准看護師の転職ガイド|正看護師との年収差と資格取得ルート


この記事のポイント
- ✓准看護師の転職事情を解説
- ✓准看護師が選べる転職先
- ✓正看護師への資格取得ルートをまとめました
准看護師として働いている方から「正看護師との待遇の差がつらい」という話を聞くことがあります。私が外科病棟で一緒に働いていた准看護師の先輩も、同じ業務をしているのに給与に差があることに不満を感じていました。「同じ注射を打って、同じ記録を書いて、同じ患者さんを受け持っているのに、なんで給料が違うの」と。
ただ、准看護師の求人は全国で67,000件以上あり(看護roo!調べ、2026年3月時点)、転職先に困ることはありません。問題は「どこに転職するか」と「正看護師の資格を目指すか」の判断です。この記事では、准看護師の転職戦略を詳しくまとめました。
准看護師と正看護師の年収差
率直に、年収差は存在します。
| 項目 | 准看護師 | 正看護師 |
|---|---|---|
| 平均年収 | 400万円前後 | 500万円前後 |
| 基本給(月額) | 20〜25万円 | 25〜30万円 |
| 管理職への道 | 限定的 | 師長・主任への昇進可能 |
| 求人の幅 | やや限定される | 幅広い |
| 訪問看護 | ステーションにより可 | 問題なし |
年収で約100万円の差がある上に、キャリアアップの選択肢も制限されます。10年勤務すれば、生涯収入で1,000万円以上の差になる計算です。
ただし、これはあくまで平均の話。クリニックや介護施設では准看護師でも正看護師と変わらない給与を出しているところもあります。私の先輩は皮膚科クリニックに転職して、正看護師と同じ給与テーブルで働いていました。「院長の方針次第」というのが現実です。
准看護師が活躍できる転職先
准看護師の資格でも十分に活躍できる職場はたくさんあります。
クリニック: 個人クリニックでは准看護師と正看護師の業務内容にほとんど差がないケースが多いです。特に皮膚科や耳鼻科など、処置がルーティン化されている診療科は狙い目です。院長が「うちでは正看も准看も同じ仕事」と明言しているクリニックを選ぶと、待遇面でも不利になりにくいです。
介護施設: 有料老人ホームやデイサービスでは看護師の需要が高く、准看護師も歓迎されます。特にデイサービスは日勤のみで残業も少なく、ワークライフバランスを重視する方にはおすすめです。
訪問看護: ステーションによっては准看護師も受け入れています。ただし正看護師を求める事業所も多いため、事前確認が必要です。管理者になるには正看護師の資格が必要な点も覚えておいてください。
健診センター: 採血やバイタルサインの測定が主な業務。准看護師でも応募可能な求人があり、規則正しい勤務時間が魅力です。
美容クリニック: 一部の美容クリニックでは准看護師も採用しています。美容への関心が高ければ、正看護師・准看護師の資格差よりもコミュニケーション力や接客スキルが重視される傾向があります。
ジョブメドレーの看護師求人ページでも、准看護師を対象とした49,000件以上の求人が掲載されています(出典: ジョブメドレー)。コメディカルドットコムでも11,700件の准看護師求人があり、求人数は全国的に豊富です。
正看護師への資格取得ルート
准看護師から正看護師を目指す場合、主に2つのルートがあります。
全日制の看護学校(2年): 仕事を辞めて通学。最短ルートだが収入がなくなるリスクがある。学費は公立で年間30〜50万円、私立だと100〜150万円程度。貯金に余裕がある方や、家族のサポートが得られる方に向いています。
通信制の看護学校(2年): 准看護師として7年以上の実務経験があれば入学可能。働きながら学べるのがメリット。登校日は月に数回で、レポートとスクーリングで単位を取得します。仕事との両立は大変ですが、収入を維持しながら資格を目指せるので、現実的な選択肢です。
教育訓練給付金制度を使えば、受講費用の一部が国から支給されます。専門実践教育訓練なら受講費用の最大70%(上限56万円)が給付されるケースもあるので、費用面の負担を大幅に軽減できます。
NG例とOK例|准看護師の転職面接
NG例: 「正看護師と同じ仕事をしているのに給料が安いから転職します」。本音でも、面接でそのまま言うと印象が悪くなります。
OK例: 「これまでの経験を活かして、患者さんにより近い立場でケアに専念できる環境で働きたいと考えています」。前向きな理由に変換しましょう。
もう1つのNG例: 「准看護師で恥ずかしい」「資格がないから」と卑下する態度。准看護師は立派な国家資格です。
OK例に変換すると: 「准看護師として○年の経験があります。現場で培った実践力を活かして、御院の○○科で貢献したいです」。自信を持って経験をアピールすることが大切です。
@SOHOの教育訓練ガイドでは、正看護師の資格取得に使える教育訓練給付金の対象講座を紹介しています。費用面の不安がある方は参考にしてください。
准看護師制度の背景と今後
准看護師制度は1951年に始まりました。当時は看護師不足を補うために「短期間で養成できる看護職」として創設されたものです。日本看護協会は以前から准看護師制度の廃止を提言していますが、地方のクリニックや介護施設では准看護師に依存している現状があり、制度はまだ続いています。
准看護師として今後も働き続けるのか、正看護師を目指すのか。年齢やライフステージによって正解は変わります。ただ、年収差や昇進の壁を考えると、若いうちに正看護師を取っておくメリットは大きいです。
准看護師の通信制看護学校2年間「働きながら卒業する」現実的なスケジュール管理
正看護師資格取得を目指す准看護師にとって、最も現実的な選択は通信制看護学校への進学です。私が外科病棟で一緒に働いていた准看護師の先輩が、3度のチャレンジで通信制を卒業した経験から、両立の現実を共有します。
通信制看護学校の年間スケジュール
通信制看護学校(2年制)は、月1〜2回の登校日(土日)、週1〜2回のオンライン授業、月3〜5本のレポート提出、年4回の集中スクーリング(各5〜10日)、年1回の臨地実習(2〜3週間)で構成されます。
仕事との両立で最大の壁になるのは、年4回の集中スクーリングと年1回の臨地実習です。集中スクーリングは平日5〜10日連続で出席必須のため、職場の理解が不可欠。臨地実習は最低2週間連続で出勤できないため、有給休暇を計画的に温存する必要があります。
職場選びの3つの優先順位
通信制に通いながら働ける職場を選ぶ際、以下の優先順位で判断します。
最優先:スクーリング・実習期間の有給取得が確実な職場 クリニック・介護施設・健診センターなど、シフト融通の利く職場が最適です。逆に病棟看護師(特に夜勤あり)は、スクーリング期間の調整が困難で、両立が極めて厳しいです。
次点:通学距離の短い職場 スクーリング会場と職場・自宅の三角関係を最小化することで、移動時間を削減できます。スクーリング会場の近くに職場があれば、夕方からの勤務も可能になります。
最後:時短勤務・週4日勤務が可能な職場 学習時間を確保するため、週4日勤務(時短)の選択肢がある職場が理想です。給与は減りますが、卒業確率を最大化できます。
学習時間を確保する具体的な工夫
通信制の卒業者からよく聞くテクニックは、以下の通りです。 ・通勤時間に音声教材(YouTube解剖生理学講座、podcast)を聞く(往復1時間×週5日=週5時間) ・夜勤明けの仮眠後にレポート作成(週8〜10時間) ・スマホアプリ(クエスチョン・バンク、ナースフルなど)で通勤時間の問題演習 ・学習仲間とLINEグループで進捗共有・モチベーション維持
これらを継続することで、週20〜25時間の学習時間を確保し、2年で卒業を実現する准看護師が増えています。
学費と給付金の活用
通信制看護学校の学費は2年で約60〜100万円。専門実践教育訓練給付金を活用すれば、最大70%(上限168万円)が支給されます。
申請には、ハローワークでのキャリアコンサルティングが必要です。受講開始の1か月前までに申請を完了させ、講座修了後に追加給付(合格時の追加支給)まで含めて受け取るのがコツです。
准看護師として「正看護師にステップアップせずに高収入を実現」する3つのキャリア戦略
「正看護師資格を取らずに、准看護師のまま年収500万円以上を実現したい」という相談を多く受けます。実際、戦略次第で准看護師のままでも年収550〜650万円は十分に狙えます。具体的な3つの戦略を共有します。
戦略1:「美容クリニック」で歩合制給与を勝ち取る
美容クリニックは、准看護師でも採用される上に、施術件数に応じた歩合給制度が普及しています。基本給25〜30万円+歩合給で月収50〜80万円、年収600〜960万円を実現する准看護師も珍しくありません。
特に脱毛・ボトックス・ヒアルロン酸注入などの施術件数で歩合がつく職場は、人気の都心部クリニックでは月20〜30万円の歩合がつきます。湘南美容クリニック、品川美容外科、TCB東京中央美容外科などの大手チェーンが採用枠を持ちます。
求められるのは、医療スキルよりも接客力・リピート率・売上貢献度。看護経験5年以上+接客が得意な准看護師には、極めて有力な選択肢です。
戦略2:「企業看護師(産業看護師補助)」で安定高収入
製造業・大手企業の健康管理室で、産業医のサポートとして働く企業看護師。准看護師でも採用される企業があり、年収450〜600万円のレンジで、土日祝休み・残業ほぼなしの好条件です。
業務内容は、社員の健康診断結果フォロー、メンタル不調者の初期対応、職場巡視、健康教室の企画運営など。臨床現場のような夜勤・緊急対応がなく、ワークライフバランスが極めて良好です。
求人はindeed、Green、企業の採用ページで「企業看護師」「産業保健師補助」のキーワードで探せます。トヨタ自動車、ソフトバンク、リクルート、サントリーなど大手企業で採用実績があります。
戦略3:「訪問看護ステーション」での経験豊富シニア准看護師
訪問看護ステーションでは、ベテラン准看護師(経験10年以上)であれば、正看護師と同水準の給与で雇用されるケースが増えています。年収500〜650万円のレンジ。
訪問看護はオンコール対応が必要ですが、その分手当が手厚く、月収45〜55万円が標準。経験豊富な准看護師には特に重宝され、リーダー候補として処遇されます。
ただし、管理者ポジション(所長・サービス提供責任者)には正看護師資格が必要なケースが多いため、純粋な訪問看護師としてキャリアを完結させたい人に向きます。
准看護師として年収500万円以上を実現している層は全体の約20%で、その大半が「美容医療」「企業看護師」「訪問看護」「介護施設管理職」のいずれかの領域に特化している。一般病棟・クリニック勤務のままだと年収400〜450万円で頭打ちになるケースが多い。 出典: nurse.or.jp
准看護師の「副業・複業」で月収を10〜20万円上乗せする現実的な方法
正看護師資格取得や転職以外に、准看護師が今すぐできる収入アップ手段が「副業・複業」です。本業を維持しながら月10〜20万円の上乗せを実現する具体的な方法を共有します。
副業1:「派遣看護師」として土日のみスポット勤務
派遣看護師として、土日のみイベント救護・健診業務・介護施設応援などのスポット勤務を入れる方法。1日12,000〜25,000円が相場で、月4〜6回入れば月5〜15万円の副収入になります。
レバウェル看護派遣、MCナースネット、看護のお仕事派遣などのエージェントに登録するのが手軽な方法。准看護師でも応募可能なスポット案件は多数存在します。
副業2:「医療系ライター・監修」で在宅副業
准看護師の知見を活かして、医療系メディアの記事執筆・監修を行う副業。1記事3,000〜10,000円、監修1案件5,000〜15,000円が相場。月10件こなせば月3〜10万円の副収入になります。
ランサーズ、クラウドワークス、@SOHOで「看護師ライター」「医療記事監修」のキーワードで案件を探せます。最初は単価が低いですが、3〜6か月実績を積めば、月20〜30万円の副収入も可能です。
副業3:「健康相談・LINE相談」で個人ブランディング
X(旧Twitter)・Instagram・noteで健康情報を発信し、LINE公式アカウントで個人相談を有償提供する副業。月額1,000〜3,000円のサブスク制、もしくは1相談3,000〜5,000円のスポット制で運用します。
フォロワー1,000人で月3〜5万円、5,000人で月10〜20万円、10,000人で月30万円超の副収入が現実的です。半年〜1年の継続発信が必要ですが、長期的なストック収入になります。
副業4:「医療系YouTubeチャンネル」運営
YouTubeで看護師向け・一般向けの医療情報チャンネルを運営する副業。チャンネル登録者1,000人+総再生時間4,000時間で広告収益が発生し始め、登録者10,000人で月3〜10万円、50,000人で月30〜100万円の収益になります。
医療系YouTubeは情報の正確性が求められるため、現役看護師の発信は信頼性が高く評価されます。准看護師としての等身大の発信が、共感を呼びやすいニッチでもあります。
副業5:「ハンドメイド・手作り雑貨」販売
医療現場で必要なナースグッズ(ペンライトホルダー、ナースシューズ、ユニフォーム小物など)をハンドメイドで制作し、minneやCreemaで販売する副業。月3〜10万円の収入になり、医療現場での経験が直接活きます。
副業選びのポイント
副業を選ぶ際は、以下の3点を重視してください。
- 本業の勤務先の就業規則で副業が認められているか確認
- 本業の体力消耗を考慮し、週10時間以内に収まる副業を選ぶ
- 副業で得たスキル・人脈が、将来のキャリアに活きる方向性を選ぶ
私の結論はシンプルです。准看護師のキャリアは、「正看護師資格取得」という選択肢だけが正解ではありません。美容医療・企業看護師・訪問看護・副業・複業など、多様な選択肢を組み合わせることで、年収・働きやすさ・将来性のバランスを最適化できます。今日から1つでも行動を起こすことが、5年後・10年後の満足度を大きく左右します。
よくある質問
Q. 看護師の資格を活かして病院以外で働くやり方はありますか?
あります。保育園、介護施設、企業の医務室(産業看護師)、治験コーディネーター(CRC)、医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリストなど、多岐にわたります。また、前述の通りWebライターや監修者としての道もあります。
Q. 看護師から治験コーディネーターへ転職する際、年齢制限はありますか?
明確な年齢制限はありませんが、未経験からの挑戦であれば20代後半から30代前半が最も採用されやすい傾向にあります。臨床経験が3年以上あると評価が高まります。
Q. 看護師の勉強時間は1日どれくらい必要ですか?
新人看護師の場合、帰宅後に1時間〜2時間程度の復習を行うのが理想的とされています。ただし、毎日続けることが重要ですので、疲れている時は15分程度の振り返りだけでも効果があります。
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この記事を書いた人
松本 あゆみ
元看護師・医療系ライター
大学病院で看護師として8年間勤務。介護福祉士の資格も取得し、医療・介護両方の現場を知る立場から、ヘルスケア系の記事を執筆しています。
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