フリーランスが国民健康保険の減免を受けられる場合と申し出る窓口 2026

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フリーランスが国民健康保険の減免を受けられる場合と申し出る窓口 2026

この記事のポイント

  • ✓フリーランスの国民健康保険料が払えないとき
  • ✓減免や軽減を受けられるのはどんな場合か
  • ✓申請なしで下がる7割・5割・2割の軽減

フリーランスになって国民健康保険の保険料の通知を見たとき、思っていたより高くて驚いた人は多いはずです。とくに、去年は売上が良かったのに今年は仕事が減った、という年は、保険料の重さが一気にのしかかります。

結論から書きます。フリーランスの国民健康保険料には、所得が低い世帯の保険料を自動で下げる「軽減」と、病気や廃業、災害などで収入が急に減ったときに申し出て下げてもらう「減免」の2種類があります。軽減は前年の所得の申告さえしていれば申請なしで適用され、減免は住んでいる市区町村の国民健康保険の窓口に相談して申請します。ただし、減免の基準は市区町村ごとに条例で決まっているため、同じ事情でも住む場所で結果が変わります。この記事では、保険料の決まり方から、軽減と減免の種類、申し出る窓口と持ち物、減免が受けられないときの手立てまでを順に整理します。

国民健康保険料はどう決まるのか

減免の話に入る前に、保険料がどう計算されているかを押さえておきましょう。ここが分かると、なぜ「去年の所得」で今年の保険料が決まるのか、どこを下げられるのかが見えてきます。

厚生労働省は、保険料の仕組みを次のように説明しています。

国民健康保険料(税)は、世帯単位で算定し、世帯の被保険者ごとに応益分・応能分の各種類を計算し、それらを合計したものとなります。 出典: 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」

つまり、保険料は2つの部分の合計です。

  • 応益分: 加入している人の数に応じて決まる部分。所得に関係なく1人あたりいくら、とかかる「均等割」と、世帯ごとにかかる「平等割」があります(平等割を置かない自治体もあります)
  • 応能分: 所得に応じて決まる部分。前年の所得から一定額を差し引いた額に、料率を掛けて計算する「所得割」です

具体例として、東京都足立区の令和8年度の保険料を見てみます。足立区の案内によると、医療分は所得割7.51%と1人あたり47,600円の均等割、後期高齢者支援金分は所得割2.80%と17,600円、40歳から64歳の人にかかる介護分は所得割2.43%と17,800円です。所得割の計算のもとになる額は、前年の所得から43万円を差し引いた額です。料率や均等割の額は市区町村ごとに違うので、自分の住む市区町村の案内で確かめてください。

令和8年度から加わった「子ども・子育て支援金分」

令和8年度から、国民健康保険料に「子ども・子育て支援金分」という区分が加わりました。足立区の場合、所得割0.27%、均等割1,800円に、18歳以上の人に73円が加わる形です。足立区は、この支援金分は子どもがいない世帯にもかかる保険料の区分の1つだと説明しています。令和7年度と比べて保険料が上がったと感じる人は、この区分が加わったことも理由の1つです。

「前年の所得」で決まることの重さ

所得割は前年の所得で計算されるため、フリーランスにとっては「売上が落ちた年に、良かった年の所得で計算された保険料を払う」というずれが起こります。たとえば、去年は大きな案件が続いて所得が高かったのに、今年は取引先の倒産で仕事が半分に減った、という場合でも、今年度の保険料は去年の所得のまま計算されます。このずれを埋めるために用意されているのが、次の節から説明する減免の仕組みです。

年度の途中で国民健康保険に加入した場合は、加入した月からの分だけを払います。足立区の案内では、年間の保険料に、加入した月数を12か月で割った割合を掛けて計算するとしています。たとえば10月に会社を辞めて加入した人は、その年度の残り6か月分を払う形です。ただし、計算のもとになるのは会社員だった前年の給与所得なので、独立したばかりで売上が立っていない時期に、会社員時代の所得で計算された保険料が届くことになります。独立した最初の年度こそ、軽減や減免の対象にならないかを確かめておく価値があります。

「軽減」と「減免」は別の制度

国民健康保険料を下げる仕組みは、大きく「軽減」と「減免」に分かれます。似た言葉ですが、根拠も手続きもまったく違います。これ、知らない人が本当に多いんです。

区分 根拠 手続き 主な中身
軽減 法令で全国共通に定められている 多くは申請不要(所得の申告は必要) 低所得世帯の均等割の7割・5割・2割軽減、未就学児の均等割の5割軽減、会社都合で辞めた人の軽減、産前産後の免除など
減免 国民健康保険法第77条にもとづき、市区町村の条例で定める 申請が必要 災害、廃業、失業、病気などで収入が大きく減ったときの減額や免除

減免の根拠になっている国民健康保険法の条文は、次のとおりです。

市町村及び組合は、条例又は規約の定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。 出典: e-Gov法令検索(国民健康保険法第77条)

つまり、減免は「市区町村が条例で決めた範囲で、特別な事情のある人に認める」ものです。どんな事情なら認めるか、どのくらい減らすかは、市区町村ごとに違います。インターネットの記事で「収入が3割減れば減免される」と書かれていても、それはある自治体の例にすぎないことがあります。必ず自分の住む市区町村の基準を確かめましょう。

申請なしで下がる軽減の種類

まずは、条件に当てはまれば自動で適用される軽減から見ていきます。フリーランスが見落としやすいのは、「申請は不要だが、所得の申告は必要」という点です。

低所得世帯の均等割の軽減(7割・5割・2割)

世帯の前年の所得が一定の基準を下回ると、均等割(と平等割)が7割、5割、2割のいずれかで減額されます。足立区の令和8年度の案内では、基準は次のとおりです。

軽減割合 世帯の所得の基準
7割 43万円+10万円×(給与所得者等の数-1)以下
5割 43万円+31万円×被保険者数+10万円×(給与所得者等の数-1)以下
2割 43万円+57万円×被保険者数+10万円×(給与所得者等の数-1)以下

給与所得者等の数とは、一定の給与収入や公的年金を受けている人の数のことです。単身のフリーランスで給与収入がなければ、10万円の部分は加わりません。たとえば単身で前年の所得が43万円以下なら7割、74万円以下なら5割、100万円以下なら2割の軽減の対象になる計算です。

ここで大事なのが、所得の申告です。足立区は、世帯全員(国民健康保険に入っていない人も含む)の前年の所得の申告が必要で、収入がなかった人も「なかった」と申告しないと軽減されない、と明記しています。売上が少なくて確定申告をしなかった年は、住民税の申告をしておかないと、本来受けられる軽減を逃してしまいます。

未就学児の均等割の軽減

小学校に入る前の子どもの均等割は、5割が軽減されます。7割・5割・2割の軽減を受けている世帯では、軽減後の均等割からさらに5割が減額されます。申請は不要です。

18歳未満の子ども・子育て支援金分の軽減

令和8年度に加わった子ども・子育て支援金分のうち、18歳になって最初の3月31日までの人の均等割は、全額(10割)が軽減されます。こちらも申請は不要です。

産前産後の期間の免除

出産する人の、産前産後の期間の保険料(所得割と均等割)が免除されます。足立区の案内では、単胎の妊娠なら出産する月の前月から4か月分、多胎の妊娠なら出産する月の3か月前から6か月分が対象で、妊娠85日以上の出産であれば、早産、流産、死産の場合も含まれます。

この免除は、届け出が必要です。足立区では出産予定日の6か月前から届け出ができ、母子健康手帳など、妊娠と出産の事実が分かる書類を添えて提出します。会社員なら勤め先が手続きをしてくれる場面ですが、フリーランスは自分で届け出なければ適用されません。

収入が急に減ったときの減免

ここからが、申請して認めてもらう減免です。フリーランスが最も関わる可能性が高いのは、仕事の減少や病気で収入が大きく落ちたときの減免です。

足立区の例

足立区は、生活が一時的に苦しくなったときの減免の事由として、次の5つを挙げています。

  • 震災、風水害、火災などの災害で、資産が重大な損害を受けたとき
  • 事業や業務の休止や廃止、失業などで、収入が著しく減ったとき
  • 死亡や病気などで、収入が著しく減ったとき
  • 事業や業務に重大な損害を受けたとき
  • 上記に類する事由があったとき

そのうえで、預貯金や保険金などの資産を使っても保険料が納められない場合に、申請によって減額や免除になる場合がある、としています。減免の期間は申請した月以降の納期の分から3か月分で、状況によってはさらに3か月分、最長で合計6か月分です。納期限を過ぎた分は減免できない、とされています。

押さえておきたい3つの点

1つ目は、「収入が減った」だけでは足りないことが多い点です。多くの自治体では、預貯金などの資産の状況も含めて、本当に納めることが難しいかを見ます。足立区では、生計を同じくしている人全員の資産の状況が分かる書類(預金通帳、ネット口座の取引履歴、給与明細、賃貸借契約書など)の提出を求めています。

2つ目は、過ぎた納期の分はさかのぼって減免されにくい点です。困ったと気づいた時点で、すぐに窓口に相談することが何より大事です。払えないまま放置して、何か月も経ってから相談しても、すでに納期を過ぎた分は対象外になってしまうことがあります。

3つ目は、自治体によって基準がまったく違う点です。前年と比べた所得の減少率で判断する自治体、生活保護の基準と比べる自治体、面談で個別に判断する自治体などがあります。

フリーランスによくある場面

たとえば、長く取引していた取引先が倒産し、未払いのまま売上の大半を失った、という相談は珍しくありません。この場合、国民健康保険料の減免と同時に、未払いの報酬を回収する手立ても考える必要があります。報酬の回収の流れや費用は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で整理しています。回収の見込みが立たない間は、減免の相談を先に進めておくと、保険料の滞納が積み上がるのを防げます。

会社を辞めてフリーランスになった人の軽減

会社員を辞めてフリーランスになった人は、辞め方によって大きな軽減を受けられることがあります。それが「非自発的失業者の軽減」です。

どんな制度か

倒産や解雇、雇い止めなどで会社を辞めた人が、在職中と同じくらいの負担で国民健康保険に入れるようにする制度です。足立区の案内によると、保険料を計算するときに、前年の給与所得を100分の30とみなして計算します。給与所得が300万円だった人なら、90万円として計算される、ということです。

対象になる人

足立区の案内では、次のすべてに当てはまる人が対象です。

  • 離職した日に65歳未満である
  • 雇用保険の特定受給資格者(倒産や解雇などで離職した人)、または特定理由離職者(雇い止めなどで離職した人)である

どちらに当たるかは、ハローワークで受け取る雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)の「離職理由」の欄の番号で判断されます。たとえば、解雇は11、正当な理由のある自己都合退職は33、といった番号です。単なる自己都合で辞めた場合は、原則として対象になりません。

期間と手続き

軽減の期間は、離職した日の翌日から、その翌年度の末までです。足立区の例では、令和8年6月30日に離職した人は、令和8年7月から令和10年3月までの保険料が軽減されます。途中で就職しても、国民健康保険に加入している間は続き、国民健康保険を抜けると終わります。

手続きには、雇用保険受給資格者証か受給資格通知の写しが必要で、足立区では離職票では受け付けないとしています。会社を辞めてすぐに独立する人は、雇用保険の手続きをせずに開業してしまい、この軽減を受け損ねることがあります。辞め方が会社都合に近い場合は、独立の前にハローワークで受給資格の手続きを済ませ、書類を受け取っておくと、国民健康保険の窓口で軽減を申し出ることができます。

任意継続との比べ方

会社を辞めたときは、国民健康保険に入る以外に、それまでの健康保険を最長2年間続ける「任意継続」を選ぶ道もあります。全国健康保険協会(協会けんぽ)の案内では、退職日までに継続して2か月以上加入していたこと、退職日の翌日から20日以内に手続きすることが条件です。詳しくは協会けんぽの任意継続のページで確かめられます。

非自発的失業者の軽減を受けられる人は、国民健康保険のほうが安くなることが多い一方、扶養している家族がいる人は、家族の分の保険料がかからない任意継続のほうが有利な場合もあります。両方の保険料を市区町村と協会けんぽ(または加入していた健康保険組合)に問い合わせて、金額で比べるのが確実です。

申し出る窓口と、相談の前にそろえるもの

窓口はどこか

国民健康保険の軽減や減免を相談する窓口は、住んでいる市区町村の国民健康保険を担当する課です。厚生労働省も、保険料の算定方法などの問い合わせは、市町村国保ならお住まいの市町村の国民健康保険の窓口へ、と案内しています。業種ごとの国民健康保険組合に加入している人は、その組合が窓口です。

減免や納付猶予について、厚生労働省は次のように書いています。

災害、その他特別の事情により国民健康保険料(税)を納めることが困難な場合、国民健康保険料(税)の減免や納付猶予を受けられる場合があります。 出典: 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」

自治体によっては、区民事務所や出張所では受け付けず、本庁舎の担当課だけで受け付けるところもあります。また、減免の申請の前に面談を行う自治体もあるので、いきなり窓口に行くのではなく、まず電話で相談の予約や必要書類を確かめましょう。

そろえておくと話が早いもの

書類 何を示すためか
保険料の決定通知書 現在の保険料と納期
前年と今年の売上や所得が分かる資料(確定申告書の控え、帳簿、請求書の控えなど) 収入がどれだけ減ったか
預金通帳やネット口座の取引履歴 資産の状況
取引先の倒産の通知、契約の終了の連絡など 収入が減った理由
医師の診断書や入院の記録 病気で働けない事情
雇用保険受給資格者証(会社を辞めた人) 非自発的失業者の軽減の対象か
本人確認書類 申請者の確認

フリーランスの場合、収入の減少を示す資料を自分で用意する必要があります。月ごとの売上を表にまとめ、前年の同じ時期と比べられるようにしておくと、窓口での説明がぐっと伝わりやすくなります。

減免が受けられないときの手立て

減免の基準に当てはまらなかった場合でも、打てる手はあります。払えないまま放置することだけは避けましょう。

分割での納付や納付の猶予を相談する

減免が認められなくても、納付の時期を分けたり、一時的に待ってもらったりする相談ができる場合があります。足立区でも、減免の申請ではなく納付相談をしたい人の窓口を別に案内しています。保険料を滞納すると、督促や延滞金の対象になり、さらに続くと財産の差押えに進むことがあります。払えないと分かった時点で連絡することが、何より自分を守ります。

医療費の窓口負担の減免

国民健康保険法第44条は、特別な理由で医療機関の窓口での一部負担金を払うことが難しい人に対し、市区町村が減額、免除、徴収の猶予をできると定めています。保険料とは別の制度なので、病気で収入が途絶えた人は、保険料の減免とあわせて窓口で聞いてみてください。

国民年金の保険料の免除

国民健康保険料と一緒に重くのしかかるのが、国民年金の保険料です。令和8年度は1か月あたり17,920円です。国民年金には、所得が低いときや失業したときに保険料の全額や一部を免除、または猶予する制度があります。こちらは国民健康保険とは別に申請が必要で、窓口は市区町村の国民年金の担当か年金事務所です。詳しくは日本年金機構の保険料免除・納付猶予のページで確かめられます。

保険料そのものを下げる正攻法

減免は、困ったときに使う一時的な手立てです。毎年の保険料を下げるには、所得の計算そのものを見直す方法があります。

青色申告で所得を正しく小さくする

国民健康保険の所得割は、前年の所得をもとに計算されます。青色申告を選び、正規の簿記で記帳して期限内に申告すると、国税庁の案内では原則として最高55万円、電子帳簿保存またはe-Taxによる申告なら最高65万円の青色申告特別控除が受けられます。この控除で所得が小さくなると、所得割の計算のもとになる額も小さくなるのが一般的です。

あわせて、仕事に必要な経費を漏れなく計上することも大切です。仕事に使ったソフトの利用料、通信費、資料代などを記録していないと、実際より所得が大きく計算され、保険料も高くなります。経費に当たるかどうかの判断に迷うものは、税務署に確かめてください。

業種の国民健康保険組合に入る

職種によっては、同じ業種の人が集まって運営する国民健康保険組合に加入できる場合があります。組合の保険料は、所得にかかわらず定額のところもあり、所得が高い人ほど市区町村の国民健康保険より安くなることがあります。加入できる業種と条件、保険料は組合ごとに違うので、自分の職種に組合があるかを調べてみましょう。

取引の条件を見直す

保険料の負担を軽くするには、収入の波を小さくすることも大切です。1社に売上を頼りすぎると、取引先の都合で収入が急に落ちたときに、保険料の負担が重くのしかかります。取引の条件をきちんと書面で残し、報酬の支払い時期を守ってもらうための知識は、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストにまとめています。

家族と世帯で考える保険料

国民健康保険料は、世帯単位で計算されます。フリーランス本人の所得だけでなく、同じ世帯にいる家族の状況でも、保険料や軽減の判定が変わります。

国民健康保険には「扶養」がない

会社員の健康保険では、収入の少ない配偶者や子どもを扶養に入れると、その人の保険料はかかりません。一方、国民健康保険には扶養という考え方がなく、加入している家族1人ひとりに均等割がかかります。夫婦ともにフリーランスで、子どもが2人いる世帯なら、4人分の均等割がかかる計算です。このため、家族の人数が多いフリーランスの世帯ほど、保険料が重く感じられます。

軽減の判定は世帯全員の所得で決まる

7割・5割・2割の軽減は、世帯主と、国民健康保険に加入している世帯員の所得の合計で判定されます。さらに、世帯主が会社員で国民健康保険に入っていない場合でも、世帯主の所得が判定に含まれる仕組みになっています。足立区が「国民健康保険に加入していない方も含め、世帯全員が前年の収入(所得)の申告をしている世帯」を軽減の対象としているのは、このためです。

家族の働き方を変えるときは試算を

配偶者が会社員として働き始め、勤め先の健康保険に入れば、配偶者自身はその健康保険の被保険者になり、条件を満たせば子どもを扶養に入れることもできます。家族のうち誰がどの保険に入るかで、世帯全体の保険料は大きく変わります。働き方を変える前に、市区町村の窓口と、勤め先の健康保険の両方に保険料を問い合わせ、世帯全体で比べてみることをおすすめします。

なお、保険料を下げる目的で住民票の上の世帯を分ける方法が紹介されることがありますが、実際の暮らしと合わない届け出は認められない場合があります。世帯の扱いで迷うときは、窓口で事情を説明して相談してください。

減免を受けたあとに気をつけること

減免が認められたあとも、いくつか気をつけておきたい点があります。

期間が終わる前に状況を見直す

足立区のように、減免の期間を3か月ごとに区切っている自治体では、期間が終わると元の保険料に戻ります。収入がまだ戻っていない場合は、期間が終わる前に、延長の申請ができるかを確かめましょう。逆に、新しい取引先が決まって収入が回復した場合は、減免の条件から外れることがあるので、窓口の案内に従って届け出ます。

翌年度の保険料に備える

減免はその年度の保険料を下げるものです。翌年度の保険料は、今年の所得で計算されます。今年の売上が落ちていれば、翌年度の所得割は下がるので、確定申告をきちんと済ませ、所得を正しく申告しておくことが、翌年度の保険料を適正にする手立てになります。売上が少なく確定申告の義務がない年でも、住民税の申告をしておくと、軽減の判定に必要な所得の情報が市区町村に届きます。

記録を残しておく

減免の申請書の控え、窓口でのやり取りの日付と担当者、受け取った通知は、まとめて保管しておきましょう。翌年度に同じ相談をするときや、延長を申請するときに、前回の経緯をすぐに示せます。

フリーランスがつまずきやすい点

国民健康保険の軽減や減免は、会社員のときには意識しなかった仕組みです。フリーランスになってから気づくことの多い点を、まとめて押さえておきましょう。

病気で働けなくなっても、傷病手当金は基本的にない

会社員の健康保険には、病気やけがで働けない間に給与の代わりとなるお金が出る傷病手当金があります。一方、国民健康保険法は、傷病手当金を市町村や組合が条例や規約で定めた場合に支給「できる」としているだけです。つまり、フリーランスが病気で働けなくなっても、会社員のように休んだ分の収入を健康保険が補ってくれるとは限りません。病気で収入が途絶えたときは、保険料の減免と、医療費の窓口負担の減免を、早めに相談することが一層大切になります。

引っ越しをすると、窓口と基準が変わる

国民健康保険は住んでいる市区町村が運営しているため、引っ越すと加入する保険者が変わり、保険料の料率や減免の基準も変わります。前の市区町村で減免を受けていても、引っ越し先で同じ扱いになるとは限りません。引っ越しの前後で収入が減っている場合は、転入の手続きの際に、あらためて減免の相談をしましょう。

国民健康保険組合に入っている人は窓口が違う

業種ごとの国民健康保険組合に加入している人は、市区町村ではなく組合が保険者です。減免の仕組みも、組合の規約で定められています。市区町村の窓口に相談しても対応できないので、加入している組合に直接問い合わせてください。

売上と所得を混同しない

保険料の計算に使われるのは、売上ではなく所得、つまり売上から必要経費を差し引いた額です。減免の相談で「売上が半分になった」と伝えても、経費も同じように減っていれば、所得の減り方は違って見えます。窓口に行く前に、売上と経費の両方を月ごとに整理し、所得がどれだけ減ったかを示せるようにしておくと、話が早く進みます。

窓口で相談するときの進め方

実際に窓口に相談するときの流れを、順番に整理しておきます。初めての人は、何を聞けばよいかが分からず、緊張してしまうものです。

1. 電話で概要を伝える

まず、国民健康保険の担当課に電話し、「フリーランスで、今年に入って収入が大きく減った。保険料の減免を相談したい」と伝えます。そのうえで、減免の基準、必要な書類、面談の予約が必要かを確かめます。会社を辞めて独立した人は、辞め方と、雇用保険受給資格者証を持っているかも伝えましょう。

2. 書類をそろえる

電話で案内された書類をそろえます。とくに、収入の減少を示す資料は、フリーランスにとって最も大事な書類です。月ごとの売上の表、取引先からの契約終了の連絡、確定申告書の控えなどを用意しておきます。

3. 面談で事情を説明する

面談では、いつから、なぜ、どのくらい収入が減ったのかを、資料を見せながら説明します。今後の見通し(新しい取引先が決まりそうか、いつごろ回復しそうか)も聞かれることがあるので、正直に答えましょう。

4. 結果を受け取る

減免が認められると、保険料の変更の通知が届きます。認められなかった場合は、理由を聞き、分割での納付や納付の猶予を相談します。減免の期間が終わる前に状況が変わらない場合は、延長できるかも確かめておきます。

このケースは条例の解釈が関わるため、判断に納得がいかない場合は、自治体の案内に沿って不服を申し立てる方法があります。迷うときは、法テラスや弁護士会の法律相談で専門家に相談してください。

運営者の目から見た、保険料に悩む人の共通点

フリーランスと在宅ワークの市場を20年見てきた運営者の立場から言えば、国民健康保険料で苦しむ人の多くは、制度を知らなかったというより、相談に行くのが遅すぎた人です。払えない月が数か月続いてから窓口を訪ねても、すでに過ぎた納期の分は減免の対象にならないことがあります。収入が落ちたと気づいた月に電話を1本入れるだけで、選べる手立ては大きく変わります。

もう1つの共通点は、所得の申告を軽く見ていることです。売上が少なかった年に申告をしなかったために、本来受けられた7割や5割の軽減を逃している人は少なくありません。申告は税金のためだけでなく、保険料を正しく計算してもらうための手続きでもあります。

収入の波を小さくするには、取引先を分散し、手取りの厚い取引を増やしていくことも大切です。仲介の手数料がかからない手数料0%で直接取引できる関係は、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、保険料や年金の負担に耐える余力を生みます。自分の職種の収入の幅を知り、価格を見直す材料にしたいときは、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような職種別のデータも参考になります。制度はフリーランスの味方です。知って、早めに使うことが、自分の暮らしを守る一番の近道です。

よくある質問

Q. フリーランスの国民健康保険料は、収入が減れば自動で下がりますか?

自動で下がるのは、前年の所得が一定の基準を下回った世帯の7割・5割・2割の軽減などです。今年の収入が急に減った場合は、保険料が前年の所得で計算されているため自動では下がらず、市区町村の窓口に減免を申請する必要があります。減免の基準は条例で決まり、自治体ごとに違うので、早めに窓口へ相談してください。

Q. 減免を申請するとき、どんな書類が必要ですか?

自治体によって違いますが、保険料の決定通知書、前年と今年の売上や所得が分かる資料、預金通帳など資産の状況が分かるもの、収入が減った理由を示す資料、本人確認書類を求められることが多いです。申請の前に面談を行う自治体もあるので、まず電話で必要な書類と予約の要否を確かめてから窓口に行くと二度手間を防げます。

Q. 会社を辞めてフリーランスになった場合、保険料は軽減されますか?

倒産や解雇、雇い止めなどで辞めた65歳未満の人は、非自発的失業者の軽減の対象になる場合があります。前年の給与所得を100分の30とみなして計算され、離職の翌日から翌年度末まで続きます。手続きには雇用保険受給資格者証などが必要なので、独立する前にハローワークで手続きを済ませておくことが大切です。

Q. 減免が認められなかったら、どうすればよいですか?

分割での納付や、納付を一時的に待ってもらう相談ができる場合があります。滞納を放置すると、督促や延滞金の対象になり、続くと財産の差押えに進むことがあるので、払えないと分かった時点で窓口に連絡しましょう。国民年金の保険料にも免除や猶予の制度があり、医療費の窓口負担を減免する制度を設けている自治体もあります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月5日最終更新:2026年10月4日
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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方