狩猟を副業にする方法、免許の取得から獲物の売り先まで

長谷川 奈津
長谷川 奈津
狩猟を副業にする方法、免許の取得から獲物の売り先まで

この記事のポイント

  • ✓狩猟を副業にしたい人に向けて
  • ✓狩猟免許の4つの種類と試験
  • ✓ジビエとして肉を売るときに必要な食肉処理業の許可

シカやイノシシによる農作物の被害がニュースで取り上げられるたびに、「狩猟を始めて、副業として地域の役に立てないか」と考える人が増えています。週末を山で過ごしたい人、ジビエ料理に関わりたい人、移住先で地域とつながりたい人など、入口はさまざまです。

先に結論を書きます。狩猟を副業にすることはできますが、獲った肉をそのまま売ることはできません。狩猟の免許と登録に加え、肉を売るには食品衛生法の許可を受けた施設での処理が必要です。収入の柱になりやすいのは、市町村から依頼される有害鳥獣の捕獲と、許可を受けた処理施設への獲物の持ち込みです。

この記事では、環境省、厚生労働省、東京都が公開している情報をもとに、免許の取り方から、かかるお金、収入につながる道、そして守らなければならない決まりまでを順番に整理します。

狩猟を副業にするとはどういうことか。週末に猟に出る働き方

狩猟を副業にしている人の多くは、本業を持ちながら、猟期の週末や休日に山に入っています。狩猟の情報サイトでも、その働き方がこう紹介されています。

実際に副業として狩猟に取り組んでいる人の多くは、平日は会社員や自営業者として本業を持ち、週末や休日に猟に出るスタイルです。 出典: kariudo.jp

ここで最初に理解しておきたいのは、狩猟は法律で細かく決められた活動だという点です。環境省のページでは、鳥獣保護管理法(正式には「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」)で、狩猟は法定の猟法で狩猟鳥獣を捕まえることと定義され、狩猟鳥獣以外の鳥獣の狩猟は禁じられていると説明されています。

狩猟を行うためには、狩猟免許を取ったうえで、狩猟をしたい都道府県に狩猟者登録をし、狩猟ができる区域、期間、猟法などの制限を守る必要があります。免許を持っていれば、いつでもどこでも獲ってよいわけではありません。

副業として考えるなら、収入の道は大きく次の4つに分けられます。

・市町村などから依頼される有害鳥獣の捕獲に参加し、報奨金や日当を受け取る ・獲物を、食肉処理業の許可を受けたジビエの処理施設に持ち込む ・皮や角などを加工して、工芸品として販売する ・狩猟の経験を活かして、体験の案内や情報発信をする

どれも、すぐに大きな収入になるものではありません。最初の数年は、道具や講習にかかる費用のほうが収入を上回るのが普通です。それを前提に、地域の役に立ちながら少しずつ収入につなげていく活動だと考えるのが現実的です。

狩猟免許の4つの種類と、最初に選ぶべき免許

狩猟免許は、使う道具(猟具)によって4種類に分かれています。環境省のページによると、内容は次のとおりです。

免許の種類 使える猟具
網猟免許 むそう網、はり網、つき網、なげ網
わな猟免許 くくりわな、はこわな、はこおとし、囲いわな
第一種銃猟免許 装薬銃(散弾銃やライフル銃など)
第二種銃猟免許 空気銃

受験できる年齢は免許によって違います。東京都のページでは、第一種と第二種の銃猟免許は試験日に満20歳未満の人、網猟とわな猟の免許は試験日に満18歳未満の人は受験できないと書かれています。

副業として狩猟を始める人に、最初の免許としてよく選ばれるのがわな猟免許です。理由は3つあります。

・銃を持つための警察の許可が要らない ・道具の費用が銃に比べて小さい ・シカやイノシシの有害鳥獣捕獲で、わなの担い手が求められている地域が多い

一方で、わなにかかった獲物は、最後に止め刺し(とどめを刺すこと)をする必要があり、体力と技術、そして精神的な覚悟が求められます。わなの見回りは毎日行うのが基本なので、山の近くに住んでいるか、近くに通える環境があることも大切です。

銃で狩猟をしたい場合は、狩猟免許とは別に、警察(都道府県の公安委員会)から銃の所持許可を受ける必要があります。所持許可を受けるまでには、講習会の受講と考査、射撃の教習、身辺の調査などの手順があり、時間も費用もかかります。まずわな猟で経験を積み、地域の猟友会などで先輩の猟に同行してから、銃に進む人も少なくありません。

狩猟に向いている人と、始める前に考えておきたいこと

狩猟を副業にするうえで、向き不向きははっきり分かれます。向いているのは、次のような人です。

・朝早く起きて、毎日決まった時間に見回りを続けられる人 ・山を歩く体力があり、重い獲物を運ぶ作業をいとわない人 ・決まりを守ることに抵抗がなく、細かい手続きを面倒がらない人 ・命を奪うことに向き合い、獲物を無駄にしない姿勢を持てる人

反対に、短期間で収入を得たい人、決まった時間に動けない人には向きません。猟期が冬に集中するため、1年を通じて安定した収入を得るのは難しく、天候や獲物の動きにも左右されます。

家族の理解を得ておくことも欠かせません。早朝の見回り、獲物の解体、道具の保管、銃を持つ場合の保管庫の設置など、家庭の生活にも影響が出ます。始める前に、どんな活動になるのかを家族に説明しておきましょう。

また、狩猟は体を使う活動で、けがの危険もあります。自分自身のけがに備える保険(傷害保険など)への加入も検討しておくと安心です。狩猟者登録で求められる損害賠償の保険は、他人にけがをさせた場合などに備えるもので、自分のけがは対象外の場合があります。

狩猟免許試験の流れと費用

狩猟免許の試験は、住所地の都道府県が実施します。他の都道府県で受験することはできません。

試験の内容は、どの免許でもおおむね共通で、次の3つから成り立っています。

・知識試験:鳥獣保護管理法などの法令、猟具の知識、鳥獣の生態や判別などの筆記試験 ・適性試験:視力、聴力、運動能力の検査 ・技能試験:猟具の取り扱い、鳥獣の判別、銃猟免許では距離の目測など

東京都の例を見ると、令和8年度は年8回の試験日に加えて追加日程が設けられ、各回の定員は230名程度です。試験を受けるには事前申請が必要で、後期(第4回から第8回)の事前申請の受付期間は9月4日から10月2日まででした。受験の手数料は、免許の種類ごとに5,200円です。すでに別の狩猟免許を持っている人は、一部の試験が免除され、手数料は3,900円になります。申請には、所定の病気などに当てはまらないことが書かれた医師の診断書も必要です。

試験日程や申し込みの方法は都道府県ごとに大きく違います。人気のある地域では事前申請の段階で抽選になり、選外になることもあります。住所地の都道府県の担当課のページで、年度の初めに日程を確認しておきましょう。

合格に向けては、都道府県の猟友会などが試験前に開く講習会に参加するのが近道です。猟具の扱いや鳥獣の判別は、テキストを読むだけでは身につきにくく、実物に触れる練習が欠かせません。

狩猟免許の有効期間は3年で、更新のたびに適性検査と講習を受ける必要があります。更新を忘れると免許が失効するので、期限を手帳やスマートフォンの予定に登録しておきましょう。

狩猟者登録と狩猟税。毎年かかるお金

免許を取っただけでは、狩猟はできません。狩猟をする年度ごとに、狩猟をしたい都道府県に狩猟者登録をし、狩猟税を納める必要があります。複数の都道府県で狩猟をしたい場合は、それぞれに登録が必要です。

東京都の令和8年度の案内を例にすると、狩猟者登録の受付期間は令和8年10月1日から令和9年2月26日までで、申請は郵送のみです。費用は次のとおりです。

・狩猟者登録手数料:猟法1種類につき1,800円 ・狩猟税(網猟・わな猟):猟法1種類につき8,200円 ・狩猟税(第一種銃猟):16,500円 ・狩猟税(第二種銃猟):5,500円

都道府県民税の所得割を納める必要がない人など一定の条件に当てはまる場合は、狩猟税が低くなります。また、申請前1年以内に鳥獣の管理を目的とした許可捕獲をした人などは、狩猟税が2分の1になる特例があります。鳥獣被害防止特措法の対象鳥獣捕獲員(市町村が任命した、被害対策の捕獲を担う人)などは、狩猟税が課税されません。有害鳥獣の捕獲に参加すると、狩猟税の負担が軽くなる仕組みになっているわけです。

登録の申請には、狩猟中の事故で他人にけがをさせた場合などに備える損害賠償の保険(保険金額3,000万円以上)に加入していることを示す書類が必要です。猟友会に入ると、会の共済に加入する形でこの要件を満たせることが多くあります。

このほか、わなや網などの道具の費用、銃を使うなら銃本体や保管庫、弾の費用、猟場までの交通費、獲物を運ぶための道具などがかかります。副業として考えるなら、最初の1年は収入より出費が大きくなることを前提に、無理のない予算を立てておきましょう。

猟期と、狩猟ができない場所

狩猟ができる期間(猟期)は法律で決められています。環境省のページによると、鳥獣保護管理法の狩猟期間は毎年10月15日(北海道は9月15日)から翌年4月15日までですが、鳥獣の繁殖や渡りの時期を考えて、施行規則で次のように短くされています。

・北海道以外:毎年11月15日から翌年2月15日まで(猟区内は10月15日から翌年3月15日まで) ・北海道:毎年10月1日から翌年1月31日まで(猟区内は9月15日から翌年2月末日まで)

さらに、都道府県によっては、シカやイノシシなどについて猟期を延長していることがあります。必ず登録する都道府県の情報を確認してください。

狩猟ができない場所もあります。鳥獣保護区、休猟区、特定猟具使用禁止区域などでは、狩猟が禁止または制限されています。都道府県は、こうした区域を示した位置図を作成しているので、狩猟者登録のときに受け取る資料で必ず確認しましょう。住宅が集まっている地域や広場、駅などの人が多く集まる場所での銃猟も禁止されています。銃猟は日の出前と日没後もできません。

狩猟できる鳥獣は、日本に生息する約700種のうち、鳥類26種と獣類20種の合わせて46種に限られています。シカ、イノシシ、カモ類などが代表的です。狩猟鳥獣以外の鳥獣を捕まえることは違法になるので、鳥獣の判別は試験だけでなく、実際の猟でも欠かせない知識です。

わなを仕掛けるときにも細かい決まりがあります。たとえば、同時に31個以上のわなを使うことは禁止されており、イノシシやシカを獲るくくりわなは、輪の直径が12cmを超えるものや締め付け防止金具が付いていないものは使えません。

有害鳥獣捕獲に参加する。副業の収入の中心になりやすい道

狩猟を副業にする人の収入の中心になりやすいのが、有害鳥獣捕獲です。有害鳥獣捕獲とは、農作物などに被害を出しているシカやイノシシなどを、市町村や都道府県の許可を受けて捕まえる活動のことです。趣味としての狩猟とは別の仕組みで、猟期以外の時期にも行われます。

多くの市町村では、有害鳥獣を捕獲した人に対して、1頭あたりの報奨金を支払っています。国の交付金と市町村の独自の上乗せを組み合わせている地域もあり、金額は市町村や鳥獣の種類、成獣か幼獣かによって大きく違います。報奨金の額は、市町村の農林担当の課に問い合わせると教えてもらえます。

有害鳥獣捕獲に加わる道は、主に次の3つです。

・地元の猟友会に入り、猟友会が市町村から受けている捕獲の活動に加わる ・市町村が設けている鳥獣被害対策実施隊の隊員や、対象鳥獣捕獲員に任命される ・認定鳥獣捕獲等事業者(都道府県知事の認定を受けて捕獲を請け負う法人)に従事者として雇われる

認定鳥獣捕獲等事業者の仕組みは、東京都などのページでも案内されています。法人に雇われる形なので、日当や給与が支払われるのが一般的です。

有害鳥獣捕獲に加わると、捕獲した個体の写真や尻尾などの証拠を提出する、決められた方法で処分する、といった手続きが求められます。報奨金をめぐる不正を防ぐための決まりなので、市町村の手順を必ず守りましょう。

運営者として長く副業の市場を見てきた立場から言えば、地域に根ざした仕事ほど、最初の信頼づくりに時間がかかります。狩猟も同じで、猟友会の活動に地道に参加し、先輩の見回りや止め刺しを手伝う期間を経て、ようやく任される範囲が広がっていきます。報奨金だけを目当てに始めると、この期間に続けられなくなる人が多い印象です。

わな猟で最初にそろえる道具と、見回りの段取り

わな猟から始める場合、最初にそろえる道具は次のようなものです。

・くくりわな(イノシシやシカの足をワイヤーで捕らえるわな)と、その設置に使う道具(スコップ、ハンマー、ワイヤーの固定具など) ・はこわな(獲物を檻の中に誘い込むわな)。大きく重いので、運ぶための車も必要になる ・わなに付ける標識(設置した人の氏名などを示すもの) ・止め刺しのための道具と、身を守るための厚手の手袋、長靴、ヘルメット ・獲物を運ぶためのそりやロープ、車の荷台を汚さないためのシート

くくりわなは、法令で決められた規格に合うものを選ぶ必要があります。先に紹介したとおり、イノシシやシカを獲るくくりわなは、輪の直径が12cmを超えるものや、締め付け防止金具が付いていないものなどは使えません。市販品でも規格に合わないものがあるので、購入前に必ず確認しましょう。

わなを仕掛けたら、毎日の見回りが欠かせません。獲物がかかったまま長い時間放置すると、動物に余計な苦痛を与えるだけでなく、暴れた獲物がわなを外して危険な状態になることもあります。肉を処理施設に持ち込む場合も、捕獲から時間が経つと受け入れてもらえなくなります。

会社員が副業でわな猟をする場合、出勤前の早朝に見回る人が多くいます。見回りに使える時間から逆算して、仕掛けるわなの数と場所を決めましょう。自宅や勤務先から遠い場所にわなを仕掛けると、見回りが続かなくなります。最近は、わなが作動したことをスマートフォンに知らせる機器を使う人もいますが、知らせを受けたらすぐに現場へ向かえる体制が前提です。

わなを仕掛ける場所は、土地の所有者の承諾を得ることが基本です。農家から「畑を荒らすイノシシを獲ってほしい」と頼まれる形で場所が決まることも多く、地域の人とのつながりが猟場を広げていきます。

猟友会に入る意味と、地域とのつきあい方

狩猟を始める人の多くは、地元の猟友会に入ります。猟友会とは、狩猟者が集まって作る団体で、都道府県ごと、地域ごとに組織されています。入会は義務ではありませんが、副業として狩猟を続けるなら、入るメリットは大きいといえます。

・狩猟者登録に必要な損害賠償の保険に、会の共済を通じて加入できる ・先輩の猟に同行して、わなの仕掛け方や止め刺しを実地で学べる ・市町村から依頼される有害鳥獣捕獲の活動に加わる窓口になる ・猟場の情報や、地域の決まりごとを教えてもらえる

一方で、地域によっては会の行事への参加や、猟場の使い方についての暗黙の決まりがあります。新しく入った人がよく知らずに他の会員の猟場にわなを仕掛け、トラブルになることもあります。最初は先輩の指示に従い、分からないことは必ず確認するという姿勢が大切です。

狩猟の世界では、獲物の分け方や、有害鳥獣捕獲の報奨金の扱いなど、会ごとに決まりがあることも少なくありません。報奨金を個人で受け取るのか、会の活動費に回すのかといった点は、入会の前に確認しておくと、後で思い違いが起きにくくなります。

地域の農家との関係も大切です。わなの見回りで畑の近くを通るときにあいさつをする、獲物がかかったら所有者に知らせる、といった小さな積み重ねが、「この人に任せれば安心」という信頼につながります。信頼が得られると、新しい猟場や有害鳥獣捕獲の依頼が自然と集まってくるようになります。

獲った肉を売るには。食肉処理業の許可とジビエの決まり

狩猟の副業として、ジビエとして肉を売りたいと考える人は多いはずです。ここで必ず押さえておかなければならないのが、食品衛生法の決まりです。

厚生労働省のジビエの衛生管理のページでは、事業者に向けてこう説明しています。

業として食用とする野生鳥獣の食肉加工を行う場合には、食品衛生法の規制対象となります。具体的には、基準に適合する食肉処理施設を設けること、処理加工を行うために必要な営業許可を受けること、基準にしたがって衛生的に処理加工を行うことが必要となります。 出典: mhlw.go.jp

つまり、自宅の台所や庭で解体した肉を、知人に売ったり、飲食店に卸したりすることはできません。同じページには、飲食店や販売店がジビエを調理・販売する場合、食品衛生法に基づく食肉処理業の営業許可を取得した施設で解体された肉を仕入れなければならないとも書かれています。

副業として現実的なのは、次の2つの形です。

・獲物を、地域にある食肉処理業の許可を受けたジビエの処理施設に持ち込み、買い取ってもらう ・自分で基準に合う処理施設を整え、保健所から食肉処理業の営業許可を受ける

1つ目の形は、多くの地域で行われています。ただし、処理施設が受け入れる条件は厳しく、捕獲から搬入までの時間、止め刺しの方法、個体の状態などが細かく決められています。持ち込めるかどうかは、事前に施設に確認しておく必要があります。

2つ目の形は、施設の整備に大きな費用がかかるため、副業として最初から目指すのは難しいのが実情です。始める場合は、住んでいる地域の保健所に早い段階で相談しましょう。厚生労働省も、野生鳥獣肉の処理加工を始める際には各自治体に相談するよう案内しています。

自分や家族で食べる分には許可は要りませんが、厚生労働省は、生または加熱不十分なシカ肉やイノシシ肉を食べると、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌、寄生虫による食中毒のリスクがあると注意を呼びかけています。中心部まで十分に加熱すること、解体のときに手の傷から感染しないよう手袋をすることを徹底してください。

皮や角を活かす。工芸品として販売する道

肉以外の部分を活かして収入につなげる方法もあります。シカの角や皮、イノシシの牙などは、加工すれば工芸品の材料になります。

代表的なのは、シカの角を使ったアクセサリーやボタン、ナイフの柄、犬用のおもちゃ(ドッグチュー)などです。皮は、なめし(腐らないよう加工して革にすること)の工程を経てレザークラフトの材料になります。なめしは専門の業者に依頼するのが一般的です。

作品を売る場としては、ハンドメイド作品の通販サイトや地域の直売所、イベントなどがあります。ハンドメイドの通販サイトでは、販売額の10%前後の手数料がかかるのが一般的なので、価格を決めるときは、材料費、加工の外注費、手数料、送料を差し引いて手元に残る額を計算しておきましょう。

ただし、ペット用のおやつのように食べさせることを目的とした商品は、別の決まりが関わることがあります。食べられる商品を作る場合は、販売を始める前に保健所や関係する窓口に確認してください。

工芸品の販売は、猟期に関係なく1年を通じて行えるのが利点です。夏は作品づくり、冬は猟と、季節によって活動を切り替える働き方もできます。

狩猟の経験を伝える。体験の案内と情報発信

狩猟の経験そのものを伝える活動も、副業の1つの形です。わな猟の見回りに同行する体験、ジビエの解体を見学する体験、猟師の暮らしを紹介する講座など、狩猟に関心を持つ人に向けた企画を行っている人もいます。

ただし、参加者を連れて猟に出る場合は、参加者の安全の確保と、法令の順守に細心の注意が必要です。狩猟免許を持たない人が猟具を扱うことはできません。体験の範囲をどこまでにするか、事故が起きたときの保険をどうするかを、事前にしっかり決めておく必要があります。地域の猟友会や自治体と連携して実施する形にすると、信頼も得やすくなります。

文章や写真、動画で狩猟の世界を発信する道もあります。猟の記録、ジビエ料理のレシピ、道具の手入れ方法などは、関心を持つ人が多いテーマです。発信を続けることで、講演や執筆の依頼につながることもあります。発信するときは、止め刺しなどの場面の扱いに配慮し、見る人に不快感を与えない工夫が求められます。

副業で得た収入の税金と、本業の会社への確認

狩猟の副業で得た報奨金や獲物の買い取り代金、工芸品の売上などは、一般には雑所得や事業所得として扱われます。会社員の場合、給与以外の所得の合計が年20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。所得とは、収入から必要経費を差し引いた額のことです。わなや弾などの道具代、狩猟税、登録手数料、猟場までの交通費などは、収入を得るためにかかった費用として経費になる可能性があります。

ただし、どこまでを経費にできるか、雑所得と事業所得のどちらになるかは、活動の規模や継続性によって判断が変わります。年20万円以下でも住民税の申告が別に必要になることがあります。迷う場合は、住んでいる地域の税務署や市区町村の税務課に確認してください。

申告に備えて、日ごろから記録を残しておくことが大切です。報奨金の振込明細、処理施設からの買い取りの明細、工芸品の売上の記録と、道具や消耗品の領収書、狩猟税や登録手数料の納付の控え、猟場までの移動の記録を、年ごとにまとめて保存しておきましょう。スマートフォンで領収書を撮影し、月ごとのフォルダに分けて保存するだけでも、確定申告の時期の作業が大きく減ります。有害鳥獣捕獲の報奨金は、市町村によって支払いの時期がまとまって年度末になることもあるので、どの年の収入として扱うかもあわせて確認しておくと安心です。

会社員が狩猟を副業にする場合は、本業の会社の就業規則で副業が認められているかも確認しておきましょう。報奨金を受け取る有害鳥獣捕獲への参加や、鳥獣被害対策実施隊の隊員になることが、会社の副業の規定に当たるかどうかは会社によって判断が分かれます。公務員の場合は、兼業の許可の手続きが必要になるのが一般的です。

地方への移住と組み合わせて狩猟を始める場合

都市部に住む人が狩猟を本格的に始めようとすると、猟場までの移動が大きな負担になります。そのため、地方への移住をきっかけに狩猟を始める人も少なくありません。

移住先で狩猟を始めるときに注意したいのは、狩猟免許の試験を受けられるのは住所地の都道府県だという点です。移住前に免許を取るなら今住んでいる都道府県で、移住後に取るなら転入した後の都道府県で受験することになります。すでに免許を持っている場合は、住所が変わったら免状の記載事項を変更する届出が必要です。東京都のページでも、狩猟免状の記載事項変更や再交付の手続きが案内されています。

移住先の自治体によっては、狩猟免許の取得費用や、わなの購入費を補助する制度を設けているところがあります。シカやイノシシの被害が大きい地域ほど、担い手の確保に力を入れている傾向があります。補助の有無や条件は自治体ごとに違うので、移住相談の窓口や農林担当の課に確認しておきましょう。

地域で狩猟の担い手として受け入れてもらうには、まず地域の行事や集まりに顔を出し、住民との関係をつくることが近道です。狩猟は地域の山や畑に入る活動なので、地域の人の理解がなければ続けられません。移住と同時にすべてを始めようとせず、最初の1年は地域を知ることに時間を使い、2年目から猟に本格的に加わるくらいの余裕を持った計画が現実的です。

狩猟の副業を始める手順

ここまでの内容を、始める順番に並べると次のようになります。

  1. 住所地の都道府県の担当課のページで、狩猟免許試験の日程と申し込み方法を確認する
  2. 猟友会などが開く講習会に参加し、わな猟免許の試験に備える
  3. 試験に合格し、狩猟免状を受け取る
  4. 地元の猟友会に入り、先輩の猟に同行して見回りや止め刺しを学ぶ
  5. 狩猟者登録をして狩猟税を納め、猟期に自分のわなを仕掛ける
  6. 市町村の有害鳥獣捕獲に加わる方法を、農林担当の課や猟友会に相談する
  7. 地域のジビエ処理施設があれば、持ち込みの条件を確認する

最初の目標は、収入ではなく、1シーズンを事故なく終えることに置くのが安全です。狩猟には、銃の暴発やわなによる事故の危険がつきまといます。環境省も、狩猟や許可捕獲の最中の人身事故が多発しているとして、事故防止の映像資料を公開しています。基本のルールを守ることが、地域からの信頼を得る一番の近道です。

独自データで見る、狩猟と組み合わせやすい仕事

狩猟は猟期が冬に集中し、それ以外の季節は収入が途切れやすい活動です。そのため、1年を通じて続けられる在宅の仕事と組み合わせる人が多くいます。

運営者として長く在宅ワークの市場を見てきた立場から言えば、地方に暮らしながら副業を続けている人は、場所を選ばない仕事を1つ持っていることが多いです。中でも、自分の経験を文章にできる人は、狩猟やジビエのような専門的なテーマで執筆の依頼を受けやすくなります。書く仕事の収入の分布は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。単価を上げていく考え方はWebライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップで紹介しています。

報告書や申請書のような文書を正確に書く力は、有害鳥獣捕獲の記録や、地域の団体での事務作業でも役立ちます。ビジネス文書検定では、業務の文書の基本を体系的に学べます。

また、獲物の位置や見回りの記録をスマートフォンで管理する仕組みづくりなど、狩猟の現場とITを結ぶ仕事も生まれています。アプリケーション開発のお仕事では、在宅で受けられる開発案件の種類を整理しています。

仲介の手数料がかからない直接取引なら、同じ依頼額でも受け手の手取りは厚くなります。狩猟で地域に貢献しながら、場所を選ばない在宅の仕事で収入を安定させるという組み合わせは、地方で副業を続けるための現実的な選択肢です。

よくある質問

Q. 狩猟を副業にするにはどの免許から取るのがよいですか?

副業として始める人には、わな猟免許がよく選ばれます。銃を持つための警察の許可が要らず、道具の費用も銃に比べて小さく、シカやイノシシの有害鳥獣捕獲でわなの担い手が求められている地域が多いためです。わな猟免許は試験日に満18歳以上で受験でき、東京都の場合の手数料は免許の種類ごとに5,200円です。

Q. 自分で獲ったシカやイノシシの肉を売ることはできますか?

そのままでは売れません。厚生労働省は、業として野生鳥獣の食肉加工を行う場合は食品衛生法の対象となり、基準に合う処理施設と営業許可が必要だとしています。副業として現実的なのは、食肉処理業の許可を受けた地域のジビエ処理施設に獲物を持ち込む形です。持ち込みの条件は施設ごとに違うので事前に確認してください。

Q. 狩猟を始めると毎年どのくらいの費用がかかりますか?

狩猟をする年度ごとに狩猟者登録と狩猟税が必要です。東京都の場合、登録手数料は猟法1種類につき1,800円、狩猟税はわな猟で8,200円、第一種銃猟で16,500円です。ほかに損害賠償の保険、道具の費用、交通費がかかります。有害鳥獣の許可捕獲に参加した人は狩猟税が2分の1になる特例などもあります。

Q. 狩猟ができる期間はいつですか?

環境省によると、北海道以外では毎年11月15日から翌年2月15日まで、北海道では毎年10月1日から翌年1月31日までが原則です。猟区内は期間が長く、都道府県によってはシカやイノシシの猟期を延長していることもあります。市町村などの許可を受けた有害鳥獣捕獲は、猟期以外の時期にも行われます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月30日最終更新:2026年10月2日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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