子育てしながら働く准看護師|時間の作り方と職場の選び方


この記事のポイント
- ✓准看護師が子育てと仕事を両立するための職場選びと勤務形態の考え方を整理します
- ✓収入の組み立て方まで解説します
准看護師 子育て 両立というキーワードで検索する方が本当に知りたいのは、「両立できますか」という問いへの答えではありません。両立している人がいることは、周りを見れば分かっているからです。
知りたいのは、その人たちが具体的に何を選んだのか。どの職場で、どの勤務形態で、どの制度を使っているのか。この部分です。
結論から書きます。両立できるかどうかを決めているのは、本人の努力の量ではなく、職場の構造です。制度が使える職場かどうか、急な休みが許容される体制かどうか、勤務時間が読めるかどうか。この3つが揃っていれば両立できますし、揃っていなければどれだけ頑張っても続きません。
つまり、これは根性の問題ではなく、選択の問題だということです。この記事では、何をどう選ぶかを具体的に整理します。
両立の成否を決めているのは、環境のほうです
まず、前提を確認しておきます。
働きながら子育てをしている看護職は、決して少数派ではありません。むしろ一般的です。この点について、整理された記述があります。
看護師は、育児しやすい環境の職場を選んだり、勤務形態を見直したりすることで、子育てと仕事を両立しやすくなります。実際に、働きながら子育てをするナースは少なくありません。 出典: kango-oshigoto.jp
ここで注目したいのは、両立の条件として挙げられているのが「環境の選択」と「勤務形態の見直し」の2つだという点です。個人の能力や気合いは条件に入っていません。
正直なところ、この当たり前の事実が、当事者にはいちばん見えにくいのです。うまくいかないとき、多くの方は自分の要領が悪いせいだと考えます。でも、実際には職場の構造が原因であることのほうが圧倒的に多い。
たとえば、子どもが熱を出したときに代わりに入れる人がいない職場では、休むたびに罪悪感が積み上がります。これは本人の問題ではなく、人員配置の問題です。
出産を機に退職を考える方が一定数いるのも、同じ構造から説明できます。いまの職場で続けることが難しいと感じたとき、選択肢は「辞める」か「職場を変える」かの2つですが、辞めるほうだけを考えてしまう方が多いのです。
看護職の資格は、いったん現場を離れると復帰のハードルが上がります。週1日でも続けているのと、完全に離れるのとでは、数年後の選択肢がまったく違ってきます。辞める前に、条件を変えるという選択肢を検討する価値は十分にあります。
子育て中の准看護師が直面する、5つの壁
具体的な悩みを分解しておきます。悩みを分解すると、対処の方法が見えてきます。漠然と「大変だ」と抱えている状態では、どこに手を打てばよいのかが分かりません。
壁1。急な休みが取りづらい
子どもの発熱や感染症は、予告なく起きます。保育園から呼び出しの電話が来る。その時点で、勤務の途中でも帰らなければなりません。
これが辛いのは、休むこと自体より、休んだあとの空気です。人員に余裕がない職場では、誰かが休むと他の人の負担が直接増えます。その構造を知っているからこそ、休みにくくなる。
対処法は、人員に余裕のある職場を選ぶことです。看護職の配置人数が多い職場、パート職員を複数抱えている職場は、欠員が出たときの吸収力が違います。
壁2。勤務時間が読めない
残業が発生すると、保育園のお迎えに間に合いません。延長保育を使うにも限度があります。
ここで効いてくるのが、終業時刻が構造的に決まっているかどうかです。診療時間が決まっているクリニック、営業時間が固定されているデイサービスは、残業が発生しにくい構造になっています。逆に、病棟は業務の切れ目が読みにくい環境です。
壁3。夜勤との両立
夜勤があると、家族の協力体制が必須になります。配偶者の勤務、実家の距離、夜間保育の有無。これらの条件がそろわなければ、夜勤は現実的ではありません。
夜勤を外すと収入は下がります。ここが多くの方の悩みどころです。ただ、夜勤を続けて体調を崩し、結果的に離職するケースを考えると、収入の減少をどう埋めるかを別の方法で考えたほうが合理的です。
壁4。キャリアが止まる不安
時短勤務やパート勤務を選ぶと、任される業務の範囲が狭くなります。研修や勉強会にも参加しにくくなる。数年後に元の水準に戻れるのかという不安は、多くの方が抱えています。
この不安に対しては、期間を区切って考えるという方法が有効です。子どもが小学校に上がるまで、あるいは低学年のあいだ。期限を設定すると、いまの選択が一時的なものだと整理できます。
そして、狭い範囲でも業務を続けていること自体に価値があります。医療の現場では手順や機器が変わっていきますが、現場にいれば変化は自然に入ってきます。完全に離れると、その更新が止まる。ここが復帰時の壁になります。
壁5。周囲との温度差
同僚に子育て中の人がいない職場では、休むことへの理解が得られにくくなります。悪意ではなく、単に想像が及ばないだけということも多いのですが、当事者には重くのしかかります。
対処法は、同じ状況の人が複数いる職場を選ぶことです。1人だけだと「特別扱い」に見えますが、複数いれば「そういう職場」になります。この差は、日々の居心地を大きく左右します。
使える制度を、名前で覚えておく
制度を知らないまま働いている方が、実はかなりいます。名前を知らないと、そもそも申し出ることができません。
育児のための制度として、いくつかの仕組みが法律で定められています。
育児休業。子どもを養育するために取得できる休業です。取得の要件や期間、給付金の扱いは制度改正が重なっており、事業所の規模や雇用形態によっても扱いが変わります。
短時間勤務の制度。一定の年齢までの子を養育する労働者について、勤務時間を短縮する措置が事業主に求められています。1日の所定労働時間を短くする形が代表的です。
子の看護休暇。子どもの病気やけがの世話などのために取得できる休暇です。年次有給休暇とは別枠で取得できる点が重要です。
深夜業の制限と、時間外労働の制限。一定の条件を満たす場合、事業主に対して深夜の勤務や時間外の勤務を制限するよう請求できる仕組みがあります。夜勤のある職場で働く方にとっては、知っておく価値のある制度です。
ここで注意していただきたいのは、これらの制度は要件が細かく定められており、改正も重なっているという点です。自分が対象になるかどうかは、記事の記述で判断しないでください。勤務先の就業規則を確認し、厚生労働省の案内や、都道府県の労働局の窓口で確認してください。
そして、制度が法律で定められていることと、職場で実際に使えることは別問題です。制度はあるのに「前例がない」と言われて使えない職場が、残念ながら存在します。
だからこそ、求人を選ぶ段階で「取得の実績があるか」を聞く必要があります。制度の有無ではなく、実績を聞く。ここが要点です。
勤務形態ごとの向き不向きを、フェアに整理する
勤務形態の選択は、両立のしやすさに直結します。それぞれの良い点と悪い点を並べます。
二交替制と三交替制
24時間の看護体制がある職場では、この2つのどちらかになります。子育て中の看護職がどちらを選ぶ傾向にあるかについて、興味深いデータがあります。
レバウェル看護【公式】Instagramで行った「子育てと両立するなら3交替?2交替?」のアンケートによると、79%の看護師さんが「2交替」と回答しました。 出典: kango-oshigoto.jp
79%という数字は、かなりはっきりした偏りです。理由は明快で、二交替制のほうが出勤の回数が少なく、家にいる日をまとめて確保できるからです。
三交替制は1回の勤務時間が短いという利点がありますが、出勤の回数が増えるぶん、保育園の送り迎えの回数も増えます。生活のリズムが細かく変わることも、子どものリズムと合わせにくい要因になります。
ただし、二交替制は1回の拘束時間が長くなります。夜勤に入る日は、子どもと顔を合わせない時間が長くなる。ここをどう受け止めるかは、家庭の事情によります。
日勤のみの常勤
夜勤がなく、フルタイムで働く形です。収入は夜勤ありに比べて下がりますが、社会保険や賞与、退職金といった常勤の待遇は維持できます。
外来、健診、デイサービス、クリニックなど、そもそも夜勤のない職場を選ぶという方法もあります。病棟に残りつつ夜勤を免除してもらう形は、職場の理解と人員の余裕が前提になります。
時短勤務
所定労働時間を短くして働く形です。常勤の身分を保ったまま勤務時間を減らせるため、キャリアの継続という点では有利です。
一方で、給与は勤務時間に比例して減ります。また、時短勤務者への業務の割り振りが職場によって差があり、「短い時間で同じ量の業務」という状態になっている職場もあります。ここは制度の問題ではなく運用の問題なので、取得している人の実際の状況を聞くのが確実です。
パート勤務
週の日数や1日の時間を細かく設定できるのが最大の利点です。週2日から、1日4時間からといった募集が実際に出ています。
デメリットは、賞与や退職金の設計がないことが多い点と、任される業務の範囲が限定されやすい点です。ただし、子どもが小さい期間だけと割り切るのであれば、この形がいちばん破綻しにくいのは事実です。
夜勤専従
家族が夜間に子どもを見られる体制がある場合に限りますが、出勤の回数を抑えながら収入を確保できる形です。日中に子どもと過ごす時間を作れるという利点もあります。
ただし、生活のリズムへの負担は大きく、長期間続けることを前提にするのは慎重に判断すべきです。
時間は「作る」のではなく、逆算で確保するものです
勤務形態を決める前に、1日の時間の組み立てを先に確認しておくと、選ぶべき条件がはっきりします。
順番は、朝からではなく、夜から逆算します。
まず、子どもを寝かせる時刻を決めます。ここが動くと、翌朝がすべて崩れます。次に、そこから逆算して夕食、入浴、帰宅の時刻を置きます。帰宅時刻が決まると、保育園を出る時刻が決まります。そこから通勤時間を引くと、退勤できる限界の時刻が出ます。
この計算をすると、多くの方が驚きます。「17時退勤なら間に合う」と思っていたのに、通勤と買い物を含めると実際には16時半には出たい、といったずれが見えるからです。
だから、求人を選ぶときに見るべきは「勤務時間」ではなく「退勤できる限界の時刻を守れるか」です。この基準で見ると、残業が構造的に発生しない職場を選ぶことの重要性がはっきりします。
朝も同じように逆算します。保育園が開く時刻、そこから職場までの移動時間、始業時刻。ここが詰まっている場合、朝の余裕がゼロになります。子どもが着替えを嫌がる日、忘れ物に気づいた日。予定外の5分が、そのまま遅刻に直結する組み方は危険です。
そこで、時間を確保する方法を3つ挙げます。
1つ目は、通勤時間を削ることです。これがいちばん効きます。片道の通勤が30分短くなれば、1日で1時間が戻ります。時給が多少下がっても、近い職場を選ぶ価値は十分にあります。
2つ目は、勤務時間帯をずらすことです。始業を遅くする、終業を早くする。時間の長さを変えずに、位置をずらすだけで生活が回るようになる場合があります。時短勤務を申し出る前に、この方法が使えないかを検討してみてください。
3つ目は、家事の総量を減らすことです。増やせない時間を、別のところから捻出するという発想です。食材の宅配、洗濯乾燥機、掃除の頻度の見直し。費用はかかりますが、それで勤務を続けられるなら、収入との差し引きで判断する価値があります。
正直なところ、この3つ目を「手抜き」だと感じてしまう方が多いのですが、これはどうかと思います。時間を買う判断は、経営で言えば設備投資と同じです。続けるための投資であって、怠慢ではありません。
保育の選択肢を、全部並べておく
職場選びと同じくらい重要なのが、預け先の設計です。ひとつの手段だけに頼ると、そこが崩れたときに勤務も崩れます。
認可保育園。自治体が入所を決定する形で、申し込みには締め切りがあります。就労状況が選考に関わるため、転職の時期と入所の時期の関係は必ず確認してください。制度は自治体ごとに違うので、市区町村の窓口で聞くのが確実です。
認可外保育施設。自治体を通さずに直接申し込む形で、認可より柔軟な受け入れをしている施設があります。夜間や早朝の対応をしている施設もあり、勤務形態によっては現実的な選択肢になります。
院内保育所。勤務先の病院や施設が設けている保育所です。通勤の途中に預けられるため、移動の負担が減ります。24時間対応の施設なら夜勤との両立も可能になりますが、定員や対象年齢の制限があります。
病児保育。子どもが病気のときに預かってもらえる仕組みです。自治体や医療機関が実施しており、事前の登録が必要な場合があります。「熱が出てから探す」では間に合わないので、元気なうちに登録を済ませておいてください。
ファミリーサポートなどの地域の支援制度。自治体が仲介して、地域の会員が送迎や短時間の預かりを担う仕組みです。実施の有無と内容は自治体によって異なります。
家族や親族の協力。頼れる相手がいる場合も、当てにするだけでなく、あらかじめ「どの曜日に、何時から何時まで」という形で具体化しておくと、いざというときに動けます。
大切なのは、これらを2つ以上組み合わせておくことです。第一の預け先が使えない日に、第二の手段がある。この備えがあるかどうかで、勤務を続けられるかどうかが決まります。
家族との分担は、感覚ではなく言葉で決める
両立の相談で見落とされがちなのが、家庭内の分担です。
分担がうまくいかない原因の多くは、能力や意欲ではなく、決め方にあります。「気づいたほうがやる」という取り決めは、実質的に「気づきやすいほうが全部やる」という意味になります。
だから、担当を言葉で決めてください。曜日で分ける、作業で分ける、時間帯で分ける。方法は何でも構いませんが、口に出して確認することが重要です。
とくに決めておきたいのが、子どもが体調を崩したときの担当です。どちらが休むのか。交代で休むのか。この取り決めがないと、毎回その場で交渉することになり、その交渉自体が消耗の原因になります。
もうひとつ、シフトが確定した時点で家族に共有する仕組みを作ってください。共有のカレンダーでも、紙の予定表でも構いません。夜勤の日、遅番の日を家族全員が把握していれば、確認のやりとりが減ります。
看護職の勤務は、一般的な会社員の勤務と時間帯が違います。この違いを家族が理解していないと、「なぜその時間に帰れないのか」という摩擦が生まれます。勤務の仕組みそのものを説明しておくことも、分担の一部だと考えてください。
両立しやすい職場を、種類ごとに比べる
職場の種類によって、両立のしやすさが構造的に違います。
クリニックと診療所
診療時間が決まっているため、終業時刻が読めます。日曜固定休、祝日休みといった条件も多く、家庭の予定を立てやすい環境です。
注意点は、少人数で運営されているため、急な休みが取りにくいことがある点です。看護職が2名や3名の職場では、1人休むと運営が回らなくなります。応募のときに、欠員が出たときの体制を確認してください。
健診センター
午前のみの募集が多く、業務が定型的で残業が発生しにくい環境です。子どもが小さい時期には、非常に相性のよい職場だと言えます。
繁忙期があるため、時期による勤務の増減は確認しておきましょう。
デイサービスと通所リハビリ
日中のみの営業で、夜勤もオンコールもありません。営業時間が決まっているため、お迎えの時間に合わせた勤務が組みやすい環境です。
看護職が1名体制の事業所があるため、判断を相談できる相手がいるかどうかは確認してください。
保育園
園児の健康観察や保健管理を担当します。子どもの行事のリズムを理解している職場であることが多く、自分の子どもの学校行事にも配慮が得られやすい傾向があります。
医療行為の頻度は低く、ブランクからの復帰先としても選ばれます。夏休みなど園の長期休業に合わせて勤務が変わる場合があるため、年間の勤務の見込みは確認しておきましょう。
介護施設
働き方の幅が広く、扶養内のパートからフルタイムまで対応している事業所があります。子どもの成長に合わせて勤務時間を増やしていける点は、長期で見ると大きな利点です。
夜勤やオンコールの有無は事業所によって異なるため、条件を明示している募集を選んでください。
院内保育所のある病院
病棟に残りたい場合、院内保育所の有無は決定的な要素になります。24時間対応の保育所があれば、夜勤を続けることも現実的になります。
ただし、院内保育所があることと、希望通りに預けられることは別です。定員、待機の有無、対象年齢、病児保育への対応。この4点を必ず確認してください。「院内保育あり」という記載だけで判断するのは危険です。
求人票で確認すべき、7つの項目
応募先を絞り込む段階のチェックリストです。
1つ目。看護職の配置人数。欠員が出たときの吸収力を測る指標になります。
2つ目。育児休業や時短勤務の取得実績。制度の有無ではなく、実際に使った人がいるかどうかを聞いてください。
3つ目。年間休日の日数と、有給休暇の取得率。数字が明記されている求人は、それだけ運用に自信があるということです。
4つ目。残業の実態。「残業ほぼなし」と書かれていても、記録の作成が勤務時間外になっている職場があります。「記録は勤務時間内に書けますか」と具体的に聞いてください。
5つ目。院内保育所や託児支援の内容。定員、対象年齢、利用条件を確認します。
6つ目。シフトの確定時期と、希望の反映度。確定が遅い職場は、保育園や家族との調整が難しくなります。
7つ目。子育て中の職員が実際に在籍しているか。同じ状況の人がいる職場は、休むことへの理解が違います。
この7つを聞いたときの反応そのものが、判断材料になります。すらすら答えられる職場は、こうした質問を日常的に受けているということです。
逆に、注意したい表現もあります。「みんなで助け合っています」「家庭の事情には理解があります」。こうした言葉は聞こえがよいのですが、具体的な運用を何も説明していません。助け合いが人員の余裕によって支えられているのか、個々人の我慢によって支えられているのかで、意味が正反対になります。
確認の仕方は簡単です。「助け合い」の中身を聞けばよいのです。「誰かが急に休んだとき、実際にはどう対応していますか」。人員に余裕があれば、代替の仕組みが具体的に説明されます。説明が抽象的なら、実態は残った人の負担増です。
もうひとつ、「子育て中の方も多く活躍しています」という記載についても、人数を聞いてください。1人なのか、5人なのかで状況はまったく違います。数が多い職場は、休みの調整が仕組みとして回っています。
転職を考えるなら、タイミングの設計が要点です
職場を変えることを決めた場合、順番を間違えると苦しくなります。
まず、保育園の入所時期との関係を確認してください。認可保育園の申し込みには自治体ごとの締め切りがあり、就労状況が選考に関わります。転職の時期によっては、いったん就労実績が途切れる形になることがあります。制度の詳細は自治体ごとに違うので、必ず市区町村の窓口で確認してください。
次に、在職中に探すことです。辞めてから探すと、収入が止まるぶん焦りが出ます。焦って決めた条件は、たいてい後悔につながります。
そして、面接での伝え方です。子育て中であることを隠す必要はまったくありません。むしろ、隠すと入職後に困ります。
伝え方のコツは、制約と、できることをセットで示すことです。「保育園のお迎えがあるので17時までの勤務を希望します」だけで終わらせず、「その代わり、平日は週4日確実に勤務できます」と続ける。事業所が知りたいのは、あなたがどう働けるかという情報です。
面接で聞いておくべきことも準備してください。「お子さんの体調不良で急に休む方は、どのくらいの頻度でいらっしゃいますか」。この聞き方だと、実態が返ってきやすくなります。「大丈夫ですよ」という抽象的な答えしか返ってこない職場は、実績がない可能性があります。
編集の仕事で医療職の求人を大量に読んだことがありますが、子育て中の職員が多い職場ほど、求人票の書き方が具体的だという傾向がありました。時短の実績、院内保育の定員、シフトの組み方。書ける情報を持っている職場は、書きます。抽象的な言葉が並ぶ求人ほど、面接での確認事項が増えると考えてよいでしょう。
職場を変えた人が、実際にやっていた4つのこと
相談や取材で共通して出てくる、うまく移行できた人の行動を挙げます。
1つ目は、辞める理由を1つに特定していることです。「なんとなく限界」で動くと、次の職場でも同じ理由で行き詰まります。急な休みなのか、残業なのか、夜勤なのか、人間関係なのか。特定できていれば、次はそこを重点的に確認できます。
2つ目は、条件に優先順位をつけていることです。通勤の近さ、終業時刻、休みの取りやすさ、収入。この4つを同時に満たす職場はまず存在しません。上位2つを決めて、残りは妥協する。この割り切りができた人ほど、決断が早く、後悔も少ない傾向があります。
3つ目は、複数の職場を見ていることです。1か所しか見ないと、提示された条件が妥当かどうかを判断できません。3か所見れば相場が分かります。応募したからといって必ず入職しなければならないわけではありません。
4つ目は、家族と先に合意していることです。勤務時間が変われば、家庭内の役割も変わります。転職先が決まってから相談すると、条件の変更が難しくなります。候補を絞る段階で共有しておくほうが、あとの調整が楽になります。
この4つは、どれも特別な能力を必要としません。順番の問題です。逆に言えば、順番を間違えると、条件のよい職場を見つけても入職後に噛み合わなくなります。
准看護師として働きながら、資格の先を考える
子育て期間中のキャリアについて、准看護師ならではの論点があります。
正看護師の資格取得を目指す場合、進学には通学と実習の時間が必要になります。子どもが小さい時期にこれを進めるのは、家族の協力体制がなければ現実的ではありません。
ただし、選択肢を知っておくこと自体には意味があります。子どもが手を離れたあとに進学するという計画を立てておけば、いまパート勤務を選ぶことが「後退」ではなく「準備期間」として整理できます。正看護師との待遇の違いや資格取得のルートは准看護師の転職ガイド|正看護師との年収差と資格取得ルートで整理されています。
もうひとつ、准看護師として働き続けること自体の価値も押さえておきましょう。免許に有効期限はなく、年齢やブランクで失われることもありません。週1日でも現場に立ち続けていれば、実務の感覚は保たれます。
完全に離れてから数年後に戻るのと、細く続けながら子育て期を通過するのとでは、復帰時の負担がまったく違います。この差は、収入の差より大きいと言えます。
収入が下がることを、どう受け止めるか
夜勤を外す、勤務日数を減らす、時短勤務に切り替える。どの選択をしても、収入は下がります。ここで立ち止まってしまう方が多いので、考え方を整理しておきます。
まず、比べる期間を長く取ってください。1年単位で見ると、夜勤を外した収入減は大きく見えます。しかし10年単位で見ると、体調を崩して離職した場合の損失のほうがはるかに大きくなります。
離職して数年後に復帰する場合、条件は下がるのが一般的です。ブランクの期間が長いほど、復帰時の選択肢は狭くなります。細く続けることの価値は、その年の収入ではなく、続けられる年数の総和で測るべきです。
次に、支出の側も同時に見てください。夜勤を続けるために病児保育や延長保育を頻繁に使っている場合、その費用が収入の増加分を相殺していることがあります。手取りから、働くために発生している費用を引いた額で比べる。この計算をすると、判断が変わることがあります。
そして、収入が下がる期間には終わりがあるという点も押さえておきましょう。子どもが小学校に上がる、低学年を抜ける、部活動が始まる。段階ごとに必要な条件は変わり、勤務を増やせるタイミングが来ます。
期限を区切って考えると、いまの選択が「諦め」ではなく「配分の変更」だと整理できます。この整理ができているかどうかで、同じ選択をしても気持ちの負担がまったく違います。
収入の柱を、もう一本立てておくという発想
夜勤を外したり勤務日数を減らしたりすると、収入は確実に下がります。この減少をどう扱うかが、両立の設計における最大の論点です。
対処の方向は2つあります。支出を抑えるか、別の収入源を作るか。
後者について、在宅でできる仕事を組み合わせるという選択肢があります。看護の経験は、文章の仕事と相性がよい資産です。医療や介護の分野は、用語を正確に使えて現場を知っている書き手が限られているからです。臨床経験を活かせる在宅の仕事の種類は看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】に整理されています。
文章の仕事がどのくらいの市場規模なのかを掴みたい場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ておくと、相場感が持てます。
医療系の資格を持つ人が、勤務の形を組み替えている例としては診療放射線技師の非常勤(バイト)単価|土日祝を活かす働き方【2026年版】も参考になります。曜日や時間帯の使い方を変えることで、収入の水準を保つという発想です。
子育ての経験そのものを活かす道もあります。子育て・教育・進学相談のお仕事では、育児や教育に関する相談業務がどのような形で成立しているかが整理されています。看護職として子どもの健康を見てきた経験は、この領域と接点があります。
文書の書き方に自信がないという方はビジネス文書検定の学習範囲を確認してみてください。看護記録と業務文書は目的が違うので、型を学び直すと仕事の受けやすさが変わります。
ただし、注意点があります。在宅の仕事を始めるときは、いきなり量を増やさないことです。子育てと現場の勤務に加えて第三の負荷を乗せると、確実に破綻します。まずは月に数件、無理のない範囲で試す。この順番を守ってください。
20年この市場を見てきた立場からの観察
在宅ワークと業務委託の市場を長く運営してきた立場から、子育て期の働き方について観察していることを書きます。
長く働き続けている方に共通しているのは、完璧を目指していないことです。家事も育児も仕事も全部を高い水準で回そうとした人ほど、早い段階で消耗します。どこを落とすかを先に決めている人のほうが、結果として長く続いています。
運営者として見てきた限りでは、これは能力の差ではありません。優先順位を決めるという判断を、早い時期にしたかどうかの差です。
もうひとつ、仲介の構造についても触れておきます。仕事の依頼が仲介を何段も経由すると、依頼する側が払った額と、受け取る側の手取りのあいだに差が生まれます。限られた時間で働く方にとって、この差は無視できません。仲介の手数料が乗らない直接の取引であれば、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側は同じ働きでも手取りが厚くなります。手数料0%という条件の価値は、金額の大小ではなく、この「手取りが厚い」という質のほうにあります。
同じ時間を使うなら、手元に残る割合が高いほうを選ぶ。時間に制約がある人ほど、この視点が効いてきます。
選択は、いつでも組み直せます
最後に、判断の枠組みを整理します。
子育てと仕事の両立を考えるとき、多くの方が「いま決めたことが今後ずっと続く」と考えてしまいます。だから決められない。
でも、実際には子どもの年齢によって必要な条件は変わります。乳児期に必要なのは急な休みへの対応力です。保育園期に必要なのは終業時刻の確実性です。小学校に上がると、放課後の時間帯という新しい問題が出てきます。中学以降は、また別の条件になります。
つまり、いま最適な選択が3年後も最適とは限らない。これは当たり前のことですが、当事者は見落としがちです。
だから、いま決める条件は「いまの3年間の条件」だと考えてください。そのうえで、数年後に条件を変えられる職場を選んでおく。パートから常勤へ、時短からフルタイムへ、日勤から夜勤ありへ。移行に対応できる職場かどうかを、応募の段階で確認しておくのです。
「将来的に勤務時間を増やしたくなったとき、相談できますか」。この一問を面接で聞いておくと、その後の選択肢が変わります。
最後にもうひとつ。いまの職場で続けられないと感じたとき、いきなり辞めるという結論に飛ばないでください。勤務形態の変更、部署の異動、時短の申し出。同じ職場の中でも、条件を組み替える手段はいくつかあります。それらを試したうえで難しいと分かれば、そのときに外を見ればよいのです。
順番としては、いまの職場で交渉する、次に他の職場を見る、最後に働き方そのものを変える。この順で検討すると、選択肢を使い切ることができます。
両立できるかどうかは、あなたの努力の量では決まりません。構造の選び方で決まります。そして、構造は選び直せます。
よくある質問
Q. 准看護師が子育てと両立するには、どの勤務形態が向いていますか?
子どもの年齢と家族の協力体制によります。夜勤のある職場では、出勤回数が少なく家にいる日をまとめて確保できる二交替制を選ぶ人が多く、アンケートでは79%が二交替と回答しています。夜勤が難しい場合は、診療時間や営業時間が決まっているクリニック、健診センター、デイサービスなど日勤中心の職場が選択肢になります。
Q. 子育て中でも使える制度にはどのようなものがありますか?
育児休業、短時間勤務の制度、子の看護休暇、深夜業の制限、時間外労働の制限などが法律で定められています。ただし要件や期間は改正が重なっており、雇用形態や事業所によって扱いも変わります。自分が対象になるかは勤務先の就業規則と、厚生労働省の案内や労働局の窓口で確認してください。制度の有無より取得実績を確認するのが確実です。
Q. 求人票の「院内保育あり」だけで判断してよいですか?
判断できません。院内保育所があることと、希望通りに預けられることは別です。定員、待機の有無、対象年齢、病児保育への対応の4点を必ず確認してください。24時間対応かどうかによって、夜勤を続けられるかどうかも変わります。見学の機会があれば、保育所の運用状況を直接確認することをおすすめします。
Q. 面接で子育て中であることを伝えても不利になりませんか?
隠すほうが入職後に困ります。伝えるときは、制約とできることをセットで示してください。「お迎えがあるので17時までを希望します」だけでなく「平日は週4日確実に勤務できます」と続けると、事業所は勤務の設計ができます。あわせて「急に休む方はどのくらいの頻度でいますか」と聞くと、その職場の実態が見えます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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アウトソーシング・外注ガイド
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