ペットシッター中の咬傷事故やペットの怪我|賠償保険と労災の使い分け

前田 壮一
前田 壮一
ペットシッター中の咬傷事故やペットの怪我|賠償保険と労災の使い分け

この記事のポイント

  • ペットシッター 事故 保険で検索した方向けに
  • 預かり中の咬傷事故やペットの怪我への賠償保険と労災の使い分けを解説
  • 受託者賠償責任保険の仕組みと保険料相場

まず、安心してください。ペットシッターの仕事中に事故が起きたらどうなるのか、不安な気持ちで検索された方が多いと思います。ペットシッター 事故 保険という組み合わせで調べる方の多くは、「もし預かっている犬に噛まれたら」「万が一ペットに怪我をさせてしまったら」という具体的な場面を思い浮かべているはずです。結論から言うと、業務委託で働くペットシッターの多くは労災保険の対象外であり、代わりに受託者賠償責任保険への加入が実質的な備えになります。この記事では、賠償保険と労災の違い、咬傷事故が起きたときの対応フロー、保険料の相場までを順番に整理していきます。

ペットシッター事故の実態と保険加入の現状

在宅ワークや副業としてペットシッターを始める人は、ここ数年で着実に増えています。共働き世帯の増加や高齢化に伴うペットの長寿命化、旅行や出張時の一時預かりニーズの高まりが背景にあります。ペット関連サービス市場全体は横ばいではなく緩やかな拡大傾向にあり、その中でも訪問型・一時預かり型のペットシッターサービスは、ペットホテルに比べて動物のストレスが少ないという理由で選ばれる機会が増えました。

一方で、事故のリスクは見過ごされがちです。犬同士の相性が悪くて咬傷事故が起きる、慣れない場所で興奮した猫に引っかかれる、散歩中にリードが外れて交通事故に巻き込まれる。こうしたケースは決して珍しくありません。ペットシッターの業界団体が公表している相談件数を見ても、咬傷事故や脱走に関するトラブル相談は一定数寄せられており、無視できる水準ではないのが実情です。

今回はペットシッターが加入できる保険制度や、ペットシッターサービスによくあるトラブルをご紹介。実際にある保険や事例について学び、万が一のことが発生したときにも冷静に対応できるようにしましょう。 出典: sewakl.jp

皆さんが検索の先で本当に知りたいのは、おそらく「自分が今のままで働いて大丈夫なのか」という一点だと思います。答えを先に言うと、無保険のまま個人でペットシッターを続けるのは、金額的なリスクが読めない状態で仕事をしているのと同じです。1頭の咬傷事故でも、治療費に加えて慰謝料や休業損害の請求に発展すれば、数十万円単位の支払いになるケースがあります。次の章から、具体的にどんな保険で備えるべきかを見ていきます。

ペットシッターが加入すべき保険の種類

ペットシッターに関わる保険は、大きく分けて3種類あります。それぞれ守ってくれる対象が違うため、混同すると必要な補償が抜け落ちてしまいます。

受託者賠償責任保険とは

最も重要なのが受託者賠償責任保険です。これは、預かっているペットに怪我をさせてしまった場合や、不慮の事故でペットの命を奪ってしまった場合に、飼い主への賠償責任を補償する保険です。ペットシッターという仕事そのものが「他人の大切な家族を一時的に預かる」業務である以上、この保険は実質的に必須と考えてよいでしょう。

受託者賠償責任保険とは、ペットシッターがペットに怪我をさせてしまったり不慮の事故や事件により命をうばってしまったりしたときに適用される保険です。 出典: sewakl.jp

補償の対象は「預かっているペットへの被害」です。つまり、シッター自身が咬まれて怪我をした場合の補償ではなく、あくまで飼い主側に対する賠償責任をカバーするものだという点を押さえておいてください。

ペット賠償責任保険との違い

もう一つ紛らわしいのが、飼い主が加入する「ペット賠償責任保険」です。こちらは、飼い主のペットが他人や他の動物に怪我をさせた場合の賠償をカバーするもので、加入者はペットシッターではなく飼い主本人です。ペットシッターが業務中に事故を起こした際は、この保険の対象外になるケースが多いため、シッター側が別途、受託者賠償責任保険や施設賠償責任保険に加入しておく必要があります。

さらに、ペットシッター自身が怪我をした場合(咬まれた、引っかかれた、転倒したなど)は、傷害保険や後述する労災の枠組みで考える必要があります。「誰が」「誰に対して」損害を与えたのかによって適用される保険が変わる、という整理をしておくと理解しやすくなります。

咬傷事故が起きたときの具体的な対応フロー

実際に咬傷事故が起きたとき、パニックにならずに動けるかどうかで、その後の対応がまったく変わります。皆さんに知っておいてほしい基本の流れを整理します。

まず第一に、怪我をしたペットまたは人の安全確保を最優先にしてください。犬同士の喧嘩であれば無理に引き離そうとせず、大きな音や水で気をそらすなど、二次被害を防ぐ方法を選びます。人が咬まれた場合は、傷口を流水で洗い、止血をしてから速やかに医療機関を受診することが重要です。狂犬病予防法の観点からも、咬傷事故は保健所への届け出が義務付けられている場合があるため、自己判断で済ませないようにしてください。

次に、飼い主への連絡です。事故の状況、時刻、対応内容を正確に伝え、記録に残しておきます。24時間以内の連絡が望ましいとされることが多く、時間が経つほど飼い主との信頼関係にひびが入りやすくなります。写真や動画で状況を記録しておくことも、後の保険金請求や責任の所在の説明で役立ちます。

そして、加入している保険会社への連絡です。受託者賠償責任保険に加入している場合、事故の内容によっては早期に保険会社へ一報を入れることで、示談交渉のサポートを受けられることがあります。

ペットシッター賠償責任保険に加入していると、ペットシッターが負担する金額の補償を受けることが可能です。(1頭あたり20万円、免責金額5千円が支払われる) 出典: sewakl.jp

私自身、フリーランスとして技術文書のライティングを請け負っていたとき、契約書に賠償責任の範囲が明記されていないまま案件を進めてしまい、後から発注元とのやり取りで苦労した経験があります。業種は違っても、「事故や損害が起きたときに誰がどこまで責任を負うのか」を事前に確認しておく重要性は共通しています。ペットシッターの仕事でも、契約前に補償範囲と免責金額を必ず確認しておくことをおすすめします。

労災保険とペットシッター保険の使い分け

ここが、皆さんが最も混同しやすいポイントだと思います。結論から言うと、業務委託(個人事業主)としてペットシッターをしている場合、原則として労災保険の対象にはなりません。

労災保険が適用されるケース

労災保険は、雇用契約を結んでいる労働者(会社員・パート・アルバイト)が業務中や通勤中に怪我をした場合に適用される公的保険です。ペットシッター事業者に「従業員」として雇われている場合は、通常の労災保険が適用され、業務中の咬傷事故による治療費や休業補償を受けられます。

一方、業務委託契約でペットシッターの仕事を請け負っているフリーランスの場合、労働基準法上の「労働者」には該当しないため、原則として労災保険の適用対象外になります。個人事業主やフリーランスを対象にした労災の特別加入制度も存在しますが、対象となる業種はあらかじめ限定されており、建設業の一人親方や個人タクシー運転手、特定作業従事者などが中心です。ペットシッター業務がこの特別加入の対象に含まれるかどうかは、加入予定の団体や制度によって異なるため、必ず個別に確認する必要があります。

業務委託と雇用形態での違い

つまり、次のような整理になります。雇用契約でペットシッター事業者に勤めている人は、労災保険による補償が期待できます。一方、個人で開業して業務委託や直接契約で仕事を請け負っている人は、労災の代わりに民間の傷害保険や受託者賠償責任保険で自分の身を守る必要があります。この違いを理解せずに「保険に入っているから大丈夫」と思い込むと、いざというときに補償の対象外だったという事態になりかねません。

フリーランスとして働くこと自体は、40代からでも十分に選択肢になり得ます。ただし、会社員時代には当たり前だった労災や社会保険の枠組みが自動的には適用されなくなる、という点は事前に理解しておくべきです。この感覚は、労務まわりの専門知識を持つ社会保険労務士の資格情報を見ておくと、労災・雇用保険・社会保険の違いがより明確に整理できます。

保険料相場と加入方法

気になる保険料ですが、受託者賠償責任保険や施設賠償責任保険を扱う保険会社のプランを見ると、月額2,700円前後からのプランが一般的です。年払いにすると割安になる商品もあり、年間3万円程度で加入できるケースが目立ちます。補償限度額や免責金額によって保険料は変わるため、複数のプランを比較検討することをおすすめします。

加入方法は主に3つあります。1つ目は、ペットシッター関連の業界団体や協会に加入し、団体プランの保険に入る方法です。団体割引が適用され、個人加入より保険料が抑えられることがあります。2つ目は、損害保険会社が提供する少額短期保険にインターネットから直接申し込む方法です。手続きが簡潔で、必要な補償だけを選びやすいのが特徴です。3つ目は、ペットシッター事業者に所属して働く場合、事業者が団体で加入している保険の被保険者になる方法です。この場合、個人での加入手続きは不要になることもあります。

いずれの方法でも、補償の対象(ペットへの賠償か、自分の怪我か、施設の物損か)と、支払われる上限額、免責金額(自己負担額)の3点は必ず確認してください。

ペットシッター保険加入時に確認すべきポイント

保険選びで失敗しないために、次の点をチェックリストとして押さえておいてください。

まず、補償の対象範囲です。預かり中の事故だけでなく、散歩中や送迎中の事故もカバーされるかどうかは商品によって差があります。移動中の事故が補償対象外になっている保険もあるため、自分の業務スタイルに合っているか確認が必要です。

次に、免責金額です。5,000円程度の少額な免責から設定されている商品が多いですが、この金額は自己負担になるため、事故の頻度が高い業務内容であれば、免責の低いプランを選ぶ方が安心です。

さらに、複数頭を同時に預かる場合の補償上限も見落とされがちです。多頭飼育の家庭からの依頼を受けることが多いなら、1回の事故で複数頭が被害に遭った場合の上限額まで確認しておく必要があります。

最後に、示談交渉のサポートがあるかどうかです。事故が大きなトラブルに発展した場合、法律や交渉の知識がないまま個人で対応するのは負担が大きくなります。示談交渉サービスが付帯しているプランであれば、いざというときの心理的な負担を大きく減らせます。

@SOHO独自データの考察

長くフリーランス・在宅ワーク市場を運営してきた立場から見ると、ペットシッターに限らず、個人で業務委託を請け負う人ほど「保険や契約の細部を後回しにしがち」という傾向が見えます。会社員時代は総務や人事が手続きしてくれていたものが、フリーランスになった瞬間に自己責任に変わる。この落差に気づくのが遅れると、事故が起きてから初めて補償の隙間に気づく、という展開になりやすいのです。

長く続けている個人事業主ほど、単発の案件をこなすことよりも、依頼者との信頼関係づくりや、リスクへの備えに時間とお金をかけている印象があります。仲介手数料が発生しない直接契約は、同じ予算でも依頼者側はより多くの作業を依頼でき、受け手側は手取りが厚くなるという構造上のメリットがあります。手数料0%の直接契約であれば、その分を保険料や研修費用に回す余地が生まれるという見方もできます。金額の大きさではなく、手取りの質が変わるという実感を、業務委託で働く方には持っておいてほしいと思います。

保険への備えは、ペットシッターという仕事だけの話ではありません。フリーランス全体で見ても、賠償責任保険のような業務リスクへの備えと、自分自身の生活を守る保険は別軸で考える必要があります。例えば、独身時代から検討しておきたい20代の生命保険おすすめ|独身・既婚で変わる選び方では、ライフステージごとの保険選びの考え方がまとめられています。また、対面での相談を挟まずに手続きを完結させたい人向けにネット生命保険おすすめ比較|対面型との違いとメリット、保険料を抑えて必要な保障だけに絞りたい人には掛け捨て生命保険おすすめ5選|コスパで選ぶ死亡保障も参考になります。業務リスクへの備えと、自分の生活を守る保険を両輪で見直すことが、フリーランスとして長く働き続けるための土台になります。

もう一つ、運営者として見てきた実感を付け加えるなら、ペットシッターのような対人・対動物サービス業だけで生計を立てるのではなく、他のスキルを組み合わせて収入源を分散させている人ほど、事故や体調不良などの不測の事態にも柔軟に対応できています。例えば、システムまわりの知識を活かしてアプリケーション開発のお仕事に携わったり、業務効率化の知見をAIコンサル・業務活用支援のお仕事として提供したりと、複数の収入の柱を持つ動き方は珍しくありません。マーケティングやセキュリティの知見を組み合わせたAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に領域を広げる人もいます。

収入の目安を考えるうえでは、ソフトウェア作成者の年収・単価相場著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような業種別の相場データを見ておくと、自分の働き方をどう組み立てるかの判断材料になります。私自身、Webライティングの案件では文字単価がまちまちで、最初は相場観がまったくつかめませんでした。業種別の相場データを見比べる習慣をつけてから、案件を受けるかどうかの判断がずいぶん早くなったのを覚えています。

資格取得によって専門性を打ち出す方向も選択肢の一つです。ネットワーク分野の基礎を証明するCCNA(シスコ技術者認定)のように、業界を問わず評価される資格を組み合わせておくと、ペットシッター業務が閑散期に入ったときの代替収入源としても機能します。事故や怪我のリスクがある仕事だからこそ、収入源を一つに依存させない設計そのものが、広い意味でのリスクヘッジになるというのが、長く現場を見てきた立場からの実感です。

よくある質問

Q. ペットシッターの受託者賠償責任保険は必ず加入しないといけませんか?

法律上の義務ではありませんが、預かったペットに怪我をさせるリスクがある以上、実務上はほぼ必須と考えるべきです。無保険での事故は自己負担額が読めず、廃業に直結するリスクもあります。

Q. 業務委託のペットシッターでも労災に入れる方法はありますか?

特別加入制度の対象業種は限定されており、ペットシッター業務が含まれるかは加入団体によって異なります。労災が使えない前提で、民間の傷害保険や賠償責任保険で備えるのが現実的です。

Q. 咬傷事故が起きたとき、保健所への届け出は必要ですか?

狂犬病予防法の関係で、人が犬に咬まれた事故は届け出が義務付けられている場合があります。自己判断で済ませず、医療機関の受診とあわせて自治体の窓口に確認してください。

Q. 保険料はどれくらいを目安に考えればいいですか?

補償内容にもよりますが、月額2,700円前後、年払いで3万円程度のプランが一つの目安です。免責金額と補償上限を比較したうえで、業務量に見合ったプランを選んでください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月22日最終更新:2026年8月3日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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