提案文で先に伝えるのは在宅ハンドメイド販売で作れる量と納期


この記事のポイント
- ✓在宅のハンドメイド販売で委託先や法人への提案が通らない人へ
- ✓作れる量と納期を先に書く理由
- ✓条件を詰めるチェックリスト
ハンドメイドの作品を在宅で作って売っているけれど、委託販売の相談や法人からの依頼に対して、どう提案文を書けばいいのか分からない。あるいは書いて送ったのに返事が来ない。そういう段階でこの記事にたどり着いた方が多いと思います。まず、安心してください。提案文が通らない原因は、作品の魅力が足りないことではないケースがほとんどです。
結論から書きます。在宅のハンドメイド販売で提案文が通らないいちばんの理由は、作品の説明が長く、作れる量と納期が書かれていないことです。受け取る側がまず知りたいのは、月に何個作れて、初回の納品はいつになるのか。ここが分からない提案は、検討の土俵に乗りません。
この記事では、提案文で先に伝えるべき内容を順序立てて整理し、そのうえで条件を詰めるためのチェックリスト、そして受けてはいけない依頼の見分け方までを書いていきます。良い話だけでなく、実際に起きているトラブルも正直に書きます。
ハンドメイド販売の提案文は誰に向けて書くのか
最初に、提案文が必要になる場面を整理します。同じ「提案文」でも、相手によって求められる情報が違います。
場面1:実店舗やセレクトショップへの委託販売
雑貨店、カフェ、美容室などに作品を置いてもらう形です。店側が知りたいのは、初回に何点納品できるか、追加補充にどれくらいかかるか、売れ残った場合の扱いはどうするかです。
作品のコンセプトは、店の雰囲気に合っていれば十分伝わります。それより、補充の速度のほうが重要視されます。棚が空くことを店はいちばん嫌うからです。
場面2:法人からのノベルティ・記念品の受注
企業の周年記念品、イベント配布用のグッズ、店舗の内装小物などです。この場合、相手は購買部門や広報担当者であり、社内で稟議を通す必要があります。
つまり、提案文がそのまま稟議資料になります。単価、数量、納期、支払条件が明記されていない提案は、稟議に上げられません。
場面3:オンラインでの受注制作・オーダーメイド
個人客からのオーダーを受ける形です。ここでは、どこまでカスタマイズできるか、修正は何回まで可能か、キャンセル時の扱いがどうなるかが論点になります。
場面4:ワークショップや教室の企画提案
作品を売るのではなく、作り方を教える形です。会場側に提案する場合、必要な設備、1回あたりの定員、所要時間、材料費の負担区分を先に示す必要があります。
いずれの場面でも共通しているのは、相手が知りたいのは「実行できるかどうか」であって、作品の思想ではないという点です。
作れる量と納期を先に書く理由
提案文の冒頭に何を置くか。ここで結果が変わります。
相手は実行可能性から逆算している
提案を受け取った側は、まず自分の予定に組み込めるかを考えます。店舗なら棚の入れ替え時期、法人なら記念日やイベントの日程、個人客なら贈る相手の誕生日。
すべて日付から逆算されます。日付に間に合わない提案は、内容がどれだけよくても検討されません。
だから提案文の最初のほうに、「月30個まで制作可能、初回納品はご発注から3週間」と数字で書く。この2つの数字があるだけで、相手は判断を始められます。
作品説明を先に置くと読まれない
多くの方が、提案文の冒頭に作品のコンセプトや素材へのこだわりを書きます。気持ちは分かりますが、順序として逆です。
相手が読むのは、忙しい業務の合間です。長い説明が続くと、実行条件にたどり着く前に読むのをやめられます。作品説明は、条件を伝えたあとに置いてください。
数量の上限を書くことは弱みではない
「月30個まで」と上限を書くと、断られるのではないかと心配される方がいます。実務では逆です。
上限が書かれていない提案には、相手は勝手に期待値を設定します。そして期待を超える発注が来て、対応できずに信用を失う。これがハンドメイドの受注でいちばん多い失敗の形です。
先に上限を示しておけば、相手はその範囲で計画を立てます。上限を超える依頼が来たときは、追加の相談として扱えます。これは自分を守る行為であり、同時に相手の計画を助ける行為でもあります。
納期は最悪値で書く
納期を書くときは、順調に進んだ場合の日数ではなく、材料の入荷遅れや体調不良を織り込んだ日数を書いてください。
たとえば、順調なら10日で作れるものでも、提案文には「3週間」と書く。早く仕上がったぶんには誰も文句を言いませんが、遅れると信用は一度で失われます。
在宅の制作は、代わりの人がいません。この前提を提案の段階から織り込んでおく必要があります。
ハンドメイド販売が置かれている市場環境
提案の前提として、市場の状況も押さえておきます。
ハンドメイドの副業は、在宅で取り組める仕事の中でも参入しやすい分野として認識されています。
このように、ハンドメイド販売はすきま時間に取り組みやすく、とくにコロナ禍以降に人気の副業です。中には、副業で月100万円以上の売上を達成しているハンドメイド作家もいるため、作品や販売方法の工夫次第で高収入も目指せます。 出典: baseu.jp
ここで注意していただきたいのは、参入しやすいということは競合が多いということでもある点です。個人向けの販売プラットフォームには膨大な作品が並んでおり、そこで埋もれた作り手が、次の一手として委託販売や法人受注を検討する。この流れが、提案文の需要を生んでいます。
制作時間の短い題材から始める考え方
提案を通しやすくするには、制作時間が読める題材を選ぶことも有効です。制作時間が短い題材は、量と納期の約束がしやすくなります。
ハーバリウムとは、ビンの中にドライフラワーやプリザーブドフラワーをオイルと一緒に詰めたインテリアです。制作時間は30分〜1時間程度と短く、体験教室もさまざまな場所で開かれているので、ハンドメイド初心者も気軽に取り組みやすくなっています。瓶に入っている分、ドライフラワーやプリザーブドフラワーより崩れにくいので、発送時の梱包も比較的かんたんなのも魅力です。仕事から帰宅した後の数時間でも十分に制作や梱包作業ができます。 出典: baseu.jp
つまり、1点あたりの制作時間が読める題材ほど、月間の生産可能数を正確に提示できます。逆に、1点ごとに制作時間が大きくぶれる題材で大量受注を約束すると、後半で必ず破綻します。
梱包と発送も制作時間に含める
見落とされがちですが、梱包と発送作業は制作時間の一部です。1点あたり15分かかるなら、30点で7時間半です。ここを計算に入れずに納期を約束すると、必ず遅れます。
提案文に書く生産可能数は、制作時間だけでなく、梱包、検品、発送準備を全部含んだ数字にしてください。
提案文の型:6つの要素を順番に
実際の提案文の構成を示します。この順序で書いてください。
要素1:何を提供できるか(2行)
「アクセサリー(ピアス、イヤリング)を中心に、天然石を使った小物を制作しております。」
長い説明は不要です。相手が「何の話か」を把握できれば足ります。
要素2:作れる量と納期(3行)
「月間の制作可能数は30点です。初回納品はご発注から3週間、以降の追加補充は2週間を目安にご対応いたします。繁忙期(11月から12月)は納期が1週間ほど延びる見込みです。」
ここが提案文の核です。繁忙期の変動まで書いておくと、実務が分かっている相手だと判断されます。
要素3:価格の考え方(3行)
「卸価格は上代の60%を基本とし、20点以上のご発注時は55%でご対応可能です。上代は1点2,500円から4,000円の範囲です。」
価格を書かない提案は、検討が止まります。範囲でよいので必ず入れてください。
要素4:取引条件(3行)
「お支払いは納品後30日以内でお願いしております。買取と委託のどちらでもご対応可能です。委託の場合、売れ残り分は3ヶ月を目安にご返却いただく形を想定しております。」
ここを曖昧にすると、後で必ず揉めます。
要素5:作品の特徴(3行)
ここで初めて作品の話をします。「金属アレルギーに配慮し、金具はすべてサージカルステンレスを使用しています。」といった、相手の販売文句になる情報を書きます。
こだわりや制作の背景ではなく、店頭やページで説明に使える情報を選んでください。
要素6:次のアクション(1行)
「サンプルを3点お送りすることが可能です。ご希望でしたらお知らせください。」
相手が返事を書きやすい形で終わります。「ご検討ください」で終わる提案は、返事が来ません。
提案文でやりがちな失敗
相談を受けてきた範囲で、通らない提案文に共通する特徴を挙げます。
失敗1:作品への思いが長い
制作を始めたきっかけ、素材との出会い、込めた想い。これらは大切なものですが、提案文の役割ではありません。
思いを伝える場所は、作品に添えるカードやオンラインショップのプロフィール欄です。取引の提案文とは分けてください。
失敗2:価格を書かずに「ご相談させてください」
価格を書かないと、相手は自分で計算できません。稟議を通す担当者にとっては、金額のない提案は資料になりません。
安く見られるのが怖くて書けない、という方がいますが、書かないことで検討から外れるほうが損失は大きい。範囲での提示で構いませんので、必ず入れてください。
失敗3:写真の準備ができていない
提案文に添える写真は、白背景で商品全体が写っているものと、使用イメージが分かるものの2種類を用意します。加工を強くかけた写真は、実物との差が出るため信用を落とします。
明るさだけを整えた自然な写真のほうが、取引の場面では評価されます。
失敗4:相手のことを調べていない
その店が何を置いているか、その企業がどういう商品を作っているかを見ずに提案すると、まず通りません。
提案文の中に、相手を見た証拠を1文入れてください。「店頭で扱われている木製雑貨と価格帯が近く、並べていただける可能性があると考え、ご連絡いたしました。」この1文があるかないかで、返信率が変わります。
失敗5:一斉送信が透けて見える
同じ文面を大量に送ると、相手には分かります。私自身、独立して間もない頃に提案文を使い回して全滅した経験があります。相手ごとの前提が違うので、内容が微妙にずれる。ずれは読み手に伝わります。
書き分けるのは、冒頭の1文と相手に触れた1文だけで足ります。それだけなら5分で済みます。
相手別に提案文をどう変えるか
同じ型で書いても、相手によって強調する箇所が変わります。ここを合わせるだけで返信率が上がります。
実店舗に送る場合の重心
店舗にとっての最大の関心事は、棚を空けないことです。そのため、補充の速度と、季節に合わせた入れ替えの提案を厚くします。
具体的には、「売れ行きに応じて2週間ごとの補充が可能です」「春夏と秋冬で色味の異なるシリーズをご用意できます」といった記述です。
もう1つ、店側が気にしているのが什器や陳列の手間です。「専用の台紙とスタンドをご用意しております。什器のご準備は不要です」と書けるなら、必ず入れてください。店の作業を減らす提案は、それだけで採用の理由になります。
法人に送る場合の重心
法人の担当者は、社内で説明する立場にあります。そのため、提案文がそのまま資料として使える形になっていることが重要です。
数量ごとの単価表を入れる、納期を営業日で表記する、支払条件を明記する。この3つが揃っていると、担当者は転記するだけで稟議に上げられます。
もう1つ、法人取引で必ず聞かれるのが、量産時の品質のばらつきです。「同一ロット内での色味の差は、天然素材のため個体差が生じます。事前にサンプルで許容範囲をご確認いただく形を推奨しております」と先に書いておくと、後のクレームを防げます。
個人客に送る場合の重心
オーダーメイドの相談に返信する場合は、条件を並べすぎると冷たく感じられます。ここだけは書き方を変えてください。
必要な情報は、制作にかかる期間、修正できる範囲、キャンセルの扱いの3つです。これを箇条書きで並べるのではなく、文章の中に自然に織り込みます。
「ご希望のデザインですと、制作に3週間ほどいただく形になります。仕上がりのイメージは着手前にラフでご確認いただき、その段階でのご変更は自由に承っております。着手後の大きな変更は難しいため、ラフの段階でしっかりご相談させてください。」
条件を伝えつつ、相手の不安を減らす順序になっています。
返信が来ないときに確認すること
提案を送っても反応がない場合、原因は次のどれかであることがほとんどです。
原因1:送り先が担当者に届いていない
店舗の問い合わせフォームや代表アドレスに送った場合、担当者まで転送されていない可能性があります。
対策は、送付から1週間後に一度だけ短い確認を送ることです。「先日お送りした件、ご担当者様にお届きしておりますでしょうか」の1文で足ります。催促ではなく到達確認として書くのがポイントです。
2回目以降の追いかけはしないでください。反応がないこと自体が回答です。
原因2:検討のタイミングが合っていない
店舗や企業には、仕入れを検討する時期があります。年末商戦向けなら夏の終わり、春の新生活向けなら年明けというように、動く時期が決まっています。
タイミングが合っていないだけなら、「次の入れ替えのご検討時期に、改めてご連絡させていただいてもよろしいでしょうか」と聞いておくと、次につながります。
原因3:提案が長すぎる
送った提案文が1,500字を超えていたら、長すぎます。初回の提案は600字前後で十分です。
詳細な資料は、相手が興味を示してから送る。最初から全部を送ると、読む負担が大きくなって放置されます。
原因4:写真が判断材料になっていない
作品の雰囲気は伝わっても、サイズ感や実際の使用場面が分からない写真は、判断材料になりません。
手に持った写真、他の物と並べた写真、実際に使っている写真。この3種類のうち最低1枚を入れてください。サイズが分かるだけで、検討の速度が変わります。
初回取引で崩れないための進め方
提案が通ってからが本番です。初回で信用を作れるかどうかが、その後の継続を決めます。
初回は少ない数量から始める
相手から大きな数量を提示されても、初回は少なめに抑えることをお勧めします。「まずは10点で反応を見ていただき、動きがよければ追加でご対応いたします」という形です。
初回で品質と納期を守れれば、次から数量は自然に増えます。逆に、初回で無理をして遅れると、次はありません。
納品前に写真で確認を取る
発送する前に、完成品の写真を送って確認を取ってください。この一手間で、届いてから「イメージと違う」と言われる事態をかなり防げます。
とくに色味は、画面と実物で差が出ます。「お使いのモニターにより色味が異なる場合がございます」と添えたうえで、気になる点があれば発送前に調整できることを伝えておきます。
納品後に短く報告する
発送したら、追跡番号とともに一報を入れます。「本日発送いたしました。到着予定は明後日です。検品の際、何かございましたらご連絡ください。」の3行です。
この連絡があるかないかで、受け取る側の安心感がまったく違います。制作の腕とは無関係な部分ですが、継続の判断にはしっかり効いています。
条件を詰めるためのチェックリスト
提案が通って取引が始まる前に、確認しておくべき項目を並べます。すべてメールなど文面の残る形で行ってください。
| 分類 | 確認項目 |
|---|---|
| 数量 | 初回発注数と、追加発注の最小ロット |
| 納期 | 初回納品日と、追加補充の所要日数 |
| 価格 | 卸価格の掛け率、数量による変動の有無 |
| 取引形態 | 買取か委託か、委託なら返品条件 |
| 支払 | 支払期日と支払方法 |
| 送料 | 納品時の送料をどちらが負担するか |
| 不良品 | 破損・不良時の交換条件と期限 |
| 著作権 | デザインの権利の所在、類似品の扱い |
| 表示 | 作家名の表示可否、タグやカードの添付可否 |
| 独占 | 同一地域の他店への卸を制限されるか |
このうち、見落とされやすいのが送料と独占の2つです。
送料は、点数が少ない取引では利益を大きく削ります。1回1,000円の送料でも、月2回で年間24,000円になります。誰が負担するかを最初に決めてください。
独占については、「近隣の他店には卸さないでほしい」と言われることがあります。応じること自体は選択肢ですが、その場合は最低発注量を保証してもらうこととセットで交渉してください。独占だけを受け入れると、販路が狭まるだけになります。
受けてはいけない依頼の見分け方
リスクは正直に書きます。ハンドメイドの受注では、次のような依頼が実際に来ます。
サンプルの無償提供を大量に求める
「まず10点ほどサンプルをいただいて、社内で検討します」という依頼です。1点や2点なら営業経費として妥当ですが、10点は実質的な無償納品です。
「サンプルは3点まで無償でご用意し、それ以上は実費でのご請求とさせてください」と伝えてください。ここで関係が切れる相手は、取引が始まっても条件面で厳しいことが多い。
デザインだけを求めて制作は他所に流す
「デザイン案を提案してください」と言われ、提出した案が別の業者で量産されるケースです。
対策は、デザイン案の提出前に、その扱いを文面で確認することです。「ご提案するデザインの権利は当方に帰属し、ご採用いただいた場合のみ制作をお任せいただく前提でよろしいでしょうか」と書いておきます。
支払期日を明示しない
「売れたらお支払いします」という条件は、期日が定まっていません。委託販売でも、精算のタイミングは月末締め翌月末払いといった形で確定させてください。
なお、業務委託として制作を請け負う場合、2024年11月に施行されたフリーランス保護新法により、発注事業者は成果物を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に報酬支払期日を定める義務があります。制度の詳細は厚生労働省の情報が一次資料になります。
値下げを前提に大量発注を提示する
「100点まとめるので単価を半分に」という依頼です。ここで判断すべきは、単価を半分にしても利益が出るかどうかではなく、100点を作る時間を確保できるかどうかです。
大量受注を受けると、その期間は他の取引先への補充が止まります。既存の販路を失うリスクと引き換えになっていないかを、必ず計算してください。
開始前に整えておく実務の土台
提案を出す前に、先に整えておくと後が楽になるものがあります。
原価と作業時間の記録
1点あたりの材料費と制作時間を記録してください。これがないと、卸価格の交渉ができません。
記録すべきは、材料費、制作時間、梱包時間、そして失敗して作り直した回数です。失敗率まで含めた原価が、本当の原価です。
私の経験で言うと、記録を取り始めるまでは自分の原価を3割ほど低く見積もっていました。材料の端材や、練習で消費した分を計算に入れていなかったからです。
販売の始め方を体系的に押さえる
制作と販売は別の技能です。販売側の流れを一度整理しておくと、提案の内容も具体的になります。
実際にハンドメイド販売をはじめるにあたって、どんな手順を踏めばいいのでしょうか?ハンドメイド販売のはじめ方について、かんたんにご説明します。 出典: baseu.jp
自分で販売した経験があると、店側の事情が想像できるようになります。棚の回転、季節による売れ方の変動、返品の手間。これらを理解している提案は、内容が具体的になります。
確定申告の準備
会社勤めをしながら副業として制作している場合、副業の所得が年20万円を超えると確定申告が必要になります。専業であれば所得の額にかかわらず申告が必要です。
材料費のレシートは、制作を始めた時点から保管してください。後からまとめようとすると、必ず抜けます。詳しくは国税庁の情報をご確認ください。
体調と生産量の関係を織り込む
在宅の制作は、体調が生産量に直結します。無理な受注を続けると、作れない期間が発生して、結局は納期を守れなくなります。
長く続けるための体調管理の考え方は、在宅ワーカーのメンタルヘルスケア|孤独・燃え尽きを防ぐ5つの習慣【2026年版】にまとまっています。生産量の見積もりは、体調の波を織り込んだうえで立ててください。
提案文の力は他の在宅ワークにも転用できる
提案文を書く力は、ハンドメイドに限らず、在宅で仕事を得るすべての場面で使えます。
条件を先に示し、範囲を区切り、相手が判断できる情報を並べる。この型は職種を問いません。文書の型を体系的に学びたい方にはビジネス文書検定が使えますし、その資格を在宅の仕事にどう活かすかはビジネス文書検定で文書作成の副業力アップ|在宅ライティング案件に整理されています。
専門職の在宅ワークでも構造は同じです。法律事務所のパラリーガルの働き方|在宅・時短勤務の現状【2026年版】を見ると、評価されているのは処理の速さではなく、条件の確認と説明の丁寧さであることが分かります。
制作以外の領域に広げる場合、AIコンサル・業務活用支援のお仕事やAI・マーケティング・セキュリティのお仕事には、需要が伸びている業務がまとまっています。技術寄りに進むならアプリケーション開発のお仕事も選択肢になります。
単価の水準を判断する材料としては、ソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場といった職種別のデータが役に立ちます。データ管理やオンライン環境の基礎を固めたい場合はCCNA(シスコ技術者認定)のようなIT系の学習も、間接的に効いてきます。
独自データから見た、取引が続く作り手の共通点
在宅ワークとフリーランスの市場を20年運営してきた立場から、観察をお伝えします。取引先を長く維持できている作り手には、共通した特徴があります。それは、作れない量をはっきり断っていることです。
繁忙期に無理な発注を受けて納期を落とすより、「その量は2ヶ月お待ちいただく形になります」と正直に伝える。目先の受注は減りますが、納期を守った実績が積み上がると、相手は次の計画に組み込んでくれるようになります。
運営者として見てきた限りでは、単価が高い作り手と低い作り手の差は、作品の完成度の差ほど大きくありません。差が出ているのは、相手が「この人に頼むと自分の段取りが崩れない」と感じているかどうかです。段取りが崩れない相手には、次のシーズンも声がかかります。
もうひとつ、手取りの話をしておきます。仲介の手数料が引かれる取引では、依頼者が支払った金額の一部が中間に落ちます。同じ予算でも、中間マージンが乗らない直接取引なら、依頼者はより多く頼めますし、受け手の手取りは厚くなる。手数料0%という条件は、金額が増えるという話にとどまりません。同じ手取りを得るために必要な制作点数が減る、つまり1点あたりに時間をかけられるようになるということです。
作れる量を無理に増やさずに済む状態は、提案文の約束を守り続けるための条件でもあります。点数を追って品質が落ちれば、取引はいずれ切れます。
20年この市場を見てきて思うのは、売上を伸ばそうとして受注量を増やした人より、手取り率の高い取引に移して点数を保った人のほうが、結果的に長く続いているということです。作れる量を先に伝えることは、遠慮ではなく経営判断です。皆さんの提案文の冒頭に、量と納期の2つの数字を置くところから始めてみてください。
よくある質問
Q. ハンドメイド販売の提案文には、まず何を書けばよいですか?
月に何点作れるかと、初回納品までの日数です。受け取る側は日付から逆算して実行できるかを判断するため、この2つがないと検討が始まりません。作品のコンセプトや素材へのこだわりは、条件を伝えたあとに置いてください。順序を逆にすると読まれません。
Q. 作れる数の上限を書くと、断られませんか?
書いたほうが通ります。上限がない提案には相手が勝手に期待値を設定し、対応しきれずに信用を失う流れになります。先に上限を示せば相手はその範囲で計画を立てられますし、超える依頼は追加の相談として扱えます。上限の明示は自分と相手の両方を守ります。
Q. 提案文に価格は書くべきですか?
必ず書いてください。範囲での提示で構いません。とくに法人向けの提案は稟議資料になるため、金額のない提案は社内で検討に上げられません。卸価格の掛け率と、数量による変動の有無まで書いておくと、相手が判断しやすくなります。
Q. 納期はどのように見積もればよいですか?
順調に進んだ場合ではなく、材料の入荷遅れや体調不良を織り込んだ日数で書いてください。制作時間だけでなく、梱包・検品・発送準備も含めて計算します。1点15分の梱包でも30点なら7時間半かかります。早く仕上がるぶんには問題になりませんが、遅れは信用を一度で失います。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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