行政書士の副業の始め方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
行政書士の副業の始め方

この記事のポイント

  • ✓行政書士 副業 始め方を
  • ✓合格済みの人が実際に動く順番で整理しました
  • ✓登録するかどうかの判断

行政書士の副業の始め方を調べている人の多くは、すでに試験に合格しているか、合格が見えている段階にいます。つまり知りたいのは勉強法ではなく、「この資格を持ったまま、会社員としての生活を崩さずに、どこから手を付ければ仕事になるのか」という一点です。結論から言うと、最初にやるべきは案件探しではありません。登録するかどうかを決めることと、扱う分野を1つに絞ることです。この2つが決まっていない状態で営業を始めても、話が来たときに受けられずに終わります。ここでは、合格後に動く順番を、費用の目安と在宅でできる範囲を含めて整理します。

行政書士の副業は「登録するかどうか」から始まる

行政書士の副業を考えるとき、最初に立ちはだかるのは案件の有無ではなく、資格の建付けです。ここを曖昧にしたまま進めると、後から全部やり直しになります。

合格した状態と、行政書士として動ける状態は違う

試験に合格しただけでは、行政書士を名乗って業務を受けることはできません。日本行政書士会連合会の名簿に登録され、都道府県の行政書士会に入会して初めて、行政書士として官公署に提出する書類の作成を業として受任できるようになります。行政書士法第1条の2は、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類の作成を業とすることを行政書士の業務として定めており、同法第19条はこれを他人が業として行うことを制限しています(行政書士法)。

つまり、「合格したから週末に許認可の書類を請け負おう」という発想は、登録の前段階では成立しません。これ、知らないまま名刺を作ってしまう人が本当に多いところです。まずは自分が今どちらの状態なのかを確認してください。

一方で、登録していない状態でも受けられる仕事はあります。書類作成そのものではなく、知識を使う仕事です。この線引きは後の章で詳しく扱いますが、始め方を考えるうえでは「登録して業務を受けるルート」と「登録せずに知識を売るルート」の2本があると理解しておくと、判断がぶれません。

副業でも登録できるが、事務所の要件は満たす必要がある

会社員のまま登録すること自体は、法律上禁止されていません。実際に勤務先を持ちながら登録している人はいます。ただし登録には事務所の設置が求められ、自宅を事務所とする場合でも、生活空間と区分され、独立性と守秘が保てる状態かどうかを各行政書士会が確認します。賃貸物件の場合は、事務所としての使用が契約上認められているかどうかも問われます。ワンルームで家族と共用の空間しかない、という状況だと、事前相談の段階で指摘を受けることがあります。

要件の運用は会によって細かく異なります。間取り図の提出を求める会、写真の提出を求める会、表札の掲示を求める会があります。始め方として最も確実なのは、書類をそろえる前に、登録予定地の行政書士会に一度問い合わせることです。

登録しない選択も戦略として成立する

副業で月に数万円の収入を目指す段階では、登録費用と会費が重荷になることがあります。後述する通り、初期費用は25万円前後、月々の会費が6,000円前後かかる会が多く、年間の固定費だけで7万円を超えます。仕事の当てがない状態でこれを払い続けるのは、精神的にきつい。

そのため、合格後すぐには登録せず、まず知識を使う仕事で市場との接点を作り、受注の目処が立ってから登録する順番を選ぶ人もいます。どちらが正しいという話ではなく、自分の資金と時間の余裕で決める話です。

始める前に決めておく3つの枠

副業が続かない理由の大半は、案件が取れないことではありません。取れたあとに回らなくなることです。始め方の段階で、次の3つの枠を数字で決めておいてください。

時間の枠を先に決める

行政書士の業務は、締切が行政のスケジュールで決まります。補助金の公募期間、許可申請の要件を満たす時期、相続の期限。自分の都合で後ろにずらせない仕事が多いのが特徴です。ですから、平日夜に2時間、土日にどちらか4時間、といった形で、動かせる時間を先に確定させます。

この枠から逆算すると、月に扱える件数の上限が見えます。仮に週14時間使えるとして、1件あたり調査と作成と修正で10時間かかる業務なら、月に5件が限界です。ここを把握せずに受けると、本業の繁忙期と重なった瞬間に破綻します。

分野の枠を1つに絞る

行政書士が扱える書類は1万種類を超えると言われます。副業でこれを広く追いかけるのは不可能です。建設業許可なのか、産業廃棄物の許可なのか、在留資格関係なのか、自動車の登録なのか、契約書の作成なのか。最初は1つに絞ってください。

絞る理由は効率だけではありません。依頼する側は「この分野をやっている人」を探しています。何でもやりますという看板は、副業で時間が限られている人にとって最も不利な看板です。

お金の枠を確認する

登録にかかる費用の目安は次の通りです。金額は会によって異なるため、必ず登録予定地の会で確認してください。

項目 目安
登録手数料 25,000円
登録免許税 30,000円
入会金 会により20万円前後
月会費 6,000円前後
政治連盟会費など 会により別途

初期費用の大半は入会金で、ここが会によって大きく違います。始め方を検討する段階で、自分が登録する会の金額を調べておくと、資金計画がぶれません。

登録までの手順を順番に

登録すると決めたら、次の順番で動きます。この順番を守ると手戻りが減ります。

手順1 勤務先の規程を確認する

副業の可否は就業規則で決まります。全面禁止の会社、許可制の会社、届出制の会社があります。行政書士登録は名簿で公開されるため、隠して進めるのは現実的ではありません。許可制なら、申請の前に社内手続きを済ませてください。競業にあたらないこと、本業の勤務時間中に業務を行わないこと、会社の情報を使わないこと。この3点を書面で示せると、話が通りやすくなります。勤務先の許可が下りるかどうかは、この3点をどう説明するかで大きく変わります。

手順2 登録予定地の行政書士会に事前相談する

書類をそろえる前に相談する。これが一番効きます。事務所要件の判断、必要書類の細目、標準的な処理期間は会ごとに運用が違います。電話で「会社員をしながら登録を考えている」と前置きして相談すれば、注意点を先に教えてもらえます。

手順3 書類をそろえる

一般的に求められるのは、登録申請書、履歴書、住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、合格証の写し、事務所の使用権を示す書類、事務所の平面図と写真などです。身分証明書は本籍地の市区町村、登記されていないことの証明書は法務局で取得します。法務局の窓口や郵送の扱いは法務省のサイトで確認できます。平日に窓口へ行けない会社員がつまずくのはここです。郵送請求の方法を先に調べておくと、有給を使わずに済みます。

手順4 事務所を整える

自宅を事務所にする場合、生活空間との区分、施錠できる書類保管、来客時の動線が確認の対象になります。副業では来客をほとんど想定しないとしても、要件は要件です。賃貸なら、事務所使用の可否を管理会社に確認してください。ここで許可が取れず登録が止まる例があります。

手順5 登録後にやること

登録が完了したら、職印の作成、報酬額の掲示、業務用の預金口座の開設、賠償責任保険の検討、帳簿の準備を進めます。行政書士は業務に関する帳簿を備える義務があり、依頼者の情報を扱う以上、守秘の体制も自分で作る必要があります。

税務面では、事業所得として申告するために税務署へ開業届を出します。青色申告を選ぶなら承認申請書も必要です。手続きの詳細は国税庁のサイトで確認できます。副業の所得が年20万円を超える場合は確定申告が必要になるため、初年度から帳簿を付ける習慣を作っておいてください。

在宅でできる範囲と、動かないと終わらない範囲

副業で行政書士を考える人の多くは、在宅で完結することを期待しています。ここは期待と実態がずれやすいところです。

さらに、顧客の元へ足を運んで書類を受け取ったり、相談に乗ったりする業務も行う必要があります。「行政書士は書類作成業務がメインだから、在宅でできる」というイメージで副業を始めてしまうと、ギャップに苦しむ可能性があるため注意しましょう。 出典: studying.jp

この指摘は実務の感覚と一致します。ただし、すべての業務が同じではありません。分野によって、外に出る必要の量が大きく違います。

在宅で回しやすい業務

契約書の作成やチェック、内容証明の文案作成、会社設立の定款作成の補助、補助金や助成金の申請書の作成、電子申請が整備された許認可の一部は、在宅の比重が高い業務です。オンライン面談で聞き取りをして、資料をデータで受け取り、作成した書類をデータで返す流れが作れます。電子定款や電子申請に対応すると、紙の受け渡しがさらに減ります。

外に出る前提の業務

現地確認が要件になっている許認可、官公署の窓口で調整が必要な案件、高齢の依頼者が中心となる相続関係の一部は、訪問が発生します。とくに相続では、依頼者が対面での説明を望むことが多く、平日昼間に動けない副業の立場では受けにくい場面があります。

副業の始め方としては在宅寄りから入る

平日昼間に動けないという制約は、副業では変えられません。ですから、始め方としては在宅の比重が高い業務から入り、慣れてきたら扱う範囲を広げるのが現実的です。在宅前提の働き方全般の考え方はキャリア・副業・人生相談のお仕事にまとまっており、時間の制約を持つ人がどう仕事を組み立てているかの参考になります。

最初に扱う分野の決め方

分野選びで迷ったら、次の3つの軸で考えてください。

軸1 本業の知識が効くところを選ぶ

建設会社に勤めているなら建設業許可、運送会社なら運送業の許可、飲食に関わっているなら食品営業許可や深夜酒類提供の届出。本業で業界の言葉が分かることは、書類作成において大きな差になります。依頼者が説明しなくても状況が想像できるからです。未経験の分野を一から調べるより、立ち上がりが圧倒的に速くなります。

ただし、勤務先そのものや取引先を顧客にするのは、利益相反や社内規程の問題が出ます。業界知識を使うことと、勤務先の関係先から受注することは分けて考えてください。

軸2 件数が読める分野を選ぶ

副業では、年に数件しか発生しない大型案件より、一定の頻度で発生する小さめの案件のほうが回しやすい。決算期や年度替わりに集中する業務は、本業の繁忙期と重なると危険です。1年のどの時期に需要が出るかを先に調べてください。

軸3 同業の下請けから入れる分野を選ぶ

いきなり一般の依頼者を集めるのは難しい。一方で、開業している行政書士事務所が繁忙期に外注を出すことがあります。すでに手順が確立している事務所の作業を請けることで、実務の型を学びながら収入を得られます。副業の始め方として、この入り方は現実的です。単価は自分で取るより低くなりますが、営業と実務を同時に立ち上げる負担がありません。

資格そのものの位置づけや、どんな業務範囲が想定されているかは行政書士の資格ガイドで確認できます。分野を絞る前に、扱える書類の広がりを一度見渡しておくと選びやすくなります。

受注の入口を3つ作る

登録しても、待っているだけでは仕事は来ません。入口を複数持ってください。

入口1 同業からの外注

行政書士会の支部会や研修会は、同業と接点を持つ場です。副業で動ける時間が限られていることを正直に伝えたうえで、「この分野の作成作業なら請けられる」と具体的に示すと、話が来やすくなります。曖昧に「何かあれば」と言うだけでは、記憶に残りません。

入口2 士業以外の事業者からの紹介

税理士、社会保険労務士、不動産業者、保険代理店は、顧客から許認可や書類の相談を受けることがあります。自分の専門外の相談が来たときに渡せる相手を探しています。分野を1つに絞っておくと、この紹介の対象になりやすくなります。

入口3 直接つながる場を持つ

発注者と受注者が直接やり取りする場を使う方法があります。仲介手数料が引かれない形の取引は、同じ予算でも受け手に残る金額が厚くなります。手数料0%で直接つながる形が成立していると、依頼者側は同じ予算でより多くを依頼でき、受け手は手取りが増えます。書類作成に近い分野の相場感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場やソフトウェア作成者の年収・単価相場が参考になります。専門知識を要する文章仕事がどの水準で取引されているかを知っておくと、自分の報酬設定の目安になります。

副業の入口づくり全般の手順は副業 始め方ガイド!星野ゆいが教える失敗しない4ステップとおすすめでも整理しています。士業に限らず共通する立ち上げの型なので、あわせて読むと動きやすくなります。

副業として回すための実務の型

受注できるようになったら、次は回し方です。ここを整えないと、件数が増えた瞬間に本業に影響が出ます。

受任前のやり取りをテンプレにする

初回の聞き取り項目、見積の出し方、必要書類の案内、着手金の扱い。この4つは毎回同じことを聞きます。文面を用意しておけば、平日夜の限られた時間を実務に使えます。とくに必要書類の案内は、依頼者が集める時間がかかるため、最初のやり取りで渡しておくと全体が短くなります。

報酬額の決め方

報酬は自由に決められますが、根拠のない金額を出すと交渉が長引きます。日本行政書士会連合会が公表している報酬額の統計を参照しつつ、自分の作業時間から逆算して下限を決めておくのが実務的です。副業では、時間あたりで割り込む金額を先に決めておくと、受けるかどうかの判断が速くなります。

断る基準を先に作る

副業で最も危険なのは、期限に間に合わない案件を受けることです。処理期間が読めない案件、依頼者が急いでいる案件、要件を満たしているか不明な案件は、最初の1年は避けたほうが安全です。断る基準を紙に書いて手元に置いておくと、目の前で頼まれたときに流されずに済みます。

副業行政書士がつまずきやすい点

勤務先の規程と社会保険

副業の所得が増えると住民税の額が変わり、勤務先の給与担当が気づくことがあります。確定申告の際に住民税の徴収方法を選べる場合がありますが、事業所得の扱いは自治体によって運用が異なります。隠す前提で設計しないほうが、結果的に長く続きます。

守秘義務と利益相反

行政書士には守秘義務があります。副業の場合、本業で得た情報と副業で得た情報が同じ頭の中にあるため、線引きの意識が要ります。勤務先の取引先から依頼を受けるケースは、利益相反の可能性を検討してください。判断に迷うときは、行政書士会の相談窓口に確認するのが確実です。

他士業の独占業務との線引き

行政書士が扱える範囲と、他の資格の独占業務は隣接しています。紛争性のある事案の代理は弁護士法第72条、登記申請の代理は司法書士法第3条、社会保険や労働関係の一部の手続きは社会保険労務士法で扱いが定められています。書類の作成という行為だけを見ると似ていても、扱う手続きによって根拠法が変わります(司法書士法)。

副業で受注の幅を広げたいときほど、ここを曖昧にしがちです。「この資格があればこの手続きまでできる」と自己判断せず、依頼を受ける前に根拠となる条文を確認し、判断がつかないときは行政書士会や該当する士業会に確認してください。この確認を面倒がると、後から受任自体が問題になります。

始めた直後の3か月でやること

登録が終わった直後は、何をすればいいのか分からない時期が続きます。この期間の過ごし方で、その後の1年が決まります。

1か月目 扱う分野の手続きを自分で1周する

決めた分野の申請について、要件、必要書類、標準処理期間、手数料を自分で調べて一覧にしてください。自治体の手引きは公開されています。読んで分からなかった箇所は、そのまま依頼者がつまずく箇所です。ここを整理しておくと、初回の相談で何を聞けばいいかが決まります。副業では時間が限られるため、案件が来てから調べるのでは間に合いません。

2か月目 説明できる形にして外に出す

調べた内容を、依頼者が読んで分かる文章に直します。専門用語をそのまま並べるのではなく、「この場合はこの書類が要る」という形にする。これを自分の名前で出しておくと、問い合わせが来たときに送れるものになります。完璧を目指すと出せません。1本目は粗くて構わないので、外に出すことを優先してください。

3か月目 単価と受注条件を固める

最初の相談が来る前に、着手金の有無、修正の回数、追加費用が発生する条件、支払期日を決めておきます。決めていないと、その場の空気で安く受けてしまう。副業で使える時間は増えないため、1件あたりの条件が悪いまま件数を増やすと、時給が下がり続けます。この3か月で、調べる、出す、条件を決める、の3つを終えておくと、案件が来たときに動けます。

業務に使う道具をそろえる

書類の作成そのものより、やり取りと管理に時間を取られます。電子契約や電子申請に対応するための電子証明書、依頼者とファイルを受け渡すクラウドストレージ、案件の進捗を記録する表、会計ソフト。この4点は最初にそろえたほうが結果的に速い。とくに会計ソフトは、開業届を出した時点から使い始めると、確定申告の負担が大きく変わります。

依頼者からの最初の連絡にどう返すか

問い合わせが来たときに、その場で見積を出そうとして固まる人が多い。副業では即答できない場面が普通にあります。返信の型を用意しておくと迷いません。要件を確認するために必要な情報を3つだけ聞き、回答できる日時を伝え、その日までに調べる。この流れなら、平日の昼間に動けなくても信頼を落としません。

逆に避けたいのは、分からないまま「できます」と答えることです。要件を満たしていない案件を受けてしまうと、途中で返金や謝罪が必要になります。処理期間の見通しが立たない案件は、その旨を伝えたうえで、対応できる同業を紹介するほうが結果的に評価されます。副業だからこそ、受けられる範囲をはっきり示す姿勢が信用になります。

記録を残す習慣をつける

誰から、いつ、どんな相談を受けて、何を回答したか。この記録は、後からトラブルになったときに自分を守ります。行政書士には業務に関する帳簿の備付けが求められており、加えて依頼者ごとのやり取りの経緯を残しておくと、次に同じ相談が来たときの対応も速くなります。副業で時間がないときほど、記録を省きたくなりますが、ここは省かないでください。

家族との合意を取っておく

自宅を事務所にする場合、生活空間の一部を業務に使うことになります。書類の保管場所、オンライン面談中の音、平日夜と週末の時間の使い方。この3つは同居している家族に直接影響します。始めてから揉めると、仕事そのものを畳むことになりかねません。登録前に、どの部屋をどう使うか、週にどれくらいの時間を充てるかを話しておいてください。副業が続いている人ほど、この段取りを最初に済ませています。

運営者として見てきた、始めた人が続くかどうかの分かれ目

在宅の仕事とフリーランスの市場を20年見てきた立場から言えば、資格を副業に換えられた人と、登録だけして止まった人の差は、資格の難易度でも営業力でもありません。差が出るのは「最初の3か月に何をしたか」です。

止まる人は、登録を終えたあとに情報収集を続けます。どの分野が儲かるか、どの集客手法が有効か、と調べ続けているうちに、会費だけが引き落とされていく。一方で続く人は、分野を決めた翌週には、その分野の依頼者が困っていそうな内容を1本まとめて外に出しています。完成度は高くありません。ただ、外に出した瞬間から、反応という形で情報が返ってきます。

もう1つ、長く続いている人に共通するのは、単発の書類作成で終わらせない設計をしていることです。許可を取ったら更新がある、事業が伸びたら別の届出が要る、といった流れを最初の面談で説明しておく。そうすると、1件で終わらずに関係が続きます。運営者として見てきた限り、収入が安定している人ほど、新規の集客ではなく、既存の依頼者から次の相談が来る状態を作っています。

そして、手取りの話をしておきます。同じ10万円の仕事でも、仲介が入って何割か引かれる形と、依頼者と直接取引する形では、手元に残る額が違います。副業で使える時間が週14時間しかないなら、1件あたりの手取りの厚さがそのまま続けられるかどうかを決めます。額面ではなく手取りで見る癖をつけてください。始め方の段階でこの視点を持っている人は、無理な安売りをせずに済んでいます。

よくある質問

Q. 会社員のまま行政書士登録はできますか?

法律上、会社員のまま登録することは禁止されていません。ただし勤務先の就業規則で副業の可否が定まっているため、事前確認が必要です。また登録には事務所の設置要件があり、自宅を事務所にする場合は生活空間との区分や賃貸契約上の使用可否が問われます。登録予定地の行政書士会に事前相談してから書類をそろえてください。

Q. 登録にはいくらかかりますか?

登録手数料が25,000円、登録免許税が30,000円、これに各行政書士会の入会金が加わります。入会金は会によって幅がありますが20万円前後の会が多く、初期費用の合計は25万円前後が目安です。加えて月会費が6,000円前後かかります。金額は会ごとに異なるため、登録予定地の会で必ず確認してください。

Q. 副業の行政書士は在宅だけで完結しますか?

分野によります。契約書の作成、内容証明の文案、補助金の申請書作成、電子申請に対応した許認可は在宅の比重が高い業務です。一方で現地確認が要件の許認可や、対面での説明が求められる相続関係は訪問が発生します。平日昼間に動けない副業の立場では、在宅の比重が高い分野から入るのが現実的です。

Q. 最初の仕事はどこから来ますか?

多くの場合、同業の行政書士事務所からの外注、税理士や不動産業者など隣接する事業者からの紹介、発注者と直接つながる場の3つです。いきなり一般の依頼者を集めるのは難しいため、扱う分野を1つに絞り、その分野で作業を請けられることを具体的に伝えておくと声がかかりやすくなります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月29日最終更新:2026年8月31日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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