アラビア語のECの商品説明と越境


この記事のポイント
- ✓アラビア語の翻訳をEC副業として始めるための実務ガイド
- ✓越境ECの商品説明や問い合わせ対応で
- ✓定型化できる作業とできない判断の線引き
アラビア語ができるのに、それを収入に結びつける道筋が見えない。そんな相談をよくいただきます。翻訳の仕事は分量が読めないし、通訳は移動が要る。会社勤めや家庭と並行できる形は本当にあるのか、と。大丈夫です。いま在宅で数がまとまって出ているのは、書籍や論文の翻訳ではなく、越境ECの商品説明と問い合わせ対応です。ここでは、アラビア語圏向けのEC業務がどういう作業でできているのか、そのうち定型化して効率よく回せる部分はどこで、人の判断がどうしても要る部分はどこかを、順を追って整理していきます。
越境ECでアラビア語の需要が生まれる構造
日本の事業者が中東・北アフリカ地域に商品を売ろうとするとき、最初に必要になるのは商品ページです。写真は共通で使えますが、商品名、説明文、素材や成分の表記、サイズ表、配送や返品の案内、これらはすべて現地の言語で用意しなければ売れません。
この作業は、一度作れば終わりではありません。商品が追加されるたびに増えます。季節ごとにキャンペーン文が要ります。既存ページの表記が古くなれば直します。つまり継続的に発生し続ける作業であり、社内に専任を置くほどの量ではないが、外に出し続ける必要がある量です。在宅の業務委託と相性がよいのは、まさにこの形の仕事です。
需要の背景として、中東地域は人口構成が若く、オンラインでの購買が短期間で伸びた地域です。日本の化粧品、文房具、キャラクター商品、健康食品、家電の小物などは、現地で一定の関心を集めています。売り手側からすると、英語ページだけで出しても購買につながりにくいという実感があり、現地語のページを用意する動きが続いています。
求人票に現れる需要の形
実際の募集要項を見ると、アラビア語がどういう文脈で求められているかが分かります。
...事業内容:新規事業企画/海外事業責任者候補<グローバルEC企業>のポジションの求人です09:30~18:00 【経験・資格】<必須要件> 現地でビジネスを行う上での語学スキル(英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、韓国語、マレー語、タイ語、アラビア語、ヘブライ語、トルコ語など、いずれかビジネスレベル以上) 数字を分析して、分析結果についてロジカルに判断ができ、サービスに対して適切にその結果を反映させられる方... 出典: 求人ボックス
ここで求められているのは、語学だけではありません。数字を見て判断できることが並記されています。越境ECの現場では、翻訳した文章が売上にどう影響したかを見る目が求められる、ということです。この点は、副業として入る場合にも効いてきます。ただ訳すだけの人と、売れる文面を提案できる人では、依頼の継続率がまったく違います。
作業を四つに分けて考える
アラビア語圏向けのEC業務は、実務上は次の四つに分かれます。それぞれ求められる力も、単価の付き方も違います。
商品説明文の作成と翻訳
日本語の商品ページをもとに、アラビア語の説明文を作ります。単純な逐語訳では売れる文面になりません。日本のECページは、細かい仕様を箇条書きで並べる書き方が主流ですが、そのまま訳すと現地では読まれない構成になることがあります。何が並んでいるかより、誰の何の役に立つのかを先に書く必要があります。
分量は1商品あたり200字から600字程度が中心です。単価は文字数で計算されることが多く、まとまった商品数を一括で受ける形が一般的です。
カテゴリー名・属性・検索語の整備
商品説明よりも地味ですが、こちらのほうが売上への影響が大きい部分です。カテゴリー名、色や素材の名称、サイズ表記、検索用のキーワード。これらは、現地の人が実際に検索に使う語で書かれていなければ、そもそも商品ページにたどり着きません。
辞書に載っている正しい語と、人が検索窓に打ち込む語は別物です。この差を埋められる人は多くありません。ここを担当できると、単価の交渉力が上がります。
問い合わせ対応とメッセージのやり取り
購入前の質問、配送状況の確認、サイズが合わなかったという連絡、返品の依頼。これらに現地語で応答する業務です。定型文で処理できるものと、事情を汲んで書き分けるべきものが混ざります。
レビューや現地表現の確認
現地の顧客が書いたレビューを読み、内容を日本語で要約して事業者に伝える作業です。売れ行きの背景を知る手がかりになるため、事業者側の関心が高い領域です。
定型化できる部分とできない部分
副業として続けられるかどうかは、どこまで定型化できるかにかかっています。ここを切り分けずに全部を手作業でやると、時給が下がり続けます。
定型化できるもの
配送や返品に関する定型の説明、支払い方法の案内、注文確認や発送通知のテンプレート、サイズ表の換算、素材や成分の一覧表記、営業時間や休業日の案内。これらは一度きちんと作れば、以後は差し替えだけで済みます。
この整備には、表計算での管理が要ります。商品コードごとに、日本語の原文、アラビア語の訳文、更新日、確認者を並べた一覧を作る。これがあると、追加分の作業が劇的に速くなりますし、事業者側も安心します。表計算の操作を体系的に押さえておきたい場合はMOS Excel(Microsoft Office Specialist)の出題範囲が実務にそのまま対応していて、関数と表管理の基礎を確認する材料になります。
商品説明そのものも、カテゴリー単位でひな型を作れば半分は定型化できます。冒頭の一文、素材や仕様の書き方、締めの一文。ここを固定して、商品固有の情報だけを入れ替える形にすると、1商品あたりの所要時間が3分の1近くまで下がります。
定型化できないもの
一方、機械的に処理してはいけない領域があります。
第一に、宗教や文化に関わる表記です。食品であれば原材料に何が使われているか、化粧品であれば成分に何が含まれるか。これは単なる翻訳の問題ではなく、購買可否に直結する情報です。原文にない断定を訳文で足すことは絶対に避けてください。認証の有無について事業者に確認し、確認できないことは書かない。この判断は人がやるしかありません。
第二に、体の部位、年齢、性別に関わる表現、贈答の文脈です。日本語では何気ない表現が、現地の読者にとっては踏み込みすぎに映ることがあります。逆に、日本語でぼかしている部分を、はっきり書いたほうが伝わることもあります。
第三に、価格や納期に関する約束です。訳文の言い回しひとつで、確約と受け取られるか目安と受け取られるかが変わります。トラブルになるのはたいていここです。
第四に、クレームや返品の応答です。定型文で返すと、状況によっては火に油になります。事情を読み取って、どこまで謝り、何を提案するかを決める。この判断は文章力そのものです。
単価の考え方
アラビア語の翻訳単価には、公開されている目安があります。
アラビア語↔日本語の翻訳を行います。 料金表の金額はあくまで目安ですので、実際にはアラビア語原文1単語12円、日本語原文1文字6円を基準に、納期や分量、ジャンルや難易度等によって上下する可能性がありますことをご理解いただけますと幸いです。いづれにしましても、両者の納得する金額にならない限り、契約は成立しませんので、ご安心ください。 出典: lancers.jp
日本語原文1文字6円という水準を基準にすると、400字の商品説明で2,400円という計算になります。ここから、EC案件特有の調整が入ります。
同一カテゴリーの商品をまとめて受ける場合、定型部分が重複するため、単価は下がる代わりに件数がまとまります。逆に、キャンペーンのコピーや、ブランドの世界観を伝える文章は、分量が少なくても単価が上がります。文字数だけで機械的に見積もると、後者で損をします。
問い合わせ対応は、件数課金か時間課金です。件数課金の場合、簡単な質問も複雑なクレームも同じ額になるため、内容の内訳を最初に確認してください。時間課金であれば、待機時間を含むかどうかが論点になります。含まない場合、実質の時給は提示額よりかなり下がります。
言語を扱う職種の報酬水準を横断的に見ておくと、自分の提示額の妥当性が判断しやすくなります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場には、文章を扱う職種の年収分布と単価の考え方がまとまっているので、比較の基準として使えます。
在宅で始めるための手順
第一段階として実物を作る
いきなり案件に応募する前に、手元でサンプルを作ることを勧めます。実在する日本の商品ページを一つ選び、それをアラビア語の商品ページとして書き直す。原文と訳文を並べ、なぜこの構成にしたのかを日本語で数行添える。これで提案資料が一つできます。
事業者側は、アラビア語の質を自分では判定できません。判定できないものを発注するとき、人が見るのは「この人は何を考えて訳したか」です。訳文だけを見せても伝わりませんが、意図の説明が添えてあれば伝わります。
案件を探す場所
越境ECを扱う事業者、EC支援会社、商社、物流会社が発注元になります。募集の名前は「翻訳」とは限りません。EC運用、商品登録、カスタマーサポート、海外向けコンテンツ制作、といった名前で出ていることが多いので、翻訳の求人だけを見ていると見落とします。EC運用まわりの業務がどういう作業で構成されているかはEC運用代行・商品登録のお仕事にまとまっていて、商品登録や在庫管理といった周辺作業を含めて受けられると、案件の幅が広がります。
さらに一段上の関わり方として、どの商品を出すか、どの表現で売るかという設計の相談があります。EC/D2C・店舗運営コンサルのお仕事で扱われるような、売り方そのものを組み立てる領域です。語学ができるうえに現地の購買文脈が分かる人は、この位置に移りやすい立場にいます。
副業として無理なく回す配分
週5時間から10時間を確保できれば、商品説明の作成は現実的に回ります。商品説明は納期に幅があるため、平日の夜と週末で処理できます。
一方、問い合わせ対応は返信の速さが求められるため、副業との相性を慎重に見てください。時差の関係で、中東からの問い合わせは日本の深夜から早朝に届きます。24時間以内の返信でよいのか、数時間以内なのかで、生活への影響がまったく違います。
日本語側の力も落とせません。事業者とのやり取りはすべて日本語です。原文の意図を確認し、こちらの判断を説明し、納品物の意図を伝える。この往復が日本語でできることが、実は受注の可否を分けています。アラビア語が母語であることは強みですが、それだけで完結する仕事ではありません。文章の組み立て方を体系的に学び直したい場合は翻訳・ライティングレッスンのお仕事のような、教える側の視点で書かれた業務内容を見ると、何が評価される力なのかが逆算できます。
他の言語での事例も参考になります。需要の見つけ方や単価交渉の進め方という点では、中国語翻訳の副業ガイド|需要が高いジャンルと単価の目安や英語翻訳の副業ガイド|TOEIC何点から仕事ができる?で扱われている考え方が、そのままアラビア語にも当てはまります。
資格と証明について
アラビア語には、日本国内で広く通用する統一的な検定制度が整っていません。そのため、実績とサンプルで判断されるのが一般的です。資格の有無を気にして応募をためらう必要はありません。
ただし、いくつか確認しておくべき法的な境界があります。輸出入に関わる書類、たとえば通関書類や成分証明の翻訳は、内容によっては専門の資格者が扱う領域と隣接します。また、食品や化粧品の表示は、日本側では食品表示法や薬機法の規制対象であり、現地側にも独自の規制があります。訳文の表現ひとつが、規制上の問題になることがあります。
ここで大事なのは、自分で範囲を決めないことです。「翻訳しただけだから責任はない」という理屈は通らない場面があります。効能や効果に関わる表現、認証の有無に関わる表記については、根拠となる法令を確認したうえで、事業者に判断を仰いでください。判断を仰いだ記録を残しておくことも、自分を守る手順の一つです。
右から左に並ぶページで何が起きるか
アラビア語の商品ページには、日本語や英語のページにはない技術的な癖があります。これを知らずに納品すると、訳文そのものは正しいのに公開後に崩れて、事業者から「品質が悪い」と判断されてしまいます。
まず、文字の並びが右から左になります。ページ全体のレイアウトも、多くの場合は左右を反転させます。ボタンの位置、パンくずの向き、価格と割引率の並び順。ここが日本語ページのままだと、読者は違和感を覚えます。ただし、これはコーディング側の仕事です。翻訳者やライターは、崩れていることを見つけて伝える立場になります。
次に、数字と単位の扱いです。アラビア語の文中に半角数字が混ざると、表示順が入れ替わることがあります。サイズ表記や価格のように、順序が変わると意味が変わってしまう箇所は、納品後に実際の画面で確認するのが確実です。2点セットが2点の位置ではないところに出てしまう、といった事故は実際に起きます。
三つ目に、文字の連結です。アラビア文字は前後の文字とつながって形が変わります。コピーと貼り付けの過程や、フォントの選択によっては、この連結が切れて別の見た目になることがあります。切れていても、読める人が見なければ気づきません。ここを確認できるのが、現地語が読める人を入れる最大の理由です。
四つ目に、フォントと行の高さです。アラビア文字は上下に点や記号が付くため、日本語と同じ行間だと文字が詰まって見えます。読みにくさは購買率に直結するので、気づいたら伝えてください。事業者はまず気づけません。
納品時に一緒に渡すと喜ばれるもの
訳文だけを納めるより、次のものを添えると評価が変わります。表記の一覧、つまり商品カテゴリーや素材名の対訳表。判断に迷った箇所とその理由。公開後に確認してほしい箇所のリスト。
この三点は、作るのに15分もかかりません。それでいて、事業者側から見ると「この人は工程を分かっている」という印象になります。二回目以降の依頼につながる差は、たいていこういう小さなところから生まれています。
問い合わせ対応を仕組みにする
問い合わせ対応を件数で受ける場合、無計画に一件ずつ返していると時間が読めません。最初に分類を作ってください。
分類は四つで足ります。配送状況の確認、商品仕様の質問、返品や交換の依頼、その他の相談。統計的には、配送状況の確認が全体の半分近くを占めます。ここを定型文で処理できるようにすれば、実作業は大きく減ります。
定型文は、そのまま貼るのではなく、差し込み箇所を作っておきます。「〇〇様、お問い合わせありがとうございます。ご注文番号△△について確認いたしました」という形で、名前と番号だけを入れ替える。これで一件あたり1分程度に収まります。
一方、返品や交換の依頼は定型では処理できません。理由が商品の不具合なのか、サイズ違いなのか、期待と違ったという主観なのかで、返す内容が変わります。ここで機械的な文面を送ると、評価に響きます。判断が必要な案件だけを人が読む形に整理できると、時間あたりの処理量が上がり、質も落ちません。
対応の記録を残す
同じ質問が繰り返し来ている場合、それは商品ページの説明が不足しているという合図です。問い合わせの内容を分類して集計し、月に一度でも事業者に伝えると、その情報自体が価値になります。「この商品はサイズについての質問が15件来ているので、ページにサイズ表を足したほうがよい」という提案は、翻訳の枠を超えた貢献です。
こうした提案ができる人は、時給の交渉がしやすくなります。作業を頼まれている人ではなく、改善を持ち込む人として扱われるからです。
始めたばかりのころにつまずきやすいところ
最初の数件で起きやすい問題を挙げておきます。
一つ目は、分量の見積もり違いです。50商品の説明文と聞いて受けたら、一商品あたりの原文が想定の3倍あった、という例があります。受注前に、実際の原文を数点見せてもらってください。
二つ目は、参照資料が渡されないまま進めてしまうことです。ブランド名の表記、既存ページで使っている用語。これらが揃っていないと、後から全部直すことになります。既存のアラビア語ページがあるなら、必ずURLをもらってください。
三つ目は、支払い条件を確認しないまま着手することです。締め日と支払日、検収の期間、修正対応が何回まで含まれるのか。特に修正回数は、決めておかないと無限に続きます。2回までを見積もりに含め、それ以降は別途とするのが一般的な線です。
四つ目は、納期の設定です。商品説明はまとまった分量になることが多いため、一括納品にすると最後に集中して破綻します。3回程度に分けて中間納品する形にすると、方向性のずれも早く分かります。
市場としてどう見ておくか
副業を選ぶときは、その市場が伸びているのか縮んでいるのかを見ておく必要があります。数年で消える領域に時間を投じるのは得策ではありません。
越境ECという枠で見ると、日本の事業者が海外へ直接売る動きは長期的に続いています。国内市場の人口が減っていく以上、売り先を外に求める流れは構造的なものです。そのなかで、英語圏と中華圏は既に競争が激しく、参入する事業者も多い。相対的に手が付いていないのが中東地域で、ここに出ようとする事業者が少しずつ増えている、という位置づけになります。
需要の総量そのものは、英語や中国語に比べれば小さいままでしょう。ただし、対応できる人の数はそれ以上に少ない。副業として見るなら、市場の大きさより、需要と供給の比率が重要です。競合が少ない領域で確実に受注できるほうが、巨大だが競合だらけの領域で埋もれるより、収入としては安定します。
もう一つ、AIによる自動翻訳の影響を考えておく必要があります。定型的な商品説明の一次翻訳は、今後さらに機械側に寄っていくと見るのが自然です。そのとき残るのは、機械の出力を判定する仕事と、機械には判断できない領域です。文化的な適否、規制に関わる表現、購買につながる言い回しの選択。この記事で「定型化できない」として挙げた部分が、そのまま人の仕事として残る部分になります。効率化できるところは積極的に機械に任せて、判断の部分に時間を寄せる。この配分ができる人が、長く残ります。
契約と請求まわりで押さえること
在宅で業務委託として受ける以上、契約と請求の基本は自分で管理することになります。
契約書または発注書には、業務の範囲、納期、報酬額と支払期日、修正対応の回数、成果物の権利の扱い、秘密保持について書かれているのが通常です。書かれていない項目があれば、メールでよいので文章で確認しておいてください。口頭やチャットでの合意も証拠にはなりますが、後から探すのが大変です。
報酬については、源泉徴収の有無を確認します。翻訳の報酬は源泉徴収の対象となる場合があり、手取り額が提示額と変わります。事前に知っていれば混乱しません。
副業として一定の所得を超えると、確定申告が必要になります。経費として計上できるものも出てきます。辞書や参考書、通信費の一部、作業に使う機材。記録を残しておかないと、後からまとめようとしても分からなくなります。取引ごとに、日付、相手、金額、内容を並べた一覧を作っておくだけで、申告時の作業がまったく違います。
請求書は、事業者の指定する形式があればそれに従います。指定がない場合は、発行日、宛名、件名、数量と単価、小計、消費税、合計、振込先、支払期日を記載した形が標準です。取引先が増えてくると、月末に何件分の請求が必要かを把握するだけでも手間になります。案件を受けた時点で請求予定を一覧に足しておくと、請求漏れが防げます。
支払いの遅延が起きたときは、感情的にならず、事実を並べて確認するのが一番早く解決します。発注書の日付、納品の日付、契約上の支払期日。この三つを示して照会すれば、多くは社内の処理漏れとして解決します。相手を疑う前に、まず事実を確認する。この順序を守れる人は、取引先との関係を長く保てます。
運営者として見てきた市場の動き
在宅ワークと業務委託の市場を長く運営してきた立場から見ると、越境ECの案件には特徴的な動き方があります。
一つは、最初の依頼が小さく始まることです。商品10点の説明文、といった規模で打診が来ます。ここで断らずに丁寧に納めた人のところに、次は100点、その次はサイト全体という形で仕事が積み上がっています。逆に、最初から大きな案件を待っている人には、いつまでも声がかかりません。
もう一つは、翻訳という作業単体では長続きしにくいということです。長く続いている人は、訳文を納めるだけでなく、「この表現は現地では読まれない」「この写真は差し替えたほうがよい」といった提案を添えています。事業者にとっては、現地が分かる相談相手が一人いる状態が何より価値があります。作業の速さで勝負すると、いずれ機械翻訳と比較されます。判断の質で位置を取れば、比較の土俵に乗りません。
そして、手取りの話です。翻訳やEC支援の仕事は、依頼者と受け手のあいだに複数の会社が入る形が長く続いてきました。間が増えるほど、依頼者が払った金額と受け手が受け取る金額の差は広がります。中間のマージンが乗らない直接の取引では、同じ予算で依頼者はより多くの分量を頼めますし、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%という形が意味を持つのは、金額の大きさというより、同じ仕事をして手元に残る量が違うという質の部分です。
アラビア語という言語は、日本国内では明らかに供給が足りていません。足りていない側にいる人が、自分の値段を平均に合わせにいく必要はありません。何を定型化して速く回せるのか、どこは人の判断が要るのか。この線引きを自分の言葉で説明できることが、この仕事を長く続けるうえでいちばん確かな武器になります。
よくある質問
Q. アラビア語のEC翻訳は、翻訳の実務経験がなくても始められますか?
商品説明はひな型化できる部分が多く、書籍や契約書の翻訳より入口は広い領域です。ただし現地で使われる検索語や表記の感覚が求められます。実在の商品ページを一つ選んでアラビア語版を自作し、構成の意図を日本語で添えた提案資料を用意すると、実績がなくても判断してもらえます。
Q. 単価はどのくらいを目安にすればよいですか?
日本語原文1文字6円、アラビア語原文1単語12円あたりが公開されている基準で、400字の商品説明なら2,400円程度の計算になります。同一カテゴリーをまとめて受ける場合は単価が下がる代わりに件数がまとまり、キャンペーンのコピーは分量が少なくても単価が上がります。
Q. 問い合わせ対応は副業でも受けられますか?
受けられますが、返信速度の条件を必ず確認してください。中東からの問い合わせは日本の深夜から早朝に届くため、数時間以内の返信を求められると生活への影響が大きくなります。24時間以内でよい契約か、定型文で処理できる範囲がどこまでかを事前に決めておくことが重要です。
Q. 食品や化粧品の説明文で気をつけることは何ですか?
成分や原材料の表記、効能に関わる表現は、日本側の食品表示法や薬機法、現地側の規制の双方に関わります。原文にない断定を訳文で足さないこと、認証の有無は事業者に確認して裏が取れないことは書かないことが原則です。判断を仰いだ記録を残しておくと自分を守れます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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