匿名アンケートを作成する手順と、回答者が特定されないための設定


この記事のポイント
- ✓匿名アンケートを作成するときの手順を
- ✓GoogleフォームとMicrosoft Formsの公式ヘルプで確かめた設定の名前で解説します
- ✓名前を記録しない設定に加えて
職場の働き方について本音を聞きたい、講座の受講者に遠慮のない感想を書いてほしい。そんなときに必要になるのが匿名アンケートです。ただ、匿名アンケートを作成するときに「名前の欄を作らない」だけで済ませると、設定や質問の組み合わせから、だれの回答かが分かってしまうことがあります。
この記事では、GoogleフォームとMicrosoft Formsで匿名アンケートを作る手順を、公式ヘルプに載っている設定の名前で紹介します。そのうえで、設定だけでは防げない「回答の中身から特定される」パターンと、その防ぎ方、回答者への説明文の書き方まで整理します。部署ごとの比較もしながら、気になる声に対応を進めたい場合の道具として、Halictにも触れます。
匿名アンケートが必要になる場面
匿名アンケートが向いているのは、名前が分かると答えにくい内容を聞きたいときです。よくある場面を挙げます。
・職場の満足度、人間関係、働く時間についての社内アンケート
・上司や研修講師への評価
・講座やセミナーの受講者アンケート
・サービスを使ってくれているお客様への満足度調査
・保護者会や地域の会合での意見集め
共通しているのは、答える側が「正直に書いたら、あとで気まずくなるかもしれない」と感じる関係にあることです。オンラインのフィットネス講座でも、名前入りのアンケートでは「とても良かった」ばかりが並び、名前を聞かない形に変えたとたんに「動きが速すぎてついていけなかった」「画面の角度で講師の足が見えなかった」といった、次の改善につながる声が出てくる、というのはよくある話です。
反対に、匿名にしないほうがよい場面もあります。回答をもとに個別に連絡したい、申し込みや注文を受け付けたい、回答に応じて本人に対応したい、といった場合は、だれの回答かが分からないと話が進みません。「本音を集めたい」のか「一人ひとりに対応したい」のかを先に決めておくと、匿名にするべきかどうかで迷わずに済みます。
両方を叶えたいときは、本体のアンケートは匿名にして、最後に「個別に話を聞いてほしい人は、こちらの別のフォームから連絡してください」と、名前を書く窓口を分けて用意する方法があります。匿名の回答と、名前を出してもよい相談が同じ表に混ざらないので、回答者も安心して答えられます。
匿名には2つの段階がある
匿名アンケートを作る前に、「匿名」という言葉が指すものを2つに分けて考えておくと、設定の意味が分かりやすくなります。
1つ目は、名前やメールアドレスを集めないことです。これを「無記名」と呼ぶことにします。フォームの設定で名前を記録しない、名前やメールアドレスを聞く質問を作らない、という段階です。
2つ目は、回答の中身から本人が分からないことです。名前を聞いていなくても、「所属は営業部、勤続年数は20年以上、年代は50代」という組み合わせで、その職場に1人しかいない人が浮かび上がることがあります。自由記述に書かれた出来事から、書いた人が分かってしまうこともあります。
多くの解説記事は1つ目の設定で終わっていますが、回答者が本当に心配しているのは2つ目です。設定で無記名にしたうえで、質問の作り方と結果の見せ方で2つ目まで守る。この2段構えで考えるのが、匿名アンケートを作るときの基本です。
Microsoft Formsの公式ヘルプも、名前を記録しない設定にしても特定できてしまう場合があることを、例を挙げて注意しています。
1 つ以上の質問で個人を特定できる情報 (名前など) が求められ、フォームの回答者がそれを提供すると、名前が記録されます。 フォームを organization 内の少数の特定のユーザーにのみ送信する場合は、質問内容と回答方法に応じて、それらのユーザーと回答を一致させることができる場合があります。 出典: support.microsoft.com
もう1つ覚えておきたいのは、匿名かどうかを決めるのは作る側の設定ではなく、答える側の受け止め方だという点です。設定上は名前を記録していなくても、回答者が「どうせ分かるのでは」と感じていれば、本音は書かれません。だからこそ、設定を整えることと、それを回答者に分かる言葉で伝えることを、同じ重さで扱う必要があります。説明文の書き方も、後半の節で例文つきで紹介します。
この2つ目の段階の守り方は、後半の節で詳しく扱います。まずは、1つ目の無記名の設定から見ていきます。
Googleフォームで匿名アンケートを作成する手順
Googleフォームは、Googleアカウントがあれば無料で使えるフォームの作成ツールです。匿名アンケートにするときに確かめる設定は、主に「設定」の中の「回答」の項目に集まっています。公式ヘルプに沿って、順番に進めます。
手順1:フォームを作り、名前やメールアドレスを聞く質問を入れない
新しいフォームを作り、質問を並べます。このとき、氏名、メールアドレス、社員番号、電話番号を聞く質問は入れません。ファイルのアップロードの質問も避けます。公式ヘルプによると、ファイルのアップロードの質問に答えるには、回答者がGoogleアカウントにログインする必要があります。ログインを求めるだけで、回答者は「だれが答えたか分かるのでは」と不安になります。
手順2:メールアドレスを収集しない設定にする
フォームの上部にある「設定」を開き、「回答」の横にある下矢印を押します。「メールアドレスを収集する」という項目があり、公式ヘルプでは「確認済み」と「回答者からの入力」という選び方が紹介されています。「確認済み」はGoogleアカウントのメールアドレスを回答と一緒に集める設定、「回答者からの入力」は回答者に手でメールアドレスを入力してもらう設定です。匿名アンケートでは、どちらも選ばず、メールアドレスを集めない状態にします。
手順3:「回答を1回に制限する」をどうするか決める
同じ人が何度も答えるのを防ぐ「回答を1回に制限する」という設定があります。公式ヘルプには、この設定をオンにすると回答者はGoogleアカウントへのログインが必要になること、そしてユーザー名が記録されるのはメールアドレスを収集する場合だけであることが書かれています。
フォームにアクセスして入力するには、Google アカウントにログインする必要があります。ユーザー名が記録されるのは、設定で [回答] をオンにしてメールアドレスを収集する場合のみです。 出典: support.google.com
つまり、メールアドレスを集めなければ名前は記録されません。ただ、ログインを求められた回答者の多くは、記録されないことまでは知りません。重複を防ぐ必要があまりないアンケートなら、この設定はオフにして、ログインなしで答えられるようにするほうが、回答者の安心につながります。
手順4:「結果の概要を表示する」をオフにする
「設定」の「プレゼンテーション」の中に、「結果の概要を表示する」という項目があります。公式ヘルプによると、これをオンにすると、回答した人に結果へのリンクが表示され、各質問への回答の全文やグラフを、フォームに回答できるすべての人が見られるようになります。自由記述まで全員に見えるので、匿名アンケートでは原則としてオフにします。
手順5:公開して、だれでも同じリンクで答えられるように配る
右上の「公開」を押してフォームを公開し、「回答者に送信するリンクをコピー」でリンクを取得します。配るときは、全員に同じリンクを送ります。職場や学校でGoogleのサービスを使っている場合、フォームに答えられる人を組織の中の人に限ることもできます。その場合は回答者にログインが求められるので、手順3と同じく「名前は記録されない」ことを説明文で伝えておくと安心してもらえます。
Microsoft Formsで匿名アンケートを作成する手順
会社でMicrosoft 365を使っているなら、Microsoft Formsで作る方法もあります。Microsoft Formsでは、名前を記録するかどうかを「設定」で切り替えます。
公式ヘルプの手順は次のとおりです。
- 匿名にしたいフォームを開き、上部の「設定」を選ぶ
- 「このフォームに入力できるユーザー」で、答えられる人の範囲を選ぶ
- 組織の中の人に限る場合は、「名前を記録」のチェックを外す
答えられる人の範囲には、「誰でも回答可能」「組織内のユーザーのみが回答可能」「組織内の特定のユーザーが回答可能」の3つがあります。「誰でも回答可能」を選ぶと、回答は名前が記録されずに届きます。組織の中に限る2つの場合は、「名前を記録」のチェックを外すと、名前が記録されなくなります。
なお、公式ヘルプによると、「名前を記録」の設定が使えるのは、Microsoft 365の職場や学校のアカウントで作ったフォームです。Outlook.comなどの個人のMicrosoftアカウントで作ったフォームでは、この設定は表示されず、名前を記録しない形で自動的に設定されます。
1人が何度も答えるのを防ぐ「1人1つの回答」という設定もありますが、これは組織の中の人に答えてもらうときの設定です。チェックを外した「名前を記録」と組み合わせるかどうかは、回答者にどう説明するかと合わせて決めます。
もう1つ、Microsoftの公式ヘルプが注意しているのが、回答の時刻です。違う時間帯に住んでいる人にフォームを送ると、「開始時刻」や「完了時刻」から回答と人が結び付けられる場合がある、と書かれています。海外の拠点とまたがる職場や、在宅で働く時間が人によって大きく違うチームでは、回答の時刻を結果として共有しないようにします。
GoogleフォームとMicrosoft Forms、どちらで作るか
どちらでも匿名アンケートは作れます。選ぶときは、機能の差より、回答者がふだん何を使っているかで決めるのが近道です。
| 比べる点 | Googleフォーム | Microsoft Forms |
|---|---|---|
| 名前を記録しない方法 | メールアドレスを収集しない | 「名前を記録」のチェックを外す、または「誰でも回答可能」にする |
| 組織の中の人に限る | 職場や学校のGoogleアカウントで設定できる | 「組織内のユーザーのみが回答可能」を選ぶ |
| 同じ人の重複を防ぐ | 「回答を1回に制限する」(ログインが必要) | 「1人1つの回答」(組織の中の人が対象) |
| 向いている職場 | Googleのサービスを使っている職場、個人で作る場合 | Microsoft 365を使っている職場 |
社内のアンケートなら、社員がふだんログインしているほうの道具を選ぶと、回答者が迷いません。社外のお客様や、講座の受講者のように所属がばらばらの人に答えてもらう場合は、ログインなしで答えられる設定にすることを優先します。Googleフォームなら「回答を1回に制限する」をオフに、Microsoft Formsなら「誰でも回答可能」を選ぶと、アカウントを持っていない人でも答えられます。
どちらを選んでも、匿名を守るうえで大事なのは設定より質問の作り方です。道具選びに時間をかけすぎず、次の節で扱う「回答から特定されるパターン」の確認に時間を回すほうが、結果として本音の集まるアンケートになります。
設定だけでは防げない「回答から特定される」パターン
ここからが、匿名アンケートを作るうえでいちばん大事な部分です。設定で無記名にしても、次のようなパターンで回答者が分かってしまうことがあります。
属性の質問の掛け合わせ
所属、年代、勤続年数、役職、性別。1つずつなら何人もいる答えでも、掛け合わせると1人に絞れてしまいます。20人の職場で「部署」「年代」「勤続年数」の3つを聞くと、ほとんどの人が特定できてしまう、ということは珍しくありません。
回答する人数が少ない
部署ごとに結果を出すと決めていて、その部署が3人しかいない場合、少し考えればだれの回答かが分かります。Microsoftの公式ヘルプも、少数の特定の人にだけ送る場合は回答と人が結び付けられる場合がある、と注意しています。
自由記述の中身
「先週の会議で〇〇さんに言われたこと」のように、具体的な出来事を書くと、その場にいた人には書いた人が分かります。書き方の癖や、よく使う言い回しで分かることもあります。
一人ひとりに違うリンクを配る
Googleフォームには、一部の欄にあらかじめ答えを入れたリンクを作る「フォームに事前入力する」という機能があります。便利な機能ですが、人ごとに違う値を入れたリンクを配ると、その値から回答者が分かってしまいます。匿名アンケートでは、全員に同じリンクを配ります。
回答の時刻と、配った順番
1人ずつ時間をずらしてリンクを送ったり、「答えたら教えてください」と声をかけたりすると、回答が届いた時刻から人が推測できます。配るときは全員に同時に送り、答えたかどうかを個別に確かめないようにします。
特定されにくい質問の作り方
上のパターンを踏まえて、質問の作り方を見直します。よくある質問を、特定されにくい形に直した例を表にしました。
| 直す前 | 直した後 | 理由 |
|---|---|---|
| 年齢を数字で入力 | 「30代以下」「40代以上」の2択 | 区分を粗くすると、同じ答えの人が増える |
| 勤続年数を年数で入力 | 「5年未満」「5年以上」 | 長く勤めている人が少ない職場では、とくに粗くする |
| 部署を全部の中から選ぶ | 人数の少ない部署はまとめて「その他」 | 3人以下の部署は1人に絞られやすい |
| 「上司について自由に書いてください」 | 「職場で改善してほしいことを、仕組みの面から書いてください」 | 人ではなく仕組みに目を向けてもらう |
| すべての質問を必須にする | 属性の質問は「答えたくない」を選べるようにする | 答えたくない人の逃げ道をつくる |
ポイントは、集計で本当に使う属性だけを聞くことです。「念のため年代も聞いておこう」という質問が、匿名を崩すきっかけになります。部署ごとに比べたいなら部署だけ、年代ごとに比べたいなら年代だけ、と目的に合わせて1つか2つに絞ります。
自由記述は、匿名アンケートでいちばん価値のある声が集まる場所ですが、同時にいちばん特定されやすい場所でもあります。質問文の下に「個人名や、特定の出来事が分かる書き方は避けてください。いただいた内容は、集計する担当者が書き方を整えてから共有します」と添えておくと、書く側も書き方に気をつけられます。
回答者に匿名だと伝える説明文の書き方
設定を整えても、回答者に伝わっていなければ本音は出てきません。フォームの冒頭に書く説明文には、次の4つを入れます。
- 名前やメールアドレスは記録しないこと
- ログインを求められても、名前は記録されないこと(ログインが必要な設定の場合)
- 結果をだれが見て、どんな形で共有するのか
- 回答の締め切りと、所要時間の目安
例文を示します。
「このアンケートは無記名です。お名前やメールアドレスは記録しません。回答の内容は、人事担当の2名だけが確認し、全体での共有は部署ごとの集計と、書き方を整えた自由記述の抜粋に限ります。5名未満の部署は、他の部署とまとめて集計します。所要時間は5分ほどです。〇月〇日までにご回答ください。」
この例文のように、結果をどこまで、どんな形で見せるのかを具体的に書くと、回答者は安心して答えられます。「匿名なので安心して書いてください」だけでは、何がどう守られるのかが伝わりません。
「5名未満の部署はまとめて集計する」のような決まりは、説明文に書いた以上、必ず守ります。一度でも約束と違う見せ方をすると、次のアンケートから本音は出てこなくなります。
回答を集める期間と、回答率を上げる工夫
匿名アンケートは、名前入りのアンケートより回答が集まりにくい傾向があります。だれが答えたか分からないので、答えていない人に個別に声をかけられないからです。回答を集める期間の組み立て方で、この弱点を補います。
質問の数を絞る
回答にかかる時間は5分以内を目安にします。質問が20問を超えると、途中で閉じる人が増えます。「聞いておけば何かに使えるかもしれない」という質問は外し、結果を見て実際に何かを変えられる質問だけを残します。オンラインの講座のアンケートでも、10問を超えると最後の自由記述が空欄になりやすく、5問程度に絞ったほうが具体的な感想が集まりやすいものです。
期間は1週間から2週間にする
期間が短すぎると、忙しい時期の人が答えられません。長すぎると後回しにされて忘れられます。1週間から2週間を目安にし、締め切りの日付をはっきり書きます。
声かけは全員に同じ内容で
途中で回答を呼びかけるときは、全員に同じ文面を同時に送ります。「まだ答えていない人は」と個別に声をかけると、だれが答えたかを把握しているように受け取られ、匿名への信頼が崩れます。「締め切りまであと3日です。まだの方はご協力ください」と全員に送るのが、匿名アンケートでの声かけの基本です。
答える時間を用意する
社内のアンケートなら、朝礼や会議の最後の5分を回答の時間に充てる方法もあります。全員がその場で答えるので、回答率が上がるうえに、回答の時刻から人を推測されにくくなります。
集計と結果の共有で気をつけること
回答が集まったあとも、匿名を守るための作業が続きます。
まず、結果を見る人を決めて絞ります。フォームを一緒に編集するために共有した相手や、回答を保存したGoogleスプレッドシートの共有相手が、そのまま回答まで見られる状態になっていないかを確かめます。アンケートを作るときに手伝ってもらった人が、集計の担当ではないのに回答まで見られる、というのはよくある見落としです。説明文で「確認するのは人事担当の2名だけ」と書いたなら、共有の相手もその2名に合わせて見直します。
次に、自由記述をそのまま全員に配らないことです。固有名詞や、特定の出来事が分かる部分は、意味を変えない範囲で書き方を整えてから共有します。
そして、少人数のグループの結果を単独で出さないことです。部署ごとのグラフを作るときに、人数の少ない部署だけが突出した点数になっていると、その部署の人の回答が目立ちます。説明文で約束した人数の下限を守って、まとめて集計します。
最後に、結果を受けて何をするのかを回答者に伝えます。「集めて終わり」になったアンケートは、次から答えてもらえなくなります。すべてに応えられなくても、「この声を受けて、来月から〇〇を試します」と1つでも返すと、次の回答の質が変わります。
社外のお客様や受講者に匿名アンケートを取るとき
ここまでは主に社内のアンケートを例にしてきましたが、お客様や講座の受講者に匿名で感想を聞く場面もあります。社外の人が相手のときは、社内とは違う点に気を配ります。
1つ目は、ログインを求めないことです。社外の人は、こちらが使っている道具のアカウントを持っているとは限りません。ログインを求めた時点で答えるのをやめてしまう人もいます。だれでもリンクを開くだけで答えられる設定にします。
2つ目は、回答のお礼にプレゼントを付けるときの扱いです。抽選で何かを送るには、送り先の情報が必要になります。アンケートの回答と送り先を同じフォームで集めると、匿名ではなくなります。アンケートの送信後の画面に、プレゼントの応募用の別のフォームへのリンクを表示し、回答と応募を切り離して集めます。説明文にも「プレゼントの応募は別のフォームで受け付け、アンケートの回答とは結び付けません」と書いておきます。
3つ目は、少人数の講座やイベントでの配り方です。参加者が5人の講座で匿名アンケートを取っても、講師から見ればだれが何を書いたかはおおよそ見当がつきます。少人数のときは、複数回の講座の回答をまとめて読む、自由記述ではなく選択肢中心の質問にする、といった工夫で、回答者が書きやすい形にします。
部署ごとの比較と、届いた声への対応も進めたいとき
匿名アンケートを毎回の運用として続けていると、Googleフォームで回答を集め、スプレッドシートで部署ごとに平均を出し、気になる自由記述に「対応が必要」と色を付け、担当者の名前を横の列に書き込む、という作業が増えていきます。集計まではGoogleフォームで十分ですが、「届いた声のうち、どれに対応したのか」を記録するところで道具が分かれます。
この場面で検討できるのがHalictです。Halictは、フォームを作り、届いた回答を担当・ステージ・タグつきで管理し、同じ画面から返信まで送れるフォームのサービスです。公式サイトの利用シーンには「社内アンケート・従業員サーベイ」があり、名前を聞かない設問にすれば、だれの回答かは残らないこと、部署で絞り込んで評価の平均を比べられること、自由記述をCSVで書き出してまとめて読めることが紹介されています。
公式サイトに書かれている主な機能は次のとおりです。
・作りたいアンケートを一言で伝えると、AIが質問と選択肢の下書きを組み立てる
・回答者に見えるのは目の前の1問だけの画面で、進み具合が分かるバーが付く
・評価、選択肢、日付、長文など12種類の入力項目
・届いた回答に「未確認」「確認済み」「対応が必要」「対応済み」のようなステージとタグを付けて絞り込む
・CSVの書き出し、Googleスプレッドシートへの追記(スタータープラン以上)
料金はメンバーの人数で決まり、フリープランは1人まで無料で、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限です。チームで回答を管理する場合は、税抜の月額でスタータープラン2,980円(3人まで)、チームプラン7,800円(10人まで)が公式の料金ページに載っています。
匿名アンケートで使うときに注意したいのは、Halictには、メールアドレスを手がかりに同じ人の回答を1人の連絡先としてまとめる機能があることです。匿名で集めるなら、メールアドレスの項目を入れずに作ります。これはどのフォームの道具でも同じで、名前やメールアドレスを聞かない設問にすることが、匿名の土台になります。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
匿名アンケートを作る前のチェックリスト
最後に、作成から公開までに確かめることを一覧にします。公開の前に、上から順に確かめてください。
- 匿名にする目的は「本音を集めること」で、一人ひとりへの対応は別の窓口に分けたか
- 氏名、メールアドレス、社員番号、電話番号を聞く質問が入っていないか
- ファイルのアップロードの質問が入っていないか
- メールアドレスを収集する設定(Googleフォーム)や、名前を記録する設定(Microsoft Forms)がオフになっているか
- 属性の質問は、集計で使う1つか2つに絞り、区分を粗くしたか
- 人数の少ない区分を「その他」にまとめたか
- 属性の質問に「答えたくない」の選択肢を入れたか
- 自由記述の質問文に、個人名や出来事を書かないよう添え書きしたか
- 「結果の概要を表示する」がオフになっているか
- 全員に同じリンクを、同時に配る段取りになっているか
- 説明文に、記録しないもの、結果を見る人、共有の形、締め切りを書いたか
- 回答を見られる共同編集者や、スプレッドシートの共有相手を絞ったか
この12項目を確かめておけば、設定の漏れと、中身から特定されるパターンの大半は防げます。とくに5と6は見落とされやすいので、質問を並べ終えたあとに、自分が回答者だったらどこまで絞り込まれるかを試しに考えてみるのがおすすめです。
試しに答えてみるのも効果があります。公開前に、別のブラウザやログインしていない状態でフォームを開いて回答し、届いた回答の画面に名前やメールアドレスが出ていないかを自分の目で確かめます。オンライン講座のアンケートでも、運用前に1回だけ自分で答えてみて、メールアドレスの項目が残っていたのに気づいた、というのはよくある失敗の防ぎ方です。
アンケートの設計と分析を仕事にする
匿名アンケートの作り方は、社内の担当者だけでなく、在宅で働く人の仕事にもつながります。企業や団体から、従業員アンケートや顧客満足度調査の設計、集計、報告書の作成を受ける仕事があるからです。
設問を組み立て、集まった回答を分析して、次の打ち手まで報告書にまとめる仕事は、マーケティングの分析の仕事の一部として依頼されることが多いものです。マーケ戦略・分析・レポート作成のお仕事では、どんな分析や報告書が求められているのか、どんな力が評価されるのかがまとめられています。アンケートの説明文や結果の報告書のように、読み手に誤解なく伝える文書づくりに関心がある人は、契約書・資料・企画書作成のお仕事も参考になります。
在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、アンケートの仕事で信頼される人は、設問の数を増やす人ではなく、「この質問は何のために聞くのか」を依頼者と一緒に絞り込める人です。匿名を守るための工夫は、そのまま回答の質を上げる工夫でもあります。仲介の手数料がかからない直接の取引なら、依頼する側は同じ予算で設計から報告まで任せやすくなり、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%で直接取引できる場では、こうした丁寧な仕事がそのまま次の依頼につながりやすくなります。
職場のアンケートは、働き方のルールを見直すきっかけにもなります。アンケートで在宅勤務や副業への要望が多く集まったときは、リモートワーク・副業解禁に対応した就業規則の作成費用と注意点が、規則を見直すときの費用と進め方の参考になります。組織の課題を調べて改善策を示す専門家として、中小企業診断士の資格を目指す人もいます。アンケートを正しく作って読み解ける力は、どちらの道でも生きてきます。
よくある質問
Q. Googleフォームで作ったアンケートは、設定しなければ匿名になりますか?
メールアドレスを収集する設定をしていなければ、回答と一緒に名前やメールアドレスは記録されません。ただし、名前や社員番号を聞く質問を入れていたり、ファイルのアップロードの質問でログインを求めていたりすると、匿名とは言えなくなります。公開前に、ログインしていない状態で自分で答えて、届いた回答を確かめるのが確実です。
Q. 「回答を1回に制限する」をオンにすると名前が分かりますか?
Googleの公式ヘルプによると、この設定をオンにすると回答者はGoogleアカウントへのログインが必要になりますが、ユーザー名が記録されるのはメールアドレスを収集する設定にしている場合だけです。ただ、ログインを求められると不安に感じる回答者もいるため、説明文で記録されないことを伝えておきます。
Q. 少人数の職場でも匿名アンケートは成り立ちますか?
人数が少ないほど、属性の質問や自由記述から回答者が分かりやすくなります。属性の質問は聞かないか、区分をできるだけ粗くし、結果は全体の集計だけを共有するようにします。自由記述は書き方を整えてから共有すると説明文に書いておくと、回答者が安心して書けます。
Q. 匿名アンケートで気になる回答があったとき、本人に連絡できますか?
匿名で集めた回答の本人に連絡することはできません。個別の対応が必要になりそうな内容を扱うときは、アンケートの最後に「個別に相談したい人はこちら」と、名前を書いて連絡できる別の窓口を案内しておきます。匿名の回答と、名前を出した相談を分けておくことで、両方の安心を保てます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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