GASを使った副業の仕事内容と、在宅で案件を受けるまでの流れ

加藤 りさ
加藤 りさ
GASを使った副業の仕事内容と、在宅で案件を受けるまでの流れ

この記事のポイント

  • ✓GAS(Google Apps Script)の副業で受けられる仕事内容を
  • ✓スプレッドシートの自動化
  • ✓Gmailやカレンダーとの連携といった具体例で整理します

GAS(Google Apps Script)で副業を始めたいと考えている人の多くは、「本格的なプログラマーでなくても仕事になるのか」「どんな案件があって、どうやって受ければよいのか」という疑問を持っています。GASは、Googleのスプレッドシートやフォーム、Gmail、カレンダーを自動で動かすための仕組みで、身近な業務の手作業を減らす仕事に直結します。そのため、システム開発の経験が浅い人でも、業務の困りごとを理解できれば案件を受けやすい分野です。この記事では、GASの副業の仕事内容、必要なスキル、公式の上限、案件を受けるまでの流れ、契約と副業のルールまでを順に整理します。

GASとは何か。副業の題材として選ばれる理由

GASは、Googleが提供している、Googleのサービスを自動で動かすためのプログラムの仕組みです。プログラムの書き方はJavaScriptという言語がもとになっていて、ブラウザの中でプログラムを書き、そのまま動かせます。パソコンに特別なソフトを入れる必要がなく、Googleのアカウントがあれば無料で始められます。

副業の題材としてGASが選ばれる理由は、主に3つあります。

1つ目は、需要が身近なところにあることです。中小企業や個人事業者の多くは、顧客の管理、売上の集計、予約の受付、請求書の作成といった業務を、Googleのスプレッドシートやフォームで行っています。毎日同じ集計を手作業で繰り返している、問い合わせのたびに担当者へ手でメールを転送している、といった困りごとは、GASで自動にできることが多くあります。

2つ目は、始めるまでの準備が少ないことです。開発のための環境を整える手間がなく、学んだその日から自分の業務で試せます。会社員が本業の業務改善でGASを使い始め、その経験を生かして副業を始める例も多く見られます。

3つ目は、小さな仕事から受けられることです。大きなシステムの開発と違い、1つの作業を自動にする数時間から数日の仕事が多くあります。副業の限られた時間でも、納期に合わせて仕上げやすい規模です。

一方で、GASにはできることの範囲と、Googleが定めた実行の上限があります。大量のデータを処理する仕組みや、多くの利用者が同時に使うサービスには向きません。この上限を知らずに引き受けると、納品後に動かなくなるトラブルにつながります。上限については、後の節で公式の数字を確かめます。

GASの副業で受けられる仕事内容の具体例

GASの案件は、「誰かが毎日手作業でやっていること」を自動にする仕事が中心です。よくある仕事内容を、使うサービスごとに整理します。

スプレッドシートの自動化は、最も多い依頼です。複数のシートに分かれた売上のデータを毎朝1つの表に集める、決まった条件に合う行に色をつける、月末に集計表を自動で作る、といった仕事です。手作業で毎日30分かかっていた作業が、ボタン1つや決まった時刻の自動実行で終わるようになります。

フォームとの連携も多い依頼です。Googleフォームに問い合わせや申し込みが届いたら、担当者にメールで知らせる、申し込んだ人に確認のメールを自動で送る、内容に応じて担当者を振り分ける、といった仕事です。

Gmailとの連携では、特定の件名のメールを探してスプレッドシートに記録する、添付ファイルをGoogleドライブの決まったフォルダに保存する、といった仕事があります。

カレンダーとの連携では、スプレッドシートに書いた予定を一括でカレンダーに登録する、予約の空き状況を表にまとめる、といった仕事があります。

ほかのサービスとの連携もあります。チャットのサービスに通知を送る、外部のサービスが提供している仕組み(API)からデータを取り込んでスプレッドシートに記録する、といった仕事です。APIとは、別のサービスとデータをやり取りするために用意された窓口のことです。

簡単な画面を作る仕事もあります。GASでは、簡単なWebの画面を作って、社内の人だけが使う申請の画面や、データを検索する画面を用意できます。

どの仕事も、依頼者の業務の流れを理解することから始まります。プログラムを書く時間より、「何を、いつ、誰のために自動にするのか」を聞き取る時間のほうが長いこともあります。

GASで収入を得る5つの形

GASの副業は、依頼を受けて作る仕事だけではありません。収入を得る形は、大きく5つに分かれます。

1つ目は、受託の開発です。依頼者の困りごとを聞き、GASで仕組みを作って納品します。最も多い形で、副業の入口になりやすい形です。

2つ目は、納品した仕組みの保守と改修です。業務の流れが変わったときにプログラムを直す、動かなくなったときに原因を調べる、といった仕事を、月ごとの契約で受けます。一度信頼を得た依頼者から継続して仕事を受けられるので、収入が安定しやすくなります。

3つ目は、作ったツールの販売です。多くの人が使える汎用の仕組み(たとえば、請求書を自動で作るスプレッドシート)を作り、販売のサービスを通じて売ります。売れ続ければ手間をかけずに収入が入りますが、使う人からの問い合わせへの対応が必要になります。

4つ目は、教える仕事です。GASを学びたい人に個別に教える、企業の研修で講師を務める、といった仕事です。自分で作る力に加えて、相手のレベルに合わせて説明する力が求められます。

5つ目は、GASの使い方を解説する記事や本を書く仕事です。技術の解説の記事を書く仕事は、技術を理解していることに加えて、分かりやすく伝える文章の力が求められます。文章の仕事の相場は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確かめられます。

副業を始めたばかりのうちは、1つ目の受託の開発で実績を積み、2つ目の保守につなげる流れが、収入を安定させやすい順番です。

GASの副業に必要なスキルと、学ぶ順番

GASの副業に必要なスキルは、プログラムの知識と、業務を理解する力の2つに分かれます。

プログラムの知識として、まず必要なのはJavaScriptの基本です。変数、条件の分岐、繰り返し、関数、配列といった基本の書き方を理解していれば、GASの多くの仕事に対応できます。

次に、GASに特有の知識です。スプレッドシートのデータを読み書きする方法、Gmailやカレンダーを操作する方法、決まった時刻やフォームの送信をきっかけにプログラムを動かす「トリガー」の設定、プログラムがGoogleのデータにアクセスするための権限の仕組みを学びます。

学ぶ順番は、次のように進めると身につきやすくなります。最初に、自分の業務や生活でスプレッドシートを使っている作業を1つ選び、それを自動にしてみます。家計簿の集計でも、趣味の記録の整理でもかまいません。動くものを1つ作ると、GASの全体像がつかめます。

次に、フォームの送信をきっかけにメールを送る仕組みを作ります。トリガーと権限の仕組みを、実際に体験できます。その次に、外部のサービスからデータを取り込む仕組みに挑戦します。

業務を理解する力も、プログラムの知識と同じくらい大切です。依頼者は、プログラムの言葉で困りごとを説明してくれるわけではありません。「毎朝、この表を見て、あの表に書き写している」という話から、どのデータをどこからどこへ移すのかを整理する力が求められます。業務の流れを図や箇条書きに整理し、依頼者と確認しながら進める習慣をつけてください。

本業でGASを使っている人は、その経験そのものが強みになります。どんな業務で、何を自動にして、どれくらいの時間が減ったのかを、社外に出してよい範囲で説明できるようにしておくと、案件に応募するときの材料になります。

作品の例はどう作るか。応募で評価される見せ方

GASの副業で最初の案件を取るときに、もっとも効くのが作品の例です。依頼者は、応募してきた人が自分の困りごとを解決できるかどうかを、作品の例から判断します。ただ動くものを並べるだけでは、その判断の材料になりません。

評価される作品の例には、3つの要素があります。1つ目は、どんな業務の困りごとを想定したかの説明です。「小さな店で、毎日の売上を3つのシートから手で集めていた」といった、依頼者が自分の状況と重ねられる場面を書きます。2つ目は、自動にした結果です。手作業の手順がどう減ったのか、どれくらいの時間が減る見込みかを示します。3つ目は、画面の写しや短い動画です。プログラムの中身より、使う人から見た動きが伝わることを優先します。

作品の例は、3つから5つあれば十分です。スプレッドシートの集計、フォームの通知、Gmailやカレンダーとの連携、といったように、よくある依頼の種類を1つずつ押さえておくと、多くの案件に応募しやすくなります。

作品の例に、実際の会社や人の名前、本物のデータを使ってはいけません。架空の会社名とデータを使って作ります。本業で作った仕組みを作品の例として使う場合も、会社の許可が必要です。

応募の文面では、作品の例へのリンクに加えて、依頼の内容に対する短い提案を添えます。「この部分はフォームの送信をきっかけに自動にでき、担当者の振り分けも設定で変えられる形にします」と書くだけで、依頼の内容を理解していることが伝わります。

GASの副業に向いている人、向いていない人

GASの副業は、プログラムが得意な人だけの仕事ではありません。向いているのは、次のような人です。

1つ目は、業務の手順を整理するのが好きな人です。事務や経理、営業の管理の仕事をしてきた人は、依頼者の困りごとをすぐに理解できます。2つ目は、調べながら進めるのが苦にならない人です。GASの仕事では、初めて扱うサービスや機能に出会うことが多く、公式の案内を読んで調べる時間が必ず発生します。3つ目は、相手の言葉を丁寧に聞ける人です。

反対に、向いていないのは、作る範囲があいまいなまま作り始めてしまう人や、依頼者とのやり取りを面倒に感じる人です。GASの仕事は小さな規模が多い分、やり取りの丁寧さが評価の大部分を占めます。

公式の上限を知っておく。提案の前に必ず確かめること

GASには、Googleが定めた実行の上限があります。この上限を知らずに仕組みを作ると、データが増えたときや、利用者が増えたときに、突然動かなくなります。副業で案件を受けるなら、提案の段階で上限を考えに入れることが、プロとしての信頼につながります。

Googleの公式の案内では、上限が次のように示されています。

スクリプトの実行時間 6 分 / 実行 6 分 / 実行 カスタム関数の実行時間 30 秒 / 実行 30 秒 / 実行 出典: Google Apps Script 割り当てと上限

左の数字が一般向けのアカウント(gmail.comなど)、右の数字がGoogle Workspace(企業向けの有料のサービス)のアカウントの上限です。1回の実行は6分までで、それを超えると途中で止まります。大量のデータを1回で処理する仕組みは、何回かに分けて処理する工夫が必要です。

同じ案内では、トリガーで動く処理の合計の実行時間にも、1日あたりの上限が定められています。一般向けのアカウントでは90分、Google Workspaceのアカウントでは6時間です。また、MailAppなどで送るメールの1日あたりの受信者の数は、一般向けのアカウントで100、Google Workspaceのアカウントで1,500とされています。

この数字から分かるのは、同じ仕組みでも、依頼者がどちらのアカウントを使っているかで、できることが変わるということです。たとえば、申し込みのたびに確認のメールを送る仕組みは、一般向けのアカウントでは1日に100人を超える申し込みに対応できない可能性があります。案件を受けるときは、依頼者のアカウントの種類と、1日に処理する件数の見込みを、最初に確かめてください。

なお、Googleは、これらの上限は予告なくいつでも変更される可能性があるとしています。納品する前に、公式の案内で最新の数字を確かめる習慣をつけておきます。

在宅で案件を受けるまでの流れ

GASの副業は、ほとんどが在宅で完結します。案件を受けるまでの流れは、次の6つの段階に分かれます。

段階1:作品の例を用意する

最初に、自分が作れるものを示す作品の例を用意します。実際の依頼者の仕組みは見せられないことが多いので、架空の会社の業務を想定して、スプレッドシートの自動化やフォームの通知の仕組みを作ります。何を自動にしたのか、どれくらいの手間が減るのかを、短い説明と画面の写しで示します。

段階2:案件を探す

業務委託の案件を紹介するサービスや、在宅ワークの仲介サイトで、「GAS」「Google Apps Script」「スプレッドシート 自動化」といった言葉で検索します。知人の会社や、本業で付き合いのある人からの紹介で仕事が始まることもあります。

段階3:応募と聞き取り

応募するときは、依頼の文面から読み取れる困りごとに対して、どう解決するかの考えを短く添えます。依頼者と話す機会があれば、今の業務の流れ、使っているアカウントの種類、データの量、誰が使うのかを聞き取ります。

段階4:見積もりと提案

聞き取った内容をもとに、作る範囲、納期、金額を示します。作らないもの(範囲の外のこと)も、はっきり書いておきます。

段階5:契約と開発

条件に合意したら、契約を結び、開発を始めます。途中で動くものを見せて確認してもらうと、完成してから「思っていたものと違う」と言われることを防げます。

段階6:納品と説明

完成したら、依頼者のアカウントで動くように設定し、使い方の説明書を渡します。プログラムの中に、何をしている部分かの説明を書き残しておくと、後で直すときに役立ちます。

1つの案件を最初から最後まで追ってみる

GASの案件がどう進むのかを、具体的な例で追ってみます。小さな会社から「問い合わせのフォームに届いた内容を、担当者に知らせたい」という依頼が来たとします。

最初の聞き取りでは、今の業務の流れを確かめます。問い合わせは1日に何件くらい届くのか。誰がフォームの回答を見て、どうやって担当者に伝えているのか。担当者は問い合わせの種類で分かれているのか。使っているのは一般向けのアカウントか、Google Workspaceのアカウントか。聞いてみると、事務の担当者が1日に何度もスプレッドシートを開き、新しい行を見つけるたびに、内容を書き写して営業の担当者にメールしていることが分かりました。

次に、自動にする範囲を決めます。フォームが送信されたら、問い合わせの種類に応じて担当者にメールを送る。送ったことをスプレッドシートの列に記録する。問い合わせた人には、受け付けたことを知らせる確認のメールを送る。この3つを範囲とし、問い合わせへの返信そのものは範囲に含めないことを確かめます。

見積もりでは、作る範囲、納期、金額、納品後の修正の期間を示します。依頼者が了承したら、書面で条件を確かめてから作り始めます。

開発では、まず架空の問い合わせで動きを確かめます。担当者の振り分けが正しいか、メールの文面に必要な情報が入っているか、1日の問い合わせの件数がメールの上限に収まるかを確かめます。途中で依頼者に動きを見てもらい、メールの文面や件名を調整します。

納品では、依頼者のアカウントでトリガーを設定し、実際の問い合わせで動くことを一緒に確かめます。担当者が増えたときに振り分けの設定をどこで変えればよいかを、説明書に書いて渡します。

この例で分かるように、プログラムを書く時間は全体の一部です。聞き取り、範囲の確認、動作の確認、説明の時間を含めて見積もることが、無理のない仕事につながります。

料金の決め方と、時間の見積もり方

GASの副業の料金は、作業の時間をもとに決めるのが基本です。作業の時間には、プログラムを書く時間だけでなく、聞き取り、設計、動作の確認、修正、説明書の作成、依頼者とのやり取りの時間が含まれます。副業を始めたばかりの人は、プログラムを書く時間だけで見積もってしまい、実際には倍以上の時間がかかることがよくあります。

見積もりの方法は、大きく2つあります。1つ目は、作業の時間に1時間あたりの単価を掛けて、全体の金額を固定で示す方法です。依頼者にとって予算が分かりやすく、受ける側も範囲がはっきりしていれば管理しやすい方法です。2つ目は、実際にかかった時間に応じて請求する方法です。範囲がはっきりしない仕事や、調査が必要な仕事に向いています。

最初のうちは、固定の金額で、範囲をはっきりさせた小さな仕事から受けるのが安全です。範囲の外の依頼が来たら、別の見積もりとして示します。

保守の料金は、月ごとの定額で決める方法が多く使われます。月に何時間までの対応を含むのか、緊急の対応は含むのかを決めておくと、依頼者も受ける側も安心できます。

単価の目安を知りたいときは、業務委託の案件を紹介するサービスで、似た内容の案件の予算を見比べます。自分の実績が少ないうちは、相場の中ほどから始め、実績と評価が積み上がったら見直していく人が多くいます。安く受けすぎると、後で単価を上げにくくなる点にも注意が必要です。

見積もりと契約で決めておくこと

GASの副業で起きるトラブルの多くは、作る前の取り決めがあいまいなことから生まれます。見積もりと契約の段階で、次の5つを決めておいてください。

1つ目は、作る範囲です。どのデータを、いつ、どう処理して、どこに出力するのかを、文章と図で確かめます。依頼の途中で「ついでにこれも」と頼まれることがよくあるので、範囲の外の作業は別の見積もりになることを、最初に伝えておきます。

2つ目は、修正の回数と期間です。納品後、何回まで、いつまでの修正を料金に含めるのかを決めます。

3つ目は、保守の扱いです。納品後に、Googleの仕様の変更や、依頼者の業務の変更で動かなくなることがあります。そのときに対応するかどうか、対応する場合の料金を決めておきます。月ごとの保守の契約を提案するのも1つの方法です。

4つ目は、作ったプログラムの権利です。納品したプログラムを依頼者が自由に直してよいのか、自分が似た仕組みを別の依頼者に作ってよいのかを確かめます。

5つ目は、支払いの条件です。金額、支払いの日、支払いの方法を書面で確かめます。

事業者から業務委託で仕事を受ける場合は、フリーランスを守るための法律が関わります。厚生労働省の案内では、個人で働くフリーランスに業務委託を行う発注事業者に対し、取引条件の明示や、給付を受け取った日から原則60日以内での報酬の支払いなどが義務づけられています。条件が口頭だけのまま作業を始めないことが、自分を守ることにつながります。

会社員が副業でGASの案件を受けるときの注意

会社員がGASの副業を始めるときは、まず勤め先の就業規則を確かめます。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、会社が副業を制限できる場面について、裁判例を踏まえて次のように整理しています。

副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、例えば、 ① 労務提供上の支障がある場合 ② 業務上の秘密が漏洩する場合 ③ 競業により自社の利益が害される場合 ④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合 に該当する場合と解されている。 出典: 厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン

GASの副業で特に気をつけたいのは、2つ目と3つ目です。本業で作ったプログラムや、本業で知った顧客の情報を、副業に持ち込んではいけません。本業と同じ取引先から、個人で仕事を受けることも、競業に当たるおそれがあります。届出の手順や、禁止されている範囲は会社ごとに違うので、就業規則で確かめ、必要なら会社に相談してから始めてください。

税金の扱いも知っておきます。国税庁の案内では、給与を1か所から受けていて年末調整を受けている人は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要とされています。所得とは、受け取った報酬から、仕事に使った費用を差し引いた金額のことです。20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。迷ったら、税務署や市区町村の窓口で確かめてください。

依頼者のアカウントと情報を扱うときの注意

GASの仕事では、依頼者のGoogleのアカウントや、顧客の情報が入ったスプレッドシートを扱うことがあります。信頼を失わないために、情報の扱いには細心の注意が必要です。

まず、依頼者のアカウントのパスワードを教えてもらう形は避けます。スプレッドシートやプログラムを共有してもらい、自分のアカウントから編集する形にするのが基本です。納品が終わったら、共有を外してもらうよう依頼します。

次に、外部のサービスの鍵(APIキーやトークン)をプログラムの中に直接書かないことです。プログラムを共有したときに、鍵まで見えてしまいます。GASには、こうした値をプログラムとは別に保存する仕組み(スクリプトのプロパティ)があるので、それを使います。

顧客の個人情報が入ったデータは、自分のパソコンにダウンロードしないことを原則にします。動作の確認には、架空のデータを使います。

最後に、仕組みが動くための権限を、必要な範囲にとどめます。プログラムが依頼者のすべてのメールやファイルにアクセスできる権限を求めると、依頼者が不安を感じます。何のために、どの権限が必要なのかを説明できるようにしておいてください。

依頼者によっては、作業を始める前に秘密保持の契約(NDA)を結ぶことを求められます。秘密保持の契約とは、仕事を通じて知った依頼者の情報を、外に漏らさないことを約束する契約のことです。求められなかった場合でも、仕事で知った情報は外に出さないことを、自分から伝えておくと信頼につながります。作品の例やSNSで仕事の実績を紹介するときも、依頼者の名前や業務の中身を出してよいかを、事前に確かめてください。

よくある失敗と、納品後に困らないための工夫

GASの副業で起きやすい失敗は、納品の後になって表に出るものが多くあります。代表的な4つを知っておくと、同じ失敗を避けられます。

1つ目は、データが増えて止まる失敗です。納品したときは数百行だったデータが、半年後に数万行になり、1回の実行時間の上限を超えて途中で止まる、という例です。データが増えることを見込んで、処理を分ける、必要な範囲だけを読み込む、といった工夫を最初から入れておきます。

2つ目は、作った人のアカウントに仕組みが結びついている失敗です。トリガーは、設定した人のアカウントで動きます。自分のアカウントでトリガーを設定して納品すると、自分が共有から外れたときに動かなくなります。トリガーは、依頼者の側のアカウントで設定してもらうのが基本です。

3つ目は、依頼者の担当者が代わって、誰も仕組みを理解していない状態になる失敗です。担当者が退職や異動をしたあとに不具合が起きると、どこを直せばよいか分からなくなります。説明書に、仕組みの全体の流れ、設定を変える場所、止まったときに確かめることを書いておくと、引き継ぎがしやすくなります。

4つ目は、エラーに誰も気づかない失敗です。自動で動く仕組みは、止まっても誰も気づかないことがあります。処理が失敗したときに、担当者にメールで知らせる仕組みを入れておくと、問題を早く見つけられます。

これらの工夫は、依頼者から求められなくても入れておく価値があります。納品後のトラブルが少ない人には、次の仕事や紹介が集まりやすくなります。

運営者の視点から見た、GASの副業を続けられる人の特徴

フリーランスや在宅の働き方を20年見てきた立場から言えば、GASのような業務の自動化の仕事で長く続く人は、プログラムの腕前よりも「業務の困りごとを正しく聞き取る力」に時間を使っています。依頼者が本当に困っているのは、プログラムがないことではなく、毎日の手作業に時間を取られていることです。その困りごとを言葉にして、どれくらいの時間が減るのかを示せる人に、継続の依頼が集まります。

運営者として見てきた限りでは、仲介の取り分が少ない直接の取引ほど、依頼者と作る人の双方に余裕が生まれます。仲介の手数料が重いと、依頼者は高い料金を払い、作る人は手取りが少なくなります。直接の取引が増えると、同じ予算で依頼者は保守まで含めて頼め、作る人の手取りも厚くなります。

GASで業務の自動化に慣れてきたら、仕事の幅を広げる道もあります。プログラムを作る仕事全体の報酬の相場は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で確かめられます。スマートフォンのアプリへと作る対象を広げたい人には、スマホアプリ開発の副業ガイド|個人で稼ぐ方法と案件相場が参考になります。業務の自動化の経験は、マーケティングの集計や広告のレポートを自動にする仕事にもつながります。そうした仕事の全体像は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確かめられます。

副業として何を選ぶかに迷っている人は、キャリア・副業・人生相談のお仕事で、ほかの働き方も見比べてみてください。GASの副業は、身近な業務の困りごとから始められる仕事です。自分の業務を1つ自動にするところから始め、作品の例を整え、上限と契約を確かめてから案件を受ける。この順番を守れば、初めての案件でも落ち着いて進められます。

よくある質問

Q. プログラミングの経験がなくてもGASの副業はできますか?

JavaScriptの基本(変数、条件の分岐、繰り返し、関数)を学べば、スプレッドシートの自動化やフォームの通知といった仕事に対応できるようになります。まず自分の業務や生活で使っているスプレッドシートの作業を1つ自動にしてみると、全体像がつかめます。作品の例を作ってから案件に応募するのが現実的な順番です。

Q. GASにはどんな上限がありますか?

Googleの公式の案内では、スクリプトの1回の実行時間は6分まで、トリガーで動く処理の合計は1日あたり一般向けのアカウントで90分、Google Workspaceのアカウントで6時間とされています。メールの1日あたりの受信者の数にも上限があります。上限は予告なく変わる可能性があるので、提案や納品の前に公式の案内で確かめてください。

Q. 会社員がGASの副業をするときに気をつけることは?

勤め先の就業規則で、副業の届出や禁止の範囲を確かめます。本業で作ったプログラムや顧客の情報を副業に持ち込まないこと、本業と競合する仕事を受けないことが大切です。給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要になり、20万円以下でも住民税の申告が必要な場合があります。

Q. 納品した後に動かなくなったらどうすればよいですか?

Googleの仕様の変更や、依頼者の業務の変更で、納品後に動かなくなることがあります。見積もりの段階で、納品後の修正の回数と期間、保守を受けるかどうかと料金を決めておくと、慌てずに対応できます。月ごとの保守の契約を提案すると、依頼者も安心でき、継続の仕事にもつながります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月29日最終更新:2026年10月2日
加藤 りさ

この記事を書いた人

加藤 りさ@SOHO編集部

フリーランス採用コンサルタント

大手人材会社でRPO(採用代行)チームを率い、数多くの企業の採用を支援。フリーランスとして独立し、人事・採用・HR Tech系の記事を発信しています。

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