副業の契約でクーリングオフできないと言われたときの確認点と相談先

@SOHO編集部
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副業の契約でクーリングオフできないと言われたときの確認点と相談先

この記事のポイント

  • ✓クーリングオフできないと言われた副業の契約でも
  • ✓勧誘のされ方によっては解除できる場合があります
  • ✓特定商取引法の期間と起算日

副業のサポートや教材の契約を結んだあと、「やはりやめたい」と連絡したら「この契約はクーリングオフできません」と言われた。そう言われて、本当に手立てがないのかを調べている人は少なくありません。結論から言うと、事業者が「できない」と言ったことだけで、クーリングオフの権利がなくなるわけではありません。どの種類の取引に当たるか、契約の書面を受け取ったか、勧誘のときに何を言われたかによって、解除できるかどうかが決まります。

この記事では、クーリングオフできないと言われた副業の契約について、自分で確かめられる点を順番に並べます。特定商取引法という法律が定める期間と、その期間がいつから数え始まるか、事業者に妨害されたときの扱い、通知の出し方、支払い方法ごとの動き、そして相談先までを、消費者庁の通達や法律の条文をもとに説明します。個別の契約が解除できるかの最終判断は、契約書や勧誘の経緯によって変わるため、消費生活センターや弁護士に確認してください。

クーリングオフできないと言われる副業トラブルが続く背景

副業に関心を持つ人が増えるにつれて、「スマホだけで稼げる」「作業は1日数分」といった誘い文句で、高額なサポート契約や教材を売る手口も目立つようになりました。消費者庁は特定商取引法のページの冒頭で、もうけ話に関する情報提供を呼びかけており、この分野のトラブルが続いていることがうかがえます。

こうした契約の多くは、SNSや広告で興味を持たせ、LINEに誘導し、そのあと電話やビデオ通話で契約を勧める流れをとります。最初は数千円の教材を買わせ、あとから数十万円のコンサルティングやサポートプランを勧める「二段階」の売り方も珍しくありません。支払い額は数十万円から、ときには100万円を超えることもあります。

解約を申し出たときに返ってくる説明には、よく似た型があります。

・「ネットで申し込んだので通信販売です。通信販売にクーリングオフはありません」
・「すでにサービスの提供が始まっているので解約できません」
・「規約に返金不可と書いてあり、同意のチェックも入っています」
・「事業として申し込んだのだから、消費者の保護は受けられません」

どれも、もっともらしく聞こえます。しかし、これらの説明が当たっているかどうかは、取引の実際の形で決まります。事業者の言い分をそのまま受け入れる前に、次の節から説明する点を1つずつ確かめてください。

採用の仕事を長く見てきた立場から1つ付け加えると、人を雇う会社が、働く人から先にお金を取ることはまずありません。「仕事を紹介するために、まず教材費やサポート費を払ってください」という順番そのものが、雇用の求人とは違う取引であることを示しています。この違いは、あとで説明する「業務提供誘引販売取引」に当たるかどうかを考えるときにも、手がかりになります。

まず確かめること1:契約がどの取引の形に当たるか

クーリングオフとは、契約したあとでも一定の期間内であれば、理由を問わず無条件で契約をやめられる仕組みのことです。ただし、すべての契約に使えるわけではありません。特定商取引法では、取引の形ごとに、使えるかどうかと期間が決まっています。副業の契約でよく問題になる形を表にしました。

取引の形 副業の契約でよくある例 クーリングオフの期間
業務提供誘引販売取引 仕事を紹介すると言って、教材やサポート、登録料を払わせる 契約書面を受け取った日から20日
連鎖販売取引 人を紹介すれば報酬が入ると言って、商品や会員権を買わせる 契約書面を受け取った日から20日
電話勧誘販売 電話やビデオ通話で勧誘され、その後に申し込んだ 書面を受け取った日から8日
訪問販売 カフェや自宅など、事業者の営業所以外で契約した 書面を受け取った日から8日
通信販売 広告を見て、自分からネットで申し込んだだけ 法律上のクーリングオフはない

副業の契約で最も関係が深いのが、業務提供誘引販売取引です。これは、「仕事を提供するので収入が得られる」と誘い、その仕事に必要だとして商品やサービスの代金、登録料などを払わせる取引のことです。消費者庁の通達は、この「仕事」の範囲を広くとらえています。

「業務」とは、在宅ワーク、仕事、モニター業務等といったものの総称であり、例えば、業務提供誘引販売業を行う者とその相手方との間の委託契約、請負契約、雇用契約、代理店契約等を含むものである。 出典: 消費者庁 特定商取引に関する法律等の施行について(通達)

同じ通達では、収入が得られることを契約書に条件として書いていなくても、勧誘のときの説明で「収入が得られる」と期待させて買わせれば当たるとされています。また、実際に収入を得たかどうかも問わないとされています。つまり、「仕事を回します」「案件を紹介します」と言われてサポート契約や教材を買ったのであれば、業務提供誘引販売取引に当たる可能性があります。

この場合のクーリングオフの期間は20日です。通信販売でないかを気にする前に、まず「仕事の提供や紹介をうたって、お金を払わせたか」を思い出してください。勧誘のメッセージや通話のメモに「仕事を紹介」「案件を回す」「作業をすれば報酬」といった言葉があれば、それが手がかりになります。

まず確かめること2:契約の書面を受け取ったか、中身に不備はないか

クーリングオフの期間は、契約した日からではなく、法律で決められた内容がそろった書面を受け取った日から数えます。ここが、「もう期間が過ぎたからできない」と言われたときに最初に確かめたい点です。

消費者庁の通達は、業務提供誘引販売取引について、次のように説明しています。

業務提供誘引販売業を行う者が法第55条第2項の書面を交付しなかった場合はもとより、クーリング・オフができる旨が記載されていない等、書面に重要な事項が記載されていない場合、クーリング・オフをすることができなくなるまでの20日間の起算日が到来せず、クーリング・オフできる期間が継続することになる 出典: 消費者庁 特定商取引に関する法律等の施行について(通達)

つまり、次のような場合は、期間がまだ始まっていないと考えられます。

・契約書や申込書の控えを受け取っていない
・LINEのトーク画面で「申込みありがとうございます」と言われただけで、書面がない
・受け取った書面にクーリングオフについての記載がない
・書面に、提供される仕事の内容や、払うお金の総額が書かれていない

なお、書面は紙が原則ですが、消費者が承諾した場合に限り、電子メールなどの電磁的な方法で渡すことも認められています。その場合も、必要な事項がそろっているかどうかが問われます。

確かめるときは、受け取ったものをすべて並べてみてください。申込みフォームの確認メール、決済の完了メール、PDFの規約、LINEで送られた画像などです。どれが「契約書面」に当たるかは、記載されている内容で判断されます。「規約に同意した」というチェックだけでは、法律が求める書面を渡したことにはなりません。書面がそろっていないと分かったら、その事実を記録しておくことが、のちの交渉や相談で大きな意味を持ちます。

まず確かめること3:「できない」と言われたこと自体が妨害に当たらないか

事業者が「クーリングオフできない」と事実と違うことを言い、それを信じて期間内に手続きをしなかった場合、期間は過ぎたことになりません。特定商取引法の第58条は、業務提供誘引販売取引について、事業者がクーリングオフについて事実と違うことを告げたり、威圧したりして、相手がそれを信じたり困ったりして期間内に解除できなかった場合を、期間の例外として定めています。

この場合、事業者は「クーリングオフができる」と書いた書面をあらためて渡す必要があり、その書面を受け取った日から、もう一度20日の期間が数えられます。消費者庁の通達は、事業者がその書面を渡したときに、相手が書面を見ていることを確かめたうえで、「これから20日経過するまではクーリング・オフできる」ことを口頭で伝えなければならないとしています。

通達には、妨害に当たる言い方の例も示されています。訪問販売の例ですが、「これは特別な契約なのでクーリング・オフできない」と虚偽の説明をして、相手がそう思い込んだ場合は、誤って認めた状態に当たるとされています。副業の契約でよく聞く次のような言い方も、事実と違えば同じ問題になりえます。

・「この契約は特別なプランなのでクーリングオフの対象外です」
・「個人的な都合での解約は受け付けていません」
・「サポートがすでに始まっているので、法律上キャンセルできません」
・「解約するなら違約金として残金を全額払ってもらいます」

業務提供誘引販売取引のクーリングオフでは、事業者は解除に伴う損害賠償や違約金を請求できないと、第58条に明記されています。「違約金を払え」と言われても、それが法律の定めと合わない請求であることがあります。

言われた内容は、日時とあわせて記録してください。電話なら通話のあとすぐにメモを残し、LINEやメールならスクリーンショットを撮って保存します。相手のアカウントが消されると見返せなくなるため、早めに保存しておくことが大切です。

「ネットで申し込んだから通信販売」と言われたとき

最もよく聞く断り文句が、「ネットで申し込んだので通信販売です」というものです。たしかに、広告を見て自分からネットで申し込んだだけの取引は通信販売に当たり、法律上のクーリングオフはありません。しかし、副業の契約は、そう単純でないことが多くあります。

まず、前の節で説明したとおり、仕事の提供をうたってお金を払わせる取引は、申込みがネットであっても業務提供誘引販売取引に当たる可能性があります。業務提供誘引販売取引のクーリングオフには、「通信販売なら対象外」という条件はありません。

次に、電話勧誘販売に当たる場合があります。特定商取引法の第2条第3項は、事業者が電話をかけた場合だけでなく、政令で定める方法で消費者に電話をかけさせて勧誘した場合も、電話勧誘販売に含めています。その政令(特定商取引法施行令第2条)は、電子メールなどで、契約の勧誘のためであることを告げずに電話をかけるよう求める方法や、ほかの人より著しく有利な条件で契約できると告げて電話をかけるよう求める方法を挙げています。

たとえば、LINEで「無料で相談に乗ります」「今だけ特別に枠があります」と言われ、通話に誘われた結果、その通話の中で高額なプランを勧められた場合です。こうした流れは、電話勧誘販売として扱われる可能性があります。電話勧誘販売のクーリングオフは、書面を受け取った日から8日です。

さらに、純粋な通信販売であっても、まったく手立てがないわけではありません。通信販売で商品を買った場合、広告に返品についての特約が表示されていなければ、商品を受け取った日から8日以内は契約を解除できると定められています(第15条の3)。この規定は商品や一部の権利の売買が対象で、サポートやコンサルティングのようなサービスの契約には当たらない点に注意してください。また、2022年の改正で、ネットの申込み画面に事実と違う表示があったり、必要な表示がなかったりして誤解して申し込んだ場合に、申込みを取り消せる規定(第15条の4)も設けられました。

「サポートがすでに始まっているから解約できない」「規約に返金不可と書いてある」という説明についても触れておきます。業務提供誘引販売取引のクーリングオフを定めた第58条には、サービスの提供が始まったら解除できなくなるという定めはありません。また、同条の第4項は、クーリングオフの規定に反する特約で相手方に不利なものは無効だとしています。規約に「返金不可」と書かれていて、それに同意していたとしても、法律上のクーリングオフを打ち消すことはできないということです。商品がすでに届いている場合は、引き取りの費用は事業者が負担すると定められています(第58条第3項)。

どの取引に当たるかは、勧誘の順番と手段で決まります。LINEのやり取り、通話の日時、申込みをした画面を時系列で並べておくと、相談先が判断しやすくなります。

クーリングオフの期間を過ぎていても使える取消しの道

クーリングオフの期間が本当に過ぎていた場合でも、契約をやめる道が閉ざされるわけではありません。勧誘のときにうそを言われた場合には、契約そのものを取り消せる規定があります。

業務提供誘引販売取引では、特定商取引法第58条の2が、勧誘のときに事実と違うことを告げられて誤って信じた場合や、大事な事実をわざと告げられずに、その事実がないと思い込んだ場合に、契約の申込みや承諾を取り消せると定めています。消費者庁の通達は、例として、確証がないのに「このパソコンを使った在宅ワークで毎月5万円の収入は確実」と告げ、相手がそう信じた場合を挙げています。

この取消しができる期間は、誤りに気づいて取り消せるようになった時から1年、契約した時から5年です。訪問販売の規定(第9条の3第4項)を準用する形で決まっています。

また、事業として契約したのではなく、個人の消費者として契約した場合には、消費者契約法という別の法律も使える可能性があります。消費者契約法は、事業者のうそや、不利益な事実を告げないことなどで誤認して結んだ契約を、取り消せると定めています。取消しの期間は、原則として追認できる時から1年、契約から5年です(同法第7条)。

ここで問題になるのが、「事業のために申し込んだのだから消費者ではない」という事業者の主張です。副業を始めるために契約した人が、すぐに事業者として扱われるかどうかは、契約の内容や実態で判断されます。少なくとも業務提供誘引販売取引のクーリングオフは、仕事を「事業所等によらないで行う個人」を守るための規定であり、副業を始めようとする個人がまさに対象です。

取消しを主張するときは、何を言われ、何を信じたのかを具体的に示す必要があります。「月30万円は確実」「誰でも1か月で元が取れる」といった勧誘の言葉が残っていれば、それが大切な証拠になります。

期間の数え方を、具体的な日付で確かめる

「20日」や「8日」と聞いても、どの日を1日目にするかで、締め切りが1日ずれます。特定商取引法は「書面を受領した日から起算して」と定めており、書面を受け取った日そのものを1日目として数えます。

たとえば、業務提供誘引販売取引の契約書面を10月1日に受け取った場合、20日目は10月20日です。10月20日のうちに通知を発信すれば、期間内に出したことになります。電話勧誘販売で書面を10月1日に受け取った場合は、8日目の10月8日が最終日です。

取引の形 書面を受け取った日 最終日
業務提供誘引販売取引 10月1日 10月20日
連鎖販売取引 10月1日 10月20日
電話勧誘販売 10月1日 10月8日
訪問販売 10月1日 10月8日

最終日が土曜日や日曜日に当たっても、期間は延びないものとして動くのが安全です。郵便局の窓口が開いていない日でも、電子メールなら通知を発信できます。迷ったら、締め切りを待たずに今日出すことを考えてください。

注意したいのは、「書面を受け取った日」がいつなのかで事業者と主張が食い違う場合です。PDFをメールで受け取ったなら、そのメールの受信日時が記録になります。郵送なら封筒を捨てずに保存し、消印や配達記録を残しておきます。書面をまだ受け取っていない場合は、期間が始まっていないことになりますが、それを理由に通知を先延ばしにする必要はありません。解除したい意思が固まった時点で、通知を出して構いません。

連鎖販売取引で商品を買った場合は、契約書面を受け取った日より後に最初の商品が届いたときは、その商品を受け取った日から数えると定められています(第40条)。自分の契約がどの形に当たるかで起算日が変わるため、相談先に確かめるときは、書面と商品のそれぞれを受け取った日を伝えてください。

クーリングオフの通知の出し方と、出す前の準備

クーリングオフは、書面か電磁的記録で通知します。電磁的記録とは、電子メールや、事業者のウェブサイトにあるクーリングオフ用のフォームなどのことです。2022年6月の改正で、紙の書面に加えて電子メールなどでも通知できるようになりました。効力は、通知を発した時に生じます。期間の最終日に出しても、その日に発信していれば間に合います。

出す前に、次のものをそろえてください。

・契約書、申込書、利用規約、決済の明細
・勧誘のときのLINEやメール、広告の画面のスクリーンショット
・通話の日時と、言われた内容のメモ
・支払いの方法と金額、支払った日

通知の書き方は、長い説明は要りません。契約した日、契約の名前、金額、事業者名、「上記の契約を解除します」という一文、支払った代金の返金を求める一文、自分の氏名と住所があれば足ります。

紙で出す場合は、出したことと出した日が記録に残る方法を使います。郵便局の特定記録郵便や簡易書留が一般的で、はがきの両面をコピーしてから出すと控えになります。電子メールで出す場合は、送信したメールの画面を保存し、送信日時が分かるようにしておきます。消費者庁の通達は、事業者に対して、電磁的記録で通知を受けたら受け付けた旨を連絡することが望ましいとしていますが、返事が来なくても効力には関係ありません。

クレジットカードや分割払いで支払った場合は、事業者だけでなく、カード会社や信販会社にも同じ内容を通知しておくと、請求を止める手続きにつながります。カード会社への連絡は、電話のあとで書面やメールでも残すと確実です。

支払い方法ごとに違う、お金を取り戻すまでの動き

クーリングオフや取消しが認められても、事業者が返金に応じなければ、お金は戻りません。どの方法で払ったかによって、取れる手が変わります。

クレジットカードや分割払いで払った場合

割賦販売法という法律には、「抗弁の接続」という仕組みがあります。これは、販売した事業者との間にクーリングオフや取消しなどの理由があるとき、その理由をカード会社や信販会社にも主張して、支払いを拒める仕組みのことです。一括払いは対象外で、分割払いやリボ払いなど2か月を超える支払いが対象になります。

対象になる金額には下限があります。割賦販売法施行令では、カードの分割払いでは支払総額4万円、リボ払いでは3万8,000円、個別のローン契約では4万円と定められています。

営業のための契約は、ふつうは割賦販売法の保護の対象外です。ただし、業務提供誘引販売取引と連鎖販売取引の個人の契約は、この適用除外から外されています(割賦販売法第35条の3の60)。「副業だから保護されない」とは限らないということです。

銀行振込、電子マネー、暗号資産で払った場合

振込や電子マネーの場合は、カードのような支払い停止の仕組みがありません。返金は事業者との交渉や、裁判所の手続きで求めることになります。相手の口座が詐欺に使われたと考えられる場合は、すぐに警察と振込先の銀行に連絡すると、口座が止められることがあります。時間がたつほどお金が引き出されてしまうため、気づいた時点で動くことが大切です。

「後払いで、売上から払えばいい」と言われた場合

支払いを後払いにしていても、契約は成り立っています。クーリングオフの期間は、支払った日ではなく書面を受け取った日から数えるため、「まだ払っていないから大丈夫」と待っているうちに期間が過ぎることがあります。払っていなくても、通知は早めに出してください。

事業者とやり取りするときに避けたいこと

解約を申し出ると、事業者からさまざまな提案が返ってくることがあります。その場で判断すると、かえって不利になることがあるため、次の点を避けてください。

その場で新しい契約や借入れをしない

「解約より、上位プランに切り替えれば元が取れる」「返金の代わりに別の講座を無料で付ける」と勧められることがあります。新しい契約を結ぶと、前の契約とは別の取引として扱われ、話が複雑になります。また、「支払いが苦しいなら消費者金融で借りればいい」と借入れを勧めるのは、典型的な危険信号です。どんな提案にも、その場では返事をしないでください。

一部返金の合意に急いで応じない

「半額なら返す」「今日中に同意すれば3割返金する」と言われることがあります。クーリングオフが認められるなら、事業者は受け取った代金を全額返す義務を負います。消費者庁の通達は、業務提供誘引販売取引のクーリングオフについて、事業者は受け取った商品代金や取引料を返さなければならないとしています。一部返金で「これ以上は請求しない」という合意書に署名すると、残りを取り戻すのが難しくなります。合意の前に、消費生活センターに相談してください。

電話だけで済ませない

電話で「解約を受け付けました」と言われても、記録が残りません。クーリングオフは書面か電磁的記録で通知するものなので、電話で話したあとでも、必ず書面かメールで通知を出してください。

追加の個人情報を渡さない

「返金手続きのため」として、身分証の画像や銀行口座の暗証番号、カードのセキュリティコードを求められることがあります。返金に暗証番号やセキュリティコードは必要ありません。口座番号を伝える場合も、相手が本当に契約した事業者かを確かめてからにしてください。

相談先と、それぞれに頼めること

一人で事業者とやり取りを続けると、「ここで解約すると損をする」「今だけ半額にする」などと言われ、かえって追加の契約をしてしまうことがあります。早い段階で、外部の窓口に相談してください。

相談先 頼めること
消費者ホットライン188 近くの消費生活センターや相談窓口につないでもらえる
消費生活センター 契約の形の判断、通知の書き方、事業者との間に入るあっせん
経済産業局の特定商取引法の窓口 法律の解釈についての相談(個別のあっせんは行わない)
警察署 詐欺の被害の届出、振込先の口座についての相談
弁護士 返金の交渉、裁判所の手続きの代理

消費者庁は、消費者ホットラインについて次のように案内しています。

困ったときは、一人で悩まずに、「消費者ホットライン」188にご相談ください。地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口をご案内します。 出典: 消費者庁 消費者ホットライン

188に電話すると、郵便番号などを入力して、近くの窓口につながります。消費者庁のページによると、市区町村や都道府県の窓口が開いていない土日祝日も、国民生活センターが相談を補う形で、点検日や年末年始を除き原則毎日利用できます。

相談するときは、契約書面、勧誘のやり取り、支払いの明細を手元に用意してください。消費生活センターの相談員は、どの取引の形に当たるか、どの規定で解除や取消しを主張できるかを一緒に整理してくれます。

なお、特定商取引法の窓口である経済産業局は、法律についての相談は受けますが、個別のトラブルのあっせんは行っていないと消費者庁のページに明記されています。返金を求めるやり取りは、消費生活センターか弁護士に頼むのが近道です。

「返金を代行します」と名乗る業者が、SNSで被害者に声をかけてくることがあります。弁護士でない者が報酬を得て交渉を代わりに行うことは、法律で制限されています。相談先は、自分で公的な窓口か弁護士会を通じて選んでください。

お金を払わせる副業と、本当の仕事の見分け方

ここまでは契約してしまったあとの話でしたが、最後に、同じ失敗を繰り返さないための見分け方を整理します。採用の現場で求人票を何百枚も書いてきた経験から言えるのは、まともな仕事の募集には、共通する特徴があるということです。

・仕事を始める前に、働く側がお金を払う必要がない
・誰が発注者で、どんな仕事を、いくらで頼むのかが、最初の段階で示される
・報酬は「最大」「平均」ではなく、仕事1件あたりや時間あたりの単価で書かれている
・会社名、所在地、連絡先が確かめられる

反対に、「仕事を紹介するには、まず研修費が必要」「サポートを受ければ月に数十万円」「枠が残りわずか」と、仕事の中身より先にお金の話が出てくる場合は、業務提供誘引販売取引の形に近いと考えてください。

在宅ワークや副業の市場を長く見てきた運営者の立場から言えば、継続して仕事を受けている人ほど、高額なサポートを買うより先に、小さな仕事を1つずつ受けて実績を積んでいます。発注者と直接やり取りし、中間の手数料がかからない形で仕事を受けられれば、同じ予算でも受け手の手取りは厚くなります。仲介の手数料0%の場で直接つながる形は、発注者と受注者の双方にとって無理のない関係を作りやすいと感じています。

仕事の相場を知っておくことも、うまい話に乗らないための備えになります。たとえばソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場のページでは、職業ごとの年収や単価の分布が分かります。相場から大きく外れた「楽に高収入」の話は、それだけで疑ってかかる理由になります。

身につけたい技能の方向が決まっている場合は、高額な教材を買う前に、公的な試験や資格の内容を確かめてください。文章の仕事ならビジネス文書検定、ネットワークの仕事ならCCNA(シスコ技術者認定)のように、試験の範囲と受験料が公開されている資格は、何にいくら払うのかがはっきりしています。

どんな仕事があるかを先に知っておくと、勧誘の話と比べる物差しができます。AIコンサル・業務活用支援のお仕事、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事、アプリケーション開発のお仕事のページでは、それぞれの仕事の内容と、求められる技能が整理されています。勧誘で示された「仕事」と見比べて、中身があるかどうかを確かめてみてください。

よくある質問

Q. 「ネットで申し込んだからクーリングオフできない」と言われたら、あきらめるしかありませんか?

あきらめる必要はありません。仕事の提供をうたって教材やサポートの代金を払わせる取引は、業務提供誘引販売取引に当たる可能性があり、申込みがネットでも書面を受け取った日から20日はクーリングオフできます。LINEなどで誘われて通話の中で勧誘された場合は、電話勧誘販売として8日の期間がある場合もあります。消費生活センターで取引の形を確かめてください。

Q. 契約から20日以上たっていても、クーリングオフできることはありますか?

あります。期間は契約した日ではなく、法律で決められた内容がそろった書面を受け取った日から数えます。書面を受け取っていない場合や、クーリングオフの記載がないなど不備がある場合は、期間が始まっていないと考えられます。また、事業者に「できない」とうそを言われて信じた場合は、あらためて書面を受け取った日から数え直します。

Q. クーリングオフの通知はメールでも出せますか?

出せます。2022年6月の改正で、紙の書面に加えて、電子メールや事業者のウェブサイトの専用フォームなどの電磁的記録でも通知できるようになりました。効力は通知を発した時に生じます。送信したメールの画面を保存し、送信日時が分かるようにしておいてください。カード払いの場合は、カード会社にも同じ内容を知らせておくと確実です。

Q. クレジットカードで払った代金は、止められますか?

分割払いやリボ払いで、支払総額が分割払いで4万円以上、リボ払いで3万8,000円以上なら、割賦販売法の抗弁の接続という仕組みで、カード会社への支払いを拒める場合があります。業務提供誘引販売取引の個人の契約は、営業目的でも対象から外されていません。一括払いは対象外のため、早めにカード会社と消費生活センターに相談してください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月24日最終更新:2026年10月5日
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