることはザラです。もちろん、過去に同じ業界のホームページを制作したといったケースもありますが、業界未経験といったケースも多数あるものです。 出典: spin-thread.co.jp

会社であっても業界未経験で受けている。ということは、依頼者が実績に求めているのは「同じ業種の経験」そのものではないという傾向が読み取れます。求めているのは、初めての業種でも手順を踏んで形にできる、という確からしさのほうです。

ここが分かると、実績ゼロの対処法も変わります。作った本数を増やすのではなく、手順を踏めることを示せばいい。架空サイトが有効になるのは、まさにこの点においてです。

正直なところ、実績ゼロの人が最初にやりがちな「とりあえず架空のカフェのサイトを作る」は、この観点からするとかなり弱い一手です。カフェのサイトが作れることは分かりますが、なぜその構成にしたのかが伝わらないからです。

架空サイトが評価されない、3つの理由

自主制作のサイトを見せても反応が薄いとき、原因はだいたい次の三つに集約されます。

一つ目は、課題がないこと。実際の制作は、依頼者が何かに困っているところから始まります。問い合わせが来ない、求人に応募がない、電話での説明に時間を取られている。この困りごとが起点にないと、サイトはただの飾りになります。架空サイトの多くは「架空のお店を作りました」で終わっており、何を解決するために作ったのかが書かれていません。

二つ目は、制約がないこと。実務では、予算、納期、素材の有無、更新できる人がいるかどうか、といった制約の中で判断します。制約がない状態で作られたものは、いくら丁寧でも実務の証明になりません。むしろ、時間を無制限に使えば誰でもここまでできる、と読まれてしまう場合すらあります。

三つ目は、判断が見えないこと。ここが最も大きい要素です。制作物だけを並べると、依頼者には結果しか見えません。なぜトップに大きな写真を置いたのか、なぜ問い合わせボタンを固定したのか。この判断こそが、外注する価値そのものです。判断が書かれていない作品集は、見た目の好みだけで評価されることになります。

架空サイトの設計を、依頼の形に変える

では、どう設計し直すか。実務の条件を、自分で自分に課すという方法です。

実在する業種を選び、社名は架空にする

業種は実在するものを選びます。地域の工務店、歯科医院、社会保険労務士事務所、部品加工の町工場。ここで大切なのは、その業種が実際に抱えている課題を調べることです。同業のサイトを10件ほど見て、どこも共通して弱い部分を探します。

社名や連絡先は架空にします。実在の企業を勝手に題材にすると、後述する問題が起きます。業種はリアルに、固有名詞は架空に、が原則です。

目的を1つに絞る

サイトの目的を一つに決めます。問い合わせを増やす、採用の応募を増やす、来店予約を増やす。複数を同時に狙うと、構成の判断がぼやけます。

目的が決まると、設計が変わります。実際の制作事例でも、目的から導線が決まっていく様子が記録されています。

今回、リニューアルの主要な目的として、「採用を強化したい」というご要望をいただきました。そのため、求職者がスムーズに採用情報へアクセスできる導線を重視し、綿密に設計しています。まず、「採用情報」ページへの導線ボタンを画面右上に固定表示することで、ユーザーがグループの強みや事業内容を確認し「ここで働いてみたい!」と感じたタイミングですぐに採用情報を閲覧できる導線設計に仕上げました。 出典: neoindex.co.jp

目的が採用だから、採用情報へのボタンを右上に固定する。この「だから」の部分が、依頼者が見たいものです。架空サイトでも、この因果関係を自分で作れます。

制約を自分で課す

制約がないと実務の証明になりません。そこで、あえて条件を付けます。

制作費は25万円と想定する。ページ数は5ページまで。写真は依頼者が撮ったスマートフォンの画像しかない。更新するのは60代の事務員で、専門知識はない。納期は6週間。

こうした条件を先に書いておくと、作ったものの評価軸が変わります。素材が乏しい前提で見栄えを成立させた工夫、専門知識のない人でも更新できる構造。どちらも実務でそのまま問われる能力です。

添えるのは、1枚の制作意図シート

架空サイトに添える資料は、長い解説文である必要はありません。1枚で足ります。項目を整理します。

項目 書く内容
想定した事業者 業種、規模、地域、事業の特徴
設定した課題 現状の何が困っているのか
サイトの目的 増やしたい行動を1つだけ
制約条件 予算、期間、素材、更新体制
主な判断 どこをどう設計したか、その理由を3点
検証したいこと 公開後に何を見て良し悪しを判断するか

このうち、他の人と差がつくのは最後の「検証したいこと」です。作って終わりではなく、公開後に何を見るのかまで書ける制作者は多くありません。問い合わせフォームの到達率を見る、採用ページの滞在時間を見る、といった一文があるだけで、運用まで考えられる相手だという印象になります。

シートの形式は問いません。1枚のページとしてサイト内に置いてもいいですし、PDFで渡してもいい。重要なのは、制作物と一緒に必ず目に入ることです。別ファイルにして「詳しくはこちら」にすると、読まれません。

制作意図シートの、記入例

抽象的な説明だけでは掴みにくいので、部品加工の町工場を題材にした場合の例を挙げます。

想定した事業者は、従業員12名の金属加工業。地域は地方都市の工業団地内で、取引先の8割が長年の付き合いのある企業。設定した課題は、新規の取引先からの問い合わせがほぼ無く、既存取引先の減少がそのまま売上減に直結する状態であること。

サイトの目的は、新規の見積もり依頼を増やすこと一点に絞ります。ここで採用も同時に狙わないのが要点です。制約条件は、制作費30万円、期間8週間、写真は工場内をスマートフォンで撮ったものだけ、更新担当は50代の総務担当者。

主な判断は三つ書きます。加工できる素材と寸法の範囲を一覧表にしてトップから1クリックで届く位置に置いたこと。写真の画質が揃わないため、図版と数値表を主役にして写真を補助に回したこと。問い合わせフォームの項目を4つに絞り、図面の添付を任意にしたこと。それぞれに理由を一文添えます。

検証したいことは、見積もり依頼の件数と、加工範囲の一覧ページの閲覧数です。この二つが連動していれば、設計の意図が当たっていたことになります。

この程度の分量で十分です。長く書くより、判断が三つ書かれていることのほうが重要という特徴があります。

題材にする業種を、どう調べるか

架空サイトの説得力は、業種の理解に比例します。ここを飛ばして作り始めると、それらしい見た目のサイトにはなりますが、その業種の人が見たときに違和感が残ります。

調べ方は難しくありません。同業のサイトを10件開いて、次の点を記録していきます。

どの情報がトップに置かれているか。問い合わせの前に何を確認させようとしているか。価格を出しているかどうか。実績や事例をどう見せているか。スマートフォンで開いたときに何が最初に目に入るか。

10件も見ると、業種ごとの型が見えてきます。例えば、価格を明示しない業種は、代わりに相談のしやすさを前面に出している。逆に価格を出す業種は、比較されることを前提に構成されている。この型を外して作ると、依頼者から「うちの業界ではそうならない」と言われます。

もう一つ有効なのが、その業種の依頼者側が何に困っているかを、サイト以外の場所で探すことです。業界団体の資料、求人票に書かれた仕事内容、口コミの不満。サイトを見ているだけでは分からない事情がここに出てきます。制作意図シートの「設定した課題」に厚みが出るのは、この作業をしたときです。

※調べた内容を作品の説明にそのまま書く必要はありません。調べたことは、判断の理由として一行に凝縮されていれば十分です。

何本作るか、どう組み合わせるか

数を作れば有利になると思われがちですが、実際は3本で足ります。ただし、種類を分けます。

1本目は、狙う業種のサイト。受注したい分野を決めて、その業種向けに作ります。同業の依頼者から見て、自分の業界を分かっている人だと伝わることが目的です。

2本目は、更新のしやすさを見せるもの。専門知識のない人でも更新できる仕組みを組み込み、その操作画面まで見せます。多くの依頼者が公開後の更新を心配しているため、ここに応える作品は効きます。

3本目は、既存サイトの改善案。実在企業を無断で題材にするのは避け、架空の「改善前」を自分で作ってから、改善後を並べます。手間はかかりますが、比較の形は説得力があるという特徴があります。

10本並べるより、この3本のほうが強い。理由は単純で、依頼者は全部見ないからです。最初の1本で判断が終わります。

作る順番にも意味があります。狙う業種のサイトを最初に作ると、調べる作業と作る作業を同時に進められるため、その業種の理解が一気に深まります。更新の仕組みを見せる2本目は、1本目で作った構成を流用できるので、負担が小さくなります。比較を見せる3本目は最も手間がかかるため、最後に回すのが現実的でしょう。3本そろうまで待たずに、1本できた時点で提案を始めて構いません。

架空サイトで、やってはいけないこと

見せ方を工夫する以前に、避けるべき線があります。

実在企業のサイトを無断でリニューアルして公開するのは、避けたほうがいいでしょう。ロゴや写真をそのまま使えば権利の問題が生じますし、当の企業から見れば、頼んでいない改善案を勝手に公開されている状態です。仮に良い出来でも、心証は良くなりません。どうしても実在企業を題材にしたいなら、社内資料として個別に見せる形にとどめるのが無難です。

他者のデザインを流用するのも当然ながら問題です。参考にすることと、構成をそのまま持ってくることは違います。テンプレートを使うこと自体は悪ではありませんが、その場合は「テンプレートを使用」と明記します。隠して自作として出すと、実務に入ったときに必ず露見します。

そして最も注意したいのが、架空サイトを実績と誤認させる書き方です。「制作実績」の見出しの下に架空サイトを並べ、注記を入れないケースがあります。これは受注につながったとしても、後で信頼を失います。「自主制作」と一言添えるだけで済む話です。

正直なところ、この一言を書かない人は少なくありません。書いたら不利になると思うからでしょう。ですが、制作意図シートが添えられていれば、自主制作であること自体は不利になりません。むしろ、条件を自分で設定して検証したという読み方をされます。

見せる場所と、技術的な体裁

作ったものをどこに置くかも、評価に影響します。

自分のサイトを持ち、そこに置くのが基本です。制作者が自分のサイトを持っていないと、それだけで説得力が落ちます。制作会社が自社の実績ページを持っているのと同じ理屈です。

ネオインデックスでは、細部までこだわったWebサイト設計・デザインは貴社のポリシーや世界観を最大限に引き出した形で、コーポレートサイト、採用サイト、サービスサイト、店舗サイト、ECサイト、オフィシャルサイト、LPサイト等を制作いたします。最高品質の「ホームページ制作会社」をお探しの方は、まず当社の制作実績をご覧ください。 出典: neoindex.co.jp

実績を見てくださいと言える場所を持っているかどうか。個人でも同じことです。

技術的な体裁では、次の点が見られます。スマートフォンで崩れないこと。表示が遅くないこと。問い合わせフォームが実際に動くこと。この三つは、デザインの好み以前の基準です。とくにフォームは、送信してもエラーになる状態のまま置かれていることが意外と多く、依頼者が試したときの印象が最悪になります。

加えて、読み込みの速さは制作者としての力量が直接出る部分です。画像を圧縮せずに置いている、使っていない機能を大量に読み込んでいる、といった状態は、分かる人が見れば一目で分かります。逆に言えば、デザインで差がつけにくい段階でも、速さは客観的な指標として示せます。測定できる数値を一つ持っておくと、説明が具体的になります。

もう一点、自分のサイトが検索で見つからない状態になっていないかも確認してください。制作を頼む側が名前で検索したときに何も出てこないと、実在性を疑われます。HTMLの基本的な設定を確認する作業なので、技術的には難しくありません。

見せる順番を、相手によって変える

作品を並べる順番も、固定する必要はありません。相手が製造業なら町工場を題材にした1本目を先頭に、相手が更新の手間を気にしているなら2本目を先頭に置く。サイト上の並び順を変えるのが難しければ、提案時に「まずこちらをご覧ください」と一本だけ指定すれば済みます。

全部を平等に見せようとすると、結局どれも見られません。相手の関心に一番近いものを最初に置く。この一手間で、同じ作品集の伝わり方が変わります。

実績ゼロから、最初の1件をどう埋めるか

架空サイトを整えたうえで、最初の受注をどう作るかです。

無償で作ることについては、条件付きで有効だと考えています。ただし、無条件の無償は勧めません。実績として公開してよいこと、公開後に感想を文章でもらえること。この二つを条件にします。無償でも成果物の権利と掲載可否を書面で決めておく点は、有償の案件と変わりません。

金額を下げて受ける方法もありますが、下げすぎると次が続きません。最初の1件だけ相場の7割程度に設定し、2件目から通常価格に戻す、といった区切りを自分の中で決めておくと、安売りが常態化しません。

制作以外の実績も、実は使えます。文章を書けること、写真を整えられること、業務の流れを整理できること。これらは制作の周辺で確実に求められる能力です。文章まわりの見せ方については、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】に、実績がない段階で何を並べるかの考え方がまとまっています。単価の上げ方を段階的に整理したWebライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】も、価格の決め方という点で制作にそのまま応用できます。

スキルの裏づけを、資格と相場で補う

実績が薄い段階では、判断材料が少なくて依頼者が決めきれません。そこを補うのが、資格と相場の知識です。

提案書や見積書の形式が整っていると、それだけで実務経験があるように見えます。書式の作法はビジネス文書検定で扱われる範囲と重なります。サーバーやドメイン、ネットワークまわりの質問に答えられるようにしておきたいなら、CCNA(シスコ技術者認定)の知識が土台になります。

金額を提示するときには、相場を知っているかどうかが表情に出ます。制作系の職種の年収水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で、文章まわりまで含める場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。

受けられる仕事の幅を広げていく方向としては、企業の業務改善を支援するAIコンサル・業務活用支援のお仕事、集客まで含めて相談を受けるAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、実装力を深めるアプリケーション開発のお仕事といった領域があります。制作から自然につながる相談が多い分野です。

架空サイトに、確かめられる数字を添える

架空サイトの弱点は、良し悪しを見る側が判断しにくいことです。実在の店舗のサイトなら「問い合わせが増えた」という結果で語れますが、架空サイトにはその結果がありません。そこで代わりに置けるのが、計測できる数字です。

たとえば表示速度。ページの読み込みにかかる時間は、無料の計測ツールで誰でも測れます。数値と、そこに至るまでに何をしたかを並べて書いておく。画像の形式を変えた、読み込む順番を変えた、といった手順です。これは架空でも実在でも変わらない、正真正銘の技術の証拠になります。

スマートフォンでの表示も同じです。画面の幅が375pxのときと768pxのとき、それに一般的なパソコンの幅で崩れないことを、実際の画面を並べて示す。制作会社に依頼した経験のある発注者ほど、この部分の確認に時間を取られた記憶を持っています。

文字の読みやすさや配色の見分けやすさにも、判定する道具があります。背景と文字の明暗の差が基準を満たしているかどうかは、感覚ではなく数値で出ます。ここを通していることを書いておくと、公共性の高い業種の依頼に強くなります。

数字を添えると、架空サイトは作品から検証済みの成果物に見え方が変わります。題材が架空であることは変わりませんが、確認できる部分が増えるほど、依頼者の不安は減っていきます。

公開後の手入れまで想定した記録を残しておく

もう一つ、実績ゼロの段階で差がつくのが、作ったあとの記録です。制作の仕事は納品で終わらず、そこから更新が始まります。発注者がいちばん恐れているのは、作ってもらったあとに自分では手が入れられなくなることです。

架空サイトであっても、更新の手順書を一枚添えることはできます。お知らせを追加する手順、写真を差し替える手順、営業時間を変える手順。この三つを、画面の写真つきで1ページにまとめる。実際に更新する人がいなくても、書けること自体が運用まで考えている証拠になります。

作った後に自分で手を入れた履歴も残しておきましょう。公開してから1か月後に文言を直した、写真を季節に合わせて替えた、といった記録です。日付と、変えた理由を一行ずつ書けば足ります。これがあると、納品したら放り出す人ではないという印象が伝わります。

使った技術の一覧も、簡単でよいので置いてください。どの仕組みで作ったか、更新には何が必要か。引き継ぐ相手が読む前提で書くと、必要な情報が自然に絞られます。この一覧は、そのまま次の案件の見積もりを組む土台にもなります。

提出する形式を、相手の手間が減る方へ揃える

見せ方の最後に確認したいのが、提出の形式です。応募時に何を送るかで、見てもらえる割合は変わります。

添付ファイルを開かせる形は、それだけで一手間になります。閲覧できるページの住所を一行で示し、そこを開けば全部そろっている状態にしてください。パスワードが必要な場合は、同じ文面の中に書いておきます。別の連絡に分けると、その時点で確認が止まります。

ファイルで送る必要があるときは、形式にも気を配ります。特定の編集ソフトでしか開けない形式は避け、誰の環境でも開けるものにする。10MBを超える添付は、受信側の設定で弾かれることがあります。相手の手間を一つ減らすたびに、最後まで見てもらえる確率は上がります。

運営者として見てきた、実績ゼロを抜けた人の共通点

フリーランスと在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、実績ゼロの期間を短く抜けた人には共通点があります。作品の質が高かったわけではありません。作った理由を言葉にできていた、というだけです。

依頼する側は、制作物を見ても良し悪しを判断できないことが多いのが実情です。デザインの善し悪しを評価する訓練を受けていないからです。判断できないものを前にしたとき、人は説明の筋道で決めます。だから、同じ完成度でも、理由を語れる人が選ばれます。

運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど、作品を増やすことより、一件ごとの振り返りを残すことに時間を使っています。何を狙って、何がうまくいって、何が外れたか。その記録が次の提案の材料になり、やがて実績の説明そのものになります。

もう一つ。中間マージンの乗らない直接の取引は、実績が少ない段階ほど効いてきます。仲介手数料が引かれると、ただでさえ低い最初の案件の手取りがさらに薄くなり、丁寧に向き合う余裕が消えるからです。手数料0%で直接つながる形なら、同じ予算で依頼者はより多くを頼めますし、受け手は手取りが厚くなる。金額の話というより、最初の一件に時間をかけられるかどうかという差になります。その一件を丁寧に終えられた人が、次の紹介を受けている。実績ゼロを抜ける道筋は、だいたいここを通っています。

架空サイトは、作品ではなく記録として出す。この一点を変えるだけで、同じ制作物の受け取られ方が変わります。

よくある質問

Q. 実績ゼロでもホームページ制作の仕事は受注できますか?

受注できます。制作会社でも業界未経験の案件を受けることは珍しくなく、依頼者が求めているのは同業の経験そのものではなく、手順を踏んで形にできる確からしさです。架空サイトに課題と制約を組み込み、判断の理由を添えて出せば、実務の証明として機能します。作った本数より、説明できるかどうかが重要です。

Q. 架空サイトは何本くらい用意すればよいですか?

3本で足ります。ただし種類を分けます。1本目は受注したい業種向けのサイト、2本目は専門知識がない人でも更新できる仕組みを見せるもの、3本目は改善前と改善後を並べた比較です。依頼者は全部を見ないため、10本並べるより最初の1本の完成度と説明のほうが評価につながります。

Q. 架空サイトを実績として掲載してもよいのでしょうか?

自主制作であることを明記すれば問題ありません。注記を入れずに実績として並べると、後から信頼を失います。制作意図シートで想定した事業者、課題、制約、判断の理由が示されていれば、自主制作であること自体は不利になりません。実在企業のサイトを無断でリニューアルして公開する形は避けてください。

Q. 最初の1件は無償で受けるべきですか?

無条件の無償は勧めません。受けるとしても、実績として公開してよいこと、公開後に感想を文章でもらえることの2点を条件にします。成果物の権利や掲載の可否を書面で決めておく点は有償案件と同じです。金額を下げる場合も、最初の1件だけ相場の7割程度にとどめ、2件目から通常価格に戻す区切りを決めておきましょう。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月8日最終更新:2026年9月21日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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