フリーランスの国民年金|切り替えの届け出と老後に備える方法

@SOHO編集部
@SOHO編集部
フリーランスの国民年金|切り替えの届け出と老後に備える方法

この記事のポイント

  • ✓フリーランスが会社を辞めた後の国民年金の切り替え手続き
  • ✓払えないときの免除と納付猶予
  • ✓付加年金や国民年金基金による上乗せまで

会社を辞めてフリーランスになると、それまで給与から自動で引かれていた年金が、自分で手続きして自分で納めるものに変わります。ここで最初につまずくのが、手続きの期限が短いことと、払えないときに「何もしない」という選択が最も損になることです。

この記事では、国民年金への切り替えの届け出をどこに何日以内に出すのか、令和8年度の保険料はいくらなのか、収入が落ちた月にどの制度を使えるのか、そして厚生年金がなくなった分をどう補うのかを、日本年金機構の記載に沿って順番に整理します。数字はすべて令和8年度の現行の額です。古い年度の金額が世の中に多く残っているので、そこも明示しながら進めます。

会社を辞めたら、退職日の翌日から14日以内に切り替える

日本の公的年金は2階建てです。1階が20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金、2階が会社員と公務員が加入する厚生年金保険です。会社員は1階と2階の両方に入っていて、保険料は給与から引かれ、会社が半分を負担しています。

会社を辞めると2階から抜けます。そして1階には自分で入り直す手続きが必要です。会社が代わりにやってくれることはありません。日本年金機構の案内には、この手続きの期限がはっきり書かれています。

手続き先 住所地の市区役所または町村役場 提出書類 国民年金被保険者関係届書(申出書) 提出期限 退職日の翌日から14日以内 提出者 ご本人または世帯主 出典: 日本年金機構

窓口は年金事務所ではなく、住んでいる市区町村の役所の国民年金の担当窓口です。持っていくものは2通りあり、基礎年金番号で手続きするなら基礎年金番号通知書または年金手帳、マイナンバーで手続きするならマイナンバーカードです。マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーが確認できる書類と、運転免許証などの身元を確認できる書類の2点が必要になります。

加えて注意点が1つあります。退職直後に手続きをする場合、厚生年金の資格を失った日を証明できる書類、つまり離職票などの提出を求められることがあります。会社から離職票が届くのは退職から1週間から2週間後になることが多いので、14日という期限との間で慌てがちです。書類がそろわないときは、まず窓口に相談してください。届け出が遅れると、後から「届出はお済みですか」という案内が届きます。

扶養に入っていた配偶者の手続きも忘れやすいところです。会社員に扶養されていた60歳未満の配偶者は第3号被保険者として保険料の負担がありませんでしたが、扶養する側が会社を辞めると、この資格も同時に失います。配偶者の分も第1号被保険者への切り替えが必要です。世帯で2人分の保険料が発生することになるので、独立の直後の資金計画にはこれを入れておいてください。

電子申請も使えます。マイナポータルから手続きできるので、平日に窓口へ行けない人はこちらのほうが早い。ただし添付書類の求められ方が窓口と違う場合があるため、画面の案内をよく読んでから進めてください。

令和8年度の保険料と、前払いで変わる金額

国民年金の保険料は、収入に関係なく全員が同じ額です。厚生年金のように給与に比例しません。令和8年度の額は次のとおりです。

国民年金保険料の金額は、1カ月あたり17,920円です(令和8年度)。なお、まとめて前払い(前納)すると、割引が適用されるのでおトクです。 出典: 日本年金機構

1か月あたり17,920円、1年で215,040円です。令和7年度は17,510円だったので、410円の引き上げになっています。検索で出てくる記事に17,510円と書かれていることがありますが、それは前年度の数字です。

納付期限は納付対象月の翌月末日です。月末が土日祝や年末年始に当たるときは、翌月最初の金融機関の営業日になります。納付方法は納付書、口座振替、クレジットカード、スマートフォンのアプリ、そしてねんきんネットの画面に表示される納付番号を使った電子納付の5通りです。どの方法でも手数料はかかりません。市区町村の窓口では納付できない点に注意してください。

まとめて前払いすると割引があります。令和8年度の額で整理すると、口座振替の2年前納は1回の納付額が417,150円で、毎月納付と比べた割引が17,370円です。納付書とクレジットカードの2年前納は418,510円で、割引は16,010円です。1年前納は口座振替が210,530円で割引4,510円、納付書とクレジットカードが211,220円で割引3,820円になります。6か月前納は口座振替が106,300円で割引1,220円です。口座振替だけの仕組みとして、当月末に振り替える早割があり、1回あたり17,860円で60円の割引になります。

つまり最も割引が大きいのは口座振替の2年前納で、2年分の保険料に対して17,370円が戻る計算です。まとまった資金を先に出せるかどうかで選ぶことになります。フリーランスの場合、収入の入りが月ごとにばらつくので、資金に余裕のある月に1年分を先に納めておくと、その後の毎月の資金繰りから固定の支出が1つ消えます。納めた保険料は全額が社会保険料控除の対象になるので、前納した年の所得から差し引けます。

厚生年金がなくなると、将来の受取額はこう変わる

会社員とフリーランスで最も大きく違うのは、将来受け取る年金の構成です。会社員は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2本を受け取りますが、フリーランスは老齢基礎年金の1本だけになります。

老齢基礎年金の満額は、20歳から60歳までの40年間、480か月すべての保険料を納めた場合の額です。令和8年4月分からの満額は、昭和31年4月2日以後に生まれた人が年847,300円、それ以前に生まれた人が年844,900円です。40年間納め続けても、1年で受け取れるのはこの額になります。

保険料を納めていない期間があると、その分だけ減ります。計算はおおまかに「満額×納めた月数÷480」です。たとえば会社員として10年、フリーランスとして20年納め、10年が未納だった場合、老齢基礎年金は満額の4分の3になります。ここに会社員だった10年分の老齢厚生年金が上乗せされるので、経歴によって受取額は大きく変わります。自分の実際の見込み額は、ねんきんネットで年金記録を確認するのが確実です。

もう1つ知っておきたいのが、老齢基礎年金を受け取るための最低条件です。保険料を納めた期間と免除を受けた期間などを合わせて10年以上ないと、1円も受け取れません。この10年に、後で説明する納付猶予や学生納付特例の期間も算入されます。だから「払えないから何もしない」が最も損になります。未納は10年の計算に入らないのに、免除や猶予の手続きをしていれば入るからです。

障害や死亡に備える機能も国民年金に含まれています。令和8年度の額で、障害基礎年金は1級が年1,059,125円、2級が年847,300円です。遺族基礎年金は子が1人いる配偶者の場合で年1,091,100円です。ここで重要なのは、これらを受け取るには保険料の納付要件があるという点です。障害の原因になった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日の前々月までの期間で、納付済みと免除の期間が3分の2以上あること、または直近1年間に未納がないことが条件になります。未納が続いていると、事故にあった後から遡って手続きをしても要件には入りません。

払えないときは未納にせず、免除か納付猶予を申請する

独立した直後や、大きな案件が切れた期の後は、保険料の負担が重く感じます。そのときに使う制度が保険料免除と納付猶予です。

免除は本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下の場合に、保険料の納付が免除される制度です。免除される割合は全額、4分の3、半額、4分の1の4段階があります。納付猶予は20歳以上50歳未満の人が対象で、本人と配偶者の前年所得だけで判断します。世帯主の所得を見ないため、親と同居している人はこちらのほうが通りやすい場合があります。

所得の基準は次のとおりです。

全額免除 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 4分の3免除 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 半額免除 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 4分の1免除 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 納付猶予制度 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 出典: 日本年金機構

扶養親族がいない単身者なら、全額免除の基準は67万円になります。ここでいう所得は売上ではなく、売上から必要経費を引いた事業所得です。売上が300万円あっても経費が240万円なら所得は60万円なので、基準を下回ります。フリーランスは経費の計上で所得が大きく動くため、売上の印象だけで「自分は対象外だ」と決めないことが大事です。

一部免除を受けた場合は、減額された保険料を納める必要があります。令和8年度の額で、4分の3免除なら4,480円、半額免除なら8,960円、4分の1免除なら13,440円です。この減額分を納めないと、その期間は未納として扱われます。ここは取り違えやすいところです。

年金額への反映の仕方も、免除と猶予で違います。全額免除の期間は、保険料を全額納めた場合の2分の1が年金額に反映されます。税金で半分を負担しているためです。一方、納付猶予の期間は受給資格期間の10年には入りますが、年金額には反映されません。つまり猶予は「将来の年金を増やす制度」ではなく「受給資格と障害・遺族の保障を切らさない制度」です。この違いを理解しておくと、後で追納するかどうかの判断がしやすくなります。

申請できる期間は、納付期限から2年を経過していない期間です。申請時点から2年1か月前までなら遡れます。申請先は住所地の市区町村の国民年金の窓口か、最寄りの年金事務所で、郵送でも電子申請でも受け付けます。全額免除または納付猶予が承認された人は、翌年度以降も同じ申請を希望する場合、継続して審査してもらえる仕組みがあります。毎年窓口へ行く必要はありません。

廃業や失業のときは、前年の所得を見ない特例がある

免除の審査は前年の所得を見ます。ここに落とし穴があります。前年に会社員として普通に働いていた人が、独立直後に収入が途切れた場合、前年所得が高いので通常の免除には通りません。この矛盾を埋めるのが失業等による特例免除です。

失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、失業等した方の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります。 出典: 日本年金機構

必要な書類は、雇用保険の被保険者だった人なら、勤務先から交付される雇用保険被保険者離職票の写し、またはハローワークから交付される雇用保険受給資格者証や雇用保険受給資格通知の写しです。事業を廃止または休止した届け出をしている人は、税務署への個人事業の開廃業等届出書の写しや事業廃止届出書の写し、保健所への廃止届出書の控えなどが使えます。法人だった場合は履歴事項全部証明書や閉鎖事項全部証明書も書類になります。

同じ失業の理由で以前に申請して書類を出したことがあるなら、あらためて添付する必要はありません。会社員から独立した人は、離職票を年金の手続きにも使うと覚えておいてください。離職票は雇用保険の手続きだけのものではありません。

このほか、所得に関係なく承認される場合もあります。震災や風水害などで被災した人、特別障害給付金を受けている人、生活保護法による生活扶助以外の扶助などを受けている人です。また障害基礎年金を受けている人や生活扶助を受けている人は、申請免除ではなく法定免除の扱いになり、別の届け出が必要です。

なお、任意加入をしている人は免除や納付猶予を申請できません。ここは制度の作りの違いによる制約です。

出産と育児の期間は、所得に関係なく免除される

保険料の免除には、所得を見ないものが2つあります。出産に関わるものと、育児に関わるものです。

出産に関わるのが産前産後期間の免除です。出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間の保険料が免除されます。双子などの多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間です。ここが重要なのですが、この期間は「保険料を納めたもの」として老齢基礎年金の受取額に反映されます。免除だけれど減らない、という扱いです。届け出は出産予定日の6か月前から可能で、出産後でも受け付けます。窓口は住民登録をしている市区町村の国民年金の担当です。出産前に届け出るなら母子健康手帳などで出産予定日を確認できる書類、出産後なら出産日と親子関係を確認できる書類が必要です。この期間も付加保険料は納められます。

育児に関わるのが、令和8年10月から始まる育児免除です。

育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置として、子を養育する 国民年金第1号被保険者 (20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、学生、無職の方)について、その子が1歳になるまでの期間に係る国民年金保険料の納付が免除される制度が令和8年(2026年)10月から新たに始まります。 出典: 日本年金機構

対象は令和8年10月1日以降、1歳になるまでの子を育てている第1号被保険者の実父母と養父母です。条件は子と親子関係が続いていることと、子と同じ住所であることの2つで、所得の要件はありません。免除された期間は保険料を納めたものとして年金額に反映されます。免除される長さは立場によって違い、産前産後の免除を受けた実母は産前産後期間に続く9か月間、実父や養父母は子を育てることになった日の属する月から1歳の誕生日の前月までの最大12か月間です。

夫婦がどちらも第1号被保険者なら、2人とも対象になります。これは会社員の育児休業期間の保険料免除に相当する仕組みが、自営業の側にもできたということです。すでに納めている期間や、法定免除や申請免除、学生納付特例が承認されている期間も、届け出によって育児免除の期間として扱われ、納めた保険料は充当または還付されます。届け出は令和8年10月1日以降に行います。

免除を受けた期間は、後から追納して埋められる

免除や猶予を受けた期間の保険料は、後から納めることができます。これが追納制度です。

追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等の期間です。ここに加算の仕組みがあります。免除や猶予の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に納める場合、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。つまり早く追納したほうが安い。令和8年度に追納する場合の1か月あたりの額は、全額免除と納付猶予と学生納付特例の期間について、平成28年度分が16,850円、平成29年度分が17,070円、令和5年度分が16,770円といった具合に、年度ごとに決まっています。

追納でどれだけ将来の年金が変わるかも公表されています。1年分を追納すると、全額免除の期間なら老後の年金が1年で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら1年で約2万円になります。差が2倍あるのは、全額免除の期間はすでに半分が年金額に反映されているからです。納付猶予の期間はまったく反映されていないため、追納の効果が大きく出ます。

追納した保険料は全額が社会保険料控除の対象です。所得が大きく出た年に過去の猶予期間を追納すると、その年の所得税と住民税が下がり、同時に将来の年金が増えます。フリーランスは年による所得の振れが大きいので、所得が伸びた年をまとめて追納する年に充てるという使い方ができます。一部免除を受けた期間は、納めるべき一部の保険料を納めていないと追納できない点に注意してください。

上乗せの1つ目。付加年金は月額400円で仕組みが単純

厚生年金がなくなった分を補う手段は複数ありますが、最も手続きが簡単で金額が小さいものが付加年金です。

第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者は、通常の保険料に月額400円を上乗せして納めることができます。上乗せした分は、老齢基礎年金に加算されて戻ってきます。加算の計算式は単純で、200円に付加保険料を納めた月数を掛けた額が、年額として毎年上乗せされます。

200円×480月(40年)=96,000円(年額)が付加年金額として老齢基礎年金に上乗せされます。 847,300円(※)+96,000円=943,300円(年額) 出典: 日本年金機構

40年間払い続けると、納めた付加保険料の合計は400円×480か月で192,000円です。受け取る側は年96,000円が終身で加算されるので、2年受け取れば納めた額に並びます。日本年金機構も「2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上の年金を受け取れます」と明記しています。

注意点は3つあります。1つ目は、保険料の免除を受けている期間は付加保険料を納められないことです。法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、学生納付特例のいずれも対象外です。ただし産前産後免除の期間は納められます。2つ目は、国民年金基金の加入員は付加保険料を納められないことです。国民年金基金の1口目に付加年金相当分が含まれているためです。3つ目は、申し出をした月の分から始まることで、遡って納めることはできません。手続きは国民年金被保険者関係届書を市区町村または年金事務所に出すだけです。

金額の規模は小さいものの、費用対効果という点では最も分かりやすい制度です。独立して国民年金に切り替えるときに、同じ窓口で一緒に申し出ておくと手間が1回で済みます。

上乗せの2つ目。国民年金基金と個人型確定拠出年金

もう少し大きく備えるなら、国民年金基金と個人型確定拠出年金があります。どちらも第1号被保険者が任意で加入する仕組みです。

国民年金基金は、掛金を払って将来の年金を上乗せする制度です。掛金の月額は、選んだ給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別で決まります。

掛金の上限は、月額6万8,000円です。給付の型及び加入口数は、掛金月額6万8,000円以内で選択できます。 (ただし、個人型確定拠出年金にも加入している場合は、その掛金と合わせて6万8,000円以内となります。) 出典: 国民年金基金連合会

上限が個人型確定拠出年金と合算であることが、この2つを比べるときの前提になります。両方に満額を入れることはできません。国民年金基金の1口目は終身年金で、途中でやめられない設計です。掛金は口座振替で納め、4月から翌年3月までの1年分を前納すると0.1か月分の掛金が割引されます。口数の単位で掛金を変更できますが、1口目を減らすことはできません。掛金は社会保険料控除の対象です。

個人型確定拠出年金は、自分で掛金を出し、自分で運用商品を選び、その結果によって受け取る額が変わる仕組みです。定期預金、保険、投資信託から選びます。国民年金基金が「受け取る額が決まっている代わりに運用の判断がない」制度だとすれば、こちらは「運用の判断が必要な代わりに結果が上下する」制度です。原則として60歳になるまで引き出せません。掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象になります。

どちらを選ぶかは、運用の判断を自分でしたいかどうか、そして途中でやめる可能性があるかどうかで分かれます。国民年金基金は終身で受け取れるかわりに柔軟性が低く、個人型確定拠出年金は柔軟性が高いかわりに結果が確定していません。どちらも個別の事情で有利不利が変わるため、金額を決める前に窓口や運営管理機関に自分の条件を伝えて確認してください。

退職金を自分で作る小規模企業共済

年金とは別に、退職金にあたるお金を自分で積み立てる仕組みもあります。中小機構が運営する小規模企業共済です。

掛金の月額は1,000円から70,000円までの範囲で、500円単位で自由に設定できます。加入後の増額と減額も可能です。納付方法は口座振替で、毎月納める月払い、年1回12か月分を納める年払い、年2回6か月分を納める半年払いから選べます。口座振替日は毎月18日です。

税制上の扱いは、掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除として課税対象の所得から差し引けます。1年以内の前納掛金も同じ扱いです。ただし掛金は本人の収入から納めるものなので、事業の必要経費には算入できません。ここは間違えやすい点です。

受け取り方は一括、分割、一括と分割の併用から選べます。一括で受け取る場合は退職所得として扱われ、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得として扱われます。満期や満額はなく、退職や廃業のときに受け取る形です。低金利の貸付制度も付いています。

フリーランスにとってこの制度が意味を持つのは、会社員なら会社が用意していた退職金の機能が、独立すると完全になくなるからです。国民年金と付加年金で1階を固め、国民年金基金または個人型確定拠出年金で2階に相当する部分を作り、小規模企業共済で退職金の機能を持つ。この3層で考えると、どこが空いているかが見えやすくなります。掛金の上限が制度ごとに別枠なのか合算なのかは、加入前に必ず確認してください。

60歳を過ぎてからでも埋められる。任意加入という選択

国民年金に入るのは20歳から60歳までの40年間です。しかし、この40年で480か月すべてを納めきれない人は珍しくありません。会社員として働き始めるまでの学生期間、独立直後の免除期間、海外に住んでいた期間などで、月数が欠けます。

この欠けを埋める手段が任意加入です。日本年金機構は、60歳以上で老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人、または受給資格期間は満たしているが保険料を納めた期間が短く満額の老齢基礎年金を受けられない人は、65歳になるまで国民年金に任意加入できると案内しています。60歳から65歳までの5年間、最大60か月を追加で納められるということです。

任意加入には条件と制約があります。まず、任意加入をしている人は免除や納付猶予を申請できません。任意で入る制度なので、負担を軽くする仕組みは併用できないという作りです。一方で、65歳未満の任意加入被保険者は付加保険料を納められます。満額に近づけながら付加年金も積む、という組み方はできます。

注意したいのは、任意加入は自動では始まらないという点です。60歳になったときに年金機構から「あなたは満額に足りません」と教えてくれる仕組みではありません。自分でねんきんネットや年金事務所で納付月数を確認し、足りない月数を把握して、自分から申し出る必要があります。フリーランスとして長く働く人ほど、免除や猶予を使った期間が積み上がりやすいので、50代のうちに一度、自分の納付月数を数えておく価値があります。追納できるのは10年以内の免除期間だけなので、それより古い欠けは任意加入でしか埋められません。

収入の波が大きい働き方で、年金の手続きを崩さないための考え方

ここまで制度を並べてきましたが、実務でいちばん大事なのは金額の最適化ではありません。手続きを切らさないことです。

運営者として長く在宅ワークの市場を見てきた限りでは、年金でつまずく人の理由は「余裕がなかったから」よりも「手続きを知らなかったから」に寄っています。未納が続いている人に事情を聞くと、免除の制度自体を知らなかった、あるいは前年の所得が高いから自分は対象外だと思い込んでいた、というケースが目立ちます。前年所得を見ない失業等の特例があることを知らないまま、独立1年目を未納で通してしまうと、その期間は受給資格期間の10年にも入らず、障害基礎年金の納付要件にも入りません。金額の損より、保障が切れることの損が大きい。

もう1つ、実務の順序として効くのは、収入の波を年単位でとらえることです。月ごとの入金で判断すると、細い月に慌てて納付を止めることになります。年間の売上と経費の見込みを先に立てて、保険料は前納で先に済ませ、所得が伸びた年に過去の猶予期間を追納する。この順序にすると、判断の回数が減って手続きが崩れにくくなります。私も独立した年に、届いた納付書を「翌月まとめて」と後回しにして、2か月分の納付を忘れたことがあります。それ以降は口座振替に切り替えて、判断そのものを手放しました。仕組みで止めるほうが確実です。

そして根本の話をすると、国民年金の手取りへの影響を小さくする一番の手は、同じ時間から得られる報酬を厚くすることです。在宅で受ける仕事の単価は職種によって大きく違います。文章を書く仕事の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、開発の仕事の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で職種データとして確認できます。仕事の内容を先に知りたい場合は、アプリケーション開発のお仕事やAIコンサル・業務活用支援のお仕事、情報の扱いを軸に広げるならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に分野別の説明があります。

20年この市場を見てきて確かなのは、中間に何社も入る形で仕事を受けるか、依頼者と直接やり取りする形で受けるかで、同じ作業でも手元に残る厚みがはっきり変わるということです。取り分が乗らない直接取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側は手数料0%のぶんだけ手取りが厚くなります。国民年金の保険料は1年で215,040円です。手数料として差し引かれる割合が下がるだけで、この固定の支出を吸収できる場面は珍しくありません。

取引の条件そのものを整えることも、長い目で見れば年金と同じくらい効きます。報酬の支払いが遅れたときの対処は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】に流れが整理されていますし、発注書と契約書で最初に確かめる項目はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストにまとまっています。収入が予定通り入ることと、年金の納付を切らさないことは、実務では地続きの話です。

最後にもう一度、優先順位を確かめておきます。第一に、退職日の翌日から14日以内に市区町村で切り替えの届け出をすること。第二に、納められないときは未納にせず、免除か納付猶予、または失業等の特例を申請すること。第三に、余裕が出た年に追納と付加年金で厚みを作ること。この3つの順序を守るだけで、将来の受取額と万一のときの保障は大きく変わります。自分の納付記録と見込み額はねんきんネットで確認でき、条件の判断に迷うときは年金事務所か市区町村の国民年金の窓口が答えてくれます。単価を伸ばす方向の検討は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような職種データから現在の位置を確かめるところから始めてください。

よくある質問

Q. 会社を辞めたあと、国民年金の切り替えはいつまでに届け出ますか?

退職日の翌日から14日以内です。窓口は年金事務所ではなく、住んでいる市区町村の国民年金の担当です。提出するのは国民年金被保険者関係届書で、基礎年金番号通知書かマイナンバーカードを持参します。扶養に入っていた60歳未満の配偶者も同時に切り替えが必要です。

Q. 令和8年度の国民年金保険料はいくらですか?

1か月あたり17,920円です。1年で215,040円になります。令和7年度の17,510円から410円上がっているため、古い記事の数字と食い違います。口座振替の2年前納なら417,150円で、毎月納付と比べて17,370円の割引があります。納めた保険料は全額が社会保険料控除の対象です。

Q. 保険料を払えないとき、放置するとどうなりますか?

未納の期間は受給資格期間の10年にも年金額にも算入されず、障害基礎年金や遺族基礎年金の納付要件からも外れます。免除や納付猶予を申請していれば受給資格期間には算入されるため、まず市区町村か年金事務所に申請してください。廃業や失業のときは前年所得を見ない特例があります。

Q. 付加年金は入ったほうがよいのですか?

上乗せする額は月額400円で、受け取る側は200円に納めた月数を掛けた額が毎年加算されます。日本年金機構は2年以上受け取れば納めた額を上回ると明記しています。ただし免除を受けている期間と国民年金基金の加入員は納められません。申し出た月の分から始まり、遡って納めることはできません。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月7日最終更新:2026年9月27日
@SOHO編集部

この記事を書いた人

@SOHO編集部

フリーランス・在宅ワークの専門メディア

@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方