テープ起こしの秘密保持契約|音声データの取扱いと消去義務の明記 2026

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
テープ起こしの秘密保持契約|音声データの取扱いと消去義務の明記 2026

この記事のポイント

  • テープ起こしを外注する際の秘密保持契約(NDA)と音声データの取扱いについて解説します
  • 契約書に明記すべき項目
  • 外注先選びのポイントを費用相場とあわせて紹介します

会議の議事録やインタビュー音源、社内研修の録音データをテープ起こしとして外注したいけれど、社外秘の内容が含まれているため秘密保持契約(NDA)をどう結べばよいか分からない。そんな悩みを抱えている担当者は少なくありません。結論から言うと、テープ起こしの外注では「NDAの締結」「音声データの取扱いルールの明記」「作業完了後の消去義務」の3点をセットで確認することが最も重要です。この記事では、契約書に盛り込むべき具体的な項目と、安全に外注できる依頼先の選び方を解説します。

テープ起こし外注の市場動向とNDAの必要性

テープ起こし、いわゆる音声・動画データを文字データに変換する業務は、企業の議事録作成、学術インタビューの記録、講演会・セミナーの記録化など幅広い用途で需要が拡大しています。特にオンライン会議が定着した2020年代以降、録音データそのものは簡単に取得できるようになった一方で、その内容を人力またはAIで文字起こしする工程を外部に委託するケースが急増しました。

一方で、テープ起こしの対象となる音声データには、経営会議の議事録、人事評価面談、顧客インタビュー、医療機関でのカンファレンス記録など、社外に漏れてはならない機密情報が含まれることが多々あります。総務省が公表している情報セキュリティに関する資料でも、業務委託先を経由した情報漏洩は企業のセキュリティインシデントの主要な要因の一つとして挙げられています。

文字起こしを外部に依頼する際は、必ず秘密保持契約(NDA)の有無と内容を確認しましょう。NDAには「どの範囲の情報を守るのか」「再委託や二次利用を禁止しているか」といった重要な項目が含まれます。契約書があるだけで安心せず、実際にどこまで明記されているかをチェックすることが大切です。 出典: withteam.jp

つまり、単に「NDAを結んでいます」という文言だけで安心してはいけません。契約書の中身、特に守秘義務の範囲・期間・違反時の対応が明記されているかどうかを、発注前に必ず確認する必要があります。

外注先が代理店(テープ起こし専門会社)なのか、フリーランスの個人ライターなのかによっても、契約の結び方や責任の所在が変わってきます。代理店経由の場合は会社としての体制が整っている一方、複数のスタッフが関わることで情報が拡散するリスクもあります。逆に個人のフリーランスへ直接依頼する場合は、関わる人数が限定される利点がありますが、契約の実効性を担保する仕組みを発注者側でしっかり用意する必要があります。

テープ起こしのNDA契約で明記すべき項目

秘密情報の定義と範囲

NDAの最初の項目として重要なのが「何を秘密情報とするか」の定義です。テープ起こしの場合、以下の要素を秘密情報として明記するのが一般的です。

・音声データ、動画データそのもの ・文字起こしされたテキストデータ(納品物) ・音声データに含まれる個人名、社名、取引条件などの固有情報 ・作業過程で知り得た業務内容全般

曖昧な範囲設定は、後々のトラブルの元になります。「業務上知り得た情報全般」という抽象的な表現だけでなく、「音声データおよびその複製物、文字起こし後のテキストデータを含む」と具体的に列挙しておくことで、外注先とのすれ違いを防げます。

再委託・二次利用の禁止

テープ起こしを専門会社に依頼した場合、実際の作業は登録ライターや在宅スタッフに再委託されるケースが一般的です。この再委託自体は珍しくありませんが、発注者として把握しておくべきなのは「再委託先にも同等の守秘義務が課されているか」という点です。

契約書に「再委託する場合は事前に発注者の承諾を得ること」「再委託先にも本契約と同等の秘密保持義務を課すこと」という条項がなければ、外注先の一存で第三者に音声データが渡ってしまう可能性があります。特に社外秘性の高い音声データを扱う場合は、再委託の有無を事前に確認し、必要であれば「再委託禁止」または「再委託先の事前開示」を条件に加えるべきです。

二次利用についても同様です。文字起こしされたテキストを外注先が自社の実績紹介や研修素材として使い回すことがないよう、「本契約の目的以外での利用を禁止する」という条項を必ず入れましょう。

守秘義務の期間

NDAには有効期間を明記する必要があります。一般的には契約終了後1年から5年程度の期間を設定するケースが多く見られますが、企業の機密度の高い情報(未公開の経営情報、M&A関連の議事録など)を扱う場合は、期間を定めず「永続的に有効」とする契約も珍しくありません。

期間を設定しない場合、外注先にとっては負担が大きくなるため、料金が割高になったり、対応できる業者が限られたりすることもあります。発注する情報の機密度と、外注先の対応可能な範囲を照らし合わせて、現実的な期間を設定することが重要です。

音声データの取扱いルールと消去義務

アップロード時のセキュリティ

音声データを外注先に渡す方法にも注意が必要です。メールに直接ファイルを添付する方法は、送信ミスや盗聴のリスクがあるため推奨されません。パスワード付きの圧縮ファイルを別経路(電話やSMS)でパスワードを伝える方法、あるいは暗号化通信に対応したファイル転送サービス、専用のアップロードフォームを用意している外注先を選ぶのが安全です。

大手のテープ起こし専門会社の中には、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の国際規格であるISO27001の認証を取得し、アクセス権限を案件ごとに限定する体制を敷いているところもあります。

WITH TEAMでは、お預かりする音声データを安全に扱うため、すべてのスタッフが守秘義務契約を結び、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の国際規格ISO27001にもとづいた体制で運用しています。アクセス権限は案件ごとに限定し、データの持ち出しや無断共有はできない仕組みです。 出典: withteam.jp

こうした体制を持つ会社は安心材料になりますが、その分料金も高くなる傾向があります。フリーランスへ直接依頼する場合は、こうした大がかりな認証体制はなくとも、パスワード付きファイル転送や、案件終了後の即時削除といった基本的なセキュリティ対応を個別に確認・合意しておけば十分に安全性を担保できます。

消去義務の明記

音声データとテキストデータの消去義務は、NDAの中でも特に見落とされがちな項目です。「納品後、外注先が保有する音声データ・テキストデータをいつまでに、どのような方法で消去するか」を契約書に明記しましょう。

具体的には以下のような条項が望ましいです。

・納品完了後、30日以内にすべてのデータを完全消去する ・消去完了後、消去したことを書面またはメールで報告する ・バックアップデータやクラウドストレージ上の複製物も含めて消去対象とする

消去義務が契約書に記載されていない場合、外注先がデータを保持し続けても発注者側は把握できません。特に長期間にわたって複数の案件を同じ外注先に依頼する場合、過去の音声データがどこまで残っているかが不透明になりがちです。定期的に「保有データの棚卸し」を依頼する条項を加えておくと、より安心です。

個人情報が含まれる音声データの取扱い

インタビュー音源や採用面接の録音など、個人情報を含む音声データを扱う場合は、通常のNDAに加えて個人情報保護に関する条項も必要です。個人情報保護法上の「個人データの取扱いの委託」に該当する場合、委託先に対する必要かつ適切な監督義務が発注者側に課されます。

具体的には、外注先が個人情報を適切に管理しているかを契約前に確認し、契約書の中で「個人情報の第三者提供禁止」「本人からの開示請求があった場合の対応方法」などを明記しておく必要があります。個人情報を含む音声データの外注は、通常のテープ起こしよりも慎重な契約設計が求められる点を押さえておきましょう。

テープ起こし外注の費用相場と依頼の流れ

費用相場

テープ起こしの料金は、音声の長さ、音質、話者数、ケバ取り(言い淀みの除去)の有無によって変動します。一般的な相場としては、1分あたり150円から300円程度が目安です。60分の会議音声であれば、9,000円から18,000円程度が標準的な費用感になります。

音質が悪い場合や、専門用語が多い医療・法律関連の音源の場合は、追加料金が発生することもあります。また、NDAの締結や個人情報保護対応を求める場合、通常よりも料金が高く設定される傾向があります。これは、外注先がセキュリティ体制の維持コストや、限定されたスタッフのみで対応する体制を整えるコストを料金に反映しているためです。

代理店(仲介会社)を通す場合、この基本料金に加えて仲介手数料が上乗せされることがあります。手数料の割合は会社によって異なりますが、手数料0%でフリーランスに直接依頼できるプラットフォームを利用すれば、同じ予算でより多くの作業量を依頼できたり、その分を品質確認や追加のセキュリティ対応に充てたりすることも可能です。中間マージンがない分、発注者と受注者の双方にとって条件面での余裕が生まれやすい構造だと言えます。

依頼の流れ

一般的なテープ起こし外注の流れは以下の通りです。

  1. 音声データの内容と分量を整理し、見積もりを依頼する
  2. NDAの締結、消去義務を含む契約条件を確認・合意する
  3. 音声データを安全な方法でアップロードする
  4. 納期を確認し、必要であれば途中経過の確認を依頼する
  5. 納品物を確認し、修正があれば依頼する
  6. データ消去の完了報告を受け取る

このうち、2番目の「契約条件の確認」を省略してしまうケースが実務では意外と多く見られます。急ぎの案件だと「とりあえず作業を始めてもらって、契約書は後で」となりがちですが、音声データを渡した時点で情報は外注先の手元にあるため、契約は必ずデータを渡す前に完了させておくべきです。

失敗しない外注先の選び方

外注先を選ぶ際のポイントとして、まず確認すべきなのはNDAの締結に応じてくれるかどうかです。テープ起こし専門会社の中には、標準の契約書ひな型を用意しているところもあれば、発注者側から契約書を提示する必要があるところもあります。フリーランスに直接依頼する場合は、発注者側でNDAのテンプレートを用意し、契約内容を提示するのが一般的です。

次に確認すべきは、消去義務への対応です。「消去します」という口頭の約束だけでなく、書面での完了報告を求められるかどうかを事前に確認しましょう。対応が可能な外注先であれば、契約書にその旨を明記してもらうよう依頼できます。

また、実績や対応体制の確認も重要なポイントです。過去にどのような業界・分野のテープ起こしを手がけてきたか、専門用語への対応力があるかなどを見ておくと、納品物の品質にも安心感が持てます。

初めて社外秘の議事録を外注したとき、価格の安さだけで比較して依頼先を決めてしまい、NDAの内容を十分に確認しないまま音声データを送ってしまったことがあります。後になって契約書を見返すと、消去義務についての記載が一切なく、こちらから問い合わせて初めて「データはサーバーに保存したままです」と言われて青ざめた経験があります。それ以降は、価格だけでなく契約書の中身を必ず先に確認するようにしています。

失敗の多くは、価格や納期のスピードだけを基準に外注先を決めてしまい、契約内容の確認を後回しにすることから生まれます。特にNDAや消去義務のような「見えにくい部分」ほど、依頼前にしっかり詰めておく必要があります。

独自データの考察:直接依頼と代理店経由の違い

テープ起こしの外注ルートには、大きく分けて「専門の代理店に依頼する」方法と「フリーランスに直接依頼する」方法の2つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが優れているというよりは、扱う音声データの機密度や予算に応じて使い分けるのが合理的です。

代理店経由の場合、会社としての体制(ISMS認証、複数人でのチェック体制など)が整っているため、大量の音声データを継続的に処理する必要がある企業には向いています。一方で、料金には仲介手数料が含まれるため、コストは割高になりがちです。

フリーランスへ直接依頼する場合、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のようなデータベースからも分かる通り、専門スキルを持つ個人へ直接コンタクトすることで、仲介手数料を挟まずに適正な価格で依頼できる利点があります。テープ起こしのように専門知識よりも正確性・機密保持が重視される業務では、信頼できる個人へ継続的に依頼することで、案件ごとの引き継ぎコストを減らせるという副次的なメリットもあります。

20年この市場を見てきた立場から言えば、単発の作業として発注するのではなく、信頼できる相手と継続的な関係を築いている発注者ほど、契約や情報管理の面でもトラブルが少ない傾向があります。毎回違う相手に依頼するのではなく、一度NDAを締結した相手と長く付き合うことで、契約内容の確認や情報共有の手間が減り、結果として双方にとって効率の良い取引になるケースが多く見られます。中間マージンが発生しない直接取引では、同じ予算でも発注者はより手厚い品質確認や追加対応を依頼でき、受注者側も適正な報酬を受け取れるため、手取りが厚くなる構造が生まれやすいという実感があります。

契約書の作成が初めてで不安な場合は、フリーランスのNDA(秘密保持契約)|テンプレート付き解説ガイドで基本的な条項の書き方を確認しておくと、テープ起こしに限らずさまざまな業務委託契約に応用できます。また、実際の書式が必要な場合はフリーランスのNDA(秘密保持契約)テンプレート|書き方と注意点を参考にすると、消去義務や再委託禁止といった条項を漏れなく盛り込めます。

外注先の業種によっては、業務委託契約書と合わせてビジネス文書の作成能力を確認したい場合もあるでしょう。文書作成のスキルレベルを見極める指標としてビジネス文書検定のような資格の有無を参考にする担当者もいます。テープ起こしと合わせて議事録の要約や体裁の整備まで依頼したい場合は、こうした資格を持つ人材かどうかも選定基準の一つになります。

音声データの取扱いには、AI活用支援や業務効率化のノウハウも関わってきます。文字起こしの精度向上や自動化ツールの導入を検討している場合は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介されているような専門人材への相談も選択肢になります。あわせて、セキュリティ体制の構築に不安がある場合はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介されている人材に、社内の情報管理体制そのものを見直してもらうのも一つの方法です。

テープ起こしの外注は、単に「文字にしてもらう」だけの単純作業に見えて、実際には情報管理の設計そのものが問われる業務です。NDAの締結、音声データの取扱いルール、消去義務の明記という3つの基本を押さえたうえで、価格だけでなく信頼できる相手かどうかを見極める視点を持つことが、安全な外注につながります。

よくある質問

Q. テープ起こしのNDAは口頭合意でも有効ですか?

口頭合意も法的には有効ですが、秘密情報の範囲や消去義務の内容を証拠として残せないため、必ず書面またはメールで契約内容を明記してください。トラブル時の対応力が大きく変わります。

Q. 音声データの消去はいつまでに完了してもらうべきですか?

納品完了後30日以内を目安に設定するのが一般的です。バックアップやクラウド上の複製物も対象に含め、消去完了後は書面での報告を求めると確実性が高まります。

Q. 代理店とフリーランス、どちらにNDAを依頼しやすいですか?

代理店は契約書のひな型が整っている場合が多く手続きはスムーズですが、料金に手数料が含まれます。フリーランスへの直接依頼では発注者側でテンプレートを用意すると進めやすいです。

Q. 個人情報を含む音声データを外注する際の注意点は?

個人情報保護法上、委託先への必要かつ適切な監督義務が発注者に課されます。第三者提供の禁止や開示請求への対応方法を契約書に明記し、外注先の管理体制も事前に確認しましょう。

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この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月9日最終更新:2026年9月4日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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