企業主導型保育園の面接で聞かれること|現場が見ている点と、聞き返すこと


この記事のポイント
- ✓企業主導型保育園の面接は
- ✓認可園と面接官も質問も違います
- ✓実際に聞かれる質問とその裏にある確認事項
企業主導型保育園の面接を控えている方から、こんな相談をよく受けます。「認可園の面接は何度も受けてきたけれど、企業主導型は勝手が違うと聞いて不安です」。
その感覚は正しいです。企業主導型保育園の面接は、面接官が誰なのか、何を確かめようとしているのかが、認可保育園とはっきり違います。保育の理念を深く問われるより、勤務時間に対応できるか、少人数の体制で動けるか、という実務の確認に時間が割かれることが多い。ここを知らないまま行くと、準備した内容と聞かれる内容がずれます。
そしてもうひとつ。面接は、園があなたを選ぶ場であると同時に、あなたが園を確かめる場です。これ、頭では分かっていても、実際にはほとんどの方が聞かずに帰ってきます。特に労働条件については、あとから「聞いていた話と違う」というご相談が本当に多いんです。
この記事では、企業主導型保育園の面接で実際に聞かれる質問と、その裏で何が確認されているのかを整理します。あわせて、こちらから聞き返すべき項目と、労働条件をどこまで書面で押さえておくべきかを、実務の手順としてお伝えします。
面接官が誰かで、聞かれることが変わる
最初に押さえておきたいのが、企業主導型保育園の採用体制です。ここが認可保育園と一番違います。
認可保育園、特に社会福祉法人が運営する園では、面接に出てくるのは園長と主任、法人の保育部門の責任者です。全員が保育の専門家なので、質問も保育の内容に踏み込んだものになります。
企業主導型保育園は、そうとは限りません。設置しているのは保育を本業としない企業であることが多く、採用の流れが会社の採用フローに組み込まれている園があります。よくあるのは次の3パターンです。
パターン1、人事担当者が一次面接、園長が二次面接。 本社の人事部が一次を担当します。この場合、一次では保育の話はほとんど出ません。志望動機、これまでの職歴、勤務可能な時間帯、通勤経路、退職理由。一般企業の中途採用面接とほぼ同じ内容です。園長との二次面接で、初めて保育の話が出ます。
パターン2、園長が単独で面接。 園に採用の裁量が下りている場合です。この形が最も多く、保育の話と条件の話が1回の面接に混ざります。時間は30分から45分程度が目安です。
パターン3、運営を委託されている保育事業者が面接。 設置企業が保育会社に運営を委託している場合、雇用主は委託先の保育会社になります。この場合、面接は保育会社の採用担当が行い、配属先として企業主導型保育園が提示されます。ここは注意が必要です。雇用契約の相手が誰なのか、将来的に別の園へ異動する可能性があるのか。これは面接で必ず確認してください。「この園に応募したつもりだったのに、入職後に別の施設への異動を打診された」というご相談は、実際に起きています。
つまり、面接の前に自分が誰と話すのかを確認しておくことが第一歩です。面接の案内メールや電話で「当日はどなたがご担当されますか」と聞いて構いません。失礼にはなりません。むしろ、準備の意識が伝わります。
人事担当者が相手なら、職歴と勤務条件の説明を整理していく。園長が相手なら、保育の具体的な場面を話せるようにしていく。準備の方向が変わります。
実際に聞かれる質問と、その裏にある確認事項
企業主導型保育園の面接で頻出する質問を挙げます。大事なのは質問そのものより、その質問で何を確かめようとしているかです。意図が分かれば、答えの方向が決まります。
「勤務可能な時間帯を教えてください」。 企業主導型保育園の面接で、ほぼ必ず出ます。園は親会社の勤務形態に合わせて開園しているため、朝が早い、夜が遅い、土曜も開いている、という園があります。ここで確認されているのは、あなたがシフトの穴を埋められる人かどうかです。
答え方のコツは、幅を正直に示すことです。「基本的に早番に対応できますが、週1日だけ子どもの習い事の送りがあり、火曜だけは遅番を希望したいです」。制約を隠して入ると、あとでシフトの調整で苦しくなります。つまり、ここは正直に言ったほうが自分を守ることになります。
「なぜ認可園ではなく、企業主導型を選んだのですか」。 確認されているのは、制度を理解しているかどうかと、条件だけで選んでいないかです。「小規模だから」だけだと弱い。定員と年齢構成、開園時間といった具体的な条件に触れて答えてください。
「0歳児の保育経験はありますか」。 企業主導型保育園は0歳から2歳が中心の園が多く、乳児の経験は直接的な戦力評価になります。経験がない場合は、隠さずに「経験はありませんが」と言ったうえで、何ができるかを続けてください。「幼児クラスでの記録の取り方は身についているので、月齢ごとの発達の見方から学びたいです」。
「少人数の職場で働いた経験はありますか」。 職員数が6人から9人という規模なので、この環境に耐えられるかを見ています。大規模園しか経験がない場合は、そのことを認識していると示すほうが安全です。「これまでは職員が30人を超える園でしたので、人数が少ない分、一人が担う範囲が広くなることは理解しています」。
「保育以外の業務についてはどうお考えですか」。 小規模園には事務職員がいないことが多く、書類、清掃、給食の補助、保護者への発信までを保育士が分担します。ここを負担と感じるかどうかを確認されています。
「前職の退職理由を教えてください」。 ここは一般の採用面接と同じです。前職の否定から入らない、という原則は守ってください。「人間関係が合わなかった」は、たとえ事実でも面接では使いません。「一日の流れ全体に関われる規模で働きたいと考えるようになりました」といった、前を向いた形に言い換えます。
「保護者対応で難しかった場面を教えてください」。 企業主導型保育園、特に従業員枠が中心の園では、保護者が運営企業の社員です。距離が近いぶん、対応の難しさがあります。冷静に対処できる人かを見ています。具体的な場面を1つ、感情を交えずに事実で話せると強い。
「いつから勤務できますか」。 事務的な質問に見えますが、小規模園では欠員の穴埋めが急務であることが多く、実は重視されます。在職中なら、退職までの期間を正直に伝えてください。
「お子さんはいらっしゃいますか」。 この質問については、次の節で法律の話として詳しく書きます。一言だけ先に言うと、聞くこと自体が望ましくない質問です。
現場が本当に見ているのは、3つだけ
質問はいろいろ出ますが、園が最終的に判断している軸は、実は3つに集約されます。
ひとつめ、時間帯が埋まるか。 これが一番大きい。企業主導型保育園の運営で最も苦労するのが、開園時間の長さに対して職員数が足りないという構造です。7時開園で20時閉園なら、営業時間は13時間。これを6人から9人で回します。早番に入れる人、遅番に入れる人はそれだけで価値があります。保育の技術より先に、ここが見られていると考えて構いません。
ふたつめ、続くか。 定員12人の園で常勤が1人抜けると、体制が崩れます。法人内で人を回せる認可保育園と違い、補充の手段が限られています。だから、定着しそうかどうかを強く見ています。通勤時間が長すぎないか、生活と勤務時間が噛み合うか。こうした現実的な条件が、実は保育の理想より重く見られます。
みっつめ、少人数で動けるか。 指示待ちではなく、自分で判断して動けるか。逆に、自分だけで抱え込まずに共有できるか。この両方が要ります。小規模園では、報告のタイミングを間違えると情報が誰にも届きません。
この3点を踏まえて、面接の場でどう答えるか。現場の見方として、次のような指摘があります。
企業主導型保育園では少人数ならではの保育が行われるため、子どもの小さな変化に気づき、理由を持って関わる姿勢が重視されます。「丁寧に関わっています」と伝えるよりも、観察をもとに考え、実践し、振り返った具体的な経験を語ることが大切です。 出典: sourcier.co.jp
つまり、観察、判断、実践、振り返りの4段階を1つの場面で語れるかということです。
具体的にはこうなります。「1歳児クラスで、午睡になかなか入れないお子さんがいました。記録を見返すと、登園時間が早い日ほど入眠が遅れていることに気づきました。朝の受け入れ後に体を動かす時間を意図的に長く取るようにしたところ、入眠までの時間が短くなりました。ただ、天候によっては外に出られない日もあるので、室内でも同じ効果が出る動きを今も探しています」。
長さは1分程度で十分です。大事なのは、気づいた理由と、やってみた結果と、まだ残っている課題の3つが入っていること。完璧な成功談より、振り返りが入っているほうが評価されます。これは、保育に限らず対人の仕事全般で言えることです。
保育士としてどの程度の水準で評価されるかを客観的に把握しておくと、条件の話をするときに軸がぶれません。経験年数や地域による給与の差を公的統計から整理した保育士の年収・単価相場のページで、自分の経験がどのレンジにあるかを確認しておいてください。相場を知らないまま条件を提示されると、その場で判断できなくなります。
聞かれてはいけない質問がある、という話
ここ、知らない人が本当に多いんです。面接では、聞いてはいけないとされている事項があります。
厚生労働省は、公正な採用選考の考え方として、応募者本人に責任のない事項や、本来自由であるべき事項を把握しないよう企業に求めています。具体的には、次のような内容です。
本人に責任のない事項。 本籍や出生地、家族の職業や収入や学歴、住宅の状況、生活環境や家庭環境。
本来自由であるべき事項。 宗教、支持政党、人生観や生活信条、尊敬する人物、思想、購読新聞や愛読書、労働組合や学生運動などの社会運動に関すること。
保育の面接で実際に出やすいのは、家族に関する質問です。「ご結婚のご予定は」「お子さんは何人ですか」「ご主人のお仕事は」「親御さんと同居ですか」。悪気なく、雑談のつもりで聞かれることが多い。ただ、採用選考の場でこれらを判断材料にするのは適切ではないとされています。
つまり、答えたくなければ答えなくてよい質問です。
とはいえ、その場で「それは答えられません」と言うのは、現実的には難しいですよね。角が立ちます。実務的には、次の3つの対応があります。
1つ目は、質問の意図を確認すること。「その点は、勤務の条件に関わるご質問でしょうか」。意図を確認すると、相手も気づいて話題を戻すことが多いです。
2つ目は、勤務条件の話に変換して答えること。家族構成を聞かれたら、「家庭の事情で急なお迎えが必要になることは、現在ありません」「土曜日の勤務にも対応できます」といった形で、仕事の話として返す。聞きたかったことには答えつつ、私生活の詳細は渡さない方法です。
3つ目は、そういう質問が出たこと自体を判断材料にすること。これが実は一番重要です。採用の場で線引きができていない園は、入職後も私生活への踏み込みが起きる可能性があります。特に小規模で距離が近い職場では、この傾向が出やすい。面接は、園の姿勢を見る機会でもあります。
もうひとつ、内定を出す条件として健康診断書以外の書類を過度に求められる場合も、一度立ち止まってください。保育の現場で必要な健康診断や資格証の提示は当然のことですが、それを超えた個人情報の提出を求められたときは、何に使うのかを確認して構いません。
※ 実際に不適切な質問や対応で不利益を受けたと感じた場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーやハローワークに相談できます。無料で、相談したことが応募先に伝わることもありません。ここは覚えておいてください。
こちらから必ず聞き返すこと
面接の終盤、「何かご質問はありますか」と聞かれます。ここで「特にありません」と答えるのは、あまりにもったいないです。
企業主導型保育園は園ごとの差が非常に大きく、外から情報が取れません。聞かないと分からないことばかりです。そして聞くこと自体が、理解して応募しているという評価につながります。
優先度の高い順に挙げます。
シフトの組み方と、一日の職員配置。 「早番と遅番は固定制でしょうか、輪番制でしょうか」「朝と夕方の時間帯は、それぞれ何名体制でしょうか」。この2つで、働き方の実態がほぼ分かります。遅番が固定で、しかも常に同じ2人という体制なら、そこが負荷の集中点になります。
休憩の取り方。 「休憩はどちらで取られていますか」。場所を聞くと、実態が出ます。労働時間が6時間を超えれば45分以上、8時間を超えれば1時間以上の休憩を与えることが労働基準法で決まっています。つまり、これは福利厚生ではなく義務です。答えが曖昧な園は、そこが守られていない可能性があります。
保育以外の業務の分担。 「書類や清掃は、どのように分担されていますか」「持ち帰りの業務が発生する場面はありますか」。事務職員がいない園では、ここが働きやすさを大きく左右します。
園児の構成。 「地域枠のお子さんはどのくらいの割合でしょうか」「共同利用の企業さんは何社くらいありますか」。保護者層と勤務時間の幅が、これで見えます。
職員の在籍年数と、直近の退職者。 「今いらっしゃる職員の方は、平均してどのくらい在籍されていますか」。答えにくそうな反応をする園は、それ自体が情報です。
研修の扱い。 「キャリアアップ研修に参加される場合、費用と勤務時間の扱いはどうなりますか」。運営母体が保育事業者でない園では、ここが整備されていないことがあります。逆に、明確に答えられる園は保育の人事を理解しています。
雇用主と配属の範囲。 前に書いたとおりです。「雇用契約はどちらの会社と結ぶ形になりますか」「他の施設への配属や異動の可能性はありますか」。これは絶対に聞いてください。
入職後の研修期間と、担当クラス。 「最初の1か月はどういう形で入ることになりますか」。いきなり担任を持たされるのか、慣らし期間があるのかで、入職直後の負荷が変わります。
全部聞く必要はありません。上から4つか5つを選んで、メモを持って行ってください。メモを見ながら質問することは、まったく問題ありません。
なお、人の相談を受ける立場に将来的に回りたい方は、面接で自分の経験を言語化する作業がそのまま訓練になります。相談援助の技法と資格の枠組みを整理したキャリアコンサルタントのページに、経験の棚卸しや面談の進め方の考え方がまとまっています。自分の職務経歴を整理する道具として使えます。
当日の流れと、園内を歩く時間に見られていること
面接当日の進み方も、認可保育園とは少し違います。ここを知っておくと、当日の動きに迷いません。
所要時間は45分から1時間が目安。 面接そのものが30分前後、その前後に園内の案内が15分程度付くことが多いです。小規模園は面接室が別に用意されていないことがあり、事務スペースや、午睡中の保育室の隣で行われることもあります。子どもの声が聞こえる中で話すことになるので、驚かないでください。
実技試験は、あったりなかったりします。 認可保育園でよくあるピアノの実技は、企業主導型保育園ではほとんど課されません。行事が少なく、ピアノを置いていない園も多いためです。代わりに、手遊びを1つやってみてください、と言われることがあります。難しいものは要りません。0歳から2歳を想定した、短くて繰り返しのあるものを2つほど用意しておけば足ります。
園内の案内は、面接の一部だと思ってください。 保育室を歩きながら説明を受ける時間があります。ここで園側が見ているのは、子どもへの反応です。目が合ったときに視線の高さを合わせるか、通り過ぎるときに小さく声をかけるか。意識してやるというより、自然に出るかどうかを見られています。
そして、この時間はこちらが園を確かめる時間でもあります。歩きながら次の4点を見てください。
ひとつ、保育士どうしの声のかけ方。誰かが動くときに一声かけているか。子どもの名前を出して短く共有しているか。これができている園は、情報の流れが作られています。
ふたつ、休憩を取る場所。案内の途中で「休憩はどちらですか」と聞いてみてください。事務スペースの一角を指されたら、休憩が休憩になっていない可能性があります。
みっつ、書類の置かれ方。事務スペースに書類が山積みになっている園は、事務職員がいない負荷が表に出ています。誰がその山を処理するのかは、入職後の自分かもしれません。
よっつ、掲示物の更新日。保護者向けのお知らせや、園だよりの日付を見てください。何か月も前のまま止まっているなら、発信に手が回っていない状態です。
持ち物は、保育士証の写し、職務経歴をまとめたもの、筆記具、そして質問を書いたメモ。 実技に備えて動きやすい服装で行くのが無難です。スーツ指定がない園では、オフィスカジュアルで問題ありません。ただし、園内を歩くことを考えて、靴は脱ぎ履きしやすいものにしてください。
面接の最後に、次の連絡の時期を確認しておく。 「結果はいつ頃、どのような方法でご連絡いただけますか」。これは聞いて構いません。企業主導型保育園では、園長面接のあと本社の承認を待つ流れになっている園があり、連絡まで1週間から2週間かかることがあります。期間の見込みが分かっていれば、他の応募先との調整もしやすくなります。
※ 複数の園を並行して受けている場合、内定の返答期限も確認しておいてください。返答を急かされて条件を確認しないまま承諾する、というのは避けたい流れです。期限の延長を相談することは、まったく非常識ではありません。
労働条件は、口頭ではなく書面で確かめる
ここが一番お伝えしたいところです。トラブルのご相談の多くが、ここに集約されます。
使用者は、労働契約を結ぶときに労働条件を明示しなければならないと労働基準法第15条で定められています。そして、一定の事項については書面での明示が必要です。つまり、「面接で口頭で聞いた」だけでは足りません。
書面で明示すべき主な事項は、次のとおりです。
・労働契約の期間(期間の定めの有無、ある場合は更新の基準と更新上限の有無) ・就業の場所と従事すべき業務の内容、およびそれらの変更の範囲 ・始業と終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制の場合の就業時転換に関する事項 ・賃金の決定、計算と支払いの方法、締切りと支払いの時期、昇給に関する事項 ・退職に関する事項(解雇の事由を含む)
このうち、就業場所と業務の変更の範囲は、2024年4月から明示が必要になった項目です。これ、保育の転職では非常に重要です。委託運営の園で「他の施設への異動があり得る」なら、この欄に記載されるはずだからです。つまり、書面を見れば、口頭の説明が正確だったかを確かめられます。
有期契約の場合は、更新の上限があるかどうか、無期転換の申込みができる時期になったらその機会があることも明示されます。企業主導型保育園ではパートや契約社員での採用も多いので、ここは必ず見てください。
確認の手順はこうです。
内定の連絡を受けたら、「労働条件通知書をいただけますか」と依頼してください。これは当然の依頼であり、遠慮するところではありません。むしろ、交付は使用者の義務です。
受け取ったら、面接で聞いた内容と突き合わせます。特に見るのは4か所。始業終業の時刻とシフトの記載、休憩時間、賃金の内訳(基本給と各種手当が分かれているか)、就業場所と業務の変更の範囲。
面接で「残業はほぼありません」と聞いていたのに、通知書に所定時間外労働の有無が「有」とだけ書かれている、というのはよくあります。これ自体は違法ではありませんが、実態を聞き直す材料になります。
賃金の内訳も重要です。月給22万円と聞いていたら、そのうち3万円が固定残業代だった、というケースがあります。固定残業代がある場合は、何時間分に相当するかが明示されているはずなので、そこを確認してください。
※ 通知書の内容に納得できない点があれば、入職前に質問して構いません。入職後に「話が違う」と言うより、はるかに解決しやすいです。そして、もし書面の交付を断られたら、その時点で一度立ち止まってください。義務を果たさない使用者は、他の場面でも同じことをします。
法律は、あなたの味方です。ただし、使おうとしなければ働きません。書面をもらう、という一手間だけで防げるトラブルが、本当にたくさんあります。
内定から入職までに、やっておくこと
面接が終わって内定が出たあとにも、やっておくべきことがあります。ここまでやって、ようやく準備が完了します。
入職日までの間に、もう一度園を見る機会をもらえないか聞いてみる。 見学と面接のときだけでは、時間帯によって様子が違うことが分かりません。特に、面接が午前中だった場合、延長保育の時間帯を見ていないことになります。可能なら夕方の時間帯に一度顔を出させてもらうと、入職後のギャップが減ります。
現職の退職手続きを、期日を決めて進める。 就業規則で退職の申し出期限が定められていることが多いので、確認してください。有給休暇の残日数も、退職前に消化できるか相談しておきます。
必要書類を揃える。 保育士証、健康診断書、年金手帳や基礎年金番号、雇用保険被保険者証、源泉徴収票。健康診断は費用と実施時期を確認しておくと慌てません。
入職後の研修の予定を確認する。 最初の数日をどう過ごすかが決まっていると、心づもりができます。
在宅ワークやフリーランスの市場を20年見てきた運営者の立場から言うと、条件の行き違いは、必ず最初の擦り合わせ不足から生まれます。仕事を受ける側と依頼する側の関係で長く続いているのは、着手前に「できること」と「できないこと」を文字にして交わした組み合わせです。口約束で始まった関係は、一度うまくいっても、二度目でずれます。
そして運営者として見てきた限りでは、間に人を挟まずに直接やりとりできる関係のほうが、条件の齟齬が起きにくいものです。伝言が増えるほど、情報は削れて届きます。面接は、雇う側と雇われる側が直接話せる数少ない機会です。ここで聞けることは、全部聞いておいたほうがいい。遠慮して聞かなかったことは、入職後に自分の負担として返ってきます。
保育の現場を続けながら、あるいは離れてから、人の相談を受ける仕事に関わる方も増えています。職場やキャリアについての相談業務の内容と、在宅を含む働き方の形は職場・転職・キャリア相談のお仕事のページに実務の範囲が整理されています。保育の現場で保護者と向き合ってきた経験は、この領域でそのまま土台になります。
企業主導型保育園の面接は、園ごとの差が大きい分、準備の差がそのまま結果に出ます。聞かれることを予測して答えを用意し、こちらから聞くことをメモに書いて持っていく。そして内定が出たら、書面で条件を確かめる。この3つを踏むだけで、入職後のトラブルはかなり減らせます。
よくある質問
Q. 企業主導型保育園の面接では、誰が面接官になりますか?
園によって3パターンあります。本社の人事担当者が一次、園長が二次というパターン、園長が単独で行うパターン、運営を委託されている保育事業者の採用担当が行うパターンです。人事担当者が相手なら職歴と勤務条件の説明を、園長が相手なら保育の具体的な場面を準備してください。面接の案内時に担当者を確認しても失礼にはなりません。
Q. 面接で家族構成や結婚の予定を聞かれたら、答えるべきですか?
厚生労働省は、家族の職業や収入、住宅の状況、生活環境といった本人に責任のない事項を採用選考で把握しないよう求めています。答えたくなければ答えなくてよい質問です。実務的には「勤務の条件に関わるご質問でしょうか」と意図を確認するか、「急なお迎えが必要になることは現在ありません」のように勤務条件の話に変換して返す方法があります。
Q. 逆質問では何を聞けばよいですか?
優先度が高いのは、シフトが固定制か輪番制か、時間帯ごとの職員配置、休憩をどこで取っているか、書類や清掃の分担、雇用契約の相手と異動の可能性の5つです。企業主導型保育園は園ごとの差が大きく、外から情報が取れません。メモを見ながら4つか5つ質問することは、まったく問題ありません。
Q. 労働条件は口頭で聞いておけば十分ですか?
不十分です。労働基準法第15条により、使用者は労働契約を結ぶ際に労働条件を明示する義務があり、契約期間、就業場所と業務の内容およびその変更の範囲、始業終業の時刻、休憩、休日、賃金、退職に関する事項などは書面での明示が必要です。内定後に労働条件通知書を依頼し、面接で聞いた内容と突き合わせてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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