発達障害の心理の資格|支援の仕事と学び方


この記事のポイント
- ✓発達障害の心理の資格を
- ✓臨床発達心理士などの学会系の資格
- ✓臨床発達心理士の申請タイプと要件
発達障害心理士の資格を調べている人の多くは、「発達障害のある子どもや大人を支える仕事に就きたい」「今の仕事で出会う発達に特性のある人を、もっと適切に支えたい」と考えています。最初に整理しておくと、「発達障害心理士」という名前の国家資格はありません。発達障害の支援にかかわる心理の資格は、国家資格の公認心理師、学会などが認定する臨床発達心理士のような資格、民間の講座の修了資格の3つに分かれます。どれを選ぶかで、必要な学歴や経験、できる仕事が大きく変わります。この記事では、法令と認定機関の公式の案内をもとに、資格の種類、取り方、働ける場所、学び方を順番に説明します。
発達障害とは何か:法律の定義から押さえる
資格の話に入る前に、発達障害という言葉が法律でどう定められているかを確認しておきます。支援の仕事では、この定義を正しく理解していることが前提になります。
発達障害者支援法は、発達障害を次のように定義しています。
この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。 出典: e-Gov法令検索
法律の言葉は少し古い呼び方を残していますが、現在の医学の分類では、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの名前で呼ばれることが一般的です。
同じ法律では、発達障害者を「発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるもの」と定めています。社会的障壁とは、本人にとって生活の妨げになる、社会の中の物、制度、習慣、考え方などのことです。つまり、生活のしにくさは本人の特性だけで決まるのではなく、周りの環境との関係で生まれるという考え方が、法律の土台にあります。
さらに法律は、発達支援を「発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助」と定めています。発達障害の支援は、医療、福祉、教育の3つの分野にまたがる仕事であり、心理の専門職はその中で、本人の特性を理解し、周りの人と協力して環境を整える役割を担います。
発達障害の支援にかかわる資格の全体像
発達障害の支援にかかわる心理の資格は、大きく3つの層に分けられます。
| 層 | 主な資格 | 認定する機関 | 取得の目安 |
|---|---|---|---|
| 国家資格 | 公認心理師 | 国(文部科学省・厚生労働省) | 大学と大学院で所定の科目を修めるなどして国家試験に合格 |
| 学会・団体の資格 | 臨床発達心理士、臨床心理士、特別支援教育士など | 各認定機関 | 大学院の修了や実務経験、講習の受講など |
| 民間講座の資格 | 発達障害の支援に関する各種講座の修了資格 | 一般社団法人や講座の運営会社 | 数日から数か月の講座の受講 |
国家資格と学会・団体の資格は、大学や大学院での専門の学びや、一定の年数の実務経験を前提にしています。民間講座の資格は、学歴や経験を問わず受けられるものが多く、入り口として学ぶのに向いています。
ここで大切なのは、資格の名前に「心理士」と付いていても、国家資格とは限らないことです。心理職の国家資格は公認心理師だけです。ほかの資格は、それぞれの認定機関が定めた基準で認定するもので、求められる学びの量や水準も機関ごとに違います。
国家資格の公認心理師
公認心理師は、2017年に施行された公認心理師法に基づく、心理職で唯一の国家資格です。法律では、保健医療、福祉、教育などの分野で、心理学の専門的な知識と技術をもって、心理状態の観察と分析、本人への相談と助言、家族などの関係者への相談と助言、心の健康についての教育と情報提供を行う人と定められています。
発達障害の支援では、子どもの発達の状態を観察して特性を理解すること、本人や保護者の相談に乗ること、学校や福祉施設の職員に助言することなど、この4つの行為のすべてがかかわります。医療機関、児童相談所、教育委員会、学校、福祉施設など、発達障害の支援が行われる多くの場で、公認心理師の資格が求められています。
公認心理師法では、試験を受けられる人を大きく3つに分けています。
- 大学で心理学などの所定の科目を修めて卒業し、さらに大学院で所定の科目を修めて課程を修了した人
- 大学で所定の科目を修めて卒業したあと、国が定めた施設で定められた期間以上、心理の支援の業務に従事した人
- 文部科学大臣と厚生労働大臣が、この2つと同等以上の知識と技能があると認めた人
厚生労働省の案内では、経過措置を含めた受験のルートは7つあり、詳細は指定試験機関である一般財団法人公認心理師試験研修センターに問い合わせるよう案内されています。受験資格の詳細は厚生労働省の公認心理師のページで確かめられます。
どのルートでも、大学で所定の科目を学ぶことが出発点です。社会人がこれから目指す場合は、大学への入学や編入から計画を立てる必要があり、取得までには年単位の時間がかかります。
臨床発達心理士とは
発達の分野に特化した心理の資格として知られているのが、臨床発達心理士です。一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構が認定しています。機構はこの資格を次のように説明しています。
臨床発達心理士とは、発達の臨床に携わる幅広い専門家に開かれた資格です。人の発達・成長・加齢に寄り添い、様々な困難を抱える人々を支援します。 出典: 臨床発達心理士認定運営機構
機構の案内では、「発達的観点」から理解し、支援できる専門的な技能を持つことが特徴とされています。発達的観点とは、人が生まれてから年を重ねるまでの変化の流れの中で、今の状態を理解するという見方のことです。
臨床発達心理士の仕事として、機構は次のような内容を挙げています。
- 発達をめぐる問題を査定し、具体的な支援をする
- 子どもから大人まで、生涯にわたって支援する
- 家族や地域への広がりをもった支援をする
- 異なる職種の専門家に対して、コンサルテーション(専門的な助言)を行う
対応する問題としては、子育て、気になる子ども、自閉スペクトラム症、知的障害、学習障害、注意欠如・多動症などの発達障害、育児不安、虐待、いじめ、不登校、引きこもり、成人期や老年期の社会への適応などが挙げられています。発達障害の支援を中心にしながら、生涯にわたる発達全体を扱う資格だと言えます。
資格は5年ごとに更新が必要で、研修の機会や地域のネットワークを通じて学び続ける仕組みになっています。
臨床発達心理士の申請タイプと要件
臨床発達心理士の申請は、学歴や経験によって5つのタイプに分かれています。機構の案内をもとに、それぞれの主な要件を整理します。
| タイプ | 対象 | 主な要件 |
|---|---|---|
| タイプⅠ(院修了タイプ) | 大学院の修士課程に在学中、または修了後の臨床経験が3年未満の人 | 指定科目5つのうち3科目以上の単位、200時間以上の実習経験 |
| タイプⅡ-1(現職者院修了タイプ) | 大学院の修士課程を修了し、臨床経験が3年以上ある人 | 3年以上の臨床経験、指定科目5つのうち3科目以上の単位 |
| タイプⅡ-2(現職者学部卒タイプ) | 4年制の学部を卒業している人 | 4年以上の臨床経験、指定科目5つのうち4科目以上の単位 |
| タイプⅢ(研究者タイプ) | 大学や研究機関の研究職 | 5年以上の研究勤務歴、研究業績5点以上 |
| タイプⅣ(心理師タイプ) | 公認心理師の資格を持つ人 | 機構が開く臨床発達専門講習会の受講 |
ここでいう大学院や学部は、発達心理学とその隣接する分野のものを指します。指定科目は、「臨床発達心理学の基礎に関する科目」「臨床発達支援の専門性に関する科目」「認知発達とその支援に関する科目」「社会・情動の発達とその支援に関する科目」などで構成され、どのタイプでも基礎と専門性の2科目を必ず含める必要があります。単位は、大学院の授業や科目等履修生の制度のほか、機構が開く指定科目取得講習会で取ることもできます。
注目したいのはタイプⅡ-2です。大学院を出ていなくても、発達心理学に隣接する分野の4年制の学部を卒業し、4年以上の臨床経験があれば、講習会などで指定科目の単位をそろえて申請できます。保育や特別支援教育、福祉の現場で長く働いてきた人にとって、現実的な道の1つです。また、タイプⅣは、公認心理師の資格を持つ人が発達の専門性を加えるための道として用意されています。
実際の申請では、タイプごとにさらに細かい条件があります。申請を考えている人は、機構が公開している認定申請ガイドで最新の内容を確かめてください。申請タイプの全体は臨床発達心理士認定運営機構の案内で確認できます。
そのほかの学会・団体の資格
発達障害の支援にかかわる資格は、臨床発達心理士のほかにもあります。代表的なものの性格を簡単に整理します。
臨床心理士
臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。公認心理師ができる前から心理職の代表的な資格として知られ、協会が指定した大学院の修了などが受験の条件です。発達障害に限らず、心の問題全般を扱う資格で、医療機関や学校のスクールカウンセラーなどで広く求められてきました。
特別支援教育士
特別支援教育士は、学習障害や注意欠如・多動症など、発達障害のある子どもの学びを支える専門家として、特別支援教育士資格認定協会が認定する資格です。学校の教員や、教育の分野で子どもの学習を支える人が多く目指しています。受講の条件や講座の内容は協会の公式の案内で確かめてください。
民間講座の資格
民間の団体や講座の運営会社が、発達障害の支援に関する講座と修了資格を用意していることもあります。数日から数か月で受講でき、学歴や経験を問わないものが多いのが特徴です。たとえば、発達障害の支援をコーチング心理学の観点から学ぶ講座の案内では、次のように説明されています。
ADHD・ASD・LD・DCDなどの特性を、コーチング心理学・ポジティブ心理学・脳科学(認知科学)の知見から理解し、子どもから大人まで肯定的に支援する方法を学ぶ2日間の講座です。 出典: 一般社団法人コーチング心理学協会
民間講座の資格は、発達障害について体系的に学び始めるきっかけとして役立ちます。ただし、国家資格や学会の資格の代わりになるものではありません。修了資格を名乗るときは、団体の正式な名称を使い、国家資格と誤解される書き方を避けることが大切です。
資格がなくても働ける支援の現場
発達障害の支援の仕事は、心理の資格がないと就けないものばかりではありません。むしろ、現場で子どもや大人と日々かかわる仕事の多くは、心理職以外の職種が担っています。
児童発達支援と放課後等デイサービス
障害のある子どもや発達に特性のある子どもが通う施設として、未就学児向けの児童発達支援と、小学生から高校生向けの放課後等デイサービスがあります。国の人員の基準では、子どもを直接支援する職員として「児童指導員又は保育士」を置くことが定められていて、障害のある子どもが10人までなら、提供する時間帯を通じて合計2人以上が必要です。
児童指導員になれる人は、児童福祉施設の基準で定められています。社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ人、大学で社会福祉学、心理学、教育学、社会学を修めて卒業した人、教員免許を持ち都道府県知事が適当と認めた人などのほか、高校を卒業して2年以上児童福祉事業に従事した人や、3年以上児童福祉事業に従事して都道府県知事が適当と認めた人も対象です。大学で心理学を学んだ人は、心理の資格がなくても児童指導員として働ける可能性があります。
児童発達支援管理責任者
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、子どもごとの支援計画を作り、支援全体を管理する児童発達支援管理責任者を置くことも基準で定められています。なるには、一定の年数の実務経験と所定の研修の修了が必要です。現場の支援員として経験を積んだ人が目指すことの多い職種で、具体的な要件は、こども家庭庁や都道府県の案内で確かめてください。
学校や保育の現場
学校の特別支援学級や通級指導教室、保育所や幼稚園でも、発達に特性のある子どもとかかわる機会は多くあります。教員や保育士が、心理の知識を学んで日々の関わりに活かすことは、子どもにとって大きな支えになります。
発達障害の支援が行われる主な場所
発達障害の支援にかかわる仕事を考えるとき、どこで支援が行われているかを知っておくと、資格の選び方や働き方が具体的になります。主な場所と、そこで心理の知識がどう使われるかを整理します。
発達障害者支援センター
発達障害者支援法は、都道府県知事が、発達障害者支援センターを指定するか、自ら業務を行うことができると定めています。法律が挙げる業務は、本人や家族への専門的な相談と助言、本人への発達支援と就労の支援、医療や福祉、教育、労働などの関係機関への情報提供と研修、関係機関との連絡調整などです。発達障害の支援の地域の拠点として、心理職や福祉職が相談や研修に携わっています。
医療機関
小児科や児童精神科、精神科のある医療機関では、医師の診断や治療と並んで、心理職が発達の検査や心理面の支援を行います。発達の検査とは、知能や認知の特性、得意なことと苦手なことの偏りを、決まった手順で調べるもののことです。検査の結果を本人や家族に分かりやすく伝え、生活の工夫につなげることも心理職の大切な仕事です。
学校と教育委員会
学校では、スクールカウンセラーが子どもや保護者の相談に乗り、教員に助言します。特別支援学級や通級指導教室では、教員が子どもの特性に合わせた学びを工夫しています。教育委員会の相談室で、就学や学びの場についての相談に心理職がかかわることもあります。
福祉の事業所
児童発達支援や放課後等デイサービスのほか、大人を対象にした就労の支援の事業所などでも、発達障害のある人への支援が行われています。直接支援の職員として現場に入り、そこで心理の知識を活かしていく働き方もあります。
子どもの支援と大人の支援の違い
発達障害の支援というと、子どもの支援を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、発達障害者支援法は18歳以上の発達障害者も対象にしていて、臨床発達心理士の案内でも、成人期や老年期の社会への適応が対応する問題に挙げられています。子どもの支援と大人の支援では、求められる関わり方が違います。
子どもの支援では、発達の途中にあることを前提に、生活の力や人とかかわる力を育てることが中心になります。保護者と協力して家庭での関わり方を整えること、保育所や学校と情報を共有して環境をそろえることも大切です。
大人の支援では、仕事や生活の中で困っていることを本人と一緒に整理し、得意なことを活かせる働き方や暮らし方を探すことが中心になります。大人になってから発達障害の診断を受ける人もいて、これまでの生きづらさの理由が分かって安心する人もいれば、受け止めるまでに時間がかかる人もいます。本人の気持ちに寄り添いながら、職場や家族との調整を支える力が求められます。
どちらを中心に支援したいかによって、目指す資格や働く場所は変わります。子どもの支援なら保育や教育、児童福祉の現場、大人の支援なら医療機関や就労の支援の事業所が主な場になります。
支援の記録と報告を書く力
発達障害の支援の仕事では、記録と報告を書く力が欠かせません。資格の勉強では見落とされがちですが、現場で評価される大きな要素です。
支援の記録は、子どもや大人の様子を、ほかの職員や専門家と共有するためのものです。「落ち着きがなかった」と書くのではなく、「10時の集団活動の開始時に、大きな音がした直後に部屋の外へ出た。別室で5分ほど過ごすと戻ってきた」と、いつ、どんな場面で、何が起き、どう変わったかを具体的に書くと、行動の背景を考える材料になります。つまり、評価の言葉ではなく、観察した事実を書くことが記録の基本です。
報告や支援計画では、保護者やほかの職種の人にも伝わる言葉で書くことが求められます。専門用語を使うときは言い換えを添え、本人の得意なことや伸びたところも必ず書きます。臨床発達心理士のタイプⅠで、200時間以上の実習経験に基づく臨床実習内容報告書の提出が求められているのも、こうした記録と報告の力が専門職に欠かせないからだと考えられます。
働きながら資格を目指すときの工夫
発達障害の支援にかかわる資格は、多くの場合、現場で働きながら目指すことになります。仕事と学びを両立させるための工夫を整理します。
まず、日々の仕事を学びの材料にすることです。支援の中で気になった子どもの行動や、うまくいった関わり方を記録しておくと、講習会で学ぶ理論と結び付けやすくなります。臨床発達心理士の申請では臨床経験の年数が要件になるため、勤務の内容と期間を証明できるように、職場での役割や担当した業務を記録しておくことも大切です。
次に、学びの場を計画的に押さえることです。臨床発達心理士の指定科目取得講習会や、大学院の科目等履修生の制度は、開かれる時期や申込の期間が決まっています。1年単位で予定を立て、職場の繁忙期と重ならないように調整します。
最後に、職場の理解を得ることです。研修への参加や講習の受講には、休みの調整が必要になることがあります。資格を取ることで職場の支援の質がどう上がるかを伝え、上司や同僚の理解を得ておくと、学びを続けやすくなります。勤め先によっては、研修費の補助や、資格の取得を評価する制度を設けていることもあるので確かめておきます。
発達障害の支援の仕事に求められる力
資格の種類にかかわらず、発達障害の支援の仕事には共通して求められる力があります。資格の勉強と並行して意識しておくと、現場で役立ちます。
1つ目は、行動の背景を考える力です。発達障害のある人の行動には、本人なりの理由があります。たとえば、突然大きな声を出す子どもは、周りの音がつらいのかもしれないし、予定が変わって不安になっているのかもしれません。つまり、行動そのものを止めることより、なぜその行動が起きたのかを観察して考えることが、支援の出発点になります。
2つ目は、環境を整える力です。発達障害者支援法が社会的障壁という考え方を示しているように、生活のしにくさは周りの環境で大きく変わります。予定を絵や文字で見せる、刺激の少ない場所を用意する、指示を一度に1つだけ伝える、といった工夫は、心理の専門職でなくても実践できる支援です。
3つ目は、ほかの職種と連携する力です。発達障害の支援は、医療、福祉、教育にまたがります。医師、心理職、保育士、教員、福祉の職員、保護者がそれぞれの立場から情報を出し合い、同じ方向を向いて支えることが欠かせません。
4つ目は、安全への配慮です。発達に特性のある子どもの中には、危険を予測しにくい子や、パニックになると周りが見えなくなる子もいます。活動の場の危険を事前に取り除き、職員同士で見守りの役割を分けておくことは、支援の質と同じくらい大切です。
資格を選ぶ前に確かめたい5つの点
発達障害の支援にかかわる資格は、名前が似ていても中身が大きく違います。講座や申請に進む前に、次の5つの点を公式の案内で確かめておくと、遠回りを防げます。
- 認定するのは誰か。国、学会や公益法人、一般社団法人、講座を運営する会社のどれかによって、資格の性格と社会での受け止められ方が変わります
- 申請や受講の要件は何か。大学や大学院での単位、臨床経験の年数、講習の受講など、自分の経歴で満たせるかを確かめます
- 資格を取ったあとに何ができるか。働ける場所や職種、名乗れる名称を確かめ、国家資格と誤解されないかにも注意します
- 更新はあるか。臨床発達心理士のように5年ごとの更新が必要な資格では、更新のための研修や活動の実績が求められます
- 費用はいくらか。受講料や申請料だけでなく、年会費や更新の費用など、資格を保つためにかかり続ける費用も確かめます
とくに1つ目と3つ目は大切です。発達障害の支援は、本人や家族の生活に深くかかわる仕事です。資格の名前が支援を受ける人や保護者にどう受け止められるかを考え、自分が持つ資格で何ができて何ができないのかを、正直に説明できるようにしておくことが、信頼される支援者の条件です。
申請の要件や費用は、制度の見直しなどで変わることがあります。臨床発達心理士認定運営機構のように、申請のガイドや説明会の情報を公開している機関もあるので、申請を考える年度の最新の資料を必ず確かめてください。
目的別の資格の選び方
ここまでの内容を踏まえて、目的ごとにどの資格を目指すとよいかを整理します。
心理の専門職として働きたい人
医療機関、児童相談所、学校のスクールカウンセラーなど、心理の専門職として発達障害の支援にかかわりたいなら、公認心理師を目指すのが基本です。そのうえで、発達の専門性を加えたい場合は、臨床発達心理士のタイプⅣで申請する道があります。
保育や教育、福祉の現場で経験を積んでいる人
発達心理学に隣接する分野の4年制の学部を卒業していて、臨床の経験を重ねている人は、臨床発達心理士のタイプⅡ-2を検討できます。4年以上の臨床経験と、講習会などでの指定科目の単位の取得が必要です。教員として学習の支援を深めたい人は、特別支援教育士も選択肢になります。
これから支援の仕事に入りたい人
まずは、児童発達支援や放課後等デイサービスの支援員として現場に入ることを考えます。保育士の資格や、大学で心理学などを学んだ経歴があれば、直接支援の職員として働ける可能性があります。現場で経験を積みながら、児童発達支援管理責任者や、学会の資格を目指す順番が現実的です。
応募の前には、事業所の見学を申し込み、子どもの人数に対する職員の数、1日の流れ、新しく入った職員への研修の仕組みを確かめておくと安心です。支援の方針は事業所ごとに大きく違うため、複数の事業所を見比べることで、自分が大切にしたい支援の形も見えてきます。
家族や身近な人の支援のために学びたい人
資格の取得にこだわらず、発達障害者支援センターや自治体が開く講座、民間の短期の講座で学ぶのが負担の少ない方法です。学んだことを日々の関わりに活かし、必要に応じて専門の機関に相談するという使い方が向いています。
学びを進める手順
発達障害の支援にかかわる資格を目指すときの流れを、時系列で整理します。
- 自分の学歴と職歴を書き出し、公認心理師の受験ルートや臨床発達心理士の申請タイプのどれに近いかを確かめる
- 目指す資格の認定機関の公式サイトで、最新の要件と申請の時期、費用を確かめる
- 足りない要件(大学や大学院での単位、臨床経験の年数、講習の受講)を洗い出す
- 現場での経験が足りない場合は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの支援の現場で働きながら経験を積む
- 講習会や大学院の科目等履修生の制度を使って、必要な単位をそろえる
- 要件を満たしたら申請し、取得後も更新の研修などで学び続ける
学会系の資格は、取得したあとも更新のための研修や活動の実績が求められます。取って終わりではなく、学び続けることが前提の資格だと理解しておくことが大切です。
発達障害の心理の資格のデータから見えること
最後に、ここまで見てきた制度と資格の情報、支援の仕事や在宅の仕事の動向から読み取れることを整理します。
1つ目は、発達障害の支援にかかわる心理の資格は、学歴と経験の組み合わせで取れる道が決まっていることです。臨床発達心理士の申請タイプが5つに分かれているように、大学院を出た人、学部を出て現場で経験を積んだ人、研究者、公認心理師と、それぞれに用意された道があります。自分の経歴を正確に棚卸しすることが、最短の道を見つける第一歩です。
2つ目は、資格がなくても入れる現場があることです。児童発達支援や放課後等デイサービスでは、保育士や児童指導員として子どもを直接支援する職員が欠かせません。現場の経験は、臨床発達心理士のタイプⅡ-2のように、あとから資格を取るときの要件にもなります。
3つ目は、発信の仕事での信頼です。在宅ワークの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、障害や心理の分野で長く仕事を続けている人は、断定を避け、法律や公的な情報を出典として示しながら書く姿勢を持っています。依頼する側から見ると「確認の手間が少なく、安心して任せられる」相手で、そうした関係が続くほど依頼は安定します。中間の手数料がかからない直接の取引であれば、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側の手取りは厚くなります。
支援の現場の経験や心理の知識を活かして在宅で文章の仕事を受けるなら、自分の書いた記事を見せられる形にまとめておくことが欠かせません。その作り方はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で紹介しています。また、支援計画や報告書のように、読み手に正確に伝わる文書を書く力を確かめる資格としてビジネス文書検定があり、記録の書き方を学び直したい人の参考になります。
発達障害の心理の資格は、一人ひとりの特性を理解し、その人が暮らしやすい環境を整えるための学びです。法令と認定機関の公式の案内で今日時点の内容を確かめながら、自分の経歴と目的に合った資格を選んでください。
よくある質問
Q. 発達障害心理士という国家資格はありますか?
「発達障害心理士」という名前の国家資格はありません。心理職の国家資格は公認心理師だけです。発達の分野に特化した資格としては、臨床発達心理士認定運営機構が認定する臨床発達心理士があり、ほかに臨床心理士や特別支援教育士、民間講座の修了資格などがあります。名前に「心理士」と付いていても国家資格とは限りません。
Q. 臨床発達心理士は大学院に行かなくても取れますか?
取れる道があります。機構の案内では、発達心理学に隣接する分野の4年制の学部を卒業し、4年以上の臨床経験があり、指定科目5つのうち4科目以上の単位を講習会などで取った人は、タイプⅡ-2として申請できます。公認心理師の資格を持つ人は、臨床発達専門講習会の受講でタイプⅣとして申請できます。
Q. 心理の資格がなくても発達障害の支援の仕事はできますか?
できます。児童発達支援や放課後等デイサービスでは、国の基準で子どもを直接支援する職員として児童指導員か保育士を置くことになっています。児童指導員には、大学で心理学や教育学などを修めて卒業した人や、一定の年数児童福祉事業に従事した人などがなれます。現場で経験を積んでから資格を目指す人も多くいます。
Q. 臨床発達心理士の資格に更新はありますか?
あります。臨床発達心理士認定運営機構の案内では、資格は5年ごとに更新が必要とされています。更新のための研修会などが用意されていて、資格を取ったあとも学び続ける仕組みです。申請の時期や必要な書類、費用は変わることがあるため、機構の公式サイトで最新の案内を確かめてください。
この記事について
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監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
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