兼業の行政書士として開業するには|会社勤めと両立する手順と注意点

@SOHO編集部
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兼業の行政書士として開業するには|会社勤めと両立する手順と注意点

この記事のポイント

  • ✓兼業行政書士として会社勤めと両立しながら開業する手順を
  • ✓行政書士法の登録と事務所の決まり
  • ✓時間の使い方まで一次資料をもとに解説します

行政書士の試験に合格したものの、すぐに会社を辞めて独立するのは不安なので、まずは会社に勤めながら兼業の行政書士として始めたい、と考える人は少なくありません。行政書士は、本業を持ちながら登録して仕事を受けることも制度上は可能です。ただし、登録には事務所の用意や行政書士会への入会と費用が必要で、平日の昼間に役所の窓口が開いている仕事の性質上、会社勤めとの両立には工夫が要ります。

この記事では、兼業の行政書士として開業するまでの手順を、行政書士法の決まりと行政書士会の案内に沿って説明します。登録と事務所の要件、かかる費用、本業の会社の就業規則の確かめ方、兼業でも受けやすい業務と受けにくい業務、時間の使い方、税金の手続きまで扱います。

兼業の行政書士という働き方

兼業の行政書士とは、会社員や別の自営の仕事を続けながら、行政書士として登録して業務を行う人のことです。行政書士の仕事は、役所に出す書類や、権利や義務、事実を証明する書類を、依頼を受けて作ることです。行政書士法の第1条の3は、業務を次のように定めています。

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。 出典: e-Gov法令検索(行政書士法)

言い換えると、許認可の申請書のような役所に出す書類と、契約書や遺産分割協議書のような権利や義務に関わる書類、事実を証明する書類を、依頼を受けて作ることが行政書士の仕事です。役所への申請の多くが電子の手続きに移っていることもあり、条文でも電子の記録の作成が明記されています。

兼業で始める人が増えている理由

兼業で始める理由として多いのは、次のようなものです。

・独立の前に、実務の経験と依頼の流れをつかみたい
・本業の収入があるうちに、得意な分野を見つけたい
・本業の経験と組み合わせて、専門の分野を作りたい
・定年のない資格として、将来の働き方の選択肢を持っておきたい

行政書士の試験の対策講座を開いている資格の学校も、副業として取り組むことについて、次のように説明しています。

副業として取り組んでおくことで、本業の収入を得ながら実務の経験を積み、人脈を築いたうえで開業できます。 出典: tac-school.co.jp

一方で、兼業ならではの難しさもあります。役所の窓口は平日の昼間に開いていることが多く、依頼する人からの連絡も平日の日中に来がちです。会社の勤務時間と重なる時間に、どう対応するかを考えておく必要があります。

行政書士になるための登録の決まり

行政書士の試験に合格しただけでは、行政書士として仕事はできません。登録が必要です。

行政書士名簿への登録

行政書士法の第6条は、行政書士となる資格を持つ人が行政書士となるには、日本行政書士会連合会に備える行政書士名簿に、住所、氏名、事務所の名称と所在地などの登録を受けなければならないと定めています。日本行政書士会連合会の案内では、登録を受けるには、事務所を設けようとする都道府県の行政書士会を通じて必要な書類を出し、その行政書士会に入会すると説明されています。

行政書士法の第16条の5では、登録を受けたときに、事務所の所在地の都道府県の行政書士会の会員になると定めています。つまり、行政書士として仕事をする人は、必ずどこかの行政書士会の会員になります。

行政書士でない人ができないこと

行政書士法の第19条は、行政書士や行政書士法人でない人は、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第1条の3の業務を行えないと定めています。試験に合格していても、登録をする前に報酬を得て書類の作成を受けることはできません。「登録の手続き中だから」「お礼として受け取るだけだから」という理由でも、受けないようにします。

事務所を設ける決まり

行政書士法の第8条は、行政書士は業務を行うための事務所を設けなければならず、事務所を2つ以上設けてはならないと定めています。兼業の場合、多くの人は自宅の一部を事務所にします。

事務所の要件は、都道府県の行政書士会の規程で細かく決められています。たとえば東京都行政書士会の登録の案内では、事務所の内部の配置図に示す設備として、事務用の机と椅子、来客用のテーブルと椅子、電話(携帯電話でも可)、パソコン、照明、書類を保管する庫(簡単に動かせず施錠できるもの)、独立した施錠できる郵便受けなどが挙げられています。事務所の使用権を証する書類、配置図、フロア図、事務所の写真も、登録の申請の書類に含まれています。

自宅を事務所にする場合は、生活の空間と事務所の空間をどう分けるか、賃貸の住宅なら事務所として使う承諾を得られるかを、登録の前に確かめておく必要があります。

秘密を守る義務

行政書士法の第12条は、行政書士は正当な理由がなく、業務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならず、行政書士でなくなった後も同様だと定めています。兼業の場合、本業の会社の同僚や取引先に、行政書士としての依頼の内容が伝わらないよう、書類の保管や連絡の手段を本業と分けておくことが大切です。

登録にかかる費用と毎月の会費

兼業の行政書士として始めるうえで、最初に確かめておきたいのが費用です。行政書士会によって金額が違うので、事務所を設ける都道府県の行政書士会の案内を必ず確かめます。

東京都行政書士会の登録・入会の案内では、申請のときに次のものが必要とされています。

項目 東京都行政書士会の案内の記載
登録免許税 収入印紙30,000円
登録手数料と入会金 行政書士会の口座へ振り込み(金額は行政書士会の案内で確かめる)
会費 東京都行政書士会の会費3か月分18,000円(政治連盟に加入する場合はその会費3か月分3,000円を加えて21,000円)

会費は3か月分で18,000円なので、東京都行政書士会の場合、1か月あたり6,000円の会費が、仕事の有無にかかわらず続けてかかることになります。兼業で始めて、最初のうちは依頼が少ない時期が続くと、会費だけが出ていく状態になります。登録の前に、会費を払い続けられるかを考えておく必要があります。

このほかに、事務所の設備をそろえる費用、職印(業務で使う印鑑)を作る費用、名刺やホームページの費用などもかかります。すでに持っているパソコンや机を使えば、設備の費用は抑えられます。

本業の会社の就業規則を確かめる

会社員が兼業の行政書士として登録する前に、必ず確かめておきたいのが、本業の会社の就業規則です。

モデル就業規則の考え方

厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版)の第70条は、労働者は勤務時間外に他の会社等の業務に従事できるとしたうえで、会社は届出に基づき、次の場合には禁止や制限ができると定めています。

・労務の提供に支障がある場合
・企業の秘密が漏れる場合
・会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
・競業により、企業の利益を害する場合

実際の扱いは、それぞれの会社の就業規則で決まります。副業を届出制にしている会社、許可制にしている会社、原則として禁止している会社など、会社によってさまざまです。厚生労働省の副業・兼業のページでは、ガイドラインやモデル就業規則が案内されています。

兼業の行政書士で特に確かめたい点

行政書士の業務は、本業の内容によっては、会社の業務と重なることがあります。たとえば、建設会社に勤めながら建設業の許可の申請を受ける、不動産会社に勤めながら同じ地域の不動産に関わる書類を受ける、といった場合は、競業や秘密の扱いの面で問題になることがあります。就業規則とあわせて、副業の届出の担当の部署に、行政書士としてどのような業務を受ける予定かを具体的に伝えて確かめておきます。

公務員の場合

公務員は、法律で兼業が制限されており、会社員とは扱いが大きく違います。東京都行政書士会には、公務員の経験のある人が登録を希望する場合の「公務員事前確認」の案内もあります。公務員の在職中の兼業や、退職後の登録を考えている場合は、所属の組織の規則と、行政書士会の案内を確かめます。

行政書士の主な業務の分野

兼業でどの業務を受けるかを考える前に、行政書士の業務の分野を整理しておきます。行政書士法の第1条の3の業務は、大きく3つに分けられます。

分野 書類の例
官公署に提出する書類 営業や事業の許可の申請書、届出書、各種の証明の申請書
権利や義務に関する書類 契約書、遺産分割協議書、内容証明の文書、示談書
事実を証明する書類 会議の議事録、各種の調査の報告書、図面類

同じ行政書士でも、得意とする分野は人によって大きく違います。許認可の申請を専門にする人、相続や遺言の書類を中心にする人、契約書の作成を中心にする人など、分野を絞って経験を積む人がほとんどです。

分野の選び方

兼業で分野を選ぶときは、次の3つの観点で考えます。

・本業の経験や知識と重なるか
・役所の窓口に出向く回数が少なく、平日の夜や週末に作業を進められるか
・依頼する人と、どのような経路で出会えるか

たとえば、本業で人事や総務の仕事をしている人なら、会社の規程や契約に関する書類の知識を活かせます。不動産や建設の業界の経験がある人なら、その業界の許認可の知識が強みになりますが、本業の会社との利益の重なりには注意が必要です。

兼業でも受けやすい業務と受けにくい業務

行政書士の業務の幅は広く、兼業との相性は業務によって大きく違います。

兼業でも受けやすい業務

業務の例 受けやすい理由
契約書や内容証明の文案の作成 書面のやり取りで進められ、役所へ出向く必要が少ない
遺言書の文案や相続の書類の作成 打ち合わせを週末や夜に設定しやすい
電子申請で完結する許認可の申請 役所の窓口に行かずに手続きを進められる
本業の知識と重なる分野の書類 経験を活かせ、学ぶ時間が短くて済む

役所への申請の多くが電子の手続きに移っていることは、兼業の行政書士にとって追い風です。窓口に出向く回数が減れば、平日の昼間の時間が限られていても、受けられる業務が広がります。

兼業では受けにくい業務

業務の例 受けにくい理由
窓口での相談や審査が必要な許認可 平日の昼間に役所へ何度も出向く必要がある
窓口への提出が中心の手続き 提出や受け取りのたびに、平日の昼間に出向く必要がある
期限が短く、急ぎの対応が多い業務 本業の勤務時間中に連絡を受けられない
現地の調査が必要な業務 平日の昼間に現地へ行く必要がある

最初は受けやすい業務から始め、経験と時間の余裕に応じて広げていくのが現実的です。

他の資格者の業務との線引き

行政書士法の第1条の3の第2項は、書類の作成であっても、他の法律で業務が制限されているものは行えないと定めています。たとえば、登記の申請は司法書士、税務署への申告は税理士、裁判の代理は弁護士の業務です。依頼の内容が他の資格者の業務にあたる場合は、その資格者を紹介できるよう、つながりを作っておくと、依頼する人の役に立てます。

会社勤めと両立する時間の使い方

兼業の行政書士にとって、いちばんの課題は時間です。

連絡の受け方を決めておく

依頼する人からの連絡は、平日の日中に来ることが多いです。勤務時間中は電話に出られないことを前提に、次のような仕組みを用意しておきます。

・ホームページや名刺に、メールや問い合わせのフォームでの連絡を案内する
・電話に出られない時間は、留守番電話で折り返しの時間を伝える
・返信の目安の時間(たとえば当日の夜までに返信)を決め、守る

返信の早さは、行政書士への信頼に直結します。すぐに対応できない時間があることを最初に伝え、その代わりに決めた時間までに必ず返信する、という形にすると、依頼する人も安心できます。

打ち合わせの時間

打ち合わせは、平日の夜や週末に設定できると、兼業でも対応しやすくなります。オンラインの打ち合わせを使えば、移動の時間も省けます。依頼する人が個人の場合は、夜や週末のほうが都合がよいことも多く、兼業であることが利点になる場面もあります。

役所へ出向く必要があるとき

窓口へ出向く必要がある業務を受けた場合は、本業の有給休暇や時間の休暇を使うことになります。急な補正(申請の書類の手直しの指示)に対応できるよう、申請の時期を本業の忙しい時期と重ならないように調整します。

本業の休暇の使い方

役所の窓口に出向く必要がある業務や、依頼する人との対面の打ち合わせが必要な業務は、本業の休暇を使って対応することになります。年に使える休暇の日数には限りがあるので、行政書士の業務に使える日数を年の初めに見積もっておくと、受けられる依頼の数の目安になります。休暇を取りやすい時期と取りにくい時期が本業にある場合は、取りにくい時期に窓口への出向が必要な依頼を受けないようにします。

1か月の時間の配分の例

兼業で無理なく続けるには、行政書士の業務に使える時間を先に決めておくことが大切です。たとえば、平日の夜に1日1時間、週末に半日、のように決め、その時間の中で受けられる量の依頼だけを受けます。依頼が増えてきたら、受ける業務を絞るか、本業の働き方を見直す時期だと考えます。

開業までの手順

兼業の行政書士として開業するまでの流れを、順に整理します。

ステップ1:試験に合格する

行政書士の試験は、行政書士試験研究センターが実施しています。センターの案内では、令和8年度の試験は令和8年11月8日(日)の午後1時から午後4時まで行われ、受験の資格は、年齢、学歴、国籍等に関係なく、誰でも受験できるとされています。受験手数料は10,400円で、合格発表は令和9年1月27日(水)と案内されています。

ステップ2:本業の会社の規則を確かめる

前の節で説明したとおり、就業規則と副業の届出の手続きを確かめ、必要な届出や許可を得ます。

ステップ3:事務所を決める

自宅を事務所にするか、別に部屋を借りるかを決めます。行政書士会の事務所の規程を読み、必要な設備と書類をそろえます。

ステップ4:行政書士会に登録を申請する

事務所を設ける都道府県の行政書士会に、登録の申請の書類を出します。東京都行政書士会の場合、登録の申請は事前の予約制とされ、予約のうえ、登録手数料と入会金を振り込み、書類を持参する流れが案内されています。登録の手続きには時間がかかるので、仕事を受け始めたい時期から逆算して申請します。

ステップ5:税務署に開業の届出をする

行政書士の業務は事業として行うことになります。所得税法の第229条は、新たに事業を始めた場合、その事実があった日の属する年分の所得税の確定申告の期限までに、税務署長に届出書を出すと定めています。青色申告をする場合は、別に承認の申請の期限があるので、国税庁の案内で確かめます。

ステップ6:業務の準備を整える

職印、名刺、ホームページ、報酬の額の表を用意します。行政書士法の第10条の2では、行政書士は報酬の額を掲示しなければならないとされており、東京都行政書士会の事務所の設備の一覧にも、報酬額表が含まれています。

報酬の決め方と依頼の入り口

報酬の額を決めて掲示する

行政書士法の第10条の2は、行政書士は事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならないと定めています。同じ条文の第2項では、行政書士会と日本行政書士会連合会が、報酬の額の統計を作って公表するよう努めると定められています。報酬の額を決めるときは、こうした統計や、同じ地域で同じ分野を扱う行政書士の掲示している額を参考にしながら、自分の作業の時間に見合う額を決めます。

兼業の場合、作業に使える時間が限られるので、1件あたりの作業の時間を記録しておくことが特に大切です。時間のかかる割に報酬の低い業務ばかりを受けていると、本業との両立が難しくなります。

依頼の入り口を作る

兼業の行政書士が最初の依頼を得るまでには、時間がかかることが多いです。依頼の入り口として考えられるのは、次のようなものです。

・ホームページで、扱う分野と手続きの流れ、報酬の額を分かりやすく案内する
・知人や本業以外のつながりから、相談を受ける
・司法書士、税理士、社会保険労務士など、他の資格者と紹介し合う関係を作る
・扱う分野の手続きを解説する文章を書き、発信する

ホームページで案内するときは、兼業であることを隠す必要はありません。連絡の受け方と返信の目安の時間をはっきり書いておくほうが、依頼する人にとって分かりやすく、行き違いも減ります。

依頼を受ける前に確かめること

依頼を受ける前には、次の点を確かめます。

・依頼の内容が行政書士の業務の範囲か、他の資格者の業務にあたらないか
・締切までに、兼業の時間の中で対応できるか
・本業の会社の業務や取引先と、利益が重ならないか
・報酬の額と支払いの時期について、依頼する人と合意しているか

内容によっては、受けずに他の行政書士や資格者を紹介するほうが、依頼する人のためになることもあります。

兼業の行政書士の税金の手続き

兼業の行政書士の収入は、事業の所得として確定申告をすることになります。会社員で給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合、国税庁のタックスアンサー(No.1900)では、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要とされています。詳しくは国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人の説明で確かめられます。

行政書士会の会費、登録の費用、事務所の設備の費用など、業務のためにかかった費用は、事業の必要な経費として扱える可能性があります。自宅を事務所にしている場合の家賃や光熱費の扱いなど、個別の判断は税務署や税理士に確かめます。

開業の最初の年は、売上より経費が多くなることもあります。事業の所得が赤字になった場合の扱いは、事業の実態や申告の方法によって変わるので、自己判断せず税務署や税理士に相談します。

書類と情報の扱いを本業と分ける

兼業の行政書士にとって、本業と行政書士の業務の情報を分けて扱うことは、守秘の義務を守るうえでも、本業の会社との信頼を保つうえでも欠かせません。

・行政書士の業務には、本業の会社から貸与されたパソコンや携帯電話を使わない
・依頼する人とのやり取りには、行政書士の業務専用のメールアドレスと電話番号を使う
・書類は、行政書士会の規程に沿った施錠できる保管庫で保管する
・本業の勤務時間中に、行政書士の業務の書類を開かない
・家族と共用の場所に、依頼する人の書類を広げたままにしない

本業の会社の設備を使って行政書士の業務をすると、就業規則に反するだけでなく、依頼する人の秘密を本業の会社の管理下に移すことにもなりかねません。業務の道具を最初から分けておくことが、いちばん確実な対策です。

家族の理解と生活の時間

兼業で続けるには、家族の理解も大切です。自宅を事務所にする場合は、来客の対応の場所、書類の保管の場所、電話や打ち合わせの時間について、家族と話し合っておきます。平日の夜や週末を行政書士の業務に使うことが増えると、生活の時間とのバランスも崩れがちです。業務に使う時間をあらかじめ決めておくことは、家族との時間を守るためにも役に立ちます。

合格から登録までの期間の過ごし方

試験に合格してから登録するまでの期間は、兼業の準備を進めるよい機会です。登録の前は報酬を得て業務を行えませんが、準備はできます。

・扱いたい分野の手続きの流れを、役所の案内や手引きで調べる
・書類の作成の練習として、自分や家族に関わる書類の文案を書いてみる
・行政書士会の説明会や、開業の準備の情報を確かめる
・事務所の場所と設備を決め、登録の書類の準備を進める
・本業の会社への副業の届出を済ませる

東京都行政書士会では、登録や入会を希望する人や開業を検討している人を対象にした、事前説明会の案内も出しています。事務所を設ける都道府県の行政書士会に、同じような説明の機会がないかを確かめておくと、登録の手続きで迷う時間を減らせます。

兼業で始めるときにつまずきやすい点

兼業の行政書士でつまずきやすい点と、その防ぎ方を整理します。

つまずきやすい点 防ぎ方
会費だけが出ていき、依頼が来ない 登録の前に、最初に受ける業務と依頼の入り口を決めておく
本業の繁忙期と依頼の締切が重なる 締切に余裕のある依頼だけを受ける
平日の昼間の連絡に対応できない 連絡の手段と返信の目安の時間を最初に伝える
本業の取引先と利益が重なる 受ける業務の分野を、本業の会社に届け出た範囲にとどめる
学ぶ時間が足りず、業務の知識に不安がある 1つの分野に絞って深く学ぶ

特に最初の点は、多くの人が直面します。登録の前に、「誰から、どのような依頼を受けるか」を具体的に考えておくことが大切です。本業の経験と重なる分野を選ぶと、知識の面でも、人とのつながりの面でも、最初の依頼につながりやすくなります。

独立に向けて兼業の期間をどう使うか

兼業の期間は、独立に向けた準備の期間でもあります。この期間に、次のことを進めておくと、独立の判断がしやすくなります。

・自分が得意とする分野を1つか2つに絞る
・その分野の依頼が、どのような経路で来るかを確かめる
・1件あたりの作業の時間を記録し、報酬の額が見合っているかを確かめる
・他の資格者とのつながりを作り、紹介し合える関係を築く
・独立した場合に、毎月どれだけの依頼が必要かを計算する

見直しの時期を決めておく

兼業の行政書士を続けるかどうかは、あらかじめ見直しの時期を決めておくと判断しやすくなります。たとえば、登録から1年たった時点で、次の点を振り返ります。

・この1年で受けた依頼の数と、分野ごとの内訳
・行政書士の業務の売上から、会費や設備の費用などを差し引いた金額
・1件あたりの作業の時間と、本業との両立の負担
・依頼の入り口として、何がいちばん役に立ったか

振り返りの結果、依頼が増えていて本業との両立が難しくなっているなら、独立や本業の働き方の見直しを考える時期です。反対に、依頼がほとんどなく、会費の負担だけが続いているなら、分野の選び方や依頼の入り口を見直すか、登録を続けるかどうかを考え直す時期です。

兼業のまま続けるか、独立するかは、依頼の数と、本業の収入とのバランスで判断します。兼業のまま、本業の経験を活かした分野の行政書士として長く続ける、という選択もあります。

士業の在宅の働き方で見てきたこと

フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、士業の資格を持つ人で長く仕事が続く人は、資格の名前より「この分野ならこの人」という分かりやすさで選ばれています。兼業の行政書士でも、本業の経験と重なる分野に絞り、その分野の書類の作り方や手続きの流れを分かりやすく発信している人には、少しずつ依頼が集まります。

行政書士の仕事は、書類を正しく、分かりやすく書くことが基本です。仕事の文書の書き方を学び直したい人には、ビジネス文書検定が参考になります。書く力を活かした在宅の仕事との比較に関心がある人は、Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップで、文章の仕事の単価の考え方を紹介しています。

運営者として見てきた限りでは、仲介の手数料がかからない直接の取引は、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、依頼する側もその分だけ多くの作業を頼めるという、双方にとって得のある形になりやすいものです。行政書士のように、依頼する人と直接向き合い、信頼をもとに次の依頼や紹介が生まれる仕事では、この直接のつながりがそのまま財産になります。

行政の手続きの電子化が進むなか、業務の効率化にAIを取り入れる士業も増えています。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、業務の自動化や効率化を支援する仕事の流れを紹介しています。書類の作成の補助にAIを使う場合も、最終の確認は行政書士自身が行い、守秘の義務に反しない使い方を選ぶことが前提になります。

よくある質問

Q. 会社員でも行政書士として登録できますか?

行政書士法には、会社員であることを理由に登録できないという定めはありません。ただし、業務を行うための事務所を設ける必要があり、行政書士会の規程に沿った設備と書類をそろえて登録を申請します。また、本業の会社の就業規則で副業が制限されていることがあるので、登録の前に会社の規則と届出の手続きを確かめます。

Q. 兼業の行政書士の登録にはどのくらいの費用がかかりますか?

行政書士会によって違います。東京都行政書士会の案内では、登録免許税として収入印紙30,000円、会費3か月分18,000円などが必要で、これとは別に登録手数料と入会金を振り込みます。会費は仕事の有無にかかわらず毎月かかるので、登録の前に、事務所を設ける都道府県の行政書士会の案内で金額を確かめます。

Q. 兼業の行政書士でも受けやすい業務は何ですか?

契約書や内容証明の文案の作成、遺言書や相続の書類の作成、電子申請で完結する許認可の申請など、役所の窓口に何度も出向かずに進められる業務は、兼業でも受けやすい傾向があります。本業の経験と重なる分野を選ぶと、知識を活かしやすくなります。窓口での相談や急ぎの対応が多い業務は、兼業では受けにくくなります。

Q. 兼業の行政書士の収入は確定申告が必要ですか?

行政書士の業務の収入は事業の所得になります。給与を1か所から受けている会社員の場合、国税庁の案内では、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要です。所得は売上から必要な経費を引いた金額です。経費の扱いなど個別の判断は、税務署や税理士に確かめます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月28日最終更新:2026年10月14日
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