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講談社の社用メールへの不正アクセス|連絡先 最大3,812件が流出 メールアドレスと一部の氏名 2026

@SOHO編集部
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講談社の社用メールへの不正アクセス|連絡先 最大3,812件が流出 メールアドレスと一部の氏名 2026

この記事のポイント

  • ✓講談社の情報漏洩について
  • ✓2026年8月3日の公式発表をもとに整理
  • ✓社員のメールアカウントへの不正ログインで連絡先 最大3,812件が窃取され

講談社の情報漏洩について、株式会社講談社は2026年8月3日、外部の第三者による不正アクセスで社用電子メールから個人情報の漏えいが発生したと発表しました。不正アクセスを受けた社員の連絡先情報最大3,812件が窃取され、そのうち553件のメールアドレス宛に、その社員を装ったフィッシングメールが送られています。流出した連絡先情報は、メールアドレスと一部の人の氏名です。 講談社の社員とメールをやり取りしたことがある人がまずすることは、7月31日付の通知メールが届いていないかを確かめること、講談社の社員の名前で届いたメールのリンクを開かないこと、そして偽のログイン画面にパスワードを入れてしまった心当たりがあればすぐ変えることです。

2026年11月1日時点で、講談社の公式サイトのお知らせ一覧に、この件の続報は掲載されていません。確定した件数や原因の調査結果が新たに公表されたという記載も、2026年11月1日時点では見当たりません。この記事は、講談社の公式発表「不正アクセスによる個人情報流出のお詫びとお知らせ」を開き直して確かめた内容だけで書いています。報道の数字や推測は入れていません。

講談社の社用メールへの不正アクセスで何が起きたのか

講談社は、雑誌、書籍、漫画などを出版する出版社です。今回の件は、会社のサーバやお客様の会員情報のデータベースが攻撃されたものではなく、社員1人が使っていたメールアカウントに第三者がログインし、そのアカウントに登録されていた連絡先情報が盗まれた事案として発表されています。

発表の骨子は次のとおりです。

  • 外部の第三者による不正アクセスにより、社用電子メールから個人情報の漏えいが発生した
  • 不正アクセスを受けた社員の連絡先情報(最大3,812件)が窃取された
  • そのうち553件のメールアドレス宛に、その社員を装ったフィッシングメールが送信された
  • 流出した連絡先情報は、メールアドレスと一部の人の氏名
  • 流出した可能性のあるメールアドレス宛に、7月31日付で電子メールで通知した
  • 個人情報保護法に基づく個人情報保護委員会への報告を済ませた

発表で使われている言葉は「漏えいが発生」「窃取」「流出した連絡先情報」です。多くの事案で見られる「可能性」「おそれ」という言い方ではなく、連絡先情報が盗まれたことを会社として確認した書き方になっています。そのため、この記事でも「流出した」と書きます。

「窃取」とは、他人の物や情報をこっそり盗み取ることです。ここでは、攻撃者が社員のメールアカウントに入り込み、そこに保存されていた連絡先の一覧を持ち出したことを指しています。

件数は「最大3,812件」と書かれています。「最大」が付いている理由は、発表には説明されていません。また、発表は件数として示しており、人数とは書いていません。この記事でも「最大」を落とさず、件数として扱います。

公表の経緯と2026年11月1日時点で分かっていること

講談社が公式サイトのお知らせ一覧に出しているのは、2026年8月3日付の発表1本だけです。2026年11月1日時点でお知らせ一覧を開き直したところ、8月3日以降に出ているのは賞の発表や会社見学の案内などで、この件の続報や訂正はありませんでした。

日付 出来事 発表に書かれている内容
2026年7月27日 社員が偽メールのリンクをクリック 取引先を装ったフィッシングメールのリンクを社員がクリックし、偽のログイン画面で認証情報を入力。メールアカウントに不正ログインされた
2026年7月30日 攻撃者が社用メールにログイン 連絡先情報(最大3,812件)を窃取し、そのうち553件のメールアドレス宛にフィッシングメールを大量に送信
2026年7月30日 社員が異常に気づく ログインパスワードの変更とセッションの削除を実施。それ以後、不正なアクセスは確認されていない
2026年7月31日 対象者への通知 流出した可能性のあるメールアドレス宛に、概要や漏えいした項目、取りうる措置、窓口などを電子メールで通知
2026年8月3日 公式サイトで公表 「不正アクセスによる個人情報流出のお詫びとお知らせ」を掲載

時系列で見ると、偽のログイン画面に認証情報を入れた7月27日から、攻撃者が実際にログインして連絡先を盗み、メールを送った7月30日まで、3日ほどの間があります。認証情報が盗まれても、すぐに使われるとは限らないということです。社員は7月30日のうちに異常に気づき、パスワードの変更と、ログインしたままの状態を切る「セッションの削除」を行っています。

セッションとは、一度ログインした後、しばらくパスワードを入れ直さなくても使える状態のことです。パスワードを変えるだけでは、すでにログインしている攻撃者の画面が使えたままになる場合があるため、セッションの削除もあわせて行ったと説明されています。

発表は「弊社は本件の発生原因を調査・特定し、再発防止に努めてまいります」と結ばれています。調査の結果や再発防止策の中身は、2026年11月1日時点で公表されていません。補償やお詫びの品についての記載もありません。

流出した情報と、発表に書かれていないこと

講談社の発表が流出した情報として挙げているのは、次の2つだけです。

区分 項目 発表の書き方
流出した連絡先情報 メールアドレス 「流出した連絡先情報は、メールアドレスと一部の方の氏名です」
流出した連絡先情報 氏名(一部の人のみ) 同上
発表に記載なし 住所、電話番号、生年月日 流出したとも、含まれないとも書かれていない
発表に記載なし メールの本文、添付ファイル 流出したとも、含まれないとも書かれていない
発表に記載なし クレジットカード情報、口座番号 流出したとも、含まれないとも書かれていない

ほかの会社の発表では「クレジットカード情報は含まれません」のように、含まれない項目を明記することがあります。講談社の発表には、そうした「含まれない項目」の一覧はありません。流出したのはメールアドレスと一部の人の氏名だと書かれているだけです。この記事では、発表に書かれていない項目について、流出したとも、していないとも書きません。

一方で、今回窃取されたと書かれているのは「連絡先情報」です。メールソフトの連絡先には、名前とメールアドレスのほか、会社名や電話番号を登録できるものもあります。その社員の連絡先にどこまでの項目が登録されていたかは、発表には書かれていません。講談社が流出した項目として通知したのはメールアドレスと一部の人の氏名なので、それを基準に考えます。

メールアドレスと氏名は、それだけではお金の被害に直結しにくい情報です。ただし、今回の件では、すでにその情報を使ったフィッシングメールが553件のメールアドレス宛に送られています。「出版社の社員とやり取りしている人」という関係が攻撃者に知られていることになるため、次に届く偽のメールが本物らしく見えやすい点に気をつける必要があります。

原因は取引先を装ったフィッシングメール

発表によると、きっかけは取引先を装ったフィッシングメールでした。フィッシングメールとは、本物の会社や知り合いを装って偽のサイトに誘い、パスワードやカード番号を入力させようとするメールのことです。

発表の経緯の部分は次のとおりです。

取引先を偽装したフィッシングメールのリンクを弊社社員がクリック。 表示された偽ログイン画面で認証情報を入力したところ、弊社社員が使用しているメールアカウントに不正ログインされました。 出典: kodansha.co.jp

ここで使われた手口は、次の流れにまとめられます。

  1. 取引先からの連絡に見えるメールが届く
  2. メールのリンクを開くと、ふだん使っているメールサービスのログイン画面に似た偽の画面が表示される
  3. そこにIDとパスワードを入れると、攻撃者に認証情報が渡る
  4. 攻撃者は盗んだ認証情報で本物のメールアカウントにログインする
  5. アカウントの連絡先を持ち出し、その社員になりすまして連絡先の相手にメールを送る

この手口が厄介なのは、5番目のメールが「本物のアカウントから」送られる点です。差出人のアドレスは本物の社員のものなので、受け取った人から見ると、ふだんやり取りしている相手からのメールにしか見えません。差出人のアドレスを確かめるという、よく言われる見分け方が効きにくい場面です。

講談社の発表には、使われたメールサービスの名前、偽の画面の中身、多要素認証が設定されていたかどうかは書かれていません。この記事でも推測しません。原因の詳しい調査結果は、2026年11月1日時点で公表されていません。

フィッシングメールの見分け方の基本と、リンクを開いてしまった後の対処は、フィッシング詐欺メールの見分け方|5秒で振り分ける手順と開いた後の対処で手順にしています。差出人が本物のアカウントでも使える確かめ方も説明しています。

553件に送られた「社員を装ったメール」への対応

発表では、窃取された連絡先のうち553件のメールアドレス宛に、その社員を装ったフィッシングメールが大量に送られたとされています。送られたメールの件名や本文、リンク先の中身は発表に書かれていません。

2026年7月30日ごろに、講談社の社員の名前でふだんと違うメールを受け取った人は、次の点を確かめてください。

  • メールのリンクを開いたか
  • 開いた先の画面で、IDやパスワードを入力したか
  • 添付ファイルを開いたか
  • そのメールに返信したり、転送したりしたか

リンクを開いていない、何も入力していないのであれば、メールを削除するだけで足ります。気になる場合は、フィッシング対策協議会のフィッシングの報告のページに報告の方法が案内されています。メールでの報告は、リンクをクリックせずにメールを報告用の宛先へ転送する形です。報告された情報は、警察などの法執行機関や、なりすまされた組織に提供される場合があると書かれています。

リンクを開いて、偽の画面にIDやパスワードを入れてしまった場合は、講談社の社員と同じ状況になっている可能性があります。その場合は、次の順番で対処します。

  1. 入力したIDとパスワードのサービスに、本物の画面から入り直してパスワードを変える
  2. 同じパスワードをほかのサービスで使っていれば、そちらも変える
  3. ログインしたままの端末を一覧で確かめられるサービスなら、心当たりのない端末をログアウトさせる
  4. 多要素認証を設定していなければ設定する
  5. 自分のアカウントから、身に覚えのないメールが送られていないかを送信済みの一覧で確かめる

5番目は見落としやすい点です。今回の講談社の件のように、乗っ取られたアカウントは、次の被害者を生むための発信元として使われます。自分の送信済みの一覧に見覚えのないメールがあれば、送られた相手に「自分の名前で不審なメールが届いていたら開かないでほしい」と知らせることも必要になります。

パスワードを変える順番と、使い回しの見直し方は、パスワードが漏洩したらどうなる|変更の順番と使い回しの見直し方 2026で詳しく説明しています。

講談社の対応と対象者への通知

講談社が発表で示している対応は、次の4つです。

対応 時期 発表に書かれている内容
パスワードの変更とセッションの削除 2026年7月30日 異常に気づいた社員が実施。それ以後、不正なアクセスは確認されていない
対象者への通知 2026年7月31日付 流出した可能性のあるメールアドレス宛に電子メールで通知
個人情報保護委員会への報告 発表時点で完了 個人情報保護法に基づく報告を済ませた
原因の調査と再発防止 発表時点で今後の予定 発生原因を調査・特定し、再発防止に努めるとしている

7月31日の通知メールには、本件の概要、漏えいした個人データの項目(メールアドレスと一部の人の氏名)、本人が取りうる措置、講談社の対応窓口などが書かれていると発表は説明しています。つまり、対象になった人には、公式サイトでの公表より前に、個別のメールで知らせが届いていることになります。

個人情報保護委員会とは、個人情報の扱いを監督する国の機関です。事業者は、一定の場合に漏えいを委員会へ報告し、本人に知らせることが法律で決められています。講談社の発表は、この報告と本人への通知を済ませたことを伝えるものです。

発表の時系列から読み取れるのは、社員が異常に気づいた7月30日の翌日に対象者への通知が送られ、その3日後の8月3日に公式サイトで公表されたという順番です。対象者には個別の通知が先に届き、公式サイトでの公表はその後だったことになります。そのため、公式サイトの発表を見て初めてこの件を知った人は、まず自分の受信箱に7月31日付の通知が届いていないかを確かめるのが近道です。

補償やお詫びの品、問い合わせ専用の電話番号は、公式サイトの発表には書かれていません。発表にないことは、この記事でもあるとは書きません。

自分が対象かを確かめる方法

講談社は、流出した可能性のあるメールアドレス宛に、2026年7月31日付で電子メールを送ったと発表しています。自分が対象かを確かめる手がかりは、まずこの通知です。

確かめるときは、次の順番で探します。

  1. 受信箱で「講談社」「不正アクセス」「お詫び」などの語で、2026年7月31日前後のメールを検索する
  2. 見つからなければ、迷惑メールのフォルダも同じ語で検索する
  3. 2026年7月30日ごろに、講談社の社員の名前で届いた不審なメールがないかも探す

仕事用と個人用など、複数のメールアドレスを使い分けている人は、講談社とのやり取りに使ったことがあるアドレスをすべて確かめます。以前の勤め先のアドレスや、今は使っていない古いアドレスで講談社の社員とやり取りしていた場合、通知はそちらに届いている可能性があります。会社のアドレスで受け取っていた場合は、会社のメールの管理者が迷惑メールとして隔離していることもあるため、見つからなければ社内の担当に尋ねてみてください。

講談社の社員とメールでやり取りしたことがあっても、今回の対象はあくまで「不正アクセスを受けた社員の連絡先情報」です。講談社とやり取りしたことがある人全員が対象になるわけではありません。どの部署の社員かは発表に書かれていないため、この記事でも推測しません。

ここで注意したいのは、通知を装った偽のメールです。「講談社からのお詫び」をかたって、本人確認のためと称してリンクを開かせるメールが来ないとは言い切れません。講談社の発表には、通知メールでパスワードやカード番号の入力を求めるとは書かれていません。通知らしいメールの中で、ログインや個人情報の入力を求められたら、その場で入力せず、講談社の公式サイトのお知らせ一覧を自分で開いて、発表と食い違いがないかを確かめてください。

通知が見つからず、それでも気になる場合は、講談社の公式サイトのお問い合わせの窓口から尋ねる形になります。公式サイトの発表には、この件専用の電話番号やメールアドレスは載っていません。

連絡先が流出した可能性がある人がすること

流出したのはメールアドレスと一部の人の氏名です。カード番号やパスワードが流出したという発表ではないため、カードを止めたり、口座を変えたりする必要は示されていません。することは、主に「次に届く偽のメールに備えること」です。

メールアドレスと氏名が攻撃者の手元にある場合、考えられるのは次のような連絡です。

  • 講談社の社員や編集部を名乗り、原稿や校正の確認を装ってリンクや添付ファイルを開かせるメール
  • 支払いの手続きや振込先の変更を装い、口座の情報を聞き出そうとするメール
  • 共有のファイルを見るためと称して、メールサービスのログイン画面に似た偽の画面へ誘うメール
  • 講談社以外の取引先や、よく使うクラウドサービスを名乗るメール

今回の手口そのものが「取引先を装ったメール」だった点は覚えておいてください。自分の取引先を名乗るメールでも、ふだんと違う依頼が書かれていたら、メールに返信して確かめるのではなく、電話やチャットなど別の手段で相手に確かめるのが基本です。乗っ取られたアカウントに返信すると、攻撃者が「本人です」と答えることがあるためです。

あわせて、次の点を見直しておくと安心です。

  • 仕事で使うメールアカウントに多要素認証を設定しているか
  • メールのログイン画面は、リンクからではなく、保存したブックマークや公式アプリから開いているか
  • パスワードを保存しているパスワード管理のアプリは、偽のサイトでは自動入力しない作りになっているか
  • 振込先の変更の依頼は、必ず電話など別の手段で確かめる決まりにしているか

多要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンのアプリに表示される数字や指紋など、別の手段でも本人であることを確かめる仕組みです。パスワードが盗まれても、それだけではログインできなくなります。仕組みの違いと選び方は、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版にまとめています。

偽のログイン画面に入力しないための確かめ方

今回の件は、偽のログイン画面に認証情報を入れたことから始まっています。メールアドレスと氏名が出回った人に次に届くおそれがあるのも、同じ形の偽の画面へ誘うメールです。入力する前に止まるための確かめ方を、具体的な場面に分けて整理します。

1つ目は、メールのリンクからログイン画面が開いた場面です。共有ファイルの通知、請求書の確認、パスワードの期限切れの案内などのメールからログイン画面に進んだときは、その画面では入力しません。いったん画面を閉じ、ブラウザに保存したブックマークや、公式アプリからサービスを開き直します。本物の通知であれば、開き直した先でも同じ通知やファイルが見つかります。

2つ目は、アドレス欄の確かめ方です。偽の画面は、見た目を本物とそっくりに作ることができます。画面の見た目ではなく、ブラウザの上部に表示されるアドレス(ドメイン名)が、ふだん使っているサービスのものと一字一句同じかを見ます。似た綴りの文字が入っていたり、サービス名の後ろに知らない語が続いていたりすれば偽物を疑います。

3つ目は、パスワード管理のアプリの反応です。パスワード管理のアプリは、保存したサイトと同じドメインでなければ自動入力の候補を出さないものが多くあります。いつもは候補が出るのに出てこないときは、偽の画面である疑いが強まります。そこで手で打ち込まないことが大切です。

4つ目は、急がせる言葉です。「本日中に確認しないとアカウントが停止されます」「至急ご確認ください」のように、考える時間を与えない書き方のメールほど、一度手を止めます。取引先からの依頼であっても、急ぎの理由が書かれていない依頼は、電話やチャットで相手に確かめてから動いても遅くはありません。

5つ目は、入力してしまった後の動きです。もし入れてしまったと気づいたら、その時点で本物の画面からパスワードを変え、ログインしている端末の一覧を確かめます。講談社の件でも、入力から攻撃者のログインまで3日ほどの間がありました。気づいてすぐにパスワードを変えれば、攻撃者が入る前に止められることがあります。

講談社と仕事をしている作家やフリーランスの人が気をつけること

出版社の社員の連絡先には、作家、漫画家、イラストレーター、ライター、デザイナー、翻訳者、印刷所や書店の担当者など、社外の人が多く含まれやすいものです。今回窃取された連絡先にどのような人が含まれていたかは、発表に書かれていません。ただ、講談社の編集者などとメールで仕事をしている人は、自分がやり取りしている相手が今回の社員かどうかにかかわらず、次の点を意識しておくと安心です。

1つ目は、原稿や画像のやり取りの経路です。原稿の受け渡しにファイル共有のサービスを使っている場合、そのサービスのログイン画面に似せた偽の画面に誘うメールが来ることがあります。共有の通知メールが届いたら、リンクからではなく、ふだん使っているアプリや保存したブックマークからサービスを開き、共有されたファイルがあるかを確かめます。

2つ目は、支払いに関する連絡です。原稿料や報酬の振込に関わる連絡で、振込先の変更や、口座の情報の再送を求められた場合は、メール以外の手段で担当者に確かめてから応じます。

3つ目は、自分のアカウントの守りです。フリーランスの人は、自分のメールアドレスが複数の取引先の連絡先に登録されています。どこか1社の社員のアカウントが乗っ取られると、そこから自分宛てに偽のメールが届くことがあります。逆に、自分のアカウントが乗っ取られれば、自分の取引先すべてに偽のメールが届くおそれがあります。

在宅で仕事をする人ほど、取引先とのやり取りがメールとチャットに集中します。顔を合わせる機会が少ない分、「いつもの相手からのメール」を疑いにくいという面があります。社員向けの訓練でよく使われる、怪しいメールの見分け方の考え方は、社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドで紹介しています。会社に勤めていない人でも、自分を一人の社員と見立てて同じ点検をすると役に立ちます。

講談社BECKの迷惑メールの件とは別の事案

「講談社 情報漏洩」で調べると、株式会社講談社BECKが2026年10月2日に出した「不正アクセスによる迷惑メール発信に関するおわびとご報告」が見つかることがあります。社名に「講談社」が入っていますが、発表した会社も、事案の中身も、今回の講談社の件とは別のものです。

講談社BECKの発表によると、同社の従業員1名のメールアカウント(同社への合併前に所属していた旧株式会社講談社ビーシーで使用していたもの)が不正アクセスを受け、2026年9月14日に外部へ不審なメールが送信されました。同社は、メールボックスに保存されていた個人情報等が外部に漏えいしたおそれがあると説明しています。

2つの件の違いを並べると、次のとおりです。

項目 講談社の件 講談社BECKの件
発表した会社 株式会社講談社 株式会社講談社BECK
公表日 2026年8月3日 2026年10月2日
不正アクセスを受けたもの 社員が使用しているメールアカウント 従業員1名のメールアカウント(旧講談社ビーシーのドメインのもの)
発表されている件数 連絡先情報 最大3,812件、うち553件にフィッシングメール 送信された不審メール50件
漏えいの書き方 連絡先情報(メールアドレスと一部の人の氏名)が流出 メールボックスの個人情報等が漏えいしたおそれ
問い合わせ 発表に専用窓口の記載なし(7月31日付の通知に窓口を記載) 講談社BECKの窓口(平日10時から18時、[email protected])

講談社BECKの件で心当たりがある人は、講談社BECKの発表と窓口を確かめてください。今回の講談社の件と混ぜて考えないことが、正しく対処するうえで大切です。

問い合わせ窓口について

講談社の公式サイトの発表には、この件専用の電話番号やメールアドレスは載っていません。発表によると、対応窓口は2026年7月31日付で対象者に送られた通知メールの中に書かれています。

対象者として通知を受け取った人は、その通知メールに書かれた窓口に問い合わせてください。その際、通知メールが本物かどうかに不安があれば、講談社の公式サイトを自分で開き、お問い合わせのページから連絡する方法もあります。

問い合わせるときは、次の情報を手元にそろえておくと話が早く進みます。

  • 通知を受け取ったメールアドレス
  • 通知メールの受信日時
  • 2026年7月30日ごろに講談社の社員の名前で不審なメールを受け取ったかどうか
  • そのメールのリンクを開いたか、何かを入力したか

講談社側から、電話やメールでパスワードやカード番号を聞かれることがあるとは、発表には書かれていません。問い合わせの途中でそうした情報を求められたら、答える前に、相手が本当に講談社の窓口かを確かめ直してください。

在宅で仕事をする人が気をつけること

今回の講談社の件は、社員1人のメールアカウントが乗っ取られただけで、数千件の連絡先が流出し、数百件の相手に偽のメールが送られたという事案です。在宅で業務委託の仕事を受けている人にとっても、他人事ではありません。自分のメールアカウントには、取引先の担当者の名前とメールアドレス、場合によっては取引先から預かった顧客の名簿やデータが保存されているからです。

個人情報保護委員会の漏えい等の対応のページでは、事業者に委員会への報告が義務づけられる場合として、要配慮個人情報(病歴など、とくに慎重に扱う情報)を含む漏えい等、不正に使われるとお金の被害が出るおそれがある漏えい等、不正の目的で行われたおそれがある漏えい等、本人の数が1,000人を超える漏えい等が挙げられています。不正アクセスによる漏えいは、不正の目的で行われたおそれがある例として示されています。報告は発覚したら速やかに行い、不正の目的で行われたおそれがある場合は発覚日から60日以内とされています。

業務委託で個人情報を扱う人が、自分のアカウントから預かった情報を漏らしてしまった場合、まず対応を迫られるのは委託元の取引先です。どこまでが自分の責任になるかは、契約の内容や事情で変わるので、ここでは断定できません。ただ、気づいた時点ですぐ取引先に伝えることが、取引先が必要な手続きを進めるうえで欠かせない点は変わりません。講談社の件でも、社員が異常に気づいた翌日には対象者への通知が出ています。早く気づき、早く知らせることが、被害を広げない一番の手段です。

仕事で使うメールについて、次の点を見直しておくと安心です。

  • 仕事のメールのパスワードが、通販サイトやSNSと同じになっていないか
  • 仕事のメールに多要素認証を設定しているか
  • 取引先から預かった名簿やデータを、仕事が終わった後もメールの添付のまま残していないか
  • 自分の送信済みの一覧に、身に覚えのないメールがないかを時々確かめているか
  • アカウントの乗っ取りに気づいたとき、取引先の誰に、どの手段で知らせるかを決めているか

フリーランス・在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く取引が続く人ほど、納品物の質だけでなく、預かった情報の扱い方で信頼を得ています。パスワードの使い回しをやめる、仕事と個人のアカウントを分ける、不審なメールを取引先に一言知らせる、といった地味な手当てが、そのまま取引先からの評価につながっていきます。中間の手数料が乗らない直接の取引では、こうした信頼がそのまま次の依頼と手取りの厚さに結びつきます。

メールの守り方を仕事の力にする

フィッシングメールへの備えは、自分の身を守る知識であると同時に、仕事として求められる力でもあります。企業の中には、社員向けの注意喚起の資料づくり、怪しいメールを見分ける研修の教材づくり、取引先向けの「なりすましメールにご注意ください」というお知らせの文面づくりなどを、外部の人に頼むところがあります。今回のような公式発表を読み、何が起きて、何が流出し、受け取った人は何をすればよいかを正確に整理する作業も、その一つです。

セキュリティの仕事を在宅で受けたい場合、いきなり専門的な診断の仕事を目指す必要はありません。まずは自分のメールアカウントの守りを整え、事案の発表を正確に読む習慣をつけるところから始められます。@SOHOのAI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事の種類と探し方を紹介しています。

講談社の件は、2026年8月3日の発表のあと、2026年11月1日時点で続報が出ていない状態です。講談社の社員とメールでやり取りしたことがある人は、7月31日付の通知の有無を確かめ、講談社の社員の名前で届くふだんと違うメールのリンクを開かないこと、偽の画面に入力した心当たりがあればパスワードを変えて多要素認証を設定することの3つを先に済ませ、続報は講談社の公式サイトのお知らせ一覧で確かめてください。

よくある質問

Q. 講談社の本を買ったり、会員登録をしたりしただけでも対象になりますか?

今回窃取されたのは、不正アクセスを受けた社員1人のメールアカウントの連絡先情報です。講談社は流出した可能性のあるメールアドレス宛に2026年7月31日付で通知を送ったと発表しています。本の購入や会員登録の情報が対象とは書かれていないため、まずは通知メールが届いているかを確かめてください。

Q. 流出した情報にクレジットカード番号やパスワードは含まれますか?

講談社の発表が流出した情報として挙げているのは、メールアドレスと一部の人の氏名だけです。カード番号やパスワードが流出したとは書かれていません。ただし、含まれない項目の一覧も発表にはありません。講談社を名乗るメールでカード番号やパスワードの入力を求められても、応じないでください。

Q. 講談社の社員の名前で届いたメールのリンクを開いてしまいました。どうすればよいですか?

開いただけで何も入力していなければ、メールを削除すれば足ります。開いた先の画面でIDやパスワードを入れた場合は、そのサービスに本物の画面から入り直してパスワードを変え、同じパスワードを使っているほかのサービスも変えます。多要素認証を設定し、自分の送信済みの一覧に身に覚えのないメールがないかも確かめてください。

Q. 講談社BECKの不正アクセスの件と同じ事案ですか?

別の会社の別の事案です。講談社の件は2026年8月3日に株式会社講談社が公表したもので、社員のメールアカウントの連絡先 最大3,812件が窃取されました。講談社BECKの件は2026年10月2日に株式会社講談社BECKが公表したもので、従業員1名のメールアカウントから不審なメールが50件送信されたものです。窓口もそれぞれ違います。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年11月1日
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会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド

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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方