完全在宅で校正の仕事を受けるまで|未経験からの勉強の順番と案件の探し方

松本 あゆみ
松本 あゆみ
完全在宅で校正の仕事を受けるまで|未経験からの勉強の順番と案件の探し方

この記事のポイント

  • ✓完全在宅で校正の仕事を受けたい人へ
  • ✓在宅でのPDF校正の進め方
  • ✓未経験から身につける順番(表記のルール

文章の誤字や脱字、表記の揺れを見つけて正す校正は、パソコンとインターネットがあれば自宅で完結しやすい仕事です。通勤がない、自分のペースで進められる、文章を読むことが好きな人に向いている、という理由で、完全在宅の校正の仕事を目指す人は少なくありません。ただ、「文章を読むのが好き」だけでは仕事になりにくく、表記のルールや校正記号、調べ方といった技能を身につけ、それを示す必要があります。この記事では、完全在宅で校正の仕事を受けるまでに、未経験から何をどの順番で学べばよいか、どこで案件を探し、どう受けていくかを順番に説明します。

校正と校閲の違い

まず、校正と校閲の違いを押さえておきます。求人や案件の募集では2つの言葉が使い分けられていて、求められる技能が違います。

校正とは、文章や原稿を、誤字、脱字、表記の揺れ、体裁の乱れがないかという観点で確かめる仕事です。元の原稿と組み上がった誌面を見比べて違いを見つける「突き合わせ」、決められた表記のルールに沿っているかを確かめる「素読み」などがあります。

校閲とは、文章の内容が事実として正しいかを確かめる仕事です。人名、地名、日付、数字、引用、固有名詞などが正しいかを、辞書や資料、公的な情報で調べて確かめます。内容の矛盾や、読者に誤解を与える表現も指摘します。

実際の仕事では、校正と校閲の両方を求められることが多く、どこまで確かめるかは案件ごとに決まります。未経験から始める場合は、まず校正の技能を身につけ、そこから校閲の調べ方を広げていくのが一般的な順番です。

在宅でできる校正の仕事の種類

在宅でできる校正の仕事には、次のような種類があります。

書籍や雑誌の校正

出版社や編集プロダクション(出版社から編集の仕事を請け負う会社)から、書籍や雑誌の校正刷り(ゲラと呼ばれる、印刷の前に確認用に出力したもの)を受け取り、確かめる仕事です。以前は紙のゲラを郵送でやりとりすることが多かったものの、今はPDFでやりとりし、パソコンの画面上で赤字を入れる形が増えています。

Web記事の校正

企業のWebサイトやWebメディアの記事を、公開する前に確かめる仕事です。表記のルールに沿っているか、誤字や脱字がないか、リンクや見出しの体裁が整っているかを確かめます。内容の事実確認まで求められることもあります。件数が多く、未経験から始めやすい分野です。

企業の文書や広告の校正

企業のパンフレット、商品の説明書、広告、社内報などの校正です。商品名や価格、表示の決まりに関わる部分の確認が求められることがあり、誤りが大きな影響を持つため、慎重な確認が必要です。

学習教材や試験問題の校正

学習参考書、教材、試験問題の校正です。問題と答えが合っているか、解説に誤りがないかを確かめる仕事もあり、その教科の知識が求められます。

文字起こしや翻訳の確認

音声を文字にした原稿や、翻訳された文章を確かめる仕事もあります。元の音声や原文と照らし合わせて、聞き間違いや訳し漏れがないかを確かめます。

在宅での校正の進め方

完全在宅の校正は、おおむね次の流れで進みます。

原稿とルールを受け取る

依頼する側から、校正する原稿(PDFや文書ファイル)と、表記のルールをまとめた資料を受け取ります。表記のルールとは、「子ども」か「子供」か、数字は半角か全角か、といった書き方の決まりのことです。出版社やメディアごとに決まりがあり、それに沿って確かめるのが校正の基本です。

画面の上で赤字を入れる

PDFの場合は、PDFを閲覧するソフトの注釈の機能を使い、直す場所に印をつけて、直し方を書き込みます。文書ファイルの場合は、変更履歴の機能を使って直すことが多くあります。どちらの場合も、誰が見ても直し方が分かるよう、決められた書き方で書くことが大切です。

疑問を出す

自分では判断できない点は、直すのではなく「疑問」として書き込みます。たとえば、「この数字は前のページと違うが、どちらが正しいか」「この人名の表記は本人の希望どおりか」といった点です。校正者が勝手に直すと、書き手の意図を損なうことがあるため、判断がつかない点は疑問として示します。

納品する

赤字を入れたファイルを、決められた方法で納品します。納期は案件ごとに決まっていて、短いものでは数時間、長いものでは数週間です。

未経験から身につける順番

未経験から校正の仕事を目指す場合、次の順番で学ぶと、つまずきにくくなります。

1つ目:表記のルールを知る

校正の土台になるのが、日本語の表記のルールです。漢字と仮名の使い分け、送り仮名、数字の書き方、カタカナ語の表記、句読点やかっこの使い方などです。

表記のルールは、出版社やメディアごとに違いますが、多くの媒体が参考にしている用字用語の手引きがあります。新聞社や通信社が出している用字用語の手引きは、多くの媒体で表記の基準として使われているので、1冊手元に用意して、よく使う語の表記を確かめる習慣をつけます。

2つ目:校正記号を覚える

校正記号とは、直し方を誰が見ても同じように分かるようにするための記号です。文字を入れ替える、削る、加える、改行する、といった直し方に、決まった書き方があります。校正記号は日本産業規格(JIS)で定められていて、多くの出版社や印刷会社が使っています。

画面の上で赤字を入れる場合でも、校正記号の考え方は同じです。どの直し方をどう書けば伝わるかを知っておくと、紙のゲラでもPDFでも対応できます。

3つ目:練習問題で目を慣らす

表記のルールと校正記号を学んだら、練習問題で実際に誤りを見つける練習をします。校正の問題集では、誤りを含んだ文章が用意されていて、どれだけ見つけられるかを確かめられます。

校正の技能は、知識より目の慣れによるところが大きい技能です。文章を「読む」のではなく、1文字ずつ「見る」練習を重ねると、誤りに気づく力がついていきます。

4つ目:調べ方を身につける

校閲まで求められる仕事では、調べ方が大切です。人名や地名は公式の情報で、法律や制度は省庁や自治体の公式ページで、統計の数字は公表している機関の資料で確かめます。インターネットの検索結果の上位に出てくる情報が正しいとは限らないので、元の情報(一次資料)にたどりつく調べ方を身につけます。

5つ目:自分の技能を示せる形にする

学んだ技能を、依頼する人に示せる形にします。検定試験に合格する、講座を修了する、実績を積む、といった方法があります。

表記の揺れの具体例

校正の仕事で最も多く指摘するのが、表記の揺れです。表記の揺れとは、同じ言葉が文章の中で違う書き方で混ざっていることです。どちらの書き方が正しいかは媒体のルールで決まりますが、1つの文章の中ではそろえるのが基本です。よく出てくる例を挙げます。

漢字と仮名の使い分け

「子供」と「子ども」、「出来る」と「できる」、「下さい」と「ください」、「事」と「こと」、「時」と「とき」などは、媒体によって使い分けが決まっています。たとえば、「できる」は動詞として使うときは仮名で書き、「出来が良い」のように名詞のときは漢字で書く、というルールの媒体があります。同じ「とき」でも、時刻を表すときは「時」、場合を表すときは「とき」と書き分けるルールもあります。

送り仮名

「行う」と「行なう」、「表す」と「表わす」、「申し込み」と「申込み」と「申込」などは、送り仮名の付け方で揺れが出やすい語です。特に「申し込み」のような複合語は、名詞として使うか動詞として使うかで送り仮名を変えるルールもあり、注意が必要です。

数字と記号

数字を半角で書くか全角で書くか、「1つ」と「一つ」のどちらを使うか、桁の区切りにカンマを入れるか、といった点も媒体ごとに決まっています。単位の書き方(「kg」か「キロ」か)、かっこの種類(全角か半角か)、ダッシュや三点リーダーの使い方なども、ルールに沿ってそろえます。

カタカナ語

「コンピューター」と「コンピュータ」、「サーバー」と「サーバ」のように、語の終わりの長音を付けるかどうかで揺れが出ます。「ウェブ」と「Web」のように、カタカナで書くか英字で書くかも媒体によって違います。

固有名詞

会社名、商品名、人名は、その会社や本人が使っている正式な表記に合わせます。会社名の「株式会社」が前に付くか後に付くか、英字の大文字と小文字、中黒(・)の有無などは、公式のページで確かめます。固有名詞は、表記のルールより本人や会社の表記が優先されるのが一般的です。

こうした揺れは、1つずつは小さなことですが、文章の中に混ざっていると、読む人に雑な印象を与えます。校正者は、こうした揺れを見逃さずに拾い、ルールに沿ってそろえる役割を担います。

見落としを減らす読み方

校正で一番難しいのは、誤りを見落とさないことです。人は文章を読むとき、意味を追ってしまい、1文字ずつの誤りを無意識に補って読んでしまいます。見落としを減らすには、読み方を工夫します。

観点を分けて何度も見る

1回の読みで全部を見つけようとせず、観点を分けて何度も見ます。1回目は誤字と脱字、2回目は表記の揺れ、3回目は数字と固有名詞、4回目は体裁(見出しの番号、かっこの対応、改行)というように分けると、1回ごとの集中が保てます。

意味を追わずに文字を見る

内容に引き込まれると、文字の誤りが目に入らなくなります。1行ずつ定規を当てる、画面を拡大して文字を大きくする、文章を後ろから読む、といった方法で、意味を追わずに文字を見る状態を作ります。

数字と固有名詞は元の資料と突き合わせる

数字、日付、人名、会社名は、元の原稿や資料と1つずつ突き合わせます。数字の桁、小数点の位置、年号と西暦の対応は、目で追うだけでは見落としやすいので、指でなぞる、印をつける、といった方法で確かめます。

検索の機能を使う

画面の上で校正する場合は、検索の機能が役立ちます。揺れやすい語(「子供」と「子ども」など)を検索して、すべての出現箇所を確かめると、見落としが減ります。ただし、検索だけに頼ると、変換の誤り(「以外」と「意外」など)のように、正しい語として存在する誤りは見つけられません。検索と目視を組み合わせます。

時間を置いて見直す

作業を終えたあと、少し時間を置いてから見直すと、作業中に気づかなかった誤りに気づくことがあります。納期に余裕があれば、一晩置いてから最後の確認をします。

校正技能検定と講座

校正の技能を示す方法の1つが、日本エディタースクールが行っている校正技能検定です。

校正技能検定は,1966年より日本エディタースクールが主催・実施する,「校正」の技能を認定する唯一の検定試験です.実務未経験では入りづらい出版界への足がかりとして,また,身につけた技能をアピールしてさらなるキャリアアップをはかるために,ご活用いただいています. 出典: 日本エディタースクール 校正技能検定試験

同じページによると、校正技能検定には初級、中級、上級があります。初級は、日本エディタースクールで指定された科目を修得した人が認定されます。中級は実技試験と学科試験による統一試験で、年2回、夏と冬に行われます。上級は年1回、春に行われ、中級の合格者だけが受験できます。2026年9月30日時点の案内では、第177回の中級試験が2026年12月13日に予定されています。

検定に合格すると、未経験でも一定の技能があることを示す材料になります。ただ、検定に合格しただけで仕事が来るわけではありません。案件の募集では、検定の合格に加えて、トライアル(試験的な校正の課題)で実際の技能が判断されることがほとんどです。

講座には、通学のほか、自宅で学べる通信講座もあります。講座を選ぶときは、学べる範囲(校正だけか、校閲や編集も含むか)、添削の有無、修了までの期間、費用を比べます。講座の修了が仕事の紹介につながることを強くうたう講座は、紹介の実態や条件を書面で確かめてから申し込みます。

案件の探し方

校正の会社や編集プロダクションに登録する

校正や編集を請け負う会社の中には、在宅の校正者を登録制で募集しているところがあります。応募すると、トライアルが課され、合格すると登録され、仕事が割り振られます。継続して仕事を受けやすい形ですが、トライアルの水準は高めです。

クラウドソーシングで探す

インターネットで仕事を仲介するサービスでは、Web記事の校正や、企業の文書の校正の案件が見つかります。未経験から始めやすい案件もありますが、報酬の水準は案件によって大きく違います。仲介のサービスに手数料を支払う形のものが多いので、手数料を引いた手取りで考えます。

出版社やメディアの募集に応募する

出版社やWebメディアが、在宅の校正者を直接募集していることがあります。求人サイトや各社のホームページで募集が見つかります。

前の仕事のつながりから

事務職や編集の補助、ライターなどの経験がある人は、前の仕事のつながりから校正の仕事を受けることもあります。文書を扱う仕事の経験は、校正の仕事の信頼につながります。

トライアルを通るために

在宅の校正の案件では、多くの場合トライアルがあります。トライアルを通るためには、次の点に気をつけます。

1つ目は、指示を正確に読むことです。表記のルール、赤字の入れ方、どこまで確かめるか(校正だけか、事実確認も含むか)を確かめてから取りかかります。指示と違う方法で赤字を入れると、技能があっても不合格になることがあります。

2つ目は、見落としを減らすことです。1回読んで終わりにせず、観点を分けて複数回確かめます。1回目は誤字と脱字、2回目は表記の揺れ、3回目は数字と固有名詞、というように分けると、見落としが減ります。

3つ目は、直しすぎないことです。書き手の文体や意図に関わる部分は、勝手に直さず疑問として示します。直す必要のないところまで直すと、校正者としての判断力を疑われます。

4つ目は、納期を守ることです。トライアルでも、決められた期限までに提出することが評価の前提です。

応募のときに実績を示す方法

在宅の校正の案件に応募するとき、未経験の人は実績を示しにくいことが悩みになります。実績がなくても、次の方法で技能を示せます。

学んだことを具体的に書く

応募の文面では、「文章を読むのが好き」と書くより、「用字用語の手引きに沿った表記の統一ができる」「校正記号で赤字を入れられる」「PDFの注釈で赤字を入れた経験がある」というように、できることを具体的に書きます。検定に合格した、講座を修了した、という事実も書きます。

前の仕事の経験を校正につなげて書く

事務職で社内文書を確かめていた、営業職で見積書や契約書の数字を確かめていた、教員として試験問題を作っていた、といった経験は、校正の仕事につながります。どんな文書を、どのような観点で確かめていたのかを書くと、依頼する側が技能を想像しやすくなります。

得意な分野を示す

医療、法律、金融、IT、料理、旅行など、自分が詳しい分野があれば、その分野の校正が得意であることを示します。専門用語の表記や、事実確認の勘どころを知っていることは、依頼する側にとって大きな安心材料になります。

最初の数件を丁寧に積み上げる

最初の数件の仕事は、報酬より実績づくりを優先する考え方もあります。丁寧な仕事をして評価を得ると、次の案件に応募するときの材料になります。ただし、極端に安い報酬で受け続けると、時間あたりの額が上がらないまま疲れてしまいます。数件の実績ができたら、報酬の水準を見直します。

副業として続ける1日の組み立て

会社員が副業として在宅の校正を続ける場合、作業の時間をどう確保するかが課題になります。校正は集中が必要な仕事なので、疲れた状態で長い時間続けると、見落としが増えます。

集中できる時間に作業する

本業から帰ったあとの夜は、目も頭も疲れていることが多くあります。朝の出勤前に1時間、休日の午前中にまとめて数時間、というように、集中できる時間に作業を入れると、見落としが減ります。

納期に余裕のある案件を選ぶ

本業の都合で作業の時間が読めない場合は、納期の短い案件を避け、余裕のある案件を選びます。納期の直前に本業が忙しくなると、無理をして作業することになり、品質も体調も崩れます。

1回の作業を区切る

1回の作業を1時間ほどで区切り、休憩を挟みます。区切りのよいところで、どこまで確かめたかを記録しておくと、次の作業をすぐに再開できます。

初めての人がつまずきやすい点

在宅の校正を始めたばかりの人がつまずきやすい点を、避け方と合わせて整理します。

自分の好みで直してしまう

文章を読みやすくしたいという気持ちから、書き手の言い回しを自分の好みで直してしまうことがあります。校正の役割は、ルールに沿って誤りを正すことで、文章を書き直すことではありません。直したほうがよいと思う表現は、直すのではなく提案として示します。

赤字が伝わらない

直し方の書き方があいまいだと、受け取った人が直し方を誤ります。どの文字を、何に直すのかが、誰が見ても分かるように書きます。校正記号の決まりや、依頼する側の指示に沿って書くことが大切です。

疑問を出しすぎる、出さなすぎる

判断に迷う点を何でも疑問として出すと、依頼する側の確認の手間が増えます。一方で、出すべき疑問を出さずに見過ごすと、誤りが残ります。辞書や資料で確かめられることは自分で確かめ、確かめられないことだけを疑問として出します。

完全在宅で働くための環境

作業の道具

在宅の校正に必要なのは、パソコン、インターネットの回線、PDFに注釈を入れられるソフト、文書作成のソフトです。画面の上で細かい文字を確かめるため、大きめの画面があると目の負担が減ります。紙のゲラを扱う案件では、赤のペン、定規、付箋などの文房具も使います。

作業場所

完全在宅の校正では、集中できる作業場所を持つことが大切です。家族の声やテレビの音が聞こえる場所では、集中が途切れて見落としが増えます。決まった机で作業する、作業中は通知を切る、といった工夫で、集中できる環境を整えます。インターネットの回線が不安定だと、大きなPDFのやりとりに時間がかかったり、納品が遅れたりすることがあるので、回線の状態も確かめておきます。在宅の作業に向いた回線の選び方は、在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方で比べています。

辞書と資料

国語辞典、漢字の辞典、用字用語の手引きは、校正の基本の道具です。電子辞書やインターネットの辞書も使えますが、依頼する側が指定する辞書がある場合は、それに従います。

情報の管理

校正では、発売前の書籍や公開前の記事など、外に出してはいけない原稿を扱います。依頼する側から、秘密を守る約束(秘密保持契約)を求められることもあります。原稿のファイルを家族と共用のパソコンで開かない、作業が終わったら決められた方法で削除する、といった管理が必要です。

目と体の負担

校正は、長い時間画面や紙の文字を見続ける仕事です。1時間ごとに目を休める、画面の明るさを調整する、姿勢を整える、といった工夫で、目と体の負担を減らします。集中が続く時間には限りがあるので、作業の時間を区切って休憩を挟むと、見落としも減ります。

初校から責了までの流れ

書籍や雑誌の校正では、1回確かめて終わりではなく、何回かに分けて確かめるのが一般的です。全体の流れを知っておくと、自分がどの段階を任されているのかが分かり、作業の範囲を誤りません。

初校

初校とは、原稿を誌面の形に組んだ最初の校正刷りを確かめる段階です。元の原稿と組み上がった誌面を突き合わせ、文字の誤り、抜け、体裁の乱れを確かめます。表記の揺れの統一や、事実確認の疑問出しも、この段階で多く行われます。初校で見つける誤りの数が最も多く、作業の時間もかかります。

再校

再校とは、初校で入れた赤字が正しく直っているかを確かめる段階です。直っていない箇所、直したことで新しく生じた誤り(行がずれた、文字が重なった、など)を確かめます。初校で見落とした誤りに気づくこともあります。

三校と責了

さらに確認が必要な場合は、三校、四校と続きます。最後の段階では、残った直しを印刷所の責任で直してもらう「責了」(責任校了の略)として、校正を終えることがあります。

在宅の校正者が任されるのは、このうち初校だけ、再校だけ、ということもあります。依頼を受けるときに、どの段階の校正なのか、前の段階の赤字は見られるのかを確かめておくと、作業の範囲が明確になります。

Web記事の校正では、こうした段階を分けずに、公開前に1回確かめて終わりということも多くあります。その場合は、1回で必要な確認をすべて終える必要があるので、観点を分けて何度も見る読み方が一層大切になります。

校正から広がる仕事

校正の技能を身につけると、ほかの仕事にも広げていけます。在宅で続けられる仕事の幅を持っておくと、案件が少ない時期の支えになります。

校閲

校正の経験を積んだあと、事実確認まで含む校閲の仕事に広げる人がいます。調べ方の技能が身につくと、報酬の水準も上がりやすくなります。特定の分野に詳しい人は、その分野の校閲を得意にすると、依頼が集まりやすくなります。

編集

校正の仕事を通して、文章の構成や見出しの付け方、読みやすさに気づく力が身につきます。その力を生かして、記事の構成を考える、原稿を整理する、といった編集の仕事に広げる道があります。

ライティング

校正で多くの文章を読むと、読みやすい文章とそうでない文章の違いが分かってきます。表記のルールを身につけた人が書く文章は、依頼する側にとって直しの手間が少なく、ライティングの仕事でも評価されます。校正とライティングを両方受けられると、仕事の選択肢が広がります。

社内の文書の確認

企業の中には、外に出す文書の確認を外部に頼みたいところがあります。プレスリリース、Webサイトの文章、商品の説明書など、企業の文書の確認は、継続した仕事になりやすい分野です。

契約と報酬で確かめること

契約の形

在宅の校正は、雇用ではなく業務委託で受けることがほとんどです。厚生労働省は、自宅などで情報通信機器を使って仕事を受ける働き方を、自営型テレワークと呼んでいます。

自営型テレワークとは、注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して主として自宅又は自宅に準じた自ら選択した場所において、成果物の作成又は役務の提供を行う就労をいいます。 出典: 厚生労働省 自営型テレワーク

同じページでは、自営型テレワークの契約で守るべきことをまとめたガイドラインが案内されています。報酬の額、支払いの時期、納期、直しの範囲などを、契約の前に書面やメールで確かめておくことが大切です。

報酬の決まり方

校正の報酬は、ページ数、文字数、時間、1本あたりなど、案件によって決まり方が違います。同じ報酬でも、事実確認まで求められるのか、表記の確認だけなのかで、かかる時間が大きく変わります。報酬を比べるときは、作業にかかる時間で割って、1時間あたりの額で考えます。

税金

業務委託の報酬は、一般に事業所得や雑所得として扱われます。会社員の副業として受ける場合、年末調整を受けている人は、給与以外の所得の合計が年20万円を超えると確定申告が必要です。所得は報酬から経費を引いた額で、辞書や講座の費用、作業に使う機器などは、仕事に必要な支出であれば経費になりうるので、領収書を保存しておきます。報酬の種類によっては、支払う側が所得税をあらかじめ差し引く源泉徴収が行われていることもあります。詳しくは国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人で確かめられます。

所得税の確定申告が不要な額でも、住民税の申告は別に必要になる場合があります。住んでいる市区町村の窓口で確かめます。また、報酬の入金と経費の支払いを、本業の給与とは別の口座で管理すると、年が明けてから申告の準備をするときに集計が楽になります。案件ごとに、受けた日、納品した日、報酬の額、入金の日を記録しておくと、入金の漏れにも気づけます。

長く続く校正者の特徴

フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、在宅の校正で長く続く人は、技能の高さに加えて、依頼する側が安心して任せられる仕事の仕方を身につけています。納期を守る、疑問点を分かりやすく示す、指示と違う方法で進めない、といった当たり前のことを毎回続ける人に、継続の依頼が集まります。

もう1つ見えてくるのは、得意な分野を持つ人が強いことです。医療、法律、金融、IT、教育など、専門の知識が必要な分野の校正は、その分野を知る人に依頼が集まりやすくなります。前の仕事で身につけた知識を、校正の得意分野にできないかを考えてみる価値があります。

文書の正しさを見る力を確かめたい人は、ビジネス文書の書き方の基本を問うビジネス文書検定も参考になります。また、在宅でできる仕事に役立つ資格を広く知りたい人は、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで、校正以外の選択肢も含めて紹介しています。長い時間の作業で集中を保つ工夫は、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックが役立ちます。

在宅の仕事を仲介するサービスの中には、仲介の手数料をとらず、依頼する人と受ける人が手数料0%で直接やりとりできるものもあります。間に入る手数料がないと、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側の手取りは厚くなります。校正の技能を生かせる在宅の仕事を探すなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で在宅で受けられる仕事の種類を見ておくと、文章を扱う仕事の広がりが見えてきます。

よくある質問

Q. 未経験でも完全在宅の校正の仕事は受けられますか?

受けられる場合はありますが、表記のルール、校正記号、調べ方といった技能を身につけ、トライアルで示すことが前提になります。Web記事の校正は未経験から始めやすい分野です。校正技能検定の合格や講座の修了は技能を示す材料になりますが、多くの案件ではトライアルで実際の技能が判断されます。

Q. 校正と校閲はどう違いますか?

校正は、誤字や脱字、表記の揺れ、体裁の乱れがないかを確かめる仕事です。校閲は、人名や日付、数字、引用などの内容が事実として正しいかを、辞書や資料、公的な情報で調べて確かめる仕事です。実際の案件では両方を求められることも多いので、どこまで確かめるかを依頼する側に確かめてから取りかかります。

Q. 校正技能検定はいつ受けられますか?

日本エディタースクールの案内では、中級は年2回、夏と冬に、上級は年1回、春に行われ、上級は中級の合格者だけが受験できます。初級は同スクールで指定科目を修得した人が認定されます。2026年9月30日時点では、第177回の中級試験が2026年12月13日に予定されています。最新の日程は公式ページで確かめます。

Q. 在宅の校正の仕事に必要な道具は何ですか?

パソコン、インターネットの回線、PDFに注釈を入れられるソフト、文書作成のソフトが基本です。細かい文字を確かめるので大きめの画面があると目の負担が減ります。国語辞典、漢字の辞典、用字用語の手引きも欠かせません。発売前の原稿を扱うので、家族と共用のパソコンで開かないなど情報の管理も必要です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月8日最終更新:2026年10月11日
松本 あゆみ

この記事を書いた人

松本 あゆみ@SOHO編集部

元看護師・医療系ライター

大学病院で看護師として8年間勤務。介護福祉士の資格も取得し、医療・介護両方の現場を知る立場から、ヘルスケア系の記事を執筆しています。

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