パスワードをExcelで管理する方法|危険な点と安全に運用する条件


この記事のポイント
- ✓パスワード管理をエクセルで行う方法を
- ✓表の作り方から運用ルール
- ✓危険な点の正確な把握まで整理しました
パスワード管理をエクセルでやっている、あるいはこれから始めようとしている。そして心のどこかで「これ、本当に大丈夫なんだろうか」と引っかかっている。この記事はそういう人のために書いています。
先に結論を書きます。エクセルでのパスワード管理は、セキュリティの専門家の立場からは推奨されません。ただし、「だからやめなさい」で終わらせるのは現実的ではないとも思っています。多くの職場では、管理ツールを買う決裁が下りず、それでも今日の業務でIDとパスワードを共有しなければならないからです。ですからこの記事では、危険な点を正確に把握したうえで、それでもエクセルで運用するなら最低限どの条件を満たすべきか、そしてどのタイミングで卒業すべきかを、順番に整理します。
エクセルでのパスワード管理がここまで広く使われている理由
まず、なぜこれだけ批判されながらエクセル管理が減らないのかを押さえておきます。理由を理解しておかないと、代替案を出しても定着しません。
第一に、導入コストがゼロです。すでに手元にあるソフトで、今すぐ始められます。管理ツールの導入には、選定、稟議、予算取り、全員への説明という工程が必要で、どれだけ短くても数週間はかかります。目の前に「明日までに共有しないといけないアカウント情報」がある担当者にとって、その差は決定的です。
第二に、自由度が高いことです。管理ツールは、そのツールが想定した項目しか持てません。エクセルなら、契約期間、請求書の送付先、担当者の内線番号、解約手続きの方法といった、パスワードとは直接関係のない情報まで同じ行に書けます。実務では「そのサービスに関する情報をひとまとめにしたい」という要求の方が強く、この点でエクセルは強力です。
第三に、誰でも読めることです。担当者が急に休んでも、後任がファイルを開けば内容がわかります。管理ツールの場合、そのツールにログインできる権限がなければ何も見えません。属人化を避けたいという善意から、あえてエクセルを選んでいる現場も少なくありません。
第四に、印刷できることです。金庫に紙で保管しておく、という運用を取っている組織は今でもあります。管理者アカウントのように、使用頻度は低いが失うと致命的な情報を、あえてオフラインで持っておく考え方自体は合理的です。
つまり、エクセル管理は「怠慢の産物」ではなく、それなりの理由があって選ばれています。その前提に立たないと、話が噛み合いません。
エクセル管理の危険な点を正確に把握する
次に、危険な点を正確に見ます。「危ないらしい」という漠然とした理解のままだと、対策の優先順位を間違えます。
最も大きな問題は、ファイルのパスワード保護が防御として弱いことです。エクセルには「読み取りパスワード」と「シート保護」という2つの機能がありますが、この2つは性質がまったく違います。シート保護は、誤操作で数式を壊さないための機能であり、暗号化ではありません。ネット上で公開されている手順で短時間に解除できてしまいます。一方、読み取りパスワードは実際にファイル全体を暗号化するため、これは一定の防御力を持ちます。問題は、設定した本人がこの違いを理解しておらず、シート保護だけで「パスワードをかけた」と思い込んでいるケースが非常に多いことです。
2つ目は、複製が止められないことです。ファイルである以上、開ける人はコピーできます。共有フォルダから自分のデスクトップにコピーし、そのまま忘れる。メールに添付して家に送る。USBメモリに入れて持ち帰る。どれも悪意なく起こりますが、その瞬間に管理の及ばない場所に複製が増えます。そして元ファイルのパスワードを変更しても、複製は古い内容のまま残り続けます。
3つ目は、履歴が残らないことです。誰がいつ開いたか、誰が何を書き換えたかが追えません。万一情報が漏れたときに、どの範囲が漏れたのか、いつから漏れていたのかを特定できないというのは、事後対応において致命的です。
4つ目は、更新されないことです。これが実務ではいちばん深刻かもしれません。パスワードを変更したのに表を直し忘れる、サービスを解約したのに行が残り続ける。結果として、書いてある情報が正しいかどうか信用できない表になります。信用できない表は使われなくなり、使われなくなった表は放置され、放置された表だけが古い認証情報を抱えたまま共有フォルダに残ります。
FIDO2・ゼロトラスト・ID管理・eKYCを専門とするセキュリティエンジニアチームです。NIST・CISA・FIDO Alliance等の公表情報と実務経験に基づいて記事を作成しています。 出典: netpeace.co.jp
専門家の立場からエクセル管理が否定されるのは、以上のような構造的な理由によるものです。個々の担当者の注意力の問題ではなく、ファイルという形式そのものが持つ性質に由来しています。
それでもエクセルで管理するなら満たすべき条件
ここからが実務的な話です。すぐにツールへ移れない場合、最低限これだけは守るという線を引きます。私自身、小規模な案件でクライアントのアカウント情報を預かる場面があり、そのときに決めた条件がこれです。
条件の1つ目は、読み取りパスワードで必ず暗号化することです。シート保護だけでは意味がありません。ファイルを開く際にパスワードを要求する設定にし、そのパスワードは表の中身とは別の経路で共有します。ファイルをメールで送って、同じメールにパスワードを書くという運用は、鍵を玄関マットの下に置くのと同じです。
条件の2つ目は、パスワードそのものを全文書かないことです。実務で有効なのは、ヒント方式との併用です。たとえば「いつもの共通ルール+末尾に会社名の頭文字」のように、本人だけが復元できる形で書きます。全文を書く必要があるのは、ランダム生成したパスワードを共有する場合だけです。
条件の3つ目は、置き場所を1か所に固定し、アクセス権を絞ることです。共有フォルダに置くなら、そのフォルダにアクセスできる人を必要最小限にします。全社員が読めるフォルダに置いた時点で、暗号化の意味は半減します。クラウドストレージを使うなら、リンクを知っている人全員が開ける設定は避け、個別のアカウントを指定して共有します。
条件の4つ目は、最重要アカウントは表に入れないことです。管理者権限、決済に関わるもの、退職手続きに関わるもの。この3種類は、どれか1つでも漏れると事業が止まります。数が少ないはずなので、別管理にします。紙で金庫、でも構いません。
条件の5つ目は、期限を決めることです。「◯月までに管理ツールへ移行する」という日付を最初に決めてしまいます。期限のない暫定運用は、必ず恒久運用になります。私が見てきた限り、これが最も守られない条件であり、同時に最も効果のある条件です。
パスワード管理表に入れる項目と作り方
実際に表を作る手順を書きます。列の設計を最初に間違えると、後で直すのが面倒になるので、ここは丁寧にやる価値があります。
最低限必要な列は、サービス名、URL、ログインID、パスワード(またはヒント)、用途、管理担当者、登録メールアドレス、最終更新日の8つです。このうち、意外と抜けやすいのが登録メールアドレスと最終更新日です。登録メールアドレスは、パスワードを忘れたときの再設定先であり、担当者が退職して受信できなくなると、そのアカウントは実質的に復旧不能になります。最終更新日は、その行の情報が信用できるかどうかを判断する唯一の手がかりです。
あるとよい列としては、契約プラン、月額費用、契約更新日、多要素認証の有無、解約時の手続き方法があります。特に多要素認証の有無は、後でセキュリティ対策の優先順位を決めるときに効いてきます。有効になっていないサービスを一覧で抽出できるからです。
作るときのコツは、最初から全部埋めようとしないことです。
実際に使うときは、まずサービス名だけ先に入れて、そのあとIDや更新日を埋めるほうが進めやすいです。いきなり全項目を完璧に埋めようとすると、途中で止まりがちです。 出典: exia.co.jp
この指摘はそのとおりで、棚卸しの作業と、情報を埋める作業を分けるのが正解です。まずは使っているサービスの名前だけを全部書き出します。この時点で「そんなサービス契約していたのか」という発見があるはずです。次に、URLとIDを埋めます。パスワードは最後でいいです。
もう1つのコツは、シートを分けることです。現役のサービスと、解約済みのサービスを同じシートに置かないでください。解約済みの行は別シートに移します。削除ではなく移動にするのは、過去にどのサービスを使っていたかという記録自体に価値があるからです。
並び順は、サービス名の五十音順よりも、用途別のグループにした方が実務では使いやすくなります。経理関係、開発関係、広報関係といったまとまりにしておくと、担当が変わったときに引き継ぐ範囲がそのまま切り出せます。
運用ルールをどう決めるか
表を作った後、実際に回していくためのルールを決めます。ここを決めずに運用を始めると、半年で使われない表になります。
最初に決めるのは、更新のタイミングです。「パスワードを変更したら、その日のうちに表も直す」というルールにするのが基本ですが、これだけでは必ず抜けが出ます。そこで、月に1回、決まった日に表全体を見直す時間を確保します。所要時間は、行数が50前後なら30分程度です。この定期点検で、最終更新日が古すぎる行を洗い出します。
次に決めるのは、退職や担当変更のときの手順です。担当者が抜けるとき、その人が知っていたパスワードはすべて変更対象になります。変更対象の洗い出しを、表の「管理担当者」列で行えるようにしておくのが、そもそもこの列を作る理由です。あわせて、その人のメールアドレスを登録先にしているアカウントがないかも確認します。ここを見落として、後から再設定できなくなる事故は本当によく起きます。
3つ目は、共有の範囲です。「この表を見られる人」のリストを、表とは別に作って残しておきます。人数が増えたら、その都度リストを更新します。誰が見られるか把握できていない表は、管理できていない表と同じです。
4つ目は、緊急時の手順です。ファイルが流出した疑いが出たとき、誰が何をするかを1枚にまとめておきます。優先順位は、決済に関わるものから順にパスワードを変更し、その後に多要素認証の登録状況を確認する流れになります。冷静な状態で手順を書いておかないと、実際に起きたときに順番を間違えます。
会社としての体制づくりまで視野に入っているなら、予算面の裏付けも同時に検討しておくと話が進みやすくなります。中小企業向けの補助制度を使った対策の底上げについては、中小企業のサイバーセキュリティ対策2026|IT導入補助金で防御力を強化する方法に申請の流れと対象になりやすい費目がまとまっています。
もう1つ、運用ルールで決めておくと後が楽になるのが、表の命名と保管世代です。ファイル名に日付や「最新」といった語を入れると、どれが正なのか判別できなくなります。ファイル名は固定し、変更履歴はファイル内のシートに日付と変更者だけを書き足す形にします。バックアップを取る場合も、世代を無制限に増やさず、直近の数世代だけを残して古いものは確実に消します。バックアップに残った古いファイルが、後になって漏えい経路になることは実際にあります。復旧のために残しているつもりのファイルが、リスクを長く抱え込む置き場所になっていないか、定期点検のときに一緒に確認してください。
エクセル管理が破綻する典型的な瞬間
暫定運用がいつ限界を迎えるのか。実際に破綻が表面化する場面には、はっきりした型があります。自分の職場がこの型に当てはまっているなら、移行を先送りしない方がいいというサインです。
1つ目は、人数が増えたときです。関係者が5人を超えたあたりから、誰がどのバージョンを見ているのかがわからなくなります。ファイル名に日付を付けて増殖し始めたら、もう限界です。「最新版_2026_最終_修正版」のようなファイル名が生まれた瞬間が、事実上の破綻点だと考えてください。
2つ目は、同時編集が必要になったときです。クラウド上で共同編集にすると、今度はアクセス権の管理が難しくなり、暗号化との両立ができなくなります。読み取りパスワードをかけたファイルは、ブラウザ上での共同編集ができないためです。この二律背反が出てきたら、ファイル形式の限界です。
3つ目は、外部との共有が必要になったときです。委託先や協力会社に一部のアカウントを渡す必要が出たとき、エクセルでは「この行だけ見せる」ができません。結果として、別ファイルを切り出して作ることになり、そこから複製が増え、更新が二重管理になります。
4つ目は、監査や取引先のチェックを受けるときです。一定規模以上の取引では、情報管理の体制を問われる場面があります。「アクセス履歴を出してください」と言われて出せないという事実は、それだけで取引の条件に影響します。特に近年は、取引先を経由した侵入への警戒が強まっており、自社が相手にとってのリスク要因になっていないかという観点で見られるようになりました。認証情報の管理方法を説明できないことは、それ自体が取引上の不利になります。
パスワードの強度そのものをどう決めるか
表の作り方と並んで質問が多いのが、パスワードをどう作るかという話です。ここは近年で考え方が大きく変わった部分なので、古い常識のまま運用していないか確認しておきましょう。
かつて広く指導されていたのは、「大文字・小文字・数字・記号を混ぜる」「90日ごとに変更する」という2つのルールでした。現在、この2つはどちらも推奨されなくなっています。理由ははっきりしていて、人間がこのルールを守ろうとすると、かえって推測しやすいパスワードを作るからです。記号を混ぜろと言われた人の多くが末尾に感嘆符を付け、定期変更を求められた人の多くが末尾の数字を1つ増やします。結果として、規則性のある弱いパスワードが量産されてきました。
現在の考え方は、複雑さより長さを重視します。短くて複雑な文字列より、長くて覚えやすい文字列の方が、機械的な総当たりに対して強くなるからです。目安として、重要なアカウントでは16文字以上を確保したいところです。覚える必要があるものについては、関連のない単語を4つ程度つなげる方法が実用的です。意味のつながらない単語の組み合わせは、本人は情景として覚えられる一方、機械には推測しにくいという性質を持ちます。
定期変更については、「漏えいの兆候があったときに変更する」という考え方に置き換わりました。定期変更をやめる代わりに必要になるのが、漏えいの検知です。自分のメールアドレスが過去の情報漏えいに含まれていないかを確認できるサービスがあり、管理ツールの多くはこの機能を内蔵しています。エクセル管理では、この検知の部分がまるごと欠落します。ここが、管理ツールとの差が最も開く領域です。
そしてもう1つ、強度より優先度の高い原則があります。使い回しをしないことです。どれだけ強いパスワードを作っても、複数のサービスで同じものを使っていれば、一番弱いサービスの漏えいが全部に波及します。実際に起きている被害の多くは、パスワードが破られたのではなく、別のサービスから流出したものをそのまま試されたことによるものです。表を作るときも、同じパスワードが2行以上に登場していないかを確認する列を用意しておくと、使い回しの棚卸しができます。
パスワード管理ツールへ移行する手順
移行を決めたとして、具体的にどう進めるか。いきなり全部を移そうとすると失敗するので、段階を分けます。
第1段階は、棚卸しです。すでにエクセルで表を作っているなら、この作業は半分終わっています。現役のサービスだけを抽出し、解約済みを外します。ここで行数が想定より多ければ、そもそもサービスを整理する余地があるということです。使っていないサブスクリプションが見つかることも珍しくありません。
第2段階は、優先順位づけです。全部を同時に移す必要はありません。決済に関わるもの、顧客情報を扱うもの、管理者権限を持つものから先に移します。この3カテゴリだけで、リスクの大半をカバーできます。
第3段階は、ツールの選定です。個人利用か、チーム利用かで選ぶものが変わります。チームで使うなら、権限をグループ単位で分けられること、操作履歴が残ること、管理者が従業員の退職時にアクセスを一括で止められることの3点は外せません。
Keeperは、多くの多要素認証の手段を持ち、アドオンにより機能拡張ができるパスワード管理ツールです。KeeperChatというアドオンを導入すると、暗号化されたメッセージを使って、デバイス間でメッセージのやり取りも可能になります。パスワード管理機能に加えて、ダークウェブ監視ツールや、100GBの大きさのセキュアなファイルストレージ機能をもち、コンシェルジュサービスを追加すれば、24時間365日専門家によるサポートを受けられます。 出典: lrm.jp
このように、ツールによって付随する機能の幅がかなり違います。ダークウェブ監視のように「自社のアカウント情報が流出していないか」を継続的に見てくれる機能は、エクセルでは絶対に代替できない部分です。選定の際は、価格だけでなく、こうした運用支援の機能まで含めて比較してください。
第4段階は、移行後の後始末です。ここを忘れる組織が本当に多いのですが、元のエクセルファイルを確実に処分する必要があります。共有フォルダ、個人のPC、バックアップ、メールの添付。複製がどこにあるかを洗い出し、すべて削除します。移行したのに旧ファイルが残っていれば、リスクは移行前と変わりません。
パスワードそのものを減らす方向へ進む
もう一段先の話をします。管理ツールへの移行は正しい方向ですが、それは「パスワードを安全に保管する」という発想の延長です。より根本的な方向は、パスワードに頼る場面そのものを減らすことです。
具体的な手段は3つあります。1つ目はシングルサインオンで、認証の入口を1か所にまとめ、個別サービスごとのパスワードを持たなくて済むようにします。2つ目は多要素認証で、パスワードが漏れても、もう1つの要素がなければ入れない状態を作ります。3つ目はパスキーで、生体認証や端末そのものを鍵にする方式です。パスキーは、偽サイトでは原理的に認証が成立しないという性質を持つため、フィッシング対策としても現時点で最も強い選択肢になっています。
このうち、いますぐ着手できて効果が大きいのは多要素認証です。管理ツールの導入には予算が要りますが、多要素認証の有効化は多くのサービスで無料です。先ほど表の列に「多要素認証の有無」を入れておくよう書いたのは、ここで一覧を出して順番に潰していくためです。導入の考え方と製品ごとの違いは、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版に比較の軸がまとまっているので、社内で説明する材料として使えます。
あわせて、パスワードが盗まれる最大の経路であるフィッシングへの備えも必要です。どれだけ管理を厳格にしても、本人が偽サイトに入力してしまえば意味がありません。従業員教育の効果測定と訓練の回し方は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドに実施の流れが整理されています。
在宅で働く立場から見た現実解
ここまでは組織の話が中心でしたが、フリーランスや在宅で仕事をしている人にとっては、事情が少し違います。
個人事業の場合、管理すべきアカウントは自分のものと、預かっているクライアントのものに分かれます。問題になるのは後者です。クライアントのSNSアカウントやサイトの管理画面を預かるとき、その情報をどう保管するかで信頼が決まります。エクセルに平文で書いて自分のPCに置いている状態を、もしクライアントに見られたら、次の契約はないと考えた方がいいです。
現実的な解は、自分の分は管理ツール、クライアントの分は「そもそも預からない」です。預からずに済ませる方法は用意されています。SNSなら運用担当者としての権限付与、サイトの管理画面なら自分用のアカウントを発行してもらう。どちらも、相手のパスワードを知らないまま作業ができ、契約終了時には権限を外すだけで済みます。パスワードを預かるのは、この方法が使えないサービスに限定します。
20年にわたってフリーランスと在宅ワークの市場を見てきた立場から言うと、長く仕事が続く人ほど、この「預からない設計」を最初の打ち合わせで提案しています。セキュリティのためというより、後腐れをなくすためです。契約が終わったとき、相手のパスワードを知っている状態が残らないというのは、双方にとって気持ちのいい終わり方になります。運営者として見てきた限りでは、細かいところですが、こうした提案ができる人には継続の依頼が集まりやすい傾向があります。
中間業者が入らない直接取引では、こうしたやりとりを発注側と受け手が直接詰められます。同じ予算で依頼側はより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなるという金額面の利点はよく語られますが、実務で効いているのはむしろ、条件の細部を直接すり合わせられることの方だと思います。
技術面の対応力を仕事にしたい人にとっては、こうした知識は単価に直結します。開発職の報酬水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場に職種別のデータがまとまっており、セキュリティや業務効率化の相談を受ける側に回るための入口としては、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で扱われる案件の傾向が参考になります。ネットワークの基礎から固めたいならCCNA(シスコ技術者認定)、社内文書の整備を含めて任されることが多い立場ならビジネス文書検定のように、自分の役割に合わせて土台を選ぶとよいでしょう。
最後にまとめ直しておきます。パスワード管理をエクセルで行うこと自体は、条件を満たせば当面の運用として成立します。成立させる条件は、読み取りパスワードでの暗号化、全文を書かない工夫、置き場所とアクセス権の限定、最重要アカウントの分離、そして移行期限を決めること。この5つです。そして、人数が増えた、同時編集が必要になった、外部と共有する必要が出た、このいずれかに当てはまったら、それは移行すべき時期が来たという合図だと考えてください。
よくある質問
Q. エクセルの「シート保護」をかけておけば安全ですか?
違います。シート保護は誤操作で数式を壊さないための機能であり、暗号化ではありません。公開されている手順で短時間に解除されます。ファイル全体を暗号化する「読み取りパスワード」を設定してください。この2つの違いを取り違えている人が非常に多いところです。
Q. パスワード管理表には何を書けばよいですか?
最低限、サービス名、URL、ログインID、パスワードまたはヒント、用途、管理担当者、登録メールアドレス、最終更新日の8項目です。特に登録メールアドレスは、担当者が退職すると再設定できなくなるため必須です。多要素認証の有無も入れておくと後で対策の優先順位を決めやすくなります。
Q. パスワード管理ツールへはいつ移行すべきですか?
関係者が5人を超えた、同時編集が必要になった、外部と一部だけ共有する必要が出た、このいずれかに当てはまったときです。ファイル名に「最終版」や日付が付き始めたら、すでに管理が破綻しているサインだと考えてください。
Q. クライアントから預かったパスワードはどう扱えばよいですか?
可能な限り預からない設計にするのが最善です。SNSなら運用担当者としての権限付与、管理画面なら自分専用のアカウント発行を依頼します。相手のパスワードを知らないまま作業でき、契約終了時は権限を外すだけで済むため、双方にとって安全です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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