リモートワークで働ける仕事へ転職する方法


この記事のポイント
- ✓リモートワーク転職は運ではなく
- ✓職種選びと求人票の読み方で決まります
- ✓テレワーク導入企業の割合
リモートワーク転職を考えるとき、多くの人がつまずくのは「求人が見つからない」ことではありません。求人票に並ぶ「在宅勤務可」「リモートOK」という言葉が、実際には何を意味しているのかが読めないことです。週5日家で働けるのか、月に数回出社が要るのか、試用期間中だけ毎日出社なのか。この差を読み違えたまま内定を取ると、入社してから「話が違う」と感じることになります。
この記事では、リモートワーク転職の市場が今どこまで広がっているのかを公的な統計で確かめたうえで、職種ごとの通りやすさ、求人票の分解の仕方、面接で確認すべき条件、そして副業で先に試す手順までを順番に整理します。運や気合いの話は出てきません。数字と手順だけで組み立てます。
リモートワーク転職の地図を、まず数字で描く
感覚で語られやすい分野なので、最初に全体の大きさを押さえます。総務省が毎年実施している通信利用動向調査は、企業側がテレワークをどこまで導入したかを継続して追っている調査です。
テレワークを導入している企業の割合は50.1%となっており、前年より増加している。 出典: soumu.go.jp
導入している企業が50.1%、今後導入予定が3.0%、導入していないし予定もないが46.9%という内訳です。つまり企業側で見れば、ほぼ半々で割れています。導入の目的としては、働く人のワークライフバランスの向上、障害のある社員や高齢の社員や介護と育児の最中にある社員への対応、人材の確保と流出の防止といった項目が、前年より大きく伸びています。ここが重要です。企業がテレワークを残している理由は、もはや感染症対策ではなく、人を採るためと辞めさせないために移っています。採用の場で交渉材料になるということです。
一方、働く人の側から見た数字は別にあります。国土交通省のテレワーク人口実態調査は、就業者4万人に対して毎年10月に実施されている調査です。令和7年度の調査では、雇用されて働く人のうちテレワーカーにあたる割合は25.2%で、前年度から0.6ポイント増えました。直近1年間に実際にテレワークをした人の割合は16.8%で、こちらは1.2ポイント増えています。感染症の流行が収まった後は減り続けていましたが、この調査で増加に転じたと整理されています。
企業の導入率が5割なのに、働く人の実施率が2割前後にとどまるのはなぜか。制度としては存在するが、使っている部署と使っていない部署が社内で分かれているからです。ここがリモートワーク転職で最も見落とされる点で、「テレワーク制度あり」と書かれた会社に入っても、配属先の部署では誰も使っていないという事態が普通に起きます。
求人市場そのものの体温も見ておく
厚生労働省が毎月公表している一般職業紹介状況によると、令和8年7月の有効求人倍率は1.18倍、正社員に限った有効求人倍率は1.00倍でした。正社員の求人と求職がちょうど釣り合っている水準です。地域差は大きく、就業地で見ると最も高いのが福井県と山梨県の1.69倍、最も低いのが大阪府の0.95倍でした。
リモートワークを前提にすると、この地域差は自分の味方に変えられます。住んでいる場所の求人倍率ではなく、採用する企業が所在する地域の求人倍率で戦えるからです。地方在住のまま首都圏の企業に応募する、という選択肢が現実になるのがリモートワーク転職の本質的な価値です。
「在宅可」と「フルリモート」は別物。求人票の言葉を分解する
求人票の表現は会社ごとにばらばらで、統一された定義はありません。そこで応募前に、次の4つのどれなのかを必ず特定します。
完全在宅(オフィスに出社義務がない)
雇用契約上の就業場所が自宅になっている形です。入社手続きや健康診断で年に数回出向くことはありますが、通常業務で出社は求められません。求人票では「フルリモート」「完全在宅勤務」と書かれます。募集数は最も少なく、競争は最も激しくなります。
原則在宅(月に数回の出社)
就業場所はオフィスだが、運用として在宅を基本にしている形です。月1回の全社会議、四半期ごとのチーム合宿といった単位で出社が入ります。求人票では「リモート率9割」「原則リモート」と書かれることが多く、数字が具体的に書いてある会社ほど運用が固まっています。
ハイブリッド(週の何日かが出社)
週2日出社、週3日在宅といった配分が決まっている形です。現在最も多い形態で、通勤圏内に住んでいることが応募条件になります。地方在住のまま応募することはできません。
在宅可(制度はあるが運用は部署次第)
最も注意が必要なのがこの類型です。制度としては申請すれば使えるが、実際に何日使えるかは配属先の上長の判断に委ねられています。求人票では「在宅勤務可」「テレワーク制度あり」とだけ書かれ、頻度の記載がありません。頻度が書かれていない求人は、この類型だと考えて面接で確かめるのが安全です。
求人票を読むときは、リモートという単語が出てきたら必ずその前後に頻度を示す数字があるかを探してください。数字がない求人は、制度の存在だけを書いている可能性が高いと判断できます。
職種で難易度が決まる。有効求人倍率で見た通りやすさ
リモートワーク転職の難易度は、本人の努力よりも職種の需給で決まります。厚生労働省の一般職業紹介状況には職業別の集計があり、令和8年7月の全国・常用(パートを含む)の有効求人倍率は次のようになっています。
| 職業 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 職業計 | 1.05倍 |
| 専門的・技術的職業従事者 | 1.69倍 |
| 情報処理・通信技術者 | 1.34倍 |
| 販売従事者 | 1.85倍 |
| 介護サービス職業従事者 | 3.82倍 |
| 事務従事者 | 0.36倍 |
| 一般事務従事者 | 0.29倍 |
| 美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者 | 0.15倍 |
この表は残酷ですが、正確です。一般事務は求職者に対して求人が0.29倍しかありません。求職者100人に対して求人が29件という意味です。しかも在宅でできる仕事というイメージが強いため、リモート可の事務求人には応募が集中します。同じ理由で、デザイナーや映像撮影の職種も0.15倍と極端に低く、リモートで働きやすいことと採用されやすいことはまったく別だと分かります。
逆に情報処理・通信技術者は1.34倍で、職業計の1.05倍を上回っています。リモートワークとの相性が良く、かつ人手が足りていない。この2つが重なる領域が、リモートワーク転職で最も現実的な着地点です。
今の職種が不利なら、隣の職種へ横に動く
今が一般事務で、フルリモートの一般事務を狙うのは、最も倍率の高い門に正面から並ぶ選択です。同じ事務でも会計事務従事者は0.56倍、営業・販売事務従事者は0.87倍と、一般事務より緩みます。経理の知識を足す、営業の数字を扱えるようになる。この程度の横移動で、競争相手の数が変わります。
さらに一段動けるなら、需要側に回るのが早道です。技術系の仕事の中身は、職種ごとの実務内容を整理したアプリケーション開発のお仕事や、企業のAI活用を支援する仕事をまとめたAIコンサル・業務活用支援のお仕事が参考になります。どちらも成果物がデータで残る仕事なので、働く場所を問いにくいという共通点があります。
年収はどう動くか。手当と地域の二つで考える
リモートワーク転職で年収を考えるときは、提示される額面だけを見ると判断を誤ります。手取りに効く要素が、出社前提の仕事とは違うからです。
まず減る可能性があるものです。通勤手当は在宅勤務が中心になると実費精算に切り替わり、定期代の支給がなくなります。都心の会社で月2万円前後の定期代が出ていた場合、年間で20万円以上の差になります。住宅手当も、オフィスの近くに住むことへの補助という性格が強いため、リモート前提の会社では廃止されているか、在宅勤務手当に置き換わっていることが多くなります。
次に増える可能性があるものです。在宅勤務手当として月3,000円から5,000円程度を支給する会社があります。光熱費と通信費の補助という名目です。また通勤時間がなくなることで、実質的な拘束時間が1日あたり1時間から2時間減ります。これは金額に直接は表れませんが、副業に使える時間が増えるという形で効いてきます。
職種別の相場を先に知ってから交渉する
提示額が妥当かどうかは、相場を知らないと判断できません。職種ごとの年収と単価の水準は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場のように職種別のデータで確かめられます。正社員の求人倍率がちょうど1.00倍という均衡状態では、相場を知っている側が交渉で有利になります。
なお、リモート勤務を理由に給与を下げる制度を持つ会社もあります。勤務地手当を地域別に設定し、地方在住者には都心基準を適用しないという形です。これは違法ではありませんが、応募前に必ず確認すべき条件です。面接の終盤ではなく、書類選考が通った段階で聞いておくと時間の無駄が減ります。
選考で効くのは資格より「文字で伝わる証拠」
リモートワーク前提の採用では、選考のほとんどがオンラインで進みます。書類と画面越しの会話だけで判断されるため、対面なら伝わっていた熱意や雰囲気が使えません。代わりに効くのが、文字で残る証拠です。
職務経歴書は、リモートワーク転職では対面の転職以上に重みを持ちます。何をしたかではなく、誰とどう連携して、どこまでを自分で判断して進めたかが読めるように書く必要があります。書き方の型は職務経歴書の書き方完全ガイド|転職成功率を上げるコツ【2026年版】で構成から確認できます。
文章力は「スキル」ではなく「前提」になる
リモートワークでは、依頼も報告も相談も文字で行われます。書かれた文章が曖昧だと、確認の往復が増え、その往復が遅いと仕事が止まります。だから採用側は、応募書類とメールの文面を「入社後の業務品質のサンプル」として読んでいます。
文章の型を体系的に身につけたい場合、ビジネス文書検定のような資格の学習範囲が役に立ちます。資格そのものが選考を通すわけではありませんが、社外向けの文書と社内向けの文書で何を変えるべきかという判断基準が手に入ります。技術職を狙うなら、ネットワークの基礎を扱うCCNA(シスコ技術者認定)のような資格が、未経験からの応募で話の土台になります。
成果を数字で置き換える練習をしておく
在宅勤務では働く様子が見えないため、評価は成果の記述に依存します。「サイトの改善を担当した」ではなく「表示速度を2.4秒から1.1秒に短縮し、離脱率が12%下がった」と書けるかどうかで、書類の通過率が変わります。前職の数字が手元にない場合でも、件数、期間、関わった人数といった測れる要素は必ずあります。応募前に棚卸ししておくと、面接で詰まりません。
求人の探し方は3つの経路に分けて回す
リモートワークの求人は、1つの経路だけを見ていると母集団が小さくなります。性質の違う3つを並行させるのが効率的です。
第一に、総合型の転職サイトで勤務地の条件を「フルリモート」に絞る方法です。件数は最も多く、業種の幅も広くなります。ただし前述のとおり「在宅可」の表記が混ざるため、頻度の記載がある求人だけを残す作業が必要です。
第二に、リモートワークに特化した求人メディアです。掲載基準としてリモート可を必須にしているため、条件の読み替えが要りません。件数は少ない代わりに、精度が高くなります。
第三に、転職エージェントです。公開されていない求人がここに集まります。
リラシクの転職サイトに掲載されているリモートワーク求人はごく一部です。 取り扱うリモートワーク求人の約80%は非公開求人(Web公開NGや掲載前の求人)です。 出典: relasic.jp
エージェント各社がこう説明するとおり、リモート可の好条件求人ほど公開されにくい構造があります。応募が集中して選考が回らなくなるためです。自力の検索だけで探すと、この層が丸ごと視界から外れます。
検索条件は毎週ではなく毎日見る
リモート可の求人は掲載から応募締切までが短くなりがちです。応募が想定数に達した時点で掲載が止まるためです。週末にまとめて探す運用にすると、平日に出て平日に閉じた求人を取りこぼします。保存した検索条件の通知を受け取る設定にしておくのが現実的です。
面接で必ず確認する7つの条件
オンライン面接は雰囲気が伝わりにくい分、条件の確認には向いています。遠慮せずに次の7点を聞いてください。聞いたことで落ちる会社は、入社後も条件を曖昧にする会社です。
- 出社の頻度は月に何回か。それは制度上の上限か、実際の運用か
- 配属予定の部署で、現在リモート勤務をしている人は何人中何人か
- 試用期間中の勤務形態は、本採用後と同じか
- 勤務地の変更を伴う異動の可能性はあるか。その場合リモートは継続できるか
- 在宅勤務手当と通勤費の扱いはどうなるか
- 評価は何で行うか。会議への出席頻度は評価に含まれるか
- 就業場所は雇用契約書にどう記載されるか
7番目が最も重要です。口頭で「フルリモートです」と言われても、雇用契約書の就業場所が本社所在地になっていれば、会社は出社を命じることができます。内定後に契約書を確認し、就業場所の記載が話と合っているかを見てください。違っていれば、入社前に文面の修正を依頼します。
入社後に効いてくる落とし穴
条件面を詰めても、働き始めてから効いてくる問題があります。あらかじめ知っておくと対処が早くなります。
ひとつは、評価が偏る問題です。出社している人と在宅の人が混在する職場では、目に入る回数が評価に影響します。制度上は成果で評価すると書かれていても、昇進の判断材料には「あの人はよく相談に乗ってくれる」といった印象が混ざります。これを打ち消すには、自分から情報を出す量を増やすしかありません。作業ログを共有する、週次で短い報告を出す、といった手間を先に払うことになります。
もうひとつは、教わる機会が減る問題です。オフィスなら隣の席の人の仕事ぶりが自然に目に入りますが、在宅ではその経路がありません。未経験の職種に移った場合、この差が半年から1年で大きく開きます。入社時点で、質問していい相手と、質問していい時間帯を確認しておくのが対策になります。
三つめは、孤立の問題です。1日中誰とも話さない日が続くと、判断の迷いを抱え込みやすくなります。制度として1対1の面談が定期的に設定されている会社かどうかは、面接で確認できます。
四つめは、働く時間が伸びる問題です。通勤がなくなると、始業前と終業後の境目が曖昧になります。会議のない時間帯に作業が集中し、気づくと夜まで続けていたという形で、労働時間が静かに増えていきます。始業と終業の時刻を自分で固定し、業務用の連絡手段を就業時間外は開かないと決めておくのが、最も簡単な歯止めになります。会社側に時間の管理を任せると、在宅では把握しきれません。
五つめは、設備の負担です。机と椅子、モニター、通信回線。これらを自費で整えると、初期費用として5万円から15万円程度かかります。在宅勤務手当や備品の貸与がある会社かどうかは、入社前に確認しておくべき条件です。貸与がある会社では、退職時の返却方法も併せて聞いておくと、後から慌てずに済みます。
副業で先に試してから決める
リモートワークが自分に合うかどうかは、やってみないと分かりません。通勤がなくなって快適だと感じる人もいれば、生活と仕事の境目がなくなって消耗する人もいます。転職という一度きりの選択で確かめるより、副業で先に試すほうが損失が小さくなります。
業務委託の仕事は、そもそもリモートを前提に設計されているものが多く、在宅で働く感覚をそのまま体験できます。マーケティングやセキュリティ領域の仕事の内容はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に整理されており、どの程度の技術が求められるかを応募前に確かめられます。
副業で得られるものは、体験だけではありません。職務経歴書に書ける実績が増えます。本業では担当できない領域の経験を積めます。そして、転職後の収入が下がった場合の受け皿になります。リモートワーク転職の面接で「在宅での業務経験はありますか」と聞かれたときに、具体的な案件名と成果を答えられるかどうかは、通過率に直結します。
副業から始めるときの現実的な設計
最初の数か月は、平日の夜と週末に合計10時間程度を充てられる量から始めるのが無理のない範囲です。本業の就業規則で副業が許可されているかを先に確認し、競業にあたらない領域を選びます。報酬の条件は案件によって幅がありますが、単価の水準は職種別の相場データと照らし合わせれば判断できます。
応募書類とオンライン面接を、実際に通る形に整える
リモートワーク転職の選考は、書類と画面だけで完結します。対面の面接なら挽回できた部分が使えないぶん、事前の準備が結果を大きく動かします。
職務経歴書に「離れていても回せる証拠」を入れる
採用する側が在宅勤務者に対して最も不安に思うのは、能力ではなく「放っておいても進むのか」です。この不安を消すために、職務経歴書には次の3種類の記述を必ず入れます。
ひとつめは、自分の判断で決めた範囲の記述です。「上長の承認を得て実施した」ではなく「予算50万円までは自分の判断で配分し、超える場合のみ承認を取る運用だった」のように、裁量の線がどこにあったかを書きます。これが書けていると、細かく指示しなくても動く人だと読めます。
ふたつめは、他部署や社外との連携の記述です。在宅勤務では、依頼と調整の大半が文字で行われます。過去に何人規模の関係者と、どういう手段で調整していたかを書くと、文字での連携に慣れているかどうかが伝わります。
みっつめは、数字です。件数、期間、削減率、増加率のいずれかを、各職歴に最低1つ入れます。数字がない経歴書は、読み手にとって確かめようのない自己申告になります。
オンライン面接は環境が評価対象になる
対面の面接で服装を見られるのと同じ意味で、オンライン面接では通信環境と音声が見られます。これは人柄の評価ではなく、入社後に会議が成立するかという業務要件の確認です。
具体的には、音声が途切れないこと、逆光で顔が暗くなっていないこと、背景に生活感が出すぎていないこと、画面共有が滞りなくできること。この4点を事前に確かめてください。有線接続にする、外付けのマイクを使うといった対策は数千円で済みます。面接の冒頭で音声のやりとりに時間を取られると、その時間はそのまま話せる内容から差し引かれます。
逆質問の時間は条件確認に使い切る
面接の終盤に設けられる質問の時間を、会社への関心を示す場と捉えて抽象的な質問をする人が多いのですが、リモートワーク転職ではここを条件の確認に使い切ったほうが得です。出社頻度、部署の実態、評価の方法。これらを聞かずに内定を受けると、入社後に確かめる手段がなくなります。
会社の運用が本物かを、外側から見分ける
求人票と面接だけでは、リモート勤務の運用が根づいているかどうかは判断しきれません。外から確かめられる材料が3つあります。
ひとつめは、採用ページの書き方です。リモートを実際に回している会社は、制度の説明だけでなく、非同期のやりとりをどう設計しているかを書いていることが多くなります。「議事録を全社に公開している」「チャットの返信は当日中で良いことにしている」といった運用のルールが具体的に書かれていれば、制度が机上のものではない可能性が高まります。
ふたつめは、社員の発信です。技術ブログや採用広報の記事に、在宅で働いている社員の1日の流れが載っていれば、実際に使われている証拠になります。載っているのが経営層だけで、現場の社員の話が出てこない会社は、運用が一部にとどまっている可能性があります。
みっつめは、募集要項の勤務地表記です。「全国どこからでも応募可」と書いてある会社は、地方在住者を実際に雇用した経験があるか、少なくとも受け入れる制度を整えています。一方、勤務地が本社所在地のみで、備考にリモート可と添えてあるだけの会社は、通勤圏内の居住を前提にしている場合があります。
入社を決める前に、契約書の文面で確認する
最終的に頼れるのは口頭の説明ではなく、労働条件通知書と雇用契約書の記載です。就業場所、所定労働時間、賃金の内訳、通勤手当の扱い。この4項目が面接での説明と一致しているかを、署名の前に突き合わせてください。差異があれば、入社前に修正を依頼します。入社後に指摘しても、すでに合意した条件として扱われます。
動き出してから内定までの進め方を、期間で区切る
やることが多く見えますが、順番を決めれば3か月で一周できます。期間で区切って進めるほうが、情報収集だけで半年が過ぎる事態を避けられます。
最初の2週間は棚卸しに充てます。過去の職歴を、担当範囲ではなく「自分の判断で決めていた範囲」と「関わった人数」と「測れる数字」の3項目で書き出します。この段階では応募先を探しません。材料がそろっていない状態で求人を見ると、条件の良い求人に惹かれて職種の需給を無視した応募をしてしまいます。
次の2週間で、職種の方向を決めます。今の職種のまま行くのか、隣接する職種に横移動するのかを、有効求人倍率の数字を見て決めます。横移動するなら、足りない知識を埋めるための学習計画をここで立てます。資格を取るかどうかも、この時点で判断します。
続く1か月は、応募と書類の改善に使います。3つの経路を並行して回し、書類の通過率を見ながら記述を直します。10社に出して1社も書類が通らない場合は、職種の選び方か書類の書き方のどちらかに問題があります。応募を続ける前に原因を切り分けます。
最後の1か月が面接と条件交渉です。面接では前述の7項目を必ず確認し、内定後は労働条件通知書と雇用契約書の文面を突き合わせます。在職中に進める場合、退職の申し出は内定の書面を受け取ってからにします。
在職中に進めるか、辞めてから探すか
リモートワーク前提の求人は面接もオンラインで行われるため、在職中でも日程を組みやすくなっています。昼休みや始業前の時間に設定できる会社も多く、有給を使い切る必要がありません。収入が途切れないぶん、条件の悪い求人に妥協する理由もなくなります。特段の事情がない限り、在職したまま進めるほうが選択肢は広がります。
独自データから見えるリモートワーク転職の勝ち筋
在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた運営者の立場から言えば、リモートワークで長く働き続けている人には共通点があります。それは技術力の高さではなく、「聞かれる前に出す」習慣です。
進捗を聞かれてから答える人と、聞かれる前に短く出しておく人とでは、同じ成果でも依頼側の安心感がまったく違います。在宅では相手の状況が見えないため、沈黙が不安に変わりやすい。この不安をあらかじめ潰しておく人に、次の依頼が集まります。運営者として見てきた限りでは、継続的に仕事が途切れない人は、例外なくこの習慣を持っています。
もうひとつ、額面と手取りの話をしておきます。仲介が何段も入る仕事の受け方では、依頼側が払った金額と働き手が受け取る金額のあいだに、大きな差が生まれます。中間の手数料が乗らない直接の取引なら、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めて、受け取る側は同じ仕事でも手取りが厚くなります。手数料0%という条件が意味するのは、金額の大小ではなく、この「双方が損をしない構造」です。長く続く関係のほとんどは、この構造の上に成り立っています。
統計が示す3つの結論
ここまでの数字を、転職の判断に使える形にまとめ直します。
第一に、企業側の受け皿は5割まで広がっており、しかも人材確保を目的に維持されている。だからリモート勤務は交渉可能な条件であって、お願いして許してもらうものではありません。
第二に、職種の需給が難易度を決める。一般事務の0.29倍と情報処理・通信技術者の1.34倍のあいだには、努力では埋まらない差があります。今の職種が不利なら、隣接する職種に横移動する設計を先に考えるほうが早く着地します。
第三に、求人の探索は3経路の並行が前提で、非公開求人に届く経路を必ず1つ持つ。公開求人だけを見ている限り、条件の良い求人の多くは視界に入りません。
この3つを踏まえたうえで、職種ごとの実務内容はアプリケーション開発のお仕事、報酬の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場、学習の入口はCCNA(シスコ技術者認定)といった形で、必要な情報を切り分けて確かめていくのが確実です。リモートワーク転職は、情報を集める順番を間違えなければ、運に左右されにくい種類の意思決定になります。
よくある質問
Q. リモートワーク転職は未経験の職種でも可能ですか?
可能ですが、職種の需給を先に確かめる必要があります。一般事務の有効求人倍率は0.29倍と競争が激しく、未経験からフルリモートの事務職に入るのは現実的ではありません。情報処理・通信技術者は1.34倍と緩く、研修制度のある企業も多いため、未経験からの入口としてはこちらのほうが開いています。
Q. 求人票の「在宅勤務可」はフルリモートと考えてよいですか?
別物として扱ってください。「在宅勤務可」は制度の存在を示すだけで、実際に週何日使えるかは配属先の運用に委ねられている場合があります。頻度を示す数字が書かれていない求人は、面接で出社回数と、配属予定部署での実際の利用人数を確認してから判断するのが安全です。
Q. 地方に住んだまま首都圏の企業に転職できますか?
フルリモートまたは原則在宅の求人であれば可能です。ただし勤務地手当を地域別に設定し、地方在住者には都心基準を適用しない会社もあります。また雇用契約書の就業場所が本社所在地になっていると、会社は出社を命じることができます。内定後に契約書の記載を必ず確認してください。
Q. リモートワーク転職で資格は有利になりますか?
資格そのものが選考を通すわけではありませんが、未経験の領域に応募するときの土台にはなります。技術職ならネットワークの基礎を扱うCCNA、事務や企画職なら文書作成の型を学べるビジネス文書検定が、学習範囲として実務に接続しやすい資格です。資格より重視されるのは、成果を数字で書ける職務経歴書です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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