看護師がイベントの救護で単発の仕事を受けるときの探し方と仕事内容


この記事のポイント
- ✓看護師がイベントの救護で単発の仕事を受けたいときに向けて
- ✓医師がいない現場でできることの範囲
- ✓探し方と求人票で確かめる点
看護師がイベントの救護で単発の仕事を受ける働き方に関心を持つ人が増えています。病棟の夜勤から離れて少し休みたい、子育ての合間に資格を生かしたい、本業の休みの日に違う現場を経験してみたい、といった理由はさまざまです。ライブやスポーツ大会、展示会の救護室に1日だけ入る仕事は、短い時間で看護師の資格を生かせる一方で、病院とはまったく違う環境で働くことになります。医師がいない現場でどこまで対応してよいのか、どこで仕事を探せばよいのか、派遣で単発の仕事を受けることは法律上問題ないのか、と迷う人も多いはずです。
この記事では、看護師がイベントの救護で単発の仕事を受けるときの仕事内容、現場でできることの範囲、働き方の形と探し方、求人票で確かめる点、必要なスキル、メリットとデメリット、税金の注意点を順に整理します。法律に関わる部分は、e-Govの法令の条文と国税庁の公式ページで確かめた内容をもとに説明します。
イベント救護の看護師の仕事内容
イベント救護の看護師の仕事は、多くの人が集まる場所で、けがや体調不良の人が出たときに最初の対応をすることです。救護室や医務室に待機し、来場者や出演者、スタッフが体調を崩したときに様子を確かめ、必要な手当をし、病院での受診や救急車の要請が必要かどうかを判断する手助けをします。
具体的な対応として多いのは、転倒や接触による軽いけがの手当、暑さによる体調不良への対応、気分が悪くなった人の休養の見守り、持病のある人の体調の確認などです。夏の屋外のイベントでは熱中症の疑いのある人への対応が増え、冬のイベントでは寒さによる体調不良や転倒が増えます。混雑する会場では、人の波に押されて息苦しくなる人や、過呼吸になる人への対応が求められることもあります。
対応した内容は記録に残します。いつ、誰に、どんな症状があり、どんな対応をし、その後どうなったかを記録しておくことは、イベントの主催者への報告に使われるだけでなく、あとで問い合わせがあったときに自分を守る材料にもなります。
イベントを主催する側にとって、看護師を配置する意味は大きいものです。イベントに看護師を派遣する会社の1つは、次のように紹介しています。
2009年に事業をスタートさせ、関東を中心にライブ・コンサート、展示会、 CM撮影、映画試写会など関する救護室・医務室などに看護師を派遣しています。 イベント救護室に特化した看護師派遣で経験豊富な看護師を最短で翌日派遣も可能です。 出典: nurse-supporter.com
このように、救護の仕事はライブやスポーツだけでなく、展示会、撮影現場、試写会など、さまざまな場面に広がっています。
医師がいない救護の現場で、看護師ができることの範囲
イベント救護の現場で最も気をつけたいのは、看護師ができることの範囲です。病院では医師の指示のもとで点滴や投薬を行いますが、イベントの救護室には医師がいないことが多く、同じようには動けません。
保健師助産師看護師法の第5条は、看護師を「傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と定めています。そして第37条には、次のように書かれています。
第三十七条 保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。 ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。 出典: e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」
つまり、医師の指示がない場面では、医薬品を渡したり診療の機械を使ったりすることは原則としてできず、例外として認められているのは「臨時応急の手当」です。救護の現場では、この線を意識して動くことが求められます。
実際にどこまでを臨時応急の手当として行うかは、主催者や派遣元が定めた救護の手順、用意された救護の備品、連携する医療機関の有無によって変わります。仕事を受ける前に、その現場で看護師に期待されている役割と、判断に迷ったときの連絡先、救急車を呼ぶ判断の基準を確かめておきましょう。迷ったときは無理に自分で抱え込まず、医療機関の受診や救急要請につなぐことが、来場者と自分の両方を守ります。
単発の仕事を受ける働き方は3つある
看護師がイベント救護で単発の仕事を受ける働き方は、大きく3つあります。
1つ目は派遣です。派遣とは、派遣会社に雇われた看護師が、派遣先であるイベントの主催者のもとで働く形のことです。給与は派遣会社から支払われ、仕事の紹介、勤務の調整、トラブルのときの窓口も派遣会社が担います。イベント救護の分野では、救護に特化した派遣会社に登録して仕事を受ける人が多くいます。
2つ目は直接雇用の単発の仕事です。イベントの主催者や運営会社、スポーツ団体などに、その日だけの雇用契約で雇われる形です。求人サイトや、短時間の仕事を探せるアプリで募集が出ることがあります。雇われて働くので、労働基準法の保護を受けます。労働基準法の第15条は、使用者は労働契約を結ぶときに賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければならないと定めているので、単発の仕事であっても条件は書面などで受け取りましょう。
3つ目は業務委託です。救護の仕事を個人で請け負い、報酬を受け取る形です。学校の行事やキャンプの付き添い、小規模なイベントの救護などで見られます。雇用ではないため、労働基準法の保護は受けず、仕事中の事故や賠償の責任を自分で負う範囲が広くなります。
初めてイベント救護の仕事を受けるなら、仕事の紹介や現場との調整を派遣会社が担ってくれる派遣か、条件がはっきりした直接雇用の単発の仕事から始めるのが安心です。
看護師の単発の派遣が、イベント救護で認められている理由
看護師の派遣と聞くと、「看護師の派遣は禁止されているのでは」と不安に思う人もいるかもしれません。ここは法律の整理が少し複雑なので、条文に沿って確かめておきます。
労働者派遣法の施行令の第2条は、派遣が禁止される医療関係の業務として、看護師の業務を挙げています。ただし、その対象は、病院や診療所、助産所、介護老人保健施設、介護医療院、医療を受ける人の居宅などで行われるものに限られています。イベントの救護室は、これらの場所にあたらないため、イベント救護の看護師の派遣はこの禁止の対象外です。
もう1つの論点が、日雇派遣の禁止です。労働者派遣法の第35条の4は、日々または30日以内の期間を定めて雇う労働者(日雇労働者)の派遣を原則として禁止しています。1日だけのイベント救護の派遣は、これにあたります。
ただし、この禁止には例外があります。労働者派遣法の施行令の第4条第1項は、日雇派遣が認められる業務を列挙していて、その第19号に、保健師助産師看護師法第5条に規定する看護師の業務のうち、病院等や居宅などで行われるもの以外の業務が挙げられています。つまり、イベントの救護室のように病院等の外で行う看護師の業務は、日雇派遣が認められている業務にあたります。
また、同じ第4条第2項は、60歳以上の人、学生(定時制の課程などに在学する人を除く)、一定以上の収入がある世帯の人など、本人の条件によって日雇派遣が認められる場合も定めています。いずれにしても、登録する派遣会社が労働者派遣事業の許可を受けているかどうかは、仕事を受ける前に確かめておきましょう。
イベント救護の単発の仕事の探し方
イベント救護の単発の仕事は、病院の求人ほど目立つ場所には出ていません。探し方を知っておくと、自分に合う仕事に出会いやすくなります。
1つ目は、イベント救護に特化した派遣会社や、看護師の単発の仕事を扱う派遣会社に登録する方法です。登録すると、イベントの日程や場所、時給が連絡され、都合が合うものを選んで受けます。救護に特化した会社は、救護の手順や備品の準備が整っていることが多く、初めての人でも入りやすいのが利点です。
2つ目は、求人サイトで「イベント 救護 看護師」「イベントナース」などの言葉で探す方法です。地域を絞ると、近くで開かれるイベントの募集が見つかります。求人サイトには派遣会社の募集と、主催者や運営会社の直接の募集の両方が並ぶので、雇用の形を確かめて応募しましょう。
3つ目は、短時間の仕事を探せるアプリです。医療職向けの単発の仕事を扱うアプリでは、健康診断や予防接種の会場と並んで、イベント救護の募集が出ることがあります。
4つ目は、都道府県のナースセンターです。eナースセンターは、都道府県看護協会による無料職業紹介事業として運営されていて、看護職の求人を探したり、相談したりできます。イベント救護の単発の仕事は多くはありませんが、ブランクがある人が復職の相談をする窓口として知っておくと役に立ちます。5つ目は、看護師の知人からの紹介です。救護の仕事をしている知人がいれば、現場の様子を聞きながら紹介してもらえることがあります。
派遣会社を選ぶときに比べたいこと
イベント救護の仕事を派遣で受けるなら、どの派遣会社に登録するかで、仕事の受けやすさも安心感も変わります。登録する前に、次の点を比べてみましょう。
1つ目は、扱っている仕事の種類と地域です。ライブやスポーツに強い会社、展示会や撮影現場に強い会社、学校の行事やキャンプに強い会社など、得意な分野は会社ごとに違います。自分が働きたいイベントの種類と、通える地域の仕事が多いかを確かめます。
2つ目は、救護の手順と備品の整い方です。救護の手順書があるか、救護室に用意される備品の内容が決まっているか、現場で判断に迷ったときに相談できる窓口があるかは、初めての人にとって特に大切です。
3つ目は、登録のときの研修や説明の手厚さです。イベント救護の仕事の流れ、記録の書き方、救急要請の手順を事前に説明してくれる会社なら、初めての現場でも落ち着いて動けます。
4つ目は、給与の支払いの時期と方法、交通費の扱い、仕事を受けたあとのキャンセルの扱いです。単発の仕事を複数の会社で受ける人も多いので、それぞれの条件を一覧にしておくと比べやすくなります。労働者派遣事業の許可を受けているかどうかも、厚生労働省の情報で確かめておくと安心です。
求人票で確かめておくこと
イベント救護の単発の仕事は、1日だけの仕事だからこそ、条件の確認がおろそかになりがちです。応募する前に、求人票や派遣会社からの案内で次の点を確かめましょう。
時給と支払いの条件は、まず確かめたい項目です。時給だけでなく、拘束される時間の全体、休憩の扱い、交通費が出るかどうか、給与が支払われる時期を確かめます。看護師の資格に対する手当を設けている求人もあります。求人サイトに掲載されている看護師の求人の例を見ると、資格によって手当の額を分けている募集があります。
【求める人材】正看護師 准看護師経験:不問 【こだわりポイント!...<手当> 通勤手当:全額負担 資格手当(看護師:12,000円)(准看護師:10,000円)... 出典: 求人ボックス
これは長く働く求人の例ですが、看護師と准看護師で条件を分けている募集があることが分かります。イベント救護の求人でも、正看護師に限るのか、准看護師も応募できるのかを確かめておきましょう。
仕事の中身についても確かめます。救護室の場所と設備、用意されている救護の備品、ほかに看護師や医師がいるか、救急車を呼ぶときの手順と連絡先、近くの医療機関との連携、記録の様式などです。屋外のイベントでは、救護のテントの暑さや寒さへの備え、トイレや食事の扱いも大切です。
勤務の時間帯も確かめます。イベントは開場の前から準備が始まり、終演のあとも観客が帰るまで待機が続くことがあります。集合の時刻と解散の予定時刻、延長になったときの扱いを、事前に確かめておくと安心です。
ブランクのある看護師が始めるときの準備
イベント救護の単発の仕事は、子育てなどで現場を離れていた看護師が、復職の手始めとして選ぶこともあります。1日だけの仕事なので始めやすい一方、医師のいない現場で最初の判断を担うため、準備をしてから臨むことが大切です。
まず、応急の手当と一次救命処置の手順を復習しておきましょう。消防署や日本赤十字社などが開く救命講習を受け直すと、心肺蘇生や自動体外式除細動器(AED)の使い方を体で思い出せます。AEDとは、心臓が止まりかけた人に電気の刺激を与えて、正常な動きに戻すための機器のことです。
次に、看護の知識の復習です。熱中症、過呼吸、てんかんの発作、アレルギーの反応、頭を打ったときの観察の要点など、イベントで出会いやすい症状について、看護の教科書や研修の資料で確かめておきます。
都道府県のナースセンターでは、復職を目指す看護職への相談や研修の案内も行っています。いきなり大きなイベントに入るのが不安なら、まずは看護師が複数配置される現場や、比較的落ち着いた展示会などの現場から始めると、無理なく感覚を取り戻せます。
イベント救護で求められるスキルと経験
イベント救護の看護師に求められるのは、限られた情報と道具の中で、落ち着いて判断する力です。病院のように検査の結果や医師の診察を待つことはできないため、目の前の人の様子から、すぐに受診が必要か、休養で様子を見てよいかを見極める力が問われます。
そのため、救急外来、集中治療室、外科の病棟など、急な変化に対応した経験がある看護師は、イベント救護で重宝されます。応急の手当や一次救命処置の手順が身についていることも大切です。経験の浅い人でも、救急の研修や救命講習を受けておくと、自信を持って現場に立てます。
コミュニケーションの力も欠かせません。救護室を訪れる人は、慣れない場所で体調を崩し、不安を抱えています。落ち着いた声で話を聞き、状態を分かりやすく伝え、必要なら家族や同行者、主催者のスタッフと連絡を取ります。イベントの運営スタッフや警備の担当者と連携して、倒れた人のもとへ駆けつけたり、救急車を誘導したりすることもあります。
子ども向けのイベントでは小児の看護の経験が、スポーツの大会ではけがの手当の経験が、高齢の来場者が多いイベントでは持病のある人への対応の経験が生かされます。自分の得意な分野に合うイベントを選ぶと、力を発揮しやすくなります。
イベントの種類ごとの特徴
イベント救護の仕事は、イベントの種類によって忙しさも対応の中身も大きく変わります。
ライブやコンサートは、多くの観客が長時間立ったまま過ごすため、気分が悪くなる人、過呼吸になる人、押し合いで転倒する人への対応が中心です。夏の野外のフェスでは熱中症の疑いのある人が増え、救護室が忙しくなることがあります。
スポーツの大会やマラソンでは、出場する選手のけがや、運動中の体調の急変への対応が中心になります。コースの途中に救護所が設けられ、移動しながら対応することもあります。
展示会や試写会、撮影現場は、比較的落ち着いた現場が多く、待機の時間が長くなりがちです。体調不良の人への対応が主な仕事で、救護室で静かに待機する時間が続くこともあります。
学校の行事や子ども向けのキャンプ、地域の祭りでは、子どものけがや体調不良への対応が中心です。泊まりがけの行事では、夜間の見守りも仕事に含まれることがあります。どの種類のイベントが自分に合うかを考えて選ぶと、無理なく続けられます。
主催者や運営スタッフとの連携のしかた
イベント救護の看護師は、救護室の中だけで仕事をしているわけではありません。会場で体調を崩した人を見つけるのは、多くの場合、会場の案内係や警備の担当者です。救護の質は、看護師と運営スタッフがどれだけうまく連携できるかで決まります。
打ち合わせの段階で、運営スタッフが体調不良の人を見つけたときに、どの経路で救護室に連絡が入るのかを確かめておきましょう。無線を使うのか、電話を使うのか、救護室まで連れてくるのか、看護師が現場に向かうのかによって、対応の速さが変わります。会場が広い場合は、救護室から遠い場所で倒れた人のもとへ向かうための経路と、車いすや担架の保管場所も確かめておきます。
救急車を呼ぶときの手順も共有しておきます。誰が119番に通報するのか、救急隊を会場のどの入口から誘導するのか、本人の付き添いは誰がするのかを決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
主催者への報告も連携の一部です。対応した件数と内容を、イベントの途中や終了後に伝えると、主催者は会場の暑さ対策や動線の改善に生かせます。看護師の視点からの気づきを伝えることは、次回以降の依頼にもつながります。
当日の流れ
イベント救護の単発の仕事の1日は、おおむね次のような流れです。
集合の時刻に会場に入り、主催者や派遣会社の担当者と打ち合わせをします。救護室の場所、救護の備品の内容、救急車を呼ぶときの手順と誘導の経路、無線や電話での連絡の方法、記録の様式を確かめます。ほかに看護師がいる場合は、役割の分担と休憩の取り方も決めます。
開場すると、救護室で待機しながら、運営スタッフからの連絡に応じて対応します。救護室を訪れた人には、症状と経過を聞き、必要な手当をし、休養させながら様子を見ます。受診が必要と判断した場合は、本人や同行者、主催者と相談して医療機関につなぎ、緊急性が高い場合は救急要請の手順に沿って対応します。
終演のあとも、観客が会場を出るまでは待機が続くことがあります。すべての対応が終わったら、記録をまとめて主催者や派遣会社に報告し、救護の備品の使用状況を伝えて、仕事を終えます。
1日の流れを事前に想像しておくと、当日の持ち物や体調の整え方も決めやすくなります。動きやすい服装、筆記用具、時計、自分の飲み物や軽食、季節に応じた暑さや寒さへの備えを用意しておきましょう。
イベント救護の単発の仕事のメリットとデメリット
イベント救護の単発の仕事には、病院での勤務にはないメリットがあります。
1つ目は、働く日を自分で選べることです。都合のよい日だけ仕事を受けられるので、子育てや介護、本業との両立がしやすくなります。2つ目は、看護師の資格を生かしながら、ふだんと違う環境を経験できることです。ライブやスポーツの会場で働くことを楽しめる人にとっては、気分転換にもなります。3つ目は、ブランクのある人が現場の感覚を取り戻すきっかけになることです。
一方で、デメリットもあります。1つ目は、収入が安定しにくいことです。イベントは季節や曜日によって数が大きく変わり、毎月同じだけ仕事があるとは限りません。2つ目は、責任の重さです。医師がいない現場で最初の判断を担うため、判断に迷う場面で心理的な負担を感じることがあります。3つ目は、待機の時間が長い現場もあり、時間の使い方に戸惑う人もいることです。
転職を考えている人にとって、イベント救護の単発の仕事は、次の職場を探す間のつなぎとしても使えます。ただし、社会保険や雇用保険の加入、昇給、研修の機会といった面では、長く働く職場とは条件が違うので、主な収入をイベント救護だけに頼るのは慎重に考えましょう。
単発の仕事を受ける頻度と、収入の考え方
イベント救護の単発の仕事で得られる収入は、受ける日数と、イベントの時期によって大きく変わります。イベントは、春から秋の週末や祝日、夏休みの時期に集中しやすく、冬や平日は少なくなる傾向があります。
収入を考えるときは、時給だけでなく、1回の仕事の拘束時間の全体と、移動にかかる時間を含めて計算します。開場前の準備から終演後の待機までを含めると、1回の仕事が10時間を超えることもあります。交通費が出るかどうか、遠方の会場の場合に移動の時間が報酬に含まれるかどうかも、手取りに影響します。
本業がある人は、どのくらいの頻度で受けるかを先に決めておくと、体の負担を管理しやすくなります。夜勤明けにそのまま救護の仕事に入るような予定の組み方は、自分の体調を崩す原因になり、救護の質にも響きます。休みの日をすべて救護の仕事で埋めるのではなく、月に何回までと上限を決めておきましょう。
単発の仕事を主な収入にしたい人は、複数の派遣会社に登録して仕事の数を確保する、イベントの少ない時期には健康診断や予防接種の会場の仕事を組み合わせる、といった工夫が必要です。
注意したいこと:責任、記録、保険、体調
イベント救護の仕事を受けるときに注意したい点を整理します。
1つ目は、責任の範囲です。先に説明したとおり、医師の指示がない場面でできることは臨時応急の手当に限られます。主催者から想定外の対応を求められたときも、自分の判断で範囲を広げず、受診や救急要請につなぐことを優先しましょう。
2つ目は、記録です。対応した内容は、時刻、症状、行った手当、その後の経過、引き継ぎ先を、事実に沿って記録します。個人の情報を含む記録の扱いは、主催者や派遣会社の決まりに従い、個人の持ち物のメモやSNSに残さないようにしましょう。
3つ目は、保険です。派遣や直接雇用で働く場合、仕事中のけがは雇い主の労災保険の対象になります。業務委託で受ける場合は自分で備える必要があり、厚生労働省によると、令和6年11月1日から、企業などから業務委託を受けているフリーランスは、業種を問わず労災保険に特別加入できるようになりました。対応のなかで相手に損害を与えた場合に備える看護職向けの賠償責任保険もあるので、自分の働き方に合わせて加入を検討してください。
4つ目は、自分の体調です。夏の屋外のイベントでは、救護する側が暑さで体調を崩すこともあります。こまめな水分補給と休憩の確保を、打ち合わせの段階で主催者と確かめておきましょう。
本業がある看護師が単発の仕事を受けるときの税金
病院などで働きながら、休みの日にイベント救護の単発の仕事を受ける場合、税金の扱いを知っておく必要があります。
派遣や直接雇用で受けるイベント救護の報酬は、給与として支払われます。本業の職場で年末調整を受けている人が、ほかの職場からも給与を受け取ると、その給与は年末調整の対象になりません。国税庁のNo.1900によると、給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は、確定申告が必要です。単発の仕事でも、年間を通じて受けた金額を合計して判断します。
業務委託で受けた報酬は、給与ではなく事業所得や雑所得として扱われることが一般的です。このときも、給与所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になります。所得の区分は契約の中身によって変わるので、迷う場合は税務署に確認してください。
住民税は、所得税の確定申告が不要な場合でも申告が必要になることがあります。住んでいる市区町村の案内を確かめましょう。本業の職場の就業規則で副業がどう扱われているかも、仕事を受ける前に確かめておくことが大切です。単発の仕事ごとに受け取った給与明細や支払いの記録を保存しておくと、申告のときに慌てずに済みます。
イベント救護の経験を、次のキャリアにつなげる
イベント救護の経験は、看護師としてのキャリアの幅を広げる材料になります。限られた情報で判断する力、初めて会う人と短い時間で信頼関係を築く力、イベントの運営スタッフと連携する力は、救急や訪問看護、産業保健、学校の保健室など、さまざまな職場で生かせます。
経験を次の仕事につなげるには、どんなイベントで、どんな対応をしてきたかを整理しておくことが大切です。対応した件数や内容の傾向、工夫したことを振り返り、自分の強みとして言葉にしておくと、転職の面接や、派遣会社に希望を伝えるときに役立ちます。
イベント救護の仕事を重ねるうちに、救護の手順づくりや、新しく入る看護師への説明を任されるようになる人もいます。現場をまとめる立場を経験すると、看護の知識に加えて、運営や調整の力も身につきます。
また、イベント救護で出会う人は、年齢も体調もさまざまです。子どもから高齢者まで、持病のある人やふだん医療と接点の少ない人まで、幅広い相手に短い時間で対応した経験は、地域の健康づくりに関わる仕事や、企業の健康管理の仕事を目指すときにも、具体的な強みとして伝えられます。
看護の経験と、書く力・伝える力を組み合わせる
フリーランスと在宅ワークの市場を長く見てきた運営者の立場から言えば、医療職として長く働き方の幅を広げている人ほど、現場の経験を「言葉にする力」を大切にしています。救護の記録、主催者への報告、派遣会社とのやりとりは、どれも文章の仕事です。
報告書や連絡の文書の書き方を体系的に身につけたい人には、ビジネス文書検定の内容が参考になります。看護の知識を生かして、健康や医療の情報を分かりやすく伝える記事を書く人もいます。文章を書く仕事の報酬の目安は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。
医療や救護の現場でも、記録の入力や情報の共有の効率化が課題になっています。現場を知る人が業務の流れを整理し、道具の使い方を支援する仕事もあります。業務の効率化を支援する仕事の内容は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で確認できます。
運営者として見てきた限りでは、仲介を通さずに依頼主と直接つながって仕事を受けている人ほど、手元に残る報酬が厚くなる傾向があります。依頼する側にとっても、中間の手数料がない分、同じ予算でより手厚い体制を頼めます。手数料0%の直接取引は、双方が得をする形です。イベント救護で現場の経験を積みながら、伝える力を育てていくと、看護師としての働き方の選択肢は確実に広がります。
よくある質問
Q. 看護師がイベント救護で1日だけ派遣で働くことは法律上問題ありませんか?
労働者派遣法の施行令では、看護師の派遣が禁止されるのは病院や診療所、介護老人保健施設、居宅などで行う業務に限られていて、イベントの救護室はこれにあたりません。また、30日以内の日雇派遣は原則禁止ですが、病院等の外で行う看護師の業務は例外として認められています。登録する派遣会社が許可を受けているかは確かめておきましょう。
Q. 医師がいないイベントの救護室で、看護師は薬を渡してもよいですか?
保健師助産師看護師法の第37条は、医師の指示がある場合を除いて、医薬品を授与したり医薬品について指示をしたりすることを禁じていて、例外は臨時応急の手当です。実際の対応は、主催者や派遣元が定めた救護の手順と備品によって決まるので、仕事を受ける前に確認し、迷ったときは受診や救急要請につないでください。
Q. 准看護師でもイベント救護の単発の仕事を受けられますか?
求人によって条件が違います。正看護師に限る募集もあれば、准看護師も応募できる募集もあり、資格によって手当の額を分けている求人もあります。応募する前に、求人票や派遣会社の案内で、応募できる資格、時給と手当、拘束時間、ほかに看護師や医師がいるかを確かめてください。
Q. 本業の病院の給与とは別にイベント救護の給与をもらうと、確定申告は必要ですか?
国税庁のNo.1900によると、給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は、確定申告が必要です。単発の仕事でも1年間の合計で判断します。住民税は所得税の申告が不要でも申告が必要になることがあるので、市区町村の案内を確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
山口 彩花@SOHO編集部
デザイナー兼イラストレーター
美大卒業後、広告代理店でグラフィックデザイナーとして6年間勤務。色彩検定1級、DTP検定を取得。現在はフリーランスとしてブランディングデザインとイラスト制作を手がけています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







