フリーマーケットを副業にするには|出店の手順と仕入れの考え方


この記事のポイント
- ✓フリーマーケット副業は
- ✓自分の持ち物を売るのか仕入れて売るのかで必要な許可が変わります
- ✓確定申告と住民税の線引き
フリーマーケットを副業にできるかを調べていると、「確定申告は20万円から」「会社にばれる」「古物商の許可が必要」という断片が並びます。どれも間違いではありませんが、どの条件のときにどれが当てはまるのかが抜けているため、読んだあとでかえって動けなくなります。この記事では、フリーマーケットを収入の柱のひとつにするために必要な判断を、境目がどこにあるのかがわかる形で並べ直します。
先に結論を書きます。分かれ目はひとつだけです。売るのが自分の持ち物か、売るために仕入れたものか。この一点で、必要な許可、税金の扱い、会社への説明の仕方、そして利益の出し方までが全部変わります。自分の持ち物を片づけるだけなら手続きはほぼ要りませんが、仕入れて売るなら都道府県の公安委員会の許可が必要になり、収入は雑所得か事業所得として申告することになります。
自分の持ち物を売るのか、仕入れて売るのかで話が変わる
フリーマーケットという言葉は、2つのまったく違う行為をまとめて指しています。
ひとつは、家にある不要品を処分する行為です。着なくなった服、読み終えた本、使わなくなった家電を売って現金に換える。これは片づけの延長で、法律上も税金上も基本的に手続きが要りません。
もうひとつは、売るために品物を集めてくる行為です。古着屋の見切り品、リサイクルショップの値札、海外の雑貨、卸から買った新品を仕入れて、フリーマーケットの会場やフリマアプリで利益を乗せて売る。これは商売です。許可も要るし、申告も要ります。
この2つは、見た目がまったく同じです。同じ会場の隣の区画で、同じようにシートを広げて品物を並べます。だから「フリマは趣味の範囲だから大丈夫」という説明が広まってしまいます。ところが行政と税務署が見ているのは、並べ方ではなく品物の出どころと、売る行為が反復継続しているかどうかです。
自分の持ち物を売る形から始めて、売れる感覚をつかんだら仕入れに移る、という順番は合理的です。ただし移った瞬間に必要な手続きが変わることを、移る前に知っておいてください。あとから許可を取ればよい、という性質のものではありません。
仕入れて売るなら古物商の許可が要る
中古品を仕入れて売る行為は、古物営業法の対象です。同法第3条は、古物の売買や交換を行う営業を営もうとする者は都道府県公安委員会の許可を受けなければならないと定めています。手続きは住所地を管轄する警察署の生活安全課で受け付けています。
ここで大事なのは「古物」の範囲です。同法第2条は、古物とは一度使用された物品、または使用されない物品で使用のために取引されたもの、あるいはこれらに手入れをしたものを指すとしています。つまり、未使用でも誰かが使うつもりで買ったものは古物です。新品のまま流れてきた転売品も、この定義に入り得ます。
そして、許可が要らない場合も同じ第2条に書かれています。古物営業とは「古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」と定義されています。読みにくい書き方ですが、要点は「売るだけ」は古物営業にあたらないということです。自分の持ち物を売るだけなら許可は不要で、買い取って売る形になったときに許可が必要になります。
無許可で営業した場合の罰則は軽くありません。同法第31条は、許可を受けずに営業を営んだ者を3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すと定めています。罰則の表記が「懲役」ではなく「拘禁刑」になっているのは、刑法の改正に合わせたものです。
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。 一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者 出典: laws.e-gov.go.jp
許可を取ると、取引の記録を残す義務や、買い取るときに相手の身元を確認する義務がかかります。本人確認が必要になる品目は令和7年10月1日に施行された施行規則の改正で広がり、1万円未満でも対象になる品目にエアコンの室外機、電気温水機器のヒートポンプ、電線、金属製のグレーチングが加わりました。金属を含む品物を扱うなら、この改正は確認しておいてください。
許可の申請には数週間かかり、手数料も必要です。仕入れを始める時期から逆算して動いてください。なお、許可の要否の判断は扱う品物と取引の形で変わります。迷ったら警察署の生活安全課に品物の具体例を持って相談するのが確実です。
税金は「生活用動産」かどうかで入口が分かれる
税金の扱いでも、自分の持ち物か仕入れたものかが分かれ目になります。ここは国税庁の記載で確認できます。
国税庁は、インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得を雑所得の例として挙げています。そして、そこに重要な注記が付いています。
生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税(この所得については確定申告が不要)で、損失は生じてないものとみなされます。 出典: nta.go.jp
つまり、着ていた服や使っていた家具を売った分は課税されません。いくら売れても申告は要りません。同時に、安く売って損が出ても、その損を他の所得と差し引くことはできません。
ただし例外があります。1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、書画、骨とう品などは生活用動産から外れ、譲渡所得として扱われます。ブランドのバッグや時計を売るときは、この線を意識してください。
一方、売るために仕入れたものを売った所得は非課税になりません。営利を目的として反復継続して売っているなら、雑所得または事業所得として申告します。国税庁は、営利を目的とした継続的な副業の収入を「業務に係る雑所得」と位置づけています。前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は現金預金取引等関係書類の保存が必要で、1,000万円を超える人は確定申告書に収支内訳書などの添付が必要になります。
雑所得と事業所得のどちらで申告するかは、規模と継続性で判断されます。事業所得として認められれば、青色申告の特典が使えます。青色申告特別控除は原則55万円で、電子帳簿保存を行うか電子申告をする場合は65万円になります。ただし雑所得のままではこの控除は使えません。どちらに当たるかは個別の事情で変わるので、税務署の相談窓口で自分の取引の形を説明して確認してください。
確定申告が必要になる線と、住民税の別の線
給与を受けながらフリーマーケットで収入を得ている人がいちばん気にするのが、申告の必要な金額です。
国税庁は、給与を1か所から受けていて給与の全部が源泉徴収の対象である場合に、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は確定申告をしなければならないとしています。給与を2か所以上から受けている場合は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超えるかどうかで判断します。
ここで数えるのは売上ではありません。売上から必要経費を引いた所得です。フリーマーケットなら、仕入れ代、会場の出店料、駐車場代、梱包材、発送費、値札やディスプレイの道具代が経費になります。50万円売って仕入れと経費で35万円かかっているなら所得は15万円で、20万円の線には届きません。だからこそ、領収書は最初から残してください。あとから集め直すのは難しく、経費が証明できないと所得が大きく見えます。
住民税は別の話です。所得税で申告が不要な20万円以下の所得でも、住民税の申告は必要になります。20万円の線は所得税だけの決まりで、住民税には同じ扱いがありません。住民税の申告は、その年の1月1日現在の住所地の市区町村に、3月15日までに提出します。確定申告をした場合は、その内容が市区町村に回るので住民税の申告は要りません。
副業を会社に知られたくないという相談は多いのですが、住民税の徴収の仕組みを理解しておく必要があります。給与から住民税を差し引く特別徴収に副業分が合算されると、会社の給与担当が金額の変化に気づきます。これを避けるために、副業分だけを自分で納める普通徴収に切り替える方法が使われます。根拠は地方税法第321条の3第2項のただし書きですが、選べるのは給与所得以外の所得だけです。フリーマーケットで得た所得は給与ではないので対象になりますが、副業がアルバイト(給与)の場合は選べません。ここはよく間違われるところです。
会社の規則で副業が禁じられているときの確認手順
フリーマーケットを副業として始める前に、勤め先の規則を確認します。ここで役に立つのが、厚生労働省が示しているモデル就業規則です。令和7年12月版では、副業と兼業の条文は第14章第70条に置かれています。
第70条第1項は「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」としています。そして第2項で、会社が届出に基づいて禁止または制限できる場合を4つに限っています。労務提供上の支障がある場合、企業秘密が漏洩する場合、会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、競業により企業の利益を害する場合です。
この4つは、フリーマーケットにはあまり当てはまりません。勤務先と競合する商売でなく、勤務時間外に行い、疲労で本業に支障が出ない範囲なら、止める理由が立ちにくいということです。ただしモデル就業規則はあくまで例であり、実際に効くのは自分の会社の就業規則です。副業の届出が必要と書かれているなら、出してください。届出をしたことで不利益な扱いをすることはできない、と厚生労働省の解説にも書かれています。
規則を読んでもわからないときは、就業規則の条文番号を示して人事や総務に確認します。口頭で「フリマやっていいですか」と聞くと解釈が人によって変わるので、「不要品の売却か、仕入れて販売する形か」「届出が必要か」の2点を具体的に聞くほうが話が早く進みます。
なお、公務員は民間と規則が違います。国家公務員の兼業は令和8年4月1日から自営兼業の制度が見直され、承認の対象が広がりました。自治体の職員も条例で扱いが決まっているので、勤め先の人事担当に確認してください。
会場に出店する場合の手順と持ち物
実際の会場に出店する形は、フリマアプリとは別の準備が必要です。順番に並べます。
第1に、出店する会場を探します。自治体や商店街、公園の管理団体、ショッピングセンターが主催するものがあり、募集は主催者のサイトや会場の掲示で告知されます。出店料は無料のものから数千円のものまで幅があり、区画の広さと立地で変わります。人気の会場は抽選になります。
第2に、申込みの条件を読みます。ここで落ちる人が多いのが、出品できる品物の制限です。食品、生き物、医薬品、化粧品、刃物、火器、模造品は禁止されているのが一般的です。新品の販売を禁じている会場もあります。仕入れた品物を売るつもりなら、申込みの時点で新品や仕入れ品が可かどうかを確認してください。
第3に、当日の道具を揃えます。敷物(レジャーシートより厚手の布のほうが品物が傷みません)、折りたたみの机、値札、釣り銭、レジ袋の代わりになる紙袋、品物を立てて見せるための箱やラック、日よけ、雨具です。釣り銭は小銭を多めに用意します。100円玉と10円玉が足りなくなると、その場で売り逃します。
第4に、値付けをします。会場のフリーマーケットは値段交渉が前提です。最初から底値を付けると下げる余地がなくなるので、少し上に設定して、まとめ買いで下げる形にします。「3点で1,000円」のようにまとめる札を用意すると、1人あたりの購入額が上がります。
第5に、片づけまでを計画します。売れ残りを持ち帰る手段がないと、会場で困ります。車がない場合は、持っていける量に絞って出店するほうが現実的です。
会場出店の利点は、その日に現金が入ることと、買い手の反応が直接見られることです。何が手に取られ、何が素通りされるかがその場でわかるので、仕入れの判断が速くなります。欠点は天候に左右されることと、1日を丸ごと使うことです。時間あたりの効率で見ると、フリマアプリのほうが高くなる場合が多いです。
フリマアプリで売る場合に効いてくる要素
会場を使わず、アプリだけで売る形も一般的です。こちらは準備の中身が変わります。
写真が売れるかどうかを決めます。明るい場所で、背景を無地にし、全体、正面、細部、傷の部分の順で撮ります。傷を隠すと、届いたあとの評価が落ちて次の販売に響きます。先に書いておくほうが、結果として値段が下がりません。
説明文には、探している人が打つ言葉を入れます。ブランド名、型番、サイズ、色、購入時期、使用回数、付属品の有無です。買い手は検索窓に型番やサイズを打つので、本文に入っていないと見つかりません。
送料の設計が利益を左右します。小さく軽い物は定形外や専用の小型便で安く送れますが、厚みや重さの境目を1ミリ、1グラム超えると1段上の料金になります。梱包する前に、送り方ごとの上限を確認してください。送料を商品価格に含める設定にすると、価格が高く見えて比較で負けることがあります。逆に別建てにすると、買い手が総額で判断したときに割高に見えます。どちらが効くかは品物の種類で変わるので、同じ物を両方の設定で出して比べるのが早いです。
在宅で作業する時間が増えるので、作業環境も効いてきます。撮影と出品と発送をまとめて行う日を作ると効率が上がります。写真のアップロードや在庫の管理を扱うなら回線の速さも作業時間に響くので、在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方で自宅の環境を見直しておくと、出品作業の待ち時間が減ります。
反復継続して営利目的で販売していると、個人であっても特定商取引法上の販売業者として扱われることがあります。販売業者に当たる場合は、通信販売の広告に価格、送料、支払いの時期と方法、引渡しの時期、返品の条件などを表示する義務がかかります。どこから販売業者と見られるかは取引の数量や反復性で判断されるため、規模が大きくなってきたら消費者庁の特定商取引法の案内で自分の形を確認してください。
仕入れの考え方は「安く買う」ではなく「回る物を買う」
仕入れに移った人が最初につまずくのが、安い物を大量に買ってしまうことです。安さは利益を保証しません。利益は「売れるまでの日数」で決まります。
同じ1,000円の利益が出る品物でも、3日で売れる物と3か月かかる物では、資金の回り方がまったく違います。3日で売れる物は、同じ元手で1か月に10回転できます。3か月かかる物は1回転もしません。したがって仕入れの判断は、利益の額ではなく、利益の額と回転日数の組み合わせで行います。
回転を速くするには、需要が確認できる物を選びます。フリマアプリの検索機能で、売り切れの商品だけを絞り込んで表示し、いくらで、どのくらいの頻度で売れているかを見ます。売り切れが多く、直近の日付が並んでいる品物は需要があります。逆に出品数が多いのに売り切れが少ない品物は、値下げ競争になっている印です。
もうひとつの軸は、自分が状態を判断できる分野かどうかです。服なら生地と縫製、家電なら通電と付属品、本なら版と帯、食器なら欠けと窯印。判断できない分野に手を出すと、偽物や壊れた物を仕入れて損をします。分野を1つか2つに絞り、その分野の相場を頭に入れるほうが、広く浅く買うより早く利益が出ます。
在庫を持つ量にも上限を決めてください。置き場所を圧迫すると生活が窮屈になり、続かなくなります。棚1つに収まる量、と決めておくと、売れないと次が買えないので回転を意識するようになります。
仕入れの元手は、生活費と分けた資金で持ちます。生活費から出すと、売れるまで待てずに損切りが増えます。始めるときの元手は小さく、回転の速さを確認してから増やす順番が安全です。
売り先は会場とアプリだけではない
フリーマーケットを軸にしていても、売り先を1つに固定すると値崩れに巻き込まれます。同じ品物でも、売り先によって値段と手間が大きく変わります。
リサイクルショップや専門の買取業者に持ち込む形は、値段が最も低くなりますが、その日に全部片づきます。時間をかけずに現金化したい品物、あるいは自分では相場が読めない品物はここに流すのが合理的です。ブランド品や楽器、カメラ、工具のように専門店が育っている分野は、専門店の査定のほうが総合の店より高くなります。
ネットオークションの形は、相場が読みにくい品物に向いています。値段を買い手側が決めるので、思わぬ高値が付くことがあります。逆に最低価格を設定しないと極端に安く落ちるので、下限は必ず設定します。
地域の掲示板や譲り合いのサービスは、大きくて送れない物に向いています。家具や家電は送料が利益を食い潰すので、近所の人に直接引き取ってもらう形が現実的です。ただし自宅の場所を知られる取引になるため、受け渡し場所を自宅以外にするなどの配慮が必要です。
委託販売という形もあります。店に品物を預けて、売れたら手数料を引いた金額を受け取る仕組みです。店の集客を借りられるので、自分で告知する手間が省けます。手数料は店によって大きく違い、預けた品物が売れずに戻ってくることもあります。契約書で、預ける期間、売れなかったときの扱い、破損したときの責任の所在を確認してください。
もうひとつ、会場のフリーマーケット自体にも種類があります。自治体や公園が主催する大規模なものは来場者が多く、値段の相場は安めに落ち着きます。手作りの作品を集めたマーケットや、特定の分野に絞ったイベントは来場者が少ない代わりに、目的を持った人が来るので単価が上がります。不要品を早く減らしたいなら大規模なもの、単価を取りたいなら分野を絞ったものを選ぶと、同じ1日の成果が変わります。
売り先を複数持っておく利点は、値崩れを避けられることだけではありません。売れ残りの出口があると、仕入れの判断が大胆になります。出口がないと、確実に売れる物しか買えず、利幅の薄い取引ばかりになります。
トラブルになりやすい場面を先に把握する
物を売る副業で起きる揉め事は、種類が限られています。先に想定しておけば、ほとんどが防げます。
最も多いのが、状態の説明をめぐる食い違いです。写真に写っていない傷、においや汚れ、動作しない機能。ここは「書きすぎて損をすることはない」と考えてください。傷の写真を追加し、使用回数と保管状態を書き、動作を確認した範囲を明記します。書いてあった内容なら、届いたあとで揉めません。
次に多いのが、偽物をめぐる指摘です。仕入れた品物を売る形に移ると、必ずこの問題に当たります。真贋の判断ができない分野には手を出さないのが最善ですが、扱う場合は仕入れ先の領収書を保管し、鑑定書や付属品の有無を記載します。偽物を知らずに売った場合でも、返金を求められるのが一般的な扱いです。
3つ目が、発送後の破損です。梱包が薄いと、届いたときに割れます。割れ物は緩衝材で包んだうえで、箱の中で動かないように隙間を埋めます。追跡と補償がある発送方法を選ぶと、破損したときに手当てが受けられます。安い発送方法は補償がない場合が多いので、品物の値段で使い分けます。
4つ目が、値下げ交渉への対応です。会場では交渉が前提なので問題になりませんが、アプリでは度を越えた交渉が来ることがあります。応じる下限を先に決めておき、下限を割る依頼は断ります。応じる基準がぶれると、以後の値付けが崩れます。
5つ目が、取引後の連絡が途切れる場面です。入金されない、受取の連絡が来ない。プラットフォームの規約に期限と手続きが書かれているので、自分で相手に督促する前に、運営の窓口に出す手順を確認してください。個人同士で強い言葉をやり取りすると、評価を下げられて次の販売に響きます。
帳簿と届出をいつ用意するか
規模が小さいうちは領収書を箱にまとめるだけでも足りますが、続けるつもりなら早めに帳簿の形を決めておくほうが後が楽です。
記録するのは、仕入れた日付、品物、仕入れ値、売れた日付、売値、手数料、送料、そして売り先です。表計算ソフトの1枚のシートで足ります。ここまで残しておくと、確定申告のときに収支の計算が数分で済みます。反対に、売上の合計だけしか残っていないと、経費を積み上げる作業に何日もかかります。
事業として続ける形になったら、税務署への届出を考えます。国税庁の案内によると、個人事業の開業・廃業等届出書の提出期限は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までです。「開業から1か月以内」という説明が世の中に残っていますが、現在の案内は確定申告期限までとなっています。
届出の種類と期限は新たに事業を始めたときの届出などに一覧でまとめられています。人を雇って給与を払う場合は、給与支払事務所等の開設届出書を開設の事実があった日から1か月以内に出すという別の期限がかかります。家族に手伝ってもらって給与を払う形にするなら、ここも確認してください。
青色申告をしたい場合は期限が別です。原則としてその年の3月15日までに承認申請書を出します。その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、事業開始の日から2か月以内です。この期限を過ぎると、その年分は青色申告の特典が使えません。青色申告特別控除は原則55万円で、電子帳簿保存を行うか電子申告をする場合は65万円になります。
棚卸しの考え方も押さえてください。年末に売れ残っている在庫は、その年の経費になりません。仕入れた金額のうち、売れた分だけがその年の売上原価になります。年末に大量に仕入れると、支出はしているのに経費にならないので、手元の現金と帳簿上の利益が食い違います。ここを知らないと、思っていたより税額が大きくなって驚くことになります。
なお、雑所得と事業所得のどちらで申告するか、どこまでを経費に入れられるかは、取引の形と金額で判断が変わります。一般的な扱いは以上のとおりですが、自分の場合の線引きは税務署の相談窓口か税理士に確認してください。
続ける人と辞める人の分かれ目
在宅で働く人の相談を受けてきた立場から見ると、フリーマーケットを副業として続けている人と、数か月で辞める人の差は、稼いだ額ではありません。記録を残しているかどうかです。
続けている人は、仕入れ値、売値、売れるまでの日数、送料、手数料を1件ずつ書き残しています。だから「この分野は薄い」「この会場は合わない」と判断できます。辞める人は、手元の現金が増えたか減ったかだけを見ています。売上が立っているのに現金が減るのは、在庫に変わっているからですが、記録がないとそれに気づけません。
もうひとつの差は、時間を測っているかどうかです。撮影と出品と発送と会場での立ち番に何時間かけたのかを数えると、1時間あたりの手取りが見えます。ここを見ると、フリーマーケットが自分にとって割のいい仕事かどうかが判断できます。自分の時間の値段を知るには、他の在宅の仕事の相場と並べるのが早道です。文章や編集の仕事の単価感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、開発や制作に近い分野はソフトウェア作成者の年収・単価相場にまとまっています。
中間に手数料が乗らない直接の取引が効くのは、金額の大小というより、手元に残る割合が変わるからです。同じ予算を出す依頼側は、手数料のない経路のほうが多く頼めます。受ける側は同じ仕事でも手取りが厚くなります。運営者としてこの市場を20年にわたって見てきた限りでは、物販から始めた人が、途中から技能を売る仕事に軸を移していく例が少なくありません。物を売る作業は在庫と時間に縛られますが、技能を売る仕事は在庫を持たず、単価を上げられるからです。
フリーマーケットを収入全体のどこに当てるか
最後に、フリーマーケットを収入の設計のどこに当てるかを考えます。
短期の現金が要るときに強いのが、この副業の性質です。家にある物を売るところから始められて、元手がほぼ要らず、その日に現金になります。「まず動いてみる」段階の入口として優れています。
一方で、収入の上限は時間と在庫の置き場所で決まります。1日に扱える件数には限りがあり、扱う量を増やすほど保管と発送の作業が増えます。ここが伸びにくいので、物販だけで収入を大きくするには、単価の高い分野に移るか、扱う件数を増やすための仕組みを作るかのどちらかが必要になります。
現実的な組み立ては、物販で元手と現金の流れを作りながら、在庫を持たない仕事を並行して育てることです。文章、デザイン、事務の代行、専門知識を使った相談などは、在庫がなく、実績が積み上がるほど単価が上がります。どんな技能が在宅の仕事で評価されるのかは在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるに整理されています。取引の記録や説明文を書く力がそのまま評価につながる分野もあるので、文書の書き方を体系的に押さえたい場合はビジネス文書検定の解説が参考になります。
事務や通信の基礎的な知識を仕事に変える道もあります。ネットワークの分野で基礎を証明する資格についてはCCNA(シスコ技術者認定)に、業務にAIを組み込む相談が仕事になってきている状況はAIコンサル・業務活用支援のお仕事に、アプリケーションを作る仕事の広がりはアプリケーション開発のお仕事にまとまっています。フリーマーケットで得た「相場を読む」「相手が何を欲しがるかを見る」という感覚は、どの分野に移っても役に立ちます。
フリーマーケット副業の要点は、自分の持ち物を売る形と仕入れて売る形の境目を先に決めること、仕入れに移るなら古物商の許可を取ること、領収書と記録を最初から残すこと、この3つです。ここを押さえてから量を増やせば、あとで手続きをやり直す手間がありません。
よくある質問
Q. フリーマーケットの副業に古物商の許可は必要ですか?
自分の持ち物を売るだけなら不要です。古物営業法は「古物を売却することのみを行うもの」を古物営業から除いているためです。仕入れて売る形になると許可が必要で、申請先は住所地を管轄する警察署の生活安全課、許可を出すのは都道府県公安委員会です。無許可営業は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。
Q. フリマアプリで不要品を売った分に税金はかかりますか?
生活の用に供している資産、たとえば古着や家財の売却による所得は非課税で、確定申告も不要です。損が出ても損失は生じなかったものとみなされます。ただし1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や宝石、書画、骨とう品は生活用動産から外れて譲渡所得の扱いになるため、高額品を売るときは別に確認してください。
Q. 確定申告が必要になるのはいくらからですか?
給与を1か所から受けている人は、給与所得と退職所得を除く各種の所得の合計が20万円を超えたときに確定申告が必要です。数えるのは売上ではなく、売上から仕入れ代や出店料や送料などの必要経費を引いた所得です。なお住民税は20万円以下でも申告が必要なので、市区町村への手続きは別に考えてください。
Q. 仕入れるときは何を基準に選べばよいですか?
利益の額だけでなく、売れるまでの日数を組み合わせて判断してください。同じ利益でも3日で売れる品物と3か月かかる品物では、同じ元手での回転数がまったく違います。フリマアプリで売り切れの商品だけを絞り込んで、直近の成約が並んでいる分野を選び、自分が状態を判断できる分野に絞るのが失敗の少ない進め方です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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