【3種類でいい】在宅ハンドメイド販売の最初の1か月にやること

長谷川 奈津
長谷川 奈津
【3種類でいい】在宅ハンドメイド販売の最初の1か月にやること

この記事のポイント

  • ハンドメイド販売を在宅で始める最初の1か月にやることを
  • 週ごとの作業配分・販売サイトの選び方・価格の決め方・法律面の準備まで整理しました
  • 特定商取引法の表示義務や確定申告の基準など

ハンドメイド販売を在宅で始めようと決めたものの、最初の1か月で何をすればいいのか分からない。そう感じて検索している方が非常に多いです。結論から書きます。最初の1か月でやるべきことは、たくさん作ることでも、たくさん売ることでもありません。3種類の商品を出品できる状態にして、販売者としての表示と記録の仕組みを整えることです。

これ、知らない人が本当に多いんです。ハンドメイドを「趣味の延長」だと思って始めると、法律上は事業者として扱われる場面があることに気づかないまま数か月が過ぎます。後から表示義務や申告の話が出てきて慌てる方を、何人も見てきました。最初の1か月で仕組みを作っておけば、その慌てはまるごと回避できます。

この記事では、在宅でハンドメイド販売を始める最初の1か月を週単位に分けて、作業の配分、販売サイトの選び方、価格の決め方、写真と説明文、そして法律面の準備まで順番に書いていきます。法律の話も出しますが、必ず「つまり何をすればいいか」まで噛み砕きます。

ハンドメイド販売の市場は「参入が容易で、継続が難しい」構造

最初に、これから入る市場の形を正確に把握しておきます。ここを誤解したまま走り出すと、1か月後に手が止まります。

ハンドメイド販売の入口は極端に低くなっています。スマートフォン1台で出品でき、初期費用はほぼゼロです。だからこそ出品者数が非常に多く、作品を並べただけでは見つけてもらえません。参入が容易であることと、売れることは別の話です。

「何か月で売れるようになるか」への現実的な答え

多くの方が最初に知りたいのは、どのくらいで売れるようになるのかという点です。ここは正直に書きます。1か月で安定的に売れる状態になる人は、ごく少数です。

これらを地道に改善していく中で、少しずつ反応が増え、注文も安定してきました。月10万円に届くまでにかかった時間は長かったですが、その分、土台がしっかりできたと感じています。 出典: note.com

「時間は長かった」という表現に、この市場の実態が出ています。改善を積み重ねた結果として安定するのであって、最初から売れる商品を出せる人はほとんどいません。逆に言えば、改善のサイクルを回せる仕組みを最初の1か月で作っておけば、その後の伸び方が変わります。

もう1つ、実際に検索されている疑問を挙げます。

昨日、この知恵袋で、在宅でハンドメイド作りして、月25万は安定して稼いでるという人の投稿を見ました。ハンドメイドってそんな儲かるんですか? それともその人が、ビジネスセンスが高かったり、めちゃくちゃクオリティの高い作品を作ってるんでしょうか? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

こういう疑問が出るのは当然です。答えを言うと、高い売上を出している人は、作品の品質だけで到達しているわけではありません。原価管理、価格設定、写真、説明文、発送の効率化、リピーターの維持、この全部を仕組みにしています。作ることは全体の一部でしかありません。最初の1か月で「作る以外の部分」に時間を割ける人が、後で差をつけます。

最初の1か月の目標は売上ではなく「土台」

初月の目標を売上金額に置くと、ほぼ確実に落胆します。目標は次の3つに置いてください。

第一に、出品できる商品が3種類あること。同じ商品の色違いではなく、形の違うものを3つです。理由は後述しますが、反応の比較ができないと改善の方向が決まらないためです。

第二に、1個あたりの原価と制作時間を数字で把握していること。これがないと価格が決められません。感覚で値付けした人は、売れるほど赤字になるという事故を起こします。

第三に、販売者としての表示と記録の仕組みが整っていること。特定商取引法に基づく表示、売上と経費の記録、この2つです。後から遡って整えるのは本当に大変なので、最初にやるのが最も楽です。

この3つは、作品の完成度がどの段階でも作れます。逆に、この3つがないまま作品数だけ増やしても、売上にはつながりません。

最初の1か月の作業配分:制作に全振りしてはいけない

ここが本記事の核心です。ハンドメイドは作ること自体が楽しいので、気づくと制作だけで1か月が終わります。

週あたりの可処分時間を先に確定させる

最初にやるのは作ることではなく、時間の棚卸しです。平日に何分、休日に何時間使えるかを、希望ではなく実績で書き出します。「平日2時間」と書く方が多いのですが、1週間記録を取ると平日の中央値は40分前後になることが珍しくありません。家事、育児、本業の疲労が必ず入るからです。

この記録には、もう1つ重要な役割があります。1個作るのに何分かかるかを測るための土台になるのです。制作時間が分からないと原価が計算できず、原価が分からないと価格が決められません。時間の記録は、実は価格設定の第一歩です。

記録は紙でもスマートフォンのメモでも構いません。作業を始めた時刻と終えた時刻を書くだけです。1週間続ければ、自分の現実的な稼働量が見えます。

制作4割・撮影と出品作業3割・調査と手続き3割

配分の結論です。最初の1か月は、制作に4割、撮影と出品作業に3割、調査と手続きに3割を割り当てます。週8時間なら、制作に3時間12分、撮影と出品に2時間24分、調査と手続きに2時間24分です。

制作を半分以下に抑えることに抵抗を感じる方が多いと思います。理由を説明します。ハンドメイド販売において、購入者が最初に見るのは商品そのものではなく、写真と説明文だからです。実物がどれだけ良くても、写真が暗ければ選ばれません。逆に、写真と説明文が整っていれば、同じ商品でも反応がまったく変わります。

撮影と出品作業に3割を割くのは、この工程が売上に直結するからです。1点作る時間を削ってでも、既存の商品の写真を撮り直すほうが、初月の反応は良くなります。

調査と手続きに3割というのも意外に思われるかもしれません。ここには、競合商品の価格調査、販売サイトの規約確認、特定商取引法の表示準備、原価計算、記録の仕組み作りが含まれます。地味ですが、後で効いてきます。私は独立したての頃、記録を後回しにして1年分の領収書を確定申告の直前にまとめる羽目になったことがあります。あれは本当に無駄な時間でした。最初に仕組みを作れば、月30分で済む作業です。

平日1時間・休日3時間の人の週間スケジュール例

具体例を出します。平日に60分、土日に各180分取れるとします。週合計は11時間です。

月曜と火曜は制作に充てます。まとまった集中が必要な工程はここに入れます。水曜は材料の発注と在庫の確認、価格調査に使います。木曜は撮影の準備と、実際の撮影です。金曜は出品作業と説明文の作成に固定します。土曜は制作、日曜は記録の更新と、翌週の計画づくりに使います。

これで制作6時間、撮影と出品3時間、調査と手続き2時間になります。制作の比率がやや高めですが、1か月目としては許容範囲です。重要なのは、撮影と手続きの時間を「余ったらやる」にしないことです。曜日で固定してしまうのが最も確実です。

1週目:作るものを絞り、原価を数字にする

最初の1週間は、方向を決めることに使います。ここで迷い続けると、1か月がまるごと消えます。

ジャンルを1つに絞る理由

ハンドメイドで扱える商品は非常に幅広くあります。アクセサリー、布小物、革小物、陶器、キャンドル、石けん、編み物、木工、ペット用品、ベビー用品。この中から1つに絞ってください。

理由は3つあります。第一に、材料の仕入れ先が分散すると管理が複雑になり、送料も無駄になります。第二に、購入者から見たときに「この人は何の人か」が分からなくなります。第三に、法律上の扱いがジャンルによって違うため、複数を同時にやると確認事項が倍増します。

3つ目は特に重要です。例えば、口に入るものや肌に直接触れるものは、規制が別に存在する場合があります。食品を扱うなら営業許可が必要になり、化粧品に該当するものは製造販売の許可が要ります。手作り石けんは、洗浄目的の雑貨として売るのか、化粧品として売るのかで扱いが変わります。ここを曖昧にしたまま販売を始めると、後で出品を全部取り下げることになりかねません。

最初の1か月は、規制の少ないジャンルから入るのが安全です。アクセサリー、布小物、雑貨、文具といった領域は、一般的な表示義務を守れば始められます。

原価計算は「材料費だけ」では足りない

原価を出すとき、多くの方は材料費だけを計算します。これが最初の失敗です。

原価に含めるべきものは、材料費、副資材費、梱包資材費、販売手数料、送料の自己負担分、そして自分の制作時間です。このうち制作時間を無視すると、作れば作るほど時間が持ち出しになります。

具体的に計算してみます。材料費が400円、梱包資材が100円、販売手数料が売価の10%、制作に60分かかるとします。時給を1,000円と置くと、時間コストは1,000円です。合計の変動費は1,500円プラス手数料になります。売価を2,000円にすると、手数料200円を引いて手元に残るのは300円です。時給分は確保できていますが、失敗作の分や試作の材料費は回収できていません。

この計算をやると、多くの方が「思っていたより高く売らないと成立しない」と気づきます。それでいいのです。安く売ることは戦略ではなく、単に採算が合っていない状態です。

計算式は表計算ソフトに入れておいてください。商品ごとに材料費と制作時間を入れれば売価の下限が出る形にしておくと、新商品を作るたびに迷わなくなります。

材料の仕入れと在庫の考え方

最初の1か月は、材料をまとめ買いしないでください。売れる商品が分からない段階で在庫を積むと、資金が固定されます。

必要なのは、3種類の商品をそれぞれ2個ずつ作れる量です。売れてから追加で仕入れる。この順番を守れば、資金繰りで詰まることはありません。まとめ買いの単価が安いのは事実ですが、売れない材料は単価が安くても損失です。

仕入れ先は最低2つ確保しておきます。1つの店舗に依存すると、廃番や品切れで制作が止まります。同じ材料を別の店でも買えるようにしておくのが、継続販売の基本です。

2週目:販売サイトを選び、表示を整える

2週目は、売る場所を決めて、販売者としての体裁を整えます。

販売サイトの選び方

販売先は大きく3系統あります。ハンドメイド専門のマーケットプレイス、総合的なフリマアプリ、自分のネットショップです。

ハンドメイド専門のマーケットプレイスは、手作り品を探しに来ている人が集まっているため、購入意欲の高い人に届きます。手数料は売上の10%前後が一般的です。作品の世界観を伝えやすい設計になっており、最初の1か月に選ぶなら第一候補です。

総合フリマアプリは利用者数が圧倒的に多く、露出の機会が広いのが利点です。ただし中古品や量産品と並ぶため、手作りであることの価値が伝わりにくい面があります。手数料は10%程度です。

自分のネットショップは手数料を抑えられますが、集客を自力でやる必要があります。最初の1か月で手を出すべきではありません。マーケットプレイスで反応を見て、リピーターがついてから検討する順番が現実的です。

現実的な運用は、専門マーケットプレイスを主軸にして、SNSを入口にする形です。複数のサイトに同時出品する場合は、在庫の重複販売に注意してください。同じ1点を2か所で売って両方から注文が入ると、片方をキャンセルすることになります。評価が下がる原因として、これが非常に多いです。

特定商取引法に基づく表示は必須

ここは法律の話です。つまり何をすればいいかまで書きます。

インターネットで継続的に商品を販売する場合、特定商取引法に基づく表示が必要になります。表示する内容は、販売事業者の氏名、住所、連絡先、販売価格、送料などの追加費用、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、返品や交換の条件です。

これ、知らない人が本当に多いんです。趣味の延長のつもりでも、繰り返し販売していれば事業者として扱われます。表示を怠ると、購入者とのトラブル時に不利になりますし、サイトによっては出品停止の対象になります。

住所と電話番号の公開に抵抗がある方が多いと思います。実務的には、販売サイトが提供している開示請求対応の仕組みを使う方法があります。プラットフォームによっては、購入者から請求があった場合に遅滞なく開示すると表示することで、常時公開を省略できる運用を用意しています。使えるかどうかはサイトの規約に明記されているので、必ず確認してください。自己判断で省略するのは避けたほうがいいです。

返品条件は必ず明記します。「お客様都合の返品は受け付けません」と書くだけでも、後のトラブルは大きく減ります。逆に何も書かないと、一定期間の返品を受け入れる扱いになる場合があります。

商標と著作権の確認

ハンドメイドで最も多いトラブルが、キャラクターやブランドロゴの無断使用です。

既存のキャラクターをモチーフにした作品、ブランドのロゴが入った生地を使った商品、有名な柄を模した作品。これらは著作権や商標権の侵害にあたる可能性があります。「生地を買ったのだから自由に使える」と考える方がいますが、これは誤りです。生地の販売時に「個人利用に限る」と条件が付いているものは、それを使った商品の販売ができません。

先日、あるハンドメイド作家の方から相談を受けたことがあります。人気キャラクターの生地でポーチを作って販売したところ、権利者から連絡が来たという内容でした。ご本人に悪意はなく、生地を正規に購入していたので問題ないと思っていたそうです。結論から言うと、生地の購入と、それを使った商品の販売許諾は別物です。販売用に使える生地かどうかは、購入前に必ず確認してください。

自分の作品名やブランド名を決めるときも、既存の商標と重複していないか調べておくと安心です。特許情報プラットフォームで無料検索できます。ここを確認せずに名前を広めてしまうと、後から変更することになり、それまで積み上げた認知が消えます。

3週目:写真と説明文を作り込む

3週目は、売れるかどうかを最も左右する工程に集中します。

写真は自然光と背景の統一だけで変わる

高価な機材は不要です。スマートフォンのカメラで十分に戦えます。押さえるべきは3点だけです。

第一に、自然光で撮ることです。窓際で、直射日光を避けた明るい場所が最適です。室内の照明だけで撮ると色が黄色く転びます。時間帯は午前中から昼過ぎが安定します。

第二に、背景を統一することです。白い紙、木目のボード、無地の布のいずれかを固定して使います。背景が毎回違うと、商品一覧に並んだときに散らかった印象になります。ここを揃えるだけで、作品の見え方が変わります。

第三に、必要な写真の種類を揃えることです。全体が分かる写真、素材の質感が分かる寄りの写真、サイズ感が分かる比較写真、装着や使用イメージの写真。この4枚があれば、購入者の疑問はほぼ解消します。サイズ感の写真は特に重要で、これがないと「思ったより小さかった」という評価につながります。

撮影は1点ずつやらず、まとめて行ってください。撮影のためのセッティングに時間がかかるので、3種類の商品を一度に撮るほうが効率的です。

説明文に必ず書くべき項目

説明文で書くべきことは決まっています。感想や思いを長々と書くより、事実を過不足なく書くほうが売れます。

必須項目は、素材、サイズ(縦横厚みを数値で)、重さ、色、制作方法の概要、取り扱い上の注意、発送方法と発送までの日数です。加えて、金属アレルギーの有無に関わる素材情報、水濡れや洗濯の可否は、後のトラブル防止に直結します。

書いてはいけない表現もあります。効果や効能をうたう表現は、商品によっては法律に触れます。「肩こりが治る」「肌がきれいになる」「疲れが取れる」といった書き方は避けてください。これは化粧品や医薬品に関する規制、および景品表示法の優良誤認の観点から問題になります。「つけ心地が軽い」「肌当たりがやさしい素材を使用」のような、事実を述べる表現に置き換えます。

もう1つ、根拠のない最上級表現も避けてください。「日本一」「最高品質」「他にはない」といった表現は、客観的な裏付けがないと不当表示にあたる可能性があります。優良誤認や有利誤認の考え方については、公正取引委員会が公表している資料が参考になります。表現ひとつで信用を落とすのはもったいないです。

価格の決め方と値上げのタイミング

価格は、原価計算で出した下限を割らないことが大前提です。そのうえで、市場の相場を確認します。

相場を調べるときは、同じジャンルで「売れている」商品を見ます。出品されているだけの商品ではありません。レビューが付いているもの、売切表示になっているものを探し、その価格帯を記録します。売れている価格帯より大幅に安く出すと、品質を疑われて逆に売れないことがあります。

最初の1か月は、相場の中央値付近に置くのが無難です。安売りで注目を集める戦略は、初回購入者を集める効果はありますが、後で値上げできなくなります。値上げは既存の購入者から見ると値上げに見えるので、心理的な抵抗が生まれます。

値上げをするなら、商品を改良したタイミングか、新シリーズを出すタイミングです。同じ商品の価格をそのまま上げるより、仕様を変えて別商品として出すほうが摩擦が少ないです。

4週目:出品、発送、そして記録

4週目は実際に出品して、運用の流れを一巡させます。

出品直後にやるべきこと

出品したら終わりではありません。出品直後の数日で、閲覧数と「お気に入り」の数を記録してください。この2つが、改善の材料になります。

閲覧数が少ないなら、検索されるキーワードが商品名や説明文に入っていない可能性があります。購入者が使う言葉で書けているかを見直します。作家側が使う専門的な素材名だけでは、検索に引っかかりません。

閲覧数はあるのに「お気に入り」が付かないなら、写真か価格に原因があります。「お気に入り」は付くのに購入されないなら、送料や発送日数、あるいは説明の不足が原因である場合が多いです。

この切り分けができるのが、3種類の商品を出す理由です。1種類だけだと、売れない原因が商品にあるのか出品の仕方にあるのか判別できません。3種類あれば比較ができます。

発送の準備は出品前に済ませる

注文が入ってから梱包資材を買いに行く、という状態は避けてください。発送が遅れると評価に直結します。

準備しておくものは、商品を包む緩衝材、外装、宛名を書くためのラベル、そして発送方法の選択肢です。小型の商品なら、追跡と補償が付いた安価な配送方法を選べます。追跡なしの普通郵便は送料が安い一方で、紛失時に補償がありません。トラブル時の対応を考えると、追跡付きを標準にしておくほうが結果的に安全です。

発送までの日数は、余裕を持って設定します。実際に1日で送れるとしても「3日以内に発送」と表示しておき、実際は翌日に送る。この運用のほうが、評価が安定します。

匿名配送に対応しているサイトであれば、積極的に使ってください。個人の住所を相手に知らせずに済むため、在宅で1人で運営する場合の安心材料になります。

売上と経費の記録、そして税金の基準

ここは必ず最初の月から始めてください。後からまとめてやるのは、本当に大変です。

記録するのは、売上(日付、商品、金額、手数料)と、経費(日付、内容、金額、支払先)です。表計算ソフトでも、会計ソフトでも構いません。レシートは月ごとに封筒に入れておくだけでも、後の作業がまるで違います。

税金の基準についても整理しておきます。会社員として給与を受け取っている方が副業でハンドメイド販売をする場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。所得とは売上ではなく、売上から経費を引いた額です。

会社員ではない方、つまり給与所得がない方の場合は基準が変わります。基礎控除の範囲内であれば所得税の申告が不要なケースがありますが、ここで見落とされやすいのが住民税です。

障害者年金受給者のハンドメイド販売の住民税。知り合いが障害者基礎年金を受給しており、現在それ以外の収入はありません。メルカリとminneでハンドメイド作品の販売をしたいそうなのですが、確定申告は会社員ではないので48万以上の利益を得ていなければ、申告は不要ですが住民税は申告が必要ですよね? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

この質問は本質を突いています。所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になる場合があります。住民税には所得税と同じ非課税の基準がないため、自治体によって扱いが異なります。お住まいの市区町村の窓口に確認するのが確実です。所得税の考え方については国税庁の公開情報が基本になります。年金を受給しながら販売を始める場合は、受給要件への影響も含めて日本年金機構の情報を確認してください。判断が難しいケースでは、税理士や自治体の相談窓口に確認することをおすすめします。

記録の仕組みは、会計ソフトを使うと自動化しやすくなります。銀行口座や決済サービスと連携すれば、入出金が自動で取り込まれます。freeeマネーフォワードといったサービスが広く使われています。月1,000円前後の費用はかかりますが、確定申告の時期に費やす時間を考えれば、十分に元が取れます。

最初の1か月でよくある失敗

現場で相談を受けてきた中で、繰り返し見る失敗を挙げます。

第一に、作りためてから出品しようとすることです。20点揃えてから出そうと考えているうちに、1か月が終わります。3点でいいので、早く出して反応を見るほうが学べます。

第二に、原価に自分の時間を入れていないことです。売れているのに手元にお金が残らない、という状態はここから生まれます。

第三に、表示義務を知らずに販売を始めることです。後から整えることはできますが、購入者との間で問題が起きてからでは遅いです。

第四に、権利関係の確認をしないことです。キャラクターや既存デザインを使った作品は、悪意がなくても侵害になります。

第五に、SNSのフォロワー数を成果指標にしてしまうことです。フォロワー数と売上は連動しません。この2つを混同すると、購入者ではなく同業の作家に向けた発信になっていきます。

第六に、値下げで解決しようとすることです。売れない原因が写真や説明文にある場合、値下げしても売れません。原因の切り分けをせずに価格だけ動かすのは、最も避けたい対応です。

販売以外の在宅ワークとの組み合わせ

ハンドメイド販売は、収入が季節や流行に左右されます。売れる月と売れない月の差が大きい点は、最初から想定しておくべきです。

そのため、在宅でできる別の仕事と組み合わせている方が多くいます。文章を書く仕事は、材料費がかからず、時間の調整が効くため相性が良い組み合わせです。取引先とのやり取りに必要な文書作成のスキルは、ビジネス文書検定で体系的に学べます。見積書や納品書の書式、敬語の使い分けが出題範囲に含まれており、ハンドメイドで法人向けの受注をする際にも役立ちます。この検定を在宅ワークにどう活かすかはビジネス文書検定で文書作成の副業力アップ|在宅ライティング案件に具体的に整理されています。

文章系の仕事の収入水準を知りたい場合は、公的な職業別データが参考になります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場には、制作系職種の収入レンジが職種分類ごとにまとめられています。ハンドメイドの売上と比較して、時間あたりの効率を判断する材料になります。

近年は、AI関連の業務が在宅の仕事として増えています。商品説明文の作成や画像編集の効率化にAIを使う作家も出てきました。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、AIを業務に取り入れる支援がどう案件化しているかが整理されています。自分の作業を効率化する視点でも、こうした動きは知っておく価値があります。マーケティング全般の案件についてはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとまっています。

在宅で1人で作業を続けることの負荷も、無視できません。ハンドメイドは特に、作業時間が長く、人と話す機会が少ない働き方です。この点への対処は在宅ワーカーのメンタルヘルスケア|孤独・燃え尽きを防ぐ5つの習慣【2026年版】に具体的な習慣としてまとめられています。1か月目は勢いで走れますが、3か月目に効いてくる問題なので、早めに読んでおく価値があります。在宅で働く他の職種の実態としては法律事務所のパラリーガルの働き方|在宅・時短勤務の現状【2026年版】も参考になります。業務内容は違いますが、在宅で成果を出す人の共通点が見えてきます。

市場データから見た、最初の1か月の位置づけ

ここまでの内容を、市場側の視点で整理し直します。

在宅ワークの仲介市場を20年運営してきた立場から言えば、ハンドメイドに限らず、在宅で継続できる人とできない人の差は明確です。差が出るのは技術ではなく、記録と改善のサイクルを回せているかどうかです。売れなかった理由を感覚で片付ける人は同じ失敗を繰り返し、数字で記録している人は3か月で別人のように変わります。

運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど、単発の販売ではなく「この人からまた買いたい」という関係づくりに時間を使っています。ハンドメイドはリピート率が売上を支える構造なので、新規の集客より既存の購入者への対応が効きます。丁寧な梱包、発送連絡、次回の案内。この積み重ねが、広告費をかけずに売上を安定させます。

もう1つ、手数料の話をしておきます。販売手数料が10%のサイトで年間120万円売り上げると、12万円が手数料として引かれます。これは無視できる額ではありません。中間マージンが乗らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受け取る側は手取りが厚くなります。手数料0%の構造がもたらすのは金額の大小ではなく、双方が納得しやすい関係が作れるという質の違いです。実際に長く続いている取引を見ていると、この差ははっきり出ます。

最初の1か月の時点では、手数料の話は遠く感じるかもしれません。ただ、どこで売るかによって年間の手取りが変わるという事実は、早い段階で知っておいたほうがいいです。実績づくりの段階では集客力のあるマーケットプレイスを使い、リピーターがついたら手数料の低い経路に一部を移す。この移行を最初から想定しておくと、2年目以降の収支が変わります。

最後に、1か月後にご自身に問うてほしい質問を3つ挙げます。出品できる商品は3種類あるか。1個あたりの原価と制作時間を数字で言えるか。特定商取引法に基づく表示と、売上経費の記録の仕組みは整ったか。この3つにすべて「はい」と答えられれば、最初の1か月は成功です。売上は2か月目以降、改善のサイクルを回す中で伸びていきます。法律は敵ではなく、知っておけば自分を守る味方になります。

よくある質問

Q. ハンドメイド販売は最初の1か月でどのくらい売れますか?

1か月で安定して売れる状態になる人はごく少数です。改善を重ねて注文が安定するまでには相応の時間がかかります。初月の目標は売上金額ではなく、3種類の商品を出品し、原価と制作時間を数字で把握し、表示と記録の仕組みを整えることに置いてください。この土台があると2か月目以降の伸び方が変わります。

Q. 特定商取引法に基づく表示は個人でも必要ですか?

インターネットで継続的に販売する場合、個人でも事業者として表示義務が生じます。氏名、住所、連絡先、価格、追加費用、支払時期、引渡時期、返品条件の記載が必要です。住所や電話番号の常時公開に不安がある場合は、販売サイトが用意している開示請求対応の仕組みが使えるか規約を確認してください。

Q. 価格はどうやって決めればいいですか?

材料費、副資材費、梱包資材費、販売手数料、送料の自己負担分に加えて、自分の制作時間を時給換算して加えます。この合計が価格の下限です。そのうえで、同ジャンルで実際に売れている商品の価格帯を調べ、中央値付近に置くのが最初の1か月では無難です。相場より大幅に安くすると品質を疑われることがあります。

Q. 確定申告はいくらから必要ですか?

会社員として給与を受け取っている方は、給与以外の所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。所得は売上ではなく、売上から経費を引いた額です。給与所得がない方は基準が異なります。また所得税の申告が不要でも住民税の申告が別途必要な場合があるため、お住まいの市区町村に確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月26日最終更新:2026年8月7日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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