絵画を個人で販売する方法と、売り場の選び方

原田 みなみ
原田 みなみ
絵画を個人で販売する方法と、売り場の選び方

この記事のポイント

  • ✓絵画を個人で販売する方法は
  • ✓minne・Creema・BASEの手数料と手取りの計算
  • ✓売り場の選び方を順に整理します

絵画を個人で販売したいと思っても、どこで売ればよいのか、いくらを付ければよいのか、手数料を引くと手元にいくら残るのかが分からず、最初の1枚を出せないまま時間が過ぎてしまう人は少なくありません。売り場には作品販売サイト、自分のネットショップ、展示やイベント、依頼制作といった選択肢があり、それぞれ向いている作品と描き手の段階が違います。この記事では、売り場ごとの手数料と手取りの違いを公式の料金をもとに計算し、原画の値付け、写真と説明文、梱包、知っておくべき法律と税金まで、個人で絵を売るための手順を順に説明します。

絵画を個人で売る方法は大きく4つ

最初に、個人の描き手が使える売り方を整理します。どれか1つに決める必要はなく、段階に応じて組み合わせるのが一般的です。

売り方 主な場所 向いている段階 特徴
作品販売サイトに出品 ハンドメイドマーケット、アート作品の販売サイト 初めて売る人 集客をサイトに頼れるが、手数料は高め
自分のネットショップ BASEなどのネットショップ作成サービス ファンがつき始めた人 手数料は低めだが、集客は自分で行う
展示・イベント レンタルギャラリー、公募展、アートフェア、地域のイベント 実物を見てもらいたい人 出展費や移動の負担があるが、直接話せる
依頼制作・二次利用 似顔絵やペットの肖像画の依頼、作品を使ったグッズ 描く速さと安定した画風がある人 一点ものの原画以外からも収入を得られる

作品販売サイトに出品する

作品販売サイトは、描き手が登録して作品を出品し、売れたときに手数料を払う仕組みです。ハンドメイド作品全般を扱うminneやCreemaのようなマーケットと、絵画やアート作品に絞った販売サイトがあります。サイト自体に買い手が集まっているので、知名度がなくても見つけてもらえる可能性がある点が最大の利点です。一方で、同じサイトに多くの作品が並ぶので、写真と説明文で目を引く工夫が欠かせません。

自分のネットショップで売る

ネットショップ作成サービスを使えば、専門の知識がなくても自分の作品だけを並べた店を作れます。手数料はマーケットより低く抑えられることが多い反面、店に人を呼ぶのは自分の仕事です。SNSでの発信や展示の来場者など、すでに作品を見てくれている人がいる段階で効果を発揮します。

展示やイベントで売る

絵画は、実物の色や質感、大きさを見て決めたいという買い手が多い商品です。レンタルギャラリーでの個展やグループ展、公募展、アートフェア、地域のクラフトイベントなどで、作品を直接見てもらいながら売る方法があります。会場費や移動の負担はありますが、買い手と直接話せるので、次の作品の依頼や常連の買い手につながりやすいのが特徴です。

依頼制作と二次利用

原画を1点ずつ売るだけでは、制作の速さが収入の上限になります。似顔絵やペットの肖像画のように依頼を受けて描く仕事や、作品の画像を使ったポストカードやアートプリントの販売を組み合わせると、同じ作品からの収入を伸ばせます。ただし、依頼制作は納期や修正の回数を事前に決めておかないと、制作時間が読めなくなる点に注意が必要です。

売り場ごとの手数料と手取りの違い

売り場を選ぶうえで最も具体的な違いが手数料です。主なサービスの料金を、各社の公式ページで確かめた数字で比べます。

サービス 主な料金 手数料がかかる範囲
minne 販売手数料10.659%(税込) 作品価格、購入オプション価格、送料の合計
Creema 成約手数料10.67%(税込) 決済総額
BASE(スタンダードプラン) 月額0円、決済手数料3.6%+40円、サービス手数料3% 注文ごと
BASE(グロースプラン) 年払いで1か月あたり16,580円、決済手数料2.9%、サービス手数料0円 注文ごと

Creemaのヘルプでは、出店料と出品料はかからず、成約時の手数料のみとしています。

成約手数料のみいただきます。 成約時に決済総額の10.67%(税込)がかかります。 出典: Creema help 出店料・出品料・成約手数料はかかりますか?

minneは有料のプランに入ると販売手数料が下がる仕組みがあり、BASEは月額費用がかかるプランに切り替えると決済ごとの手数料が下がる仕組みです。料金は改定されることがあるので、出品する前に必ず各社の料金ページで最新の数字を確かめてください。

3万円の原画を売ったときの手取り

送料を別にして、3万円の原画が1枚売れた場合の手数料を計算すると、次のようになります。

サービス 手数料の計算 手数料 手取りの目安
minne 30,000円×10.659% 約3,198円 約26,802円
Creema 30,000円×10.67% 約3,201円 約26,799円
BASE スタンダード 30,000円×3.6%+40円+30,000円×3% 2,020円 27,980円

マーケット2つの差はわずかで、自分のネットショップのほうが1枚あたり1,000円以上多く残ります。ただし、これは売れた場合の比較です。マーケットはサイト自体に集客の力があるので、知名度のない段階では、手数料が高くても売れる見込みが大きいほうを選ぶ判断が理にかなっています。

なお、minneは送料にも販売手数料がかかり、売上を受け取るときに振込手数料がかかります。BASEのグロースプランは月額の固定費がかかるので、毎月まとまった売上が見込めるようになるまでは、スタンダードプランのほうが負担は軽くなります。

手数料以外にかかる費用

手取りを考えるときは、手数料以外の費用も忘れないでください。額装する場合の額の代金、梱包資材、送料、展示に出す場合の会場費や搬入出の交通費などです。特に額は、作品の大きさによっては原画の材料費を上回ることもあります。額を付けて売るか、額なしで売って買い手に選んでもらうかは、値段の付け方にも関わる判断です。

売り場の選び方

手数料だけでなく、自分の作品と段階に合っているかで選ぶことが大切です。判断の軸を4つ挙げます。

軸1:作品の価格帯

数千円の小さな作品やポストカードは、ハンドメイドマーケットで雑貨と並んでも違和感がありません。一方、数十万円の大きな原画は、絵画を探している人が集まるアート作品の販売サイトや、実物を見られる展示のほうが売れやすい傾向があります。価格帯と、その売り場に来る買い手の予算が合っているかを確かめてください。

軸2:すでにファンがいるか

SNSのフォロワーや展示に来てくれた人など、作品を見てくれている人がいるなら、自分のネットショップで手数料を抑えるのが合理的です。まだ誰にも知られていない段階では、マーケットで見つけてもらうことを優先します。

軸3:使える時間

自分のネットショップは、集客のための発信や、決済・発送の管理を自分で行う必要があります。制作の時間を確保したい人は、手間の少ないマーケットから始めるほうが続けやすくなります。

軸4:作品の大きさと壊れやすさ

大きな作品や額に入れたガラス付きの作品は、配送の負担が大きく、破損の危険もあります。こうした作品は、展示の場で手渡しするか、配送の手配まで支援してくれる売り場を選ぶと安心です。

段階ごとの組み合わせ方

初めて売る段階では、マーケットに5点から10点ほどを出品し、どの作品が見られているかを確かめます。売れる作品の傾向が見えてきたら、SNSで制作の過程を発信し、ファンを育てます。ファンが増えてきたら自分のネットショップを開き、マーケットと並行して運営します。年に1回ほど展示を開き、実物を見た人に新作を案内する、という流れが、個人の描き手がよく取る段階の踏み方です。

原画の値段の付け方

値付けは、絵を売るときに最も迷う部分です。安すぎる値段は、作品の価値を下げるだけでなく、あとから値上げしにくくなる原因にもなります。

最低限の値段を計算する

まず、赤字にならない最低限の値段を出します。

項目 内容
材料費 キャンバスや紙、絵の具、額
制作時間 下描きから仕上げまでにかかった時間
時間あたりの目標額 自分の時間にいくらの価値を付けるか
販売にかかる費用 手数料、梱包資材、送料のうち自分が負担する分
最低限の値段 上の4つの合計

例えば、材料費と額で6,000円、制作に10時間かかり、時間あたり1,500円を目標にすると、制作の分が15,000円です。手数料を約11%とすると、合計の21,000円を手取りで残すには、約23,600円以上の値段が必要になります。これより低い値段を付けると、描くほど損をする計算になります。

大きさで値段をそろえる

絵画の世界では、作品の大きさごとに値段の基準を決めておく考え方が広く使われています。同じ描き手の作品であれば、大きい作品ほど高くなるように値段をそろえると、買い手にとって分かりやすく、値付けの理由も説明しやすくなります。作品ごとに出来の良し悪しで値段を上げ下げするより、大きさで一貫した値段にするほうが、買い手の信頼を得やすくなります。

値下げより、小さな作品を用意する

売れないときに値下げを繰り返すと、以前に高い値段で買ってくれた人の信頼を失います。手に取りやすい価格帯を作りたいときは、値下げではなく、小さなサイズの作品やアートプリントを用意するのが定石です。原画の値段は守りつつ、入り口となる商品を別に用意することで、初めての買い手を迎えやすくなります。

原画と複製を区別する

アートプリントやポストカードなどの複製を売る場合は、原画ではないことを商品名と説明文ではっきり書きます。限定の枚数で刷る場合は、何枚刷ったのかと、その何枚目なのかを記載すると、買い手が価値を判断しやすくなります。

写真と作品説明で売れ方が変わる

ネットで絵を売る場合、買い手は写真と説明文だけで判断します。実物の魅力を伝えきれないと、どれだけ良い作品でも素通りされてしまいます。

写真の撮り方

写真は、色が正確に伝わることを最優先にします。

・晴れた日の窓際など、直射日光の当たらない自然光で撮る ・作品を正面からまっすぐ撮り、ゆがみが出ないようにする ・全体、細部の筆の跡、作品の側面や裏面のサインを、それぞれ撮る ・部屋の壁に掛けた様子を撮り、大きさの感覚が伝わるようにする ・手や定規などを一緒に写し、実際の大きさが分かる写真を1枚入れる

照明の色が混ざると、作品の色が実物と違って写ります。届いた作品の色が写真と違うことは、返品や低い評価につながりやすい問題なので、撮影の環境をそろえることが大切です。

作品説明に書くこと

説明文には、買い手が知りたい情報を漏れなく書きます。

・作品の大きさ(縦×横、額がある場合は額を含めた大きさも) ・画材と支持体(油彩、アクリル、水彩、キャンバス、紙など) ・制作年 ・額の有無と、額を付ける場合の種類 ・サインの位置 ・飾るときの注意(直射日光を避けるなど) ・作品に込めた意図や、描いたきっかけ

最後の項目は、作品の物語を伝える部分です。どんな景色を見て描いたのか、どんな気持ちを込めたのかが書かれていると、買い手はその作品を自分の部屋に迎える理由を見つけやすくなります。

初めての1枚を出品するまでの手順

ここまでの内容を、初めて作品を出品するまでの手順に並べ直します。

  1. 売りたい作品を5点から10点選び、大きさ、画材、制作年を一覧にする
  2. 自然光の入る場所で、全体、細部、側面、裏面、飾った様子を撮影する
  3. 材料費と制作時間から最低限の値段を計算し、大きさごとの値段の基準を決める
  4. 梱包資材を用意し、一番大きな作品で実際に梱包してみて、送れる大きさかを確かめる
  5. 出品するマーケットを1つ選び、作家としてのプロフィールを書く
  6. 作品ごとに、タイトル、説明文、値段、送料、発送までの日数を入力する
  7. 出品したことをSNSで知らせ、制作の過程の写真も一緒に投稿する
  8. 2週間から1か月ほど、閲覧数やお気に入りの数を記録する
  9. 反応の多い作品と少ない作品を比べ、写真や説明文、値段を見直す
  10. 売れた作品の傾向を次の制作に生かす

最初の出品で売れなくても、落ち込む必要はありません。閲覧やお気に入りの数は、どの作品が人の目を引いているかを教えてくれる大切な手がかりです。数字を見ながら少しずつ直していくことが、売れる出品に近づく一番の近道です。

プロフィールに書くこと

作家としてのプロフィールは、買い手が「この人から買いたい」と思うかどうかを左右します。絵を描き始めたきっかけ、得意な題材や画材、展示や受賞の実績があればその経歴、制作で大切にしていることを書きます。顔写真を出す必要はありませんが、制作中の手元やアトリエの写真があると、作り手の存在が伝わりやすくなります。

売れないときに見直す5つの点

出品してしばらく経っても売れない場合は、次の5つを順に見直してください。

1. 写真

閲覧数が少ない場合、一覧に並んだときの最初の1枚が目を引いていない可能性があります。作品全体が明るく、色が正確に写っているかを確かめます。背景に余計な物が写っていないか、作品が傾いていないかも見直します。

2. 価格帯

閲覧数は多いのに売れない場合は、値段と買い手の予算がずれている可能性があります。同じ売り場で、同じくらいの大きさの作品がどの価格帯で売れているかを調べてください。値下げをする前に、小さな作品やアートプリントで手に取りやすい商品を用意できないかを考えます。

3. タイトルと検索で使われる言葉

買い手は、題材や色、飾りたい場所の言葉で検索します。「青い海の油絵」「玄関に飾る小さな絵」のように、買い手が探しそうな言葉をタイトルや説明文に入れると、検索で見つけてもらいやすくなります。

4. 出品の数

出品が1点か2点だけだと、作家としての世界観が伝わりにくく、買い手が比べる楽しみもありません。シリーズで描いた作品を複数並べると、作家のページを見てもらえる時間が長くなります。

5. 売り場の客層

ハンドメイドのマーケットは、雑貨やアクセサリーを探している人が多く集まります。大きな原画や高価格の作品が売れにくい場合は、絵画を探している人が集まる販売サイトや、展示での販売も検討してください。

依頼制作を受けるときの決めごと

似顔絵やペットの肖像画など、依頼を受けて描く仕事は、原画の販売と並ぶ収入の柱になります。ただし、出来上がりの好みが依頼者によって違うので、事前に決めておくことが多くあります。

決めておくこと 理由
大きさ、画材、背景の有無 値段と制作時間が大きく変わる
参考にする写真の提供方法 写真の質で仕上がりが左右される
ラフ(下描き)の確認の回数 修正の繰り返しで時間が読めなくなるのを防ぐ
完成後の修正の範囲 どこまで無料で直すかを明確にする
納期と、遅れた場合の連絡 贈り物などで期日が決まっていることが多い
支払いの時期 着手前に一部を受け取るかどうか
キャンセルの扱い 途中でやめた場合の費用を決めておく
完成した絵の画像の使い道 作家の作品例として公開してよいか

特に最後の項目は、依頼者の家族やペットが写る作品の場合、公開してよいかを必ず確かめてください。作品例として使えると、次の依頼を集める材料になります。取り決めは、メッセージのやり取りだけで済ませず、受注の前に一覧にして送り、同意をもらっておくと行き違いを防げます。

作品の保管と管理

売れるまでの間、作品を良い状態で保つことも大切です。絵は湿気、直射日光、急な温度変化に弱いので、風通しのよい日陰で保管します。キャンバスは平置きで重ねると表面が傷むことがあるので、立てて並べるか、間に紙を挟んで保管します。

作品の数が増えてきたら、一覧表を作って管理します。タイトル、大きさ、画材、制作年、値段、いまどこにあるか(自宅、ギャラリーに委託中、展示中など)、売れた日と売れた場所を記録しておくと、出品や展示の準備が早くなり、確定申告のときにも役に立ちます。

梱包と発送で失敗しない

原画は一点ものなので、配送中に傷が付くと取り返しがつきません。梱包と発送の手順を決めておくことが、売る前の準備として欠かせません。

梱包の基本

作品の表面に直接触れる部分は、紙や布で保護します。キャンバスの角は傷みやすいので、角当てを付けます。そのうえで、緩衝材で全体を包み、箱の中で動かないように固定します。額にガラスが入っている場合は、ガラスに養生テープを格子状に貼ると、割れたときに破片が作品を傷つけるのを防げます。

配送方法の選び方

配送は、追跡ができ、補償が付いた方法を選びます。作品の値段が高いほど、補償の上限額を確かめておくことが大切です。マーケットによっては、匿名で送れる配送の仕組みが用意されていて、送り主と受け取り主の住所を互いに知らせずに取引できます。大型の作品は、宅配便の大きさの上限を超えることがあるので、出品する前に送れるかどうかを確かめてください。

送料を値段に含めるか

送料を作品の値段に含めて「送料込み」にするか、別に受け取るかも決めておきます。送料込みにすると買い手にとって支払う総額が分かりやすくなり、一覧で比べられたときに割高に見えにくくなります。一方、大きさの違う作品が多い場合や、遠方への発送で送料の差が大きい場合は、別に受け取るほうが損をしません。どちらにする場合も、手数料が送料にもかかる売り場では、その分を見込んで値段を決めてください。

届いたあとの連絡

作品が届いたら、受け取りの連絡をもらえるよう、説明文や同封の手紙でお願いしておくと安心です。万が一、破損があった場合にすぐ対応でき、買い手との関係も続きやすくなります。

SNSで作品を知ってもらう

どの売り場を選んでも、作品を知ってもらう入り口として、SNSでの発信は大きな役割を果たします。フォロワーの数を追うより、作品と作り手に興味を持ってくれる人と長くつながることを目指すと、発信が続けやすくなります。

制作の過程を見せる

完成した作品の写真だけでなく、下描きから仕上げまでの過程を投稿すると、作品にかけた時間と手間が伝わります。白いキャンバスに少しずつ色が重なっていく様子は、見る人にとってそれ自体が楽しみになります。完成した作品を売り出すころには、過程を見てきた人がすでにその作品に愛着を持っている、という流れが生まれます。

世界観をそろえる

投稿する写真の雰囲気や色合い、紹介文の口調をそろえると、作家としての世界観が伝わります。題材や画風が日によって大きく変わると、何を描く人なのかが伝わりにくくなります。描きたいものが複数ある場合は、シリーズごとに分けて紹介すると整理しやすくなります。

売る告知は控えめに、しかし確実に

投稿のほとんどが「買ってください」という告知になると、見る人は離れていきます。普段は制作の過程や作品の背景を発信し、新作の出品や展示の開催など、大切な知らせのときに販売の案内をはっきり出すと、告知が届きやすくなります。出品したら、作品のページへの道筋を分かりやすく示しておきます。

買い手の声を大切にする

作品を買ってくれた人から、飾った様子の写真や感想が届いたら、本人の許可を得たうえで紹介させてもらうと、ほかの人が買うときの安心材料になります。実際に部屋に飾られた写真は、作家が撮った写真以上に、作品が暮らしの中でどう見えるかを伝えてくれます。

長く売り続けるために意識したいこと

最初の数枚が売れたあと、売れ続ける描き手になるためには、作品の質とは別に意識しておきたい点がいくつかあります。

1つ目は、制作のペースを決めることです。月に何点描くかを決めておくと、出品が途切れず、買い手に「この作家は活動を続けている」と伝わります。2つ目は、買ってくれた人との関係を大切にすることです。新作の案内を希望する人に知らせる仕組みを用意しておくと、2枚目、3枚目を買ってもらえる機会が生まれます。3つ目は、値段を少しずつ上げていくことです。売れる実績が積み重なったら、大きさごとの基準を見直し、作品の価値に見合った値段に近づけていきます。

売れ行きに一喜一憂せず、記録を見ながら少しずつ改善していく描き手ほど、数年後に安定した売上を得ています。絵の販売は、一度の大きな成功よりも、小さな取引の積み重ねで続いていく仕事です。

展示やイベントで売るときの進め方

ネットで売るだけでなく、実物を見てもらう場を持つと、作品の伝わり方が大きく変わります。

レンタルギャラリーで個展やグループ展を開く

レンタルギャラリーは、会場を借りて自分で展示を開く場所です。1人で借りるのが負担なら、仲間と費用を分け合うグループ展から始める方法もあります。会場費のほかに、案内状の印刷や搬入出の費用がかかります。会期中は在廊して来場者と話すことで、作品の背景を直接伝えられます。

ギャラリーに委託して売る

ギャラリーに作品を預けて売ってもらう場合は、売れたときにギャラリーへ支払う手数料の割合、売れなかった場合の返却の方法、作品が傷ついた場合の扱いを、書面で取り決めておくことが大切です。手数料の割合はギャラリーや契約の内容によって大きく異なるので、複数のギャラリーの条件を比べてから決めてください。

公募展とアートフェア

公募展は、作品を応募して審査を受ける展覧会です。入選や受賞は、作品の価値を伝える実績になり、値付けの根拠にもなります。アートフェアは、多くのギャラリーや作家がブースを出して作品を販売する催しで、美術を買う目的の来場者が多く集まります。出展の費用と、見込める売上や出会いを比べて、参加するかを判断します。

絵を売る前に知っておきたい決まり

個人で絵を売る場合でも、守るべき法律や税金の決まりがあります。

ネットで売るなら特定商取引法の表示

ネットで作品を売ることは、特定商取引法の通信販売に当たる場合があります。事業として販売する場合は、個人でも氏名、住所、電話番号、返品の条件などを表示する義務があります。マーケットでは、運営会社が表示の仕組みを用意していることが多いので、出品の手続きの中で確かめてください。表示する項目は消費者庁の特定商取引法の案内で確認できます。

作品を売っても著作権は別

原画という「物」を売ることと、その絵の著作権を譲ることは別の話です。作品を売ったあとも、特に契約で取り決めない限り、著作権は描いた人に残ると考えるのが一般的です。買い手がその絵の画像を使ってグッズを作ったり、広告に使ったりしたい場合は、別に許可を得る必要があります。逆に、依頼制作で企業のロゴや既存のキャラクターを描くよう求められたときは、描き手のほうが他人の権利を侵さないよう注意が必要です。依頼の段階で、使い道と権利の扱いを書面で確かめておいてください。

自分の作品なら古物商の許可は不要

自分で描いた絵を売るだけなら、古物商の許可は要りません。古物とは、一度使われた物や、使うために取引された物のことで、描き手が自分で作った作品はこれに当たらないからです。一方、他人の絵を買い取って売ることを繰り返すと、美術品の古物営業に当たり、許可が必要になります。絵の販売と並行して、他の作家の作品の売買を手がけたいと考えている人は、この線引きを覚えておいてください。

税金の扱い

絵を売って得た所得は、規模や続け方によって雑所得または事業所得として扱われます。会社員の場合、国税庁の確定申告が必要な方の案内では、給与以外の所得の合計が20万円以下なら所得税の確定申告は不要とされています。ただし、住民税は20万円以下でも申告が必要になる場合があるので、住んでいる市区町村に確認してください。

所得は、売上から材料費、額の代金、手数料、送料、展示の費用などの経費を差し引いて計算します。領収書や、マーケットの売上の明細は、まとめて保存しておくと申告のときに困りません。なお、自分で描いたのではなく、集めていた絵を売る場合は、書画として譲渡所得の対象になることがあります。扱いは事情によって変わるので、判断に迷ったら税務署で確かめてください。

描く力を収入につなげる在宅の仕事

フリーランスと在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から見ると、絵を売って長く続けている人は、作品そのものと同じくらい、作品を伝える言葉と写真に時間をかけています。どんな気持ちで描いたのか、どんな部屋に合うのかを言葉にできる人ほど、知名度に頼らず作品を手渡せています。

作品の物語を言葉にする力は、文章の仕事とつながっています。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、文章を書く仕事の収入の分布を職種別にまとめています。作品説明を書く力を磨くことは、アートの販売だけでなく、在宅で文章の仕事を受ける力にもなります。

ネットショップや展示に人を呼ぶには、発信と集客の知識も役に立ちます。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、ネットでの集客や広告運用の仕事の中身を紹介しており、自分の作品の届け方を考える参考になります。在宅で描く時間を確保しながら働く方法を探している人は、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックも、制作と仕事の時間を分ける工夫として参考になります。

もう1つ、運営者として見てきた実感があります。作り手と買い手が直接つながる取引は、買い手は同じ予算で良い作品を手に入れやすく、作り手は手元に残る額が厚くなります。自分のネットショップや展示での直接販売が、手数料の分だけ手取りを厚くするのと同じように、在宅の仕事でも手数料0%の直接取引は、受け手の手取りを厚くし、関係を長く続けやすくします。絵を売ることも、在宅で仕事を受けることも、「この人から買いたい」と思ってもらえる関係づくりが、続けるための土台になります。

よくある質問

Q. 無名でも絵は売れますか?

売れる可能性はあります。作品販売サイトやハンドメイドマーケットは、サイト自体に買い手が集まっているので、知名度がなくても見つけてもらえることがあります。正確な色が伝わる写真と、大きさや画材、作品に込めた思いを書いた説明文をそろえ、5点から10点ほどを出品して反応を確かめるところから始めてください。

Q. minneとCreemaとBASEでは、どれが手取りが多いですか?

3万円の原画を例にすると、minneの販売手数料10.659%とCreemaの成約手数料10.67%はほぼ同じで、手取りは約26,800円です。BASEのスタンダードプランは決済手数料3.6%+40円とサービス手数料3%で、手取りは27,980円になります。ただし、BASEは集客を自分で行う必要があるので、知名度がない段階ではマーケットのほうが売れやすい場合があります。

Q. 自分の絵を売るのに許可は必要ですか?

自分で描いた絵を売るだけなら、古物商の許可は不要です。ネットで事業として販売する場合は、特定商取引法に基づいて氏名や住所、返品の条件などを表示する義務があります。他人の絵を買い取って売ることを繰り返す場合は、古物商の許可が必要になります。

Q. 絵の売上は確定申告が必要ですか?

会社員の場合、給与以外の所得の合計が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。所得は売上から材料費や手数料、送料などの経費を引いた額で計算します。ただし住民税は別の決まりで申告が必要になる場合があるので、住んでいる市区町村に確認してください。会社員でない人は、所得の額によって確定申告が必要になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月11日最終更新:2026年10月2日
原田 みなみ

この記事を書いた人

原田 みなみ@SOHO編集部

EC・ハンドメイド副業ライター

副業でハンドメイドアクセサリーのネットショップをしっかり軌道に乗せた経験を持つ。EC・物販・ハンドメイド系の記事を実践者目線で執筆しています。

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