エクセルでガントチャートを作る手順と、予定変更のたびに手直しが増える理由


この記事のポイント
- ✓エクセルでガントチャートを作る手順を
- ✓セルを塗る方法とグラフを使う方法の2通りで解説
- ✓関数と条件付き書式の具体的な設定
ガントチャートの作り方をエクセルで調べている人は、ゼミやサークルの企画、アルバイト先の準備、仕事の案件など、締切のある作業をいくつも抱えている人が多いと思います。エクセルでのガントチャートは、作り方さえ分かれば30分ほどで形になり、追加の費用もかかりません。ただ、実際に使ってみると、予定が1つずれるたびに、後ろの行を何本も手で直すことになり、だんだん更新が面倒になっていきます。
この記事では、エクセルでガントチャートを作る手順を、セルを塗る方法とグラフを使う方法の2通りで紹介します。関数と条件付き書式の設定も、そのまま使える形で書きます。そのうえで、予定が変わるたびに手直しが増える理由と、それを減らす工夫、エクセルから専用のツールに移る目安までを整理します。大学の課題とクラウドソーシングの案件を並行して進めるために、実際にエクセルでガントチャートを作っては直してきた経験も交えて書きます。
ガントチャートとは何か、なぜエクセルで作る人が多いのか
ガントチャートとは、作業ごとの期間を横棒で表し、時間の流れに沿って並べた日程表のことです。縦に作業の名前、横に日付を並べ、それぞれの作業を始める日から終える日までを塗りつぶします。どの作業がいつからいつまでか、どの作業が同じ時期に重なっているか、今日の時点でどこまで進んでいるべきかが、ひと目で分かります。
似た言葉にWBSがあります。WBSは、やるべき作業を洗い出して細かく分けた一覧のことで、ガントチャートはそこに日付を入れて横棒で表したものです。順番としては、先に作業を洗い出し、次に日程を引く、という流れになります。
エクセルでガントチャートを作る人が多い理由は、主に3つあります。
1つ目は、多くの人がすでにエクセルを使える環境にあることです。大学の授業や会社のパソコンに入っていることが多く、新しいアプリを用意する必要がありません。
2つ目は、自由に形を変えられることです。列を追加したり、色を変えたり、関数で日付を計算したりと、自分の使い方に合わせて表を作れます。
3つ目は、ファイルで渡せることです。メールに添付したり、共有のフォルダに保存したりして、相手に見てもらえます。
一方で、エクセルにはガントチャート専用の機能はありません。Microsoftの公式のサポートページでも、次のように説明されています。
Excel には事前定義されたガント チャートの種類はありませんが、次のように、タスクの開始日と終了日を表示するように積み上げ横棒グラフをカスタマイズすることで、ガント チャートをシミュレートできます。 出典: support.microsoft.com
つまり、エクセルのガントチャートは、表やグラフの機能を組み合わせて「ガントチャートのように見せる」ものです。この点が、あとで説明する手直しの多さにつながっています。
作る前に決めておく3つのこと
いきなりエクセルを開いて作り始めると、途中で列が足りなくなったり、日付の範囲が合わなくなったりして、作り直すことになります。作る前に、次の3つを決めておきます。
1つ目は、作業の一覧です。紙やメモに、やるべき作業を書き出し、大きな作業は1日から5日程度で終わる大きさに分けておきます。たとえば「レポートを書く」なら、「資料を集める」「構成を決める」「下書きを書く」「見直す」「提出する」のように分けます。作業が大きすぎると、横棒が長くなりすぎて、途中の遅れに気づけません。
2つ目は、日付の単位と範囲です。全体の期間が1か月程度なら1日単位、3か月を超えるなら1週間単位にすると、横に長くなりすぎません。1日単位で半年分の日付を並べると、列が180以上になり、画面を横に動かすだけで大変です。
3つ目は、誰が見るかです。自分だけで使うなら最低限の列で十分ですが、グループの課題や仕事の案件で人に見せるなら、担当者の列や進み具合の列が必要になります。
作業を書き出すときは、自分の作業だけでなく、ほかの人に確認してもらう時間や、返事を待つ時間も作業として書いておきます。大学の課題なら先生の確認、仕事の案件なら依頼主の確認です。こうした待ち時間は、自分では短くできないので、日程の中に最初から入れておかないと、全体の締切に間に合わなくなります。
この3つが決まっていれば、表の形はほぼ決まります。
方法1:セルを塗ってガントチャートを作る手順
エクセルでガントチャートを作る方法は、大きく分けて2つあります。1つ目は、日付を横に並べたセルを、条件付き書式で自動的に塗る方法です。表の中で作業と日程を一緒に管理でき、行の追加や変更もしやすいので、初めて作るならこちらがおすすめです。
列の配置は次のようにします。
| 列 | 内容 |
|---|---|
| A列 | 作業の番号 |
| B列 | 作業名 |
| C列 | 担当者 |
| D列 | 開始日 |
| E列 | 終了日 |
| F列 | 日数 |
| G列 | 進み具合(%) |
| H列から右 | 日付 |
手順は次のとおりです。
- 2行目に見出し(番号、作業名、担当者、開始日、終了日、日数、進み具合)を入力する
- H2のセルに最初の日付を入力する
- I2のセルに「=H2+1」と入力し、右へ必要な日数分コピーする
- 日付の列の幅を狭くし、表示形式を「d」にして日だけを表示する
- 3行目から下に、作業ごとの番号、作業名、担当者、開始日、終了日を入力する
- F列に日数を計算する式を入れる
- 日付の範囲に条件付き書式を設定する
日数の計算には、次の式を使います。開始日と終了日を両方含めて数えるので、1を足しています。
=E3-D3+1
土日を除いた日数で数えたいときは、NETWORKDAYS関数を使います。
=NETWORKDAYS(D3, E3)
日付の見出しの上の1行目に、月の表示を入れておくと見やすくなります。月が変わる日だけに月を表示する式は次のとおりです。
=IF(OR(H2=$H$2, DAY(H2)=1), TEXT(H2, "m月"), "")
開始日と終了日の列は、表示形式を「m/d」のような日付の形にしておきます。作業名の列は、長い名前でも読めるように幅を広めにとり、日付の列は幅を狭くして、画面の中にできるだけ多くの日付が収まるようにします。
ここまでで、表の骨組みができあがります。次の節で、日付のセルを自動で塗る設定をします。
条件付き書式で横棒を自動で塗る設定
ガントチャートの横棒は、セルを1つずつ手で塗るのではなく、条件付き書式で自動的に塗るようにします。手で塗ると、日付が変わるたびに塗り直しが必要になるからです。
設定の手順は次のとおりです。
- H3から右下の、日付と作業が交わる範囲をすべて選ぶ
- 「ホーム」タブの「条件付き書式」から「新しいルール」を選ぶ
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選ぶ
- 数式の欄に次の式を入れる
- 「書式」で塗りつぶしの色を選び、OKを押す
=AND(H$2>=$D3, H$2<=$E3)
この式は、「その列の日付が、その行の開始日以上で、終了日以下なら塗る」という意味です。ドル記号の位置が大切で、日付の見出しは「H$2」で行を固定し、開始日と終了日は「$D3」「$E3」で列を固定します。ここを間違えると、塗られる場所が斜めにずれます。私も最初に作ったとき、ドル記号を付け忘れて、棒が階段のようにずれていく表ができあがり、原因が分かるまで1時間ほど悩みました。
続けて、見やすくするためのルールを追加します。
土日の列を薄い灰色にするルールです。
=WEEKDAY(H$2, 2)>5
今日の列に色をつけるルールです。
=H$2=TODAY()
進み具合に合わせて、終わった部分だけ濃い色にするルールです。開始日から、日数に進み具合をかけた日までを濃く塗ります。
=AND(H$2>=$D3, H$2<$D3+$F3*$G3)
条件付き書式のルールは、上にあるものが優先されます。「進み具合の濃い色」を「期間の薄い色」より上にしておかないと、濃い色が表示されません。ルールの順番は、「条件付き書式」の「ルールの管理」で入れ替えられます。
方法2:積み上げ横棒グラフでガントチャートを作る手順
2つ目の方法は、Microsoftの公式のサポートページでも紹介されている、積み上げ横棒グラフを使う方法です。グラフとして作るので、資料に貼り付けたり、印刷したりするときに見栄えのよいガントチャートになります。
手順は次のとおりです。
- 作業名、開始日、日数の3列の表を作る
- 表を選び、「挿入」タブから横棒グラフの「積み上げ横棒」を選ぶ
- グラフの1つ目の系列(開始日の棒)を選び、塗りつぶしを「塗りつぶしなし」にする
- 縦軸(作業名)を選び、軸の書式設定で「軸を反転する」にチェックを入れる
- 横軸の最小値を、最初の作業の開始日に合わせる
3の手順で開始日の棒を見えなくすることで、日数の棒だけが開始日の位置から伸びて見えるようになります。これがガントチャートの横棒になります。4の手順は、作業の順番が上から並ぶようにするためのものです。そのままだと、表の最後の作業がグラフのいちばん上に来てしまいます。
5の横軸の最小値は、日付をそのまま入力しても受け付けられないことがあります。エクセルの内部では、日付は1900年1月1日からの通し番号で扱われているので、開始日のセルの表示形式を「標準」に変えると数字が表示されます。その数字を最小値に入れます。
グラフの方法は見た目が整う一方で、作業を追加するたびにグラフのデータの範囲を広げ直す必要があり、日々の更新にはあまり向きません。日々の管理はセルを塗る方法で行い、報告や発表のときだけグラフを作る、という使い分けが現実的です。
なお、同じサポートページでは、作ったグラフをテンプレートとして保存する方法や、無料のガントチャートのテンプレートも案内されています。一から作る時間がないときは、テンプレートを土台にして、列を自分の使い方に合わせて直すのも1つの方法です。
日付の計算を関数に任せる
ガントチャートの手直しを減らすいちばんの方法は、人が入力する日付をできるだけ少なくし、計算で出せるものは関数に任せることです。
たとえば、終了日を手で入力する代わりに、開始日と日数から計算させます。F列に日数を入力し、E列に次の式を入れます。
=D3+F3-1
土日を除いた営業日で計算したい場合は、WORKDAY関数を使います。
=WORKDAY(D3, F3-1)
祝日も除きたいときは、祝日の一覧を別のシートに作り、その範囲を3つ目の引数に指定します。
前の作業が終わってから次の作業を始める、という順番が決まっている場合は、次の作業の開始日を、前の作業の終了日から計算させます。
=WORKDAY(E3, 1)
この式を入れておくと、前の作業の終了日が変わったときに、次の作業の開始日も自動でずれます。順番が決まっている作業が続く場合、この設定をしておくかどうかで、予定変更のときの手直しの量が大きく変わります。
進み具合から状態を自動で表示する列を作っておくのも便利です。
=IF(G3>=1, "完了", IF(TODAY()>E3, "遅れ", IF(G3>0, "進行中", "未着手")))
この式を入れておくと、終了日を過ぎても進み具合が100%になっていない作業に「遅れ」と表示され、条件付き書式で赤くすれば遅れている作業がすぐ目に入ります。
予定変更のたびに手直しが増える理由
ここまでの工夫をしても、エクセルのガントチャートは、使い続けるうちに手直しの手間が増えていきます。その理由を整理しておくと、どこまでエクセルで続けるかを判断しやすくなります。
1つ目の理由は、作業どうしのつながりを表で表すのに限界があることです。前の作業の終了日から次の作業の開始日を計算する式は、1対1の順番なら作れます。しかし、「AとBの両方が終わってからCを始める」「Dが遅れたらEとFの両方がずれる」といった複雑なつながりになると、式が複雑になり、どこかで計算が壊れても気づきにくくなります。結局、手で日付を直すことになりがちです。
2つ目の理由は、行の追加や並べ替えで式や書式が崩れることです。途中に作業を1行追加すると、前後の行を参照していた式がずれたり、条件付き書式の適用範囲が分かれたりします。行をコピーして貼り付けるたびに、同じようなルールが増えていき、気づくと数十個のルールが並んでいることもあります。
3つ目の理由は、ファイルが複数できることです。メールで添付して送ると、相手の手元に別のファイルができます。相手が直したファイルと、自分が直したファイルのどちらが新しいのか分からなくなり、2つを見比べて直す作業が生まれます。
4つ目の理由は、会話とガントチャートが別の場所にあることです。予定の変更は、多くの場合、チャットや会議の中で決まります。決まった内容を誰かがガントチャートに反映しない限り、表は古いままです。
5つ目の理由は、作った人しか直せない表になりやすいことです。関数や条件付き書式を工夫するほど、作った本人以外には仕組みが分からなくなります。その人が忙しくなると、更新が止まります。
私がクラウドソーシングの案件を3つ同時に進めていたときも、最初は1つのエクセルで全部の納期を管理していました。ところが、1つの案件で修正の依頼が入って予定が4日ずれたとき、その案件の後ろの作業と、ほかの案件の作業の重なりを全部手で確認し直すことになり、それだけで夜の時間がなくなりました。表の作り方の問題というより、エクセルで管理できる範囲を超えていたのだと、あとから気づきました。
手直しを減らすための工夫
エクセルで続ける場合に、手直しを減らすための工夫を紹介します。
1つ目は、人が入力する列を絞ることです。開始日と日数と進み具合だけを入力し、終了日や状態は関数で出すようにします。入力する項目が少ないほど、更新の手間も、間違いも減ります。
2つ目は、作業の一覧をテーブルにすることです。エクセルの「テーブルとして書式設定」で表をテーブルにしておくと、行を追加したときに、上の行の式が自動で引き継がれます。式のコピー忘れによる計算のずれを防げます。
3つ目は、条件付き書式のルールを最初にまとめて設定し、あとから増やさないことです。行を追加するときは、行の挿入を使い、ほかの行をコピーして貼り付けないようにすると、ルールが分かれにくくなります。
4つ目は、ファイルを1つに決めることです。メールに添付して送るのではなく、OneDriveなどの共有の場所に保存し、全員が同じファイルを開くようにします。Microsoftの公式のサポートでは、ブックを共有すると複数の人が同時に共同作業できる仕組みが案内されています。
5つ目は、更新の日を決めることです。「毎週月曜日の朝に進み具合を更新する」と決め、その日に全員でガントチャートを見ながら確認すると、更新の習慣が定着します。
6つ目は、完了した作業を隠すことです。終わった作業が上に並び続けると、まだ終わっていない作業が下に押しやられて見えにくくなります。フィルタで完了した作業を隠すか、別のシートに移します。
進み具合を見直す週1回の手順
ガントチャートを作ったら、週に1回、決まった手順で見直すと、表と実態のずれが小さいうちに直せます。私が続けている手順は次のとおりです。
まず、今週終わった作業の進み具合を100%にします。次に、今日の列より左にあるのに100%になっていない作業を探します。条件付き書式で遅れている作業を赤くしておけば、ここはひと目で見つかります。
遅れている作業が見つかったら、その理由を備考に1行書き、残りの日数を見積もり直して、日数か開始日を直します。後ろに続く作業の開始日を関数で計算していれば、ここで直した分だけ後ろの作業も自動でずれます。
最後に、来週に始まる作業と終わる作業を確認し、担当者に声をかけます。来週の予定を週の初めに確かめておくだけで、「始めるのを忘れていた」という遅れはほとんどなくなります。
この見直しは、慣れれば10分ほどで終わります。毎週続けることで、ガントチャートがいつも今の状態を表す表になり、急な予定の変更があっても、どこに影響が出るかをすぐに判断できるようになります。
Googleスプレッドシートで作る場合との違い
エクセルの代わりに、Googleスプレッドシートでガントチャートを作る人もいます。作り方の考え方はほとんど同じで、この記事で紹介した条件付き書式の式や、WORKDAY、NETWORKDAYS、TODAYといった関数は、スプレッドシートでもそのまま使えます。
違いが出るのは、共有のしかたです。スプレッドシートは、最初からインターネット上に保存され、共有のリンクを送るだけで相手のブラウザで開けます。相手がエクセルを持っていなくても見てもらえるので、グループの課題や、社外の人との共同作業では手軽です。変更の履歴も自動で残り、誰がいつ何を直したかを後から確認できます。
一方で、エクセルのほうが向いている場面もあります。積み上げ横棒グラフの細かい見た目の調整や、印刷のレイアウトの設定は、エクセルのほうが細かく指定できます。また、大学や会社でエクセルのファイルでの提出が決められている場合は、最初からエクセルで作るほうが二度手間になりません。
どちらを使う場合も、手直しが増える理由は同じです。作業どうしのつながりを自動でたどって日付を動かす仕組みはなく、行の追加や並べ替えで式や書式が崩れやすいという点は変わりません。エクセルかスプレッドシートかで迷うより、入力する列を絞り、日付の計算を関数に任せることのほうが、手直しを減らすうえでずっと効果があります。
印刷やPDFで人に渡すときの設定
ガントチャートを先生や依頼主に見せるときは、印刷やPDFで渡すことがよくあります。そのまま印刷すると、日付の列が途中で切れて2枚目、3枚目に分かれたり、作業名の列が2枚目以降に出てこなかったりして、読みにくい資料になります。渡す前に、次の設定をしておきます。
1つ目は、印刷の向きを横にすることです。ガントチャートは横に長い表なので、「ページレイアウト」タブで印刷の向きを横にします。
2つ目は、1ページに収める範囲を決めることです。「ページレイアウト」タブの「拡大縮小印刷」で、横を1ページに収める設定にします。ただし、日付の列が多すぎると文字が小さくなりすぎるので、渡す相手に必要な期間だけを印刷範囲に設定するほうが読みやすくなります。たとえば、今月と来月の2か月分だけを印刷する、といった絞り方です。
3つ目は、見出しを毎ページに出すことです。「印刷タイトル」で、日付の見出しの行と、作業名の列を指定しておくと、ページが分かれても、どの作業のどの日付かが分かります。
4つ目は、印刷する前にプレビューで確認することです。条件付き書式の色は、画面では見えても、白黒で印刷すると区別がつかないことがあります。相手が白黒で印刷する可能性があるなら、期間の塗りつぶしは濃い灰色、今日の列は斜線、のように、色以外でも区別できる形にしておくと親切です。
PDFで渡すときは、「ファイル」の「エクスポート」からPDFとして保存します。PDFにすると、相手の環境でレイアウトが崩れず、うっかり中身を書き換えられることもありません。
グループの課題や共同作業で使うときのコツ
ゼミの共同研究やサークルの企画のように、何人かで1つのガントチャートを使うときは、1人で使うときとは違う注意が必要です。
まず、担当者の列を必ず作ります。誰がどの作業を担当するかが書かれていないと、横棒が並んでいても、誰が動けばよいかが分かりません。担当者の名前は、データの入力規則でプルダウンから選ぶようにしておくと、「田中」「田中くん」「たなか」のような表記の違いを防げます。
次に、更新する人を決めます。全員が自由に書き換えられる状態だと、誰かが間違えて式を消したり、行を並べ替えたりして、表が壊れることがあります。日付や進み具合を更新するのは各担当者、表の構造を直すのは1人、と役割を分けておくと安心です。
さらに、変更の理由を残します。予定が変わったときに、備考の列に「〇日に先生と相談して締切を延ばした」のように1行書いておくと、あとから経緯を確認できます。グループの課題では、誰がいつ何を決めたかがあいまいになりやすいので、この1行が役に立ちます。
私がゼミの共同研究でガントチャートを作ったときは、最初はメッセージアプリでファイルを送り合っていたため、メンバーそれぞれの手元に違う版のファイルができてしまいました。共有の場所に1つだけ保存し、そのリンクだけを送るようにしてからは、どれが最新かで迷うことはなくなりました。
エクセルのガントチャートでよくある失敗
ここで、エクセルでガントチャートを作るときによくある失敗を整理しておきます。作る前に知っておけば、ほとんどは防げます。
1つ目は、日付を文字として入力してしまう失敗です。「10/5」のつもりで入力した値が、設定によっては文字として扱われ、関数で計算できなくなることがあります。日付の列は、表示形式を日付にしてから入力し、計算がうまくいかないときはセルの中身が本当に日付になっているかを確認します。
2つ目は、セルを手で塗ってしまう失敗です。最初の数行だけ手で塗り、残りを条件付き書式にすると、予定が変わったときに手で塗った部分だけが古いまま残ります。塗りつぶしはすべて条件付き書式に任せます。
3つ目は、作業を大きなまま並べる失敗です。2週間以上の長い横棒が並んでいると、途中で遅れていても気づけません。作る前に決めておく3つのことで書いたとおり、1日から5日程度の大きさに分けておくと、進み具合が週ごとに見えるようになります。
4つ目は、確認や待ち時間を作業に入れない失敗です。先生のチェック、依頼主の確認、ほかの人の作業待ちといった時間を作業として書いておかないと、自分の作業は予定どおりでも、全体の日程が遅れていきます。
5つ目は、ガントチャートを作ったことに満足して見なくなる失敗です。ガントチャートは、毎週見て直すことで初めて役に立ちます。作った日に、次に見直す日も一緒に決めておきます。
ガントチャートで分かること、分からないこと
ガントチャートは便利ですが、万能ではありません。何が分かって何が分からないかを知っておくと、ほかの道具との使い分けができます。
ガントチャートで分かるのは、作業の日程の全体像です。どの作業がいつからいつまでか、どの時期に作業が重なっているか、今日の時点で遅れている作業はどれか、といった時間に関わる情報は、ガントチャートがいちばん分かりやすく表せます。
一方で、ガントチャートでは分かりにくいこともあります。1つは、作業の中身の細かいやり取りです。「この作業はどこまで決まっていて、何を待っているのか」といった情報は、横棒の上には書ききれません。もう1つは、1人あたりの作業の量です。横棒が重なっていても、それが同じ人の作業なのか、別々の人の作業なのかは、担当者の列を見ないと分かりません。
そのため、ガントチャートは、作業の一覧やコメントのやり取りと組み合わせて使うのが基本です。エクセルなら、備考の列に短い説明を書いたり、別のシートに課題の一覧を作ったりして補います。ただ、補う情報が増えるほど、表は大きく複雑になり、更新の手間も増えていきます。
エクセルから専用ツールに移る目安
エクセルで続けるか、ガントチャートの機能を持つ専用のツールに移るかは、次のような状態がいくつ当てはまるかで判断できます。
| 状態 | エクセルで続ける | 専用ツールを検討する |
|---|---|---|
| 作業の数 | 数十行 | 100行を超える |
| 関わる人数 | 1人から数人 | 5人を超える |
| 予定の変更 | 月に数回 | 毎週のように起きる |
| 同時に進める案件 | 1つ | 複数 |
| 会話の場所 | 会議で十分 | チャットで日々決まる |
専用のツールでは、ガントチャートの横棒をドラッグすると日付が変わり、作業ごとのコメントや期限の通知も同じ画面にまとまります。予定の変更のたびに表を1行ずつ直す手間がなくなるのが、いちばんの違いです。
ただし、多くのツールでは、ガントチャートの表示は有料プランの機能です。たとえばTrelloの公式の料金ページでは、タイムラインの表示はPremiumプランの機能として案内されています。Backlogの料金ページでも、ガントチャートはスタンダードプラン以上の機能です。移る先を選ぶときは、ガントチャートがどのプランから使えるかを確かめておくと、移ってから困りません。
エクセルのガントチャートから移るときの候補
エクセルのガントチャートから移るときの候補の1つが、国産のプロジェクト管理ツールのPinatecaです。公式の料金ページによると、フリープランは5人まで、ボード10個までで、期限なく無料で使え、クレジットカードの登録も要りません。ガント、カンバン、カレンダー、リストを含む8種類のボードを無料プランから使えると案内されています。ガントのボードでは、カードの期間が横棒で並び、バーをドラッグすると開始日も締切もその場で変わり、今日の位置には線が表示されます。担当者別やラベル別の絞り込みもでき、カードごとにコメントを残せます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランで、1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
なお、移ったからといって、エクセルを使わなくなるわけではありません。作業時間の集計や費用の計算はエクセルで続け、日程と作業のやり取りだけを専用のツールに移す、という分け方も十分に成り立ちます。
日程を組む力は仕事にも生きる
最後に、ガントチャートを作る力を、仕事の面から見てみます。作業を分け、日程を引き、遅れに気づいて組み直す。この力は、エクセルの操作そのものより、ずっと長く役に立ちます。
フリーランスや在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から見ると、継続して依頼を受ける人ほど、納期の前に進み具合を自分から伝えています。ガントチャートを共有しながら「今週はここまで終わりました」と報告できる人は、依頼する側から見て安心して任せられる相手です。依頼する側と受ける側が直接やり取りする形なら、中間のマージンが乗らない分、同じ予算でより多くの作業を頼め、受ける側の手取りも厚くなります。進め方が見える人ほど、そうした直接の関係を長く続けやすいというのが、運営者として見てきた実感です。
ガントチャートを使って日程を組む場面が多いのは、アプリやシステムの開発です。どんな仕事があるかはアプリケーション開発のお仕事で、職種ごとの報酬の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。生成AIを業務に取り入れる手順を、日程を引いて提案する仕事はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。記事の執筆のように、複数の締切を並行して抱える仕事でも、ガントチャートは役に立ちます。文章の仕事の報酬の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。
エクセルのガントチャートは、作ることより、予定の変更に合わせて直し続けることのほうが難しい道具です。入力する列を絞り、日付の計算を関数に任せ、更新の日を決める。この3つを押さえておけば、エクセルでも十分に役に立つ日程表になります。
よくある質問
Q. エクセルにガントチャートを作る専用の機能はありますか?
エクセルには、ガントチャートの種類のグラフはあらかじめ用意されていません。Microsoftの公式のサポートページでは、積み上げ横棒グラフの開始日の部分を塗りつぶしなしにして、ガントチャートのように見せる方法が紹介されています。日々の管理には、日付を横に並べたセルを条件付き書式で塗る方法のほうが、行の追加や変更がしやすく便利です。
Q. 条件付き書式で横棒がずれて表示されるのはなぜですか?
数式の中のドル記号の位置が原因であることがほとんどです。日付の見出しを参照する部分は行を固定し、開始日と終了日を参照する部分は列を固定する必要があります。たとえば「=AND(H$2>=$D3, H$2<=$E3)」のように書くと、どの行や列にコピーしても正しい位置が塗られます。
Q. 土日や祝日を除いてガントチャートの日程を計算できますか?
WORKDAY関数を使うと、開始日と日数から土日を除いた終了日を計算できます。祝日も除きたい場合は、祝日の一覧を別のシートに作り、その範囲を3つ目の引数に指定します。土日を除いた日数を数えたいときはNETWORKDAYS関数が使えます。
Q. エクセルのガントチャートから専用のツールに移るのはどんなときですか?
作業の数が100行を超える、関わる人数が5人を超える、予定の変更が毎週のように起きる、複数の案件を同時に進めている、といった状態が重なってきたら検討の目安です。移る前に、ガントチャートの表示がどの料金プランから使えるかを、各ツールの公式の料金ページで確認しておくと安心です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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