日本語教師の講師・講座の仕事

前田 壮一
前田 壮一
日本語教師の講師・講座の仕事

この記事のポイント

  • 日本語教師が教える側に回る副業について整理しました
  • 個人指導の始め方と値付けの考え方
  • 名称の扱いで気をつける点まで

まず、安心してください。日本語教師として教壇に立った経験があるなら、講師業を副業にするための土台はすでに持っています。足りないのは、教える技術ではなく、値付けと届け方の設計だけです。この記事では、日本語教師が「教える側に回る」副業について、どんな講座に需要があるのか、いくらで売ればいいのか、どう始めればいいのかを、実際の順番どおりに整理していきます。レッスンのプラットフォームで時給いくらで働く話ではありません。自分で内容を決め、自分で値段を付ける形の仕事を扱います。資格の取り方や養成講座選びは主題にしません。すでに現場を知っている皆さんが、その経験を在宅の収入に換えるための話に絞ります。

「教える側に回る」には3つの層がある

同じ講師業でも、誰に教えるかで報酬の構造がまったく変わります。ここを混同したまま始めると、時間ばかり使って収入が伸びません。

1つ目の層は、日本語学習者に教える仕事です。最も馴染みのある形で、始めやすい代わりに、時間と報酬が比例します。1コマ50分で報酬が決まるので、増やすには自分の時間を増やすしかありません。

2つ目の層は、教える人に教える仕事です。日本語教師を目指す人、すでに教えているが指導に悩んでいる人が対象になります。養成講座の講師、教案作成の指導、模擬授業の講評、実習の指導。ここは受講者1人あたりの単価が上がり、グループで実施すれば1時間あたりの収入が数倍になります。

3つ目の層は、企業や団体に教える仕事です。外国人材を受け入れている企業の担当者向けに、やさしい日本語の研修を行う。技能実習生や特定技能で来日した人と働く現場のリーダーに、伝わる話し方を教える。ここは1回2時間の研修で5万円から15万円という水準になり、副業の収入としては最も効率が高くなります。

副業として始めるなら、1つ目から入って実績を作り、2つ目と3つ目に広げていくのが現実的です。いきなり企業研修を狙っても、実績が無い状態では選考に残りません。

インスタフォロワー数10万人超の人気オンライン日本語講師が運営する台湾法人にて、台湾人に教えるオンライン日本語教師を募集。日本語教師有資格者や、1年以上日本語の塾や学校で教えたことがある方、750時間以上の日本語教育(家庭教師等)の実施経験がある方など。インターネットおよび授業実施環境が整えば、世界中どこに住んでいても働くことができます。教材は弊社が作成したものを使用していただくため、教材作成の必要はありません。 出典: jegsi.com

この募集要項に、講師業の副業を考えるうえで大事な点が全部出ています。経験の要件が具体的に書かれていること、場所を選ばないこと、そして教材が用意されていること。教材が用意されている案件は準備の負担が軽い代わりに、単価は抑えられます。自分で教材を作る側に回ると準備は増えますが、単価を自分で決められます。この交換条件を理解しておくと、案件を見たときの判断が速くなります。

需要がある講座のテーマを5つ挙げる

何を教えるかを決めるとき、自分が得意なことより、誰が困っているかから考えたほうが早く売れます。

教案の作り方と授業設計

日本語教師を目指す人、養成講座を修了したばかりの人が最も困る領域です。文法は分かるが授業が組み立てられない、45分をどう配分すればいいか分からない。この悩みは普遍的で、需要が枯れません。個人指導でもグループ講座でも成立します。

模擬授業と実習の指導

養成講座の実習前、就職の採用試験前に需要が集中します。1回60分の個人指導で5,000円から1万円程度の価格帯が中心です。録画した授業を見て講評を返す形なら、同期の時間を取らずに済むため、副業として組み込みやすくなります。

やさしい日本語の研修

企業と自治体の両方に需要があります。外国人材を受け入れている現場で、指示が伝わらない、事故が起きるという課題が現実にあるため、研修の必要性が説明しやすい領域です。単価も高く、継続契約になりやすい特徴があります。

ビジネス日本語と敬語の指導

企業に勤める外国人社員向けの研修です。メールの書き方、電話対応、会議での発言。日常会話ができる人が次に詰まる場所を教える形になります。企業が費用を負担するため、個人向けより単価が上がります。

試験対策の集中講座

日本語能力試験などの実施時期の前に需要が立ち上がります。期間限定で開催し、終わったら休むという運用ができるため、本業が忙しい時期を避けて組めます。副業として季節性を利用する形は、無理が出にくい方法です。

値付けの考え方を形式ごとに

ここが最も相談を受ける部分です。値付けを間違えると、忙しいのに手元に残らない状態になります。

個人指導は時間単価で決める

1対1の指導は、時間が完全に拘束されるため、時間単価で考えます。目安は1時間あたり4,000円から1万円です。ここで見落としやすいのが準備時間です。60分の指導に30分の準備が要るなら、実質の時間単価は3分の2になります。準備込みで計算して、それでも納得できる金額を提示してください。

グループ講座は席数で決める

同じ90分でも、受講者が8人いれば収入は8倍になります。1人あたり3,000円から6,000円の価格帯で、定員6人から10人という設計がよく見られます。ただし、集まらなければ開催できません。最低開催人数を先に決めて告知に書いておくと、無理な開催をせずに済みます。

企業研修は1回いくらで決める

企業向けは、受講者数ではなく実施1回で見積もるのが通例です。2時間の研修で5万円から15万円、資料作成が別途必要な場合は3万円から10万円を加算する形が一般的です。交通費と、オンラインの場合の接続確認の時間も見積もりに含めます。企業側は年度の予算で動くため、早い時期に提案しておくと通りやすくなります。

録画講座は積み上がる代わりに立ち上がりが遅い

一度作れば売り続けられるのが録画型の利点です。反面、最初の収入が出るまで時間がかかります。3時間分の講座を作るのに40時間前後かかることも珍しくありません。本業がある方は、まず対面かオンラインのライブ形式で内容を固め、繰り返し使えると確認できてから録画に回す順番を勧めます。作ってから売れるかを確かめるのは、順番が逆です。

手数料が手取りをどう削るか

プラットフォームを使う場合、手数料が20%前後かかることがあります。5万円の研修なら1万円が引かれます。年間で20回受ければ20万円です。集客を任せる対価として妥当な場合もありますが、自分で受注できる関係ができたあとも払い続ける必要はありません。手数料0%で直接やり取りできる経路を並行して持っておくと、同じ働き方で手取りが変わります。

始め方を6つの段階で

準備さえすれば、40代からでも50代からでも遅くありません。順番を守ることのほうが大事です。

教える相手を1人に絞る

「日本語教師を目指す人向け」では広すぎます。「養成講座を修了したが、まだ教壇に立ったことがない人」まで絞ります。絞るほど、告知の文章が具体的になり、届きやすくなります。

解決する悩みを1つに決める

その相手が持つ悩みを1つ選びます。教案が書けない、模擬授業で頭が真っ白になる、就職の面接で何を話せばいいか分からない。1講座1テーマが原則です。詰め込むと、受講者が何を得られるか分からなくなります。

内容を90分に収める

初回は90分で設計します。これより長いと集中が切れ、これより短いと物足りなくなります。90分のうち、説明50分、演習25分、質疑15分という配分が扱いやすい形です。

少人数で試す

いきなり有料で大人数を集めようとせず、まず3人ほどに試します。無料でも、割引価格でも構いません。目的は収入ではなく、内容が伝わるかの確認です。ここで出た質問が、次の告知文の材料になります。

告知文を作る

誰向けか、何が解決するか、いつどこで、いくらか。この4点だけで足ります。長い自己紹介より、受講後に何ができるようになるかを書いたほうが申し込みが入ります。

値上げの前に回数を重ねる

同じ講座を3回から5回実施すると、内容が安定し、準備時間が半分以下になります。準備が減った段階で価格を見直すと、時間あたりの収入が明確に上がります。最初から高く付けるより、この順番のほうが確実です。

受注の経路をどう作るか

講座は作っただけでは売れません。誰かが見つけられる場所に置く必要があります。

法人向けの研修は、業務委託の案件として募集されることがあります。研修やコンサルティングの案件がどういう形で流通しているかはITコンサルティング・講師のお仕事を見ると輪郭がつかめます。分野は違っても、講師として受注する場合の契約の形や見積もりの立て方は共通しているため、初めて法人案件に応募する前に目を通しておくと迷いが減ります。

個人向けの講座は、学ぶ人が集まる場所に告知を出します。日本語教師のコミュニティ、養成講座の修了生のつながり、専門分野の勉強会。共通するのは、すでに関係がある場所から始まるという点です。まったく知らない人に売るより、顔が見える範囲から始めるほうが立ち上がりが早くなります。

キャリアや働き方の相談に近い領域まで広げると、受けられる仕事の幅が増えます。人と向き合う仕事の全体像はキャリア・副業・人生相談のお仕事に整理されています。教える仕事と相談に乗る仕事は隣り合っており、実際に両方を受けている方は珍しくありません。資格を軸に講師業へ展開した例としてはキャリアコンサルタント資格の活かし方|副業・独立ガイド【2026年版】が参考になります。資格の種類は違っても、講座化と値付けの手順は共通しています。

講座の中身をどう組み立てるか

教壇での授業と、講座の設計は似ているようで違います。授業は学期を通して積み上げますが、講座は1回で完結させる必要があります。この違いを踏まえて組み立てます。

まず、受講後にできるようになることを1文で書きます。「教案が書けるようになる」ではまだ広いので、「初級の1課分の教案を、決められた型に沿って60分で書けるようになる」まで具体化します。この1文が、講座の骨格になります。

次に、その状態に到達するために必要な手順を分解します。型を知る、素材を集める、時間配分を決める、書く、見直す。手順が5つを超えると1回では収まりません。超えたら、講座を2回に分けるか、対象を絞り直します。

そして、各手順に演習を1つずつ付けます。聞いているだけの90分は、終わったあとに何も残りません。手を動かす時間が全体の3割ほどあると、受講者の満足度が明確に変わります。日本語教育の授業設計で使っている考え方が、そのまま応用できます。

最後に、持ち帰れるものを1つ用意します。テンプレート、チェックリスト、参考資料の一覧。形のあるものが手元に残ると、受講者が周囲に紹介しやすくなります。次の受講者は、この紹介から来ます。

オンラインで実施するときの準備

在宅で講師業をするなら、実施はオンラインが中心になります。ここで手を抜くと、内容が良くても評価が下がります。

音声が最優先です。映像の粗さは我慢できますが、音が途切れると内容が伝わりません。マイクは、パソコン内蔵のものではなく、外付けのものを用意します。5,000円前後のもので十分に差が出ます。

背景と明るさも整えます。逆光になっていないか、顔が暗くないか。照明を1つ足すだけで印象が変わります。企業研修では、この見え方が発注の判断に影響することがあります。

接続は有線を基本にします。無線は、家族が動画を見ただけで不安定になります。研修の途中で切れると、その1回で信用を失います。

資料は事前に送ります。当日の画面共有だけに頼ると、受講者が手元でメモを取れません。開始24時間前までに送る運用にしておくと、担当者の印象も良くなります。

録画の可否は必ず事前に合意します。録画したものがどこまで使われるのか、二次利用の範囲はどうか。ここを曖昧にしたまま研修を行うと、あとで自分の講座が社内で無償で回ることになります。

契約と請求の実務

法人から依頼を受けるとき、手続の面で戸惑う方が多い部分です。順に整理します。

見積書は、実施1回の金額に加えて、資料作成、事前打ち合わせ、交通費を項目として分けて書きます。総額だけを書くと、あとで追加の要望が来たときに断りにくくなります。

契約は、業務委託契約書を交わすのが基本です。企業側が用意することが多いので、確認する箇所を決めておきます。実施日と時間、成果物の範囲、支払期日、キャンセルの規定、著作権の帰属。特に、作成した資料の著作権が発注側に全部移る条項が入っていることがあります。同じ内容を他社の研修でも使いたいなら、ここは交渉が必要です。

請求書は、実施後に速やかに出します。企業は締め日と支払日で動くため、締めを1日過ぎると入金が1か月ずれます。副業として収入を見込んでいる場合、この1か月の差は無視できません。

報酬から源泉徴収される場合があります。講演料や研修料は源泉徴収の対象になる区分に該当することがあり、支払われる金額が見積もりより少なくなります。差し引かれた分は確定申告で精算します。制度の詳細は国税庁の資料で確認してください。想定より入金が少ないと慌てる方が多いので、先に知っておくと落ち着いて対応できます。

個人指導を継続に変える

単発の指導は、依頼が来るたびに集客が要ります。継続に変えられると、収入が安定します。

継続に変える方法は単純です。初回の最後に、次に取り組むべきことを提示します。「今日で教案の型は身につきました。次は、実際に使う教材で1課分を作る作業が要ります」と伝える。相手が自分の現在地と次の課題を認識できれば、継続は自然に決まります。

回数券のような形も有効です。3回分をまとめた価格を設定し、単発より1回あたりを少し下げる。受講者にとっては割安で、講師にとっては予定が読めます。

継続の相談に乗る形は、キャリアの相談と近い性質を持ちます。書く仕事や作る仕事の報酬水準も知っておくと、受講者の進路の相談に答えやすくなります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場には文章に関わる職種の相場がまとまっているので、日本語教育の周辺で働く選択肢を説明するときの材料になります。

名称と業務範囲で気をつけること

ここは正直に書きます。リスクを伏せて始めると、あとで困るのは皆さんです。

日本語教育に関する資格の制度は新しく整備され、資格の呼称と、その呼称を使える範囲について定めがあります。根拠となるのは、日本語教育機関の認定等及び日本語教育を行う者の資格等に関する法律です。自分の肩書きを講座の告知にどう書けるかは、この法律と所管省庁が公表している資料に照らして確認してください。他の人が使っている表記をそのまま真似るのは危険です。

もう一点。企業研修の相談を受けると、日本語教育の範囲を超えた質問が混ざってきます。在留資格の手続はどうすればいいか、雇用契約の書類はどう作ればいいか。これらは行政書士法や社会保険労務士法などの各業法が定める業務に関わる領域です。日本語の運用や教育の設計については専門家として答えられますが、手続の可否や書類の作成については断定しない。「その部分は専門の資格者に確認してください」と伝えるのが、講師として正しい対応です。行政手続の専門資格の輪郭は行政書士で確認できます。線がどこにあるかを知っておくと、相談を受けたときに迷いません。

実績をどう見せるか

法人に提案するとき、必ず聞かれるのが実績です。教壇に立った年数だけでは、研修を任せる判断材料になりません。

見せ方には型があります。まず、これまで関わった学習者の層を数で示します。「初級から中級の成人学習者を延べ300人以上」「就労目的の学習者が全体の6割」といった形です。相手の現場と重なるほど、説得力が出ます。

次に、実施した講座の記録を残します。日時、対象、人数、テーマ、受講者からの声。3件もあれば提案書に載せられます。最初は少人数の勉強会でも構いません。回数を重ねた事実そのものが材料になります。

そして、研修の目的に対して何ができるかを言い換えます。企業が求めているのは「日本語を教えてほしい」ではなく、「指示が伝わらない状態を解消したい」です。日本語教育の言葉のまま提案すると、担当者に伝わりません。相手の課題の言葉に翻訳して提示できる人が、選ばれています。

なお、講師業では資料作りの手間が意外に重くのしかかります。スライドや配布資料を短時間で整える技術があると、準備時間がそのまま利益になります。資料作成の技能を客観的に示せる資格としてはAdobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのようなものもあり、提案書や配布資料の見栄えを底上げしたい方には検討の余地があります。

副業として続けるための時間の設計

講師業は、開催日だけを見て予定を組むと必ず崩れます。実際に必要な時間は、開催時間の2倍から3倍です。

90分の講座なら、初回は資料作成に6時間前後、事前の連絡と当日の準備に1時間、終了後の質問対応に1時間ほど見ておきます。2回目以降は資料が再利用できるので、合計3時間程度まで落ちます。この落ち方を前提に計画すると、無理なく回せます。

本業がある方は、月に実施できる回数の上限を先に決めてください。月2回と決めておけば、依頼が重なったときに断る判断ができます。断ることに抵抗を感じる方が多いのですが、体調を崩して穴を空けるほうが、はるかに信用を損ないます。

もう一点。準備の時間は、まとまった週末に確保しようとしないほうが安全です。家庭の予定や体調で簡単に消えます。平日の夜に30分ずつ進めるほうが、結果として仕上がります。長く続けている方は、例外なくこの分割ができていました。

つまずきやすい3つの点

集客を後回しにする

内容を完璧にしてから告知しようとすると、いつまでも始まりません。7割の完成度で告知し、残りは受講者の反応を見ながら埋める。この進め方のほうが、結果として内容が良くなります。

安く始めて上げられなくなる

最初の受講者に「無料でいいですよ」と言い続けると、その人たちに値上げを伝えるのが難しくなります。試験的な実施であることを最初に伝え、次回から有料になると先に言っておく。これだけで後の交渉が楽になります。

本業の時間を削って崩れる

副業の講座は、準備時間が読みにくいのが難点です。開催日だけでなく準備日も先に予定に入れる。入らない月は開催しない。この判断ができる人が、長く続けています。

運営者として見てきたこと

在宅ワークの市場を20年見てきた立場から、いくつか気づいたことを書いておきます。まず、講師業は在宅の仕事の中でも、実績が形として残りにくい分野です。書いたものはURLが残りますが、話したことは記録がなければ消えます。だからこそ、実施した講座の記録を自分で残しているかどうかで、3年後の受注力が大きく変わっていました。第1回の受講者が3人でも、それを書き留めておいた人は、5年後に法人へ提案する材料を持っています。

そして、講師業を副業にして続いている人には、はっきりした共通点があります。教える内容を毎回変えないことです。新しいテーマを作り続ける人は、準備に追われて収入が伸びません。同じ講座を繰り返し実施し、少しずつ改良していく人のほうが、時間あたりの収入が高くなっていました。

もう一つ、運営者として見てきた限りでは、依頼が途切れない講師は「呼びやすい人」です。日程の調整が早い、資料が事前に届く、当日の機材の確認まで自分で済ませる。教える中身の良し悪しより、担当者の手間がどれだけ減るかで次の依頼が決まっている場面を何度も見てきました。専門性は入場券であって、継続を決めるのはこの部分です。

そして、中間マージンが乗らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くの回数を頼めて、受ける側は手取りが厚くなります。研修のように単価が大きい仕事は、この差が1回ごとに効いてきます。手数料0%の経路を持つ意味は、金額そのものより、同じ働き方をしていて手取りが厚くなるという質のほうにあります。

最後に、リスクの話も正直にしておきます。講師業の副業には、収入が読みにくいという弱点があります。企業研修は年度の予算に左右され、個人向けの講座は季節で申し込みが増減します。良い月と悪い月の差が3倍になることも珍しくありません。ですから、本業を辞める判断は、講師業だけの収入で決めないでください。書く仕事や監修のように、季節性の違う収入源を1つ組み合わせておくと、波が打ち消し合います。これは実際に長く続けている方に共通する形でした。焦って一本に絞る必要はありません。

皆さんがこれまで教壇で積み上げてきたものは、そのままでは形が見えません。講座という形にして初めて、値段が付き、人に届きます。まずは1つ、誰か1人の悩みに答える90分を作るところから始めてください。

よくある質問

Q. 日本語教師の講師業は、経験何年から始められますか?

明確な下限はありませんが、教える人に教える講座は実務経験3年程度から説得力が出ます。経験が浅い段階では、学習者向けの個人指導や試験対策から始めて実績を作るのが現実的です。企業研修は現場の課題を語れることが前提になるため、受け入れ現場を見た経験があると強くなります。

Q. 講座の値段はどう決めればいいですか?

形式ごとに考え方が違います。個人指導は準備時間を含めた時間単価で1時間4,000円から1万円、グループ講座は1人3,000円から6,000円で定員を設定、企業研修は実施1回あたり5万円から15万円が目安です。同じ内容を3回から5回実施して準備時間が減った段階で見直すと上げやすくなります。

Q. 受講者はどうやって集めればいいですか?

すでに関係がある場所から始めるのが最短です。日本語教師のコミュニティ、養成講座の修了生のつながり、勉強会などで告知します。告知文には誰向けか、何が解決するか、日時、価格の4点を書きます。初回は3人ほどの少人数で試し、そこで出た質問を次の告知文に反映させてください。

Q. 講座の告知に資格名を書くとき、注意点はありますか?

日本語教育に関する資格の呼称と使用の範囲には法律上の定めがあります。日本語教育機関の認定等及び日本語教育を行う者の資格等に関する法律と、所管省庁が公表している資料に照らして、自分の肩書きをどう書けるかを確認してください。他の人の表記をそのまま真似るのは避けたほうが安全です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月21日最終更新:2026年8月27日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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