情報処理の資格|ITパスポートから応用情報までの選び方


この記事のポイント
- ✓情報処理資格のおすすめを
- ✓IPAの情報処理技術者試験の区分と2027年度からの新試験制度の予定にそって整理しました
- ✓ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報・応用情報の違い
情報処理資格のおすすめを調べている人は、IT の仕事に就きたい人、今の仕事でパソコンやシステムを扱う機会が増えた人、就職や転職の前に知識を形にしておきたい人のどれかに当てはまることが多いはずです。最初に結論を書くと、国の情報処理の資格を選ぶなら、IT を使う側の人はITパスポート試験、セキュリティの担当を任された人は情報セキュリティマネジメント試験、IT の仕事に就く人は基本情報技術者試験、そのあとに応用情報技術者試験という順番が基本になります。
ただし、2026年は選び方に影響する大きな変化の年です。情報処理推進機構(IPA)は、2027年度から新しい試験制度に移る予定を公表しており、現行の試験制度は2026年度の試験をもって終わる予定です。この記事では、現行の試験区分の違い、目的別の選び方、新試験制度で何が変わるか、勉強の進め方、資格を仕事に生かす方法を、IPA の公式ページで確かめた内容にもとづいて整理します。
情報処理の資格とはどんな資格か
情報処理の資格と言うとき、多くの場合は IPA が実施している情報処理技術者試験を指します。IPA の試験の概要によると、情報処理技術者試験は「情報処理の促進に関する法律」にもとづいて経済産業省が、情報処理技術者としての知識と技能が一定以上の水準であることを認定している国家試験です。特定の製品やソフトウェアに関する試験ではなく、情報技術の背景として知るべき原理と基礎を幅広く問う試験と説明されています。合格者には経済産業大臣の署名が入った合格証書が交付されます。
試験は13の区分に分かれている
IPA の試験区分一覧によると、現行の試験制度(平成29年度春期から)では、情報処理技術者試験の12区分と、情報処理安全確保支援士試験の1区分があります。大きく分けると次の4つの段階です。
- IT を使うすべての社会人向けの共通の知識を問う、ITパスポート試験(略号 IP)
- IT を安全に使う役割の人向けの、情報セキュリティマネジメント試験(略号 SG)
- IT の仕事をする人向けの基本の知識と技能を問う、基本情報技術者試験(略号 FE)と、応用の知識と技能を問う、応用情報技術者試験(略号 AP)
- 高度な知識と技能を問う8つの高度試験(IT ストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、IT サービスマネージャ、システム監査技術者)と、情報処理安全確保支援士試験(略号 SC)
情報処理安全確保支援士試験の合格者は、所定の登録手続きを行うと、国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」の資格保持者になれます。ほかの区分は試験に合格したことを示すもので、登録して名乗る資格ではありません。
民間の IT 資格との違い
IT の資格には、IPA の国家試験のほかに、企業やベンダー(製品を作っている会社)が運営する民間の資格があります。ネットワーク機器のシスコが運営する CCNA、クラウドの各社の認定資格、マイクロソフトのオフィスソフトの資格(MOS)などが代表例です。民間の資格は特定の製品の扱い方を深く問うものが多く、国家試験は特定の製品に偏らず、IT 全般の考え方と知識を問うのが特徴です。
どちらが上というものではなく、目的で使い分けます。たとえばネットワークの仕事に就きたい人は、基本情報技術者試験で全体の基礎を固めつつ、CCNA で機器の設定の知識を示す組み合わせがよく選ばれます。CCNA の試験範囲と学び方はCCNA(シスコ技術者認定)の資格ガイドで確かめられます。
入門の3区分の違いを比べる
情報処理資格のおすすめとして最初に名前が挙がるのが、ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験の3つです。この3つは年間を通じて CBT 方式(試験会場のパソコンで受験する方式)で実施されていて、自分の都合のよい日に受験できます。受験手数料はいずれも7,500円(消費税込み)です。
ITパスポート試験
IPA は、ITパスポート試験の対象者像を「職業人及びこれから職業人となる者が備えておくべき、ITに関する共通的な基礎知識をもち、ITに携わる業務に就くか、担当業務に対してITを活用していこうとする者」としています。つまり、IT の仕事をする人だけでなく、営業や事務や企画など、仕事で IT を使うすべての人に向けた試験です。
試験時間は120分で、四肢択一式の問題が100問出題されます。出題は、企業の活動や法律などの「ストラテジ系」、プロジェクトの管理などの「マネジメント系」、コンピュータやネットワークの仕組みなどの「テクノロジ系」の3分野です。IT の知識がまったくない人でも、教科書を1冊読み、過去の問題を繰り返し解けば合格を目指せる範囲です。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、情報システムを使う部門で、セキュリティのリーダーとして対策を進める人に向けた試験です。IPA の案内では、部門の情報資産(顧客の情報や社内の書類やデータなど、守るべき情報)を特定し、リスクを評価して対策をまとめることや、業務を外部に委託するときにセキュリティの要求を契約で明確にすることが、この試験で想定されている役割として挙げられています。
試験時間は科目Aと科目Bを合わせて120分で、合わせて60問が出題されます。総務や情報システムの担当、個人情報を多く扱う部署の人など、技術者ではないけれどセキュリティの判断を求められる人に向いています。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、IT を使ったサービスやシステムやソフトウェアを作る人に必要な基本的な知識と技能を問う試験です。IPA は「ITエンジニアとしてキャリアをスタートするには、まず基本情報技術者試験から受験することをお勧めします」と案内しています。
試験は2つに分かれていて、科目Aは90分で四肢択一式の60問、科目Bは100分で多肢選択式の20問です。科目Bでは、プログラムの考え方(アルゴリズム)と情報セキュリティの問題が出題され、プログラムを読んで動きを追う力が求められます。ITパスポート試験と比べると、技術の分野が深くなり、計算や読解の練習が必要になります。
3区分の選び方の目安
3つの違いを整理すると、次のようになります。
| 区分 | 向いている人 | 試験の中身 |
|---|---|---|
| ITパスポート試験 | 仕事で IT を使うすべての人、学生 | IT と経営と法律の共通の基礎 |
| 情報セキュリティマネジメント試験 | セキュリティを任された利用部門の人 | セキュリティの管理と対策 |
| 基本情報技術者試験 | IT の仕事に就く人、エンジニアを目指す人 | 技術の基礎とプログラムの読解 |
迷ったときは、仕事で作る側に回るかどうかで決めると分かりやすくなります。システムやプログラムを作る側に回るなら基本情報技術者試験、使う側として正しく判断できるようになりたいならITパスポート試験か情報セキュリティマネジメント試験です。
応用情報技術者試験と高度試験
基本情報技術者試験の次の段階が、応用情報技術者試験です。IPA は応用情報技術者試験の対象者像を「高度IT人材としての方向性を確立した者」としており、独力で戦略の立案やシステムの設計、運用を担える水準を想定しています。
応用情報技術者試験の中身
試験は科目Aと科目Bに分かれ、科目Aは150分で四肢択一式の80問、科目Bは150分で記述式の問題11問の中から5問を選んで答えます。記述式は、文章を読んで設問に自分の言葉で答える形式で、知識の暗記だけでは対応できません。経営戦略、プロジェクトの管理、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、技術から管理まで広い分野が出題されます。
令和8年度からは、応用情報技術者試験と高度試験、情報処理安全確保支援士試験も CBT 方式に変わりました。IPA の令和8年度前期試験の案内によると、応用情報技術者試験の申込受付期間は2026年10月6日から2026年11月7日17時までで、科目A試験は2026年10月28日から11月10日、科目B試験は2026年11月24日から12月6日の期間に実施されます。受験手数料は7,500円です。会場ごとに試験日と時間帯が違い、受験者が予約枠から選ぶ仕組みです。
高度試験と情報処理安全確保支援士試験
高度試験は、IT の分野ごとに専門の知識を問う試験で、それぞれ対象とする職種がはっきりしています。たとえばネットワークスペシャリスト試験はネットワークの設計と構築を担う人、データベーススペシャリスト試験はデータベースの設計と管理を担う人、プロジェクトマネージャ試験はシステム開発のプロジェクトを管理する人に向けた試験です。
情報処理安全確保支援士試験は、サイバーセキュリティの専門家に向けた試験で、合格して登録すると名乗れる国家資格になります。セキュリティの仕事を本格的に担いたい人の目標になる試験です。高度試験と情報処理安全確保支援士試験は、応用情報技術者試験に合格すると、合格してから2年間に行われる試験で科目A-1(共通の知識を問う試験。令和7年度までの午前I)が免除される制度があります。申込みのときに合格証書番号を入力して申請する仕組みで、詳しくは IPA の科目A-1試験免除のページで確かめられます。
2027年度から何が変わるか
情報処理資格のおすすめを考えるうえで、2026年の時点で最も大事なのが新試験制度の予定です。IPA は2026年3月31日に、見直しの検討状況を公表しました。
2027年度から新試験制度に移行する予定です。 なお、現行試験制度については、2026年度の試験実施をもって終了する予定です。 出典: IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
公表された見直しのポイントは5つです。
- 「データマネジメント試験」(仮称)の新設。主にビジネス部門を想定し、データの整備と管理のスキルを評価する試験で、ITパスポート試験の次の段階に位置づけられる
- ITパスポート試験の出題構成の変更。出題分野を「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」に整理し直し、AI 時代に対応したセキュリティと倫理の出題を強める
- 「プロフェッショナルデジタルスキル試験」(仮称)の新設。現在の応用情報技術者試験と高度試験をまとめたうえで、「マネジメント領域」「データ・AI領域」「システム領域」の3つの試験区分を設ける
- 情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験の一部変更。表記の変更などで、問う知識と技能の範囲そのものは変わらない
- 情報処理安全確保支援士試験の一部変更。マネジメント分野の強化や、試験時間と出題形式の変更
開始時期の予定は、ITパスポート試験と情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験が2027年度の春頃、データマネジメント試験とプロフェッショナルデジタルスキル試験の各試験と情報処理安全確保支援士試験が2027年度の夏頃から秋頃です。すべての試験区分が CBT 方式で実施される予定です。
受験を考えている人への影響
この予定から分かることは3つあります。
1つ目は、基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験は、問う範囲が大きく変わらないため、今から勉強を始めても無駄にならないことです。2つ目は、ITパスポート試験は2027年度の春頃から出題の分け方が変わる予定なので、それ以降に受験する人は新しいシラバス(出題範囲を詳しく示した資料)に合った教材を選ぶ必要があることです。3つ目は、応用情報技術者試験と高度試験は、現行の形で受けられるのが2026年度の試験までの予定で、それ以降はプロフェッショナルデジタルスキル試験に変わる予定であることです。
IPA は、プロフェッショナルデジタルスキル試験に現行の高度試験と同じような免除制度を設けることや、現行の試験で一部の科目の免除の条件を満たした人に、一定の期間、新しい試験で一部の科目を免除することを検討していると公表しています。なお、公表内容は検討状況であり、今後変わる可能性があると明記されています。受験の計画を立てるときは、IPA の新試験制度のページで最新の情報を確かめてください。
目的別の情報処理資格のおすすめ
ここからは、読者の目的ごとに、どの区分から始めるとよいかを整理します。
IT の仕事に就きたい未経験の人
IT の仕事に就きたい未経験の人には、基本情報技術者試験がおすすめです。採用する側から見ると、基本情報技術者試験の合格は、プログラムの考え方と IT の基礎を一通り学んだことの証明になります。いきなり基本情報技術者試験が難しく感じる場合は、ITパスポート試験で用語に慣れてから進む方法もあります。ただ、ITパスポート試験の範囲の多くは基本情報技術者試験にも含まれているため、最初から基本情報技術者試験を目指しても回り道にはなりません。
事務や営業や企画で IT を使う人
事務や営業や企画で IT を使う人には、ITパスポート試験がおすすめです。業務の効率化や新しいシステムの導入を話し合う場面で、用語が分かり、技術の担当者と話が通じるようになります。AI やビッグデータや IoT といった新しい技術の概要も出題範囲に入っているため、業務で新しい道具を使うかどうかを判断するときの土台になります。
セキュリティや個人情報を任された人
社内のセキュリティ担当や個人情報の管理を任された人には、情報セキュリティマネジメント試験がおすすめです。技術の深い知識より、リスクの評価、社内の規程、事故が起きたときの対応など、管理の考え方が中心です。情報漏えいの対策が求められる部署では、取得を推奨している会社もあります。
この試験の勉強では、社内の規程の読み方、委託先との契約で確かめる項目、事故が起きたときに誰へ何を報告するかといった、日々の業務にそのまま使える内容を学べます。技術の資格に苦手意識がある人でも、仕事で見聞きした場面と結びつけて理解しやすいのが特徴です。部署で最初にセキュリティの勉強をする人が合格しておくと、ほかのメンバーに手順を説明するときの拠り所にもなります。
すでに IT の仕事をしている人
すでに IT の仕事をしていて、次の段階を目指す人には、応用情報技術者試験がおすすめです。設計や管理まで含めた幅広い知識が問われ、リーダーやプロジェクトの管理を任される前に学んでおくと役に立ちます。ただし、現行の形での実施は2026年度までの予定なので、2027年度以降はプロフェッショナルデジタルスキル試験のどの領域を目指すかを考えて計画を立てることになります。
情報処理資格を取るメリットと注意点
取るメリット
情報処理の資格を取るメリットは、知識を客観的に示せることです。就職や転職の場面では、面接で「IT の基礎は分かります」と話すより、合格証書があるほうが判断の材料になります。IPA の試験は国家試験なので、会社の規模や業界を問わず通じる共通の物差しとして使えるのも利点です。会社によっては、資格の取得に合わせて一時金や資格手当を出したり、受験料を補助したりする制度があります。
学ぶ過程で、仕事の中で聞いたことはあっても説明できなかった用語や仕組みを、体系的に整理できるのも大きな利点です。たとえばネットワークの通信の流れ、データベースの正規化(データを重複なく整理する考え方)、暗号の仕組みなどは、仕事で断片的に触れていても、試験の勉強で初めてつながる人が多い分野です。
注意点
注意したいのは、資格だけで仕事ができる証明にはならないことです。特に IT の仕事では、実際に作ったものや担当した業務の経験が重視されます。資格は知識の土台を示すもので、そのうえに実務の経験を重ねることで評価が上がります。
もう1つの注意点は、資格を取ること自体が目的になってしまうことです。いくつも区分を受けるより、仕事の目的に合った1つの区分に集中し、合格したら学んだ知識を仕事で使うほうが、身につく力は大きくなります。また、教材や講座の宣伝の中には、合格の保証や仕事の紹介を強調するものもあります。IPA の教材などの販売に関する案内では、経済産業省と IPA は試験の講座や教材の勧誘と販売を一切行っておらず、講座を開く団体や教材を売る団体を指定や認定することもない(法令にもとづく基本情報技術者試験の科目A免除の制度は除く)と明記されています。「IPA 公認」のような言葉で勧誘されたときは、その時点で疑い、困ったときは消費生活センターに相談してください。
合格までの勉強の進め方
情報処理の資格は、正しい順番で勉強すれば独学でも十分に合格を目指せます。ここでは基本の進め方を整理します。
手順1 シラバスで範囲を確かめる
最初に、IPA が公開しているシラバスで、受ける区分の出題範囲を確かめます。新試験制度に関わる区分では、どの版のシラバスで出題されるかが受験の時期によって変わります。教材を買う前に、教材がどの版のシラバスに対応しているかを確かめると、範囲の違う教材で勉強する失敗を避けられます。
手順2 教科書を1周して全体をつかむ
次に、教科書を1冊、細かいところにこだわらずに最後まで読みます。1周目は理解できない部分があっても先に進み、全体の地図を作ることを優先します。分からなかった部分には印をつけておき、2周目以降で重点的に読み直します。
手順3 過去の問題を繰り返す
IPA は過去の試験問題を公開しており、ITパスポート試験も過去の問題を公開しています。教科書を1周したら、過去の問題を解き、間違えた問題の解説を読んで、教科書の該当部分に戻る流れを繰り返します。CBT 方式の試験は、パソコンの画面で問題を読んで答えるため、画面で問題を解く練習をしておくと本番で戸惑いません。
手順4 科目Bと記述式は時間を計って練習する
基本情報技術者試験の科目Bや、応用情報技術者試験の記述式は、時間配分が合否を分けます。本番と同じ時間を計って問題を解き、どの問題に何分かかったかを記録しておくと、本番での配分の目安ができます。プログラムの問題は、紙に変数の値の変化を書き出しながら追うと、正確に読めるようになります。
勉強時間の目安を自分で決める
勉強に必要な時間は、IT の経験や学ぶ速さによって人それぞれです。目安を決めるときは、過去の問題を1回分解いてみて、何割取れるかを確かめる方法が確実です。最初の得点が低くても、どの分野が弱いかが分かれば、勉強の計画を立てやすくなります。
申込みから合格発表までの流れ
初めて情報処理の資格を受ける人がつまずきやすいのが、CBT 方式の申込みの手順です。紙の試験のように決まった日に全国で一斉に行うのではなく、自分で会場と日時を予約する仕組みなので、流れを先に知っておくと安心です。
ITパスポート試験の場合
ITパスポート試験は、iパスの公式サイトで利用者登録をしてから、受験する会場と日時を選んで申し込みます。iパスの試験の概要によると、試験は会場によって午前・午後・夕方の3つの時間帯で行われ、試験時間は120分です。受験手数料は7,500円(消費税込み)で、受け取った手数料は理由を問わず返還されず、ほかの試験区分にも回せないと案内されています。日程を決めるときは、勉強の進み具合を見て、余裕を持った日を選ぶほうが確実です。
iパスの案内では、試験結果は受験が終わったその場で確認でき、試験結果レポートを1年間ダウンロードできるとされています。合格者の受験番号は合格発表の翌月に官報で公示され、合格証書が届きます。就職や転職の手続きで合格を証明する書類が必要になったときは、合格証明書を申請でき、交付手数料は1通700円です。
情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験の場合
この2つの試験も通年で CBT 方式により行われ、申込みの流れはITパスポート試験と似ています。IPA の受験申込みのページから、試験の運営を委託されている会社の申込みサイトに進み、利用者登録、会場と日時の予約、受験手数料の支払いの順に進めます。会社でまとめて受験料を払う場合などに使える、バウチャーチケット(受験手数料を前払いする電子的なチケット)も用意されています。
応用情報技術者試験と高度試験の場合
応用情報技術者試験と高度試験と情報処理安全確保支援士試験は、令和8年度から CBT 方式になりましたが、通年ではなく決まった期間に行われます。前の節で書いたとおり、申込受付期間の中で科目A群と科目B群の両方の予約を同時に行い、支払い方法はクレジットカード、コンビニや銀行の ATM(Pay-easy)、バウチャーチケットのいずれかから選びます。申込みは1回だけで、複数の試験区分や複数回の申込みはできないと案内されています。
身体の不自由などで CBT 方式で受験できない人には、筆記による試験(特別措置試験)が用意されています。特別措置試験は、受験の申込みの前に申請が必要で、申請の期間がふつうの申込みより早く締め切られます。対象になる人は、早めに IPA のページで日程を確かめてください。
民間の IT 資格と組み合わせる考え方
情報処理の資格は IT 全般の基礎を示すのに向いていますが、仕事の現場では特定の製品や道具の扱い方も問われます。そこで、国家試験と民間の資格を組み合わせる考え方が役に立ちます。
基礎は国家試験、道具は民間の資格
組み合わせの基本は、IT の考え方の土台を国家試験で固め、実際に使う製品の知識を民間の資格で示す形です。たとえば次のような組み合わせがよく見られます。
- ネットワークの仕事を目指す人は、基本情報技術者試験で全体の基礎を学び、CCNA で機器の設定を学ぶ
- 社内の情報システムの担当者は、情報セキュリティマネジメント試験で管理の考え方を学び、使っているクラウドの認定資格で製品の扱いを学ぶ
- 事務の仕事で IT を使う人は、ITパスポート試験で用語と仕組みを学び、MOS でオフィスソフトの操作を示す
組み合わせるときの注意
民間の資格は、製品の更新に合わせて試験の内容や有効期限が変わることがあります。認定に有効期限があり、更新の試験や講習が必要な資格もあるので、受験の前に運営する会社の公式ページで条件を確かめておきます。国家試験と民間の資格では、認定の続き方が違うことがあるので、組み合わせる前にそれぞれの公式ページで条件を確かめておくと、更新の時期に慌てずに済みます。
組み合わせを考えるときは、応募したい求人や受けたい仕事の募集要項を読み、どの資格の名前が書かれているかを確かめるのが確実です。求人によく出てくる資格を優先すると、勉強した時間が仕事の機会につながりやすくなります。
組み合わせの順番にも工夫ができます。国家試験の勉強で全体の仕組みを先に学んでおくと、民間の資格で製品の設定を学ぶときに、その設定が全体のどの部分にあたるのかが分かり、理解が早くなります。反対に、仕事ですでに特定の製品を使っている人は、先に民間の資格で手元の知識を形にし、そのあと国家試験で周辺の分野まで広げる順番でもかまいません。どちらの順番でも、1つの資格に合格したら、学んだ内容を仕事で試してから次の資格に進むと、知識が定着しやすくなります。
資格を仕事にどうつなげるか
資格を取ったあとは、それを仕事の機会につなげることが大切です。ここでは、雇われて働く場合と、仕事を請け負う場合の両方を整理します。
職務経歴書と面接での伝え方
職務経歴書には、資格の正式名称と合格した年月を書きます。「基本情報」ではなく「基本情報技術者試験 合格」のように、IPA の正式な名称で書きます。そのうえで、資格の知識を使ってどんな仕事をしたかを1文で添えると評価につながりやすくなります。たとえば「情報セキュリティマネジメント試験の知識をもとに、部署のパスワード管理の手順を見直した」のように書くと、資格が実務で生きていることが伝わります。
仕事を請け負うときの資格の役割
IT の仕事を業務委託(会社から仕事を請け負う契約)で受ける場合、発注者が最も重視するのは、過去に作ったものと対応できる範囲です。資格はそれを補う材料で、特に初めて取引する相手に、基礎の知識があることを短く伝える役に立ちます。
アプリやシステムを作る仕事の内容と必要なスキルは、アプリケーション開発のお仕事で仕事の種類ごとに整理されています。セキュリティや AI を使ったマーケティングの分野で仕事を探す人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、求められる知識と仕事の進め方を確かめられます。
運営者の視点から見た資格と仕事の関係
在宅ワークとフリーランスの仲介を20年以上続けてきた立場から見ると、IT の仕事で長く信頼される人には共通点があります。それは、資格を取ったあとも、仕事で必要になった知識をその都度学び直していることです。情報処理の資格は、学ぶ範囲の地図として優れていて、新しい技術が出てきたときに、それが全体のどこに位置するかを理解する助けになります。
発注者と受け手が直接やり取りする取引では、中間の手数料が乗らない分、同じ予算で発注者は多く頼めて、受け手の手取りも厚くなります。手数料0%で直接取引できる環境では、受け手が報酬の一部を学び直しや資格の受験に回しやすくなり、それがさらに仕事の質を上げる循環につながる傾向があります。
AI を業務に取り入れる支援の仕事は、IT の基礎と業務の理解の両方が求められる分野です。仕事の内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で確かめられます。業務の手順書や提案書を書く機会が多い人は、文書の作り方を問うビジネス文書検定と組み合わせると、技術を分かりやすく伝える力も示せます。情報処理の資格は、目的に合った区分を1つ選び、合格したら学んだ知識を仕事で使い、その経験をもとに次の区分へ進む、という順番で生かすと、資格の価値を最も大きくできます。
よくある質問
Q. ITパスポート試験と基本情報技術者試験はどちらから受けるべきですか?
仕事で IT を使う側の人はITパスポート試験、システムやプログラムを作る側に回る人は基本情報技術者試験から受けるのが基本です。ITパスポート試験の範囲の多くは基本情報技術者試験にも含まれているため、エンジニアを目指す人は最初から基本情報技術者試験を目指しても回り道にはなりません。
Q. 2027年度の新試験制度が始まる前に受けたほうがよいですか?
基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験は、IPA の公表で問う範囲が大きく変わらないとされているため、時期を急ぐ必要は小さいと言えます。応用情報技術者試験と高度試験は、現行の形での実施が2026年度までの予定です。最新の予定は IPA の新試験制度のページで確かめてください。
Q. 情報処理技術者試験の受験料はいくらですか?
IPA の案内では、ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、高度試験の受験手数料は7,500円(消費税込み)です。情報処理安全確保支援士試験も7,500円で、こちらは非課税です。改定されることがあるため、申込みの前に IPA の公式ページで確かめてください。
Q. 情報処理の資格は独学で合格できますか?
IPA がシラバスと過去の試験問題を公開しているため、独学でも合格を目指せます。シラバスで範囲を確かめ、教科書を1周して全体をつかみ、過去の問題を繰り返し解く順番が基本です。科目Bや記述式の問題は、本番と同じ時間を計って練習しておくと時間配分の目安ができます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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