鍼灸師になるまでの道のり|必要な資格と、働きながら取る方法


この記事のポイント
- ✓鍼灸師の資格の取り方を
- ✓資格取得後の収入と将来性まで順番に整理します
鍼灸師の資格の取り方を調べ始めた方の多くは、二つのことを同時に抱えています。ひとつは「本当に自分にできるのか」という不安。もうひとつは「いまの生活を続けながら通えるのか」という現実的な心配です。大丈夫です。この二つは、順番に分けて考えれば必ず答えが出ます。
先にお伝えすると、鍼灸師になるには国家資格が必要で、そのためには決められた養成課程を修了する必要があります。近道はありません。ただ、社会人や子育て中の方が通える形は用意されています。この記事では、必要な資格の中身から、学校の選び方、費用の考え方、働きながら通う現実、試験までの流れ、そして資格を取ったあとの働き方まで、順を追って整理します。
鍼灸師という呼び名の中身は、二つの国家資格です
最初に、言葉を整理します。
鍼灸師という名前の国家資格は、実は存在しません。あるのは「はり師」と「きゅう師」という二つの資格です。この二つを両方持っている人を、まとめて鍼灸師と呼んでいます。求人票や学校の案内で鍼灸師と書かれているものは、ほぼこの二つを指しています。
養成校の多くは、この二つの受験資格をまとめて得られる課程を用意しています。ですから、学校に通って卒業すれば、はり師ときゅう師の両方の国家試験を受けられるのが一般的です。片方だけを取る人は多くありません。就職先が求めるのも、両方持っていることが前提の場合がほとんどです。
受験資格を得るには、高等学校を卒業しているなどの条件を満たしたうえで、認定された養成施設か大学で、決められた期間の課程を修めることが必要です。期間は3年以上とされており、最短でも3年かかります。この長さが、検討している方にとって最初の壁になります。
ここで大事なことを書きます。通信教育だけで受験資格が得られる仕組みは、用意されていません。理由は明快で、鍼と灸は人の体に直接施すものであり、実技と臨床の実習を通してしか身につかない部分があるからです。座学だけでは資格に届かない設計になっています。
なお、受験資格の要件や課程の内容は制度として定められており、改定されることがあります。ご自身が該当するかどうかは、必ず志望する学校と、厚生労働省や関係する公的な窓口で確認してください。私がここに書けるのは全体像までです。最終的な判断は、公式の情報で確かめてください。
学校の種類は三つ。生活に合わせて選ぶ
養成校には大きく三つの種類があります。
一つめが、専門学校の昼間部です。日中に授業があり、3年で卒業する形が中心です。学生生活に専念できるため、実技の練習時間を多く取れます。同級生と一緒に学ぶ時間が長いので、卒業後も相談できる関係ができやすいのが利点です。
二つめが、専門学校の夜間部です。夕方から夜にかけて授業が行われます。日中に働きながら通う方が多く在籍しています。社会人や子育てを終えた方にとって、現実的な選択肢はここになります。授業時間が凝縮されるぶん、自宅での復習が前提になります。
三つめが、大学です。4年制の大学で、鍼灸を学べる学部や学科があります。期間は長くなりますが、学士の学位が取れること、研究や関連分野の学びが広いことが特徴です。将来的に教育や研究の道を考える方には向いています。
選ぶときに見てほしいのは、通学の実現性です。案内に書かれた授業時間だけでなく、自宅からの移動時間を足して考えてください。夜間部で授業が終わるのが夜遅くになる場合、そこから片道1時間かかると、帰宅は深夜です。それを3年続けられるかどうかは、意志の強さではなく、生活の設計の問題です。
あわせて確認したいのが、臨床実習の時間帯です。授業は夜でも、実習が日中に組まれることがあります。仕事を休む必要が出てくるので、実習がいつ、どのくらいの期間あるのかを、入学前に必ず聞いてください。ここを確認せずに入学して、勤務先との調整で苦労する方がいます。
もうひとつ、国家試験に向けた支援の体制も見ておくといいです。補習があるか、模擬試験があるか、卒業後に不合格だった場合の支援があるか。学校によって差が出る部分です。合格率の数字だけを見るのではなく、どういう支援があるから合格しているのかまで聞いてください。
学校見学で、案内には載っていないことを確かめる
学校を選ぶときは、資料を取り寄せるだけで終わらせず、必ず足を運んでください。案内の紙面には書かれていないことが、行けば分かります。
見てほしいのは、まず実技室です。鍼や灸の練習をする部屋が、何人分の設備を持っているか。一台の設備を何人で使うのか。ここが窮屈な学校では、練習の時間が取り合いになります。技術は練習量で決まる部分が大きいので、設備の数は思っている以上に効いてきます。
次に、在校生の様子です。オープンキャンパスでは在校生が案内してくれることがあります。その方に、率直に聞いてみてください。「一日の勉強時間はどのくらいですか」「いちばん大変だったのはいつですか」。学校の職員から聞く説明と、在校生から聞く実感は、少し違うことがあります。両方を聞いておくと、入学後のずれが小さくなります。
三つめが、教員との距離です。分からないことを聞ける雰囲気があるかどうか。質問しづらい空気の学校では、つまずいたときに立て直せません。見学のときに一つでも質問をしてみて、その答え方を見てください。
四つめが、卒業後の進路の実際です。どういう就職先が多いのか、開業した卒業生はどのくらいいるのか。資格を取ったあとの姿が具体的に想像できるかどうかは、3年間を続けるうえで大きな支えになります。
そして、複数の学校を見てください。一校だけを見ると、それが標準だと思ってしまいます。二校、三校と見比べて初めて、違いが分かります。手間はかかりますが、3年間と大きな費用を預ける相手を選ぶ作業です。惜しむ場面ではありません。
似ている資格との違いを知っておく
体に触れる仕事の資格は、いくつかあります。名前が似ているので混同されやすく、進路を決める前に整理しておく価値があります。
柔道整復師は、骨折や脱臼、打撲、捻挫といった急な負傷への施術を担う国家資格です。整骨院や接骨院で働く方が多く、鍼灸師とは扱う対象も手技も異なります。両方の資格を持って働く方もいます。
あん摩マッサージ指圧師も国家資格で、手による施術を行います。鍼灸師と同じ養成校で、あわせて学べる課程が用意されていることがあります。三つの資格をまとめて取得する道もありますが、そのぶん在学期間や学費の負担が変わります。
理学療法士や作業療法士は、リハビリテーションを担う国家資格です。医師の指示のもとで機能の回復を目指す点が、鍼灸とは立ち位置が違います。養成課程も別です。
整体師やセラピストと呼ばれる仕事は、国家資格ではありません。ここは重要な違いなので、はっきり書いておきます。鍼灸は国家資格を持つ人だけが行える施術であり、資格なしに鍼を打つことはできません。逆に言えば、資格を取れば、資格がなければできない領域に立てるということです。3年という時間の意味は、ここにあります。
進路を迷っている方は、自分が何をしたいのかで選んでください。急な負傷に対応したいのか、体質や慢性的な不調に向き合いたいのか、機能の回復を支えたいのか。この問いに答えが出れば、選ぶ資格は自然に絞られます。迷っているうちは、それぞれの現場で働く方の話を聞いてみてください。案内の文章より、実際に働いている人の一日の話のほうが、判断の材料になります。
費用は、学費だけでは終わらない
お金の話をします。ここを曖昧にしたまま決めると、途中で苦しくなります。
学費は、学校の種類、地域、昼間か夜間かによって幅があります。ここで一つの数字を挙げて断定することは避けますが、3年分の総額を必ず自分で確認してください。確認するときは、入学金、授業料、実習費、施設設備費を分けて聞きます。案内の目立つところに書かれているのは授業料だけで、その他が別に必要な場合があります。
学費のほかに発生するものも挙げておきます。教科書と参考書。実技で使う鍼や灸の消耗品。白衣などの実習着。国家試験の受験料。そして、通学のための交通費です。3年間の交通費は、まとまった額になります。
費用の負担を軽くする仕組みについては、公的な支援制度が用意されている場合があります。教育訓練に関する給付や、奨学金の制度です。ただし、対象となる講座や条件は定められており、変わることもあります。自分が対象になるかどうかは、厚生労働省の案内やハローワーク、そして学校の窓口で確認してください。学校側は制度の利用について慣れていることが多く、聞けば教えてくれます。
そして、忘れられがちなのが「働ける時間が減る」という間接的な費用です。夜間部に通えば、これまで夜に働いていた分の収入がなくなります。授業のある日は残業ができません。この減少分を、3年分として見積もってください。学費だけを見て大丈夫だと判断し、生活費が足りなくなるというのが、いちばん避けたい形です。
こういうご相談を受けるとき、私は必ず、3年間の家計の見通しを紙に書いていただきます。書いてみると、思っていたより厳しい方も、意外といけそうだと分かる方もいます。どちらにしても、頭の中だけで考えているときより不安は減ります。数字にすると、恐れの正体が見えるからです。
働きながら目指すときに、先に決めておくこと
社会人や主婦の方が資格取得を目指すのは、珍しいことではありません。夜間部にはさまざまな年代の方が在籍しています。ただ、続けるためには、入学前に決めておくべきことがあります。
一つめが、家族との合意です。3年間、夜が不在になります。家事や育児の分担がどうなるのか、週末の勉強時間をどう確保するのか。始めてから話し合うと、途中で摩擦が生まれます。始める前に、具体的な曜日と時間で話しておいてください。「協力してね」という言葉だけでは、合意になりません。
二つめが、仕事の形です。いまの勤務先で夜間の通学を続けられるのか。残業が常態化している職場なら、勤務時間を変えられるかを相談する必要があります。相談しにくければ、通学に合わせて働き方を変えるという選択もあります。時間の融通が利く仕事に移る、勤務時間の短い形に変える。ここは3年という期間を前提に考えてください。
三つめが、休むときの基準です。仕事、学校、家庭の三つを回していると、必ずどこかで無理が出ます。全部を完璧にやろうとすると、体が先に音を上げます。あらかじめ「この状態になったら休む」という基準を自分で決めておいてください。眠れない日が続いたら休む。食欲が落ちたら予定を削る。基準を先に決めておくと、限界の手前で止まれます。
四つめが、続かなかったときの受け止め方です。途中で休学する方も、進路を変える方もいます。それは失敗ではありません。合わないと分かったことも、ひとつの答えです。この前提を持っておくと、追い詰められにくくなります。
そして、これは何度でもお伝えしたいのですが、一人で抱えないでください。同じ立場の同級生がいることは、3年間を乗り切るうえで大きな支えになります。授業のあと少し話す、分からないところを聞き合う。この積み重ねが、続ける力になります。
国家試験までに、どういう順番で学ぶのか
学ぶ内容の全体像を見ておくと、心の準備ができます。
最初に学ぶのは、体の仕組みです。解剖学と生理学が土台になります。骨、筋肉、神経、内臓がどこにあり、どう働くのか。ここは暗記の量が多く、多くの方が最初につまずくところです。ただ、この土台がないと、その先の学びがすべて曖昧になります。時間をかける価値があります。
次に、病気や体の不調についての学びが加わります。臨床医学の基礎、衛生や公衆衛生、関係する法律や制度。医療に関わる仕事である以上、守るべき決まりを知ることは必須です。
並行して、東洋医学の考え方を学びます。経絡や経穴、体質の見立て方など、西洋医学とは異なる体系です。二つの体系を同時に学ぶことになるので、頭の切り替えが必要になります。この二重構造が、鍼灸の学びの独特なところです。
そして実技です。鍼を扱う技術、灸を据える技術。最初は同級生同士で練習します。人の体に触れること、鍼を打つことに慣れるまでには時間がかかります。怖いと感じる方もいますが、それは自然な感覚です。
後半では臨床実習が入ります。実際の患者さんに接し、見立てから施術までの流れを経験します。ここで初めて、学んできたことがつながる感覚を得る方が多いです。
国家試験は、これらの科目から出題されます。合格率は年によって変動があり、ここで一つの数字を断定することはしません。ただ、養成校のカリキュラムは合格を前提に組まれています。授業に出て、復習を積み重ねた方が受かる試験です。奇をてらった対策より、基礎の積み上げが効きます。
国家試験の準備で、つまずきやすいところ
試験対策について、相談を受けていて気づく傾向を挙げます。
いちばん多いのが、暗記の方法で消耗している状態です。用語を書き写すだけの勉強を長時間続けて、覚えられないと落ち込む。書く作業は手が動いているので勉強した気持ちになりますが、記憶には結びつきにくいやり方です。問題を解いて、間違えたところだけを確認する。この往復のほうが、同じ時間でも定着します。
次に多いのが、苦手科目を後回しにして直前に破綻する形です。解剖学や生理学のように土台になる科目は、後半の科目の理解に直結します。苦手なまま放置すると、後半でさらに苦しくなります。早い時期に手を打ってください。
三つめが、一人で抱えることです。分からないところを聞かずに溜め込み、範囲が広がってから手がつけられなくなる。同級生に聞く、教員に聞く。この一手間を惜しまない方のほうが、結果として楽に進んでいます。
そして、直前期の過ごし方です。試験前に生活のリズムを崩すと、当日に力が出ません。新しい教材に手を出すより、これまで解いた問題を確認するほうが確実です。不安になると新しいものに手を伸ばしたくなりますが、それは不安を埋める行動であって、点数を上げる行動ではありません。
資格を取ったあと、収入はどう見えるか
将来の見通しについて、よく引用される整理があります。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、鍼灸師の平均年収は約459万3,000円であり、就職先・勤務形態・経験年数によって300万円台から開業後は1,000万円超まで幅があります。 出典: heisei-iryo-gakuen.ac.jp
この整理で注目したいのは、平均の数字そのものより、幅が大きいという点です。同じ資格を持っていても、どこで働くか、どういう形で働くかによって、収入は大きく変わります。
理由は三つあります。第一に、勤務先の業態です。治療院、整骨院、医療機関、介護施設、スポーツ関連。それぞれ収入の構造が違います。第二に、経験年数です。多くの職種と同じく、最初の数年は低い位置から始まります。第三に、雇用されるか、自分で開業するかという違いです。開業すれば上限はなくなりますが、下限もなくなります。
資格を取った直後の方が知っておくべきなのは、最初の数年は学びの期間だということです。学校を出ただけでは、患者さんを任せてもらえる技術には届きません。現場で経験を積む数年間があって、そこから収入が動き始めます。ここを短く見積もると、思ったより増えないという落胆につながります。
そして、収入だけで職場を選ばないでください。最初の職場で何を学べるかが、その後の10年を左右します。教えてもらえる環境、症例の幅、先輩がいるかどうか。この三つは、目先の給与より重い判断材料です。数年後に転職するとき、評価されるのは前職の給与額ではなく、そこで何を経験したかです。
活躍できる場所と、これからの見通し
鍼灸師の資格が使える場所は、思っているより広いです。
もっとも多いのが、鍼灸院や治療院、整骨院での勤務です。次に、訪問という形があります。自宅や施設に出向いて施術を行うもので、外出が難しい方を対象とします。介護分野との接点が大きい領域です。
医療機関で、医師と連携しながら施術に関わる形もあります。数は限られますが、東洋医学に取り組む診療科では鍼灸の役割があります。介護施設、スポーツチーム、フィットネス施設、企業の健康管理部門も選択肢に入ります。美容の分野で鍼を使うサービスもあります。
そして、独立開業という道があります。鍼灸院は比較的小さな規模から始められる業態です。ただし、開業には施術以外の仕事がついてきます。集客、経理、届出や手続き。開業に関する制度上の要件は定められているので、その段階になったら、保健所など公的な窓口で確認してください。
将来性については、需要と供給を分けて見るのが正確です。有資格者は増えており、治療院の数も多い状態です。この面だけを見れば競争は厳しい市場です。一方、高齢化が進む社会では、体の機能を保ちたいという需要が増えています。痛みを取ることだけでなく、動ける状態を維持する需要へと重心が移りつつあります。訪問や介護予防の領域に求人が出続けているのは、この移動の表れです。
つまり、資格そのものに将来性があるかを問うより、どの領域に立つかを考えたほうが、判断として役に立ちます。
年代別に、始めるときの考え方が変わる
始める年齢によって、押さえるべき点が違います。よくご相談を受ける三つの層について書きます。
20代で目指す方は、時間という資産を持っています。卒業後に経験を積む期間を長く取れるので、最初の職場は給与よりも学べる量で選ぶ判断がしやすい立場です。焦って条件の良い求人に飛びつくより、症例の幅がある職場を選ぶほうが、10年後の差になります。
30代から40代で目指す方は、多くの場合、いまの仕事を続けながらの挑戦になります。この層で大事なのは、これまでの経験を捨てないことです。接客の経験、営業の経験、事務の経験。どれも、資格を取ったあとに効いてきます。予約管理、患者さんへの説明、書類の処理。施術以外の場面で、前職の経験がそのまま使えます。ゼロからのやり直しだと考えると気持ちが重くなりますが、実際には積み増しです。
50代で目指す方も、実際にいらっしゃいます。学ぶことに年齢の制限はありません。ただ、卒業後に働ける年数から逆算して、どの働き方を目指すのかを先に決めておくと、進路が定まります。雇われて経験を積むのか、これまでの人脈を活かして小さく開業するのか。決めておくと、学校で何に力を入れるかも変わってきます。
どの年代にも共通して言えるのは、体力の見積もりを甘くしないことです。3年間、授業と実技と復習が続きます。睡眠を削って乗り切る計画は、途中で破綻します。無理のない予定を組んでください。
3年を走り切るための、心の準備
ここは、カウンセリングの現場で感じていることをお伝えします。
途中で辛くなる時期は、だいたい決まっています。ひとつは、入学して数か月後です。暗記の量に圧倒され、自分の記憶力を疑い始めます。もうひとつは、2年目の中盤です。生活のリズムが固定され、終わりが遠く感じられる時期です。
この時期を乗り越えた方に共通しているのは、大きな目標ではなく、小さな区切りを持っていたことです。今週の範囲を終える、この科目の再試を回避する。そのくらいの短い目標を置いていた方のほうが、続いています。3年後の自分を毎日思い描くのは、実は消耗します。
もうひとつ、比べないことです。同級生には、若い方も、医療の経験がある方もいます。覚えるのが早い人を見て焦る気持ちは自然ですが、比較は不安を増やすだけで、力にはなりません。比べるなら、先週の自分と比べてください。
そして、疲れているときに進路を考えないでください。夜遅くに「自分には向いていないのでは」と考え始めたら、その日は寝る。判断は、休んだあとにする。これは、私がご相談を受けるときに必ずお伝えしていることです。疲労は、判断を実際より暗いほうへ引っ張ります。
学びながら、体を使わない収入の柱も持っておく
もうひとつ、お伝えしておきたいことがあります。学びの期間中、そして資格を取ったあとも、体を使わずにできる仕事を細く持っておくと、生活が安定します。
理由は二つあります。学生の期間は収入が減ること。そして、鍼灸の仕事そのものが、自分の体と手が資本であることです。手首や腰を痛めれば収入に直結します。細くていいので、別の柱があると安心です。
在宅でできる仕事の幅は、いま広がっています。たとえば、企業が業務にAIをどう取り入れるかを支援する仕事があります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事は、開発の技術がなくても、現場の業務を知っている人の視点が求められる領域です。
技術寄りに寄せるなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように、AIの活用と集客、情報の守り方が交差する案件もあります。作る側に回りたい方には、アプリケーション開発のお仕事で、業務システムやアプリを作る仕事の入口が整理されています。
報酬の水準を先に見ておくと、判断が早くなります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場には開発職の目安が、著述家,記者,編集者の年収・単価相場には書く仕事の目安がまとまっています。書く仕事は体への負担がほとんどなく、学んだことを言葉にする練習にもなります。
資格から入るのも手です。ビジネス文書検定は報告書や連絡文の型を整えるもので、施術記録や連絡文を書く場面でも役に立ちます。技術側ならCCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワークの資格が土台になります。
在宅の仕事では、打ち合わせの環境が最初の関門です。Zoom・Teams・Google Meetを比較|フリーランスの打ち合わせに最適なのは?【2026年版】では、三つのオンライン会議ツールの違いが比較されています。慣れておくと、選べる仕事が広がります。
市場を長く見てきた立場からの観察
在宅ワークとフリーランスの市場を20年ほど運営してきた立場から、二つ書き添えます。
運営者として見てきた限りでは、資格を取ったあとに長く続く人は、技術だけで勝負していません。相手の話を聞く時間を惜しまない人、次に何をするかを分かりやすく伝える人が、指名され続けています。鍼灸のように体に触れる仕事では、この信頼が特に重く効きます。学校で学ぶ技術と同じくらい、伝える力を育てておくと、資格を取ったあとの数年が違ってきます。
もうひとつは、額面と手取りの話です。仲介が入ると、依頼者が出した予算の一部は仲介の対価になります。それ自体は正当なものです。ただ、直接取引ができる領域では、同じ予算で依頼者はより多く頼めますし、受け手の手元に残る額は厚くなります。手数料0%という条件が意味するのは、大きく稼げるということではなく、同じ仕事をしたときに残る額が違うという質の話です。
鍼灸師になる道のりは、決して短くありません。3年という時間と、まとまった費用がかかります。ただ、この資格は取り上げられることのない、自分の中に残る力です。焦らず、家族と話し、お金の見通しを立てて、それから決めてください。決めるのは、確かめたあとで構いません。学校の案内を取り寄せる、見学に行く、家計を書き出す。この三つを終えたころには、進むかどうかの答えは自分の中に出ています。
よくある質問
Q. 鍼灸師になるには、どのくらいの期間がかかりますか?
認定された養成施設か大学で、決められた課程を修める必要があり、期間は3年以上とされています。大学の場合は4年です。卒業後に、はり師ときゅう師の国家試験を受けます。要件は制度で定められており改定されることがあるため、志望する学校と公的な窓口で最新の内容を確認してください。
Q. 働きながらでも資格は取れますか?
専門学校の夜間部に通う形が現実的な選択肢です。日中に働きながら通う方が多く在籍しています。ただし、臨床実習が日中に組まれることがあるため、実習の時期と期間を入学前に必ず確認してください。あわせて、家族との分担、勤務先との調整、休むときの基準を先に決めておくと続けやすくなります。
Q. 通信教育だけで鍼灸師の資格は取れますか?
取れません。鍼と灸は人の体に直接施すものであり、実技と臨床の実習が課程に含まれるためです。座学のみで受験資格が得られる仕組みは用意されていません。通学が前提になるので、自宅から学校までの移動時間を含めて、3年間続けられるかを検討してください。
Q. 資格を取ったあと、収入はどのくらいになりますか?
就職先、勤務形態、経験年数によって幅が大きく、開業するかどうかでも変わります。共通して言えるのは、最初の数年は現場で経験を積む期間になるということです。学校を出ただけでは任せてもらえる技術に届かないため、最初の職場は給与より、教えてもらえる環境かどうかで選ぶことをおすすめします。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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