フリーランスのNDA(秘密保持契約)|テンプレート付き解説ガイド


この記事のポイント
- ✓フリーランスが知っておくべきNDA(秘密保持契約)の基礎知識を解説
- ✓実務に役立つ情報をまとめました
「NDAにサインしてください」——フリーランスとして仕事をしていると、クライアントからこう言われる場面は珍しくありません。
でも、NDAの中身をちゃんと読んでいますか? 内容を理解しないままサインしてしまうと、思わぬリスクを背負うことになります。
会計事務所で10年間、企業の契約書を見てきた経験から、フリーランスが押さえておくべきNDAのポイントを解説します。
NDA(秘密保持契約)とは
NDA(Non-Disclosure Agreement)は、業務で知り得た秘密情報を第三者に漏らさないことを約束する契約です。日本語では「秘密保持契約」や「機密保持契約」とも呼ばれます。
なぜNDAが必要なのか
フリーランスは業務の性質上、クライアントの以下のような情報に触れます。
- 未公開の事業計画やサービス仕様
- 顧客リスト・個人情報
- 技術的なノウハウやソースコード
- 財務情報・経営数値
これらの情報が流出すると、クライアントに甚大な損害が発生します。NDAは、そのリスクを法的にカバーするためのものです。
NDAに含まれる主要条項と読み方
NDAには一般的に以下の条項が含まれます。ここ、意外と見落としがちなんですが、各条項の「定義の範囲」を確認することが最も重要です。
1. 秘密情報の定義
| 定義のタイプ | 内容 | フリーランスへの影響 |
|---|---|---|
| 広い定義 | 「開示された一切の情報」 | リスク高:雑談の内容まで対象になりうる |
| 限定的な定義 | 「秘密と明示された情報のみ」 | リスク低:範囲が明確 |
| 中間的な定義 | 「業務上知り得た非公開情報」 | 一般的なバランス |
チェックポイント: 「秘密情報」の範囲が広すぎないか確認しましょう。「開示された一切の情報」という定義の場合、交渉で範囲を限定してもらうのが望ましいです。
2. 秘密保持義務の範囲
義務の範囲には注意が必要です。一般的な義務としては以下があります。
- 第三者への開示禁止
- 目的外使用の禁止
- 適切な管理義務
ここで確認すべきは、「第三者」に自分が使うツールやサービスが含まれるかです。たとえば、クラウドストレージにファイルを保存する行為が「第三者への開示」に該当する可能性があります。
3. 秘密保持の期間
| 期間 | 評価 |
|---|---|
| 契約終了後1〜2年 | 一般的で妥当 |
| 契約終了後3〜5年 | 案件内容によっては妥当 |
| 無期限 | 要交渉:永続的な制約は過大 |
注意: 期間の定めがない場合、実質的に無期限の義務を負うことになります。必ず確認してください。
4. 例外規定
以下の情報は通常、秘密情報から除外されます。この例外規定が含まれていないNDAは問題があります。
- 公知の事実(既に公開されている情報)
- 受領前から知っていた情報
- 第三者から正当に取得した情報
- 独自に開発した情報
5. 損害賠償条項
NDA違反時の損害賠償について確認しましょう。
危険な条項例: 「乙は、本契約に違反した場合、甲に生じた一切の損害を賠償するものとする」
この場合、損害額に上限がありません。報酬が10万円の案件で、数百万円の賠償を請求される可能性があります。
安全な条項例: 「乙の損害賠償額の上限は、本業務に係る報酬額を上限とする」
NDAで交渉すべき5つのポイント
クライアントから提示されたNDAに対して、以下のポイントは交渉の余地があります。
ポイント1:秘密情報の定義を限定する
「開示された一切の情報」を「秘密である旨を明示して開示された情報」に変更してもらう。
ポイント2:秘密保持期間を合理的に設定する
無期限の場合は「契約終了後2年間」など具体的な期限を設定。
ポイント3:損害賠償の上限を設ける
報酬額を上限とする条項を追加してもらう。
ポイント4:双方向の義務にする
クライアント側にも秘密保持義務を負ってもらう。フリーランスのノウハウや独自手法も保護対象にする。
ポイント5:返還・破棄の方法を明確にする
業務終了時に秘密情報をどう処理するか(返還・破棄・データ削除等)を具体的に定める。
NDAテンプレート(主要条項)
以下は、フリーランスが参考にできるNDAの主要条項です。
第○条(秘密情報の定義)
本契約における「秘密情報」とは、甲が乙に対し、秘密である旨を
書面またはデータで明示して開示した技術上または営業上の情報をいう。
第○条(秘密保持義務)
乙は、秘密情報を本業務の遂行の目的のみに使用し、甲の書面による
事前の承諾なく第三者に開示または漏洩してはならない。
第○条(例外)
次の各号に該当する情報は、秘密情報に含まないものとする。
(1) 開示時点で公知であった情報
(2) 開示後、乙の責によらず公知となった情報
(3) 開示前から乙が正当に保有していた情報
(4) 第三者から秘密保持義務を負うことなく正当に取得した情報
第○条(有効期間)
本契約の有効期間は、締結日から本業務の終了後2年間とする。
第○条(損害賠償)
乙が本契約に違反し、甲に損害を与えた場合、乙は甲に対し損害を
賠償する。ただし、賠償額の上限は本業務に係る報酬総額とする。
注意: これはあくまで参考テンプレートです。実際の契約にあたっては、弁護士に確認されることを強くお勧めします。
NDAに関するよくある質問
Q. NDAを断ることはできますか?
法的に義務はありませんが、実務上はNDAの締結を求められることが多く、断ると案件を受けられなくなる場合があります。内容に問題がなければ締結するのが一般的です。
Q. 自分からNDAを提案してもいいですか?
もちろんです。むしろ、自分のノウハウや手法を守るために、フリーランスからNDAを提案するのは信頼性のアピールにもなります。
Q. NDAに違反したらどうなりますか?
契約に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。悪質な場合は不正競争防止法に基づく刑事罰(10年以下の懲役または2,000万円以下の罰金)の対象になることもあります。
まとめ:NDAは「読んでからサインする」を徹底
NDAは業務を円滑に進めるための重要な契約です。しかし、内容を確認せずにサインすると、自分を不利な立場に追い込む可能性があります。
「秘密情報の定義」「期間」「損害賠償の上限」——この3つだけでも、必ず確認してからサインしてください。
※ この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的アドバイスではありません。個別の契約については弁護士にご相談ください。
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この記事を書いた人
織田 莉子
FP2級・フリーランス経理サポーター
会計事務所で10年間の実務経験を経て独立。フリーランスの確定申告・節税・資金管理を専門に、お金にまつわる記事を執筆しています。











