問い合わせ管理ツールを選ぶ前に整理したい、対応漏れが起きる原因

@SOHO編集部
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問い合わせ管理ツールを選ぶ前に整理したい、対応漏れが起きる原因

この記事のポイント

  • ✓問い合わせ管理ツールを選ぶ前に
  • ✓対応漏れや二重返信が起きる原因を整理しました
  • ✓ツールを入れる前に決めること

まず、安心してください。問い合わせへの返信が漏れたり、同じお客様に2人が返信してしまったりするのは、担当する人の注意が足りないからではありません。多くの場合、問い合わせを受けてから返信するまでの流れのどこかに、漏れが起きやすい「すき間」があることが原因です。

問い合わせ管理ツールは、そのすき間を埋めるための道具です。ただ、すき間の場所を確かめないままツールを入れると、「高いツールを入れたのに、相変わらず返信が漏れる」ということが起こります。ツールは、決まりのない受付を自動で整えてはくれないからです。

この記事では、問い合わせの対応漏れが起きる原因を先に整理し、ツールを入れる前に決めておくこと、Excelや共有のメールボックスで管理する場合の限界、主なツールの料金と無料の範囲、選ぶときの確認項目、そして導入後に漏れを防ぐ運用までを順に説明します。

問い合わせ管理ツールとは何か

問い合わせ管理ツールとは、メールやフォーム、チャットなどから届いた問い合わせを1か所に集め、1件ごとに担当者と対応の状況を記録しながら、返信までを管理する仕組みのことです。

問い合わせの窓口がメール1つだけだったころは、メールソフトだけで管理できていました。いまは、ホームページのフォーム、メール、チャット、SNSのメッセージなど、窓口が複数にまたがることが珍しくありません。問い合わせ管理ツールを提供する会社も、背景を次のように説明しています。

窓口が増加するにつれ、複雑化する問い合わせを管理し、優れた顧客体験を提供するためのツールとして注目されているのが問い合わせ管理ツールです。 出典: tayori.com

文中の「顧客体験」とは、お客様が問い合わせをしてから回答を受け取るまでに感じる、分かりやすさや待ち時間の短さのことです。返信が遅れたり漏れたりすると、この体験が大きく損なわれます。

対応漏れが起きる7つの原因

問い合わせの対応漏れには、よくある原因がいくつかあります。自分たちの受付がどれに当てはまるかを確かめながら読んでください。

原因1:窓口が分かれていて、全体が見えない

フォームからの問い合わせは担当者Aのメールに、代表アドレスへのメールは共有のメールボックスに、チャットはまた別の画面に届く。このように窓口ごとに届く先が分かれていると、全体で何件の問い合わせが未対応なのかを、誰も把握していない状態になります。1つの窓口だけを見て「今日は落ち着いている」と思っていたら、別の窓口に問い合わせがたまっていた、ということが起こります。

原因2:担当者が決まらないまま時間がたつ

共有のメールボックスに届いた問い合わせは、全員が見ている一方で、誰の担当でもありません。「誰かが返信するだろう」と全員が思ったまま、数日がたつ。対応漏れのいちばん多い原因は、実はこれです。

原因3:対応の状況が見えない

メールソフトの「既読」は、誰かが開いたことしか示しません。開いたけれど調べ物の途中なのか、返信を書いている途中なのか、返信が終わったのかは、外から分かりません。既読になっているので対応済みだと思い込み、そのまま放置される問い合わせが出てきます。

原因4:返信したかどうかの記録が残らない

担当者が自分のメールソフトから返信すると、ほかの人からは返信したかどうかが見えません。返信した文面も、その担当者のメールソフトの中にしか残りません。お客様から「先日の件ですが」と再度の問い合わせが来たとき、別の担当者が前の経緯を追えず、同じ説明を繰り返させてしまいます。

原因5:二重返信

原因2と原因4が重なると、今度は逆に、2人の担当者が同じ問い合わせに別々に返信してしまうことがあります。内容が食い違っていれば、お客様の不信につながります。料金や納期のように数字が入る返信で食い違いが起きると、どちらの数字が正しいのかを確かめる問い合わせが新たに届き、受付の手間がさらに膨らみます。

原因6:休みや異動で引き継ぎが途切れる

担当者が休みの日や、異動・退職のときに、対応中の問い合わせが引き継がれないまま止まります。担当者の頭の中やメールソフトの中にしか状況が残っていないと、引き継ぎそのものができません。

原因7:期限の目安がない

「何日以内に返信する」という目安がないと、急ぎでない問い合わせは後回しにされ続けます。気づいたときには1週間たっていた、ということが起こります。とくに、答えるのに調べ物が必要な問い合わせや、社内の誰かに確認が必要な問い合わせほど、手を付けにくいので後回しになりやすく、結果として大事な問い合わせほど返信が遅れる、という逆転が起こりがちです。

対応漏れが起きやすい時期と場面

同じ受付の仕組みでも、漏れが起きやすい時期と場面があります。あらかじめ知っておくと、その時期だけ確認を厚くするといった手が打てます。

連休の明け

連休の間にたまった問い合わせが、休み明けの朝に一度に届いているように見えます。件数が多いと、古いものから順に返信しているつもりでも、途中で新しい問い合わせが割り込み、連休中の1件が埋もれることがあります。休み明けは、まず件数を数え、担当を割り振ってから返信を始めます。

告知やキャンペーンの直後

新しいサービスの告知や、料金の改定の案内を出した直後は、問い合わせが急に増えます。似た内容の問い合わせが続くので、返信のひな形を告知の前に用意しておくと、返信の時間を大きく短くできます。

担当者の休みと重なるとき

いつもの担当者が休みの日に、その人宛ての問い合わせが届くと、ほかの人は手を出してよいのか迷い、そのまま止まります。休みに入る前に、対応中の問い合わせの引き継ぎ先を決めておく決まりを作ります。

営業時間外に届いたもの

夜間や休日に届いた問い合わせは、翌営業日の朝にまとめて確かめる決まりにしておかないと、平日の昼に届いた問い合わせに紛れて見落とされます。受付の画面や自動返信に、返信は営業時間内に行うことを書いておくと、お客様にも待ち時間の見通しが伝わります。

原因を見ると、ツールだけでは解決しないことが分かる

7つの原因を見直すと、ツールで解決しやすいものと、決まりがないと解決しないものに分かれます。

・ツールで解決しやすいもの:原因1(窓口の分散)、原因3(状況が見えない)、原因4(記録が残らない)
・決まりとツールの両方が必要なもの:原因2(担当が決まらない)、原因5(二重返信)、原因6(引き継ぎ)
・決まりで解決するもの:原因7(期限の目安がない)

問い合わせ管理ツールは、窓口を1か所に集め、状況を見えるようにし、記録を残すことは得意です。けれども、「誰が担当するか」「何日以内に返すか」は、チームが決めなければツールは動きません。ツールを選ぶ前に、次の節で説明する決まりを作っておくことが、対応漏れを防ぐいちばんの近道です。

ツールを入れる前に決めておくこと

ツールの選定に入る前に、次の5つを決めて、短い文書にしておきます。

担当者の決め方

届いた問い合わせの担当を、どう決めるかを決めます。「当番の人がすべての問い合わせの担当を割り振る」「内容の種類ごとに担当を決めておく」「最初に開いた人が担当になる」など、やり方はいくつかありますが、大事なのは「担当者のいない問い合わせを作らない」ことです。

対応の段階

問い合わせの状況を、いくつの段階で表すかを決めます。たとえば「未対応」「対応中」「お客様の返事待ち」「完了」の4段階です。段階が多すぎると更新が面倒になるので、4から5段階程度に収めます。

返信の目安の時間

「1営業日以内に一次返信する」のように、返信の目安を決めます。すぐに答えられない問い合わせでも、「確認して○日までに回答します」と一次返信をしておけば、お客様の不安は大きく減ります。

繰り返し届く質問への返信の文面

同じ内容の問い合わせが繰り返し届くなら、返信の文面のひな形を用意します。担当者による説明のばらつきが減り、返信にかかる時間も短くなります。

自分で答えられないときの回し先

料金の個別の相談や、契約に関わる問い合わせなど、担当者だけで答えられない問い合わせを、誰に回すかを決めておきます。回し先が決まっていないと、担当者が抱え込んだまま止まります。

一次返信の書き方

返信の目安の時間を守るうえで役に立つのが、一次返信です。すぐに答えが出せない問い合わせでも、受け取ったことと、いつまでに回答するかを先に伝えておくと、お客様は安心して待てます。

一次返信に入れたいのは、次の4つです。

・問い合わせを受け取ったこと
・回答までの見込みの日
・回答のために追加で知りたいことがあれば、その内容
・担当者の名前

文面の例を挙げます。

「〇〇様 お問い合わせいただきありがとうございます。担当の△△です。お問い合わせの件、社内で確認のうえ、□月□日までにご回答いたします。確認のため、ご利用中のプラン名をお知らせいただけますでしょうか。」

この程度の短い文面でも、お客様が「届いていないのでは」と心配して同じ問い合わせを送り直したり、電話をかけてきたりすることが減ります。見込みの日を書いたら、その日を問い合わせの記録に残し、過ぎていないかを毎朝の確認で見ます。

一次返信を自動返信で済ませる方法もありますが、自動返信は「受け付けました」までしか伝えられません。回答の見込みや追加で知りたいことは、担当者が内容を読んでから送る一次返信でしか伝えられないので、自動返信と一次返信は別のものとして考えます。

Excelや共有のメールボックスで管理する場合

ツールを入れる前に、まずはExcelやスプレッドシート、共有のメールボックスで管理を始める会社も多くあります。費用がかからず、すぐに始められるのが利点です。

Excelでの管理のやり方

スプレッドシートに、受付日、お客様の名前、問い合わせの内容の要約、担当者、段階、返信日、メモの列を作ります。問い合わせが届いたら1行加え、担当者が段階と返信日を更新します。毎朝、「未対応」と「担当者が空欄」の行を絞り込んで確かめる習慣をつけると、漏れはかなり減ります。

限界が出やすいところ

一方で、この方法には限界もあります。

1つ目は、転記の手間です。届いたメールやフォームの内容を、毎回スプレッドシートに書き写す必要があります。件数が増えるほど、この作業そのものが漏れの原因になります。

2つ目は、返信の記録が別の場所に残ることです。スプレッドシートには「返信した」とは書けても、何と返信したかは、担当者のメールソフトの中にしかありません。

3つ目は、同時に更新するときの混乱です。複数の人が同じ行を同時に直したり、絞り込みをかけたまま別の人が行を加えたりすると、表が崩れることがあります。

目安として、1日の問い合わせが数件で、担当者が1人か2人なら、Excelでの管理で十分に回ります。件数が増えたり、担当者が3人以上になったりして、転記や確認に毎日まとまった時間を取られるようになったら、ツールを検討する時期です。

問い合わせ管理ツールの種類

問い合わせ管理ツールには、得意なことの違いによって、いくつかの種類があります。

メールの共有に強いもの

共有のメールボックスに届くメールを、担当者と段階を付けて管理することに強いツールです。メールでの問い合わせが中心の会社に向いています。誰がどのメールを担当しているか、返信したかどうかが、チーム全員から見えるようになります。

このとき大事なのは、お客様に案内する問い合わせ先を、担当者個人のメールアドレスではなく、共有のアドレスにそろえておくことです。担当者個人のアドレスに届いた問い合わせは、ツールに集まらず、その人が休んだり異動したりすると途切れます。名刺や見積書、メールの署名に書いている連絡先も、あわせて見直しておくと、問い合わせの入り口が自然に1か所に集まります。

フォームでの受付に強いもの

フォームで問い合わせや申し込みを受け付け、届いたあとの担当と段階の管理、返信までを1つの画面で扱うことに強いツールです。問い合わせの多くがホームページのフォームから届く会社や、応募や申し込みの受付と問い合わせを同じ仕組みで扱いたい会社に向いています。

複数の窓口をまとめるもの

メール、フォーム、チャット、SNSのメッセージなど、複数の窓口からの問い合わせを1か所に集めるツールです。窓口の数が多い会社に向いていますが、機能が多い分、料金も高めになる傾向があります。

顧客管理と一体になったもの

お客様の情報や商談の記録と、問い合わせの履歴を一緒に管理するツールです。営業とサポートが同じお客様を担当する会社に向いています。

自分たちの問い合わせが、どの窓口からどのくらい届いているかを、1か月分数えてみると、どの種類が合うかが見えてきます。

主なツールの料金と無料の範囲

ここでは、公式サイトで今日時点の料金を確かめた例を挙げます。料金や条件は改定されることがあるので、申し込む前に必ず公式の料金ページを開いて確かめてください。

Tayori(タヨリ)

フォーム、よくある質問のページ、アンケート、チャットを組み合わせて使える、カスタマーサポート向けのツールです。Tayoriの料金プランによると、プランは次の4つです(金額は税抜)。

・フリープラン:0円。利用者1人、フォーム・よくある質問のページ・アンケートをそれぞれ1つまで
・スタータープラン:月額3,800円。利用者3人、フォーム・よくある質問のページ・アンケートをそれぞれ3つまで、有人チャット1つまで
・プロフェッショナルプラン:月額11,980円。利用者10人、フォーム・よくある質問のページ・アンケートは無制限、有人チャット3つまで、AIチャットボット
・エンタープライズプラン:月額25,400円(年間契約、初期費用50,000円)。利用者11人から30人

フリープランでは、フォームからの返信は1か月10件までと案内されています。有料のスタータープランとプロフェッショナルプランには、14日間の無料体験があります。

Re:lation(リレーション)

メール、チャット、電話など複数の窓口からの問い合わせを集め、チームで管理するツールです。提供する株式会社インゲージの公式サイトでは、月額費用15,000円からと案内されています。人数や容量によって費用が変わるので、詳しくは公式の案内で確かめます。

料金の見方

問い合わせ管理ツールの料金は、利用者の人数、作れるフォームや窓口の数、返信できる件数など、いくつもの区切りで決まります。比べるときは、自分たちの人数と1か月の問い合わせの件数を先に数えておき、その条件でいくらになるかを計算します。

無料プランは、1人で試すための範囲に絞られていることが多く、チームで使うと早い段階で有料が必要になります。無料体験の期間に、実際の問い合わせを使って試すのが確実です。

選ぶときに確かめる項目

ツールを選ぶときに確かめたい項目を整理します。比べるツールごとに表にして埋めていくと、違いが分かりやすくなります。

自分たちの窓口に対応しているか

メールだけか、フォームもか、チャットやSNSもか。いま使っている窓口と、これから増やす予定の窓口に対応しているかを確かめます。

担当者と段階を記録できるか

1件ごとに担当者を割り当てられるか、段階を自分たちの決まりに合わせて設定できるかを確かめます。

返信の記録が残るか

ツールの画面から返信でき、その返信の文面と日時が、問い合わせの履歴として残るかを確かめます。返信したメールが読まれたかどうかまで分かるツールもあります。

人数と料金の関係

何人まで使えて、人数が増えるといくらになるかを確かめます。閲覧だけの人を人数に数えるかどうかも、ツールによって違います。

返信のひな形

よくある質問への返信の文面を保存して、使い回せるかを確かめます。

書き出しと連携

問い合わせの記録をCSVなどで書き出せるか、チャットツールやスプレッドシートに通知を送れるかを確かめます。やめるときに記録を持ち出せるかも、ここで確かめておきます。

試せるかどうか

ツールの使い勝手は、実際に触ってみないと分かりません。問い合わせ管理ツールを提供する会社も、選ぶときのポイントとして次のように書いています。

問い合わせ管理システム・ツールを選ぶときの10個目のポイントは、「料金・トライアル期間があるか」です。問い合わせ管理システムの使い勝手や自社との相性は、実際に使ってみなければわかりません。 出典: tayori.com

無料プランか無料体験があるツールを選び、実際の問い合わせで2週間ほど試してから決めます。

ツールの導入を進める手順

ツールの候補が決まったら、いきなり全員で使い始めるのではなく、次の順で進めると定着しやすくなります。

1. 解決したいことを1行で書く

「共有のメールボックスで担当者が決まらず、返信が漏れている」のように、ツールで解決したいことを1行で書きます。これが、あとでツールが役に立ったかどうかを判断する基準になります。

2. 試す人と期間を決める

受付を担当している人の中から2人ほどを選び、2週間の試用期間を決めます。実際に届いた問い合わせを、試すツールでも管理してみます。

3. 決まりをツールに合わせて書き直す

試用の中で、担当の決め方、段階の名前、返信のひな形を、ツールの設定に合わせて書き直します。ここで作った文書が、全員に広げるときの説明書になります。

4. 全員に広げ、古いやり方を止める日を決める

試用でうまく回ることを確かめたら、全員に広げます。このとき、スプレッドシートや共有のメールボックスでの管理を止める日を決めておきます。古いやり方と新しいやり方が並んで続くと、どちらにも記録が残らない問い合わせが出てきます。

5. 1か月後に振り返る

最初に書いた1行の「解決したいこと」が解決したかを、1か月後に確かめます。返信の漏れが減ったか、一次返信までの時間が短くなったかを、件数と日数で見ます。

導入後に対応漏れを防ぐ運用

ツールを入れたあとも、運用の決まりがなければ漏れは起こります。導入後に続けたい運用を整理します。

毎朝、未対応と担当者なしを確かめる

始業後すぐに、「未対応」の問い合わせと、「担当者が決まっていない」問い合わせを確かめ、ゼロにします。この確認を当番制にすると、特定の人に負担が偏りません。

段階の更新をその場で行う

返信したら、その場で段階を「お客様の返事待ち」や「完了」に変えます。あとでまとめて更新しようとすると、更新が漏れ、状況が見えなくなります。

週に一度、長く止まっている問い合わせを見直す

「対応中」のまま3日以上たっている問い合わせを、週に一度まとめて確かめます。止まっている理由が、調べ物なのか、社内の判断待ちなのかを確かめ、必要なら回し先に相談します。

繰り返し届く質問の答えをホームページで公開する

同じ質問が月に何度も届くなら、ホームページの「よくある質問」のページに掲載します。問い合わせの件数そのものが減り、お客様も待たずに答えを得られます。

月に一度、件数と返信までの時間を見る

1か月の問い合わせの件数と、一次返信までにかかった時間を記録します。件数が増えているのに返信までの時間が延びているなら、担当者の数や段階の決まりを見直す時期です。

規模別に見た運用の例

最後に、受付の規模別に、運用の組み立て方の例を挙げます。自分たちに近いものを出発点にしてください。

1人で受けている場合

個人事業や小さな店舗で、問い合わせを1人で受けている場合は、担当を決める必要がありません。漏れの原因になるのは、窓口の分散と期限の目安がないことです。フォームとメールの通知を1つの受信箱に集め、未返信の問い合わせに印を付けておく決まりにするだけで、多くの漏れは防げます。件数が少ないうちは、スプレッドシートの一覧でも十分です。

2人から5人で分担している場合

担当の決め方と段階の決まりが、もっとも効いてくる規模です。当番制で毎朝担当を割り振り、段階を4つに絞って運用します。この規模から、転記の手間と返信の記録の分散が負担になり始めるので、担当者と段階を記録でき、返信も同じ画面から送れるツールを検討する価値が出てきます。

6人以上や、複数の部署で受けている場合

窓口の数も、担当者の数も多くなります。問い合わせの種類ごとに回し先を決め、部署をまたぐ問い合わせの扱いを決めておかないと、部署の間で問い合わせが行き来したまま止まります。権限で見られる範囲を分けられるか、操作の記録が残るかといった点も、ツール選びの大事な条件になります。

どの規模でも共通するのは、「担当者のいない問い合わせを作らない」「段階を必ず更新する」「目安の日を過ぎたものを毎朝確かめる」の3つです。ツールはこの3つを楽にするための道具であり、3つの決まりそのものの代わりにはなりません。

問い合わせで受け取る個人情報の扱い

問い合わせには、お客様の名前、メールアドレス、電話番号、ときには契約の内容など、個人情報が含まれます。ツールを選ぶときも運用するときも、扱いに気をつける必要があります。

基本は、何のために使うかを問い合わせの受付の画面に書いておくこと、問い合わせの記録を見られる人を担当に必要な範囲に限ること、不要になった記録を削除することです。ツールを選ぶときは、データがどこに保存されるか、見られる人を権限で分けられるか、操作の記録が残るかを確かめます。

個人情報の扱いの考え方は、個人情報保護委員会のサイトで確認できます。具体的な表示の仕方や保存の期間は、事業の内容によって変わるので、判断に迷う場合は専門家に相談してください。

フォームで受け付けて、返信まで同じ画面で回したいときの選択肢

問い合わせの多くがホームページのフォームから届き、「受付」「担当と段階の管理」「返信」を、フォームとスプレッドシートとメールソフトの3つに分けて回しているなら、それを1つにまとめるツールが候補になります。

そうした用途のために作られたフォーム作成ツールの1つが、Halict(ハリクト)です。公式サイトの記載によると、届いた1件ごとに担当者と段階(ステージ)が残り、返信も同じ画面から送れて、送ったメールの開封とクリックまで記録されます。ステージには「問い合わせ対応」などのひな形があり、段階は自由に増減できます。対応の履歴として、段階の変更、担当者の割り当て、メモ、メールの送信が時系列で残ります。

料金は使う人数で決まり、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限です。無料のフリープランは0円でメンバー1人まで、ステージ管理、自動返信、CSVの書き出しが使えます(フォームにHalictの表記が入ります)。メンバー3人までのスタータープランは月額2,980円、メンバー10人までのチームプランは月額7,800円(いずれも税抜、年払いは2か月分が無料)で、チームプランからは一斉メールと開封・クリックの計測、メールのひな形、Teams・Slack・Chatworkへの通知などが加わります。詳しくはHalictの紹介ページで確認できます。

Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

メールやチャットなど複数の窓口をまとめたい場合は、複数の窓口に対応したツールのほうが合います。問い合わせの入り口がフォーム中心で、届いたあとの管理と返信に手間がかかっていると感じたときに、選択肢の1つとして比べてみてください。

受付の仕組みを整える仕事と、在宅で働く人にとっての意味

最後に、在宅ワークや業務委託で働く人の立場から、問い合わせの受付の仕組みを整えることの意味を、市場のデータとあわせて整理します。

問い合わせの受付は、小さな会社ほど、仕組みが整わないまま担当者の頑張りで回っています。その仕組みづくりを外部に頼みたいという需要は少なくありません。たとえばRPA・業務自動化ツールのお仕事では、決まった手順の作業を自動化して、人の手間を減らす仕事が紹介されています。フォームから届いた問い合わせをチャットツールに通知する、段階が変わったら記録を更新する、といった自動化は、この仕事の身近な例です。

単価の面から見ても、仕組みを作れる人は評価されます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ると、経験を積んだ人ほど単価が上がる傾向があり、ツールの設定だけでなく、業務の流れまで設計できる人ほど、その傾向がはっきりします。

マーケティングやセキュリティの分野でも、問い合わせの受付は入り口として大事な場所です。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように、問い合わせから商談につなげる流れや、受け取った個人情報を守る仕組みを整える仕事もあります。

返信の文面を整える仕事も、在宅でよく依頼されます。著述家,記者,編集者の年収・単価相場が示すように、文章の仕事は幅が広く、よくある質問のページや返信のひな形を、お客様に分かりやすい言葉で書き直す仕事はその一つです。

フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、長く続く人ほど、依頼主の「困っているけれど言葉にできていないこと」を見つけるのが上手です。問い合わせの返信が漏れる、という悩みの裏には、担当の決め方や段階の決まりがないという原因が隠れていることが多く、そこを整理して提案できる人は、ツールの設定以上の価値を出せます。仲介の手数料がかからない直接の取引なら、同じ予算でも受け手の手取りは厚くなり、依頼する側はその分だけ多くの改善を頼めます。手数料0%の取引で長い関係を築くためにも、受付の仕組みを整える知識は、身につけておく価値のある武器になります。

よくある質問

Q. 問い合わせの対応漏れがいちばん起きやすい原因は何ですか?

多いのは、共有のメールボックスに届いた問い合わせの担当者が決まらないまま時間がたつことです。全員が見ているのに、誰の担当でもないため、「誰かが返信するだろう」と思ったまま放置されます。届いた問い合わせに必ず担当者を割り当てる決まりを作り、毎朝、担当者のいない問い合わせがゼロかを確かめると、漏れは大きく減ります。

Q. 問い合わせ管理はExcelでもできますか?

できます。受付日、お客様の名前、内容の要約、担当者、段階、返信日の列を作り、毎朝未対応の行を確かめれば、1日数件で担当者が1人か2人の規模なら十分に回ります。件数や担当者が増え、転記や確認に毎日まとまった時間を取られるようになったら、ツールを検討する時期です。

Q. 問い合わせ管理ツールに無料で使えるものはありますか?

あります。たとえばTayoriの料金ページでは、利用者1人で、フォームなどをそれぞれ1つまで作れるフリープランが案内されています。ただし、無料プランは1人で試すための範囲に絞られていることが多く、チームで使うと早い段階で有料が必要になります。有料プランの無料体験を使い、実際の問い合わせで試してから決めると安心です。

Q. ツールを入れる前に決めておくことは何ですか?

担当者の決め方、対応の段階(未対応、対応中、返事待ち、完了など)、一次返信までの目安の時間、よくある質問への返信のひな形、自分で答えられないときの回し先の5つです。ツールは窓口を集めて状況を見えるようにするのは得意ですが、誰が担当するか、何日以内に返すかはチームが決めないと動きません。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年3月23日最終更新:2026年10月4日
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