小児科クリニックへ転職するという選択|前の職場との落差と、決め手


この記事のポイント
- ✓医師転職で小児科クリニックを考える勤務医の方へ
- ✓病院の小児科から移ったときに感じやすい落差を
- ✓求人票の年収と勤務日数の読み方
医師転職で小児科クリニックを考えるとき、多くの先生が気にするのは年収と勤務日数です。ただ、実際に移ったあとで「こんなはずじゃなかった」と感じる理由は、たいてい別のところにあります。季節によって患者さんの数が大きく変わること、院長の診療方針に合わせる場面があること、そして契約書に書かれていない「暗黙の了解」があることです。
結論から言うと、小児科クリニックへの転職で後悔しないための決め手は、「診療体制」「季節の波への備え」「労働条件通知書の中身」の3つを、入る前に言葉で確かめておくことです。
私は普段、フリーランスや個人で働く方の契約の相談を受けています。その中で、医療職の方から「採用のときに口頭で言われた条件と、実際の働き方が違う」という相談を受けることがあります。これ、知らない人が本当に多いんです。条件は、書面で確かめて初めて自分を守る材料になります。この記事では、職場の中身と、契約の確かめ方の両方をお話しします。
病院の小児科とクリニックでは、1日の流れがまったく違う
まず、病院の小児科と小児科クリニックの違いを、1日の流れで整理しておきます。
病院の小児科では、外来と入院の両方を担当します。朝の回診、午前の外来、午後の病棟業務や検査、カンファレンス、そして当直やオンコールがあります。地域によっては小児の救急を受け入れていて、夜間に発熱やけいれんの子どもが運ばれてくることもあります。周産期母子医療センターを持つ病院なら、NICU(新生児集中治療室)での新生児の管理も仕事に含まれます。
一方、小児科クリニックの1日は、外来が中心です。多くのクリニックでは、次のような時間の区切り方をしています。
・午前の一般診療(発熱、せき、腹痛、皮膚のトラブルなど) ・昼休みのあとの「予約枠」(乳幼児健診、予防接種) ・午後の一般診療 ・土曜日の診療(午前のみ、または終日)
乳幼児健診と予防接種を、一般診療とは別の時間帯に分けているのは、感染症で受診する子どもと、元気な赤ちゃんが待合室で一緒にならないようにするためです。クリニックによっては、入口や待合室を分けたり、発熱している子どもを別室で待たせる隔離室を設けたりしています。
病院から移った先生がまず感じる落差は、「1人にかけられる時間の短さ」です。求人の中には、患者さんの数をこういう書き方で示しているものがあります。
・外来数は1時間平均7~8名/患者様一人ひとりに丁寧に向き合える環境 ・院長との2診体制のため、経験の浅い先生も安心 ・時給12,000~13,000円+柔軟な勤務条件(時短・単日・隔週勤務可) ・当直・オンコールなしで無理のない勤務が可能 ・院内併設の一時・病児保育あり(子育て中の先生も働きやすい環境) ・小児科に特化した診療体制 出典: jmadbk.med.or.jp
1時間に7〜8人を「丁寧に向き合える環境」と書いていることに、注目してください。つまり、1人あたり7〜8分程度が、このクリニックにとって「ゆとりのある」ペースだということです。感染症が流行する時期のクリニックでは、これよりずっと速いペースになることも珍しくありません。
病院の外来で、紹介状を読み込み、検査の結果を待って、ご家族にじっくり説明してきた先生にとって、この速さは大きな変化です。短い時間で重症のサインを見逃さず、ご家族の不安をやわらげる説明を組み立てる。これは病院とは別の技術で、慣れるまでに数か月かかる先生もいます。
もう1つ、病院ではあまり意識しなかった仕事として、予防接種のスケジュール管理があります。生後2か月から始まる乳児期の定期接種は種類が多く、複数のワクチンを同じ日に打つ同時接種も一般的になっています。「前回の接種から何日あければ次を打てるか」「体調不良で延期した分をどう組み直すか」といった相談に、診察の合間で答える場面が日常的にあります。病院の小児科で予防接種を担当する機会が少なかった先生は、ここを最初に整理しておくと、クリニックでの外来がぐっと楽になります。
その一方で、当直とオンコールがなくなる変化は、生活を大きく変えます。夜にしっかり眠れる、休日に呼び出されない、子どもの行事に合わせて予定が立てられる。小児科の勤務医の方が転職を考える理由として、この「生活の見通し」を挙げることはとても多いです。
季節ごとの患者数の波は、働き方にも収入にも影響する
小児科クリニックに特有の落差として、ぜひ知っておいてほしいのが「季節の波」です。
小児科の外来は、感染症の流行に大きく左右されます。秋から冬にかけてはインフルエンザ、冬から春にはRSウイルスや胃腸炎、夏には手足口病やヘルパンギーナというように、季節ごとに流行する病気が入れ替わります。流行のピークには、1日の患者さんの数がふだんの1.5〜2倍になるクリニックもあります。
反対に、流行が落ち着く時期は、患者さんの数が目に見えて減ります。この落差が、働き方にも収入にも影響してきます。
働き方への影響としては、繁忙期に「終業時間に診療が終わらない」ことが起きやすくなります。受付を締め切る時間が決まっていても、その時点で待合室にいる子どもは全員診るのが一般的なので、実際の終了時間は後ろにずれます。求人票に「残業ほぼなし」と書いてあっても、冬の時期は例外になっていることがあるので、ここは面接で「冬の繁忙期は何時ごろに診療が終わりますか」と具体的に聞いておきましょう。
収入への影響は、給与の決まり方によって変わります。固定の年俸や月給で契約する場合は、季節の波で収入が変わることはありません。一方で、時給制の非常勤や、患者数に応じた歩合がつく契約の場合は、夏の閑散期に収入が下がることがあります。
また、クリニックによっては、閑散期に勤務日数を減らしてほしいと相談されることもあります。これ、知らない人が本当に多いんです。雇用契約で勤務日が決まっている場合、クリニックの都合で休ませたときには、労働基準法で平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります。つまり、「患者さんが少ないから今日は来なくていい」と言われて無給になるのは、雇用契約であれば原則として認められません。
ただし、これは雇用契約の場合の話です。スポットの非常勤を業務委託の形で受けている場合は、労働基準法の休業手当は適用されません。契約の形によって守られ方が変わるので、自分がどの形で契約しているのかを必ず確認してください。※個別の事情が複雑な場合は、弁護士や社会保険労務士に相談してください。
季節の波は、診療の中身も変えます。冬は感染症の診療で1日が埋まり、夏は乳幼児健診や予防接種、発達や育児の相談に時間を使えるようになります。病院で専門の外来を持っていた先生の中には、夏の時期にアレルギーや発達の相談を受ける枠を任され、自分の専門を活かせるようになったという方もいます。季節の波を「落ち着いた時期に何ができるか」という目で見ておくと、クリニック選びの視点が1つ増えます。
診療体制と院長との関係が、働きやすさを大きく左右する
小児科クリニックに移った先生が、いちばん悩みやすいのが、院長との関係と診療方針の違いです。
病院では、診療方針は学会のガイドラインや、医局や診療科での話し合いで決まっていきます。一方、クリニックでは、院長の考え方が診療方針に色濃く反映されます。抗菌薬をどの場面で出すか、検査をどこまでするか、どの時点で病院に紹介するか。こうした判断が、院長と自分で違うことがあります。
求人の中には、この点を明示しているものもあります。
「ガイドラインに基づいた標準的な診療方針を共有しており、原則3診体制のため、医師同士で相談・連携しながら診療に取り組める」という書き方は、診療方針が医師個人ではなくクリニックとして決まっている、という意味です。こうしたクリニックは、医療法人が複数の分院を運営している形であることが多く、方針が文書で共有されている分、病院から移った先生にとって違和感が小さくなりやすい傾向があります。
反対に、院長が1人で長く続けてきたクリニックでは、方針が院長の経験に基づいていて、文書になっていないことがあります。こうしたクリニックでは、院長との相性がそのまま働きやすさになります。院長の診療に対する考え方に共感できれば、学ぶことの多い職場になりますし、合わなければ毎日の小さな食い違いが積み重なっていきます。
診療体制でもう1つ見ておきたいのが、「何診体制か」です。
1診(医師1人)のクリニックに非常勤で入る場合、その日は自分1人で全員を診ることになります。判断に迷ったときに相談できる相手がいないので、病院で上級医に相談しながら診てきた先生にとっては、負担が大きくなります。2診や3診の体制なら、隣の診察室の医師に相談できますし、繁忙期に患者さんを分担することもできます。
見学のときは、次のことを確かめておくと、診療体制の実態が見えてきます。
・その曜日に何人の医師が診療しているか ・判断に迷ったときの相談の流れが決まっているか ・病院への紹介の基準がクリニックとして決まっているか ・診療方針を共有するための打ち合わせや文書があるか ・電子カルテの記載の仕方に決まりがあるか
私が相談を受けた中に、こんなケースがありました。病院の小児科から、個人のクリニックに常勤で移った先生です。面接では「方針はお任せします」と言われていたのに、入職後に、処方や検査のたびに院長から細かく指摘を受けるようになったそうです。先生は「話が違う」と感じていましたが、契約書にも労働条件通知書にも、診療方針についての取り決めは何も書かれていませんでした。
診療方針そのものを契約書に書くのは難しいことです。でも、面接で「どの程度、診療の判断を任せてもらえるのか」「方針が違うときは、どのように話し合うのか」を具体的に聞き、答えをメモに残しておくことはできます。口頭の説明でも、あとで話し合うときの大切な材料になります。
求人票の年収と勤務日数は、1時間あたりに直して比べる
小児科クリニックの求人には、年収や時給がはっきり書かれていることが多いです。ただ、そのまま並べて比べると、判断を誤ることがあります。
たとえば、次の2つの求人を見てください。
【週3日・平日のみ・年収1,260万円から】小児科クリニックの常勤医師を募集しています。月曜日・火曜日・金曜日の週3日・週24時間勤務で、日曜日勤務なしの働き方が可能です。祝日勤務なしの勤務形態もご相談いただけます。 出典: jmadbk.med.or.jp
もう1つの求人は、「日曜日(または土曜日)どちらか勤務可能で祝日勤務可能」「週4日(32時間)勤務にて年収1800万円以上」という条件でした。
年収だけを見ると、2つ目の求人のほうが540万円以上高く見えます。でも、勤務時間が違います。1年を52週として、1時間あたりに直してみましょう。
1つ目の求人は、週24時間で年収1,260万円なので、年間の勤務時間は約1,248時間、1時間あたり約1万100円です。2つ目の求人は、週32時間で年収1,800万円なので、年間の勤務時間は約1,664時間、1時間あたり約1万800円です。
実際には休暇がありますから、ここまで単純ではありません。それでも、1時間あたりの差は700円程度に縮まります。そして2つ目の求人には、土曜日か日曜日のどちらかと、祝日の勤務が含まれています。子育て中の先生にとって、週末の勤務はお金に換えにくい負担です。
つまり、「どちらが得か」は年収の数字だけでは決まらず、「週末をどう使いたいか」で決まるということです。
時給で示されている非常勤の求人も、同じように比べられます。先ほどの時給1万2,000〜1万3,000円の求人は、1時間あたりで見れば常勤の求人より高く見えます。ただし、非常勤は賞与や退職金がないことが多く、社会保険の扱いも勤務時間によって変わります。常勤と非常勤を比べるときは、時給の数字に加えて、保険、退職金、有給休暇の扱いまで並べて比べることが大切です。
年収の数字を見るときに、もう1つ確かめたいのが「その金額に何が含まれているか」です。
・賞与は年収に含まれているのか、別に支給されるのか ・時間外の診療(受付締め切り後の診療)の分は含まれているのか ・学会への参加費や、専門医の更新費用は補助されるのか ・医師賠償責任保険の保険料は、クリニックと自分のどちらが負担するのか ・通勤手当は別に支給されるのか
医師賠償責任保険は、見落としやすい項目です。クリニックが加入している保険で勤務医の診療がどこまで補償されるのかは、保険の内容によって違います。個人でも加入しておくべきかどうかを、入職前に確かめておきましょう。
労働条件通知書で、必ず確かめてほしい項目
ここからは、私の専門の話を少し詳しくさせてください。
医師も、クリニックに雇われて働く以上は労働者です。労働基準法では、雇い主は労働者を雇うときに、賃金や労働時間などの条件を書面などで明示しなければならないと決められています。この書面が「労働条件通知書」です。雇用契約書と一緒になっていることもあります。
これ、知らない人が本当に多いんです。医師の転職では、紹介会社を通じて条件を聞き、面接で院長と話し、そのまま入職してしまうことがあります。でも、書面で条件を受け取っていなければ、後で「言った、言わない」になったときに、自分を守る材料がありません。
労働条件通知書で、必ず確かめてほしい項目は次のとおりです。
1つ目は、就業の場所と業務の内容です。2024年4月からは、これに加えて「変更の範囲」も明示することになりました。つまり、将来、別の分院に異動する可能性があるのか、小児科以外の診療を担当する可能性があるのかを、書面で示さなければならないということです。分院を持つ医療法人に入る場合は、ここを必ず確認してください。
2つ目は、始業と終業の時刻、休憩、休日です。「受付締め切り後の診療」がどう扱われるのか、時間外の分の賃金がどう計算されるのかを確かめましょう。
3つ目は、賃金の決め方と支払い方法です。年俸制の場合、その中に時間外の分が含まれているのか、含まれているなら何時間分なのかが書かれているかを見てください。
4つ目は、契約期間と更新の基準です。有期契約の場合は、更新するかどうかの基準が書かれている必要があります。
5つ目は、退職に関する事項です。何日前までに申し出れば退職できるのか、クリニックの就業規則ではどうなっているのかを確かめておきましょう。
あわせて知っておきたいのが、医師の働き方改革です。2024年4月から、勤務医の時間外・休日労働には上限が設けられ、原則として年960時間とされています。これは病院だけでなく、医師を雇うクリニックにも関わるルールです。クリニックでは当直がないことが多いので上限を超える場面は少ないですが、病院の当直のアルバイトとかけもちする場合は、労働時間を通算して管理する必要があるので注意が必要です。
制度の詳しい内容は、厚生労働省のサイトで確かめられます。
参考:厚生労働省
もう1つ、将来開業を考えている先生にお伝えしたいのが、「競業避止」の取り決めです。つまり、退職したあとに、同じ地域でクリニックを開いたり、別のクリニックで働いたりすることを制限する約束のことです。契約書や誓約書に「退職後○年間、半径○km以内での開業を禁止する」といった条項が入っていることがあります。
こうした条項は、期間や範囲が広すぎる場合には無効と判断されることもありますが、トラブルになれば時間も労力もかかります。※具体的な条項の有効性については、弁護士に相談してください。将来の開業を少しでも考えているなら、署名する前に内容を確かめ、必要なら範囲を話し合っておくことをおすすめします。
前の職場との落差を、決め手に変えるために
ここまで、小児科クリニックに移ったときの落差と、確かめておきたいことをお話ししてきました。最後に、それを「決め手」に変える考え方を整理します。
まず、自分が転職で何を手放し、何を得たいのかを書き出してみてください。
病院の小児科から移ると、多くの場合、入院の管理や重症の子どもの治療、若手の指導、研究の時間を手放すことになります。その代わりに、当直のない生活、ご家族との長い関係、予防接種や健診を通じて子どもの成長を見守る時間を得ます。
手放すものの中に、どうしても譲れないものがあるなら、それを残せる働き方を探しましょう。たとえば、重症の子どもの診療から離れたくない先生は、クリニックで常勤として働きながら、病院の外来を週に1回だけ非常勤で続けるという形を選ぶことがあります。この場合は、先ほどお話しした労働時間の通算に気をつけてください。
次に、候補のクリニックを3つの軸で比べてみてください。
・診療体制(何診か、方針の共有の仕方、相談の流れ) ・季節の波への備え(繁忙期の終了時間、閑散期の勤務日数の扱い) ・契約の中身(労働条件通知書の項目、年収に含まれるもの、競業避止)
3つの軸に加えて、見学のときに見ておきたいのが、医師以外のスタッフの体制です。
小児科クリニックの診療は、医師だけでは回りません。受付と医療事務、看護師、そして病児保育を併設しているクリニックなら保育士も一緒に働いています。受付が電話の問い合わせや順番予約の案内をどれだけ整理してくれるか、看護師が問診や身長体重の測定、予防接種の準備をどこまで先に進めてくれるかで、医師が診察に集中できる時間は大きく変わります。
たとえば、看護師が問診の段階で「呼吸が速い」「水分がとれていない」といった重症のサインを拾い、医師に先に伝える流れができているクリニックでは、繁忙期でも見逃しの不安がぐっと小さくなります。反対に、スタッフの入れ替わりが激しく、毎回説明が必要なクリニックでは、医師がスタッフへの指示に時間を取られてしまいます。
見学では、「看護師さんは何人で、どの時間帯に何人いますか」「スタッフの方は長く勤めている方が多いですか」と聞いてみてください。スタッフが長く定着しているクリニックは、院長の人柄や職場の運営が安定していることの表れでもあります。医師の求人票にはスタッフの体制が書かれていないことがほとんどなので、ここは足を運んで確かめるしかありません。
この3つの軸とスタッフの体制を並べてみて、軸のうち2つに納得できるクリニックは、長く働ける可能性が高い職場です。3つとも曖昧なままのクリニックは、どれだけ年収が高くても、慎重に考えたほうがよいでしょう。
面接で聞いた内容は、日付と相手の名前を添えてメモに残しておくことをおすすめします。口頭の約束でも、記録があれば、後で話し合うときの材料になります。そして、大切な条件は、できる限り労働条件通知書や雇用契約書に書いてもらうよう依頼してください。書面に残すことを嫌がる職場は、それ自体が1つの判断材料になります。
文書を読み、自分の条件を相手に分かりやすく伝える力は、転職のあらゆる場面で役に立ちます。条件の確認をメールで送るときは、確認したい項目を箇条書きにし、回答の期限を添えておくと、行き違いが起きにくくなります。紹介状や診療情報提供書を分かりやすく書くときと、同じ考え方です。
契約の相談を受けてきて、見えてきたこと
在宅ワークや業務委託の市場を長く見てきた運営者の立場から言えば、医師の働き方は、ここ10年でずいぶん多様になったと感じます。常勤で1つの病院に勤め続ける形だけでなく、クリニックの常勤と病院の非常勤を組み合わせる形、スポットの外来を業務委託で受ける形、医療の知識を活かして記事の監修やオンラインの相談を請ける形など、選べる形が増えています。
働き方が増えると、そのぶん契約の形も増えます。雇用契約なのか、業務委託なのか。どちらかによって、休業手当や労働時間のルールが適用されるかどうかが変わります。業務委託でスポットの仕事を受ける場合は、2024年11月に施行されたフリーランス保護新法によって、発注する側には取引条件を書面などで明示することや、仕事の成果を受け取った日から60日以内に報酬を支払うことが義務づけられています。つまり、雇用でなくても、法律はきちんとあなたを守る仕組みを用意しているということです。
医療の知識を活かして文章の仕事を受ける先生もいます。医療記事の監修や執筆は、専門家の確認が求められる分野です。常勤や非常勤、スポットの勤務まで含めて報酬の水準を知りたい方は、医師の年収・単価相場に公的な統計をもとにした数字がまとめられています。クリニックの看護師さんと一緒に働く中で、看護職の在宅の働き方に関心を持った方は、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】も参考になります。
長く見てきて実感しているのは、どんな形で働くにしても、長く続く人ほど「この人に任せると安心」という関係づくりに時間を使っている、ということです。クリニックでは院長やスタッフとの信頼、業務委託では依頼する側との信頼が、次の仕事につながっていきます。依頼する側と受ける側が直接やりとりできる形では、間に入る手数料がかからない分、受け手の手取りが厚くなります。手数料0%の直接取引は、依頼する側が同じ予算でより多くを頼めて、受ける側が自分の専門性の価値をそのまま受け取れる、双方が納得しやすい形です。
小児科クリニックへの転職は、生活の見通しを取り戻す大きな選択です。季節の波と診療体制を理解し、条件を書面で確かめてから決めれば、その選択はきっと納得のいくものになります。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 病院の小児科から小児科クリニックに移ると何が一番変わりますか?
当直やオンコールがなくなり生活の見通しが立ちやすくなる一方、1人あたりの診療時間が短くなります。1時間に7〜8人を「ゆとりがある」とする求人もあり、短時間で重症のサインを見極めて家族に説明する力が求められます。感染症の流行期には患者数が大きく増えるため、季節の波への慣れも必要です。
Q. 小児科クリニックの求人の年収はどう比べればいいですか?
年収をそのまま比べず、週の勤務時間から1時間あたりに直して比べるのがおすすめです。年収が高く見えても、土日や祝日の勤務が含まれていることがあります。さらに、賞与や時間外の分が含まれているか、学会費や医師賠償責任保険の負担はどちらかといった点も並べて確かめると、実際の条件の差が見えてきます。
Q. 閑散期に「今日は来なくていい」と言われたら給料はどうなりますか?
雇用契約で勤務日が決まっている場合、クリニックの都合で休ませたときは、労働基準法で平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります。ただし、スポットの非常勤を業務委託で受けている場合は適用されません。自分の契約がどちらの形なのかを、労働条件通知書や契約書で確認しておきましょう。
Q. 将来開業するつもりなら、転職時に何に注意すべきですか?
契約書や誓約書に、退職後の開業や勤務を制限する競業避止の条項がないかを確かめてください。期間や範囲が広すぎる条項は無効と判断されることもありますが、トラブルになると負担が大きくなります。署名する前に内容を確認し、必要なら範囲を話し合い、判断に迷う場合は弁護士に相談することをおすすめします。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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