介護食士は国家資格か|資格の内容と活かし方


この記事のポイント
- ✓介護食士は国家資格ではなく
- ✓公益社団法人全国調理職業訓練協会が認定する民間資格です
- ✓1級から3級までの受講資格と講習時間
介護食士が国家資格なのかどうかを調べている人の多くは、介護や調理の仕事に就いていて、「履歴書に書いて評価される資格なのか」「時間とお金をかけて取る価値があるのか」を見極めたいと考えています。結論から書くと、介護食士は国家資格ではありません。公益社団法人全国調理職業訓練協会が認定する民間の資格で、1級から3級までの3段階があります。
ただし、民間資格だから役に立たないということはありません。介護食士は、3級でも講習時間が72時間あり、学科と調理実習を組み合わせて学ぶ内容の濃い資格です。この記事では、介護食士の資格の仕組み、級ごとの受講資格と講習時間、修了試験の合格基準、受講できる学校の探し方、国家資格との違いと組み合わせ方、職場での活かし方までを順に説明します。数字は協会の公式の案内で確かめたものだけを使っています。
介護食士は国家資格ではなく協会の認定資格
介護食士は、公益社団法人全国調理職業訓練協会が設けた認定資格です。協会の公式サイトは、資格の性格を次のように説明しています。
介護食士は、内閣総理大臣認定・公益社団法人全国調理職業訓練協会が、介護に携わる方たちの調理技術を向上させる目的で設けた認定資格制度で、公益事業として認定されています。 出典: kaigosyokushi.jp
ここで間違えやすいのが、「内閣総理大臣認定」という言葉です。これは、協会そのものが公益社団法人として認定を受けていることを指しています。公益社団法人とは、公益のための活動をする団体として、国や都道府県の認定を受けた法人のことです。資格が国の試験で与えられるという意味ではありません。
国家資格とは、法律に基づいて国や都道府県が試験や免許を与える資格のことです。食や介護の分野では、調理師、栄養士、管理栄養士、介護福祉士などがこれに当たります。国家資格の多くは、その資格を持つ人しか名乗れない名前が法律で決まっていて、資格によっては、持っている人しかできない仕事もあります。
介護食士は、こうした法律の仕組みの外にある資格です。持っていないと介護食を作れない、ということはありません。介護施設で食事を作る仕事も、病院の調理場で働く仕事も、介護食士を持たずに就くことができます。そのうえで、介護食の知識と技術を体系立てて学んだことを示す資格として、介護や調理の現場で使われています。
国家資格か民間資格かの違いを表にすると、次のとおりです。
| 項目 | 介護食士 | 調理師などの国家資格 |
|---|---|---|
| 根拠 | 協会が定める認定制度 | 法律 |
| 与える人 | 公益社団法人全国調理職業訓練協会 | 都道府県知事や厚生労働大臣 |
| 取り方 | 協会の認定施設で講習を受け、修了試験に合格 | 養成施設の修了や国家試験の合格 |
| 名前の制限 | 法律による名称の制限はない | 資格がない人は名乗れない |
介護食士で学ぶことと、介護食が求められる背景
介護食とは、かむ力や飲み込む力が弱くなった人でも、安全においしく食べられるように工夫した食事のことです。年を重ねると、歯が抜けたり入れ歯が合わなくなったりして、かたい物がかみにくくなります。飲み込む力が弱くなると、食べ物や飲み物が気管に入りやすくなり、むせることが増えます。
協会の案内も、こうした変化を挙げたうえで、介護食は要介護者にとって生きていくためになくてはならないものだと説明しています。食べることは、体に必要な栄養をとるためだけでなく、毎日の楽しみでもあります。見た目がよく、味がよく、それでいて食べやすい食事を作るには、普通の調理とは違う知識と技術が必要になります。
介護食士の講習では、主に次のようなことを学びます。
- 高齢者の体の変化と、かむ力・飲み込む力の特徴
- 高齢者の心理と、食事のときの接し方
- 栄養学、食品学、食品衛生学の基礎
- 食材をやわらかくする、まとまりやすくするなどの調理の技術
- 普通の食事を介護食に作り変える方法
- 体の状態や病気に合わせた献立の考え方
介護の現場では、同じ献立を、普通の形、細かく刻んだ形、なめらかにした形など、利用者に合わせて作り分けることがよくあります。協会の講習会の様子を紹介するページには、2級の講座で海老をすり身にしてソフト食に仕上げる実習の例が載っています。見た目の形を残しながら、やわらかく食べやすくする技術は、現場で求められる代表的な技術の1つです。
市販の介護食品にも、選びやすくする工夫があります。日本介護食品協議会は、食べやすさに配慮した食品をユニバーサルデザインフードと名づけ、かたさや粘度の規格で分けた4つの区分をパッケージに表示しています。介護食士で学ぶ知識は、こうした市販品を選ぶときや、手作りの食事と組み合わせるときにも役立ちます。
介護食の形の種類と、作り分けの基本
介護食士の講習で学ぶ技術を理解するには、介護の現場でどんな形の食事が作られているかを知っておくと分かりやすくなります。施設や病院によって呼び方は少しずつ違いますが、一般には次のような形が使われています。
| 食事の形 | どんな食事か | 主に向いている人 |
|---|---|---|
| 常食(普通の食事) | 一般の人と同じかたさ、大きさの食事 | かむ力も飲み込む力も保たれている人 |
| 軟菜食 | 普通の献立を、やわらかく煮たり蒸したりした食事 | かたい物がかみにくくなってきた人 |
| 刻み食 | 食材を細かく刻んだ食事 | かむ力が弱いが、飲み込む力は保たれている人 |
| ソフト食 | 食材をなめらかにして形を整え、舌や歯ぐきでつぶせるかたさにした食事 | かむ力も飲み込む力も弱くなってきた人 |
| ミキサー食 | 食材をミキサーにかけ、ポタージュのような状態にした食事 | かむことが難しい人 |
| ゼリー食 | なめらかにした食材をゼリー状に固めた食事 | 飲み込む力がかなり弱い人 |
ここで大事なのは、細かくすれば安全とは限らない、という点です。刻み食は、かむ手間は減りますが、口の中で食べ物がばらばらになり、まとまりにくくなります。飲み込む力が弱い人にとっては、ばらばらになった食べ物がかえってむせの原因になることがあります。そのため、刻んだ食材にとろみのあるあんをかけて、口の中でまとまりやすくする工夫がよく行われます。
もう1つ大事なのは、見た目の工夫です。ミキサー食やゼリー食は、そのままでは何の料理か分からず、食べる意欲が落ちてしまうことがあります。介護食の現場では、なめらかにした食材を型に入れて元の形に近づけたり、色の違う食材を分けて盛り付けたりして、何を食べているのかが目で分かるようにしています。協会の講習会で紹介されている、海老のすり身を絞り出して形を整える実習は、まさにこの見た目の工夫を学ぶものです。
介護食士の2級で学ぶ「普通食からの展開方法」とは、1つの献立をもとに、こうした形の違う食事を作り分ける技術のことです。同じ献立から作り分けられると、利用者ごとに別々の料理を作る手間が減り、施設の調理の効率も上がります。
1級から3級までの受講資格と講習時間
介護食士は、3級から順に1級へ進む仕組みです。協会の資格の種類のページによると、級ごとの受講資格と講習の内容は次のとおりです。
| 級 | 受講資格 | 学科 | 実習 | 主な内容 |
|---|---|---|---|---|
| 3級 | 受講資格は不要(どなたでも受講できる) | 25時間 | 47時間 | 高齢者の体の特徴、栄養、衛生、食べやすく飲み込みやすい介護食の技術 |
| 2級 | 介護食士3級を取得した人 | 16時間 | 56時間 | 普通食からの展開方法、生活習慣病予防食 |
| 1級 | 2級を取得した後、2年以上介護食調理の実務に従事した25歳以上の人 | 32時間 | 40時間 | 栄養状態の判定、低栄養を考えた献立、食品と薬の関係 |
どの級も、学科と実習を合わせて72時間です。3級の講習時間の内訳は、資格の種類のページでは学科25時間・実習47時間、Q&Aのページでは学科24時間・実習48時間と書かれていて、ページによって少し違います。合計の72時間はどちらも同じなので、受講する学校で最新の時間割を確かめてください。
1級の受講資格については、協会の資格の種類のページに次のように書かれています。
介護食士2級を取得した後2年以上介護食調理の実務に従事した25歳以上の方 出典: kaigosyokushi.jp
つまり、3級と2級は講習を受けて修了試験に合格すれば取れますが、1級は現場での経験が条件になります。1級を目指す人は、2級を取ったあとに介護食を作る仕事を続け、その期間を証明できるようにしておく必要があります。
3級は受講資格が要らないため、介護の仕事をしていない人でも受けられます。家族の介護で食事作りに悩んでいる人や、これから介護や調理の仕事に就きたい人が、最初の一歩として受けることも多い級です。
修了試験の合格基準と、取得までの流れ
介護食士の講習は、受けるだけでは資格になりません。講習の最後に修了試験があり、合格して初めて資格が与えられます。協会のQ&Aのページには、修了試験について次のように書かれています。
- 講習会の修了時に、筆記試験と実技試験がある
- 試験を受けるには、講習会で80%以上の出席が必要
- 筆記と実技は、どちらも60点以上で合格
出席の条件がある点は、特に注意が必要です。72時間の講習の80%は約58時間なので、休めるのはおよそ14時間までです。仕事や家庭の都合で休みが続きそうな人は、申し込む前に講習の日程を確かめ、休んだときに補講があるかを学校に聞いておくと安心です。
取得までの流れを手順にすると、次のとおりです。
- 協会の開講施設の一覧から、近くで講習会を開いている学校を探す
- 学校に、一般向けの講習会の日程、費用、申し込み方法を問い合わせる
- 講習会に申し込み、学科と実習を受ける(出席は80%以上が必要)
- 講習会の最後に、筆記試験と実技試験を受ける
- 両方60点以上で合格し、介護食士の資格を得る
実技試験では、講習で学んだ調理の技術を実際に見せることになります。講習中から、包丁の使い方、加熱の時間、とろみのつけ方などを、自分で再現できるように練習しておくことが合格への近道です。家で練習するときは、講習で作った料理を1品ずつ作り直し、かたさや見た目を講習のときと比べてみると、上達が分かりやすくなります。
介護食士の講習を受けられる学校の探し方
介護食士の講習会は、協会の会員である調理師学校や専門学校などで開かれています。資格を取る方法は、大きく2つあります。
- 講習会を開いている学校の学生になって受ける
- 一般の人向けの講習会を開いている学校で受ける
協会の公式サイトの「資格取得方法・開講施設」のページには、級ごとに講習会を開いている施設の一覧があり、都道府県、学校名、住所、電話番号、対象者が載っています。対象者の欄には「学生」「一般」「一般・学生」の区別があり、学生だけを対象にしている学校では、社会人は受けられません。社会人が受けたい場合は、「一般」か「一般・学生」と書かれた学校を探します。
一覧を見ると、3級の講習会を開いている学校は全国にありますが、2級や1級の講習会を開いている学校は限られます。一覧の中には「今年度休止」と書かれた学校もあります。上の級まで進みたい人は、3級を受ける前に、その後の級をどこで受けられるかも確かめておくと、途中で受ける場所が見つからずに困ることを防げます。
開講の時期は学校ごとに違い、協会のQ&Aでも、詳しくは各施設に問い合わせるよう案内されています。問い合わせるときは、次の点をまとめて聞いておくと効率的です。
- 一般向けの講習会の次回の開講時期と申し込みの締め切り
- 講習の曜日と時間帯(平日の昼か、夜か、土日か)
- 受講料、教材費、試験料などを合わせた総額
- 休んだときの補講や振り替えの有無
- 実習で使う白衣や調理道具を用意する必要があるか
費用は学校によって違うため、協会の案内には一律の金額が載っていません。複数の学校が候補になる場合は、同じ項目で比べてから決めると、後から思わぬ出費に驚かずに済みます。
近くに一般向けの講習会を開いている学校がない場合は、少し離れた地域の学校も候補に入れます。講習が土日にまとめて開かれる学校であれば、遠方からでも通いやすいことがあります。ただし、交通費や宿泊費がかかる場合は、受講料と合わせた総額で考える必要があります。勤め先の介護事業所や給食会社が、学校と連携して職員向けに講習を開いている例もあるため、まず職場に、介護食士の講習を受けた職員がいるかを聞いてみるのも1つの方法です。先に受けた人から、講習の雰囲気や試験の様子を聞けると、準備の見通しが立てやすくなります。
講習を受ける前にしておきたい準備と練習
72時間の講習を最後まで受け、修了試験に合格するためには、受ける前の準備も大切です。特に、仕事や家事をしながら受ける人は、講習が始まる前に生活の段取りを整えておくと、途中で出席が足りなくなる心配を減らせます。
準備しておきたいことを、順に挙げます。
- 講習の全日程を手帳やカレンダーに書き込み、仕事の休みや家族の予定と重ならないかを確かめる
- 休みが重なりそうな日は、職場や家族に早めに相談しておく
- 白衣、三角巾、上履き、筆記用具など、学校から指定された持ち物をそろえる
- 家に、ミキサー、すり鉢、計量カップ、計量スプーンなど、実習の復習に使える道具があるかを確かめる
- 講習で使うテキストが届いたら、目次と各章の見出しだけでも先に目を通しておく
講習が始まってからは、実習で作った料理を、その週のうちに家で1品作り直すことをおすすめします。講習の場では講師の手順を見ながら作れますが、試験の実技では自分の力だけで仕上げることになります。家で作ってみると、火の通り具合やとろみの加減など、講習では気づかなかったつまずきが見えてきます。
学科の復習では、栄養学、食品学、食品衛生学の用語を、自分の言葉で説明できるかを確かめると効果的です。たとえば、「食中毒を防ぐ三原則」を聞かれたときに、つけない、増やさない、やっつける、とすぐに答えられるか、それぞれ台所で何をすることかを説明できるかを、ノートに書き出してみます。筆記試験は60点以上で合格なので、すべてを完璧に覚える必要はありません。講習で講師が繰り返し強調した点を中心に復習すると、効率よく準備できます。
家族の介護のために学ぶ場合の考え方
介護食士の3級は、受講資格が要らないため、家族の介護をしている人が学ぶこともできます。親や配偶者の食事作りに悩み、「どこまで刻めばよいのか」「むせないようにするにはどうすればよいのか」を知りたいという人にとって、講習は体系立てて学べる場になります。
家族の介護で学ぶ場合に覚えておきたいのは、資格を取ること自体を目的にしすぎないことです。家族の食事を作るのに資格は必要ありません。大切なのは、講習で学んだ知識を、毎日の食事作りで無理なく続けられる形にすることです。毎食すべてを手作りするのは大きな負担になるため、市販の介護食品やとろみをつける食品を上手に組み合わせることも、講習で学べる大事な視点です。
家族の食事の形を変えるときは、自分だけで判断しないことも大切です。かかりつけの医師や歯科医師、訪問看護やケアマネジャー(介護サービスの計画を立てる専門職)に、食事の様子を伝えて相談すると、飲み込む力の検査や、言語聴覚士による訓練につないでもらえることがあります。介護食士で学んだ知識は、専門職と話すときに、家族の食事の様子を具体的に伝える助けにもなります。
講習には、介護や調理の仕事をしている人も多く参加します。同じ講習を受ける人との話の中で、現場で使われている工夫を聞けることも、家族の介護をしている人にとっては大きな収穫になります。
国家資格との組み合わせで広がる仕事
介護食士は単独でも学ぶ価値がありますが、国家資格と組み合わせると、仕事の幅がさらに広がります。介護や食の現場でよく組み合わされる国家資格の取り方を、法律の決まりで確かめておきます。
調理師の免許は、調理師法の第3条で、都道府県知事が指定する調理師養成施設で1年以上学んだ人か、飲食店や給食施設など決められた施設で2年以上調理の仕事をしたあとに調理師試験に合格した人に、都道府県知事が与えると定められています。同じ法律の第8条は、調理師でない人が調理師やまぎらわしい名前を名乗ることを禁じています。
栄養士と管理栄養士は、栄養士法で決められた資格です。栄養士は、厚生労働大臣が指定した養成施設で2年以上学んだ人に都道府県知事が免許を与えます。管理栄養士は、国家試験に合格した人に厚生労働大臣が免許を与えます。
介護の側では、介護福祉士が国家資格です。介護福祉士の国家試験は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが実施しています。試験の日程や受験資格は、社会福祉振興・試験センターの介護福祉士国家試験のページで毎年の案内を確かめられます。
組み合わせの例を表にします。
| 今の仕事や資格 | 介護食士を加えると | 次に目指せる国家資格 |
|---|---|---|
| 介護施設の介護職員 | 食事介助のときに食べやすい形を判断しやすくなる | 介護福祉士 |
| 給食施設や病院の調理員 | 刻み食やソフト食の作り分けに自信がつく | 調理師 |
| 調理師 | 高齢者向けの献立や施設の食事の仕事に広げられる | 2級・1級の介護食士で専門性を深める |
| 栄養士 | 献立を、実際に食べやすい形に作る技術が加わる | 管理栄養士 |
介護食士の講習が調理師学校や専門学校で開かれているのは、調理の現場で働く人に向けた資格として始まったからです。調理師学校の学生が在学中に3級を取り、卒業後に調理師として働きながら2級や1級に進む、という道もあります。
介護食士が向いている人と、取る前に考えたいこと
介護食士は、介護食の知識と調理の技術を同時に学べる資格です。どんな人に向いているのか、取る前に何を考えておくとよいのかを整理します。
向いているのは、次のような人です。
- 介護施設や病院、給食施設で、高齢者向けの食事を作る仕事をしている人
- 介護職員として、食事介助のときに食べやすさを判断する場面が多い人
- 調理師学校や専門学校に通っていて、在学中に専門性を加えたい人
- これから介護や調理の仕事に就きたいと考えていて、最初の学びの場を探している人
- 家族の介護で、食事作りを体系立てて学びたい人
一方で、取る前に考えておきたいこともあります。1つ目は、時間です。3級でも72時間の講習があり、80%以上の出席が修了試験の条件です。仕事のシフトが不規則な人は、講習の日程と照らし合わせて、最後まで通えるかを先に確かめておく必要があります。
2つ目は、目的です。介護食士は、持っていないと就けない仕事があるわけではありません。資格手当がつくかどうかも、職場によって違います。勤め先で評価されるかを知りたい人は、上司や人事の担当者に、資格手当の対象になる資格の一覧を確かめておくと判断しやすくなります。
3つ目は、上の級への進み方です。1級には実務の経験が2年以上必要で、講習を開いている学校も限られます。最終的に1級まで取りたい人は、3級を受ける段階から、2級と1級をどこで、いつごろ受けるかの見通しを立てておくと、途中で止まらずに進めます。
介護食士の講習で身につくのは、資格の名前だけではありません。食べる人の体の変化を理解し、見た目と味と安全を両立させる考え方は、介護の仕事を続けるうえで長く役立つ土台になります。
履歴書への書き方と、面接での伝え方
介護食士を取ったら、履歴書の資格欄に書くことができます。民間資格を書くときは、認定した団体の名前を添えると、読む人に資格の中身が伝わりやすくなります。
書き方の例は次のとおりです。
- 令和8年3月 公益社団法人全国調理職業訓練協会 介護食士3級 取得
- 令和8年9月 公益社団法人全国調理職業訓練協会 介護食士2級 取得
上の級を取った場合は、下の級を省いて最上位の級だけを書く方法もあります。ただし、1級を目指している途中であれば、取得した級と、受講中であることを書き添えると、学び続けている姿勢が伝わります。
面接では、資格の名前を伝えるだけでなく、講習で何を学び、どう仕事に活かせるかを具体的に話すと効果的です。たとえば、「72時間の講習で、普通の献立を刻み食やソフト食に作り変える方法を学びました。見た目を残しながら食べやすくする工夫を、施設の食事でも活かしたいと考えています」のように伝えると、採用する側がその人の働く姿を想像しやすくなります。
国家資格ではないことを気にする必要はありません。大切なのは、資格の性格を正しく理解したうえで、学んだ内容を説明できることです。「国家資格です」と誤って伝えると、かえって信頼を損ねます。「全国調理職業訓練協会が認定する資格で、学科と実習を合わせて72時間の講習と修了試験を経て取得しました」と正確に伝えるほうが、相手に安心感を与えます。
職場で活かすときに気をつけること
介護食士で学んだ知識を職場で活かすときは、自分だけで判断しない姿勢が大切です。かむ力や飲み込む力は人によって大きく違い、同じ人でも体調によって日々変わります。
介護の現場では、利用者の食事の形は、医師、歯科医師、言語聴覚士(話す力や飲み込む力の訓練を専門にする国家資格の職種)、管理栄養士、看護師などが、本人の状態を見て決めることが一般的です。介護食士の知識は、決められた食事の形を、よりおいしく、より見た目よく仕上げるために使うものです。食事の形を自分の判断で変えることは避け、気になることがあれば、担当の職員や専門職に相談します。
市販の介護食品や、とろみをつける食品を使う場面も多くあります。消費者庁は、飲み込むことが難しい人に適した食品として表示の許可を受けたものを特別用途食品として扱っています。消費者庁の特別用途食品のページによると、特別用途食品は、乳児、妊産婦、授乳婦、えん下困難者(飲み込むことが難しい人)、病者などの健康の保持や回復に適するという特別な用途を表示する食品で、表示には消費者庁長官の許可が必要です。手作りの食事と市販品を組み合わせるときは、こうした表示も参考になります。
食品衛生も欠かせません。介護食は、刻む、つぶす、ミキサーにかけるなど、手を加える工程が多いため、そのぶん細菌が増えやすくなります。調理器具の洗浄と消毒、作ってから食べるまでの時間、保存の温度など、講習で学んだ衛生の知識を毎日の作業で守ることが、利用者の安全につながります。
費用を抑えて学ぶための公的な支援
介護や調理の仕事をしながら資格を取る場合、費用の一部を公的な制度で抑えられることがあります。代表的なのが、会社が従業員に研修を受けさせたときに国から出る人材開発支援助成金です。
人材開発支援助成金は、会社が申請する制度で、個人が直接申し込むものではありません。勤め先の介護事業所や給食会社が制度を使っているかどうかは、職場の担当者に確かめます。福祉の事業所がこの助成金を研修に使う方法は、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で、対象になる研修や申請の流れを整理しています。勤め先に研修の費用を相談するときの材料になります。
個人で学ぶ場合は、厚生労働省の教育訓練給付金という制度もあります。これは、雇用保険に入っている人などが、国の指定を受けた講座を受けたときに、費用の一部が支給される制度です。介護食士の講習会が指定を受けているかどうかは講座ごとに違うため、受講する学校に確かめてください。指定を受けていない講座は対象になりません。
介護食の知識を在宅の仕事につなげる考え方
介護食士の知識は、施設や病院の調理場だけでなく、在宅でできる仕事にもつなげられます。たとえば、介護食のレシピを考える仕事、家族の介護で食事作りに悩む人に向けた記事を書く仕事、介護食品の紹介文を作る仕事などです。
文章の仕事では、介護食の専門知識に加えて、分かりやすく伝える力が求められます。介護の情報は、読む人が不安を抱えていることが多いため、専門用語を使わずに、手順を一つずつ説明する書き方が大切です。仕事で通じる文書の基本を確かめたい人は、ビジネス文書検定の解説が参考になります。級ごとの試験の内容と、仕事での活かし方をまとめています。
在宅で文章の仕事を始める場合は、得意分野の作品を見せられるようにしておくと依頼を受けやすくなります。Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】では、作品の選び方や見せ方をテンプレート付きで紹介しています。介護食のレシピ記事や、市販の介護食品の選び方の記事を作品として並べると、専門性が伝わりやすくなります。報酬の決まり方や単価の上げ方を知りたい人は、Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】も読んでおくと、条件を比べるときの目安になります。
在宅の仕事の仲介を20年以上続けてきた運営者として見てきた限りでは、介護や医療に関わる文章の仕事で長く依頼が続く人は、資格の名前を前に出すよりも、「書いた内容を公式の資料で確かめている」「効果を大げさに言わない」という姿勢で信頼を得ています。介護食のように読む人の健康に関わる分野では、正確さと慎重さそのものが強みになります。
また、仲介の手数料がかからない直接のやり取りでは、同じ予算でも依頼する側はより多くの記事を頼め、書く側の手取りも厚くなります。介護食の知識を持つ書き手が、施設や介護食品の会社と継続してやり取りできる関係を作れると、お互いに無理のない形で仕事が続きます。
介護食士は国家資格ではありませんが、72時間の講習と修了試験を経て、介護食の知識と技術を体系立てて身につけたことを示せる資格です。まずは協会の開講施設の一覧から、一般の人が受けられる3級の講習会を探し、日程と費用を問い合わせるところから始めてください。
よくある質問
Q. 介護食士は国家資格ですか?
介護食士は国家資格ではなく、公益社団法人全国調理職業訓練協会が認定する民間の資格です。協会の案内にある「内閣総理大臣認定」は、協会が公益社団法人として認定を受けていることを指していて、資格が国の試験で与えられるという意味ではありません。国家資格の調理師や介護福祉士とは、根拠も取り方も違います。
Q. 介護食士3級は誰でも受けられますか?
3級は受講資格が要らず、介護や調理の仕事をしていない人でも受けられます。ただし、講習会を開いている学校の中には、在学中の学生だけを対象にしているところもあります。社会人が受けたい場合は、協会の開講施設の一覧で、対象者が「一般」または「一般・学生」となっている学校を探し、日程を問い合わせてください。
Q. 介護食士の修了試験は難しいですか?
修了試験は筆記試験と実技試験があり、どちらも60点以上で合格です。試験を受けるには、講習会で80%以上の出席が必要です。講習の内容を復習し、実習で作った料理を自分で再現できるように練習しておけば、十分に合格を目指せます。休みが続きそうな人は、補講の有無を先に学校に確かめておくと安心です。
Q. 介護食士1級を受けるにはどんな条件がありますか?
1級を受けるには、介護食士2級を取得したあと、2年以上介護食調理の実務に従事した25歳以上の人である必要があります。講習を受けるだけでは進めないため、2級を取ったあとに介護食を作る仕事を続け、その期間を証明できるようにしておくことが大切です。1級の講習会を開いている学校は限られるため、早めに探しておきます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







