地域おこし協力隊として働くには|募集の探し方と任期中の仕事、副業の扱い

杉山 リュウ
杉山 リュウ
地域おこし協力隊として働くには|募集の探し方と任期中の仕事、副業の扱い

この記事のポイント

  • ✓協力隊として働きたい人に向けて
  • ✓地域おこし協力隊の仕組み
  • ✓任期後の起業支援までを総務省の公式資料をもとに整理します

「協力隊」と検索する人の多くは、地方に移り住んで地域の仕事に関わってみたい、でも生活は成り立つのか、どこで募集を探せばよいのか、いまの仕事やフリーランスの案件を続けられるのか、といった具体的な不安を抱えています。協力隊という言葉には、国内で働く地域おこし協力隊と、海外の開発途上国へ派遣されるJICA海外協力隊の2つがあり、調べ始めた段階で両方の情報が混ざってしまうことも少なくありません。

この記事では、国内で働く地域おこし協力隊を中心に、制度の仕組み、応募できる条件、募集の探し方、任期中の仕事の中身、雇用型と委託型の違い、副業や兼業の扱い、任期後の進路までを、総務省の公式サイトに書かれている内容をもとに順番に整理します。読み終えたときに、自分が応募できるのか、どの募集を選べばよいのか、応募前に何を確かめればよいのかが分かる状態を目指します。

「協力隊」と呼ばれる2つの制度の違い

最初に、言葉の整理をしておきます。「協力隊」で検索したときに上位に出てくるのは、主に次の2つの制度です。

1つ目はJICA海外協力隊です。JICA(独立行政法人国際協力機構)が実施する国際協力のボランティア事業で、開発途上国に派遣されて、現地の人と一緒に暮らしながら教育や保健、農業などの課題に取り組みます。JICAの公式サイトは、この制度を次のように説明しています。

JICA(独立行政法人国際協力機構)が派遣するJICA海外協力隊は、開発途上国で現地の人々と共に生活し、同じ目線で途上国の課題解決に貢献する活動を行っています。帰国後は、日本をはじめ様々な国や分野で、経験を生かした貢献が期待されています。 出典: jica.go.jp

2つ目が、この記事で詳しく扱う地域おこし協力隊です。こちらは総務省が所管する国内の制度で、都市部から人口減少や高齢化が進む地域に移り住み、自治体から委嘱を受けて地域の活性化に関わる活動をします。委嘱とは、自治体が特定の仕事を個人に任せることを正式に頼むことです。

項目 地域おこし協力隊 JICA海外協力隊
活動する場所 国内の過疎地域などの自治体 海外の開発途上国
所管・実施 総務省の制度を各自治体が運用 JICA
期間 おおむね1年から3年 募集の種類ごとに決まる
住まい 活動地域に住民票を移して暮らす 派遣国で暮らす
任期後 約7割がその地域に定住 帰国して国内外で就職など

どちらも地域の人と同じ目線で課題に取り組む点は似ていますが、応募の窓口も、生活の組み立て方もまったく違います。海外での国際協力に関心がある人はJICAの公式サイトを、国内の地方で暮らしながら働くことに関心がある人は、ここから先の内容を読み進めてください。

地域おこし協力隊はどんな制度か

総務省は、地域おこし協力隊を次のように説明しています。

地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。 出典: soumu.go.jp

ここで出てくる「地域協力活動」とは、地域の力を保ったり強めたりすることに直接つながる、公益性のある活動のことです。総務省の推進要綱という運用の決まりの中でこのように定義されていて、具体的に何をするかは、隊員の能力や適性と地域の事情に応じて、それぞれの自治体が決めます。

制度の特徴は、国が自治体の費用を後から支える仕組みになっていることです。自治体が隊員を募集し、受け入れ、活動を支えるためにかかった費用は、特別交付税という形で国から自治体に配分されます。特別交付税とは、国が地方自治体の財政を補うために配るお金の一種です。隊員にとっては、自治体が国の支えを受けて報酬や活動費を出してくれる仕組みだと理解しておけば十分です。

もう1つの特徴は、制度の目的が「その地域への定住・定着」にあることです。協力隊は、単なる任期付きの仕事ではなく、任期のあいだに地域の人との関係を作り、仕事や住まいを探し、任期が終わったあともその地域で暮らし続けることを想定した制度です。総務省は、任期後の定住率が約70%であることを紹介しています。

数字で見る地域おこし協力隊の現状

制度の規模を数字で見ておきます。総務省の公式ページによると、令和6年度は7,910名が隊員として活動しました。年齢層は10代から60代以上まで幅広く、活動分野も移住・定住、観光、商品開発と販売、地域コミュニティ活動、漁業・水産業、農業・林業、環境保全、医療・保健、デジタル、教育・文化、スポーツなど多岐にわたります。

次に、お金の面の上限です。総務省の自治体向けサイト「地域おこし協力隊ナビ」には、国が自治体の経費を支える上限額が載っています。隊員に関係する主なものを抜き出すと次のとおりです。

区分 内容 国の措置の上限
報償費等 隊員の給与に当たるもの 1人あたり350万円(条件により最大450万円)
活動費 住居や活動用の車の借り上げ、道具、研修、移動など 1人あたり200万円
報償費等と活動費の合計 上の2つの合計 1人あたり550万円
起業・事業承継の経費 設備や物件の賃借、法人登記、商品開発など 1人あたり100万円(最大200万円)

報償費等の上限が450万円まで広がるのは、専門性の高いスキルや経験を持つ隊員(上乗せの上限100万円)や、交通条件が著しく悪い辺地などで活動する隊員(上乗せの上限50万円)の場合です。ただし、報償費等と活動費を合わせた上限はどの場合も550万円で、報償費等を450万円にすると、そのほかの活動経費は100万円までになります。

ここで注意したいのは、これらはあくまで国が自治体を支える上限額であって、隊員が受け取る額ではないことです。実際の報酬額は自治体ごとに決まり、募集要項に書かれています。移住・交流の情報サイトの募集検索でも、報酬の月額は「10万円未満」「10万円から20万円未満」「20万円以上」という区分で絞り込めるようになっていて、地域や働き方によって幅があることが分かります。

データを扱う仕事をしていると、上限の数字だけが独り歩きして「年収350万円の仕事」と受け取られる場面をよく見かけます。しかし上限は上限です。応募先を比べるときは、募集要項に書かれた月額の報酬、活動費として何が支給されるか、住居が提供されるかを、同じ表に並べて比べるのが確実です。

応募できる人の条件

地域おこし協力隊には、国の支援の対象になるための「地域要件」があります。総務省の自治体向けの質問集では、推進要綱の言葉として「生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移し、住民票を異動させた者」と説明されています。

かみ砕くと、都市部に住んでいる人が、地方の条件不利地域に引っ越して住民票を移すことが基本の条件です。同じ市町村の中で住民票を移すだけでは条件を満たしません。どの市町村が「都市地域」に当たり、どこが受け入れ側の地域に当たるかは、総務省が公表している地域要件の確認表で決まっています。自分の今の住所から応募できるかどうかは、応募先の自治体に聞くのが確実です。

例外として、次のような場合も国の支援の対象になります。

  • 同じ地域で2年以上活動し、退任から1年以内の元隊員が、別の地域の隊員になる場合
  • 海外に住んでいて国内に住民票がない人が、対象の地域に生活の拠点を移す場合
  • JETプログラム(外国青年を招いて語学指導などを行う事業)を2年以上務め、終了から1年以内の人が、同じ地域で隊員になる場合
  • 3大都市圏の中でも、平成17年から平成27年の人口減少率が11パーセント以上の市町村に住んでいる場合

年齢や性別、国籍については、募集の段階で一律に制限することは想定されていません。総務省の質問集では、会計年度任用職員として採用する場合には、地方公務員法の平等取り扱いの原則を踏まえて、年齢や性別にかかわりなく均等な機会を与える必要があると説明されています。外国籍の人も隊員になれますし、大学生を学業と両立できる勤務形態で採用することもできるとされています。

住民票の移し方にも決まりがあります。原則として、自治体から正式に委嘱を受けたあとに住民票を移します。ただし家族と一緒に移住する場合など、生活の準備が必要なときは、おおむね1から2週間前を目安に、委嘱前に住民票を移すことも例外的に認められています。また、その市町村に実際に住んでいない人は隊員になれません。住民票だけを移して、実際は別の場所で暮らすという形は認められていません。

募集の探し方

地域おこし協力隊の募集は、全国の自治体がそれぞれ出しています。探し方は大きく3つです。

1つ目は、ふるさと回帰・移住交流推進機構(JOIN)が運営する「ニッポン移住・交流ナビ」の地域おこし協力隊のページです。総務省の公式ページからもこのサイトが案内されていて、全国の募集情報、隊員のインタビュー、イベント情報がまとまっています。サイトの紹介文には次のように書かれています。

「地域おこし協力隊ってどんな制度?」「どんな流れで着任するの?」「活動する分野にはどんなものがある?」 こんな疑問をお持ちの方、地域おこし協力隊の仕組みや概要について知りたい方はまずはこちらをご覧ください。 出典: iju-join.jp

募集検索では、農林水産、観光、医療・福祉、教育、情報通信、地域づくり、空き家などのカテゴリ、普通自動車免許が必要かどうか、報酬の月額、勤務日数(週1から2日、週3から4日、週5日以上、不定期または応相談)、住居や移動手段の支援の有無などで絞り込めます。勤務日数で絞り込めることからも分かるとおり、すべての募集が週5日のフルタイムというわけではありません。

2つ目は、各自治体のホームページや広報です。移住・交流ナビに掲載されていない募集もあるので、住みたい地域が決まっている人は、その都道府県や市町村の移住のページ、職員採用のページを直接見ると漏れがありません。

3つ目は、移住相談の窓口やイベントです。都市部で開かれる移住フェアや協力隊の募集説明会には、自治体の担当者が直接来ていることが多く、募集要項に書かれていない活動の雰囲気や住まいの事情を聞けます。

もう1つ知っておきたいのが、応募前に地域を体験できる制度です。総務省は「おためし地域おこし協力隊」と「地域おこし協力隊インターン」という2つの仕組みを設けています。おためし地域おこし協力隊は、主に2泊3日で地域の人と交流したり、実際の活動を体験したりする制度です。インターンは、それより長い期間、実際の隊員と同じような活動に関わり、着任後のイメージをつかむための制度です。自治体によっては、選考の途中におためし滞在を組み込んでいるところもあります。いきなり3年間の移住を決めるのが不安な人は、こうした制度がある募集から探すと、ミスマッチを避けやすくなります。

選考の流れと、応募書類で見られる点

選考の流れは自治体ごとに違いますが、一般的には次のような順番です。

  1. 募集要項を読み、応募書類(履歴書や志望動機、活動計画の案など)を提出する
  2. 書類選考
  3. 面接(オンラインの場合もある)。現地での面接や、おためし滞在を組み込む自治体もある
  4. 採用の決定、委嘱
  5. 住民票を移し、活動を始める

応募書類で重視されやすいのは、「なぜこの地域なのか」「何をしたいのか」「任期後にどう暮らしていきたいのか」の3点です。協力隊は定住を目的とした制度なので、任期後の暮らしのイメージを具体的に書けるかどうかが、他の求人以上に大切になります。

募集には、自治体が活動内容をあらかじめ決めている「ミッション型」と、応募者が活動内容を提案する「自由提案型」があります。総務省の自治体向けサイトの活用事例でも、自由提案型で起きやすいミスマッチをどう防ぐかが取り上げられています。自由提案型は自分のやりたいことを形にしやすい反面、地域の期待とのずれが起きやすい形です。応募する側も、提案内容を地域の課題と結びつけて書き、面接で受け入れ側の期待をしっかり聞き取ることが大切です。

面接では、こちらからも質問をする場と考えてください。前任の隊員がいるか、いる場合は任期後にどうしているか、担当の職員は誰で、どのくらいの頻度で相談できるか、地域の受け入れ団体はどこか、といった点は、着任後の働きやすさに直結します。

任期中の仕事の中身

協力隊の仕事は、募集ごとにまったく違います。総務省の自治体向けサイトでは、農林水産業など一次産業への従事、特産物を生かした商品開発、デジタル化などの住民の生活支援、交流の場づくりが例として挙げられています。実際の募集でよく見かける活動を分野ごとに並べると、次のようになります。

分野 活動の例
農林水産業 農業法人や漁協での作業、新規就農に向けた研修、林業の担い手
観光 観光案内所の運営、体験プログラムの企画、インバウンド対応
商品開発・販売 特産品の加工品づくり、ネット販売の立ち上げ、道の駅の運営支援
移住・定住 空き家バンクの運営、移住相談、お試し住宅の管理
情報発信・デジタル SNSやホームページの運用、動画制作、住民のスマホ相談
福祉・教育 高齢者の見守り、公営塾の運営、地域の学校との連携

一方で、協力隊として認められない活動もあります。総務省の質問集では、秘書や人事、給与、会計、庶務といった役所や法人の内部の事務が主な活動になるもの、研修を受けることが主な活動になるもの、保育所や介護施設、学校など法律で人数が決まっている職場で、その人数の範囲内で働くものは、地域の力を保ったり強めたりする活動とは言えないとされています。通常の活動に付随して一部の事務を手伝うことは差し支えないとされていますが、応募した仕事が実質的に役所の事務員の仕事になっていないかは、募集要項で確かめておくべき点です。

1週間の過ごし方も募集によって違います。週5日、役場に出勤して担当課の指示のもとで活動する形もあれば、週の半分は自分の企画を進め、残りは地域の行事や農作業を手伝うという形もあります。データを扱う立場から見ると、活動の記録を残しておくことはとても大切です。自治体には活動報告を求められることが多く、何をしてどんな成果があったかを数字と写真で残しておけば、報告にも任期後の仕事探しにも使えます。

雇用型と委託型で変わる働き方

地域おこし協力隊には、自治体との関係の結び方に大きく2つの形があります。この違いは、副業ができるか、税金や社会保険がどうなるかに直結するので、応募前に必ず確かめてください。

1つ目は、自治体が隊員を職員として採用する形で、一般に「雇用型」と呼ばれます。多くの場合、会計年度任用職員という非常勤の地方公務員として採用されます。会計年度任用職員とは、1年ごとに任期が区切られた非常勤の地方公務員のことです。この形では、地方公務員法の服務のルールが適用され、秘密を守る義務、職務に専念する義務、信用を失う行為の禁止、営利企業への従事の制限などがかかります。

2つ目は、自治体が隊員個人と委託契約を結ぶ形で、一般に「委託型」と呼ばれます。この形では、自治体と隊員のあいだに指揮命令の関係がなく、活動の場所や時間について隊員の裁量が大きくなります。総務省の質問集では、契約の形が委託であっても、実態として労働者と判断されれば労働基準法などが適用されることに注意が必要だと書かれています。

項目 雇用型(会計年度任用職員など) 委託型(個人との委託契約)
立場 非常勤の地方公務員 個人事業主に近い立場
指揮命令 上司の指示に従う 原則として指揮命令はない
勤務時間 勤務時間が決まっている 裁量が大きい
副業 許可が必要な場合がある 契約の範囲で比較的自由
報酬の性格 給与として支払われるのが一般的 委託料として支払われるのが一般的

ほかに、自治体が地域の団体と委託契約を結び、その団体の職員を協力隊に委嘱する形もあります。どの形で採用されるのかは募集要項に書かれていることが多いので、「任用形態」「雇用形態」「委託」といった言葉を探して読んでください。書かれていない場合は、応募前に担当課へ問い合わせて確かめておくのが安全です。

副業や兼業の扱い

フリーランスとして仕事をしている人や、在宅で案件を受けている人が協力隊を考えるとき、最も気になるのが副業の扱いです。ここは雇用型か委託型かで考え方が変わります。

雇用型で、フルタイムの会計年度任用職員として採用される場合、地方公務員法第38条の営利企業への従事等の制限がかかり、副業をするには任命権者の許可が必要です。任命権者とは、職員を採用する権限を持つ首長などのことです。ただし総務省は、その許可について、公務に支障がないよう注意しつつ、勤務形態などを考えて必要に応じて柔軟に運用できると説明しています。兼業を通じて任期中から起業や就職の準備をし、任期後の定住につなげることも重要だとしています。

パートタイムの会計年度任用職員として採用される場合は、営利企業への従事等の制限の対象外です。ただし、職務に専念する義務や信用を失う行為の禁止といった服務のルールは適用されます。総務省は、勤務時間の長短にかかわらずパートタイムの隊員に副業を一律に禁止することは適切ではないとする一方で、職務に支障が出るような長時間の副業をしないよう指導することは考えられるとしています。

委託型の場合は、自治体との関係が委託契約なので、公務員としての副業の制限はかかりません。ただし、契約の中で守秘義務や活動のルールが決められていることが多く、総務省も、活動規律を確保するための規定を契約に書くよう自治体に求めています。また、協力隊としての業務とそれ以外の業務の範囲とお金の流れをはっきり分け、協力隊以外の業務には報償費を出せないとしています。

まとめると、副業を続けたい人が確かめるべき点は次の3つです。

  1. 雇用型か委託型か。雇用型ならフルタイムかパートタイムか
  2. 副業をする場合の手続き(許可申請が必要か、届け出でよいか)
  3. 協力隊の活動時間と副業の時間をどう分けるか、記録をどう残すか

在宅で続けられる副業の例として、プログラミングやデータ分析、Webサイトの制作、記事の執筆などがあります。たとえばアプリケーション開発のお仕事では、スマホアプリや業務システムを作る仕事の種類と、受注に必要なスキルが整理されています。こうした仕事は場所を選ばないので、地方に移っても続けやすい一方、協力隊の活動時間と混ざらないよう、時間と成果の区切りを自分で管理することが求められます。

報酬と手取りの考え方

協力隊の報酬を考えるときは、「報償費」と「活動費」を分けて見ることが大切です。報償費は隊員の生活費に当たるお金、活動費は住居や車の借り上げ、道具、研修、移動などの活動に使うお金です。活動費で住居や車が用意される募集なら、報酬の月額が同じでも、手元に残るお金は大きく変わります。

税金や社会保険の扱いは、雇用型か委託型かで変わります。一般には、雇用型で給与として支払われる場合は給与所得として扱われ、源泉徴収や年末調整が行われます。社会保険は、勤務時間や雇用期間などの条件によって加入の有無が決まります。委託型で委託料として支払われる場合は、事業所得や雑所得として自分で確定申告をし、国民健康保険と国民年金に自分で加入するのが一般的です。参考までに、国民年金保険料は令和8年度で1か月あたり17,920円です。

ただし、実際の扱いは契約の中身や働き方で変わります。応募前に担当課に「報酬は給与か委託料か」「社会保険には加入するのか」「源泉徴収はされるのか」を確かめ、委託型の場合は、税金の扱いを住所地の税務署で確認しておくと安心です。

もう1つ見落としやすいのが、引っ越しにかかる費用です。移住の費用や赴任までの生活費は、自治体の支援の対象外になることが多く、自分で準備する必要があります。また、委託型で国民健康保険に入る場合、保険料は前年の所得をもとに決まるため、移住した年や翌年は、前の仕事の所得に応じた保険料がかかることがあります。協力隊の1年目は出費がかさみやすいので、少なくとも数か月の生活費を手元に用意してから移住するのが現実的です。

任期が終わったあとの進路

任期が終わったあとの進路は、大きく分けて、その地域での就職、起業、事業の引き継ぎ、ほかの地域への移動、都市部に戻る、のいずれかです。総務省は任期後の定住率を約7割としています。

起業や事業の引き継ぎを考える人のために、国は自治体を通じた支援を用意しています。任期2年目から任期終了後3年以内に起業や事業承継をする場合、設備や備品、土地や建物の賃借、法人登記、商品開発などにかかる経費について、自治体が支援すると1人あたり100万円(最大200万円)を上限に国が支える仕組みです。実際にいくら支援されるかは自治体の制度によるので、着任後早めに担当課に確認しておくとよいでしょう。

また、地場産業の担い手として任期後に起業や事業承継をする隊員については、任期を延ばす特例があります。対象となるのは、地域の農林水産業や伝統工芸、生活に欠かせない小売など、自治体が存続や継承が必要と認めた産業です。起業の場合は1人以上の新規雇用、事業承継の場合は既存の雇用数を維持することが条件で、任期3年目の開始日から任期終了の3か月前までに自治体から総務省へ届け出る流れになっています。

任期中に出産や育児で活動を中断した場合は、最長1年間、その期間を除いて任期を数える扱いもあります。家族のライフイベントと重なりそうな人は、受け入れ自治体と早めに相談しておくと安心です。

任期後の仕事を見据えるなら、任期1年目から「地域の中で自分にお金を払ってくれる相手は誰か」を考えておくことが大切です。協力隊の報酬は任期とともに終わるので、任期中に小さくても収入の柱を作っておいた人ほど、定住しやすくなります。

デジタルのスキルを協力隊で生かす

近年の募集では、情報発信やデジタル化を担う隊員の需要が目立ちます。総務省の公式ページにも、活動分野の1つとして「デジタル」が挙げられています。具体的には、自治体や観光協会のSNS運用、ホームページの改修、オンライン販売の立ち上げ、住民向けのスマホ教室、役場や地域の団体の業務の効率化などです。

こうした仕事に関わるなら、自分のスキルが市場でどのくらい評価されているかを知っておくと、任期後の仕事づくりにも役立ちます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場では、プログラマーやシステムエンジニアの年収や業務委託の単価の目安を、公的な統計をもとに確認できます。協力隊として地域のシステムづくりに関わった経験は、任期後に同じ分野で業務委託を受けるときの実績にもなります。

AIの活用も、地域の課題と相性の良い分野です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、生成AIを企業の業務に取り入れる支援の仕事内容と求められるスキルが紹介されています。人手が足りない地域の事業者にとって、問い合わせ対応や書類作成の手間を減らす仕組みは歓迎されやすく、協力隊の活動から任期後の仕事につながる例もあります。

情報発信を担う隊員には、文章の力も欠かせません。広報誌の記事、観光パンフレット、補助金の申請書類など、協力隊の活動では文章を書く機会が多くあります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、ライターや編集者の年収と単価の目安が整理されていて、任期後に書く仕事を続けるときの参考になります。役所や企業に出す文書の基本を身につけたい人には、ビジネス文書検定のページで、試験の内容と級ごとの難易度を確認できます。

応募前に確かめておくことの一覧

ここまでの内容を、応募前のチェックリストとして整理します。気になる募集が見つかったら、次の項目を1つずつ確かめてください。

確かめること 見る場所・聞く相手
自分の住所が地域要件を満たすか 応募先の自治体の担当課
雇用型か委託型か、フルタイムかパートタイムか 募集要項、担当課
報酬の月額と、給与か委託料か 募集要項
住居、車、通信費などの活動費の支給内容 募集要項、担当課
副業の可否と手続き 担当課(許可の要否)
社会保険と税金の扱い 担当課、委託型なら税務署
前任の隊員の有無と任期後の進路 面接、担当課
相談できる担当職員や受け入れ団体 面接
おためし協力隊やインターンの有無 募集要項、移住・交流ナビ
任期後の起業支援の内容 担当課

すべてを応募前に把握するのは難しいかもしれませんが、少なくとも雇用形態、報酬、住居、副業の4点は、応募の段階で書面か口頭で確認しておくことをおすすめします。着任してから「思っていた条件と違った」と分かっても、住民票を移したあとでは身動きが取りにくくなるからです。

運営者の視点から見た「地方で長く働ける人」の共通点

在宅ワークやフリーランスの仕事の市場を長く見てきた立場から言えば、地方に移っても仕事を続けられる人には共通点があります。それは、移る前から「誰の、どんな困りごとを、いくらで解決するのか」を言葉にできていることです。協力隊の任期中は報酬があるので生活は成り立ちますが、任期が終わると、その報酬はなくなります。任期の3年間を、地域の人や事業者との関係を作り、自分の仕事の形を試す期間として使えた人ほど、任期後も地域に残っています。

もう1つの観察として、地方で受ける仕事も、都市部の会社から受ける在宅の仕事も、続く人ほど「この人に頼むと楽だ」と思われる関係づくりに時間を使っています。仲介の手数料が乗らない直接の取引は、同じ予算で依頼する側はより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。こうした関係は一度できると長く続くので、協力隊の活動と並行して、在宅で受けられる仕事の取引先を少しずつ育てておくことが、任期後の安心につながります。

地域で始める仕事と、場所を選ばない仕事を組み合わせたい人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、地方からでも受けやすい業務委託の仕事の種類と必要なスキルを確認してみてください。協力隊の活動で身につけた地域の事業者とのつながりと、在宅で受けられるスキルの両方を持っておくことが、任期後も地域で暮らし続けるための現実的な備えになります。

よくある質問

Q. 地域おこし協力隊の報酬はどのくらいですか?

報酬の額は自治体ごとに決まり、募集要項に書かれています。国が自治体を支える報償費等の上限は1人あたり350万円(条件により最大450万円)ですが、これは隊員が受け取る額ではありません。住居や車が活動費で用意されるかどうかで手元に残るお金も変わるので、報酬の月額と活動費の内容を並べて比べてください。

Q. 地域おこし協力隊をしながら副業はできますか?

雇用形態で変わります。フルタイムの会計年度任用職員として採用される場合は、副業に任命権者の許可が必要です。パートタイムの会計年度任用職員は営利企業への従事の制限の対象外ですが、職務専念義務などのルールは適用されます。委託型は公務員の制限はかかりませんが、契約の内容に従います。応募前に担当課へ確認してください。

Q. 今住んでいる地域から応募できるかはどう確かめればよいですか?

国の支援の対象になるには、都市地域などから過疎、山村、離島などの地域に生活の拠点を移し、住民票を移すことが基本の条件です。どの市町村が対象かは総務省の地域要件の確認表で決まっていて、例外もあります。自分の住所から応募できるかどうかは、応募先の自治体の担当課に問い合わせるのが確実です。

Q. 応募する前に地域の様子を知る方法はありますか?

総務省の制度として、主に2泊3日で活動や暮らしを体験できる「おためし地域おこし協力隊」と、より長い期間に実際の隊員と同じような活動をする「地域おこし協力隊インターン」があります。実施しているかどうかは自治体によるので、移住・交流ナビの募集検索や、自治体の移住のページで探してみてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月2日最終更新:2026年10月3日
杉山 リュウ

この記事を書いた人

杉山 リュウ@SOHO編集部

フリーランスデータアナリスト

外資系コンサルでデータ分析を担当後、フリーランスに独立。Python・SQL・BIツールを駆使し、データ分析・BI・統計系の記事を執筆しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方