無資格で経管栄養はできるか|研修と医療的ケア


この記事のポイント
- ✓経管栄養は無資格の介護職ではできません
- ✓喀痰吸引等研修を修了して都道府県から認定を受け
- ✓登録した事業所で医師の指示の下に行う必要があります
介護の現場で働き始めると、胃ろうや鼻からのチューブで栄養をとっている利用者に出会います。先輩が栄養剤をつないでいるのを見て、「自分も手伝ってよいのだろうか」「無資格でもできるのだろうか」と迷う人は少なくありません。
結論から書くと、研修を受けていない無資格の介護職が経管栄養の注入を行うことはできません。介護職が経管栄養を行えるのは、喀痰吸引等研修という研修を修了して都道府県知事から認定を受け、登録した事業所で、医師の指示の下に看護職と連携して行う場合に限られます。この記事では、その仕組みを法律の条文と厚生労働省の資料で確かめながら、研修の種類と時間、事業所の条件、職場で頼まれたときにどうすればよいかまでを説明します。
経管栄養とはどんなケアか
経管栄養とは、口から十分に食事をとることが難しい人に、チューブを通して栄養剤を胃や腸に直接届ける方法のことです。代表的な方法は次の2つです。
- 胃ろう・腸ろう:おなかの皮膚から胃や腸に小さな穴をつくり、そこに取り付けたチューブから栄養剤を入れる方法
- 経鼻経管栄養:鼻から胃までチューブを通し、そこから栄養剤を入れる方法
経管栄養は、栄養と水分を確保して体力を保つための大切なケアです。一方で、栄養剤が気管に入って肺炎を起こしたり、チューブの位置がずれていることに気づかずに注入したりすると、命に関わる事故につながるおそれがあります。経鼻経管栄養では、チューブが正しく胃に届いているかの確認が特に重要です。
こうした危険があるため、経管栄養は医師や看護師が行う「医行為」として扱われてきました。医行為とは、医師の医学的な判断と技術がなければ、人の体に危害を及ぼすおそれのある行為のことです。医行為は、原則として医師や看護師などの医療職でなければ行うことができません。
なぜ無資格ではできないのか
介護職が経管栄養を行えるようになったのは、2012年4月に施行された社会福祉士及び介護福祉士法の改正からです。それまでは、医療職でない介護職がたんの吸引や経管栄養を行うことは、一定の条件の下で例外的に認められていたにすぎませんでした。
改正によって、介護職がたんの吸引と経管栄養を行うための正式な仕組みができました。法律の附則には、研修を修了して認定証の交付を受けた介護職について、次のように定めています。
介護の業務に従事する者(介護福祉士を除く。次条第二項において同じ。)のうち、同条第一項の認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けている者(以下「認定特定行為業務従事者」という。)は、当分の間、保健師助産師看護師法第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として、医師の指示の下に、特定行為(略)を行うことを業とすることができる。 出典: e-Gov法令検索(社会福祉士及び介護福祉士法)
読み解くと、介護職が経管栄養を行えるのは「認定特定行為業務従事者認定証」を受けた人だけで、しかも「医師の指示の下に」行う場合に限られる、ということです。同じ附則には、認定証は都道府県知事が交付し、喀痰吸引等研修の課程を修了したと都道府県知事が認定した人でなければ交付を受けられないことも定められています。また、業務を行うときは医師、看護師その他の医療関係者との連携を保たなければならないとされています。
つまり「無資格」という言葉を「研修も認定も受けていない」という意味で使うなら、その人が経管栄養の注入を行うことは、この仕組みの外にあります。介護福祉士の資格を持っていても、後で説明する実地研修を終えていなければ同じです。
介護職ができるようになるまでの3つの条件
介護職が経管栄養を行うには、本人の条件と、働く事業所の条件の両方がそろっている必要があります。整理すると次の3つです。
- 本人が喀痰吸引等研修を修了し、都道府県知事から認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けていること
- 働いている事業所が、たんの吸引等の業務を行う事業所として都道府県知事の登録を受けていること
- 医師の指示があり、看護職との連携の体制のもとで行うこと
1つ目の認定は、研修の課程に応じて行ってよい行為の範囲が決まります。たとえば胃ろうと腸ろうの経管栄養だけを修了した人は、経鼻経管栄養を行うことはできません。認定証に記載された行為の範囲を超えて行うことは認められていません。
2つ目の登録は、事業所ごとに受けるものです。社会福祉士及び介護福祉士法では、喀痰吸引等の業務を行おうとする者は、事業所ごとにその所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないと定めています。本人が認定を受けていても、登録をしていない事業所で行うことはできません。
3つ目の医師の指示と看護職との連携は、利用者ごとに必要です。医師が文書で指示を出し、看護職が利用者の状態を確かめたうえで、介護職が手順に沿って行う形が取られます。
準備と確認が完了したら実際に栄養剤を注入する作業へ移ります。自分が都道府県から認定を受けた行為のみを担当してください。 出典: hashtag-job.com
喀痰吸引等研修の3つの類型
喀痰吸引等研修には、対象となる利用者と行える行為の範囲によって3つの類型があります。厚生労働省の喀痰吸引等制度のページに掲載されている研修課程の資料をもとに整理します。
| 類型 | 対象 | 行える行為 | 基本研修の講義 |
|---|---|---|---|
| 第1号研修 | 不特定多数の利用者 | たんの吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)、経管栄養(胃ろう・腸ろう、経鼻) | 50時間 |
| 第2号研修 | 不特定多数の利用者 | 第1号のうち、気管カニューレ内部の吸引と経鼻経管栄養を除く行為 | 50時間 |
| 第3号研修 | 特定の利用者 | その利用者に必要な行為のみ | 講義と演習で9時間 |
第1号研修と第2号研修は、特別養護老人ホームなどの施設で複数の利用者を担当する介護職を想定した研修です。違いは実地研修で扱う行為の範囲で、第2号研修では気管カニューレ内部の吸引と経鼻経管栄養が含まれません。経鼻経管栄養の利用者がいる職場で働く場合は、第1号研修を修了している必要があります。
第3号研修は、在宅で暮らす重い障害のある人など、特定の利用者に対して行うための研修です。厚生労働省の資料では、「特定の者」に特化したテキストを使い、基本的な内容に絞った講義を8時間、シミュレーターを使った演習を1時間行うとされています。重度訪問介護従事者養成研修と併せて行う場合は、シミュレーター演習を含めて20.5時間です。研修の後は、その利用者の自宅などで、看護師の指導のもとで実地研修を行います。第3号研修で認定を受けた人は、研修で対象とした利用者に対してのみ行為を行えます。
基本研修と実地研修の中身
第1号研修と第2号研修は、基本研修(講義と演習)と実地研修の2段階で構成されています。厚生労働省の資料に示された講義の科目と時間数は次のとおりです。
| 講義の科目 | 時間 |
|---|---|
| 人間と社会 | 1.5 |
| 保健医療制度とチーム医療 | 2 |
| 安全な療養生活 | 4 |
| 清潔保持と感染予防 | 2.5 |
| 健康状態の把握 | 3 |
| 高齢者及び障害児・者の喀痰吸引概論 | 11 |
| 高齢者及び障害児・者の喀痰吸引実施手順解説 | 8 |
| 高齢者及び障害児・者の経管栄養概論 | 10 |
| 高齢者及び障害児・者の経管栄養実施手順解説 | 8 |
合計で50時間です。講義の後には筆記試験で知識を確かめます。
演習では、シミュレーター(人体の模型)を使って、各行為を5回以上練習します。胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養も、経鼻経管栄養も、それぞれ5回以上です。救急蘇生法の演習も1回以上必要です。
実地研修では、施設や在宅で実際の利用者に対して、指導する看護師などの評価を受けながら行為を行います。経管栄養については、胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養が20回以上、経鼻経管栄養も20回以上と定められています。たんの吸引は口腔内が10回以上、鼻腔内と気管カニューレ内部が20回以上です。決められた回数をこなすだけでなく、評価の基準を満たすまで続ける形で、技能が身についたことを確かめます。
介護福祉士なら研修は要らないのか
介護福祉士の資格を持っている人の場合は、仕組みが少し違います。社会福祉士及び介護福祉士法は、介護福祉士の仕事の定義に、医師の指示の下に行われるたんの吸引等を含めています。また、介護福祉士は保健師助産師看護師法の規定にかかわらず、診療の補助としてたんの吸引等を行うことを業とすることができると定めています。
ただし、資格を持っていればすぐに経管栄養を行えるわけではありません。厚生労働省の研修課程の資料では、介護福祉士の養成課程で講義50時間とシミュレーター演習を学び、実地研修は養成課程で可能な限り行うか、登録した事業所で行うとされています。養成課程で実地研修を終えていない介護福祉士は、勤め先の登録事業所で必要な行為の実地研修を受けてから行うことになります。実地研修を修了した行為は、介護福祉士の登録の内容に反映させる手続きが必要です。
また、介護福祉士の養成課程にたんの吸引等の内容が加わる前に資格を取った人は、養成課程でこれらを学んでいません。その場合は、介護福祉士でない介護職と同じように喀痰吸引等研修を受けて認定を受ける道があります。自分がどの扱いになるかは、資格を取った年度や養成課程の内容によって違うので、勤め先や都道府県の担当窓口で確かめてください。
事業所側に求められる体制
介護職本人が認定を受けていても、事業所の体制が整っていなければ経管栄養を行うことはできません。事業所が登録を受けるときには、医療職との連携の体制や、安全に行うための仕組みを整えることが求められます。
具体的には、次のような体制が整っているかが確かめられます。
- 医師から文書による指示を受けること
- 看護職と介護職が利用者の状態について情報を共有し、役割を分担すること
- 利用者ごとに実施の計画を作り、実施の結果を記録して報告すること
- 急に体調が変わったときに医療職へ連絡する手順を決めておくこと
- 安全のための委員会を設けたり、ヒヤリハットの事例を共有したりすること
- 実施する介護職に、研修の修了と認定を確かめること
ヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの、ひやりとしたりはっとしたりした出来事のことです。経管栄養のように事故が重大な結果につながるケアでは、小さな出来事のうちに共有して手順を見直すことが重視されます。
事業所の登録の内容は、都道府県に届け出られています。自分の勤め先が登録をしているかどうかは、管理者に確かめれば分かります。登録をしていない事業所で、介護職に経管栄養を任せる指示が出ることはあってはならないことです。
医行為に当たらないとされる行為との違い
介護の現場では、医療に近いように見えても医行為には当たらないと整理されている行為があります。厚生労働省は2005年の通知で、原則として医行為ではないと考えられる行為を示しました。体温を測ること、自動の血圧測定器で血圧を測ること、軽い切り傷やすり傷の処置、条件を満たした場合の軟膏の塗布や湿布の貼付、目薬をさすこと、ひとまとめに包装された飲み薬を飲む手伝いなどがその例です。爪切りや口腔ケア、耳あかの除去なども、条件つきで挙げられています。
これらの行為にも、利用者の状態が安定していることや、医療職による専門的な配慮が必要でないことといった条件が付いています。条件に合わない場合は医行為として扱われるため、「この通知に載っているから誰でもしてよい」と単純に考えることはできません。
経管栄養は、この通知に示された行為には含まれていません。経管栄養は医行為であることを前提に、喀痰吸引等研修と認定という特別な仕組みを設けて、介護職が条件つきで行えるようにしたものです。似たような行為に見えても、根拠となる仕組みがまったく違うことを押さえておくと、職場でのやり取りでも迷いが減ります。
介護職の仕事の範囲で迷ったときは、自分で判断せず、事業所の手順書を確かめ、看護職や管理者に聞くことが基本です。手順書に書かれていない行為を頼まれたときも同じです。判断に迷った行為は、その場で引き受けずに一度確かめるという習慣が、介護職自身を守ることにもつながります。
研修を受ける前に確かめたい5つのこと
喀痰吸引等研修は、時間も費用もかかる研修です。申し込む前に、次の5つを確かめておくと、修了したあとに「思っていたのと違った」となるのを防げます。
- 必要な類型:勤め先の利用者に経鼻経管栄養の人や気管カニューレの人がいるかで、第1号研修が必要か、第2号研修で足りるかが変わる
- 実地研修の場所:実地研修を自分の勤め先で受けられるか、研修機関が紹介する施設で受けるのか
- 勤め先の登録:勤め先がたんの吸引等の業務を行う事業所として登録しているか、登録の予定があるか
- 費用と勤務の扱い:受講料を誰が負担するか、研修の時間を勤務として扱ってもらえるか
- 修了後の手続き:認定証の申請の方法と、申請にかかる期間
特に大切なのが2つ目の実地研修です。基本研修を終えても、実地研修を修了しなければ認定は受けられません。実地研修には、実際に経管栄養を受けている利用者と、指導する看護師が必要です。勤め先が協力できるかどうかは、申し込む前に管理者と話し合っておいてください。
認定を受けたあとに気をつけること
認定証を受け取ったあとも、気をつけるべきことがあります。
まず、認定証に書かれた行為の範囲だけを行うことです。第2号研修の修了者は経鼻経管栄養を行えませんし、第3号研修の修了者は研修で対象とした利用者にしか行えません。新しい利用者を担当することになったり、別の行為が必要になったりしたときは、追加の研修や手続きが要るかを確かめます。
次に、勤め先が変わるときの扱いです。経管栄養を行えるかどうかは、本人の認定だけでなく、働く事業所の登録にも左右されます。転職や引っ越しをするときは、新しい勤め先が登録をしているか、自分の認定がその事業所でどう扱われるかを、勤め先と都道府県の担当窓口で確かめてください。
そして、技術を保ち続けることです。経管栄養を行う機会が少ない職場では、手順の細かい部分を忘れてしまうことがあります。事業所の研修や、看護職による定期的な確認の機会を生かして、手順を見直し続けることが安全につながります。
研修の費用と受け方
喀痰吸引等研修は、都道府県、または都道府県の登録を受けた研修機関が実施しています。受講料は実施する機関と研修の類型によって違い、全国一律の金額は決まっていません。第1号研修と第2号研修は講義だけで50時間あり、演習と実地研修も加わるため、修了までに数か月かかるのが一般的です。
研修の費用を誰が負担するかも、確かめておきたい点です。勤め先の事業所が受講を命じる場合は、事業所が費用を負担したり、勤務時間として扱ったりする例が多く見られます。自分から受講を希望する場合は、事業所に費用の補助や勤務の調整ができないかを相談してみてください。
事業所が職員の研修の費用を負担する場合には、国の助成制度を使えることがあります。福祉の事業所が職員の研修や資格の取得を支援するときに使える助成金の考え方は、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026で、人材開発支援助成金の使い方とあわせて解説されています。事業所の管理者の立場で研修を計画する人は、受講の前に対象になるかを確かめておくと、費用の負担を抑えられる可能性があります。
研修の日程と募集の時期は、都道府県や研修機関ごとに違います。第3号研修は在宅の重い障害のある人を支える介護職向けに、都道府県が定期的に開いていることが多いので、お住まいの都道府県の障害福祉や介護保険の担当課のページで案内を探してください。
無資格の介護職が経管栄養の場面でできること
研修を受けていない介護職が、経管栄養の利用者に何も関われないわけではありません。経管栄養の注入そのものは行えませんが、利用者の生活を支える介護の仕事として関われる部分はあります。
たとえば、利用者に声をかけて気持ちを落ち着けること、表情や顔色、話しぶりの変化に気づいて看護職に伝えること、注入の前後の時間に利用者のそばで見守ることは、日々の介護の一部です。経管栄養を受けている人の口の中を清潔に保つ口腔ケアも、生活を支えるうえで大切なケアです。
ただし、どこまでを介護職が担当し、どこからを看護職や認定を受けた介護職が担当するかは、事業所の手順と、医師と看護職の判断で決まります。栄養剤の準備や、注入中の姿勢の調整、注入後の片付けといった周辺の作業であっても、自分の判断で行ってよいかどうかを決めつけず、必ず事業所の手順書と看護職の指示に従ってください。チューブやつなぎ目に触れる作業、注入の速さを調整する作業は、研修と認定を受けていない人が行ってよいものではありません。
無理な体勢で痛みを感じていないか本人に確認しましょう。快適な姿勢で過ごせるように細やかな配慮が求められます。 出典: hashtag-job.com
利用者の様子で「いつもと違う」と感じたときに、すぐ看護職に伝えることは、資格の有無にかかわらず介護職ができる大切な役割です。むせこみ、顔色の変化、おなかの張り、苦しそうな表情などに気づいたら、自分で対処しようとせず、手順に沿ってすぐに医療職に報告してください。
職場で「やっておいて」と頼まれたら
人手が足りない職場では、研修を受けていない介護職に経管栄養の注入を頼む場面が起きないとは言えません。そうした場面に出会ったときの対応を、前もって考えておくことが自分と利用者を守ります。
まず、自分が認定を受けていないことを、その場ではっきり伝えます。「研修を受けていないので、注入は担当できません。看護師さんに連絡します」と、できないことと代わりにできることを一緒に伝えると、相手も受け止めやすくなります。
次に、看護職や、認定を受けている介護職に引き継ぎます。事業所には、経管栄養の担当者が不在のときの手順が決められているはずです。分からないときは管理者に確かめます。
同じことが繰り返されるときは、事業所の管理者に相談します。事業所の中で解決しない場合は、介護保険のサービスであれば事業所を指導する市区町村や都道府県の担当窓口に相談する方法があります。働く人の立場での相談は、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーでも受け付けています。
断ることに気まずさを感じる人もいるかもしれません。しかし、認定を受けていない人が行って事故が起きれば、利用者の命に関わるだけでなく、行った本人も事業所も重い責任を問われるおそれがあります。断ることは、利用者の安全を守るための正しい判断です。日ごろから、経管栄養の担当者の勤務の予定や、不在のときに連絡する看護職の連絡先を確かめておくと、急に頼まれたときにも落ち着いて引き継げます。
家族が行う場合や、学校・保育所の場合
経管栄養について調べている人の中には、介護職ではなく、家族として自宅で経管栄養を行っている人もいます。家族が自宅で行う経管栄養は、医療職が仕事として行う場合とは扱いが異なり、主治医や訪問看護師から手順を教わって行うのが一般的です。不安なことや手順の疑問は、自己判断せず主治医や訪問看護師に相談してください。
学校や保育所でも、経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもが増えています。医療的ケアとは、たんの吸引や経管栄養など、日常生活のために必要な医療的な生活援助のことです。2021年には医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、学校や保育所での受け入れの体制づくりが進められています。学校や保育所では看護師が対応するほか、喀痰吸引等研修の第3号研修を修了して認定を受けた教職員や保育士が、特定の子どもに対して行う仕組みも使われています。
よくある3つの誤解
経管栄養と介護職の関係については、現場でも誤解が広がりやすい点があります。代表的なものを3つ取り上げます。
1つ目は、「看護師が見ていれば無資格でもよい」という誤解です。法律が定めているのは、研修を修了して認定を受けた介護職が、登録した事業所で、医師の指示の下に看護職と連携して行う仕組みです。看護師がそばにいることは連携の一部ですが、認定のない人が行ってよい理由にはなりません。
2つ目は、「胃ろうなら経鼻より簡単だから無資格でもよい」という誤解です。胃ろうと腸ろうの経管栄養も、経鼻経管栄養と同じく研修と認定が必要な行為です。行為ごとに危険の度合いが違うのは確かですが、どちらも認定の対象であることに変わりはありません。
3つ目は、「初任者研修や実務者研修を受けたから経管栄養ができる」という誤解です。介護職員初任者研修は介護の仕事の基本を学ぶ研修で、たんの吸引や経管栄養を行えるようにする研修ではありません。介護福祉士実務者研修には医療的ケアの講義と演習が含まれていますが、それだけで経管栄養を行えるようになるわけではなく、実地研修と所定の手続きを経る必要があります。
こうした誤解は、忙しい現場で「前からこうしてきた」という慣習として残っていることがあります。自分の職場で疑問を感じたら、厚生労働省の資料や事業所の手順書に立ち返って確かめることが大切です。
チームの中での介護職の役割
経管栄養を受けている利用者は、医師、看護師、介護職、管理栄養士、ケアマネジャーなど、多くの職種が関わるチームに支えられています。介護職は、その中で利用者と最も長い時間を一緒に過ごす職種です。
医師は栄養剤の種類や量、注入の方法を指示し、看護師は利用者の状態を確かめながら医療的な管理を行います。管理栄養士は栄養の状態を評価し、ケアマネジャーは生活全体の計画を組み立てます。介護職は、日々の生活の中で利用者の表情や体調の変化を最初に見つけられる立場にいます。
認定を受けていない介護職であっても、この「気づいて伝える」役割は大きな意味を持ちます。前の日と比べてむせることが増えた、元気がない、おなかが張っているといった小さな変化を、看護職に正確に伝えることが、事故を防ぐ最初の一歩になります。伝えるときは、いつ、どんな様子だったかを具体的に記録しておくと、医療職が判断しやすくなります。
認定を受けた介護職は、さらに手順に沿って注入を担い、実施の結果を記録して報告する役割を負います。どちらの立場でも、自分の役割の範囲を知り、範囲の外のことは迷わず医療職に引き継ぐことが、チームで利用者を支える基本です。
研修を受けるメリットとキャリア
喀痰吸引等研修を修了して認定を受けると、介護職としてできる仕事の幅が広がります。たんの吸引や経管栄養が必要な利用者は、特別養護老人ホームや障害のある人の施設、在宅の重度訪問介護などで多く、認定を受けた介護職が求められる場面は少なくありません。
求人の中には、研修の修了を条件にしたり、手当の対象にしたりしているものもあります。ただし、手当の有無や金額は事業所ごとに違い、全国で決まった水準があるわけではありません。求人票の内容を確かめて判断してください。
これから介護の仕事を始める人は、まず介護職員初任者研修で介護の基本を学び、働きながら経験を積んだうえで、職場の利用者に必要な類型の喀痰吸引等研修を受ける順番が現実的です。介護福祉士を目指す人は、実務者研修や養成課程で医療的ケアの基礎を学び、勤め先で実地研修を受ける道もあります。どの順番が合うかは、働く職場の利用者の状態と、事業所の研修の支援の体制によって変わるので、管理者と相談しながら計画を立ててください。
研修は、技術だけでなく、利用者の体の仕組みや感染の予防、急変時の対応など、介護の仕事全体に役立つ知識を学ぶ機会にもなります。経管栄養の利用者の観察の視点が身につくと、研修で認定を受けた行為以外の場面でも、利用者の小さな変化に気づける介護職になれます。
介護の仕事は記録と報告が欠かせない仕事でもあります。経管栄養の実施の記録や、体調の変化の報告は、読み手に正確に伝わる書き方が求められます。報告や記録の文章の型を体系的に学びたい人には、ビジネス文書検定の解説が参考になり、級ごとに求められる文書の水準が示されています。
運営者として見てきた医療的ケアと介護の仕事
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた立場から見ると、介護や医療的ケアの分野で長く信頼される人には共通点があります。それは、できることとできないことの線を、制度の一次資料に基づいてはっきり説明できることです。経管栄養のように、法律で行える人と条件が決められているケアでは、「頼まれたから」「人が足りないから」で線を越えないことが、利用者と自分を守る一番の土台になります。
介護の現場で身につけた知識は、勤め先の外でも生かせるようになっています。介護の制度や医療的ケアの仕組みを一般の家族向けに分かりやすく解説する記事、事業所の手順書や研修資料の作成など、正確な知識のある書き手を求める仕事は少しずつ増えています。こうした仕事では、中間の手数料が乗らない直接のやり取りのほうが、書き手の手取りが厚くなり、依頼する事業所も限られた予算で多くを頼めます。手数料0%で直接取引できる場では、現場を知る人ほど条件の良い依頼に出会いやすい傾向があります。
介護の現場の業務を効率化する仕事に関心がある人は、記録や報告の仕組みづくりを支える仕事の広がりをAIコンサル・業務活用支援のお仕事で確かめられます。経管栄養は、無資格のまま手を出してよいケアではありません。研修と認定という正しい道を通って身につければ、利用者の生活を支える確かな技術になり、介護職としての価値を高めてくれます。
よくある質問
Q. 無資格の介護職が経管栄養をしてもよいですか?
できません。介護職が経管栄養を行えるのは、喀痰吸引等研修を修了して都道府県知事から認定特定行為業務従事者認定証の交付を受け、都道府県の登録を受けた事業所で、医師の指示の下に看護職と連携して行う場合に限られます。研修と認定を受けていない人は、注入の操作を行わず、利用者の様子の変化に気づいたら看護職に伝える役割を担ってください。
Q. 喀痰吸引等研修は何時間かかりますか?
厚生労働省の資料では、不特定多数の利用者を対象とする第1号研修と第2号研修の基本研修の講義は50時間で、ほかにシミュレーター演習と実地研修があります。実地研修では、胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養を20回以上など、決められた回数と評価の基準を満たす必要があります。特定の利用者を対象とする第3号研修は、講義8時間と演習1時間に実地研修が加わります。
Q. 介護福祉士なら研修なしで経管栄養ができますか?
資格だけでは行えません。介護福祉士は法律上たんの吸引等を行える職種ですが、必要な行為の実地研修を修了している必要があります。養成課程で実地研修を終えていない人は、登録を受けた勤め先の事業所で実地研修を受けてから行います。資格を取った年度によって扱いが違うので、勤め先や都道府県の担当窓口で自分の場合を確かめてください。
Q. 職場で研修を受けていないのに経管栄養を頼まれたらどうすればよいですか?
研修を受けていないので担当できないことをはっきり伝え、看護職や認定を受けた介護職に引き継いでください。同じことが繰り返される場合は事業所の管理者に相談し、解決しないときは事業所を指導する市区町村や都道府県の担当窓口、働く人の立場の相談なら労働局の総合労働相談コーナーに相談する方法があります。断ることは利用者の安全を守る正しい判断です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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