在宅の校正者になるには|仕事の探し方と未経験から入る道


この記事のポイント
- ✓在宅の校正者になりたい人向けに
- ✓在宅で校正の仕事を受ける3つの働き方
- ✓校正記号と校正技能検定
在宅で校正者として働きたいと考えて調べはじめると、「未経験歓迎」の募集と「経験者のみ」の募集が入り混じっていて、自分がどこから入ればよいのか分からなくなりがちです。校正は、文字と向き合う集中力があれば家でも続けやすい仕事ですが、仕事の受け方にはいくつかの型があり、型によって求められる準備がまったく違います。
この記事では、在宅の校正者になるための道を、仕事の中身、働き方の種類、必要な技能と学び方、仕事の探し方、報酬の決まり方の順に整理します。結論を先に書くと、未経験から在宅の校正者になる近道は、校正記号と基本の作業手順を学んだうえで、研修のある在宅の雇用の募集か、校正会社のトライアルから入ることです。いきなり個人で仕事を受けようとするより、最初の1年は「型」を身につける期間と考えたほうが、結果として早く自立できます。
校正者の仕事とは。校正と校閲の違い
校正とは、原稿と、印刷や公開の前の刷り(ゲラ)を見比べて、文字の誤りや抜け、表記のゆれ、体裁の崩れを見つけて直しを指示する仕事です。ゲラとは、印刷する前に内容を確かめるために出力した試し刷りのことです。誤字や脱字、送り仮名の不統一、行の頭に来てはいけない記号、図表の番号のずれなどを1つずつ拾っていきます。
校閲は内容の正しさを確かめる
よく一緒に語られる校閲は、文章の中身の正しさを確かめる仕事です。人名や地名、年号、数字、引用の出典が事実と合っているか、前後の文脈で矛盾がないかを調べます。校正が「書かれた文字が原稿どおりか」を見るのに対し、校閲は「書かれた内容が正しいか」を見る、と分けて考えると分かりやすくなります。
実際の現場では、両方を同じ人が担うことも多く、求人でも「校正・校閲」と並べて書かれることがほとんどです。ただ、未経験から入る場合は、まず校正の型を身につけ、そのうえで校閲の調べ方を広げていくのが一般的な順番です。
在宅でできる校正の種類
在宅の校正で扱う原稿は、書籍や雑誌だけではありません。企業のパンフレットや商品のカタログ、Webサイトの記事、マニュアル、試験問題や教材、広告のコピーなど、文字があるところには必ず校正の仕事があります。最近はゲラがPDFで届き、PDFに注釈を入れて返す形の仕事が増えたことで、在宅で受けられる範囲が広がりました。
一方で、紙のゲラに赤字を入れる「紙校正」も残っています。紙の場合は、ゲラが宅配便で届き、赤字を入れて送り返す形になります。在宅の仕事を探すときは、PDFで完結する仕事か、紙のやり取りがある仕事かを確かめておくと、作業の準備がしやすくなります。
在宅で校正の仕事を受ける3つの働き方
在宅の校正者の働き方は、大きく3つに分かれます。同じ「在宅の校正」でも、収入の安定の仕方や必要な準備がまったく違うので、まず自分がどの型を目指すのかを決めておきます。
型1:会社に雇われて在宅で働く
1つ目は、校正会社や出版社、制作会社に雇われ、在宅勤務で校正をする働き方です。正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなどの形があり、給与は時給や月給で支払われます。雇われて働くので、最低賃金や労働時間の決まりが適用され、条件によっては社会保険にも加入します。
この型の利点は、収入が安定し、先輩の校正者から指導を受けられることです。未経験歓迎の募集では、最初の数か月は出社して研修を受け、慣れてから在宅に移る形もよく見られます。求人サイトでは、次のような募集が出ています。
新着契約社員校閲スタッフ 完全在宅/12月入社募集!/未経験入社100%&研修2ヶ月エン株式会社(旧:エン・ジャパン株式会社)(東証プライム上場) 出典: jp.stanby.com
このように、研修の期間を明記した在宅の募集は、未経験から入る人にとって有力な入口です。研修中の働き方(出社か在宅か)、研修後の勤務時間、使うパソコンを会社が貸してくれるかどうかを、応募の前に必ず確かめます。
型2:校正会社や編集プロダクションから業務委託で受ける
2つ目は、校正会社や編集プロダクションに登録し、仕事ごとに業務委託で受ける働き方です。報酬は1ページあたり、1文字あたり、1件あたりなどで決まり、仕事の量は時期によって変わります。登録の際には、実技のトライアルを受けて合格する必要があることが一般的です。
業務委託は、自分の都合で仕事を選べる自由がある反面、最低賃金や労働時間の決まりは適用されず、収入の波も自分で受け止めることになります。厚生労働省は、こうした在宅で仕事を請け負う働き方を「自営型テレワーク」と呼び、注文する側が守るべきことをガイドラインで示しています(厚生労働省 自営型テレワークのページ)。契約の条件を書面で示してもらう、報酬の支払い期日を決める、といった基本は、このガイドラインに沿って確かめられます。
型3:クラウドソーシングや直接取引で受ける
3つ目は、クラウドソーシングで単発の仕事を受けたり、企業や個人と直接取引したりする働き方です。Webの記事やブログ、資料の校正など、比較的短い原稿の仕事が多く見られます。実績を積めば、同じ依頼者から続けて頼まれることもあります。
この型は始めやすい一方、仕事の質の基準が依頼者ごとにばらばらで、何をどこまで直すかを自分で確かめる必要があります。「誤字だけ直してほしい」のか「読みやすく整えてほしい」のかで、作業の範囲と時間が大きく変わります。最初に確認せずに進めると、直しすぎて依頼者の意図とずれることもあるので、作業の範囲を言葉で取り決めてから始めます。
校正者に求められる技能
校正の仕事は、「文章を読むのが好き」だけでは務まりません。読むことと校正することは、目の使い方がまったく違うからです。
読まずに見る力
ふだん文章を読むときは、意味を追いかけて読み進めます。ところが校正では、意味を追うと目が先に進み、1文字の誤りを見落とします。校正者は、意味を追いかける読み方と、文字を1つずつ見る見方を切り替えながら作業します。
デザインの世界に「余白は音楽でいう休符」という言い方があります。校正も同じで、文字そのものだけでなく、文字と文字のあいだ、行と行のあいだに目を向けると、抜けている字や余計な空白に気づきやすくなります。この見方は才能ではなく、手順として練習すれば身につく技能です。
校正記号を正しく使う力
校正記号とは、直してほしい箇所と直し方を、誰が見ても同じ意味に読めるように決めた記号のことです。日本産業規格(JIS Z 8208)で印刷校正記号が定められていて、出版や印刷の現場ではこの記号で指示を入れるのが基本です。文字の入れ替え、削除、挿入、改行、行をつなぐ、書体を変える、といった指示にそれぞれ決まった書き方があります。
在宅でPDFに注釈を入れる仕事でも、注釈の書き方は校正記号の考え方に沿っていることが多く、記号を知らないと指示が伝わりにくくなります。最初の練習は、記号を覚えることから始めます。
表記のルールを調べる力
同じ言葉でも、「行う」と「行なう」、「子供」と「子ども」のように、表記が複数あるものがたくさんあります。校正者は、媒体ごとに決められた表記の決まり(表記ルール)に沿って、どちらに統一するかを指示します。表記の決まりは、出版社や新聞社ごとに独自のものがあり、仕事の最初に依頼元から渡されることが多いです。
表記の決まりがないときは、国語辞典や用字用語辞典で確かめ、根拠を示して指摘します。「なんとなくこちらが正しい気がする」で直すのではなく、調べた結果を示せることが、校正者の信頼につながります。
校正技能検定と、学び方の選択肢
校正の技能を客観的に示す手段として知られているのが校正技能検定です。実施している日本エディタースクールは、検定について次のように説明しています。
校正技能検定は,1966年より日本エディタースクールが主催・実施する,「校正」の技能を認定する唯一の検定試験です.実務未経験では入りづらい出版界への足がかりとして,また,身につけた技能をアピールしてさらなるキャリアアップをはかるために,ご活用いただいています. 出典: editor.co.jp
級の分かれ方と受験の条件
検定は初級、中級、上級の3つに分かれています。初級は日本エディタースクールで指定の科目を修得した人を認定する形で、中級と上級は統一の試験で認定します。中級は年2回(夏と冬)、上級は年1回(春)で、上級は中級の合格者だけが受験できます。
中級の受験資格は、同スクールの所定の校正講座の修了者、各種教育機関で校正の実技訓練を受けた人や校正の実務経験者などとされています。つまり、まったくの独学でいきなり受ける試験ではなく、講座で学ぶか実務を経験してから挑む試験です。2026年12月13日に行われる第177回の中級の受験料は8,800円(税込)と案内されています。
公開されている実施状況を見ると、2025年12月の第174回中級は受験者164人に対して合格者67人でした。半数以上が不合格になる試験であり、合格は技能の裏づけとして一定の重みを持ちます。
学び方は3つ
校正を学ぶ方法は、通学の講座、通信講座、独学の3つです。通学の講座は、講師から直接赤字の入れ方を見てもらえる利点があります。通信講座は、在宅で働きたい人にとって時間の都合をつけやすく、課題の添削を通じて自分の癖を知ることができます。
独学の場合は、校正の入門書と練習問題集で記号と手順を学び、新聞や雑誌の文章を使って練習を重ねます。ただし、自分で答え合わせをするだけだと、見落としの癖に気づきにくいのが難点です。独学から始めて、ある程度慣れたら添削のある講座を短期間だけ受ける、という組み合わせも現実的です。
未経験から在宅の校正者になる道
ここまでの内容をふまえて、未経験から在宅の校正者になるまでの道を順番に並べます。デザインと同じで、校正も才能ではなくスキルです。手順を踏めば、誰でも一定の水準まで届きます。
ステップ1:記号と手順を学ぶ(1〜3か月)
最初の数か月は、校正記号と作業の手順を学ぶ期間にあてます。入門書を1冊通して読み、練習問題で記号を手が覚えるまで書きます。この段階では、速さより正確さを優先します。
ステップ2:入口を選んで応募する
学んだら、型1の研修付きの在宅の雇用か、型2の校正会社のトライアルに応募します。応募書類では、学んだ内容と練習量を具体的に書きます。「校正の入門書で記号を学び、練習問題集を2冊解いた」「通信講座を修了した」など、何をしてきたかが伝わるように書くと、未経験でも評価されやすくなります。
文章の書き方に関わる資格を持っていると、文書を扱う基礎があることを示す材料になります。ビジネス文書検定は、社外文書や社内文書の書き方、敬語、表記の基本を問う検定で、企業の文書を扱う校正の仕事では、受験で学んだ内容がそのまま役立ちます。
ステップ3:最初の1年は型を身につける
仕事を始めたら、最初の1年は、依頼元の表記の決まりと作業の流れを覚えることに集中します。指摘の仕方や問い合わせの出し方は、依頼元ごとに好みがあります。迷ったら自分で決めずに確認する姿勢が、最初の信頼を作ります。
現場でよく聞く失敗から言えること
デザインの仕事で納品したバナーの文言に誤字があり、クライアントから指摘を受ける、という失敗は珍しくありません。何度も見たはずの文字なのに、見慣れた言葉ほど目が滑るのです。こうした失敗のあと、納品前の確認だけは画面を拡大し、1文字ずつ指で追う手順に変える人は多くいます。校正の技能は、校正者だけでなく、文字を扱うすべての仕事の土台になります。
在宅の校正の仕事の探し方
在宅の校正の仕事は、探す場所によって出てくる仕事の種類が違います。複数の窓口を並行して見ていくのが基本です。
求人サイトで在宅の雇用を探す
雇用の形で探すなら、求人サイトで「校正」「校閲」と「在宅」「リモート」を組み合わせて検索します。求人サイトでは、勤務条件の特徴として次のような情報が並びます。
【PR・職場情報など】昇給あり,交通費支給,学歴不問,平日のみOK,社会保険完備,在宅OK... 出典: 求人ボックス
同じ募集の中には、在宅勤務手当を毎月支給すると書かれたものもあります。在宅勤務手当や社会保険の有無は、雇用の形で働く場合の大事な比較点です。同じ「在宅OK」でも、完全在宅なのか、週に何日かの出社があるのかは募集ごとに違います。応募の前に、出社の頻度と、出社する場所を確かめておきます。
校正会社や編集プロダクションに直接登録する
業務委託で受けたい場合は、校正を専門にする会社や編集プロダクションのサイトで、外部スタッフの募集を探します。募集が常に出ているとは限らないので、気になる会社はこまめにサイトを確認します。登録にはトライアルがあることが多く、合格すると仕事の連絡が来るようになります。
クラウドソーシングで実績を作る
クラウドソーシングでは、Webの記事や資料の校正の案件が見つかります。最初は短い原稿で評価を積み、評価が増えてから単価の高い仕事に応募するのが基本です。依頼者とのやり取りでは、直す範囲と納期、修正の回数を最初に確認します。
報酬の決まり方と相場の見方
在宅の校正者の報酬は、働き方の型によって決まり方が違います。
雇用の場合は時給か月給
雇用の形では、時給や月給で給与が支払われます。2026年10月7日に求人検索サイトで「校正 在宅 未経験」を条件に探したところ、時給1,600円台から1,800円程度の募集や、月給24万円台からの募集が並んでいました。地域や仕事の中身によって幅があるので、あくまで目安です。雇用の場合は、勤務地となる事業所の地域の最低賃金を下回ることはありません。
業務委託の場合はページ単価や文字単価
業務委託では、1ページあたりや1文字あたりの単価で報酬が決まることが多く、原稿の難しさ(専門用語の多さ、図表の量)や、校正だけか校閲も含むかで単価が変わります。単価だけを見ずに、1ページにかかる時間を測って時給に直してみると、受ける価値があるかを判断しやすくなります。
文章を扱う仕事全体の年収や単価の水準を知りたい場合は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、編集や校正を含む文章の仕事の年収と単価の目安を確認できます。業務委託の単価を考えるときの物差しになります。
業務委託で受ける前に確かめる条件
業務委託の仕事を受けるときは、単価のほかに、次の点を書面やメールで確かめておくと、あとで行き違いが起きにくくなります。1つ目は、作業の範囲です。校正だけか、校閲や事実確認も含むかで、同じページ数でも作業時間がまったく違います。2つ目は、再校の扱いです。再校とは、初校の赤字を反映したゲラをもう一度確かめる作業のことで、別料金になるのか、初校の報酬に含まれるのかを確かめます。3つ目は、支払いの時期と方法です。月末締めの翌月末払いなど、いつ報酬が入るのかを把握しておかないと、生活の資金計画が立てられません。4つ目は、原稿の受け渡しの方法と、作業後のデータの扱いです。
こうした条件を最初に確かめておくことは、依頼元を疑うことではなく、お互いに安心して仕事を続けるための準備です。
税金の扱い
雇用の給与は会社が源泉徴収と年末調整を行いますが、業務委託の報酬は自分で確定申告が必要になる場合があります。会社員の副業として受ける場合、給与以外の所得が年20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告が必要になることがあるので、住んでいる市区町村で確かめます。
在宅で校正を続けるための道具と作業の進め方
在宅の校正は、作業環境で仕上がりが変わります。最低限そろえたいものと、作業の進め方を紹介します。
そろえておきたい道具
PDFの校正が中心なら、注釈を入れられるPDF閲覧ソフトと、画面の大きなモニターがあると作業がはかどります。ゲラを1ページまるごと表示して見られる大きさがあると、行の頭や段落の体裁の崩れに気づきやすくなります。紙の校正を受けるなら、赤ペン、定規、付箋、ルーペがあると便利です。
辞書は、国語辞典と用字用語辞典を手元に用意します。オンラインの辞書も便利ですが、版によって表記が違うこともあるので、依頼元が指定する辞書があればそれに合わせます。
作業は複数回に分けて見る
校正は、1回で全部を見つけようとすると見落としが増えます。1回目は原稿と突き合わせて文字の誤りを見る、2回目は表記の統一を見る、3回目は体裁(見出しの番号、図表の番号、ページ番号)を見る、というように、見る観点を分けて複数回に分けて進めるのが基本です。
集中力が途切れると見落としが増えるので、1時間ごとに短い休憩をはさみます。在宅では時間の区切りを自分で作る必要があるので、作業時間と休憩の時間をあらかじめ決めておくと、品質が安定します。
守秘と情報の扱い
校正で扱う原稿の多くは、公開前の情報です。発売前の書籍や、発表前の企業の資料が含まれることもあります。家族と共用しないパソコンで作業し、原稿を仕事以外の目的で使わず、作業が終わったら依頼元の指示に従ってデータを削除します。紙のゲラは、家族の目に触れない場所で保管し、返却まで責任を持って管理します。
トライアルの受け方と、合格に近づく準備
業務委託で校正会社や編集プロダクションに登録するときは、ほとんどの場合、実技のトライアルがあります。トライアルとは、実際の仕事に近い原稿を校正してもらい、その結果で登録するかどうかを決める試験のことです。在宅で受け取り、期限までに返送する形が多く見られます。
トライアルで見られていること
トライアルで見られるのは、誤りをいくつ見つけたかだけではありません。校正記号を正しく使っているか、指示が読み手に一目で伝わるか、直してはいけない箇所まで直していないか、疑問を出す場面で出しているか、といった仕事の進め方そのものが評価されます。誤りを見つけた数が多くても、原稿にない言い回しへの書き換えを勝手に入れていると、評価は下がります。
校正者の仕事は、文章を良くすることではなく、原稿と決まりに照らして誤りを正すことです。自分の好みで文章を整えたくなっても、指示された範囲を超えないことが、トライアルでも実際の仕事でも大事な姿勢です。
受ける前にしておくこと
トライアルを受ける前に、練習問題で時間を計って解く習慣をつけておきます。実際の仕事では納期があるので、決められた時間でどこまで正確に見られるかが問われます。
また、届いた原稿に添えられた指示書は、作業の前に必ず読み込みます。指示書には、表記の決まり、見る範囲、疑問の出し方などが書かれています。指示書を読み飛ばして自己流で進めるのは、トライアルで最も多い失敗の1つです。
不合格でもあきらめない
トライアルに一度落ちても、学び直して別の会社に応募する人は多くいます。結果に講評がついていれば、どこが足りなかったかを書き出し、次の練習の課題にします。講評がない場合でも、自分で見落としやすかった種類(送り仮名、数字、記号など)を振り返り、重点的に練習します。
在宅で校正をする1日の流れ
在宅の校正者がどのように1日を過ごしているかを知っておくと、自分の生活に組み込めるかを判断しやすくなります。ここでは、業務委託で複数の依頼元から仕事を受けている場合を例にします。
朝は仕事の受け取りと段取り
朝はまず、依頼元からの連絡を確かめます。新しい原稿が届いていれば、指示書と納期を確かめ、その日に進める順番を決めます。納期の近いもの、分量の多いものから手をつけるのが基本です。
集中力の高い時間に初校を進める
午前中など、自分が最も集中できる時間帯に、原稿と突き合わせる作業を進めます。初校とは、最初に出てきたゲラを校正することで、誤りの数が最も多く、集中力が必要な段階です。家事や家族の予定と重ならない時間帯を、あらかじめ作業の時間として確保しておきます。
午後は見直しと疑問出し
午後は、表記の統一や体裁の確認など、観点を変えた見直しにあてます。調べても判断できない箇所は、依頼元への疑問としてまとめます。疑問とは、校正者だけでは決められない箇所を、編集者や著者に判断してもらうための問いかけのことです。
夕方に返送と記録
作業を終えたら、返送の前に赤字の漏れがないかを確かめ、依頼元に返します。返送したら、その仕事にかかった時間と、気づいた点を記録しておきます。時間の記録は、次の見積もりや単価の判断に使えます。
このように、在宅の校正は、集中する時間と見直す時間を分けて組み立てると、品質と生活の両方を保ちやすくなります。子育てや介護と両立している人も、作業の時間帯を固定することで、無理なく続けています。
在宅の校正に向いている人、つまずきやすい人
校正は、特別な才能が要る仕事ではありません。ただ、在宅で続けるうえで向き不向きが出やすい点はあります。始める前に、自分に当てはまるかを確かめておきます。
向いている人
細かい違いに気づくのが苦にならない人は、校正に向いています。「同じ言葉なのに、こちらはひらがな、あちらは漢字になっている」といった違いに自然と目が行く人は、その感覚を技能として伸ばせます。
決まりに沿って作業を進めるのが好きな人も向いています。校正では、自分の好みより、依頼元の表記の決まりや校正記号の約束が優先されます。決められた手順を守ることに安心感を持てる人は、品質が安定しやすくなります。
調べることが好きな人は、校閲の分野まで広げやすくなります。人名や年号、統計の数字の出典をたどる作業を楽しめる人は、校正から校閲へと仕事の幅を広げていけます。
つまずきやすい人
一方で、文章を自分好みに直したくなる人は、最初につまずきやすい傾向があります。校正者の役割は誤りを正すことで、文章を書き換えることではありません。言い回しを変えたほうが読みやすいと感じても、指示された範囲を超えて直すと、かえって依頼元の手間を増やします。
また、在宅では時間の区切りを自分で作る必要があるため、作業時間が延びがちな人は、見落としが増えたり生活のリズムが崩れたりします。タイマーで作業と休憩を区切る、作業する場所を決めておく、といった工夫で補えます。
向き不向きは、実際に練習問題を解いてみると見えてきます。デザインと同じく、最初からうまくできる人は少数です。練習を重ねて手順が体に入ると、見落としは確実に減っていきます。
依頼元とのやり取りで信頼を得るコツ
校正の仕事は、赤字を入れるだけで終わりません。依頼元の編集者や担当者とのやり取りが、仕事の評価を大きく左右します。デザインの仕事でクライアントとのやり取りが成果物と同じくらい大事なのと同じで、校正でも伝え方が仕事の一部です。
疑問は根拠をつけて簡潔に出す
疑問を出すときは、どこが、なぜ気になるのかを、根拠と一緒に短く書きます。たとえば「12ページ3行目の年号、前の章では2019年となっています。どちらに合わせますか」のように、確かめた事実と、判断してほしい点を分けて書くと、相手は迷わず答えられます。
「この表現は分かりにくい気がします」のような感想だけの疑問は、相手を困らせます。疑問を出すときは、具体的な箇所と、考えられる直し方を添えます。
返事が早いことも技能の1つ
在宅の仕事では、相手から顔が見えない分を、連絡の早さと正確さで補う必要があります。依頼の連絡にはできるだけ早く返事をし、受けられない場合もはっきり伝えます。納期に間に合わない見込みが出たら、早めに相談します。遅れることそのものより、黙って遅れることのほうが信頼を損ねます。
修正の範囲を最初に確かめる
特にクラウドソーシングや直接取引では、どこまで直すかの認識が依頼者とずれやすくなります。誤字脱字だけを直すのか、表記の統一もするのか、事実の確認まで含むのかを、作業の前に確かめます。範囲が広がる場合は、その分の作業時間と報酬についても話し合っておきます。
長く続く校正者が積み重ねていること
在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、在宅で長く続く校正者に共通するのは、見つけた誤りの数より、「この人の赤字は迷わず反映できる」という信頼を積み重ねていることです。指摘の根拠が明確で、問い合わせが簡潔で、納期に遅れない。この3つがそろうと、依頼元は同じ校正者に続けて頼むようになります。
業務委託で受ける場合、間に入る会社が多いほど、同じ原稿でも校正者の手取りは薄くなります。依頼元と直接つながれば、依頼元は同じ予算でより多くのページを頼め、校正者は手取りが厚くなります。最初は会社のトライアルや研修付きの雇用で型を身につけ、信頼できる取引先ができたら直接の取引を増やしていく。この順番は、校正に限らず在宅の仕事全体で見られる成長の道筋です。
校正の技能は、文章の仕事全体に広げられます。校正の経験を生かしてWebの記事の編集やライティングの仕事に広げる人もいます。文章の仕事で単価を上げていく考え方は、Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップに、実績の積み方と単価交渉の順番として整理されています。
校正者の収入を長い目で考えるなら、文章の仕事に就く人の年収の分布も一度見ておくと、自分の目標を立てやすくなります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、編集や校正を含む仕事の収入の幅を確かめてから、どの型でどこまで伸ばすかを決めていくと、遠回りをせずに済みます。
よくある質問
Q. 校正の仕事は未経験でも在宅で始められますか?
始められます。ただし、まったく準備なしで在宅の仕事を受けるのは難しいため、校正記号と作業の手順を入門書や講座で学んでから応募するのが近道です。未経験歓迎の在宅の募集には、最初の数か月に研修を設けているものもあります。研修中の働き方と、研修後の在宅勤務の条件を応募前に確かめます。
Q. 校正技能検定を持っていないと仕事は受けられませんか?
持っていなくても受けられる仕事はあります。多くの校正会社は、資格よりも実技のトライアルの結果で判断します。ただ、校正技能検定の中級は合格者が半数に満たない試験で、合格すれば技能の裏づけになります。講座で学んだ人や実務の経験がある人が受験できるので、経験を積みながら目指すのが現実的です。
Q. 校正と校閲はどちらから始めるのがよいですか?
未経験なら校正から始めるのが一般的です。校正は原稿とゲラを見比べて文字の誤りや体裁の崩れを見つける仕事で、手順を学べば身につけやすい技能です。校閲は人名や年号、数字などの事実が正しいかを調べる仕事で、調べ方の経験が必要になります。校正の型を身につけてから校閲に広げると無理がありません。
Q. 在宅の校正で必要なパソコンの環境は何ですか?
PDFの校正が中心なら、注釈を入れられるPDF閲覧ソフトと、ゲラを1ページまるごと表示できる大きめのモニターがあると作業しやすくなります。原稿は公開前の情報なので、家族と共用しないパソコンで作業することが望ましいです。雇用の募集では会社がパソコンを貸与する場合もあるので、応募前に確かめます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
小林 真帆@SOHO編集部
元SE→フリーランスWebマーケター
SIerで5年間SEとして勤務した後、Webマーケティングに転身。Google広告認定資格・ウェブ解析士を取得し、現在はフリーランスとして中小企業のデジタルマーケティングを支援しています。
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