行政書士の在宅でできる仕事


この記事のポイント
- ✓行政書士 副業 在宅で探している人へ
- ✓在宅で引き受けられる仕事の種類を並べ
- ✓資格が要件になる案件とならない案件を見分ける五つの問いを示します
行政書士の資格を持っているのに、その資格を使って在宅でできる仕事が思い浮かばない。そういうご相談が、ここ数年で明らかに増えました。
大丈夫です。仕事はあります。ただ、探し方に一つコツがあります。
「行政書士の仕事」で探すのではなく、「その仕事に資格が要件として入っているかどうか」で分けて探すこと。この分け方ができるようになると、在宅で受けられる仕事の数が一気に増えます。逆にこの分け方をしないまま探すと、資格が要る仕事は登録の壁で止まり、資格が要らない仕事は「これは行政書士の仕事ではない」と自分で除外してしまい、結局どこにも手が届かなくなります。
この記事では、在宅でできる仕事の種類を並べたうえで、資格が要件になる案件とならない案件を見分けるための五つの問いをお伝えします。今日から使える判断の基準です。
まず、在宅化しやすい工程としにくい工程を分けます
行政書士の業務は、一つの案件の中に複数の工程が入っています。この工程ごとに、在宅でできるかどうかが変わります。
在宅化しやすいのは、書類の作成そのもの、法令や要領の調査、依頼者からの聞き取りの整理、そして電子申請の送信です。パソコンと通信環境があれば完結します。
在宅化しにくいのは、初回の面談、本人確認、原本の授受、そして現地の確認です。許認可の種類によっては、営業所や車庫、施設の写真を撮りに行く必要があります。
この二つが一つの案件の中に混ざっているので、「行政書士の仕事は在宅でできますか」という問いには、そのままでは答えが出せません。
さらに、顧客の元へ足を運んで書類を受け取ったり、相談に乗ったりする業務も行う必要があります。「行政書士は書類作成業務がメインだから、在宅でできる」というイメージで副業を始めてしまうと、ギャップに苦しむ可能性があるため注意しましょう。 出典: studying.jp
この指摘は、正直なところ当たっています。
一方で、電子申請の対象が広がったこと、オンライン面談が一般化したことで、在宅化しにくい工程は年々減っています。どちらの見方も現実の一部です。大切なのは、自分が受ける案件がどちら寄りかを、受ける前に判断できることです。
資格が要件になる案件を見分ける五つの問い
案件の説明を読んだとき、次の五つを順番に確認してください。この順番に意味があります。
問い1 その書類の提出先は官公署ですか
行政書士法は、官公署に提出する書類の作成を業として行うことを、行政書士の業務として定めています。ここが第一の関門です。
提出先が役所、警察署、保健所、税関、法務局といった官公署なら、資格が要件になる可能性が高い領域です。提出先が民間企業なら、この時点では該当しません。
問い2 権利義務または事実証明に関する書類ですか
提出先が民間であっても、契約書や遺産分割協議書のように権利義務に関する書類、あるいは会計帳簿や各種証明のように事実を証明する書類は、行政書士の業務範囲に含まれます。
つまり、「役所に出さないから資格は要らない」とは限りません。ここを誤解している募集要項が、実は少なくないのです。
問い3 他の士業の独占業務に当たりませんか
これが三つ目にして、いちばん間違えやすい関門です。
登記に関する書類は司法書士の領域です。税務書類の作成や税務相談は税理士の領域です。労働社会保険に関する手続きは社会保険労務士の領域です。そして、紛争性のある案件について報酬を得て法律事務を扱うことは、弁護士法が制限しています。
行政書士の資格を持っていても、これらの領域には入れません。「行政書士なら書類全般ができる」という思い込みが、いちばん危ない誤解です。
問い4 作成なのか、補助なのか
同じ書類に関わる仕事でも、「作成する」のと「作成を補助する」のとでは、必要な資格が変わります。
行政書士事務所の補助者として、資料を整理する、下書きを作る、要件を調べてまとめる。こうした業務は、事務所に所属する形であれば無資格でも行われています。責任を負うのは事務所の行政書士だからです。
在宅の募集でよく見かける「書類作成のサポート」「申請書のドラフト作成」といった表現は、この補助にあたる場合と、実質的に作成そのものを指している場合があります。募集元がどちらのつもりなのかは、必ず確認してください。曖昧なまま引き受けるのは、双方にとって危険です。
問い5 報酬を得て、業として行いますか
行政書士法が制限しているのは、業として行うことです。一回限りの無償の手伝いと、反復継続して報酬を得る行為では、扱いが変わります。
ただし、「一回だけだから」と始めた仕事が続いていく例は多く、途中から線を越えていることに気づかない、という事態が起きます。最初から業として行う前提で、資格の要否を確認しておくほうが安全です。
資格が要件になる、在宅寄りの仕事
五つの問いを通したうえで、資格が要件になる領域のうち、在宅の比重が高い仕事を挙げます。前提として、これらを業として行うには行政書士としての登録が必要です。試験に合格しただけでは行えません。
許認可の申請書類の作成は、中心的な仕事です。建設業、産業廃棄物、古物商、旅行業、宅建業、農地の転用、酒類の販売といった分野があります。近年は電子申請に対応する手続きが増え、書類の作成から送信までを自宅で完結できる案件が出てきました。
契約書や内容証明といった、権利義務に関する書類の作成も在宅と相性がよい仕事です。ただし、紛争が起きている、あるいは起きそうな案件は弁護士の領域になります。この判断を誤らないことが前提になります。
補助金や助成金の申請支援も需要があります。ただし、事業計画の中身をどこまで書くかによって、経営コンサルティングの領域と混ざります。役割の範囲を契約書で明確にしておかないと、成果の責任をめぐって揉めやすい分野です。
外国人の在留資格に関する申請は、専門性が高く、需要も安定しています。ただし、申請の取次を行うには別途の届出が必要で、所属する会を通じた手続きと研修の修了が求められます。資格を持っているだけでは取次はできません。
資格が要件にならない、けれど有資格者が選ばれる仕事
ここからが、多くの人が見落としている領域です。資格が要件ではないのに、資格を持っている人が選ばれる仕事があります。
法律や制度をテーマにした記事の監修と執筆は、その代表です。契約、許認可、事業の届出といったテーマは、書き手が誤ったまま公開されている記事が多く、専門家の確認が求められています。監修の仕事に登録の有無が問われることは、多くの場合ありません。
企業向けの研修や教材の作成も同じです。下請法やフリーランス保護新法、個人情報の取り扱いといったテーマで、社内研修の資料を外部に発注する企業が増えています。
士業事務所や中小企業の業務設計を手伝う仕事もあります。書式を整える、確認の手順を作る、必要書類の一覧を作る。こうした仕事は、法律の構造を理解している人にしか作れません。
こうした知識を業務の設計に変換する形の仕事は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事に近い性質を持っています。制度やルールを読み解いて手順に落とす力は、分野が変わっても通用する資産です。
相談や助言を軸にした働き方に関心があるなら、キャリア・副業・人生相談のお仕事も見てみてください。法律の知識をそのまま売るのではなく、相手の状況を整理して選択肢を示す形の仕事がまとまっています。
書く仕事の相場を知っておきたい人には、著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。監修と執筆では単価の考え方が違いますが、市場全体の水準を知っておくと、提示された条件が妥当かどうかを落ち着いて判断できます。
在宅で働くための、事務所と登録の現実
ここは避けて通れない話です。少しだけ我慢して読んでください。
行政書士として業務を行うには、事務所の所在地の都道府県の会に入会し、登録を受ける必要があります。この登録には、事務所の要件が関わります。
自宅を事務所にする場合、書類の保管と守秘義務が守れる構造になっているかが問われます。生活空間と執務空間が分けられているか、賃貸なら用途上の問題がないか。運用は会によって差があるため、開業を予定している都道府県の会に直接確認するのが確実です。
会社員として勤めながら登録する場合は、さらに確認が要ります。事務所を常に開いておけるか、依頼者からの連絡に対応できるか、勤務先の就業規則が兼業を認めているか。この三点が揃わないと、登録できても実務が回りません。
行政書士は、パソコンなどの設備があれば在宅でも業務が可能なため、副業としても取り組みやすいといえるでしょう。 出典: hipro-job.jp
設備の面ではその通りです。ただ、設備が整うことと、体制が整うことは違います。焦らなくて大丈夫ですが、順番は間違えないでください。
なお、登録をしないまま名称を用いて業務を行うことは、行政書士法が禁じています。「登録前に少しだけ」は成り立ちません。登録前にできるのは、資格が要件にならない仕事のほうです。
資格を使わない在宅の仕事から始めるという選択
登録の準備が整うまで、あるいは登録するかどうかを決めかねている間、何もしないでいる必要はありません。
法律の文章を正確に読める人、要件を漏れなく並べられる人は、書く仕事の分野で強い適性を持っています。校正や校閲の仕事はその一例で、校正技能検定を活かす在宅副業|校正・校閲の案件相場と始め方に、案件の種類と始め方がまとまっています。
制度に沿って書類を処理する仕事という点では、医療事務の在宅副業ガイド|レセプト業務・医療コーディングの始め方の領域とも共通点があります。ルールが決まった処理を正確に回す力は、分野をまたいで評価されます。
働き方そのものを組み替えたいと考えているなら、プログラマー 転職完全攻略!未経験から年収を上げるステップと在宅・副業の実現法に、在宅を前提にキャリアを設計する考え方が書かれています。行政書士の資格を持ったまま別の職能を足していく人も、実際に増えています。
こうした仕事で収入の柱を細くでも作っておくと、登録に踏み切るときの心理的な負担がずいぶん軽くなります。「これで食べていかなければ」という状態で開業するのと、「うまくいかなくても戻る場所がある」という状態で開業するのとでは、判断の質が変わります。
案件を見たときの、実際の確認手順
ここまでの内容を、実際の場面で使える形にまとめます。
募集を見つけたら、まず提出先を確認します。官公署なら資格が要件になる可能性が高い。民間なら次の問いへ進みます。
次に、扱う書類が権利義務や事実証明に関わるかを見ます。契約書、協議書、証明書といった言葉が出てきたら、要注意です。
そのうえで、他士業の領域に入っていないかを確認します。登記、税務、労働社会保険、紛争。この四つの言葉が案件の説明に出てきたら、自分の資格で受けられるかを慎重に確認してください。
ここまでで資格が要件だと判断したなら、自分が登録済みかどうかで受けられるかが決まります。要件でないと判断したなら、あとは自分の力量の問題です。
最後に、報酬と作業範囲を確認します。修正の回数、納期、支払時期。フリーランス保護新法により、発注者は成果物を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に報酬を支払う義務を負い、契約時に取引条件を書面などで明示することも求められています。条件が示されない案件は、それ自体が注意信号です。
単価と時間の考え方
副業として在宅で受ける場合、時間の見積もりを誤ると生活が崩れます。
許認可の書類作成は、初めて扱う分野だと調査に時間がかかります。二件目からは半分以下になりますが、一件目は想定の2倍かかると思って予定を組んでください。
記事の監修は、一本あたり5,000円から3万円程度が中心です。作業範囲を先に決めておかないと、実質的な書き直しを無償で担うことになります。
研修教材の作成は一式で受注するため金額はまとまりますが、着手前に構成案を出して合意する工程を必ず入れます。この工程を省くと、完成後の作り直しにつながります。
そして、最初の三か月は本数を増やさないでください。一本目を丁寧に仕上げ、二本目で作業時間を計り、三本目で自分の適正な処理量が分かります。焦って本数を増やすと、単価も時間も見誤ったまま量だけが積み上がります。
分野を一つ決めると、在宅の効率が跳ね上がります
在宅で受ける仕事を安定させたい人に、必ずお伝えしていることがあります。分野を絞ってください、ということです。
行政書士が扱える手続きは、数え方にもよりますが数千種類あるとされています。この全部に対応しようとすると、案件ごとに要領と様式を一から調べ直すことになります。調べる時間は報酬に乗せられません。だから、広く受けるほど時間あたりの手取りが下がっていきます。
分野を一つに絞ると、二件目からの調査時間が大きく減ります。要領の構造が頭に入り、審査担当者が見る箇所が分かり、依頼者がつまずく場所も予測できるようになります。同じ報酬でも、かかる時間が半分になれば、実質の単価は倍になります。
絞る分野は、前職や生活で触れてきた領域から選ぶのが自然です。飲食店で働いていたなら営業許可や深夜酒類提供の届出。運送に関わっていたなら運送事業の許可。外国人の同僚と働いた経験があるなら在留資格。まったく縁のない分野を、単価が高いという理由だけで選ぶと続きません。
そして在宅という観点では、現地確認の必要が少ない分野、電子申請に対応している分野を優先します。同じ許認可でも、この二点で在宅化のしやすさがまったく違います。
会わずに信頼を積むための三つの工夫
在宅で仕事を受けるとき、いちばん不安なのは「会わないまま任せてもらえるのか」という点だと思います。ここは工夫で埋められます。
一つ目は、最初の面談を丁寧にすることです。オンラインの面談でも、依頼者が話す時間を十分に取ってください。要件の確認だけで終える面談は、効率的に見えて信頼を積めません。相手が何を心配しているのかを先に聞き切ることが、あとの手戻りを減らします。
二つ目は、進み具合を定期的に伝えることです。書類を作っている間、依頼者からは何も見えません。何も連絡がない期間が二週間も続くと、相手は不安になります。「今週はこの部分を確認しました。来週はここに進みます」という短い連絡を入れるだけで、印象がまったく変わります。文面は数行で構いません。
三つ目は、想定される期間を最初に示すことです。許認可は、こちらの作業が終わっても審査に時間がかかります。標準処理期間が定められている手続きも多く、依頼者にとってはそこがいちばん気になる部分です。「書類はいつまでに整い、審査にはこのくらいかかる見込みです」と最初に伝えておくと、途中で急かされることが減ります。
会えないことは弱点ではありません。会わない前提で設計された仕事の進め方を持っている人は、遠方の依頼者からも選ばれます。地域に縛られないことは、在宅で働く人の最大の強みです。
引き受けないほうがよい依頼を見分ける
在宅の仕事で消耗する人の多くは、断るべき依頼を引き受けています。次の四つに当てはまる依頼は、慎重に考えてください。
一つ目は、範囲が決まっていない依頼です。「とりあえずお願いします」「必要なことを全部やってください」という言い方で始まる仕事は、際限なく広がります。範囲を決めてから受けてください。
二つ目は、急がせる依頼です。締切が異様に短い案件は、たいてい前の担当者が投げ出しています。理由を聞き、その理由に納得できないなら引き受けないほうが安全です。
三つ目は、事実を隠しているように見える依頼です。許認可の要件を満たしていない状態で申請したい、という相談は実際にあります。この線を越えると、皆さん自身の資格が危うくなります。要件を満たすための道筋を示すことはできても、満たしていない事実を伏せることはできません。
四つ目は、報酬の条件が示されない依頼です。取引条件の明示は、法律上も発注者に求められている事項です。示せない相手とは、始めないほうがよいのです。
断ることは冷たいことではありません。受けられない仕事を受けてしまうほうが、結果的に相手にも迷惑をかけます。
報酬をどう決めるか
在宅で受ける場合、報酬の決め方に迷う人がとても多いです。目安になる考え方を三つお伝えします。
一つ目は、作業時間から積み上げる方法です。調査、作成、確認、やり取りの時間を合計し、自分が確保したい時間あたりの金額をかけます。初めての分野は調査時間が読めないので、実績が出るまでは多めに見積もってください。
二つ目は、公開されている統計を参照する方法です。行政書士の報酬については業界団体が定期的に統計調査を公表しており、手続きごとの分布を知ることができます。相場から大きく外れた金額を提示すると、高すぎても安すぎても不信感につながります。
三つ目は、依頼者にとっての価値から考える方法です。許認可が下りなければ事業が始められない案件では、報酬の額よりも確実に通ることのほうが重視されます。安さで競う必要はありません。
副業として始める人の多くは、月に3万円から10万円の範囲から始めています。この規模のうちは無理に本数を増やさず、一件ごとの進め方を固めることを優先してください。型ができてから増やすほうが、結局は早く安定します。
在宅で使う道具と、情報の守り方
最後に、環境の話を少しだけ。在宅で法律に関わる書類を扱う以上、情報の守り方は避けて通れません。
まず、業務に使う端末は、家族と共有しないことをおすすめします。同じパソコンを家族が使う環境だと、書類の保管と守秘義務の両面で説明が難しくなります。中古の端末でも構わないので、業務専用を一台用意してください。
次に、紙の書類の置き場所です。依頼者から預かった原本や、本人確認の書類の写しは、施錠できる場所に保管します。事務所の要件を確認される場面でも、ここは必ず見られる部分です。
そして、通信と保存の方法です。書類を電子メールにそのまま添付して送ることが習慣になっている事務所は今も多いのですが、宛先を一文字間違えるだけで情報が外に出ます。共有の仕組みを使う、送る前に宛先を声に出して確認する、といった小さな手順を決めておくだけで、事故はかなり防げます。
電子申請を使う場合は、認証に必要な情報の管理も自分の責任になります。使い回さない、紙に書いて机に貼らない。当たり前のことのようですが、忙しくなると崩れます。
こうした備えは、依頼者に説明できる材料にもなります。「情報はこう扱っています」と言えることは、会わずに仕事をする相手にとって、思っている以上に大きな安心材料です。
家族の理解をどう得るか
在宅で仕事をすると決めたとき、意外に大きな壁になるのが同居する家族との折り合いです。相談として本当に多い部分なので、最後に触れておきます。
家にいるのに手が離せない状態は、家族から見ると理解しにくいものです。「家にいるなら」と用事を頼まれ、集中が切れ、夜に取り返す。この循環に入ると、体も気持ちも消耗します。
効くのは、時間を宣言してしまうことです。この曜日のこの時間は仕事、と先に伝えておく。部屋を分けられない場合は、机に向かっている間は声をかけないという合図を決めておく。細かいようですが、こうした取り決めがある家庭とない家庭では、続き方がまったく違います。
依頼者との約束を守るためには、まず家の中で自分の時間を守る約束が要ります。焦らず、一つずつ整えていってください。
運営者から見た、資格者が在宅で伸びる条件
在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、資格を持っている人が在宅で伸びるかどうかは、資格の重さではなく、依頼者の不安を言葉にできるかどうかで決まります。
許認可の相談に来る人は、法律を知りたいわけではありません。「自分の事業を始めてよいのか」を確かめたいのです。ところが、条文と要件だけを正確に返してしまい、相手の不安に触れないまま話が終わる例をよく見ます。
反対に、「この書類は、こういう理由でこの順番に出します。ここでつまずく人が多いので、先にこれを用意しておきましょう」と伝えられる人には、次の依頼が続いていきます。伝えている情報の量は、実はそれほど変わりません。
長く続いている人ほど、単発の作業をこなすことではなく、「この人に聞けば道筋が見える」という関係づくりに時間を使っています。
もう一つ、運営者として見てきた限りでは、取引の構造が手取りを大きく左右します。間に何社も入る仕事では、受け手に届く金額が薄くなり、依頼する側も頼める本数が減ります。手数料0%で直接やり取りできる形なら、同じ予算でも依頼者はより多く頼め、受け手の手取りは厚くなります。金額の大小ではなく、同じ仕事に対して手元に残るものの質が変わるという話です。
在宅で働くことは、孤立することではありません。会わずに信頼を積む方法を、少しずつ身につけていくことです。最初の一件で完璧を目指さなくて大丈夫。範囲をはっきりさせて、約束を守る。それを何度か重ねれば、資格の力は自然と効いてきます。
よくある質問
Q. 行政書士の仕事は在宅だけで完結しますか?
書類の作成、法令の調査、聞き取りの整理、電子申請の送信は在宅で行えます。一方で初回の面談、本人確認、原本の授受、現地の確認は在宅化しにくい工程です。案件によって比重が違うため、受ける前にどちらの工程が多いかを確認してください。電子申請の対象が広がり、在宅で完結する案件は増えています。
Q. 試験に合格しただけで在宅の仕事を受けられますか?
行政書士として業務を行うには都道府県の会への入会と登録が必要で、合格だけでは行えません。ただし記事の監修や執筆、研修教材の作成、業務手順の設計といった仕事は資格が要件ではないため、登録前でも受けられます。登録の準備と並行して、こちらから始める人が多くいます。
Q. 資格が要る案件かどうかは、どう見分けますか?
提出先が官公署か、権利義務や事実証明に関する書類か、他士業の独占業務に当たらないか、作成なのか補助なのか、報酬を得て業として行うのか。この五つを順に確認します。登記、税務、労働社会保険、紛争という言葉が案件の説明に出てきたら、自分の資格で受けられるかを慎重に確認してください。
Q. 会社員をしながら在宅で行政書士の仕事はできますか?
就業規則が兼業を認めていること、事務所の要件を満たせること、依頼者からの連絡に対応できる体制があることの三点が揃えば可能です。事務所の要件は都道府県の会によって運用に差があるため、開業予定地の会に直接確認してください。公務員の場合は法律上の従事制限がかかります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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