ストックフォト販売は外出ゼロのまま審査から入金まで在宅で進む

中西 直美
中西 直美
ストックフォト販売は外出ゼロのまま審査から入金まで在宅で進む

この記事のポイント

  • 外出が苦手な方でも取り組めるストックフォト販売を在宅で始める方法をまとめました
  • 家の中だけで撮れる需要の高いジャンル
  • 主要サイトのコミッション率比較

「外出が苦手で、面接に行くのも、毎日決まった時間に家を出るのも、正直しんどい。それでも自分で何かしらの収入を作りたい」。こういうご相談を、私は本当によく受けます。そして、そのなかで「写真を撮って売る仕事なら、家の中で完結するのでは」と考えて、ストックフォト販売にたどり着く方が、ここ数年でぐっと増えました。

結論から言います。ストックフォト販売は、外に出る回数がゼロでも成立する数少ない在宅の収入源のひとつです。撮影から編集、審査申請、販売、入金まで、すべてがオンラインで完結します。人と直接会う場面も、電話で話す場面も、基本的にありません。

ただし、「誰でもすぐに大きな金額になる」という仕事ではありません。ここを最初に正直にお伝えしておきます。ストックフォトはストック型の収入です。撮って登録した写真が、数か月後、数年後に少しずつ売れていく。だから、始めた月にいきなり結果が出ることはまずない。逆に言えば、一度積み上げた写真は、体調が優れない月も、外に出られない週も、勝手に働いてくれます。この性質が、外出の負担を減らしたい方の生活リズムと、とても相性がいいんです。

この記事では、家の中だけで撮れて需要のある写真ジャンル、主要サイトの比較、未経験からの具体的な始め方、収入の目安、そして肖像権・著作権の注意点までを、実務の順番どおりに全部お話しします。

ストックフォト販売とは何か。外出せずに完結する仕組みを整理する

まず、仕組みそのものを正確に理解しておきましょう。ここが曖昧なまま始めると、「思っていたのと違う」というつまずき方をします。

素材を貸し出して使用料を受け取るビジネス

ストックフォトは、あらかじめ撮影しておいた写真を素材サイトに預けておき、それを使いたい企業や個人がダウンロードするたびに、撮影者に使用料の一部が支払われる仕組みです。写真の所有権が移るわけではありません。「使う権利」を何度でも貸し出せる。だから同じ1枚が、10人にも100人にもダウンロードされ得ます。

買い手は、Web制作会社、広告代理店、出版社、企業の広報担当者、個人ブロガーなど。「記事のアイキャッチに使う人物写真がほしい」「パンフレットに載せる机まわりの写真がほしい」といった、日々発生する細かな需要が積み上がっています。

ここでは、実際にオンラインで需要が高い写真のジャンルと、初心者の方が副業として成功させるために押さえておきたい具体的なコツを詳しく解説します。 出典: stores.fun

一連の流れに「外出」も「対人」も含まれない

実際の作業の流れを並べてみます。

第一に、サイトへのクリエイター登録。氏名や住所、報酬受け取り用の口座情報などをオンラインで入力します。本人確認書類の提出が必要なサイトもありますが、これもスマートフォンで撮影してアップロードするだけです。

第二に、撮影。自宅の机の上、窓辺、キッチン、手元。撮る場所は家の中で構いません。

第三に、編集。明るさや色味を整え、傾きを直します。スマートフォンの標準アプリでも足ります。

第四に、アップロードとキーワード付け。写真1枚ごとに、内容を説明するキーワード(タグ)を付けます。ここが売上を左右する最重要工程です。

第五に、審査。サイト側の担当者が、画質・ノイズ・権利関係をチェックします。落ちたら理由を見て直して再申請します。

第六に、販売と入金。売れた分が管理画面に積み上がり、一定額を超えると口座に振り込まれます。

このどこにも、外出も、面接も、打ち合わせも、電話も出てきません。審査に落ちたときのやりとりも、管理画面上のメッセージだけです。ここが、通常の在宅ワーク案件(クライアントとのチャット、ときにビデオ会議)とも違う、ストックフォトの独特な気楽さです。

ストック型ゆえの「時間差」を理解しておく

一方で、この仕組みには時間差というクセがあります。今日登録した写真が、今日売れることはほとんどありません。検索結果に馴染み、買い手の目に留まるまでに数週間から数か月かかります。

私がカウンセリングでお会いする方のなかにも、「1か月やって1枚しか売れなかったので向いていないと思う」と落ち込んで来られる方がいます。でも、それは向き不向きの問題ではなく、単にまだ時間軸が来ていないだけであることがほとんどです。ストックフォトは、最初の半年を「収入」ではなく「在庫づくり」の期間だと割り切れる人が続きます。

家の中だけで撮れる、需要のある写真ジャンル

「風景写真や旅行写真がないと売れないのでは」と思われがちですが、実は違います。売れ筋の中心は、むしろ屋内で撮れるものに寄っています。ここを知っているかどうかで、外出が苦手な方の勝算はまったく変わります。

ビジネス・デスクまわりの写真

パソコンが置かれた机、キーボードを打つ手元、ノートとペン、電卓と書類、コーヒーカップと手帳。この手の写真は、企業サイトのトップ画像、業務系サービスの紹介ページ、ビジネス記事のアイキャッチとして、途切れることなく需要があります。

自分の作業机を片付けて、窓からの自然光で撮るだけで成立します。顔が写らないので、後述する肖像権の手続きも不要です。外出が苦手な方が最初に取り組むジャンルとして、私はこれを一番におすすめしています。

手元・作業のカット

書類にペンで記入する手、スマートフォンを操作する指、電卓を叩く手、封筒を開ける手。「人が写っているけれど顔は写っていない」写真は、買い手にとって非常に使い勝手がよく、モデルを立てなくても自分の手だけで撮れます。

三脚がなくても、本を積んだ上にスマートフォンを置けば固定できます。セルフタイマーを3秒に設定して、片手で作業しながら撮る。この方法だけで、かなりの枚数が積めます。

食べ物・飲み物

自炊した料理、朝食のトースト、淹れたコーヒー、季節の果物。フードのカットは、飲食店のメニュー、レシピサイト、健康系の記事、ECサイトなど、用途が非常に広い定番ジャンルです。

コツは、真上から撮る俯瞰と、斜め45度の2パターンを必ず両方撮っておくこと。買い手のレイアウトによってどちらが必要か変わるので、両方あると採用率が上がります。白い皿と、無地のランチョンマットが1枚あれば、それだけで背景は整います。

背景・テクスチャ・余白のある素材

木目のテーブル、白い壁、布のしわ、コンクリート調のシート、和紙。こうした「何も写っていない写真」は、バナーやサムネイルの下地として使われるため、地味ですが息の長い売れ方をします。

被写体を探しに行く必要がなく、家にあるものを寄りで撮るだけ。しかも競合が「つまらないから」と敬遠しがちな領域なので、真面目に撮る人が有利になります。文字を載せる余白を意識して、画面の半分を空けて撮るのがポイントです。

季節行事・イベントの小物

正月飾り、雛人形、こいのぼりの小さな置物、七夕の飾り、ハロウィンのかぼちゃ、クリスマスのオーナメント。季節ものは、その時期の2か月から3か月前に買い手が探し始めます。

つまり、クリスマス素材は9月には登録が終わっていないと機会を逃す。この「前倒しで撮る」感覚は、慣れるまでピンと来ませんが、覚えると年間の撮影計画が立てやすくなります。100円ショップで揃う小物で十分成立するのも、このジャンルの利点です。

人物写真は「需要は高いが難易度も高い」

参考として、人物写真の需要そのものは非常に高い領域です。

人物写真は、Webサイトのバナー広告やブログ記事のアイキャッチなど、視覚的にメッセージを伝えたい場面で最も重宝されます。特に「家族の団らん」「仕事に打ち込む姿」「喜怒哀楽の表情」など、ストーリー性を感じる写真は汎用性が高く人気です。 出典: stores.fun

ただし、顔が写る人物写真には、被写体本人の署名入り同意書(モデルリリース)が必須です。家族に協力してもらう手はありますが、これも「頼む」というコミュニケーションのコストが発生します。無理に取り組む必要はありません。手元カットで人の気配だけを出す、という代替でも十分に売れます。

主要サイトの比較。どこに登録すべきか

登録先は1つに絞る必要はありません。同じ写真を複数サイトに出せる(非独占)のが一般的なので、実務では2つから3つを並行させるのが標準です。

サイト 特徴 報酬の目安 審査の傾向
PIXTA 国内最大級。日本人モデル・日本の生活感に強い コミッション率22〜58%程度 やや厳しめ。技術審査あり
Adobe Stock 世界最大級の販売網。デザイナー利用者が多い 販売価格の33%程度 中程度。技術的な粗に厳しい
Shutterstock 海外の買い手が中心。数で勝負する設計 15〜40%程度の段階制 中程度
photoAC 無料素材が中心。ダウンロード数課金型 1ダウンロードあたり数円台 ゆるやか。初心者向け
Snapmart スマートフォン写真中心。日常感が売り 販売価格の一定割合 ゆるやか

国内サイトの代表であるPIXTAについては、規模と報酬設計が公開されています。

PIXTAは、ピクスタ株式会社が提供する有料ストックフォトサービスで、写真の点数は1億1300万点以上にのぼります。写真は39~5,500円で販売されており、コミッション率によって報酬が変わってきます。コミッション率は、クリエイターランクなどによって変わり、22~58%です。 出典: stores.fun

最初の1つをどう選ぶか

外出が苦手で、かつ写真も未経験という方には、私は「審査のゆるいサイトで感覚を掴んでから、報酬単価の高いサイトへ広げる」という順番をおすすめしています。

理由は単純で、最初に厳しい審査で連続して落ちると、多くの人がそこで手を止めてしまうからです。10枚出して10枚落ちる経験は、想像以上にこたえます。まずは通る経験をして、「自分の写真にも値段が付くんだ」という手応えを得る。そのうえで単価の高い場所に挑む。この順番のほうが、長く続きます。

独占契約は最初は選ばない

一部のサイトには、そのサイトだけに独占的に提供する代わりに報酬率を上げる仕組みがあります。魅力的に見えますが、始めたばかりの段階では避けてください。どのサイトで自分の写真が売れるのか、データが溜まっていない状態で選択肢を狭めるのは不利です。まずは非独占で複数に出し、半年から1年の実績を見てから判断すれば十分です。

未経験から始める具体的な手順

ここからは、実際の作業手順です。手を動かす順番どおりに並べます。

ステップ1:機材を確認する

新しくカメラを買う必要はありません。ここ数年のスマートフォンであれば、多くのストックフォトサイトの解像度要件を満たします。目安として、1200万画素あれば実用範囲です。

むしろ優先して用意すべきは、光を整える道具のほうです。窓に貼るレースのカーテン(直射日光を柔らかくする)、白い画用紙やスチレンボード(影に光を返すレフ板の代わり)、無地の布や模造紙(背景紙)。合計で数千円で揃います。

三脚は、あると手ブレが消えて審査通過率が上がるので、早めに買って損はありません。スマートフォン用のものなら2000円前後から選べます。

ステップ2:撮影の基本を3つだけ押さえる

技術論を深追いすると前に進めなくなるので、審査で落ちる原因の上位3つだけ潰します。

1つ目、ブレ。三脚を使うか、スマートフォンを何かに固定します。ピントが1か所でも合っていないと差し戻されます。

2つ目、ノイズ。暗い部屋で撮ると画面がザラつきます。日中の窓辺で撮る、これだけで解決します。夜に撮らない、と決めてしまうのが一番簡単です。

3つ目、ゴミと写り込み。背景に映った洗濯物、机の埃、レンズの指紋。撮る前に画面を拡大して確認する習慣をつけてください。審査落ちの理由として、実はこれが非常に多いです。

ステップ3:1回の撮影で「バリエーション」を作る

これはとても大事な考え方です。1つの被写体につき1枚しか撮らないのは、極めて効率が悪い。同じセッティングで、以下を変えて撮ります。

・角度(真上、斜め45度、真横) ・縦位置と横位置の両方 ・寄りと引き ・余白の位置(左に空ける、右に空ける、上に空ける)

これだけで、1つの被写体から12枚から20枚のカットが生まれます。買い手はレイアウトに合う1枚を探しているので、バリエーションの多さがそのまま採用確率になります。

ステップ4:キーワード付けに時間をかける

撮影よりも、ここに時間をかけてください。ストックフォトは検索されて初めて売れます。買い手が入力するであろう言葉を、写真ごとに20個から40個付けます。

付けるべきキーワードは4層に分けて考えると漏れません。

第1層、写っているもの(ノートパソコン、コーヒー、手)。 第2層、状況や行為(在宅勤務、書類作成、休憩)。 第3層、抽象概念や感情(集中、リラックス、忙しい、始まり)。 第4層、用途や属性(ビジネス、背景素材、コピースペース、縦位置)。

第3層と第4層を落とす人が多いのですが、買い手はむしろ抽象語で検索します。「テレワーク 疲れ」「新生活 スタート」といった検索に引っかかるかどうかが分かれ目です。

ステップ5:最初の目標枚数を決める

具体的な数字を置きます。半年で300枚。これが、売上のデータが読めるようになる最低ラインだと考えてください。

300枚あると、「自分の写真のうち、どのジャンルが売れているか」が見えてきます。そこから先は、売れたジャンルを厚く撮ればいいので、迷いが消えます。逆に50枚程度では、売れないのが実力なのか偶然なのか判断できません。

2回、1回に15枚アップロードすれば、半年で到達します。体調に波がある方でも、この程度なら組み込めるはずです。

収入の目安と、金額を伸ばすコツ

ここは正直に書きます。夢のある話ばかりを並べても、始めてから苦しくなるだけですから。

現実的な金額感

有料系のストックフォトサイトでは、1回のダウンロードで撮影者に入るのは、おおむね数十円から数百円のレンジです。無料系サイトでは1円から10円程度と、さらに小さくなります。

つまり、月に数万円の水準に届くには、相当な枚数と時間の蓄積が要ります。開始から半年は月数百円から数千円、というのが標準的な立ち上がり方だと考えてください。

ただし、性質が重要です。これは「働いた時間に対して払われる報酬」ではなく、「過去に作った在庫が生む収入」です。撮影をやめても、しばらくは入ってきます。生活の柱にはなりにくいけれど、他の在宅の仕事と組み合わせたときの下支えとしては、非常に優秀です。

伸びる人がやっていること

売上が伸びる方には、共通した動き方があります。

第一に、売れた写真を分析して、その周辺を撮り足す。1枚売れたということは、そのテーマに需要があるという証拠です。同じ被写体を、別の角度、別の色、別の季節で撮り直す。これが一番確実な増やし方です。

第二に、シリーズで撮る。「在宅勤務の1日」というテーマで、朝のコーヒーから夜のパソコンを閉じるまでを30枚撮る。買い手が同じトーンの写真をまとめて必要とするケースは多く、シリーズはまとめて売れます。

第三に、ニッチを掘る。「ビジネス」のような大きな言葉で戦うと、プロが撮った膨大な写真に埋もれます。そうではなく、「フリーランスの確定申告」「介護保険の書類」「マイナンバーカードと手続き」のような、具体的で狭いテーマを狙う。撮る人が少ないので、少ない枚数でも見つけてもらえます。

第四に、更新をやめない。ストックフォトサイトの検索順位は、新しい写真を上げ続けているアカウントを評価する傾向があります。少なくても定期的に、が効きます。

見落とすと後で困る、権利まわりの注意点

ここは面倒でも必ず読んでください。知らずに登録して、後から削除依頼が来るケースが実際にあります。

顔が写るなら同意書が必要

自分以外の人の顔が識別できる形で写っている写真は、本人の署名入り同意書がないと販売できません。家族であっても例外ではありません。各サイトが書式を用意しているので、それをダウンロードして記入・署名してもらい、写真と一緒にアップロードします。

未成年の場合は、保護者の署名も必要です。

写ってはいけないものを覚えておく

商品パッケージのロゴ、ブランド名、キャラクター、書籍の表紙、テレビ画面の映像、他人の作品(絵画、写真、イラスト)。これらが判別できる形で写っていると、審査で落ちるか、通っても後で削除されます。

家の中で撮るときに特に危ないのが、飲み物のペットボトルのラベル、ノートパソコンのメーカーロゴ、キーボードの刻印、書類に印刷された実在の社名です。ロゴはシールで隠すか、編集で消すか、写らない角度を選びます。

個人情報の写り込み

書類を撮るときに、実在の氏名、住所、電話番号、口座番号、マイナンバーが読める状態だと当然アウトです。ダミーの文字を印刷した紙を用意して使うのが、実務では一番安全です。

所得の扱いを確認しておく

ストックフォトの収入も、当然ながら所得です。給与所得のある方が副業として行う場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。専業として取り組む場合は基準が変わります。

判断に迷ったら、国税庁のサイトで最新の要件を確認してください。

国税庁の情報は制度改正のたびに更新されるため、年に一度は目を通しておくと安心です。

また、事業として本格的に取り組む場合、国民年金や国民健康保険の扱いも変わってきます。会社を辞めて在宅の仕事に切り替える段階の方は、日本年金機構で手続きの流れを確認しておくと、後の混乱が減ります。

外出が苦手な方が実務で詰まりやすい場面と、その対処

ここからは、私がカウンセリングの現場で実際に受けてきたご相談をもとに、つまずきやすい箇所を具体的に挙げます。

「審査に落ちた」で止まってしまう

これが最も多いです。審査結果は機械的な文面で返ってきます。「技術的な品質基準を満たしていません」という一文だけ。自分の人格を否定されたように感じてしまう方が、少なくありません。

でも、これは本当に機械的な選別です。ブレ、ノイズ、ロゴ、それだけを見ています。落ちた理由は数種類しかないので、リストにして1つずつ潰せば必ず通るようになります。

私自身、カウンセラーとして独立した当初、オンライン講座の資料に使う写真を自分で撮ろうとして、ことごとく失敗した時期がありました。夜、蛍光灯の下で撮った写真が、どれも黄色くザラついて使い物にならない。光の話を誰も教えてくれなかったので、自分の腕の問題だと思い込んでいました。窓辺の昼間に撮る、それだけで解決すると知ったときは、拍子抜けしたのを覚えています。技術の壁に見えるものの多くは、実は条件設定の問題です。

撮るものがなくなる

家の中は有限なので、2か月ほどで「もう撮るものがない」という状態が来ます。

対処法は、被写体ではなく「テーマ」から発想を変えることです。「机の上」ではなく「確定申告の準備」。「コーヒー」ではなく「休憩中」。テーマで考えると、同じ物でも組み合わせと状況が無限に作れます。

もう1つは、季節と行事のカレンダーを手元に置くこと。1年には、正月、節分、バレンタイン、卒業、入学、母の日、梅雨、夏休み、防災、敬老、ハロウィン、年末と、切れ目なく行事があります。それぞれを2か月前倒しで撮る計画を立てれば、撮るものに困りません。

反応がないまま孤独になる

これも切実なご相談です。誰からも評価されず、売上も動かず、ただ黙々と撮ってアップロードする日々が続く。この期間に心が折れる方が多い。

私がお伝えしているのは、「売上以外の指標を自分で決めてください」ということです。今週アップロードした枚数、審査に通った率、新しく試したジャンルの数。自分で管理できる数字を目標にすると、外部の反応に振り回されなくなります。

そして、これは在宅ワーク全般に言えることですが、生活のリズムを先に固めるほうが結果的に作業量が安定します。集中の維持に困っている方は、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックで、時間の区切り方の具体例を確認してみてください。作業そのものより、切り替えの設計のほうが効くことがあります。

生活時間の組み方そのものに悩んでいる方には、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開も参考になります。1日をどう配分している人がいるのかを知るだけで、自分の設計の目安ができます。

在宅の収入源としてストックフォトをどこに置くか、市場データから考える

最後に、少し引いた視点で整理します。ストックフォトを「唯一の柱」にするのは、正直に言って現実的ではありません。では、どう位置づけるのが賢いのか。

単価構造から見た、組み合わせるべき仕事

在宅で完結する仕事は、報酬の性質で2つに分かれます。1つは、ストックフォトのような「ストック型」。一度作れば継続して収益が発生するが、単価は小さい。もう1つは、作業の対価として都度報酬が発生する「フロー型」。すぐ収入になるが、手を止めると止まる。

この2つを組み合わせるのが、在宅で生計を安定させる基本形です。フロー型で当月の生活費を作り、ストック型で将来の下支えを積む。

フロー型のうち、どの職種がどの程度の相場感なのかは、職種ごとの単価データを見るとイメージが掴めます。たとえば、文章を書く仕事の相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、開発系の相場はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。写真の編集で身につく画像処理の感覚は、Web制作の周辺業務と地続きなので、こうした職種への横展開は決して遠い話ではありません。

在宅で選べる仕事の全体像を先に把握しておきたい方は、在宅でできる仕事おすすめ【2026年版】|スキル別ランキングに、スキル別の一覧が整理されています。ストックフォトと並行しやすい仕事を、そこから選ぶという考え方ができます。

写真から派生させられる仕事

撮影と編集を続けていると、自然に周辺スキルが身につきます。画像の切り抜き、色調補正、バナーの作成、ECサイト用の商品写真の加工。これらは、そのまま業務委託の案件として需要があります。

また、キーワード付けの作業で身につく「どういう言葉で検索されるか」という感覚は、Webマーケティングの基礎そのものです。この方向に伸ばすなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、どういう業務が在宅で発注されているかを見ておくと、次の一手が具体化します。

生成AIの普及で、素材写真そのものの競争は厳しくなっている一方、「AIをどう業務に組み込むか」を支援する仕事は増えています。この領域の実務内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事にまとまっています。写真で培った「素材を用途に合わせて整える」という感覚は、AI活用の現場でも普通に通用します。

制作寄りに進みたい場合はアプリケーション開発のお仕事、事務系の書類スキルを固めたい場合はビジネス文書検定、インフラ方面に興味があればCCNA(シスコ技術者認定)といった選択肢もあります。いずれも在宅で学べて、外出せずに受験できる形式のものが増えています。

20年この市場を見てきた立場からの観察

フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から、率直に感じていることを書きます。

長く続いている人ほど、単発の作業を数多くこなすことより、「この人に頼むと楽だ」という関係を作ることに時間を使っています。ストックフォトで言えば、それは特定のジャンルで「この撮影者の写真は安心して使える」と買い手に認識される状態です。バラバラのジャンルを浅く撮り散らかすより、狭い領域を深く埋めた人のほうが、結果的に長く売れ続けている。この傾向は、写真に限らずどの職種でも同じでした。

もうひとつ、運営者として見てきた限りで確かなことがあります。額面が同じでも、間に何段も中間業者が入る取引と、依頼者と直接つながる取引とでは、手元に残る金額がはっきり違うということです。手数料0%で直接つながる形は、受け手の手取りが厚くなるだけでなく、依頼する側も同じ予算でより多く発注できます。どちらかが得をするのではなく、両方が得をする。この構造に気づいて動き方を変えた人は、同じ労働時間でも生活の余裕がまったく違ってきます。

外出が苦手な方にとって、この「直接つながる」は心理的なハードルに見えるかもしれません。でも、実際のやりとりはテキストのチャットが中心です。会って話す必要はありません。ストックフォトで在庫を積みながら、テキストベースの直接取引を少しずつ増やしていく。この二段構えが、外に出る回数を増やさずに収入を厚くする、もっとも現実的な道筋だと考えています。

焦らなくて大丈夫です。積み上がった写真は逃げません。今日撮った10枚が、半年後のあなたを少しだけ楽にしてくれます。

よくある質問

Q. ストックフォト販売は本当に一度も外出せずに完結しますか?

はい、完結します。クリエイター登録、本人確認書類の提出、撮影、編集、アップロード、審査申請、売上の受け取りまで、すべてオンラインで進みます。審査担当者とのやりとりも管理画面のメッセージのみで、電話や面談はありません。撮影も自宅の机や窓辺で成立するジャンルが多く、屋外での撮影は必須ではありません。

Q. スマートフォンだけで始められますか?カメラは必要ですか?

ここ数年のスマートフォンであれば、多くのサイトの解像度要件を満たすため、そのまま始められます。目安として1200万画素あれば実用範囲です。カメラを買うより先に、レースのカーテン、白い画用紙、無地の背景紙、スマートフォン用三脚を数千円で揃えるほうが、審査通過率への効果は大きくなります。

Q. 収入はどのくらいを見込めばよいですか?

有料系サイトでは1ダウンロードあたり数十円から数百円、無料系では1円から10円程度が目安です。開始から半年は月数百円から数千円が標準的な立ち上がりで、すぐに大きな金額にはなりません。ストック型の収入なので、半年で300枚を目標に在庫を積み、売れたジャンルを厚く撮り足していく進め方が現実的です。

Q. 家の中で撮るとき、どんなものが写っていると審査に落ちますか?

商品パッケージのロゴ、ブランド名、キャラクター、書籍の表紙、テレビ画面の映像、他人の絵画や写真は避けてください。飲み物のラベル、ノートパソコンのメーカーロゴ、書類の実在する氏名や住所も要注意です。ロゴはシールで隠すか写らない角度を選び、書類はダミー文字を印刷した紙を用意すると安全です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月10日最終更新:2026年8月7日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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