個人情報保護士は国家資格なのか、在宅の仕事での使い道

西田 航
西田 航
個人情報保護士は国家資格なのか、在宅の仕事での使い道

この記事のポイント

  • ✓個人情報保護士は国家資格なのかを
  • ✓主催団体と試験の仕組みから確かめ
  • ✓国家資格の情報セキュリティマネジメント試験や情報処理安全確保支援士との違い

個人情報保護士という資格を調べると、「国家資格なのか」「履歴書に書いて評価されるのか」という疑問に行き当たります。名前に「士」が付くので国家資格のように見えますが、結論から言えば、個人情報保護士は法律にもとづく国家資格ではなく、一般財団法人が主催する民間の認定資格です。

ただし、国家資格でないから役に立たない、というわけではありません。在宅でデータ入力や顧客対応、ECサイトの運営代行などを請け負う人にとって、個人情報の扱い方を体系立てて学んだ証明は、依頼する側の安心材料になります。この記事では、個人情報保護士の位置づけを主催団体の情報で確かめたうえで、国家資格との違い、試験の内容と受験料、在宅の仕事での使い道を順に整理します。

個人情報保護士は国家資格ではなく民間の認定資格

国家資格とは、法律にもとづいて国や国から指定を受けた機関が試験や登録を行う資格のことです。弁護士や社会保険労務士のように、資格がないとその仕事ができない業務独占の資格もあれば、資格がない人がその名前を名乗れない名称独占の資格もあります。

個人情報保護士認定試験を主催しているのは、一般財団法人全日本情報学習振興協会です。主催団体のページでは、試験の目的が次のように説明されています。

個人情報保護法、個人情報保護法ガイドライン、いわゆるマイナンバー法を核に、現代のニーズに応じた個人情報の適切な管理や取扱い、情報漏洩対策など、現代ビジネスにおいて不可欠な知識を習得するための資格試験です。 出典: 全日本情報学習振興協会

つまり、個人情報保護士は、民間の団体が独自の基準で知識を認定する資格です。個人情報を扱う仕事をするのに、この資格が法律上必要になる場面はありません。また、資格がない人が「個人情報保護士」と名乗ることを法律で禁じているわけでもありません。

それでも、この資格が広く知られているのには理由があります。個人情報保護法が施行された時期から試験が続けられていて、主催団体の説明では、2023年9月時点で72回の開催と約6万人の合格者を重ねてきたとされています。企業が社員の研修の一環として団体で受験させる例も多く、事務やバックオフィスの職場では名前の通った資格です。

国家資格かどうかを気にする人の多くは、「履歴書に書いて意味があるか」「仕事の獲得に役立つか」を知りたいはずです。その答えは、資格の種類よりも、どの仕事で、誰に向けて示すかで変わります。この点は後の節で詳しく見ていきます。

国家資格で近いのは情報セキュリティマネジメント試験と情報処理安全確保支援士

個人情報の保護に関わる知識を国家資格で証明したい場合、候補になるのは、IPA(情報処理推進機構)が実施する2つの試験です。IPAとは、経済産業省が所管する独立行政法人で、情報処理技術者試験と情報処理安全確保支援士試験を実施している機関のことです。

1つ目は、情報セキュリティマネジメント試験です。IPAの説明では、国家試験である情報処理技術者試験の試験区分として平成28年度春期に創設され、現在はコンピュータを使って受けるCBT方式で、年間を通じて随時実施されています。CBT方式とは、試験会場のパソコンで問題を解く方式のことで、自分の都合のよい日を選んで予約できます。職場で情報を扱う人が、情報セキュリティの管理の基本を身につけていることを示す試験です。

2つ目は、情報処理安全確保支援士です。IPAの説明では、2016年10月に情報処理の促進に関する法律が改正されて誕生した国家資格で、略称は登録セキスペです。試験に合格したあと登録を受けることで名乗れるようになり、資格を維持するには所定の講習を修了して更新の手続きをする必要があります。企業のサイバーセキュリティ対策を担う専門の人材を想定した資格で、難易度は高めです。

資格 種類 主催・実施 主な対象
個人情報保護士 民間の認定資格 全日本情報学習振興協会 個人情報を扱う事務・管理の担当者
情報セキュリティマネジメント試験 国家試験 IPA 情報を扱う部門の利用者・管理者
情報処理安全確保支援士 国家資格(登録制) IPA セキュリティの専門家

3つの違いを一言で言うと、個人情報保護士は「法律のルールに沿った個人情報の扱い方」に重点があり、IPAの2つは「情報システムとセキュリティの管理」に重点があります。個人情報保護士の試験範囲にも情報セキュリティは含まれますが、個人情報保護法とマイナンバー法の条文やガイドラインの理解に多くの比重が置かれています。

国家資格であることを重視するなら情報セキュリティマネジメント試験、個人情報保護法そのものを深く学びたいなら個人情報保護士、という選び方が分かりやすい目安です。両方を順に取る人もいます。

個人情報保護士の試験の内容

主催団体のページによると、試験は2つの課題で構成されています。課題Ⅰは個人情報保護法とマイナンバー法の理解、課題Ⅱは個人情報保護の対策と情報セキュリティです。

課題Ⅰでは、個人情報保護法の全体の考え方から、個人情報、個人データ、保有個人データのそれぞれに関する義務、仮名加工情報と匿名加工情報、行政機関での個人情報の扱い、マイナンバー法までが出題範囲です。個人データとは、名簿やデータベースのように、検索できる形で整理された個人情報のことです。仮名加工情報とは、他の情報と照らし合わせないかぎり特定の個人を識別できないように加工した情報のことです。

課題Ⅱでは、情報への脅威と対策、組織的・人的なセキュリティ、オフィスのセキュリティ、情報システムのセキュリティが出題されます。パスワードの管理、ウイルス対策、入退室の管理、書類の廃棄のしかたといった、職場で日々行う対策が中心です。

問題数と合格基準は、主催団体のページで次のように示されています。

項目 内容
問題数 100問(課題Ⅰ・課題Ⅱ各50問)
試験時間 150分
合格基準 課題Ⅰ・課題Ⅱそれぞれ正答率70%以上
過去の平均合格率 41.5%

合格基準は2つの課題それぞれに設けられているので、どちらか一方で高得点を取っても、もう一方が基準に届かなければ不合格になります。法律の条文の暗記に偏ると課題Ⅱで点を落とし、セキュリティの知識だけに頼ると課題Ⅰで苦戦します。両方を同じ重みで学ぶ必要があります。

平均合格率が41.5%という数字は、受けた人の半分以上が不合格になっていることを示しています。条文の細かい言い回しを問う問題も出るので、公式のテキストと過去の問題を使って、条文の考え方を理解しながら学ぶことが合格への近道です。

受験料と申し込みの流れ

主催団体のページによると、第85回の試験は2026年12月13日(日)に開催され、申込締切は2026年10月29日です。試験は公開会場での受験のほか、CBT会場での受験、オンラインでの受験も用意されています。CBT会場は開催日時が異なる場合があるので、申込ページで確かめます。

受験料は、一般が11,000円(税込)、学生向けの学割が8,800円(税込)です。これに加えて、受験の方法によって費用がかかります。公開会場は0円、CBT会場は1,500円(税込)、オンラインの受験はカメラの送料として往復3,000円(税込)とされています。一度申し込むと取り消しはできず、欠席しても受験料の支払いが必要になる点は注意が必要です。

前回の試験で不合格だった人は、次の回の受験料が10%割引になる仕組みがあります。主催団体は、試験の範囲を解説した公式テキストや、オンラインの講習会、動画の学習講座も用意していますが、これらは別料金です。独学で進めるなら、公式テキストと問題集を中心に、法律の原文や個人情報保護委員会の資料で理解を深める方法で十分に対応できます。

合格すると、合格証書と写真入りの認定カードが交付され、名刺などに資格のロゴを印刷できるようになります。認定カードには使用の有効期限があり、更新の手続きをすることで延長できます。在宅の仕事で資格を示すなら、有効期限が切れていないかを定期的に確かめておきます。

試験で学ぶ法律のルールを実務の言葉で言い換える

個人情報保護士の試験で学ぶ内容は、在宅の仕事で個人情報を扱うときに、そのまま守るべきルールです。ここでは、とくに在宅で働く人に関わる条文を、実務の言葉で言い換えて紹介します。

まず、個人情報の定義です。個人情報保護法の第2条では、個人情報とは生存する個人に関する情報で、氏名や生年月日などによって特定の個人を識別できるものと定められています。他の情報と簡単に照らし合わせて個人が分かるものも含まれます。たとえば、メールアドレスだけでも、そこから個人が特定できるなら個人情報に当たることがあります。

次に、安全管理措置です。個人情報保護法の第23条は、事業者が扱う個人データについて、漏えい、滅失、毀損を防ぐための安全管理の措置をとることを求めています。

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。 出典: e-Gov法令検索(個人情報の保護に関する法律)

在宅の仕事で言えば、顧客名簿を自宅のパソコンで扱うときに、パスワードをかける、家族と共用のパソコンを使わない、作業が終わったら決められた方法でデータを削除する、といった対策がこれに当たります。

3つ目は、委託先の監督です。第25条は、事業者が個人データの扱いを外部に任せるとき、任せた先がきちんと安全管理をしているかを監督することを求めています。在宅で個人データを扱う仕事を受ける人は、まさにこの「任された先」の立場です。依頼する側は、法律上、受ける側の安全管理を確かめる責任を負っています。だからこそ、受ける側が個人情報の扱いを理解していることを示せると、依頼する側の負担が軽くなります。

4つ目は、漏えいが起きたときの報告です。第26条は、一定の重大な漏えいなどが起きたときに、個人情報保護委員会への報告を求めています。任された側は、依頼した事業者に知らせることが求められます。在宅の仕事で、誤って別の人にメールを送った、ファイルを共有の設定で公開してしまった、といった事故が起きたら、隠さずにすぐ依頼主に報告するのが鉄則です。

マイナンバーの扱いは通常の個人情報より厳しい

個人情報保護士の試験範囲には、マイナンバー法も含まれています。マイナンバー法とは、正式には「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」といい、個人番号、いわゆるマイナンバーの使い方を定めた法律のことです。マイナンバーを含む個人情報は特定個人情報と呼ばれ、一般の個人情報よりも厳しいルールが課されています。

その代表が、集めることと保管することの制限です。マイナンバー法の第20条は、法律で認められた場合を除き、誰であっても、他人のマイナンバーを含む特定個人情報を集めたり保管したりしてはならないと定めています。一般の個人情報なら、利用の目的を示して本人から集めることができますが、マイナンバーは、税や社会保障の手続きなど法律で決められた目的のためにしか集められません。

在宅で働く人がこのルールに関わる場面は2つあります。1つは、自分のマイナンバーを依頼する側に伝える場面です。報酬の支払いに関する税の書類を作るために、依頼する側からマイナンバーの提出を求められることがあります。そのときは、提出の方法が安全か、何の目的で使うのかを確かめてから伝えます。

もう1つは、事務代行の仕事で、他人のマイナンバーが含まれる書類を扱う場面です。従業員の給与の事務や、税の書類の作成を手伝う仕事では、マイナンバーを目にすることがあります。この場合、依頼の範囲を超えてマイナンバーを書き写したり、自分のパソコンに残したりすることは許されません。作業が終わったら、決められた方法で確実に削除します。

マイナンバーの扱いを正しく理解していることは、事務代行の仕事で依頼する側が特に重視する点です。個人情報保護士の勉強でマイナンバー法を学んでおくと、こうした仕事に応募するときの強みになります。

在宅の仕事でこの資格が役立つ場面

個人情報保護士の知識が直接役に立つのは、在宅で個人情報や顧客のデータを扱う仕事です。具体的には次のような仕事があります。

1つ目は、データ入力と名簿の整理です。アンケートの回答や申込書の内容を表計算ソフトに入力する、顧客名簿の重複を整理する、といった仕事では、氏名や住所、電話番号を大量に扱います。依頼する側は、作業する人がデータを外に持ち出さないか、作業後に確実に削除するかを気にしています。

2つ目は、ECサイトの運営代行と顧客対応です。注文の処理、発送の手配、問い合わせへのメール対応では、購入者の氏名や住所、購入の履歴を日常的に扱います。オンラインショップの店舗運営を代わりに担う仕事では、個人情報の扱いのルールを理解していることが、継続の依頼につながります。

3つ目は、事務の代行と秘書の仕事です。経営者の予定の管理、請求書の作成、取引先の連絡先の整理などでは、取引先の担当者の個人情報や、場合によっては従業員の情報も扱います。

4つ目は、情報セキュリティや個人情報に関する記事の執筆です。企業向けに個人情報保護のポイントを解説する記事や、社内研修の資料を作る仕事では、法律の知識が記事の正確さを支えます。マーケティングやセキュリティの分野の在宅の仕事がどのようなものかは、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、仕事の種類と求められるスキルを整理しています。

いずれの仕事でも、資格そのものが応募の条件になることは多くありません。ただ、プロフィールや提案文に「個人情報保護士の資格を持ち、データの扱いのルールを理解している」と具体的に書くと、同じ条件の応募者の中で依頼する側が安心して選べる材料になります。

在宅で個人データを扱うときの作業環境の整え方

資格の勉強で学んだ安全管理の考え方は、在宅の作業環境にそのまま当てはめられます。依頼する側から作業環境についてたずねられたときに答えられるよう、次の点を整えておきます。

1つ目は、作業に使うパソコンです。家族と共用のパソコンでは、他の人が誤ってファイルを開いたり、別の目的で使ったソフトからウイルスに感染したりする危険があります。個人データを扱う仕事には、できるかぎり仕事専用のパソコンを用意し、ログインのパスワードを設定します。画面のロックが短い時間で自動的にかかるように設定しておくと、席を離れたときにのぞかれる心配が減ります。

2つ目は、ソフトウェアの更新です。基本ソフトやブラウザ、ウイルス対策ソフトを最新の状態に保つことは、情報セキュリティの最も基本的な対策です。更新の通知を後回しにしていると、知られている弱点を突かれる危険が残ります。

3つ目は、データの受け渡しの方法です。依頼する側から名簿などを受け取るときは、依頼する側が指定した方法に従います。指定がなければ、パスワードを付けたファイルを使う、共有の設定を必要な人だけに限る、といった方法を提案します。メールの宛先を入力するときは、送信前に宛先を声に出して確かめるくらいの慎重さが必要です。

4つ目は、作業後のデータの扱いです。納品が終わったら、依頼する側との取り決めに従ってデータを削除し、削除したことを報告します。パソコンのごみ箱に移しただけでは削除したことにならないので、ごみ箱を空にするところまで行います。紙に印刷した資料は、細かく裁断してから処分します。

5つ目は、作業する場所です。カフェや共有のワークスペースで個人データを扱う作業をすると、画面をのぞかれたり、通話の内容を聞かれたりする危険があります。個人データを扱う作業は、自宅の決まった場所で行うと決めておくと安心です。

これらの対策は、特別な費用をかけずに始められるものがほとんどです。作業環境を言葉で説明できるようにしておくことが、資格の知識を仕事に生かす第一歩になります。

履歴書やプロフィールでの書き方

個人情報保護士を履歴書や在宅の仕事のプロフィールに書くときは、正式な名前と取得した時期を正確に書きます。民間の資格であることを隠す必要はなく、むしろ主催団体の名前を添えると、何を証明する資格なのかが伝わりやすくなります。

履歴書の資格欄では、「個人情報保護士 認定(全日本情報学習振興協会)」のように書くのが一般的です。取得した年月も添えます。在宅の仕事のプロフィールでは、資格の名前だけでなく、その知識を仕事でどう使うかを1文で添えると効果的です。

たとえば、次のような書き方があります。

・個人情報保護士の資格を持ち、顧客データを扱う作業では、作業用のパソコンを専用にし、納品後はデータを削除して削除の報告をしています ・個人情報保護法の安全管理のルールを学んでおり、名簿の入力や整理の作業でも、データの受け渡しにはパスワード付きの方法を使います

このように、資格を「持っている」だけでなく、それを日々の作業の決まりにどう反映しているかを書くと、依頼する側は具体的な安心を得られます。文章でこうした説明を簡潔に伝える力も、在宅の仕事では評価の対象です。文書の書き方を体系立てて学びたい人には、ビジネス文書検定があり、社内外の文書の書き方と表記のルールを問う内容です。

また、在宅のライターとして実績を見せたい人は、プロフィールとあわせて作品をまとめたポートフォリオを用意しておくと、依頼する側が判断しやすくなります。その作り方はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で、テンプレートとともに整理しています。

個人情報保護士の次に学ぶ資格の道筋

個人情報保護士に合格したあと、さらに専門性を高めたい人には、目的に応じて次の道があります。

事務やバックオフィスの仕事を深めたい人は、国家試験の情報セキュリティマネジメント試験に進むのが自然です。個人情報保護士で学んだ組織的・人的なセキュリティの考え方は、情報セキュリティマネジメント試験の範囲と重なる部分があります。国家試験の合格を履歴書に書けることは、民間の資格とは別の重みを持ちます。CBT方式で年間を通じて受けられるので、学習の進み具合に合わせて受験の時期を選べます。

ITの仕事に関心がある人は、ネットワークやシステムの知識を広げる道があります。たとえば、CCNA(シスコ技術者認定)は、ネットワークの基礎から設定までを問うベンダー資格で、インフラの仕事の入口として知られています。ベンダー資格とは、製品を作る会社が自社の製品の知識や技術を認定する資格のことです。ネットワークの仕組みを知ると、情報漏えいがどこで起きやすいかを具体的に理解できるようになります。

セキュリティの専門家をめざす人は、最終的に情報処理安全確保支援士が目標になります。ただし、試験の難易度が高く、合格後も講習の受講と更新が必要です。在宅の仕事としてセキュリティの診断や助言を請け負うには、試験の知識に加えて実務の経験が欠かせません。

どの道を選ぶにしても、資格は仕事を得るための道具の1つです。資格の勉強で身につけた知識を、日々の作業のルールとして実践し、それを依頼する側に伝えられることが、長く仕事を続ける力になります。

個人情報保護士が向いている人と、別の資格が合う人

個人情報保護士の勉強は、誰にとっても役に立つ内容ですが、目的によっては別の資格のほうが合っていることがあります。受ける前に、自分の目的と照らし合わせておきます。

個人情報保護士が向いているのは、次のような人です。事務やバックオフィスの仕事で、顧客や従業員の個人情報を日常的に扱っている人。在宅でデータ入力や顧客対応、EC運営の代行を請け負い、個人情報の扱いを依頼する側に説明できるようになりたい人。勤務先で個人情報の管理の担当を任され、法律の考え方を体系立てて学ぶ必要がある人。いずれも、法律のルールを実務に落とし込むことが目的の人です。

一方で、次のような人には別の資格が合うことがあります。国家資格であることを重視する人には、IPAの情報セキュリティマネジメント試験が向いています。ITの仕事に転職したい人や、システムの開発や運用の仕事をめざす人には、ネットワークやシステムの知識を問う資格のほうが、仕事の獲得に直結しやすくなります。

また、主催団体は、個人情報保護士より易しい内容の資格として、個人情報保護実務検定も用意しています。法律の勉強が初めてで、いきなり個人情報保護士に挑むのは不安な人は、こちらから始めて基礎を固める方法もあります。

どの資格を選ぶ場合でも、資格を取ることそのものを目的にしないことが大切です。資格の勉強で身につけた知識を、日々の作業でどう使うかを考えながら学ぶと、合格後に仕事で生かしやすくなります。反対に、受験料と勉強の時間をかけても、仕事でその知識を使う場面がなければ、資格は履歴書の1行にとどまります。自分がこれから受けたい仕事で、個人情報を扱う場面がどれだけあるかを、受験の前に考えておきます。

資格を取っても依頼が増えないときの見直し方

個人情報保護士に合格しても、それだけで在宅の仕事の依頼がすぐに増えるとは限りません。依頼が増えないときは、次の3つを見直してみます。

1つ目は、資格を示す場所です。プロフィールの一番下に資格名だけが並んでいると、依頼する側の目に留まりません。個人情報を扱う仕事に応募するときは、提案文の最初の数行で、資格とデータの扱い方に触れるようにします。

2つ目は、応募している仕事の種類です。個人情報をほとんど扱わない仕事に応募していると、資格の強みは生かせません。データ入力、名簿の整理、顧客対応、事務代行のように、依頼する側が個人情報の扱いを気にする仕事を選んで応募すると、資格が評価されやすくなります。

3つ目は、実績の見せ方です。資格は知識の証明であって、作業の正確さや速さの証明ではありません。小さな仕事でも正確に納品した実績を積み重ね、その評価を見せられるようにすることが、資格と並んで大切です。

勉強の進め方と、かかる時間の目安

個人情報保護士の勉強は、課題Ⅰと課題Ⅱを並行して進めるのが基本です。2つの課題それぞれに70%以上の正答率が求められるので、得意な分野だけを先に固めると、苦手な分野の対策が試験の直前に間に合わなくなります。

課題Ⅰの個人情報保護法は、条文の数が多く、似た言葉がたくさん出てきます。個人情報、個人データ、保有個人データ、仮名加工情報、匿名加工情報、個人関連情報の違いを、具体例とあわせて自分の言葉で説明できるようになるまで繰り返します。言葉の違いを表にして整理すると、問題を解くときに迷いにくくなります。法律の原文はe-Gov法令検索で無料で読めるので、テキストの解説と原文を見比べながら学ぶと理解が深まります。

課題Ⅱの情報セキュリティは、日常の職場の場面に置き換えて考えると覚えやすい分野です。パスワードの管理、ウイルスの感染経路、入退室の管理、書類やデータの廃棄、テレワークでの注意点など、自分の働き方に照らして「自分ならどうするか」を考えながら学びます。

勉強の時間は、法律の知識がどのくらいあるかで大きく変わります。事務の仕事で個人情報の扱いに日々接している人と、法律の勉強が初めての人では、必要な時間に差が出ます。申込締切から試験日まではおよそ1か月半なので、申し込む時点で公式テキストを一通り読み終えている状態を目安にすると、残りの期間を問題演習にあてられます。

試験の直前は、過去の出題の傾向を確かめ、間違えた問題の条文に戻って理解し直すことに時間を使います。新しい知識を詰め込むより、間違えたところを確実に直すほうが、合格基準の70%に届く近道です。

運営者の視点から見た、資格と信頼の関係

在宅ワークとフリーランスの市場を20年にわたって運営してきた立場から見ると、個人情報を扱う仕事で長く依頼を受け続けている人には、共通する姿勢があります。それは、資格の有無よりも、データの扱い方を自分から説明し、依頼する側の不安を先回りして減らしていることです。

依頼する側は、法律上、個人データの扱いを任せた先を監督する責任を負っています。そのため、作業する人に「どのパソコンで作業するか」「作業後のデータをどうするか」を確かめたいと考えています。ところが、それを毎回たずねるのは手間がかかります。受ける側が最初の提案の段階で、作業の環境とデータの扱い方を自分から書いてくれると、依頼する側は確認の手間が省け、その人に継続して任せたいと考えるようになります。個人情報保護士の勉強は、この説明を正確な言葉でできるようになるための土台です。

もう1つ、運営者として見てきた実感があります。仲介の手数料が少ない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くの仕事を頼めて、受ける側は手元に残る金額が厚くなります。手数料0%の取引で信頼関係を築いている人は、個人情報の扱いのように目に見えにくい部分で丁寧な仕事を重ね、その信頼を継続の依頼に結びつけています。

個人情報保護士は国家資格ではありませんが、個人情報保護法の考え方を体系立てて学べる資格です。在宅でデータを扱う仕事をめざすなら、資格の勉強を通じて身につけたルールを日々の作業に落とし込み、それを依頼する側に説明できる状態をつくることが、仕事の獲得につながります。データを扱う仕事の収入の目安は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、職種ごとの分布を確かめられます。

よくある質問

Q. 個人情報保護士は国家資格ですか?

個人情報保護士は国家資格ではなく、一般財団法人全日本情報学習振興協会が主催する民間の認定資格です。個人情報を扱う仕事をするのに、この資格が法律上必要になる場面はありません。国家資格で近いものとしては、IPAが実施する情報セキュリティマネジメント試験や、登録制の国家資格である情報処理安全確保支援士があります。

Q. 個人情報保護士の試験の難易度はどのくらいですか?

主催団体によると過去の平均合格率は41.5%です。試験は100問を150分で解き、個人情報保護法とマイナンバー法を扱う課題Ⅰと、情報セキュリティを扱う課題Ⅱのそれぞれで正答率70%以上が合格基準です。どちらか一方だけで高得点を取っても合格できないので、両方を同じ重みで学ぶ必要があります。

Q. 個人情報保護士の受験料はいくらですか?

受験料は一般が11,000円(税込)、学割が8,800円(税込)です。受験の方法によって別に費用がかかり、公開会場は0円、CBT会場は1,500円(税込)、オンラインの受験はカメラの往復送料3,000円(税込)です。申し込み後の取り消しはできないので、日程を確かめてから申し込んでください。

Q. 個人情報保護士の資格は在宅の仕事で役立ちますか?

データ入力、名簿の整理、ECサイトの運営代行、事務代行など、在宅で個人情報を扱う仕事で役立ちます。資格が応募の条件になることは多くありませんが、作業の環境やデータの削除の方法を資格の知識にもとづいて説明できると、依頼する側の安心材料になります。プロフィールには資格名と、日々の作業での実践を具体的に書くと効果的です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年10月1日最終更新:2026年10月3日
西田 航

この記事を書いた人

西田 航@SOHO編集部

フリーランスフルスタックエンジニア

Next.js・React・TypeScriptを主力に、SaaS企業の開発案件を手がけるフリーランスエンジニア。Web開発・SaaS系の技術記事を執筆しています。

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