少額の在宅ワークにもフリーランス新法は及ぶ、判断は金額でしない


この記事のポイント
- ✓フリーランス新法が在宅ワークの取引をどう変えたのかを
- ✓発注側に課された義務の中身から整理しました
- ✓在宅で受注する側が押さえるべき実務ポイントを解説します
フリーランス新法ができたと聞いたけれど、在宅ワークで細かい案件を受けている自分にも関係あるのか分からない。この疑問を持つ人はとても多いです。結論から言うと、関係あります。しかも、報酬額の大小ではなく「業務委託かどうか」で判断される仕組みになっています。
この記事では、フリーランス新法が在宅ワークの取引条件をどう変えたのかを、発注側に課された義務の中身から整理します。データとロジックで押さえたい人向けに、義務の適用範囲が取引期間や発注者の規模でどう変わるかも表にしました。なお、個別のケースが法令上どう扱われるかは取引の実態によって判断が分かれます。実際にトラブルが起きたときは、後半で紹介する相談窓口や弁護士に相談してください。
フリーランス新法の全体像を最初に押さえる
まず名前から整理します。「フリーランス新法」は通称で、正式名称は別にあります。
フリーランス新法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といい、2024年11月1日から施行されます。 出典: mamaworks.jp
「フリーランス・事業者間取引適正化等法」という呼び方もされます。要するに、事業者から個人へ仕事を出すときの取引ルールを定めた法律です。
誰が保護される側になるのか
法律上、保護される側は「特定受託事業者」と呼ばれます。ざっくり言えば、従業員を雇っていない個人事業主や、代表者1人だけの法人です。
在宅ワークをしている人の大半はここに該当します。重要なのは、次の点です。
第一に、専業か副業かは問われません。会社員が週末に在宅で受けている案件も対象になり得ます。
第二に、報酬額の下限がありません。数千円の案件でも、業務委託として発注されていれば対象です。この点は誤解が多いので強調しておきます。「少額だから守られない」ということはありません。
第三に、屋号や開業届の有無も基本的に関係ありません。事業として業務委託を受けている実態があるかどうかで判断されます。
一方、保護されない場合もあります。従業員を雇っている場合、あるいは実態として雇用契約に近い働き方をしている場合です。後者については、労働基準法上の「労働者」に当たる可能性があり、その場合はより手厚い労働法の保護を受けることになります。この判断は勤務の実態を細かく見る必要があるため、自己判断せず専門家に相談してください。
誰が義務を負う側になるのか
義務を負うのは「特定業務委託事業者」です。従業員を使用している事業者、または役員がいる法人が業務委託をする場合が該当します。
つまり、個人事業主同士のやりとりでは義務の範囲が限定されます。一方、法人から在宅ワーカーへの発注は基本的にフルセットの義務が発生します。
ここで面白いのが、義務の重さが「取引期間」でも変わることです。この構造を理解していないと、「うちは短期だから関係ない」という発注者の言い分に反論できません。
義務の適用範囲は取引期間で変わる
義務は大きく7つありますが、すべてが常に適用されるわけではありません。整理すると次のようになります。
| 義務の内容 | 適用条件 |
|---|---|
| 取引条件の書面等での明示 | 業務委託をするすべての場合 |
| 報酬の支払期日の設定と期日内の支払い | 従業員を使用する事業者が発注する場合 |
| 7つの禁止行為をしないこと | 一定期間以上の継続的な業務委託 |
| 募集情報の的確な表示 | 広告等で募集する場合 |
| 育児介護等との両立への配慮 | 一定期間以上の継続的な業務委託 |
| ハラスメント対策の体制整備 | 従業員を使用する事業者が発注する場合 |
| 中途解除等の事前予告と理由開示 | 一定期間以上の継続的な業務委託 |
「一定期間以上」の目安として、継続的な取引かどうかで線が引かれる設計になっています。単発の1回きりの発注と、数か月続く継続案件では、発注者が負う義務の範囲が違うということです。
在宅ワークの世界では、この違いが実務に直結します。単発のライティング案件と、月額固定でEC運営を任される案件では、法律上の位置づけが異なります。継続案件のほうが手厚く守られる設計になっている、と理解してください。
具体的な期間の区切りや、自分の取引がどちらに当たるかの判断は、契約の形態や実際の発注の連続性によって変わります。判断に迷う場合は、公正取引委員会や厚生労働省が公開している資料を確認するか、相談窓口を使ってください。
発注側に義務づけられたことを1つずつ見る
ここからが本題です。在宅ワーカーの側から見て「これは請求できる」「これは断れる」が分かるように整理します。
取引条件を書面または電磁的方法で明示すること
これが最も基本的で、最も広く適用される義務です。口約束だけで仕事を始めるのは、発注者側の義務違反になり得ます。
明示すべき事項として挙げられているのは、おおむね次の内容です。
| 明示項目 | 具体例 |
|---|---|
| 発注者と受注者の名称 | 株式会社〇〇、屋号または氏名 |
| 業務委託をした日 | 2026年8月4日 |
| 業務の内容 | 商品説明文の作成、20点 |
| 報酬の額 | 1点あたり3,000円、合計6万円 |
| 支払期日 | 2026年9月30日 |
| 支払方法 | 銀行振込 |
| 給付を受領する日と場所 | 2026年9月10日、指定のクラウドストレージ |
在宅ワークの実務では、この明示が「発注書」や「業務委託契約書」の形で行われます。電磁的方法でよいので、メールやチャットツールでの明示も認められます。つまり、PDFの契約書を交わさなくても、条件が特定できる形でテキストが残っていればよいということです。
私自身、アパレルのEC運営支援を始めた頃は、この点が本当に曖昧なまま走っていました。「とりあえずInstagram運用をお願いします」というメッセージだけで着手し、後から「商品撮影のディレクションも入ってると思ってた」と言われて揉めたことがあります。業務範囲を最初に書き出さなかったのが原因でした。今は着手前に必ず「今回のお仕事の範囲を確認させてください」と送り、箇条書きで返してもらっています。法律ができたことで、この確認が「面倒な人」ではなく「当然のこと」になったのは大きな変化です。
条件明示の実務的な進め方については、発注書や契約書に入れるべき項目をチェックリスト化したフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストが具体的で使いやすいです。取引の適正化という点で重なる部分が多いので、あわせて確認しておくと理解が立体的になります。
報酬の支払期日を設定し、期日内に支払うこと
支払いの遅延は、在宅ワーカーが最も困る問題の1つです。この点についても期日のルールが定められています。
基本的な考え方は、成果物を受領した日から起算して、一定期間内のできる限り早い日を支払期日として定めること。そして、その期日までに支払うことです。期日を定めなかった場合や、認められる範囲を超えて遠い日を定めた場合の取り扱いも規定されています。
再委託の場合には別の扱いが用意されています。発注者がさらに上流の元委託者から受けた仕事を再委託するケースでは、元委託者からの支払期日を基準に期日を設定できる仕組みです。ただしこの場合、再委託であることや元委託の内容を明示する必要があります。
在宅ワークで注意すべきは、「検収が終わらないと支払期日が来ない」という運用です。検収を無限に引き延ばせば、事実上いつまでも支払わずに済んでしまいます。だから、検収の期間と基準を条件明示の段階で確認しておくことが重要になります。「納品後何営業日以内に検収、それを過ぎた場合は検収完了とみなす」という一文があるかどうかで、実務のリスクが大きく変わります。
支払いが遅れた場合の対応は、まず書面での督促、それでも動かない場合は相談窓口の利用という順序になります。個別の債権回収の手段については、契約内容や金額によって取れる手段が変わるため、弁護士に相談するのが確実です。
7つの禁止行為をしないこと
継続的な業務委託の場合、発注者は次の行為を禁じられています。在宅ワークでよく起きるパターンとあわせて整理します。
| 禁止行為 | 在宅ワークでの典型例 |
|---|---|
| 受領を拒むこと | 納品したのに「もう不要になった」と受け取らない |
| 報酬を減額すること | 発注後に「予算が減った」と一方的に単価を下げる |
| 返品すること | 納品物を受け取った後に理由なく差し戻す |
| 買いたたくこと | 相場から著しく低い報酬を一方的に決める |
| 物や役務の購入・利用を強制すること | 特定の有料ツールの契約を条件にする |
| 不当な経済上の利益を提供させること | 無償での追加作業や協賛金を求める |
| 給付内容の変更ややり直しをさせること | 仕様変更なのに追加報酬なしで作り直させる |
在宅ワークの現場で最も多いのは、最後の「やり直し」です。EC運営の代行をしていると、「やっぱりこの雰囲気じゃない」という理由での作り直し依頼が入ることがあります。これが受注者の責任によるものでなければ、無償でのやり直しは問題となる可能性があります。
ただし、実際にこれらの行為に当たるかどうかは、事情の説明の有無や合意の経緯によって判断が分かれます。「単価を下げた」というだけで直ちに違反と決まるわけではなく、双方が納得して条件を変更したのであれば問題にならない場合もあります。だからこそ、変更のやりとりを文字で残しておくことが実務上の防御になります。
もう1つ、実務で有効なのが「修正回数の上限を最初に決める」ことです。「初回提案から修正2回まで無償、3回目以降は1回につき追加費用」と明示しておけば、やり直しの線引きが明確になります。これは相手を縛るためではなく、双方が着地点を共有するための取り決めです。
募集情報を正確かつ最新のものにすること
在宅ワークの求人を見ていて、実際の条件と違うという経験をした人は多いと思います。この点についても義務が定められました。
フリーランス新法では、発注事業者が業務の募集情報を提供する際に、内容を正確かつ最新のものにし、虚偽や誤解を招く表示をしないことが義務付けられました。
この義務事項は、広告や求人情報を通じてフリーランスを募集する場合に適用されます。たとえば、実際の報酬額や仕事内容と異なる条件を提示する行為は禁止されました。 出典: baitoru.com
さらに、SNS等で募集する場合には、氏名または名称、住所、連絡先、業務の内容、業務に従事する場所、報酬を記載する必要があるとされています。
これは在宅ワーカーにとって実用的な判断基準になります。SNSで流れてくる募集で、発注元の名称も所在も書かれていないものは、この基準を満たしていない可能性が高いということです。応募する前に、募集情報にこれらが書かれているかを確認する。書かれていなければ、応募時に質問する。この一手間で、身元の不明確な相手との取引を避けられます。
募集情報が古いまま放置されているケースにも注意が必要です。「募集終了しているのに掲載が残っている」「報酬額が更新されていない」といった状態も、最新性の観点から問題になり得ます。
育児や介護との両立に配慮すること
これは他の義務と性格が違います。継続的な業務委託において、受注者が育児や介護と両立できるよう、申出があった場合に必要な配慮をするという内容です。
具体的な配慮の例としては、打ち合わせ時間を子どもの就寝後にする、納期を数日ずらす、オンラインでの対応に切り替える、といったものが想定されます。
ここで大事なのは、これが「話し合いを求める権利」に近いものだという点です。受注者が黙っていれば発注者は事情を知りようがありません。申し出て、内容を相談する。この流れが前提になっています。
在宅ワークを選ぶ理由として育児や介護を挙げる人は多く、この規定は実務上の意味が大きいです。ただし、申し出れば必ず希望が通るという性質のものではありません。業務の性質上どうしても対応できない場合もあります。その場合でも、なぜ対応できないかを説明することが求められる建付けになっています。
ハラスメント対策の体制を整備すること
在宅ワークは物理的に離れているため、ハラスメントとは無縁だと思われがちです。実際には、チャットやオンライン会議を通じた言動が問題になるケースがあります。
発注者には、相談に応じる体制の整備、ハラスメント防止の方針の明確化、相談があった際の適切な対応が求められています。
在宅ワーカー側の実務としては、次の2点を意識してください。第一に、やりとりは記録が残る手段で行うこと。電話での指示は、後からメールやチャットで内容を確認する形にします。第二に、不適切な言動があった場合は、その時点でスクリーンショットなどの形で保存すること。時間が経つと消えてしまう可能性があります。
なお、実際にハラスメントの被害を受けた場合の対応は、状況によって適切な手段が変わります。相談窓口を使うか、弁護士に相談するかを含め、1人で抱え込まないでください。
中途解除や更新しない場合に予告と理由開示をすること
継続案件が突然打ち切られると、在宅ワーカーは収入の見通しを一気に失います。この点についても、事前の予告と、求められた場合の理由開示が義務づけられています。
予告の期間には目安が定められており、契約期間の途中で解除する場合や、契約を更新しない場合が対象になります。予告があることで、次の案件を探す時間が確保できます。
在宅ワークの実務では、この規定を知っているかどうかで身の守り方が変わります。「来月から発注を止めます」と当日言われた場合、予告期間の観点から問題となる可能性があります。まずは事情を確認し、記録を残す。そのうえで対応を検討する、という順序です。
ただし、受注者側に契約違反があった場合など、予告なしの解除が認められるケースも規定されています。個別の状況が例外に当たるかどうかは判断が分かれるため、実際に打ち切られた場合は相談窓口で確認するのが確実です。
在宅ワーカー側が実務でやるべきこと
法律ができても、使わなければ意味がありません。日々の実務で何をするかを整理します。
案件開始前のチェック項目
新しい取引を始めるとき、着手前に確認する項目をリスト化しておきます。
- 発注者の名称と所在が分かっているか
- 業務の内容が具体的に書かれているか(曖昧な語だけになっていないか)
- 報酬の額と算定方法が明確か
- 支払期日が書かれているか
- 検収の期間と基準が書かれているか
- 修正対応の範囲と回数が決まっているか
- 契約期間と更新の条件が書かれているか
- 中途解除の条件が書かれているか
- 成果物の権利がどちらに帰属するか書かれているか
- これらがメールやチャットで文字として残っているか
この10項目のうち、書かれていないものがあれば、着手前に質問します。質問の仕方は、責める調子ではなく確認の形にします。「条件を整理させていただきたいのですが」と前置きして、箇条書きで送るのが摩擦の少ないやり方です。
実務でよくあるのが、9番目の権利帰属の抜けです。EC運営の代行をしていると、撮影した商品写真や作成した説明文の権利がどちらのものか曖昧なまま進むことがあります。後からポートフォリオに載せたいときに困るので、最初に「実績としての掲載可否」まで確認しておくと安心です。
やりとりを記録として残す方法
記録の残し方にはコツがあります。
まず、口頭での打ち合わせは必ず要約をテキストで送ります。「本日の打ち合わせ内容を確認させてください」として、決まったことを箇条書きにして送信します。相手が「その通りです」と返せば、それが合意の記録になります。
次に、条件が変わったときは変更の経緯を残します。「当初は20点でしたが、30点に変更ということで承知しました。報酬は9万円で問題ないでしょうか」という形で、変更前後を両方書きます。変更後の数字だけ書くと、後から見て経緯が分かりません。
そして、記録は自分の手元にも保存します。チャットツールは無料プランだと過去のログが見られなくなる場合があります。案件が終わったら、やりとりをテキストやPDFで書き出して保管する習慣を付けてください。
相談できる窓口を知っておく
トラブルが起きたとき、どこに相談すればいいかを知っているだけで動きが違います。
フリーランスと発注者の取引に関する相談を受け付ける専用の窓口が設けられています。弁護士に無料で相談できる仕組みもあり、法律の内容だけでなく、具体的な対応方法まで相談できます。
このほか、公正取引委員会には法令違反の疑いがある行為についての申出窓口があります。厚生労働省の側にも、フリーランスとして働く人向けの情報がまとめられています。テレワークや在宅就業に関するガイドラインも公開されているので、自分の働き方がどの枠組みに当たるかを確認する際に役立ちます。
税務や社会保険まわりで不明な点があれば、国税庁や日本年金機構の情報が基本になります。ただし個別の申告や手続きの判断は事情によって変わるため、税務署や年金事務所、税理士への相談を組み合わせてください。
繰り返しになりますが、条文の解釈や個別ケースの当てはめは専門的な判断を要します。「自分のケースは違反に当たるのか」を知りたい場合は、必ず弁護士や公的な相談窓口に確認してください。この記事は全体像を掴むための整理であって、個別の法的助言ではありません。
取引データから見える在宅ワークの変化
制度ができたことで、実務がどう変わったかを見ていきます。
トラブルの実態については、以前から指摘されていた問題があります。
フリーランスが取引先との関係で、報酬の不払いやハラスメントなど様々な問題やトラブルを経験していることが明らかになっています。 出典: mamaworks.jp
この状況に対して、条件明示と支払期日のルールが入ったことは構造的な変化です。特に大きいのは、「条件を確認すること自体が普通になった」という空気の変化だと感じています。
以前は、条件を細かく確認すると「面倒な人」「信用していないのか」と受け取られる空気がありました。制度ができてからは、発注側も明示しなければならない立場になったので、確認のやりとりが業務プロセスの一部として自然に組み込まれるようになっています。
在宅ワークの職種ごとに変わる注意点
同じ在宅ワークでも、職種によってリスクの形が違います。
制作系(デザイン、ライティング、動画編集)は、やり直しと権利帰属が論点になりやすい領域です。成果物の主観的な評価が入るため、「イメージと違う」を理由にした無償の作り直しが起きやすい構造があります。対策は、修正回数の明示と、方向性の合意を早い段階で取ることです。
運用系(SNS運用、EC運営、広告運用)は、業務範囲の膨張が最大のリスクです。月額固定で受けていると、「ついでにこれも」が積み重なって、当初の想定を大きく超える工数になります。対策は、業務範囲を作業リストの形で明文化し、範囲外の依頼には都度見積もりを出すことです。
技術系(開発、保守、インフラ)は、仕様変更と検収基準が論点になります。開発案件で単価水準を把握しておきたい場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場が参考になります。相場を知っておくと、買いたたきに当たる水準かどうかを自分で判断できるようになります。同じく文章まわりの仕事なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場で編集職の水準を確認できます。
AI関連の在宅案件も増えています。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業のAI導入を支援する形の業務委託が整理されています。この領域は成果の定義が難しいため、条件明示の重要性が特に高い分野です。マーケティングやセキュリティを含む周辺領域はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとまっており、アプリケーション開発のお仕事では開発系の委託形態が確認できます。
契約書の読み書きを鍛える価値
制度ができたからといって、契約書を読まなくてよくなったわけではありません。むしろ、条件が文字で明示されるようになった分、読む力の重要性が上がっています。
文書の基本的な作法を体系的に押さえたいならビジネス文書検定が実用的です。契約書そのものの勉強ではありませんが、条件を明確に書く、曖昧さを排除する、という文書設計の考え方が身につきます。技術系の在宅ワークをしている人なら、CCNA(シスコ技術者認定)のような技術資格が案件選択の幅を広げ、結果として条件の悪い案件を断れる状態を作ります。
知的財産まわりで自分のブランドを守りたい場合は、商標登録の代行費用相場|弁理士に依頼するメリットと自分で行う手間を比較が費用感の把握に使えます。また、確定申告や記帳の実務を代行する側の視点は税理士の副業ガイド|確定申告代行・記帳代行で稼ぐ方法【2026年版】にまとまっていて、自分が依頼する側になったときの相場感の参考にもなります。
現場を長く見てきた立場からの観察
フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場から言えば、制度が変わったときに得をするのは「制度を知っている人」ではなく、「制度を根拠に淡々と確認できる人」です。
知識として7つの義務を暗記していても、実際の商談で「支払期日はいつになりますか」と聞けなければ意味がありません。逆に、条文を細かく覚えていなくても、着手前に条件を箇条書きで確認する習慣がある人は、結果としてトラブルをほとんど経験しません。制度は、その確認を「言い出しやすくする」ための後押しとして機能しています。
もう1つ、運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど単発の作業をこなすことより、「この人に任せると楽だ」という関係づくりに時間を使っています。条件確認もその一部です。最初に範囲と期日をはっきりさせる人は、発注側から見ると管理コストが低い。だから次も頼まれる。条件確認は自己防衛のためだけの行為ではなく、相手の手間を減らす行為でもあります。
構造の話もしておきます。仲介手数料が乗らない直接取引には、双方にとって意味があります。同じ予算を組んだ発注者は、手数料が引かれない分だけ多くの仕事を依頼できます。受け手は、同じ作業量で手取りが厚くなります。手数料0%の意味は「いくら安いか」という金額の話ではなく、「同じ仕事の手取りが厚い」という質の話です。ただし直接取引は、仲介による保護がない分、条件確認の責任が自分に返ってきます。制度が整備されたことは、この直接取引を選びやすくする方向に効いています。
これから在宅ワークを始める人が最初にやること
制度の全体像を掴んだうえで、最初にやるべきことを3つに絞ります。
第一に、条件確認のテンプレートを作ること。着手前に送る確認メールの雛形を1つ用意しておきます。案件ごとに全文を書き直す必要がなくなり、確認漏れも防げます。
第二に、記録の保管場所を決めること。案件ごとにフォルダを作り、やりとりの書き出しと納品物を入れます。トラブルが起きたときに探し回らずに済みます。
第三に、相談窓口の連絡先を控えておくこと。困ってから調べ始めると、動き出しが遅れます。ブックマークしておくだけで十分です。
制度は、使う人のところにだけ効きます。知っているだけでは何も変わりません。着手前の確認を1回入れる。それが、この法律を自分の側に引き寄せる最も確実な方法です。判断に迷う場面が出てきたら、遠慮せず弁護士や公的な相談窓口に相談してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
関連記事

在宅ライターが業務委託契約書で確認するのは記事の権利と修正の範囲

作ったデザインを別の商品にも使われたら|使用範囲の決め方と追加料金 2026

AI画像に手を加えれば著作権は生まれるか|創作的寄与と認められる編集の程度 2026

配信者・Vtuberが事務所と結ぶ契約の注意点|専属条項と収益分配の確認ポイント 2026

ゲーム実況者が案件動画を受ける時の契約確認|報酬・納期・非公開条件 2026

AI生成物が既存作品に似てしまった時の責任|依拠性と類似性の判断ポイント 2026

荷主から運送を受ける個人ドライバーの保護|取適法で対象になった運送委託 2026

クライアントからのハラスメントに悩むフリーランスへ|新法の相談体制と対処の手順 2026
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師
看護師の転職・副業・フリーランス・キャリアガイド

薬剤師
薬剤師の転職・副業・キャリアパスガイド

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方