ショートステイで求められる資格|無くても入れる範囲はどこまでか【2026年版】


この記事のポイント
- ✓ショートステイで働くのに資格は必要か
- ✓介護職員・看護職員・生活相談員・機能訓練指導員など職種ごとに法令で決まっている資格と
- ✓1年以内に必要な認知症介護基礎研修
ショートステイの求人を見ていると、「資格不問」と書かれたものと「介護福祉士優遇」と書かれたものが並んでいて、結局どこまで資格が要るのか分からなくなる方が多いと思います。
これ、知らない人が本当に多いんです。ショートステイで働く人のうち、法令で資格が決まっているのは一部の職種だけです。介護職員として入るのであれば、資格が無くても応募できる職場は珍しくありません。ただし、無資格で入った場合でも、採用から1年以内に受けなければならない研修があります。そして、資格が無いと任されない仕事も確かに存在します。
この記事では、ショートステイの職場で「誰にどの資格が求められているのか」を職種ごとに整理したうえで、無資格で入ったときに任される範囲、ショートステイという職場に固有の仕事の中身、施設の種類による違い、求人票の読み方までをまとめます。
ショートステイという職場で、資格が問われる場面は限られている
まず、ショートステイがどういう職場なのかを押さえておきます。資格の話は、職場の仕組みを知っていると格段に分かりやすくなります。
ショートステイは、介護保険の正式な名前でいうと2種類に分かれます。1つは「短期入所生活介護」で、特別養護老人ホーム(特養)に併設されているものや、ショートステイだけを単独で運営している事業所がこれにあたります。もう1つは「短期入所療養介護」で、介護老人保健施設(老健)や介護医療院、病院や診療所の空きベッドを使って提供されます。つまり、同じ「ショートステイ」でも、生活の場に近いところと、医療やリハビリに近いところの2系統があるわけです。
利用者は、自宅で暮らしている要介護や要支援の方です。家族の冠婚葬祭や出張、介護疲れの休息(レスパイトと呼ばれます)のために、数日から長くても連続30日までの範囲で泊まりに来ます。連続して30日を超えると、31日目は介護保険が使えず全額自己負担になるルールがあります。
この「毎日誰かが入ってきて、誰かが帰っていく」という点が、特養やグループホームのような長く暮らす施設との一番大きな違いです。
では、人員の決まりはどうなっているか。短期入所生活介護の人員基準では、次の職種を置くことになっています。
・管理者 ・医師(1人以上) ・生活相談員(利用者100人に対して1人以上) ・介護職員または看護職員(常勤換算で利用者3人に対して1人以上) ・栄養士(1人以上。定員40人以下で他施設と連携できる場合は置かないこともできる) ・機能訓練指導員(1人以上) ・調理員その他の従業者
この一覧を見て気づいてほしいのは、「介護職員」の欄に資格の条件が書かれていないことです。人員基準で資格が指定されているのは、医師、看護職員、栄養士、機能訓練指導員、そして運用上の要件がある生活相談員です。介護職員そのものは、法令上は無資格でも配置できます。
つまり、「ショートステイで働くには資格が必要か」という疑問への答えは、「どの職種で入るかによる。介護職員なら、入口の時点では必須ではない」ということになります。
ただし、ここで話を終えると誤解を招きます。無資格で配置できることと、無資格で何でも任されることは別です。また、資格が無い人には入職後の研修義務があり、事業所の側にも資格者を一定割合そろえると報酬が上がる仕組み(サービス提供体制強化加算など)があります。求人票の「資格不問」と「有資格者優遇」が同じ事業所の中で並ぶのは、このためです。
もう1つ、費用の面からもショートステイの性格を見ておきます。利用者が払う金額には、要介護度に応じた基本サービス費に加えて、職員体制に応じた加算が乗ります。
ショートステイの1泊2日の料金は、要介護度や施設の種類、居室タイプなどによって異なりますが、およそ4,000円〜10,000円が目安となっています。例えば自己負担1割の要介護3の方が利用した場合の料金は、基本サービス費は約1,500円〜2,000円となります。注意する必要があるのは、ショートステイは1泊でも「2日分」として算定される点です。さらに、実際には食費や滞在費もかかります。個室の利用やサービス加算費が加わることも考えると支払額が想定より高くなる場合もあるので利用前に確認しておきましょう。 出典: medical.francebed.co.jp
ここで出てくる「サービス加算費」の中に、看護体制や夜勤体制、介護福祉士の割合などに応じた加算が含まれます。事業所が有資格者を集めたがるのは、利用者の安全のためであると同時に、経営上の理由もあるということです。働く側から見れば、資格は「入るための条件」ではなく「任される範囲と待遇を広げる材料」として効いてきます。
職種ごとに見る、資格が決まっている仕事と決まっていない仕事
ここからは、ショートステイで募集が出る主な職種ごとに、資格の要否を整理します。求人票を見るときの早見表として使ってください。
| 職種 | 必要な資格 | 無資格での応募 |
|---|---|---|
| 介護職員 | 法令上の指定なし | 可能な求人が多い |
| 看護職員 | 看護師または准看護師 | 不可 |
| 生活相談員 | 社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格など | 原則不可 |
| 機能訓練指導員 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師など | 不可 |
| 栄養士 | 栄養士または管理栄養士 | 不可 |
| 送迎ドライバー | 普通自動車免許 | 免許があれば可 |
| 調理員、清掃員 | 指定なし(調理師優遇が多い) | 可能 |
いくつか補足します。
生活相談員は、利用者や家族からの利用申し込みの受付、ケアマネジャーとの連絡調整、利用日程の組み立てなどを担う職種です。ショートステイでは予約の調整が非常に多く、実質的に「ベッドの稼働を管理する人」でもあります。資格の要件は、国の基準では社会福祉法に定める社会福祉主事の要件を満たす人かそれと同等以上の能力がある人とされていて、どこまでを「同等以上」と認めるかは自治体によって違います。介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)を認める自治体もあれば、介護の実務経験年数で認める自治体もあります。つまり、同じ資格を持っていても、働く地域によって生活相談員になれるかどうかが変わるんです。応募を考えている方は、事業所に「この自治体では何を要件にしていますか」と確かめるのが確実です。
機能訓練指導員は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のほか、一定の実務経験があるはり師やきゅう師も認められています。ショートステイでは看護職員が兼務している事業所がよくあります。
看護職員については、併設型の場合は本体の特養の看護職員が兼ねることが多く、ショートステイ専属の看護師がいない事業所もあります。一方、単独型で定員が20人以上の事業所では常勤の看護職員を置く決まりがあり、ここはショートステイの規模によって配置が変わる部分です。
送迎ドライバーは、ショートステイならではの募集です。入退所の日に自宅まで迎えに行き、送り届けます。普通自動車免許があれば応募できますが、車いすごと乗れるリフト車を運転することが多く、乗降の介助まで含めて任される場合は介護の研修を受けていると重宝されます。
介護職員が「法令上の指定なし」になっている点は、先ほど書いたとおりです。ただし、「法令上の指定がない」のと「事業所が求めていない」のは違います。求人票では、無資格可の求人と、初任者研修以上を条件にした求人の両方が出ています。この差は、次の節で説明する「任される範囲」と、事業所がどの加算を取りに行っているかから生まれます。
無資格で入った場合に任される範囲と、任されない範囲
資格の無い介護職員がショートステイで何を任されるのか。ここは、法律で線が引かれている部分と、事業所の判断で線が引かれている部分に分けて考えると整理しやすくなります。
法律で線が引かれている部分は、いわゆる医行為です。医師法などにより、医師や看護師でなければできない行為があります。介護職員が行えないのが原則ですが、厚生労働省の通知で「医行為ではないもの」として整理されている行為があり、これは資格の有無にかかわらず介護職員が行えます。代表的なものは次のとおりです。
・体温計による体温測定、自動血圧測定器による血圧測定 ・軽い切り傷や擦り傷の処置(専門的な判断が要らないもの) ・一包化された内服薬の服用の介助、湿布の貼付、軟膏の塗布(一定の条件のもと) ・爪に異常が無い場合の爪切り ・口腔ケア(重度の歯周病などが無い場合)
一方で、たんの吸引や経管栄養は医行為です。介護職員が行うには、介護福祉士として必要な研修を修了しているか、喀痰吸引等研修を修了して「認定特定行為業務従事者」の認定を受けている必要があります。つまり、無資格の職員にこれらが任されることは、法律上ありません。
ショートステイでは、自宅で胃ろうや吸引を受けている方が利用されることもあります。受け入れる事業所では、夜間にその対応ができる職員をシフトに入れる必要があるため、研修修了者の採用を急いでいるところがあります。
事業所の判断で線が引かれている部分は、もっと幅があります。私が以前、ある介護職員の方から受けた相談を紹介します。無資格で入職したショートステイで、入職2週目から夜勤に1人で入るよう言われた。断ると「人が足りないから」と押し切られた、という内容でした。
これ、法律で「無資格者は夜勤禁止」と決まっているわけではありません。ただし、事業所には利用者の安全に配慮する義務があり、働く人の側から見ても、慣れない職場で急変時の判断を1人で背負うのは相当なリスクです。私からは、入職時の労働条件通知書と研修計画を確認すること、夜勤の独り立ちの時期について書面か記録に残る形で相談すること、改善されない場合は労働基準監督署や都道府県の労働相談窓口に相談できることをお伝えしました。※夜勤中の事故で責任を問われるなど、具体的な紛争になっている場合は弁護士に相談してください。
事業所によって運用はさまざまですが、無資格で入った職員に対して多いのは次のような段階の踏み方です。
・最初の数週間は日勤で、先輩と同じ利用者を担当しながら入浴、排泄、食事の介助を覚える ・入退所の受け入れ業務(荷物の確認や申し送り)は、慣れてから担当する ・夜勤は、日勤で一通りの利用者対応ができるようになってから、複数回の同行を経て独り立ちする ・服薬の介助は、看護職員が準備した薬を確認しながら行う
面接の場で「独り立ちまでに何回くらい同行がありますか」と聞いてみてください。はっきり答えられる事業所は、受け入れの仕組みが整っていることが多いです。
無資格でも1年以内に必要になる「認知症介護基礎研修」
無資格で介護職員として入る方に、必ず知っておいてほしい制度があります。認知症介護基礎研修の受講義務です。
2021年度の介護報酬改定で、介護サービス事業者に対し、医療や福祉の資格を持たない介護職員に認知症介護基礎研修を受講させることが義務づけられました。3年間の経過措置を経て、2024年4月から完全に義務化されています。新しく採用された無資格の職員については、採用から1年の猶予期間の間に受講させることになっています。
つまり、「資格不問」の求人で入っても、1年以内に研修の修了は求められるということです。ショートステイもこの義務の対象です。
研修はeラーニングで受講でき、所要時間はおおむね6時間程度です。受講料は自治体によって異なり、無料のところもあれば数千円程度かかるところもあります。事業所が費用を負担し、勤務時間内に受講させるのが一般的です。
受講が免除される人もいます。介護福祉士、介護職員初任者研修や実務者研修の修了者、看護師や准看護師、介護支援専門員、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士や栄養士などです。つまり、初任者研修をすでに修了している人は、この研修を受けなくてよいわけです。
ここで押さえておきたいのは、研修の受講は「事業所の義務」だという点です。これ、知らない人が本当に多いんです。働く人が自腹で、休みの日に受けるものだと思い込んでいる方がいます。受講を業務として指示されるなら、その時間は労働時間にあたるのが原則です。入職時に「研修はいつ、どういう扱いで受けるのか」を確認しておきましょう。
認知症介護基礎研修は、あくまで最低限の知識を身につけるための研修で、資格ではありません。ショートステイで長く働くつもりがあるなら、この研修を入口にして、次の節で書く初任者研修や実務者研修へ進むほうが、任される範囲も待遇も広がります。
なお、ショートステイは認知症のある方の利用が多い職場です。慣れない場所に泊まることで、自宅では落ち着いていた方が夜間に帰りたいと訴えたり、トイレの場所が分からず歩き回ったりすることがあります。基礎研修で学ぶ「環境の変化が混乱を招く」という考え方は、ショートステイでは初日から実感することになります。
ショートステイ特有の仕事と、資格があると楽になる理由
ここからは、ショートステイという職場の中で実際に何が起きているかを書きます。資格の話と切り離せないのは、ショートステイには特養にもデイサービスにも無い仕事が集まっているからです。
1つ目は、毎日の入所と退所の受け入れです。ショートステイでは、午前中に帰る方を送り出し、午後に来る方を迎えるという流れが毎日のように続きます。入所の受け入れでは、持ち物を一つずつ確認して記録し、家族やケアマネジャーからの申し送りを受けます。退所の日には、同じ持ち物がそろっているかを確かめて返します。衣類の取り違えや、補聴器や入れ歯の紛失は、ショートステイで最も多い苦情の1つです。
2つ目は、持参薬の管理です。利用者は自宅で飲んでいる薬を持ってきます。薬の種類や飲むタイミングは一人ひとり違い、滞在の日数分だけ正しく管理しなければなりません。薬の確認と準備は看護職員が担う事業所が多いですが、看護職員が少ない併設型では、介護職員が服薬の介助の場面で「この方のこの時間の薬」を間違えないように確認する役割を担います。
ショートステイでの仕事内容は、身体介護や生活援助、レクリエーションなどの一般的な介護サービスに加えて、施設や利用者の状況によっては医療的ケアを行うこともあります。学生のうちにインターンシップ&キャリアを活用して実際の現場を体験しておくことで、介護施設の雰囲気や仕事への理解がより深まります。 出典: job.mynavi.jp
3つ目は、初めての利用者への対応です。長く暮らす施設であれば、職員は時間をかけて利用者の癖や好みを覚えられます。ショートステイでは、初めて会う方の排泄のタイミングや、夜に目を覚ます時間帯、嫌がる介助の仕方を、事前の情報だけで推測して動くことになります。事前情報に書かれていないことのほうが多いのが実情です。
4つ目は、送迎と家族対応です。送迎時に家族と直接話す機会が多く、「滞在中に転んでいないか」「食事は食べていたか」を聞かれます。家族は介護に疲れて預けていることが多く、職員の一言で安心することも、不安になることもあります。
私がショートステイの現場を見学させてもらったとき、特に印象に残ったのが入所受け入れの場面でした。持ち物のチェック表を読み上げながら、職員が家族に「夜はトイレに何回くらい起きますか」「食事で気をつけていることはありますか」と自然に聞いていたんです。チェック表には書かれていない情報を、会話の中で拾っていく。その職員の方は介護福祉士で、「養成課程で学んだアセスメントの考え方が、ここで一番役に立つ」と話していました。
資格があると楽になる理由は、ここにあります。初任者研修では介護の基本動作と、利用者の状態を観察する視点を学びます。実務者研修では、医療的ケアの基礎や、介護計画の考え方まで学びます。ショートステイは「限られた情報で、初対面の方の安全を守る」職場なので、観察と記録の型を持っている人ほど、判断に迷う場面が減ります。無資格でも働けますが、学んでいる人のほうが疲れにくい職場だといえます。
施設の種類で変わる、求められる資格の重み
同じショートステイでも、どこに付いているかで資格の求められ方が変わります。代表的な3つを比べてみます。
特養に併設されたショートステイ(短期入所生活介護の併設型)は、最も求人数が多い形です。本体の特養と職員を共有していることが多く、日によって特養側のフロアとショートステイ側を行き来する働き方もあります。看護職員は本体と兼務のことが多く、夜間は看護職員が不在で、オンコール(電話で呼び出す体制)になっている事業所が一般的です。つまり、夜勤の介護職員が急変時の最初の判断をする場面が出てきます。無資格可の求人は多いものの、夜勤に入る段階では研修修了を条件にしている事業所もあります。
単独型のショートステイ(短期入所生活介護の単独型)は、特養に付いていないショートステイ専門の事業所です。すべての利用者が短期の滞在なので、入退所の件数が多く、送迎や家族対応の比重が高くなります。定員20人以上の単独型は常勤の看護職員を置く決まりがあるため、看護師の求人も出ます。介護職員にとっては、入退所の手順を身につければ、特養よりも仕事の流れが読みやすいと感じる人もいます。
老健のショートステイ(短期入所療養介護)は、医療とリハビリの色が濃くなります。医師が常勤し、看護職員の配置も手厚く、理学療法士や作業療法士によるリハビリも受けられます。退院直後の方や、医療的な管理が必要な方の利用が多い職場です。介護職員は無資格でも応募できる求人がありますが、看護職員との連携や、リハビリの内容を生活の場面で続ける役割を求められるため、実務者研修や介護福祉士を持っている人が歓迎されやすい傾向があります。
| 比較の観点 | 特養併設型 | 単独型 | 老健(療養介護) |
|---|---|---|---|
| 入退所の頻度 | 中程度 | 多い | 中程度 |
| 看護職員の配置 | 本体と兼務が多い | 定員20人以上で常勤1人以上 | 手厚い |
| 医療的な対応 | 限定的 | 限定的 | 多い |
| 無資格の介護職員の受け入れ | 多い | 多い | ある |
| 資格が効く場面 | 夜勤時の判断 | 入退所と家族対応 | 看護・リハビリとの連携 |
どれが良い悪いではありません。無資格から始めるなら、先輩の人数が多く、本体の特養の研修体制を使える併設型が入りやすいことが多いです。医療的な知識を身につけたい人は老健、利用者や家族との関わりを深めたい人は単独型、というように、自分が伸ばしたい方向で選ぶと失敗が少なくなります。
資格を取る順番と費用、それぞれのメリットとデメリット
ショートステイで働きながら資格を取る場合、順番はおおむね決まっています。
介護職員初任者研修は、介護の入口の資格です。カリキュラムは130時間で、通学とオンラインを組み合わせて1〜4か月ほどで修了できます。受講料はスクールによって差があり、数万円から10万円程度が目安です。自治体の補助や、事業所の資格取得支援制度で実質負担が軽くなることもあります。
メリットは、認知症介護基礎研修が不要になること、身体介護の基本を体系的に学べること、資格手当の対象になる事業所があることです。デメリットは、時間と費用がかかることと、この資格だけではたんの吸引などの医療的ケアはできないことです。
介護福祉士実務者研修は、次の段階です。カリキュラムは450時間ですが、初任者研修の修了者は一部が免除されます。医療的ケアの基礎を学ぶ科目があり、介護福祉士の国家試験を実務経験ルートで受けるための要件でもあります。訪問介護のサービス提供責任者になれる資格でもあるため、ショートステイ以外への転職の選択肢も広がります。
介護福祉士は国家資格です。実務経験ルートでは、介護の仕事に3年以上(従業期間3年以上かつ従事日数540日以上)従事し、実務者研修を修了していることが受験の条件になります。ショートステイでの勤務も実務経験に含まれます。資格手当は事業所によって差がありますが、月1万円から1万5,000円程度を支給するところが多く見られます。
ここで注意したいのは、資格取得支援制度の条件です。これ、トラブルになりやすいんです。「受講費用を事業所が負担する代わりに、修了後2年以内に退職したら全額返還」という約束をしている事業所があります。労働基準法は、労働契約の不履行について違約金を定めることや損害賠償額をあらかじめ決めておくことを禁止しています(第16条)。つまり、働き続けることを強制するための返還条項は、内容によっては無効になり得ます。一方で、費用を「貸付」として整理し、一定期間働けば返済を免除するという形は、運用しだいで有効と判断されることもあります。※実際に返還を請求されて争いになっている場合は、弁護士に相談してください。入職前に、支援制度の規程を書面で見せてもらうことをおすすめします。
介護職員の年収がどの程度の水準にあり、資格や経験年数でどう変わるのかは、統計をもとに相場を整理した介護職員の年収・単価相場で確認できます。資格を取る前後で待遇がどう変わりうるかを見ておくと、費用をかけるかどうかの判断材料になります。
また、ショートステイの看護職員として働くことを考えている方は、施設で働く看護師の収入の分布をまとめた看護師の年収・単価相場が参考になります。病院勤務と比べたときの水準の差を知ったうえで選ぶと、入職後のギャップが小さくなります。
求人票のどこを見れば、その職場の実態が分かるか
最後に、ショートステイの求人票で確認しておきたい点をまとめます。資格の条件だけでなく、資格が無い人がどう扱われるかが読み取れる箇所に注目してください。
1. 施設の種類と定員
「短期入所生活介護」なのか「短期入所療養介護」なのか、併設型なのか単独型なのか。定員が何人か。ここで、看護職員の配置や入退所の多さがおおよそ推測できます。求人票に書かれていなければ、事業所名で介護サービス情報公表システムを検索すると、職員数や資格者の人数が確認できます。
2. 資格の条件の書き方
「資格不問」「無資格可」「初任者研修以上」「介護福祉士優遇」のどれか。無資格可であれば、同じ求人票に「資格取得支援制度あり」と書かれているかを見ます。書かれていれば、事業所として無資格者を育てる前提があると読めます。
3. 夜勤の体制
夜勤の人数、夜勤の時間(16時間の2交代か、8時間の3交代か)、看護職員がオンコールか常駐か。無資格で応募する場合は、夜勤の独り立ちまでの期間を面接で確認します。
4. 送迎の有無
介護職員が送迎の運転を兼ねるかどうか。兼ねる場合は、普通自動車免許が必要になり、AT限定で良いかも確認が必要です。
5. 労働条件通知書の記載
2024年4月から、労働条件を明示するときに、就業場所と業務の「変更の範囲」を書くことが義務づけられています。つまり、「併設の特養に異動することがあるか」「送迎業務を担当することがあるか」が書面に出てくるはずです。入職後に「聞いていなかった」とならないよう、ここはしっかり読んでください。
6. 研修の扱い
認知症介護基礎研修や法定研修が勤務時間内か、費用は誰が負担するか。求人票に書かれていないことが多いので、面接で聞いておきます。
もう1つ、面接で聞くと職場の空気が分かる質問があります。「最近あったヒヤリハットで、どういう対策をしましたか」という質問です。ショートステイでは、初めての利用者の転倒や、持ち物の取り違えは避けられません。起きたことを隠さず、仕組みで防ごうとしている事業所は、無資格で入った人を放り出さない職場であることが多いです。
介護の仕事を続けるか、別の職場や働き方に移るかで迷っている方は、働く人の相談に乗る専門職について解説したキャリアコンサルタントのページを見てみてください。国家資格としての役割と相談できる内容がまとめられていて、第三者に相談するという選択肢を知っておくだけでも気持ちが軽くなります。
現場を長く見てきた立場から
在宅ワークとフリーランスの市場を20年運営してきた立場から、1つだけ観察を書かせてください。
介護の職場でも、在宅の仕事でも、長く続く人に共通しているのは、「最初に全部を任されようとしない」ことです。資格が無い状態で入った人ほど、早く一人前になろうとして無理な夜勤や担当を引き受け、半年で疲れて辞めてしまう。反対に、続く人は「いま自分に任されている範囲」と「まだ任されていない範囲」を自分で言葉にして、段階を踏んで範囲を広げていきます。範囲を広げるたびに研修や資格で裏づけを取っていくので、職場からの信頼も積み上がります。
報酬の構造にも、同じことがいえます。人と仕事の間に入る事業者が増えるほど、働く人の手元に残る額は薄くなります。仲介の手数料が乗らない直接のやり取りであれば、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%という形の値打ちは、金額の大小ではなく、この手取りの厚みという質にあります。
ショートステイは、資格が無くても入れる職場です。同時に、資格があるほど判断に迷わずに済む職場でもあります。自分がどの範囲まで任されているのかを知り、その範囲を法律と書面で確かめながら働いてください。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. ショートステイの介護職員は無資格でも働けますか?
働けます。短期入所生活介護の人員基準では介護職員に資格の指定が無く、無資格可の求人も多く出ています。ただし、医療や福祉の資格が無い介護職員は、採用から1年以内に認知症介護基礎研修を受講する必要があります。受講は事業所の義務なので、費用や勤務時間の扱いを入職時に確認しておきましょう。
Q. 無資格の介護職員がショートステイでできないことは何ですか?
たんの吸引や経管栄養などの医行為はできません。これらを行うには、介護福祉士としての研修修了か、喀痰吸引等研修を修了して認定を受けることが必要です。体温や血圧の測定、一包化された薬の服用介助、湿布の貼付などは、厚生労働省の通知で医行為ではないと整理されており、無資格でも行えます。
Q. ショートステイの生活相談員に必要な資格は何ですか?
国の基準では、社会福祉主事の要件を満たす人かそれと同等以上の能力がある人とされています。社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格が代表的です。介護福祉士や介護支援専門員、一定の実務経験を認めるかどうかは自治体によって異なるため、働く地域の要件を事業所に確認するのが確実です。
Q. ショートステイで働きながら介護福祉士を取るにはどうすればいいですか?
実務経験ルートでは、介護の仕事に従業期間3年以上かつ従事日数540日以上従事し、実務者研修を修了すると国家試験を受けられます。ショートステイでの勤務も実務経験に含まれます。事業所の資格取得支援制度を使う場合は、退職時の費用返還の条件を入職前に書面で確認しておくと安心です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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