重度訪問介護の資格|従業者養成研修の受け方


この記事のポイント
- ✓重度訪問介護従業者養成研修の基礎課程・追加課程・統合課程・行動障害支援課程の修了で得られます
- ✓国が定める時間数と都道府県ごとの違い
- ✓介護福祉士や初任者研修で働ける場合
重度障害者の訪問介護の資格を調べている人の多くは、重度訪問介護のヘルパーとして働いてみたい、介護の仕事は未経験だが短い研修で始められる仕事を探している、すでに介護の資格を持っていて重度訪問介護にも入れるのか知りたい、といった事情を抱えています。結論から書くと、重度訪問介護の仕事に就くための代表的な資格は「重度訪問介護従業者養成研修」で、国の基準では基礎課程が10時間、追加課程が10時間、喀痰吸引等の基本研修を含む統合課程が20.5時間です。介護福祉士や介護職員初任者研修などを修了している人も、重度訪問介護の仕事に就けます。
この記事では、重度訪問介護がどんなサービスなのかを確かめたうえで、働ける資格の範囲、従業者養成研修の4つの課程の違い、都道府県によって時間数が変わる点、喀痰吸引等との関係、受講の流れ、実際の仕事の中身までを順に整理します。内容は、e-Gov に載っている法律の条文、厚生労働省の告示、都道府県の公式ページで確かめたものだけを使っています。
重度訪問介護は長い時間をかけて暮らしを支えるサービス
重度訪問介護は、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づく障害福祉サービスの1つです。法律は次のように定義しています。
この法律において「重度訪問介護」とは、重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして主務省令で定めるものにつき、居宅又はこれに相当する場所として主務省令で定める場所における入浴、排せつ又は食事の介護その他の主務省令で定める便宜及び外出時における移動中の介護を総合的に供与することをいう。 出典: laws.e-gov.go.jp
肢体不自由とは、手足や体の動きに障害があり、日常の動作が難しい状態のことです。常時介護を要するとは、1日の多くの時間にわたって誰かの介護や見守りが必要な状態を指します。厚生労働省の障害福祉サービスの案内では、対象として重度の肢体不自由者のほか、重度の知的障害や精神障害により行動上著しい困難がある人も挙げられており、自宅での入浴、排せつ、食事の介護、外出時の移動の支援、入院時の支援などを総合的に行うと説明されています。
一般の居宅介護(ホームヘルプ)との大きな違いは、支援の時間の長さです。居宅介護は、決まった時間に訪問して入浴や食事などの介護を行う形が中心です。一方、重度訪問介護では、ヘルパーが利用者の家に長い時間とどまり、介護と見守りを続けながら暮らしを支えます。夜間を含めて支援に入る形もあります。
長い時間をそばで過ごすため、介護の技術に加えて、利用者とのコミュニケーションの取り方や、体調の小さな変化に気づく力が大切になります。言葉で意思を伝えにくい利用者も多く、文字盤や目の動き、わずかな手の動きで気持ちを伝える方法を一緒に覚えていくことも仕事の一部です。
利用できる人の条件
ヘルパーとして働く前に、どんな人が重度訪問介護を使っているのかを知っておくと、研修の内容が頭に入りやすくなります。厚生労働省の障害福祉サービスの内容のページでは、重度訪問介護の対象者を次のように示しています。
- 障害支援区分が区分4以上であること
- そのうえで、二肢以上に麻痺などがあり、障害支援区分の認定調査で「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外と認定されている人
- または、認定調査の行動関連項目(12項目)の合計点数が10点以上の人
前者は主に体の動きに重い障害がある人、後者は知的障害や精神障害によって行動上の大きな困難がある人を指しています。研修の課程が、肢体不自由者の支援を中心とする課程と、行動障害の支援を学ぶ課程に分かれているのは、この2つの対象に合わせているためです。
同じページでは、病院などに入院している間も、意思疎通の支援などを行えることが示されています。入院中に利用できるのは、障害支援区分が区分4以上で、入院する前から重度訪問介護を利用していた人です。言葉で伝えにくい利用者の体の向きの好みや意思の伝え方を、病院の看護師などに伝える役割を、ふだんから支援しているヘルパーが担います。病院に付き添う仕事もありうると知っておくと、求人の仕事内容を読むときに戸惑いません。
重度訪問介護で働ける資格は1つではない
重度訪問介護の仕事に就くために必要な資格は、厚生労働省の告示で決められています。告示は「指定居宅介護の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの等」(平成18年厚生労働省告示第538号)という名前で、重度訪問介護の提供に当たる者として次のような人を挙げています。
- 介護福祉士
- 実務者研修の修了者(介護福祉士の養成施設などで必要な知識と技能を学んだ人)
- 居宅介護職員初任者研修、介護職員初任者研修などの修了者
- 重度訪問介護従業者養成研修の修了者
つまり、すでに介護福祉士の資格を持っている人や、介護職員初任者研修を修了している人は、重度訪問介護従業者養成研修を受けなくても重度訪問介護の仕事に就けます。告示の原文は、厚生労働省の法令等データベースの告示のページで確かめられます。
ただし、資格の上では働けても、重度訪問介護ならではの知識を学んでおくと現場で困りにくくなります。長時間の見守りの進め方、意思の伝え方の工夫、たんの吸引や経管栄養が必要な利用者への支援などは、一般の介護の研修では深く扱わないことがあるからです。事業所によっては、介護の資格を持っている人にも従業者養成研修の受講を勧めることがあります。
一方、介護の資格を何も持っていない人にとっては、重度訪問介護従業者養成研修が最も短い時間で取れる資格になります。介護職員初任者研修より時間数が少なく、未経験から障害福祉の仕事を始める入口として選ばれています。修了した研修で入れるのは重度訪問介護のサービスで、一般の居宅介護や介護保険の訪問介護には入れない点は覚えておきます。
従業者養成研修の4つの課程と国が定める時間数
重度訪問介護従業者養成研修には、4つの課程があります。告示の別表で、国が定める最低限の科目と時間数が決められています。
| 課程 | 国の基準の時間数 | 主な内容 | 受講の条件 |
|---|---|---|---|
| 基礎課程 | 10時間 | 重度の肢体不自由者の地域生活、基礎的な介護技術、コミュニケーションと外出時の介護の実習 | 特になし |
| 追加課程 | 10時間 | 医療的ケアが必要な利用者の障害と支援、緊急時の対応、現場での実習 | 基礎課程を修了していること |
| 統合課程 | 20.5時間 | 基礎課程と追加課程の内容に、喀痰吸引等の基本研修に相当する内容を加えたもの | 特になし |
| 行動障害支援課程 | 12時間 | 強度行動障害がある人の理解、制度と支援技術、コミュニケーションの演習 | 特になし |
基礎課程は、講義3時間と実習7時間で組まれています。実習では、基礎的な介護と重度の肢体不自由者とのコミュニケーションの技術を5時間、外出時の介護の技術を2時間学びます。
追加課程は、講義7時間と実習3時間です。告示では、実習の場に「在宅等で生活する障害支援区分五又は六である肢体不自由者に対する介護サービス提供現場を一か所以上含むこと」と定められています。障害支援区分とは、どのくらいの支援が必要かを6段階で示した区分のことで、数字が大きいほど多くの支援が必要な状態を表します。
統合課程は、基礎課程と追加課程を合わせたうえで、たんの吸引と経管栄養についての講義と演習を加えた課程です。経管栄養とは、口から食事をとるのが難しい人に、管を使って胃や腸に栄養を送る方法のことです。
行動障害支援課程は、重度の知的障害や精神障害により、自分や周りを傷つけるような行動が続く強度行動障害がある人を支援するための課程です。肢体不自由者の支援を中心とするほかの3つの課程とは、対象と内容が大きく違います。
時間数は都道府県によって違う
ここで注意したいのは、上の表の時間数が国の最低限の基準だということです。研修を実施する事業者は都道府県知事の指定を受ける必要があり、都道府県はそれぞれの要綱で、国の基準より詳しい時間数や科目を定めることがあります。
たとえば神奈川県の案内では、基礎課程10時間、追加課程10時間、統合課程20.5時間と、国の基準と同じ時間数が示されています。一方、大阪府の案内では、各課程の時間数を次のように定めています。
大阪府における各課程の時間数は以下のようになります。(基礎、追加両課程の一体的実施も可能です。) 出典: www.pref.osaka.lg.jp
このページでは、基礎課程18時間、追加課程12時間、統合課程30時間、行動障がい支援課程14時間と示されています。同じ名前の研修でも、受ける都道府県によって10時間近い差が出ることがあるわけです。
内訳を見ると違いがよく分かります。大阪府の基礎課程18時間は講義5時間、演習6時間、実習7時間で、国の基準(講義3時間と実習7時間)にはない演習の時間が組み込まれています。統合課程30時間も、講義13時間、演習8時間、実習9時間という組み方です。演習とは、教室で人形や受講者どうしで介護の動きを繰り返し練習する時間のことで、実際の利用者のもとに出る前に手順を体で覚える助けになります。
時間数の違いは、受講にかかる日数と費用に直接響きます。研修を探すときは、研修を行う事業者の案内に書かれた時間数と日程を確かめ、自分の予定に合うかを判断します。神奈川県の案内ページには、県内の研修の開講予定の一覧も掲載されています。ほかの都道府県でも、障害福祉の担当課のページに指定を受けた研修事業者の一覧を載せていることが多いので、住んでいる都道府県のページを先に確かめると探しやすくなります。
なお、修了した研修は、別の都道府県に引っ越しても重度訪問介護の仕事に使えるのが一般的な扱いです。ただし、事業所によって確認の方法が違うことがあるので、修了証は大切に保管しておきます。
どの課程から受けるかの選び方
4つの課程のうち、どれを受けるかは、どんな利用者の支援に入りたいかで決めます。
まず仕事を始めてみたい人
介護の経験がなく、まず重度訪問介護の仕事を体験してみたい人は、基礎課程から始める方法があります。最も短い時間で修了でき、重度の肢体不自由者の支援に入れるようになります。ただし、基礎課程だけで入れる支援の範囲は、事業所や利用者の状態によって限られることがあります。基礎課程の修了だけで入れる利用者の条件は事業所に確かめます。
長く続けたい人、医療的ケアが必要な利用者を支援したい人
重度訪問介護の利用者には、たんの吸引や経管栄養が必要な人が多くいます。こうした利用者の支援に入ることを考えるなら、最初から統合課程を受けるのが効率のよい選び方です。基礎課程と追加課程を別々に受けるより、喀痰吸引等の基本研修まで一度に学べるからです。
知的障害や精神障害のある人の支援に関心がある人
強度行動障害がある人の支援に入りたい人は、行動障害支援課程を受けます。この課程は、肢体不自由者の支援を中心とするほかの課程とは内容が違うため、両方の利用者を支援したい人は、統合課程と行動障害支援課程の両方を受けることもあります。
迷ったときは、働きたい事業所に「どの課程を修了していれば、どの利用者の支援に入れるか」を聞いてみるのが確実です。事業所によっては、採用が決まってから研修の受講を案内し、受講料を負担するところもあります。
統合課程と喀痰吸引等の関係
統合課程を受ける人が知っておきたいのが、たんの吸引や経管栄養(喀痰吸引等)を実際に行えるようになるまでの流れです。統合課程を修了しただけでは、すぐに喀痰吸引等を行えるわけではありません。
喀痰吸引等は、本来は医師や看護師などが行う医療的な行為です。介護の仕事をする人が行うには、社会福祉士及び介護福祉士法の決まりに基づいて、都道府県知事から認定特定行為業務従事者認定証の交付を受ける必要があります。同じ法律の附則は次のように定めています。
介護の業務に従事する者(介護福祉士を除く。次条第二項において同じ。)のうち、同条第一項の認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けている者(以下「認定特定行為業務従事者」という。)は、当分の間、保健師助産師看護師法第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として、医師の指示の下に、特定行為(喀痰吸引等のうち当該認定特定行為業務従事者が修了した次条第二項に規定する喀痰吸引等研修の課程に応じて厚生労働省令で定める行為をいう。以下同じ。)を行うことを業とすることができる。 出典: laws.e-gov.go.jp
統合課程に含まれているのは、この喀痰吸引等研修のうち、特定の利用者を対象とする研修(第三号研修と呼ばれます)の基本研修に相当する部分です。基本研修を終えたあと、実際に支援する利用者のもとで看護師などの指導を受けながら行う実地研修を修了し、都道府県に申請して認定証の交付を受けて、初めてその利用者に対して喀痰吸引等を行えるようになります。
第三号研修は「特定の者」を対象とする研修なので、認定証で行えるのは、実地研修を受けた特定の利用者に対する行為に限られます。別の利用者の支援に入るときは、その利用者についての実地研修が改めて必要になります。実地研修の進め方や申請の手続きは都道府県によって違うので、勤め先の事業所と都道府県の案内で確かめます。
医療的な行為なので、安全の確保が何より大切です。医師の指示書の内容、看護師との連絡の方法、体調が急に変わったときの手順を、支援に入る前に必ず確かめておきます。
受講の申込みから修了証を受け取るまで
重度訪問介護従業者養成研修を受けるまでの流れを、5つの段階に分けて整理します。
- 住んでいる都道府県の障害福祉の担当課のページで、指定を受けた研修事業者と開講予定を確かめる
- 受けたい課程を決め、研修事業者の案内で時間数、日程、受講料、実習の場所を確かめる
- 研修事業者に申し込む。定員があるため、早めに申し込む
- 講義、演習、実習をすべて受ける。欠席した科目は、事業者の決まりに沿って補講などで埋める
- 修了すると、研修事業者から修了証明書が交付される
研修は、数日間で集中して行うものや、週末に分けて行うものなど、事業者によって組み方が違います。基礎課程と追加課程を続けて受けられる日程を組んでいる事業者もあります。仕事や家庭の予定と照らして、無理なく通える日程を選びます。
実習は、実際に重度訪問介護を利用している人の家や、障害福祉の事業所で行われることがあります。実習先の利用者の暮らしの場に入るので、時間を守る、身だしなみを整える、知った情報を外に漏らさないといった基本を守ります。
修了証明書は、就職や転職のたびに提出を求められることがある大切な書類です。なくさないように保管し、写しも取っておきます。
受講料と、費用の負担を軽くする方法
受講料は研修事業者によって違い、課程や時間数、教材費の有無でも変わります。同じ統合課程でも、都道府県によって時間数が違うことは前の節で見たとおりで、時間数が多いほど受講料も高くなる傾向があります。申し込む前に、受講料に何が含まれているか(テキスト代、実習の交通費、修了証の発行費など)を確かめます。
費用の負担を軽くする方法として、まず確かめたいのが、働く予定の事業所の制度です。重度訪問介護の事業所の中には、ヘルパーを採用してから研修を受けさせ、受講料を負担するところがあります。採用前に受講料を立て替え、一定期間働いたら返金する形をとる事業所もあります。求人票に「資格取得支援」と書かれていたら、面接で条件を詳しく聞きます。
自治体によっては、障害福祉の人材を確保するために、研修の受講料の一部を助成する制度を設けていることがあります。助成があるかどうか、対象になる人の条件は自治体ごとに違うため、住んでいる市区町村や都道府県の障害福祉の担当課で確かめます。
すでに障害福祉の事業所を運営している人や、事業所で人材育成を担当している人は、国の助成金で研修の費用を賄う方法もあります。介護の業界で研修の費用に使われている助成金の考え方は、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法で、対象になる訓練や申請の流れを確かめられます。
重度訪問介護の仕事の中身と働き方
重度訪問介護の仕事は、利用者の家で長い時間を一緒に過ごしながら、暮らし全体を支えることです。1回の支援が数時間から、夜間を含めた長い時間に及ぶこともあります。
支援の中身は、利用者の状態と希望によってさまざまです。代表的なものを挙げます。
- 食事の準備と介助、入浴や排せつの介助、着替えの手伝い
- 体の向きを変える、ベッドから車いすに移る手伝い
- 掃除や洗濯、買い物などの家事
- 買い物や通院、余暇の外出のときの移動の介護
- 夜間の見守り、体調の変化への気づき
- 医療的ケアが必要な利用者への、認定を受けたうえでの喀痰吸引等
重度訪問介護では、利用者が自分の暮らし方を自分で決めることが大切にされています。ヘルパーは、利用者の指示や希望を聞きながら、その人の手足の代わりとして動く場面が多くあります。介護する側の都合で進めるのではなく、利用者の意思を確かめながら支援を進める姿勢が求められます。
働き方は、登録ヘルパーとして支援が入った時間だけ働く形、パートや常勤として決まった時間に働く形などがあります。夜間の支援に入れる人は求められることが多く、日中は別の仕事をしながら夜間だけ入る人もいます。長い時間の支援でも、休憩の取り方や交代の段取りは事業所ごとに決まりがあるので、働く前に確かめておきます。
研修事業者と勤め先を選ぶときに確かめること
研修を受ける前後で、研修事業者と勤め先の両方を選ぶ場面があります。どちらも、あとから「思っていたのと違う」とならないように、事前に聞いておきたい点があります。
研修事業者に確かめること
- 都道府県の指定を受けた研修か(都道府県のページの一覧に名前があるか)
- 受ける課程の時間数と、講義・演習・実習の内訳
- 実習の場所と、実習先までの交通費が受講料に含まれるか
- 欠席したときに補講や振り替えがあるか、その費用
- 修了証明書がいつ、どの形で交付されるか
都道府県の指定を受けていない講座を修了しても、告示に定める重度訪問介護従業者養成研修の修了にはなりません。名前が似ている講座もあるため、1つ目の確認は必ず行います。
勤め先の事業所に確かめること
- 修了した課程で入れる利用者と、入れない利用者
- 最初の支援のときに先輩のヘルパーが同行するか、同行は何回あるか
- 夜間の支援の有無と、夜間の休憩や仮眠の扱い
- 喀痰吸引等の実地研修を事業所がどう進めているか
- 研修の受講料の負担や立て替えの条件
2つ目の同行の回数は、特に大切です。重度訪問介護では利用者ごとに介護の手順が大きく違うため、1回の同行で1人で支援に入るのは負担が大きくなります。利用者の状態に合わせて同行の回数を決めている事業所なら、慣れるまで手順を確かめながら仕事を覚えられます。面接で聞きにくいと感じたら、「最初はどのように仕事を覚えていく流れですか」と聞くと、事業所の育成の考え方が見えてきます。
求人票では、仕事の内容に「見守り」「夜間支援」「入院時の支援」などが書かれているかも見ておきます。どの支援に入る可能性があるかを知っておくと、研修の課程を選ぶときの判断にも役立ちます。
安全に働くために気をつけたいこと
重度訪問介護では、安全の確保が仕事の中心にあります。利用者は体の動きに大きな制限があることが多く、小さな油断が大きなけがや体調の悪化につながります。
1つ目は、移乗のときの事故です。移乗とは、ベッドから車いす、車いすからトイレのように、体を別の場所に移すことです。利用者の体を支えきれずに転落させてしまうと、骨折などの大きなけがにつながります。移乗の手順は利用者ごとに決まっていることが多いので、最初は先輩のヘルパーと一緒に入り、手順を体で覚えます。介護する側の腰を守るためにも、無理に1人で抱え上げない工夫が必要です。
2つ目は、体調の変化への気づきです。言葉で体調を伝えにくい利用者も多いため、顔色、呼吸の音、表情のわずかな変化に気づけるよう、普段の様子をよく知っておきます。おかしいと感じたら、決められた手順で家族や事業所、医療機関に連絡します。
3つ目は、人工呼吸器などの医療機器の扱いです。利用者によっては、呼吸を助ける機器を使っています。機器の警報が鳴ったときの対応や、停電のときの手順を、支援に入る前に必ず確かめておきます。
4つ目は、長時間の支援による疲れです。夜間を含む長い支援では、ヘルパー自身の体調管理も大切です。睡眠不足のまま支援に入ると、判断が遅れて事故につながりかねません。無理な勤務を続けないよう、事業所と相談して勤務の組み方を決めます。
修了したあとに広げられる道
重度訪問介護従業者養成研修を修了して働き始めたあと、さらに仕事の幅を広げる道もあります。
1つは、介護職員初任者研修や実務者研修を受け、介護保険の訪問介護や一般の居宅介護にも入れるようにする道です。重度訪問介護の研修で入れるのは重度訪問介護のサービスなので、ほかのサービスでも働きたい人はこうした研修が必要になります。
もう1つは、介護福祉士を目指す道です。介護福祉士の国家試験は、介護の仕事の実務経験と実務者研修の修了を組み合わせて受験する経路があります。社会福祉振興・試験センターの実務経験の範囲の案内では、障害者分野の居宅サービスとして重度訪問介護が挙げられており、主な業務が介護等の業務であるヘルパーの経験は実務経験の対象になります。ただし、サービス提供責任者としての業務は対象にならないと書かれています。
実務経験のルートで受験するには、介護等の業務に就いていた期間(従業期間)が3年以上(1,095日以上)、実際に業務に従事した日数(従事日数)が540日以上で、さらに実務者研修を修了していることが必要です。従事日数は1日の勤務時間を問わないとされているため、長時間の支援の日も短時間の支援の日も、それぞれ1日として数えます。同じ日に2つの事業所で働いた場合も1日として扱われます。登録ヘルパーとして複数の事業所に所属している人は、事業所ごとに従事日数の証明が必要になるので、勤務の記録を自分でも残しておくと、受験のときに慌てずに済みます。
参考までに、第39回(令和8年度)の介護福祉士国家試験は令和9年1月31日に行われ、受験手数料は20,510円です。第39回の申し込みはすでに締め切られているため、これから実務経験を積む人は、次の回以降の受験に向けて、実務者研修の修了時期と実務経験が満たされる時期を合わせて計画を立てます。詳しい受験資格は社会福祉振興・試験センターの介護福祉士国家試験のページで確かめられます。
利用者の暮らしに長く関わる中で、記録や報告を書く機会も多くあります。支援の記録は、交代するヘルパーや家族、医療の担当者に利用者の様子を伝える大切な書類です。分かりやすい記録を書く力を伸ばしたい人は、ビジネス文書の型を学べるビジネス文書検定の内容も参考になります。
履歴書の資格欄の書き方
重度訪問介護従業者養成研修を修了したら、履歴書の資格欄には、修了証明書に書かれた名称をそのまま書きます。課程の名前まで省略せずに書くと、どの範囲の支援に入れるかが採用担当者に伝わります。
書き方の例を挙げます。実際の名称と日付は、手元の修了証明書に合わせます。
- 2026年9月 重度訪問介護従業者養成研修 統合課程 修了
- 2026年10月 重度訪問介護従業者養成研修 行動障害支援課程 修了
喀痰吸引等の認定証の交付を受けた人は、その旨も書き添えます。認定証は特定の利用者に対する行為に限られるため、応募先で同じ行為を行うには改めて実地研修が必要になることがあります。面接では、認定を受けた行為の種類と、新しい利用者のもとで実地研修を受ける意思があることを合わせて伝えると、採用する側も受け入れの段取りを考えやすくなります。介護職員初任者研修や介護福祉士など、ほかの資格を持っている人は、取得した順に並べます。
職務経歴書では、支援した利用者の状態(個人が特定されない書き方にする)、支援の時間帯、夜間の支援の経験、医療的ケアの経験を具体的に書きます。重度訪問介護の経験は、長時間の見守りや医療的ケアへの対応など、ほかの介護の仕事でも評価される要素を多く含んでいます。
運営者として見てきた、資格を仕事につなげる人の共通点
フリーランスと在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、短い研修で取れる資格から仕事を始めた人が長く働き続けられるかどうかは、資格を取ったあとの学び方で分かれます。研修で学んだことを入口として、現場で利用者一人ひとりのやり方を覚え、分からないことを先輩や事業所にすぐ聞ける人は、少しずつ任される支援の幅を広げていきます。
もう1つの共通点は、同じ相手と長く関係を続けることを大切にしていることです。重度訪問介護では、同じ利用者の支援に長く入るほど、その人の意思の伝え方や体調の変化に気づけるようになり、利用者からも家族からも頼られるようになります。在宅で受ける仕事でも同じで、仲介の手数料が間に入らない直接の取引なら、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手数料0%で受け取る額が厚くなります。双方が続けやすい形が、長い関係を支えます。
重度訪問介護の資格は、短い時間で取れる一方で、利用者の暮らしと命に深く関わる仕事への入口です。研修で学んだ安全の基本を守り、利用者の意思を大切にしながら経験を積んでいくことが、この仕事を長く続けるための確かな道筋になります。記録や報告の書き方まで含めて仕事の質を高めたい人は、資格ガイドのビジネス文書検定で文書の基本を確かめておくと、日々の記録がより伝わりやすくなります。
よくある質問
Q. 重度訪問介護の仕事に必要な資格は何ですか?
厚生労働省の告示では、介護福祉士、実務者研修の修了者、介護職員初任者研修などの修了者、重度訪問介護従業者養成研修の修了者などが、重度訪問介護の提供に当たる者として定められています。介護の資格を持っていない人は、重度訪問介護従業者養成研修を受けるのが最も短い時間で働き始められる方法です。
Q. 重度訪問介護従業者養成研修は何時間ですか?
国の基準では、基礎課程10時間、追加課程10時間、統合課程20.5時間、行動障害支援課程12時間です。ただし都道府県が詳しい時間数を定めることがあり、大阪府では基礎課程18時間、統合課程30時間などと定めています。受ける都道府県の研修事業者の案内で、実際の時間数と日程を確かめます。
Q. 統合課程を修了すればたんの吸引ができますか?
統合課程には喀痰吸引等研修の基本研修に相当する内容が含まれますが、修了しただけでは行えません。実際に支援する利用者のもとで実地研修を修了し、都道府県から認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けて、初めてその利用者に対して行えるようになります。手続きは都道府県と勤め先の事業所で確かめます。
Q. 介護職員初任者研修を持っていれば重度訪問介護で働けますか?
働けます。告示では、介護職員初任者研修の修了者も重度訪問介護の提供に当たる者に含まれています。ただし、長時間の見守りや医療的ケアなど、重度訪問介護ならではの知識は初任者研修では深く扱わないことがあるため、事業所によっては従業者養成研修の受講を勧めることがあります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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