リーンスタートアップとは|小さく試して学ぶ事業の進め方


この記事のポイント
- ✓リーンスタートアップとは
- ✓仮説を小さく形にして試し
- ✓顧客の反応から学んで事業を育てる進め方です
リーンスタートアップとは、新しい事業や商品を、最初から完成品として作り込むのではなく、仮説を小さく形にして試し、顧客の反応から学んで改善を重ねていく事業の進め方です。時間とお金をかけて作ったのに誰にも使われなかった、という失敗を避けるための考え方として、起業家だけでなく、会社の新規事業の担当者や、副業で小さな商売を始める人にも広く知られています。
この記事では、リーンスタートアップの考え方の成り立ち、構築・計測・学習という基本の流れ、MVPと呼ばれる最小限の試作品の種類と作り方、仮説の立て方、測る指標の選び方、続けるか方向を変えるかの判断を順に説明します。後半では、メリットと注意点、個人の副業や会社の新規事業での使い方を具体例とともに整理します。試すことと担当と期限をチームで共有する道具として、プロジェクト管理のPinatecaにも触れます。
リーンスタートアップの考え方と成り立ち
リーンスタートアップという言葉を広めたのは、アメリカの起業家のエリック・リースです。自らの起業の経験をもとにまとめた考え方を、2011年に書籍として出版しました。百科事典のサイトでは、その成り立ちが次のように説明されています。
起業家のエリック・リース(英語版)は紆余曲折を経てインターネットのコミュニケーションサイトを運営するベンチャーの立ち上げに成功する。その体験を基に起業の手法論をまとめている時に、トヨタ生産方式を学び、自身の手法とトヨタ生産方式の「ムダ取り」との間に共通点を見出した。リーンスタートアップの「リーン」にはトヨタ生産方式の「ムダ取り」の影響もあるものと考えられている[1]。2011年に出版された『The Lean Startup』は、大きな反響を呼び、アメリカでベストセラーとなった[1]。 出典: ja.wikipedia.org
リーンとは、英語で「ぜい肉のない」「引き締まった」という意味です。日本の自動車の会社の生産の仕組みが、海外で「リーン生産方式」と呼ばれて研究されてきたことから、無駄を省く考え方を表す言葉として使われるようになりました。リーンスタートアップでいう無駄とは、誰も求めていないものを作るために使った時間とお金のことです。
従来の事業の立ち上げでは、市場を調べ、綿密な事業計画を立て、資金を集め、商品を完成させてから売り出すのが一般的でした。この進め方は、顧客が何を求めているかが分かっている場合にはうまくいきます。しかし、まったく新しい商品やサービスでは、顧客が本当にそれを求めているかは、出してみるまで分かりません。完成までに1年かけた商品が、出してみたら誰にも買われなかったとすれば、その1年は丸ごと無駄になります。
リーンスタートアップは、この問題に対して「完成させる前に、小さく出して確かめる」という答えを示しました。計画の正しさを机の上で詰めるのではなく、顧客の実際の行動で確かめる。その確かめる回数を増やすほど、成功する事業にたどり着く確率が高まる、という考え方です。
基本の流れ。構築、計測、学習
リーンスタートアップの中心にあるのは、構築、計測、学習という3つの段階を短い期間で繰り返す流れです。
| 段階 | すること | 例 |
|---|---|---|
| 構築 | 仮説を確かめるための最小限のものを作る | 申し込みの受付だけができる紹介ページを作る |
| 計測 | 顧客の反応を数字で測る | ページを見た人のうち、何人が申し込んだか |
| 学習 | 結果から、仮説が正しかったかを判断する | 申し込みが想定の半分なら、価格か内容を見直す |
この3つを1周して終わりではありません。学習の結果をもとに、次の仮説を立て、また小さく作って試します。この繰り返しの速さが、リーンスタートアップの成果を左右します。1周に半年かかるなら、1年で2回しか学べません。1周を2週間にできれば、1年で20回以上学べます。
ここで大切なのは、3つの段階を考える順番です。作る順番は構築、計測、学習ですが、計画を立てるときは逆から考えます。まず「何を学びたいのか」を決め、次に「それを知るために何を測ればよいのか」を決め、最後に「それを測るために最低限何を作ればよいのか」を決めます。学びたいことが決まらないまま作り始めると、作ったものを出しても何を判断すればよいかが分からなくなります。
働く場所を提供する会社の解説でも、最初に全力を注ぐのではなく、小さく試すことが強調されています。
スタートアップでは実際の事業が開始されていないことがほとんどのため、仮説がうまくいくかどうかはわかりません。そのため、最初から全力投球するのではなく、まずはMVPで顧客の反応を計測することがリーンスタートアップの重要な戦略になります。 出典: wework.co.jp
MVPとは何か。種類と作り方
MVPは「Minimum Viable Product」の略で、日本語では実用最小限の製品と訳されます。仮説を確かめるのに必要な最低限の機能だけを備えた、試作品のことです。
MVPという言葉から、機能を減らした簡易版の商品を思い浮かべる人が多いのですが、MVPの形は商品の簡易版に限りません。確かめたいことによって、さまざまな形があります。
紹介ページだけのMVP
商品やサービスをまだ作らずに、内容と価格を説明したページだけを作り、申し込みや問い合わせの数を測る方法です。「この内容で、この価格なら、申し込む人がいるか」を確かめられます。申し込みがあった人には、開始の時期が決まったら連絡することを伝え、実際に作るかどうかを判断します。この方法を使うときは、まだ提供していないことを申し込みの前に明示し、誤解を招かないようにします。
手作業で代わりに行うMVP
本来はシステムで自動化する予定のサービスを、最初は人が手作業で行う方法です。たとえば、好みに合わせて献立を提案するサービスを作りたいなら、最初はアプリを作らずに、申し込んだ人に聞き取りをして、手作業で献立を送ります。顧客がこのサービスに価値を感じるかどうかを、開発に費用をかける前に確かめられます。
見た目だけのMVP
画面の見た目だけを作り、裏側の仕組みは作らない方法です。利用者には完成したサービスのように見えますが、実際には裏で人が処理しています。利用者がどの画面でつまずくか、どの機能を使うかを確かめるのに向いています。
単機能のMVP
作りたい商品の中で、もっとも価値がありそうな機能を1つだけ作って出す方法です。たとえば、家計の管理のアプリなら、最初はレシートを撮影して支出を記録する機能だけを作ります。その1つの機能を繰り返し使う人がいるかどうかで、商品の核となる価値を確かめます。
事前の予約を受け付けるMVP
商品を作る前に、予約や先払いを受け付ける方法です。お金を払うという行動は、「欲しい」というアンケートの回答よりもずっと強い証拠になります。ただし、お金を受け取る以上は、商品を約束どおりに届ける責任があります。届けられなかった場合の返金の扱いを、受け付ける前に決めて明示しておく必要があります。
MVPを作るときの注意
MVPは「最小限」でも、「確かめたいことを確かめられる」水準は満たしていなければなりません。品質が低すぎるMVPを出すと、顧客は商品の価値ではなく品質の低さに反応して離れていきます。その結果を見て「この商品は求められていない」と判断すると、本来は価値のあった考えを捨ててしまうことになります。何を確かめるためのMVPなのかを最初に決め、その確かめに影響しない部分だけを省くのがこつです。
仮説の立て方
リーンスタートアップでは、事業の計画を「確かめるべき仮説の集まり」として考えます。仮説とは、まだ確かめていないが、正しいと考えている予想のことです。
3つの仮説に分ける
事業の仮説は、大きく次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 顧客の仮説:誰が、この商品やサービスを必要としているのか
- 課題の仮説:その人は、何に困っているのか。その困りごとはお金を払ってでも解決したいほど大きいのか
- 解決策の仮説:自分たちの商品やサービスで、その困りごとを解決できるのか
この3つは、上から順に確かめていきます。顧客と課題の仮説が外れているのに、解決策の出来栄えを磨いても意味がありません。多くの失敗は、課題の仮説を確かめないまま、解決策を作り込んでしまうことから起きます。
仮説を文章にする
仮説は、頭の中で考えるだけでなく、確かめられる形の文章に書き出します。書き方の型の一例を示します。
「在宅で働く子育て中の人は、保育園の送り迎えの前後に仕事の段取りを考える時間がなく困っている。この人たちに、15分で翌日の段取りを組める方法を教える月額1,000円の講座を案内すれば、紹介ページを見た人の3%が申し込む。」
この文章には、顧客、課題、解決策、そして確かめるための数字が入っています。数字が入っていると、試した後に仮説が正しかったかどうかを判断できます。
危うい仮説から確かめる
仮説はたくさん出てきますが、全部を一度に確かめることはできません。優先して確かめるのは、「外れていたら事業が成り立たない」仮説で、しかも「まだ確かめる材料がほとんどない」仮説です。たとえば、「そもそもこの困りごとを持つ人が十分にいるか」という仮説が外れていれば、ほかの仮説がすべて正しくても事業は成り立ちません。こうした仮説から先に確かめます。反対に、外れても後から直しやすい仮説、たとえば画面の色や案内の文章の言い回しは、後回しにしてかまいません。
顧客への聞き取りの進め方
顧客と課題の仮説を確かめるもっとも手軽な方法は、想定する顧客に直接話を聞くことです。MVPを作る前の段階でも、聞き取りだけで多くのことが分かります。
誰に聞くか
聞き取りの相手は、仮説で想定した顧客の条件に当てはまる人です。家族や親しい友人は、気をつかって良い答えを返しがちなので、できれば条件に当てはまる知人の知人や、関連する集まりで知り合った人に頼みます。まずは5人から10人程度に聞くだけでも、繰り返し出てくる困りごとが見えてきます。
何を聞くか
聞き取りで大切なのは、自分の考えた解決策を説明して感想を求めるのではなく、相手のふだんの行動と困りごとを聞くことです。
- その作業を、ふだんどのように行っているか
- その作業で、いちばん時間がかかったり、面倒に感じたりするのはどこか
- その困りごとを解決するために、今何か工夫をしているか。お金を払っているものはあるか
- 最後にその困りごとに直面したのは、いつ、どのような場面だったか
「こういう商品があったら使いますか」と聞くと、多くの人は「使うと思います」と答えます。しかし、その答えは実際の行動とは一致しないことがよくあります。過去の具体的な行動を聞くほうが、困りごとの大きさを正しくつかめます。とくに、すでにお金や時間を使って工夫している人は、その困りごとを本当に解決したいと考えている人です。
聞いた内容を記録する
聞き取りの内容は、その日のうちに記録します。相手の言葉をできるだけそのまま書き残しておくと、後で紹介ページの文章を考えるときに、顧客に響く言葉の手がかりになります。複数の人から同じ困りごとが出てきたら、その困りごとに印を付けておき、次に確かめる仮説の候補にします。
事業の仮説を1枚に整理する
仮説が増えてくると、全体の見通しが悪くなります。事業の仮説を1枚の紙に整理する方法として、リーンキャンバスと呼ばれる書式がよく使われます。1枚の紙をいくつかの枠に分け、それぞれの枠に仮説を短く書き込むものです。
主な枠には、次のようなものがあります。
- 顧客:誰の困りごとを解決するのか
- 課題:その人が困っていることの上位3つ
- 解決策:課題ごとの解決の方法
- 独自の価値:ほかの方法ではなく、これを選ぶ理由を一言で
- 売上の仕組み:誰から、どのようにお金を受け取るのか
- 費用:事業を続けるために何にお金がかかるのか
- 測る指標:うまくいっているかを何で確かめるのか
- 顧客に届ける経路:顧客にどうやって知ってもらい、届けるのか
- 真似されにくい強み:ほかの人がすぐには真似できないもの
書き込んだ内容は、すべてまだ確かめていない仮説です。確かめられた枠には印を付け、外れた枠は書き直していきます。1枚に収まっているので、チームの中で「今どの仮説を確かめているのか」を共有しやすく、方向を変えたときに何が変わったのかも一目で分かります。
何を測るか。行動の指標と見せかけの指標
計測の段階では、何を測るかが学びの質を決めます。
見せかけの指標に注意する
ページを見た人の数、登録した人の総数、SNSでの反応の数といった数字は、増えていると成果が出ているように見えます。しかし、こうした数字は広告を出せば増えますし、事業がうまくいっているかどうかを正しく表していないことがあります。こうした数字は、見せかけの指標と呼ばれることがあります。
行動と継続を測る
リーンスタートアップで重視するのは、顧客の実際の行動を表す数字です。
- 紹介ページを見た人のうち、申し込んだ人の割合
- 申し込んだ人のうち、実際に使い始めた人の割合
- 使い始めた人のうち、1か月後も使い続けている人の割合
- 使っている人のうち、お金を払った人の割合
- 使っている人のうち、知人に勧めた人の割合
割合で測ると、試した人数が少なくても傾向をつかみやすくなります。とくに、使い続けている人の割合は、商品の価値を表す大切な数字です。最初に多くの人が登録しても、すぐに使わなくなるなら、商品はまだ顧客の困りごとを解決できていません。
数字と一緒に声を集める
数字だけでは、なぜその結果になったのかは分かりません。申し込まなかった人、使うのをやめた人に話を聞くと、数字の裏にある理由が見えてきます。数人に話を聞くだけでも、次の仮説を立てる大きな手がかりになります。
たとえば、申し込みの割合は高いのに、使い始めた人の割合が低い場合は、申し込みの後の手順に原因がある可能性があります。登録の手順が長い、使い方の案内が分かりにくい、といった理由です。逆に、使い始めた人の割合は高いのに、1か月後に使い続けている人の割合が低い場合は、商品そのものの価値がまだ足りていないと考えられます。数字の落ち方を段階ごとに見ると、どこを直すべきかが分かります。
続けるか、方向を変えるか
学習の段階では、試した結果をもとに、今の方向で続けるか、方向を変えるかを判断します。方向を変えることを、英語で体の軸足を回すことを意味するピボットと呼びます。
判断の基準を先に決める
続けるか方向を変えるかの判断は、試す前に基準を決めておきます。「申し込みの割合が3%以上なら続ける、1%未満なら方向を変える、その間なら内容を直してもう一度試す」のように決めておけば、結果を見たときに迷いません。基準を決めずに試すと、結果が悪くても「もう少し続ければよくなるはず」と考えて、判断を先延ばしにしがちです。
方向の変え方の例
方向を変えるといっても、すべてを捨てるわけではありません。確かめた仮説のうち、正しかった部分は残し、外れた部分だけを変えます。
- 顧客を変える:個人向けに考えていた商品を、会社向けに出し直す
- 課題を変える:想定していた困りごとより、話を聞く中で見えた別の困りごとに焦点を移す
- 機能を絞る:多くの機能のうち、よく使われている1つの機能だけを商品の中心にする
- 売り方を変える:買い切りで売る予定だったものを、月額の料金で提供する
方向を変えることは、失敗を認めることではなく、学んだことを生かす前向きな判断です。早く方向を変えられるほど、使える時間とお金を残したまま、次の試みに移れます。
1周の期間を短くする工夫
構築、計測、学習の1周を短くするほど、学ぶ回数は増えます。期間を短くするための工夫を挙げます。
- 1回に確かめる仮説を1つに絞る。複数の仮説を同時に確かめようとすると、結果が出ても何が効いたのか分からなくなります
- 期限を先に決める。「2週間で結果を判断する」と決めてから、その期間で作れる最小限のMVPを考えます
- 既にある道具を使う。紹介ページや申し込みの受付は、新しく作らなくても、既存のサービスで十分に用意できることが多くあります
- 判断の会議を定例にする。毎週決まった曜日に結果を確かめる場を設けておけば、判断が先延ばしになりません
期間を短くすると、1回あたりの試みは小さくなります。小さすぎて物足りなく感じるかもしれませんが、小さな学びを数多く積み重ねるほうが、大きな試みを年に1回行うよりも、事業の方向を正しく定めやすくなります。
リーンスタートアップのメリット
リーンスタートアップには、次のようなメリットがあります。
- 無駄な投資を減らせる。求められていないものに時間とお金をかける前に、それを知ることができます
- 失敗の痛手が小さくなる。小さく試すので、外れても失うものが少なく済みます
- 顧客の本当の困りごとに近づける。机の上の想像ではなく、実際の行動と声から学べます
- 判断が速くなる。基準を決めて試すので、続けるかやめるかを早く決められます
- 少ない資金でも始められる。最初から大きな設備や開発の費用をかけずに、事業の芽を確かめられます
とくに、資金や人手に限りがある個人や小さな会社にとって、少ない元手で何度も試せることは大きな利点です。
リーンスタートアップの注意点
一方で、リーンスタートアップには向いていない場面や、使い方を誤りやすい点もあります。
小さく試せない事業もある
医療や金融、食品のように、法令の決まりや安全の基準を満たさなければ提供できない事業では、品質を落とした試作品を顧客に出すことはできません。こうした分野では、許可や届出が必要かどうかを所管の役所で確かめたうえで、顧客の課題の聞き取りや、紹介ページによる関心の確かめ方など、品質や安全に関わらない部分から試していきます。
ブランドを傷つけるおそれがある
すでに名前の知られた会社が、未完成の試作品を自社の名前で出すと、品質への信頼を損なうことがあります。会社の新規事業で試す場合は、別の名前で出す、対象の顧客を限る、試験的な提供であることを明示するといった工夫が必要です。
測り方を誤ると、誤った学びになる
試した人数が少なすぎる、測る期間が短すぎる、たまたま季節の要因で反応がよかった、といった理由で、結果を読み違えることがあります。1回の結果だけで大きな判断をせず、同じ仮説を条件を変えて確かめることも大切です。
小さく試すことが目的になってしまう
試すことばかりを繰り返し、いつまでも本格的な商品を作らない、という状態に陥ることもあります。仮説が十分に確かめられたら、次は品質を高めて本格的に提供する段階に移ります。どの段階で本格的な投資に切り替えるかも、最初に基準を決めておきます。
個人の副業や小さな商売での使い方
リーンスタートアップは、大きな資金を集めるスタートアップだけのものではありません。個人が副業で小さな商売を始めるときにも、そのまま使えます。
オンライン講座を始める例
たとえば、自分の得意な表計算ソフトの使い方を教えるオンライン講座を始めたいとします。いきなり10回分の動画を撮影して販売するのではなく、次のように進めます。
- 仮説を書く:「事務の仕事をしている人は、表計算ソフトの集計の作業に時間がかかって困っている。90分の少人数の講座を3,000円で案内すれば、案内を見た人の5%が申し込む」
- MVPを作る:講座の内容と日時と価格を書いた申し込みのページを作る。講座の動画はまだ作らない
- 計測する:知人や仕事の仲間、SNSで案内し、見た人の数と申し込みの数を測る
- 学習する:申し込みが想定より少なければ、申し込まなかった人に理由を聞く。価格なのか、内容なのか、日時なのか
- 次を試す:聞き取りをもとに、内容や価格を直して、もう一度案内する
申し込みがあれば、実際にオンラインで講座を開きます。受けた人の感想を聞き、繰り返し受けたいか、知人に勧めたいかを確かめます。その結果を見てから、録画の講座を作るかどうかを決めれば、売れない動画を作る心配はなくなります。
手作りの品を売る例
手作りの品を売る場合も、最初から多くの在庫を作る必要はありません。少数を作って出品し、どの品がよく見られ、どの品が売れたかを確かめます。売れた品の買い手から感想を聞き、次に作る品を決めます。このように、売れた結果を見ながら作る量と種類を決めていけば、売れ残りの在庫を抱える心配が小さくなります。
副業で試すときの注意
副業で事業を試す場合でも、売上が出れば税金の申告が必要になることがあります。お金を受け取る取引では、表示の決まりなど、守るべき法律もあります。どのような手続きが必要かは、事業の内容と金額で変わるため、税務署や所管の窓口の案内で確かめてください。
会社の新規事業での使い方
会社の中で新しい事業を立ち上げる場合にも、リーンスタートアップの考え方は役立ちます。ただし、会社ならではの難しさもあります。
会社では、新しい事業に予算をつけるために、事業計画の承認が必要になるのが一般的です。ところが、リーンスタートアップでは、最初の計画は仮説の集まりにすぎず、試すたびに変わります。この食い違いを埋めるには、最初から大きな予算を求めるのではなく、「仮説を確かめるための小さな予算」と「確かめられたら次の段階に進むための基準」をセットで承認してもらう方法があります。段階ごとに予算を出す形にすると、会社としての損失を限りながら、試す自由を確保できます。
また、会社の新規事業の担当者は、既存の事業と同じ物差しで評価されがちです。売上や利益の数字だけで評価されると、学ぶための試みが「失敗」と見なされてしまいます。新規事業の初めの段階では、「何を確かめ、何を学んだか」を成果として評価する仕組みを、上司や経営の側と最初に合意しておくことが大切です。
試すことの一覧をチームで管理する
リーンスタートアップを複数の人で進めると、「どの仮説を、誰が、いつまでに、どの方法で確かめているのか」が分からなくなりがちです。試した結果と学んだことが記録に残っていないと、同じことを二度試したり、以前の学びを忘れて同じ失敗を繰り返したりします。
最初は、共有のスプレッドシートに「仮説」「確かめ方」「判断の基準」「担当」「期限」「結果」「学んだこと」の列を作るだけで十分です。仮説ごとに1行を使い、試し終えたら結果と学んだことを書き込みます。この表が、そのまま事業の学びの記録になります。
試すことが増え、複数の仮説を並行して確かめるようになったら、作業ごとに担当と期限と状況を共有できるプロジェクト管理の道具が役立ちます。選択肢の1つがPinatecaです。公式の案内によると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料のプランから使え、5人までのチームなら期限なしで無料です。カンバンのボードに「次に確かめる」「確かめ中」「結果の判断」「学び」といった列を作り、仮説を1枚ずつカードにして動かせば、どの仮説がどの段階にあるかを一目で確かめられます。カードには判断の基準や結果といった項目をカスタムフィールドとして追加でき、カードごとのコメントに話し合いの経緯を残せます。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
小さく試す人が仕事を広げていく
フリーランスと在宅ワークの仲介を20年あまり続けてきた運営者として見てきた限りでは、個人で仕事の幅を広げていく人は、新しいことを小さく試すのが上手です。新しい分野の仕事をいきなり大きく受けるのではなく、小さな依頼で試し、依頼主の反応を見てから本格的に取り組む。その繰り返しの中で、自分に向いた仕事と、求められている仕事が重なる場所を見つけていきます。リーンスタートアップの考え方は、個人の働き方そのものにも当てはまります。
直接の取引では、この小さな試みがしやすくなります。仲介の手数料がかからない取引は、依頼する側が同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。小さな依頼から始めて、お互いの相性を確かめながら取引を広げていけるのは、直接の取引の強みです。
リーンスタートアップの考え方を生かせる仕事には、いくつかの方向があります。新しいサービスを試すための画面やアプリを短い期間で作る仕事は、アプリケーション開発のお仕事で紹介しています。企業の新規事業にAIを取り入れる支援をする仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で確かめられます。
技術の担当者がいないスタートアップでは、外部の専門家に技術の判断を任せることもあります。その費用の考え方は外部CTOの費用相場と役割|スタートアップを加速させる技術顧問の活用術で整理しています。試して形になった技術やアイデアを守る手段として特許を考える場合の費用の支援は、スタートアップの特許出願補助金2026|知財戦略の費用を最大 1/2 に抑える方法で取り上げています。創業の資金を考える段階では、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金のように、新たに事業を始める人や事業を始めて間もない人を対象とした融資の制度もあります。条件は公式のページで確かめてください。
事業の仮説を立て、数字で確かめ、方向を判断する力は、経営の診断と助言の専門家にも求められます。その資格の内容は中小企業診断士の資格ガイドで確かめられます。
リーンスタートアップは、完璧な計画を立てることよりも、早く確かめて早く学ぶことを重んじる考え方です。学びたいことを決め、測るものを決め、最小限のものを作って試す。この順番を守れば、大きな元手がなくても、事業の芽を着実に育てていけます。
よくある質問
Q. リーンスタートアップとアジャイル開発は何が違いますか?
アジャイル開発は、ソフトウェアを短い期間で作る、試す、直すを繰り返して開発する進め方です。リーンスタートアップは、事業そのものの仮説を小さく試して確かめる考え方で、対象がソフトウェアの開発に限りません。何を作るべきかを確かめるのがリーンスタートアップ、決まったものを柔軟に作る進め方がアジャイル開発と考えると分かりやすく、両方を組み合わせて使うこともあります。
Q. MVPはどこまで作り込めばよいですか?
確かめたい仮説を確かめられる水準までです。何を確かめるためのMVPなのかを最初に決め、その確かめに影響しない部分だけを省きます。品質が低すぎると、顧客は商品の価値ではなく品質の低さに反応して離れてしまい、結果を読み違えます。商品をまだ作らずに紹介ページだけで申し込みを測る、手作業で代わりに行うといった方法も、立派なMVPです。
Q. 方向を変えるピボットはどのタイミングで判断すればよいですか?
試す前に、続ける、直して再び試す、方向を変える、のそれぞれの基準を数字で決めておき、結果がその基準に当てはまったときに判断します。基準を決めずに試すと、結果が悪くても判断を先延ばしにしがちです。1回の結果だけで大きな判断をせず、試した人数や期間が十分かも確かめます。方向を変えるときは、正しかった仮説は残し、外れた部分だけを変えます。
Q. 個人の副業でもリーンスタートアップは使えますか?
使えます。たとえばオンライン講座なら、動画を作る前に内容と価格を書いた申し込みのページを作り、申し込みの割合を測ってから講座を開くかどうかを決められます。手作りの品も、少数を作って売れ方を確かめてから作る量を決めれば、在庫を抱える心配が小さくなります。売上が出た場合の税金の申告や、取引の表示の決まりは、事業の内容と金額で変わるため、所管の窓口で確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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