ガイドヘルパーとして事業所に登録して働く流れと、事業所の選び方

松本 あゆみ
松本 あゆみ
ガイドヘルパーとして事業所に登録して働く流れと、事業所の選び方

この記事のポイント

  • ✓ガイドヘルパーとして働くには
  • ✓研修を修了したあと事業所に登録して依頼を受けます
  • ✓同行援護・行動援護・移動支援で変わる事業所の種類

ガイドヘルパーの研修を修了した、あるいはこれから受けようとしているけれど、どの事業所に登録すればよいのか分からない。そんな人は少なくありません。ガイドヘルパーは、資格を取っただけでは仕事が始まらず、事業所に登録して、事業所から利用者の外出の支援を依頼されて初めて働けます。どの事業所を選ぶかで、入れる仕事の種類も、働ける曜日や時間帯も、時給の考え方も変わります。

この記事では、ガイドヘルパーが働く事業所の種類、研修を修了してから事業所に登録し、最初の仕事に入るまでの流れ、事業所を選ぶときに確かめたい点を、厚生労働省と自治体の公表資料をもとに整理します。読み終えたときに、自分の研修と生活に合った事業所を選び、面接で確かめることが分かる状態を目指します。

ガイドヘルパーが働く事業所の種類

ガイドヘルパーとは、障害のある人が外出するときに付き添い、移動や外出先での行動を支える人のことです。国家資格の名前ではなく、障害の種類やサービスに合わせた研修を修了した人の呼び名として使われています。

ガイドヘルパーの仕事は、どの制度のサービスとして提供されるかによって、働く事業所が分かれます。代表的なのは次の3つです。

サービス 制度 主な利用者 事業所の立場
同行援護 国の障害福祉サービス 視覚障害により移動に著しい困難がある人 都道府県などの指定を受けた事業所
行動援護 国の障害福祉サービス 知的障害や精神障害により行動上著しい困難があり、常に介護が必要な人 都道府県などの指定を受けた事業所
移動支援 市区町村の地域生活支援事業 外出時に移動の支援が必要と市区町村が認めた人 市区町村から委託や登録を受けた事業所

同行援護について、厚生労働省は次のように説明しています。

視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の当該障害者等が外出する際の必要な援助を行います。 出典: 厚生労働省 障害福祉サービスについて

移動支援は、市区町村が地域の実情に合わせて内容を決める事業で、誰がサービスを提供できるかも市区町村が決めます。厚生労働省の地域生活支援事業等実施要綱は、移動支援でサービスを提供する人を次のように定めています。

サービスを提供するに相応しい者として実施主体が認めた者とする。 出典: 厚生労働省 地域生活支援事業等の実施について

実施主体とは、事業を行う市区町村のことです。つまり、移動支援のガイドヘルパーとして働くには、働きたい市区町村が認める研修を修了している必要があります。同じ「ガイドヘルパー」という呼び名でも、修了した研修と働く市区町村によって、入れる仕事が変わるということです。

1つの事業所が、同行援護、行動援護、移動支援のいくつかを合わせて行っていることもよくあります。居宅介護(家での介護)や重度訪問介護も行う事業所では、ガイドヘルパーの仕事と家での介護の仕事の両方を担当する人もいます。

利用者の障害によって変わる支援の中身

事業所を選ぶうえで、どんな利用者の支援が多いかは、仕事の中身を大きく左右します。同じ外出の付き添いでも、障害の種類によって、ヘルパーに求められることが違うからです。

視覚障害のある人の支援(同行援護)

同行援護では、移動の付き添いに加えて、移動に必要な情報を伝えることが大切な仕事になります。段差や階段の位置、信号の色、周りの人の動き、店内の商品の並びなど、目から入る情報を言葉で伝えます。外出先で書類を読み上げる代読や、本人に代わって書く代筆も、支援の一部として行われます。ヘルパーの肘や肩に本人がつかまって歩く誘導のしかたなど、研修で身につけた技術を現場で使い続ける仕事です。

全身性障害のある人の支援

手足に重い障害があり、車いすを使う人の外出では、車いすの操作、段差の乗り越え、乗り物の乗り降り、外出先での食事やトイレの介助が中心になります。体を使う介助が多く、雨の日の移動やエレベーターのない駅での移動など、経路を考える力も求められます。

知的障害や精神障害のある人の支援

知的障害や精神障害のある人の外出では、体の介助より、見通しを伝える、不安を和らげる、危ない場面を避けるといった、気持ちと行動への配慮が中心になります。予定の変更が苦手な人、人混みや大きな音が苦手な人など、一人ひとりの特性に合わせた関わり方を、事業所や家族からの引き継ぎで覚えていきます。

子どもの支援

移動支援では、障害のある子どもの外出や、学校から放課後の活動先への移動を支える依頼もあります。子どもの支援は、放課後や長期休みに依頼が集中しやすく、平日の夕方に動ける人が求められます。

自分がどの支援に向いているか分からない場合は、最初は1つの種類に絞って経験を積み、慣れてから別の研修を受けて幅を広げると、無理なく続けられます。

修了した研修と、入れる事業所の関係

事業所を選ぶ前に、自分が修了した研修、または受けようとしている研修で、どのサービスに入れるかを整理しておきます。

研修の名前の例 主に入れるサービス
同行援護従業者養成研修(一般課程) 同行援護
行動援護従業者養成研修 行動援護
全身性障害者ガイドヘルパー養成研修 移動支援(全身性障害のある人の外出)
知的障害者ガイドヘルパー養成研修 移動支援(知的障害のある人の外出)

研修の名前と時間数、実施する機関は、都道府県や市区町村によって違います。たとえば横浜市は、ガイドヘルパー募集の案内で、未経験者でも約3日間の研修を修了すれば資格を取得できると説明しています。

国の障害福祉サービスである同行援護と行動援護は、全国共通の基準で従事できる人が決まっていますが、移動支援は市区町村ごとに認める研修が違います。引っ越しをした、隣の市の事業所で働きたい、といった場合は、修了した研修がその市区町村で認められるかを、事業所か市区町村の障害福祉の担当に確かめます。

まだ研修を受けていない人は、働きたい事業所を先に見つけ、その事業所が行っているサービスに合わせて研修を選ぶ方法もあります。事業所によっては、採用後に研修を受けてもらい、費用を負担する仕組みを用意していることもあります。

事業所の中の役割と、依頼が届くまでの仕組み

事業所に登録すると、ヘルパーのほかにも、事業所の中にはいくつかの役割の人がいます。誰が何をしているかを知っておくと、困ったときに相談する相手が分かります。

管理者

事業所全体の運営を担う人です。働く人の勤務の管理や、市区町村や都道府県とのやり取り、事業所の決まりづくりを担当します。

サービス提供責任者

利用者ごとの支援の計画を立て、ヘルパーの割り当てを決め、ヘルパーに支援の内容や注意点を伝える人です。登録ヘルパーがもっとも多くやり取りする相手で、困ったときの最初の相談先になることが多い役割です。

ヘルパー

実際に利用者の外出に付き添い、支援を行う人です。支援の記録を書き、気づいたことをサービス提供責任者に報告します。

利用者がサービスを使うまでの流れも、知っておくと仕事の位置づけが分かりやすくなります。同行援護や行動援護、移動支援を使いたい人は、まず市区町村に申請し、市区町村が利用を認めると、1か月に使える時間数などが決まります。利用者は事業所と契約を結び、外出の予定が決まると事業所に依頼します。サービス提供責任者がその依頼に合うヘルパーを選び、ヘルパーに連絡が届く、という順番です。

つまり、ヘルパーが支援できる時間や外出の内容は、市区町村が認めた範囲の中に限られます。利用者から「もう少し長く一緒にいてほしい」と頼まれても、その場で引き受けず、サービス提供責任者に相談するのはこのためです。

事業所に登録して働き始めるまでの流れ

研修を修了してから最初の仕事に入るまでの流れを、横浜市の案内を参考に整理します。市区町村によって細かな違いはありますが、大まかな流れは共通しています。

ステップ1:研修を修了する

自分が入りたいサービスに合った研修を修了します。横浜市の案内では、神奈川県内の各所で研修が開かれ、受講する場合は各研修の実施機関に直接申し込む形になっています。

ステップ2:事業所を探して問い合わせる

働きたい地域の事業所を探します。横浜市は、市内の移動支援事業所の一覧を公開していて、市の案内では市内に約500の移動支援事業所があるとしています。また、各区の社会福祉協議会に設けられた移動情報センターでも、事業所の情報を把握し、提供しているとしています。気になる事業所が見つかったら、求人の状況を直接問い合わせます。

ステップ3:面接を受けて登録する

事業所の面接を受け、働き方や条件が合えば登録します。登録のときは、研修の修了証明書、本人確認の書類、口座の情報などを提出するのが一般的です。雇用契約を結ぶ場合は、賃金や勤務の条件を書いた書面を受け取ります。

ステップ4:同行による研修を受ける

最初の数回は、事業所の先輩ヘルパーやサービス提供責任者が同行し、実際の支援の進め方を教えてくれることが多くあります。横浜市の案内でも、未経験者が安心して活動できるよう、事業所のスタッフが付き添って指導するなど全面的に支援する例が紹介されています。

ステップ5:依頼を受けて活動を始める

利用者や家族から事業所に外出の依頼が入り、事業所が担当のヘルパーを決めて依頼します。ヘルパーは、日時、行き先、利用者の状態や注意点を事業所から受け取り、当日の支援に入ります。

ガイドヘルパーの働き方の種類

ガイドヘルパーの働き方は、大きく分けて次の3つがあります。

登録ヘルパー

事業所に登録し、依頼があった日に支援に入る働き方です。ガイドヘルパーでは、この形がもっとも多く見られます。自分の都合のよい曜日や時間帯を事業所に伝え、合う依頼を受けるので、本業や子育てと両立しやすいのが特徴です。事業所に出勤せず、利用者の自宅や待ち合わせの場所へ直接行き、支援が終わったらそのまま帰る、直行直帰の形が一般的です。

登録ヘルパーも、事業所と雇用契約を結んで働く場合は、労働基準法が適用される労働者です。最低賃金や労災保険、年次有給休暇などの決まりは、登録ヘルパーにも当てはまります。

パートや非常勤の職員

決まった曜日や時間に勤務する形です。ガイドヘルパーの支援に加えて、事業所での事務や、家での介護の仕事を組み合わせることもあります。登録ヘルパーより勤務の時間が安定しやすい一方で、自由度は下がります。

常勤の職員

フルタイムで働く形です。支援に入るだけでなく、利用者や家族との調整、ヘルパーの割り当て、記録の確認など、事業所の運営に関わる仕事も担います。経験を積んでから、サービス提供責任者などの役割を目指す人もいます。

横浜市の案内では、週末を中心に長い時間活動したい人、週3回の短い時間だけ活動したい人など、さまざまな活動のしかたが紹介されています。自分が月にどのくらいの時間を使えるかを先に決めてから、働き方を選ぶと迷いにくくなります。

最初は登録ヘルパーとして始め、仕事に慣れてから勤務の時間を増やす人も多く見られます。登録ヘルパーとして複数の利用者を担当するうちに、どの支援が自分に合うかが見えてきます。そのうえで、パートや常勤の職員として事業所の運営にも関わるか、登録ヘルパーのまま自分の時間を優先するかを選ぶと、長く続けやすい働き方を見つけられます。事業所によっては、登録ヘルパーから職員への切り替えの道を用意しているので、面接の段階で聞いておくと、将来の見通しも立てやすくなります。

事業所を選ぶときに確かめたい点

同じ地域でも、事業所によって仕事の中身や条件は大きく違います。登録する前に、次の点を確かめておきます。

提供しているサービスと利用者の層

その事業所が、同行援護、行動援護、移動支援のどれを行っているか、利用者は子どもが多いのか大人が多いのか、どんな障害のある人が多いのかを聞きます。自分の研修で入れるサービスの依頼が少ない事業所では、登録しても仕事が回ってきません。

依頼が多い曜日と時間帯

ガイドヘルパーの依頼は、休日や学校の放課後、夕方に集中しやすい傾向があります。平日の昼に働きたい人と、週末に働きたい人とでは、合う事業所が違います。自分が働ける時間帯に依頼が多いかを確かめます。

移動時間と待機時間の扱い

支援と支援の間の移動時間や、利用者が病院や施設に入っている間の待機時間が、賃金の対象になるかは、事業所によって扱いが違います。実際の手取りに大きく影響するので、面接で具体的に聞きます。

交通費と、支援中の費用の扱い

利用者の自宅までの交通費が支給されるか、支援中に一緒に乗る電車やバスの運賃をどう扱うかを確かめます。支援中のヘルパーの運賃を、利用者と事業所のどちらが負担するかは、自治体や事業所によって違います。

同行による研修と相談の体制

最初の数回に先輩ヘルパーが同行してくれるか、困ったときにすぐ電話で相談できるかを聞きます。特に、未経験から始める人は、相談の体制が整った事業所を選ぶと、続けやすくなります。

キャンセルのときの扱い

利用者の体調不良などで、当日に支援が取り消しになることがあります。その場合に賃金の補償があるかどうかも、事業所によって違います。

登録ヘルパーの1日の流れの例

事業所に登録したガイドヘルパーが、休日に1件の外出支援に入る場合の流れを例に並べます。時刻や内容は説明のための一例です。

  1. 前日までに事業所から依頼を受け、利用者の情報、行き先、当日の注意点を確かめる
  2. 当日、待ち合わせの時刻に余裕を持って利用者の自宅に着く
  3. 家族から体調や様子を聞き、本人と一緒にその日の予定を確かめる
  4. 電車やバスで目的地に向かい、乗り降りや切符の購入を支える
  5. 目的地で、買い物や食事、余暇の活動に付き添う
  6. 帰りの時刻を前もって伝え、落ち着いて帰路につく
  7. 自宅に送り届け、家族にその日の様子を伝える
  8. 事業所に支援の記録を提出し、気になったことがあれば報告する

ガイドヘルパーの支援は、1回が数時間になることが多く、1日に1件から2件を担当するのが一般的です。支援と支援の間に空き時間ができることもあるので、その時間の扱いを事業所に確かめておくと、1日の予定が立てやすくなります。

支援の後の記録と報告も、仕事の大切な一部です。どこへ行き、何をして、どんな様子だったか、困った場面はなかったかを残すことで、次の支援が安全になります。

収入の考え方と、時給だけで選ばない理由

ガイドヘルパーの賃金は、時給で決まることがほとんどです。横浜市の案内でも、賃金は事業所によって異なるとされています。事業所を比べるときは、時給の数字だけでなく、次の点を合わせて見ることが大切です。

月にどれだけの時間、依頼が入るか

登録ヘルパーの収入は、時給と、実際に支援に入った時間で決まります。時給が高くても、依頼が月に数回しかなければ収入は小さくなります。自分が働ける曜日と時間帯に、どのくらい依頼がありそうかを面接で聞きます。

支援の種類によって時給が違うか

体を使う介助が多い支援や、行動援護のように難しさの高い支援は、時給が高めに設定される事業所があります。複数の研修を修了していると、入れる依頼の種類が広がり、時給の高い支援を担当できることもあります。

移動時間や記録の時間が含まれるか

支援の前後の移動時間、待機時間、記録を書く時間が賃金の対象になるかで、時間あたりの実際の収入は変わります。

処遇の改善の取り組み

障害福祉の事業所には、働く人の賃金を改善するための加算の仕組みがあり、加算を受けた事業所は、その分を職員の賃金の改善に充てることになっています。どのように配分しているかは事業所によって違うので、パートや登録ヘルパーにも配分があるかを確かめておくとよいでしょう。

研修受講料の助成を使う

ガイドヘルパーの研修には受講料がかかるのが一般的ですが、自治体によっては受講料を助成する仕組みがあります。横浜市は、市内で活躍するガイドヘルパーを確保するため、研修受講料の助成を行っています。

横浜市の令和8年度の案内では、全身性障害者ガイドヘルパー養成研修、知的障害者ガイドヘルパー養成研修、同行援護従業者養成研修(一般課程)、行動援護従業者養成研修などが対象とされ、助成額は研修受講料のうち2万5千円までです。主な要件は次のとおりです。

・申請のときに横浜市民であること ・研修を修了してから1年以内に申請すること ・研修の修了日と就業の開始日の遅いほうから数えて3か月以上、市内の指定(登録)を受けた事業所で働き、申請のときも働き続けていること ・修了した研修に対応する障害の種類の利用者へのサービス提供が1回以上あること ・雇用の形が人材派遣でないこと ・就業先が受講料を負担していないなど、ほかの助成を受けていないこと

横浜市では障害者プラン・「将来にわたるあんしん施策」の一環として、横浜市で活躍していただけるガイドヘルパー等を増やすことを目指し、平成22年度から受講料の助成事業を行っています。 出典: 横浜市 ガイドヘルパー等養成研修受講料助成事業について

助成は予算の上限に達すると受付が終わるとされています。ほかの市区町村でも、似た助成や、研修を無料で開く取り組みがあることがあります。研修を申し込む前に、住んでいる市区町村と働きたい市区町村の障害福祉の担当に、使える制度がないかを確かめておきます。事業所が受講料を負担する場合は、自治体の助成の対象外になることもあるので、どちらを使うかも確かめます。

未経験から始めるときの準備

福祉の仕事が初めての人でも、ガイドヘルパーは始めやすい仕事です。横浜市の案内でも、研修を受けるのに年齢や学歴の制限はなく、未経験者でも養成研修を修了すれば資格を取得できると説明しています。そのうえで、始める前に次の準備をしておくと、最初の数回の支援で戸惑いにくくなります。

自分が動ける時間を書き出す

1週間のうち、どの曜日のどの時間帯なら確実に動けるかを書き出します。登録ヘルパーは、事業所に伝えた時間帯をもとに依頼が組まれます。家族の予定や本業の勤務と重ならない時間を、正直に伝えることが大切です。

体力と移動の手段を確かめる

ガイドヘルパーの支援は、数時間にわたって歩いたり、電車やバスを乗り継いだりすることが多い仕事です。車いすを押す支援では、坂道や段差で力も使います。自分の体力で無理なく続けられる支援の長さを考え、事業所に伝えます。

地域の交通を知っておく

利用者の自宅から駅、駅から目的地までの経路、エレベーターや多機能トイレのある場所など、地域の交通の情報を知っているほど、支援が安全になります。自分が普段使っていない駅や施設も、時間のあるときに歩いて確かめておくと役立ちます。

連絡の手段を整える

事業所からの依頼や、当日の急な連絡は、電話やメール、アプリで届きます。支援の時間帯にすぐ連絡を受けられるよう、連絡の手段を事業所と決めておきます。

事業所から信頼されるヘルパーになるために

ガイドヘルパーとして依頼が安定して入るかどうかは、事業所からの信頼に大きく左右されます。事業所は、利用者と家族の安心を第一に、担当のヘルパーを決めているからです。

時刻と約束を守る

待ち合わせの時刻に遅れないこと、引き受けた依頼を直前で取り消さないことは、もっとも基本的な信頼のもとです。体調不良などでどうしても行けないときは、分かった時点ですぐに事業所に連絡し、代わりのヘルパーを探す時間をつくります。

小さなことも報告する

支援の中で起きた小さな出来事、たとえば利用者がいつもより疲れていた、外出先で転びそうになった、といったことも、記録と報告に残します。事業所や家族が次の支援を考えるための大切な手がかりになります。

分からないことは確かめる

初めての行き先、初めての利用者の支援では、分からないことが必ず出てきます。その場の判断で進めず、事業所に確かめる習慣をつけると、大きな失敗を防げます。

研修で学んだことを続けて磨く

事業所の中で開かれる研修や、新しい研修の受講の機会を活用すると、担当できる支援の幅が広がります。複数の研修を修了したヘルパーは、事業所にとっても頼りになる存在になります。

面接で聞いておきたいこと

事業所の面接では、事業所から聞かれるだけでなく、こちらからも確かめておきたいことがあります。聞きにくいと感じるかもしれませんが、働き始めてから「思っていたのと違う」となるより、最初に確かめておくほうが、事業所にとっても助かります。

  1. どのサービス(同行援護、行動援護、移動支援など)の依頼が多いか
  2. 自分の研修で入れる依頼が、月にどのくらいありそうか
  3. 依頼が多い曜日と時間帯
  4. 1回の支援の時間の目安
  5. 移動時間や待機時間が賃金の対象になるか
  6. 交通費の支給の有無と上限
  7. 当日の取り消しのときの扱い
  8. 最初の数回の同行研修の有無
  9. 困ったときの連絡先と、夜や休日の連絡体制
  10. 支援の記録の方法(紙か、スマートフォンのアプリか)

10番目の記録の方法も、意外と大切です。支援が終わるたびに事業所に記録を出す必要があり、記録の手間が少ない事業所ほど、支援そのものに集中できます。最近は、スマートフォンのアプリで記録を入力し、その場で事業所に送れる仕組みを取り入れる事業所も増えています。

働き始めてから気をつけること

事業所に登録して働き始めたら、次の点に気をつけると、利用者や事業所との信頼を築きやすくなります。

事業所を通して連絡を取る

利用者や家族から、ヘルパー個人の連絡先を聞かれたり、事業所を通さずに直接依頼を受けたりすることがあります。トラブルを防ぐため、連絡や依頼は事業所を通すのが原則です。判断に迷ったら、その場で答えずに事業所に相談すると伝えます。

サービスの範囲を守る

ガイドヘルパーが支援できる外出の範囲は、制度と市区町村の決まりで決まっています。たとえば横浜市の案内では、通院や役所での手続きのための外出は、移動支援ではなく居宅介護などで対応するとされています。利用者から頼まれても、範囲外の外出をその場で引き受けず、事業所に相談します。

個人情報を守る

利用者の名前、障害の状態、家庭の事情などは、外で話してはいけない情報です。SNSに支援の様子を書き込むことも、本人が特定されるおそれがあるため避けます。

記録は事実と感想を分けて書く

支援の記録は、次に担当するヘルパーや家族、事業所が読むものです。どこへ行き、何をして、どんな様子だったかを事実として書き、気づいたことは分けて書きます。短い文で正確に書く力は、経験を重ねるほど身についていきます。文書を正確に書く力を客観的に確かめたい人には、ビジネス文書検定のような検定も参考になります。

複数の事業所に登録するときの注意

ガイドヘルパーの中には、依頼の数を確保するために、2つ以上の事業所に登録している人もいます。複数の事業所に登録すると、働ける時間を埋めやすくなる一方で、次の点に注意が必要です。

1つ目は、予定の管理です。事業所ごとに依頼の連絡が来るので、同じ時間に2つの依頼を受けてしまわないよう、自分の予定を1か所で管理します。

2つ目は、労働時間の扱いです。2つの事業所に雇われて働く場合、労働基準法の上では、両方の労働時間が合わせて数えられます。週の労働時間が長くなると、事業所に労働時間の申告を求められることがあります。

3つ目は、保険と税金です。雇用保険は、1つの事業所で週の所定労働時間が20時間以上、31日以上続けて雇われる見込みがあることが加入の要件です。2つの事業所の時間を合わせて20時間を超えても、それぞれが20時間未満なら、原則として加入の対象にはなりません。ただし65歳以上の人には、2つの事業所でそれぞれ週5時間以上20時間未満、合計20時間以上などの要件を満たせば、本人の申し出で加入できるマルチジョブホルダー制度があります。社会保険の短時間労働者の要件では、所定内賃金の月額8.8万円以上という賃金の要件が2026年10月に撤廃されました。給与を2か所以上から受け取る場合は、年末調整を受けていない側の給与の額によって、確定申告が必要になることもあります。

登録する事業所の数は、多ければよいわけではありません。最初は1つの事業所で経験を積み、依頼の数が足りないと感じてから2つ目を考えるほうが、無理なく続けられます。

福祉の現場を長く見てきた立場から

20年にわたって在宅ワークや副業の市場を見てきた立場から言えば、ガイドヘルパーとして長く続けている人は、時給の高さより、依頼の入り方と相談のしやすさで事業所を選んでいます。どれだけ時給が高くても、自分の空いている時間に依頼が来なければ収入にはならず、困ったときに相談できなければ、1回の失敗で続けられなくなるからです。

また、ガイドヘルパーの仕事は、利用者との信頼関係が積み重なるほどやりやすくなります。同じ利用者を担当し続けられるかどうかも、事業所によって方針が違うので、面接で聞いておく価値があります。

支援の記録や事業所の書類の作成など、福祉の現場にも文章の仕事は多くあります。在宅でできる文章の仕事の報酬の水準は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっています。仲介の手数料が引かれない直接のやり取りでは、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%で直接やり取りできる仕組みは、ヘルパーの仕事と在宅の仕事を組み合わせたい人にとっても、選択肢の1つになります。

まずは、住んでいる市区町村の事業所の一覧や、社会福祉協議会などの相談の窓口で、自分の研修で入れる事業所を3つほど探し、面接で10の点を確かめるところから始めてください。

よくある質問

Q. ガイドヘルパーの事業所はどうやって探せばよいですか?

住んでいる市区町村の障害福祉の担当窓口や、市区町村のサイトで公開されている事業所の一覧を確かめるのが確実です。横浜市は市内の移動支援事業所の一覧を公開し、各区の社会福祉協議会の移動情報センターでも事業所の情報を提供しています。求人サイトで見つけた事業所も、自分の研修で入れるサービスを行っているかを問い合わせて確かめてください。

Q. 修了した研修で、どの事業所でも働けますか?

修了した研修によって入れるサービスが変わります。同行援護は同行援護従業者養成研修、行動援護は行動援護従業者養成研修が基本です。移動支援は市区町村が認めた研修が必要で、市区町村によって認める研修が違います。引っ越しや別の市での就業を考えている場合は、その市区町村で研修が認められるかを事前に確かめてください。

Q. ガイドヘルパーの研修費用の助成はありますか?

自治体によっては助成があります。横浜市は令和8年度、全身性障害者ガイドヘルパー養成研修や同行援護従業者養成研修(一般課程)などを対象に、受講料のうち2万5千円までを助成しています。市内の事業所で3か月以上働くことや、横浜市民であること、人材派遣の形で働いていないことなどが要件です。ほかの市区町村の制度は、それぞれの窓口で確かめてください。

Q. 登録ヘルパーでも雇用保険に入れますか?

雇用保険は、1つの事業所で週の所定労働時間が20時間以上あり、31日以上続けて雇われる見込みがあれば、原則として加入の対象になります。登録ヘルパーは週ごとの時間が変わりやすいため、事業所との契約で所定労働時間がどう決められているかを確かめてください。複数の事業所の時間を合わせて20時間を超えても、それぞれが20時間未満なら、原則として対象になりません。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月26日最終更新:2026年10月3日
松本 あゆみ

この記事を書いた人

松本 あゆみ@SOHO編集部

元看護師・医療系ライター

大学病院で看護師として8年間勤務。介護福祉士の資格も取得し、医療・介護両方の現場を知る立場から、ヘルスケア系の記事を執筆しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方