フリーランス 確定申告 やり方 初めて|書類準備から申告書提出までの12ステップ

丸山 桃子
丸山 桃子
フリーランス 確定申告 やり方 初めて|書類準備から申告書提出までの12ステップ

この記事のポイント

  • フリーランスの確定申告を初めて行う方向けに
  • 青色・白色の選択から開業届
  • e-Tax提出までの12ステップを実務目線で解説

フリーランスとして独立して初めての3月、机に山積みの領収書とにらめっこしながら「これ、何から手をつければいいの……」と途方に暮れた経験は、ほぼ全員が通る道です。私自身、副業時代に確定申告らしきものをやらずに済ませてしまい、独立1年目で「青色申告承認申請書って何?」と慌てて調べ直したクチでした。フリーランスの確定申告は、やり方さえ12ステップに分解してしまえば、初めての方でも自力で完結できる仕組みになっています。

この記事では「フリーランス 確定申告 やり方 初めて」と検索した方が本当に知りたい論点(青色と白色のどちらを選ぶか、いつまでに何を準備するか、経費はどこまで認められるか、e-Taxと紙のどちらが楽か、ミスしたらどうなるか)を、書類準備から提出後までの一連の流れに沿って整理します。会計ソフトの広告ではなく、実務で何を選ぶと月末・年末の作業時間が減るかという視点で書いていきます。

フリーランスの確定申告を取り巻くマクロ環境

国税庁が公表している「申告所得税標本調査結果」では、事業所得を申告した個人事業者の数は、令和3年分時点で約170万人規模で推移しています。会社員からの独立組、副業を本業に切り替えた層、エンジニア・デザイナー・SNS運用などのデジタル系専業フリーランスを加えると、確定申告は「ごく一部の特殊な人」のイベントではなく、働き方の選択肢として完全に定着した手続きです。

この10年で大きく変わったのは、提出方法と帳簿の付け方です。国税庁の公式統計でも、e-Taxによる所得税申告の利用率は年々上昇しており、令和5年分の所得税確定申告では約7割がオンライン提出に移行しています。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、税務署に出向かずに自宅から24時間提出できる体制が整っており、初めての確定申告で「税務署の長蛇の列に並んだ」という体験は、今や少数派になりました。

一方で、制度面では複雑化も進んでいます。インボイス制度(適格請求書等保存方式)の本格運用、電子帳簿保存法の改正、定額減税の導入、基礎控除・給与所得控除のバランス調整など、毎年のように「去年とは違うルール」が積み上がっています。初めての方が一度きりの記事で全部を理解する必要はなく、まずは「自分のケースで必要な作業はどこか」を見極めて、必要な部分だけ深掘りするのが現実的なアプローチです。

個人事業主が開業届や青色申告の申請を提出したあと、初めての確定申告においてどのようなことをすればよいのでしょうか?この記事では、青色申告のやり方全般を網羅的にご紹介します。白色申告と青色申告の違いやそれぞれのメリット、青色申告の確定申告書…

ここからは、初めてフリーランスとして確定申告に挑む方が、12月の年末から翌3月15日までに何をすればよいかを、12ステップに分けて具体的に解説していきます。

確定申告が「必要なフリーランス」と「不要なフリーランス」

最初に押さえておきたいのは、フリーランス全員が確定申告をする必要があるわけではないという点です。原則として、フリーランス(個人事業主)は、1年間(1月1日〜12月31日)の事業所得から各種控除を差し引いた金額がプラスで、かつ所得税が発生する場合に確定申告が必要になります。

具体的には、専業フリーランスで事業所得から経費を引いた所得金額が48万円(基礎控除額)を超える場合は、確定申告が必須です。副業フリーランス(本業が会社員)の場合は、給与所得・退職所得以外の所得(副業の事業所得や雑所得)の合計が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。

一方で、年間の事業所得が48万円以下の専業フリーランスや、副業所得が20万円以下の会社員兼業フリーランスは、所得税の確定申告は不要です。ただし、注意したいのは「所得税は不要でも、住民税の申告は別途必要」というケースです。住民税には20万円ルールがないため、副業所得が1円でもあるなら、お住まいの市区町村に住民税申告書を出さなければなりません。「20万円以下だから何もしなくていい」と誤解している人が非常に多いので、ここは要注意ポイントです。

副業の確定申告ルールについては、20万円基準と住民税の扱いを分けて整理した副業フリーランスの確定申告やり方ガイド|20万円以下のルールと節税の秘訣【2026年版】で詳しく解説しているので、本業との合算で迷う方はあわせて参考にしてください。

また、確定申告が「不要」でも「したほうが得」なケースがあります。源泉徴収されている報酬がある場合(Webライターやデザイナーの報酬はクライアント側で10.21%が源泉徴収されているケースが多い)、確定申告で還付を受けられる可能性が高いです。月数万円規模の副業でも、源泉徴収済みの取引が中心なら、申告したほうが手取りが増える計算になります。

青色申告と白色申告の選択|初めての方の現実解

フリーランスの確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。よく「青色のほうが節税できるが、難しそう」と紹介されますが、現在の会計ソフト環境では、難易度の差は驚くほど小さくなっています。

青色申告の最大の特典は、青色申告特別控除です。複式簿記で帳簿を付け、e-Taxで電子申告(または優良な電子帳簿保存)を行うと、最大65万円の特別控除が受けられます。所得税・住民税・国民健康保険料の計算ベースが65万円圧縮されるため、所得税率10%・住民税率10%・国保料率10%と仮定すると、年間で約19万5,000円の節税効果になります。これは「会計ソフトに毎月1〜2時間入力する」だけで得られる金額として、フリーランスにとって非常に大きな差です。

白色申告は、複式簿記が不要で単式帳簿(家計簿に近い形)で済む代わりに、特別控除はありません。「とりあえず数年は様子見」「年間の売上規模が小さく、経費もほぼない」という方は白色から始める選択もありますが、現実的には初めての段階から青色申告を選んでおくほうが圧倒的にお得です。

青色申告を行うためには、開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。開業から2か月以内、または青色申告で申告したい年の3月15日までが提出期限です。「初年度から青色65万円控除を受けたい」場合は、開業のタイミングで両方をまとめて提出するのが鉄則です。青色申告と白色申告の違い、青色申告特別控除の仕組みについては、フリーランスの確定申告やり方ガイド|青色申告と節税のポイント【2026年版】でも詳しく整理しているので、節税の全体像を掴みたい方はあわせて読んでみてください。

私の体験で印象に残っているのは、独立1年目のクライアントに「アパレル系のEC運営代行」を月額制で何社か抱えていた時期のことです。初年度は「白でいいや」とのんびり構えていたのですが、年間の経費(撮影機材・サンプル代・サブスク類・取材交通費)が想定以上に膨らみ、白色申告では引ききれない控除がたくさん発生してしまいました。翌年から青色に切り替えたところ、同じ売上規模でも手取りベースで20万円近く差が出て、「最初から青色にしておけばよかった」と痛感した記憶があります。会計ソフトを使えば、複式簿記の知識がなくても自動で仕訳が完成するので、技術的なハードルはほぼないと言って差し支えありません。

フリーランスの確定申告で必要な書類一覧

初めての確定申告で「何を集めればいいのかわからない」と詰まる方が多いので、必要書類を「事前準備系」「申告書類本体」「添付・参照系」に分けて整理します。

事前準備系(開業時・年初までに揃えるもの)

  • 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届): 開業から1か月以内に税務署へ提出
  • 所得税の青色申告承認申請書: 青色申告を行う年の3月15日までに提出(開業日から2か月以内でも可)
  • マイナンバーカード: e-Taxの電子申告で必須。スマホアプリ「マイナポータル」とセットで使う
  • 事業用口座とクレジットカード: 私用と分離しておくと帳簿付けが劇的にラクになる
  • 会計ソフトのアカウント: freee会計、マネーフォワード クラウド確定申告、やよいの青色申告 オンラインの3択が定番

申告書類本体(確定申告期に作成するもの)

  • 確定申告書(第一表・第二表): 所得・控除・税額を記載する基本書類
  • 青色申告決算書(青色申告の場合): 損益計算書と貸借対照表、月別売上、減価償却の明細など全4ページ
  • 収支内訳書(白色申告の場合): 損益計算書のみのシンプル版2ページ

添付・参照系(手元に揃えておくもの)

  • 取引先からの支払調書(任意。源泉徴収されている報酬の確認に便利)
  • クレジットカード明細・銀行口座取引明細(経費の根拠資料)
  • 領収書・レシート・請求書(電子・紙どちらも保管必須。原則7年間)
  • 国民健康保険料・国民年金保険料の納付額がわかる書類(社会保険料控除)
  • 生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書
  • iDeCo・小規模企業共済の掛金払込証明書
  • ふるさと納税の寄附金受領証明書(またはワンストップ特例不使用分の証明書)
  • 医療費の領収書・医療費控除の明細書(年間10万円超または所得5%超の場合)
  • 住宅ローン控除関連書類(初年度は登記事項証明書・売買契約書のコピーが必要)

ここで重要なのは、領収書・請求書の保管義務です。電子帳簿保存法の改正により、メールで受け取ったPDF請求書や、ネットショップで購入した経費の領収書は、電子データのまま保存しなければならなくなりました。紙に印刷して保管する運用は原則NGです。クラウドストレージ(Google DriveやDropbox)にフォルダを切って、月別・取引先別に整理しておけば、税務調査が入っても堂々と提出できます。

フリーランスの確定申告のやり方|12ステップ

ここからが本記事の中核です。初めての方が3月15日の期限までに迷わず提出を終えられるよう、12のステップに分解して順番に解説します。

1. 開業届と青色申告承認申請書を提出する

確定申告の前年または開業時に済ませておく作業です。開業届はフリーランスとして事業を始めた日から1か月以内、青色申告承認申請書は開業から2か月以内(既存事業者は3月15日まで)が期限。開業freee、マネーフォワード クラウド開業届、freee開業など、無料のオンラインサービスで5分程度で作成・提出できます。郵送・税務署窓口・e-Taxの3つから提出方法を選べます。

2. 事業用の口座とクレジットカードを分ける

確定申告の作業負担を最も大きく左右するのが、事業用と私用の口座・カードを分けているかどうかです。同じ口座で混ぜていると、年末に「これは事業費?私用?」を1件ずつ判定する作業が発生し、丸2〜3日溶けます。屋号付きの事業用口座を1つ、事業専用のクレジットカードを1枚作るだけで、確定申告の作業時間が3分の1程度まで圧縮されます。

3. 会計ソフトを契約し、口座・カードを連携する

freee、マネーフォワード、やよいのいずれかでアカウントを作成し、事業用口座とクレジットカードをAPI連携します。連携すると、過去の取引明細が自動で会計ソフトに取り込まれ、勘定科目の候補まで提示されます。月額1,000〜3,000円程度のコストですが、自力で複式簿記を学ぶ時間や、税理士に丸投げする費用(年間10万円〜)と比べると、圧倒的に費用対効果が高い選択肢です。

4. 売上の集計と請求書の整理

1月1日〜12月31日の1年間に発生した売上を、月別・取引先別に集計します。クラウド請求書サービス(マネーフォワード請求書、misoca、freee請求書など)で発行している場合は、会計ソフトと連携して自動でデータが流れ込みます。Excel管理の場合は、CSVでまとめて取り込めます。源泉徴収されている報酬は、必ず「源泉徴収額」を別途記録しておきます。確定申告書で精算する際に、還付額の計算根拠になるためです。

5. 経費の入力と勘定科目の振り分け

会計ソフトに取り込まれた取引データを、勘定科目ごとに振り分けます。フリーランスでよく使う勘定科目は以下の通りです。

  • 旅費交通費: 取材交通費、クライアント訪問の電車代・タクシー代
  • 通信費: スマホ料金、インターネット回線、ドメイン・サーバー代
  • 新聞図書費: 業務関連の書籍、業界雑誌、有料メディア購読料
  • 消耗品費: 10万円未満のPC周辺機器、文房具、デスク用品
  • 減価償却費: 10万円以上の備品(PC本体・カメラなど)を耐用年数に応じて分割計上
  • 接待交際費: クライアントとの会食、業界イベントの参加費
  • 広告宣伝費: 名刺、ポートフォリオサイト制作費、SNS広告費
  • 支払手数料: 振込手数料、決済代行手数料、プラットフォーム利用料
  • 外注工賃: 案件の一部を外注した際の支払額
  • 地代家賃: 自宅兼事務所の場合、業務使用割合に応じて家賃の一部を計上(家事按分)
  • 水道光熱費: 自宅兼事務所の場合、業務使用割合で按分

家事按分の業務使用割合は、自宅の総床面積に対する仕事スペースの面積比、または1日のうち事業に使った時間比で算出します。一般的には30〜50%程度が現実的なラインです。

6. 控除の証明書を集めて入力する

ステップ5までで損益計算書がほぼ固まったら、次は所得控除の入力です。社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、ふるさと納税の寄附金控除、医療費控除など、該当するものを順番に入力していきます。

特にフリーランスにメリットが大きいのが、小規模企業共済iDeCo(個人型確定拠出年金)です。小規模企業共済は月額1,000〜70,000円の範囲で掛金を選べ、全額が所得控除になります。iDeCoも国民年金加入のフリーランスなら月額68,000円まで拠出でき、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です。両方を満額活用すると、年間で約165万円の所得控除が積み上がる計算になります。

7. 青色申告決算書を作成する

会計ソフトに必要なデータを入力し終えたら、青色申告決算書を生成します。損益計算書(1ページ目)、月別売上と仕入の明細・給料賃金の内訳(2ページ目)、減価償却費の計算・地代家賃の内訳(3ページ目)、貸借対照表(4ページ目)の全4ページ構成です。会計ソフトを使えば、ボタン1つで自動生成されます。貸借対照表が「現金」「事業主借」「事業主貸」などの調整で合わない場合は、年度末の修正仕訳で帳尻を合わせます。

8. 確定申告書を作成する

青色申告決算書のデータを引き継ぐ形で、確定申告書(第一表・第二表)を作成します。会計ソフトを使っている場合は、決算書からの自動転記でほぼ完成します。手動で入力するのは、控除関連の情報、源泉徴収税額、住民税の扱い(給与所得との分離か合算か)、復興特別所得税の計算など、本人にしかわからない部分のみです。

9. 提出方法を選ぶ(e-Tax・郵送・窓口)

確定申告書の提出方法は3つあります。最もおすすめなのがe-Tax(電子申告)です。マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)があれば、自宅から24時間提出できます。e-Tax提出は青色申告特別控除65万円の必須要件にもなっているので、青色申告を選んだ時点で実質一択になります。

郵送の場合は、消印有効で3月15日に間に合えばOKです。窓口提出は、税務署の混雑期は2〜3時間待ちが当たり前なので、避けたほうが無難です。e-Taxの具体的な操作手順は、画面キャプチャ付きで解説したe-Taxで確定申告するやり方|フリーランス向けに画面つきで手順を解説を参照してください。初めての方でも30分程度で提出まで完了できます。

10. 所得税の納付

確定申告書を提出すると、所得税額が確定します。納付期限は申告期限と同じ3月15日です(消費税は3月31日)。納付方法は、振替納税、e-Tax(ダイレクト納付・インターネットバンキング)、クレジットカード納付、コンビニ納付、税務署窓口・金融機関窓口の5つから選べます。

振替納税を選ぶと、4月下旬に指定口座から自動引き落としされます。資金繰り上1か月以上の猶予ができるため、初めての方でも安心です。クレジットカード納付は手数料が発生しますが、ポイント還元との差し引きで実質お得になるケースもあります。納税額が大きく一括納付が難しい場合は、税務署に「延納」を申請すれば、半額を5月末まで延期できます。

11. 住民税・個人事業税・消費税の対応

所得税の申告が終わると、その情報を元に住民税が自動計算され、6月以降に納付書が届きます。個人事業税は、業種により3〜5%の税率がかかり、8月と11月の2回に分けて納付するのが一般的です。

消費税については、課税売上高が1,000万円を超えた年の2年後から「消費税課税事業者」になります。また、インボイス制度の登録を任意で行った事業者は、売上規模に関係なく消費税の申告・納付義務が発生します。インボイス登録は取引先との関係で必須に近い業種(BtoB中心のWebライター、エンジニア、デザイナーなど)も多いので、自分のクライアント構成に応じて判断する必要があります。

12. 帳簿・書類の保管

確定申告が終わっても、帳簿と関連書類の保管義務は続きます。青色申告の場合、帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)と決算関係書類は7年間、現金預金取引の証憑(領収書・通帳・請求書控え)も7年間、その他の証憑は5年間の保存が義務付けられています。電子帳簿保存法の改正により、電子取引データは原則として電子のまま保存する必要があります。クラウド会計ソフトを使っている場合は、サービス側で長期保存される設定になっているか確認しておくと安心です。

経費にできるもの・できないもの|初めての方が判断に迷うグレーゾーン

確定申告で最も質問が多いのが「これは経費になりますか?」というジャッジです。基本ルールは「事業を行うために必要な支出か」「事業との関連性を客観的に説明できるか」の2点に集約されます。

経費として認められやすいもの

  • 業務で使うPC・タブレット・スマホ・周辺機器
  • クライアントとの打ち合わせに使うカフェ代(事業の打ち合わせ実態がある場合)
  • 業務関連の書籍・有料メディア購読・オンライン講座
  • 業務で使うソフトウェアのサブスク(Adobe、Figma、ChatGPT Plusなど)
  • 取材・出張の交通費、宿泊費
  • 名刺、Webサイト制作費、ポートフォリオの撮影費
  • 自宅兼事務所の家賃・水道光熱費・通信費(業務使用割合で按分)
  • クライアントへの手土産代(社会通念上の範囲内)

経費にならないもの

  • 私的な食事代、私的な旅行代
  • スーツや一般的な服飾費(業務専用とは認められないため)
  • 所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料(これらは「経費」ではなく「控除」として処理)
  • 健康診断料金(業務に直接関連しないため。法人なら可)
  • 罰金・反則金・延滞税

判断が分かれやすいグレーゾーン

ファッション系のフリーランスや、SNS発信が業務の中心になっている方の場合、衣装代・美容代・撮影機材代・自宅スタジオの設備費などの判断が難しくなりがちです。ここでの基本姿勢は、「業務専用であることを客観的に証明できる証拠(撮影写真、SNS投稿、クライアントへの納品物など)を必ず残しておく」ことです。実務で見てきた限りでは、税務調査で否認されるのは「証拠が残っていない」ケースが圧倒的に多く、領収書だけでなく使途を示す資料が揃っていれば、業界特有の支出も通る可能性が高くなります。

私が運営しているアパレルブランドのEC支援案件では、商品撮影用の照明機材・三脚・カメラ本体は「広告宣伝費」または「減価償却費」として、サンプル取り寄せ代は「材料費」として計上しています。クライアント納品物にひもづけて経費精算するルールを社内で固めておくと、年末の作業がスムーズになります。

確定申告をしないとどうなる?無申告・期限後申告のペナルティ

「確定申告は必要だけど面倒だから後でやろう」と先送りした結果、無申告のまま放置してしまうケースが、フリーランス界隈では一定数発生しています。無申告のペナルティは想像以上に重く、知っておかないと致命傷になります。

無申告加算税について

申告期限を過ぎて申告した場合、本来納める税額に加えて「無申告加算税」が課されます。税率は、納付すべき税額のうち50万円までは15%、50万円超300万円までは20%、300万円超は30%です。税務署の調査が入る前に自主的に期限後申告した場合は、5%に軽減されます。

延滞税について

納付期限から実際の納付までの期間に応じて、年利7.3%〜14.6%(時期により変動)の延滞税が課されます。2か月以内なら年利2.4%程度、2か月超は8.7%程度(令和6年分基準)と段階的に上がります。

重加算税について

帳簿の改ざんや売上隠しなど、悪質な仮装・隠蔽行為が認定された場合は、無申告加算税に代わって「重加算税」が課されます。税率は40%と、本来の税額に対して罰金的に重く課されます。

青色申告の取り消し

青色申告を承認されていても、2年連続で期限後申告となった場合や、帳簿の不備が指摘された場合は、青色申告承認が取り消されます。取り消されると、最大65万円の特別控除や青色専従者給与の特例が使えなくなり、白色申告に戻ります。

社会的信用への影響

住宅ローン、事業資金融資、クレジットカード審査、賃貸契約の入居審査など、フリーランスが信用情報を求められる場面で、確定申告書(または納税証明書)の提出を求められるケースが増えています。無申告だと、これらすべての場面で「収入を証明できないフリーランス」として扱われ、審査落ちのリスクが大きく上がります。

初めての確定申告で会計ソフトをどう選ぶか

初めての方が会計ソフトを選ぶ際、定番の3社(freee会計、マネーフォワード クラウド確定申告、やよいの青色申告 オンライン)でほぼ決まり打ちで問題ありません。それぞれの特徴は以下の通りです。

  • freee会計: 簿記の知識がほぼゼロでも、質問に答える形式で帳簿が完成する設計。UIがアプリ寄りで、スマホからの操作にも強い。月額1,180円〜(年払い)。
  • マネーフォワード クラウド確定申告: 銀行・カード連携の精度に定評があり、データ取り込み後の自動仕訳の学習が早い。複数事業を持つフリーランスや、後に法人化を視野に入れる人向け。月額1,408円〜(年払い)。
  • やよいの青色申告 オンライン: 初年度無料キャンペーンが厚く、サポートも充実。デスクトップ版「弥生会計」との互換性があり、税理士との連携がスムーズ。月額1,166円〜(年払い、セルフプラン)。

3社とも無料体験期間があるので、1〜2週間ずつ触ってみて、自分が一番ストレスなく操作できるソフトを選ぶのがおすすめです。年商1,000万円超のインボイス事業者になると、消費税申告機能の使い勝手で差が出てくるので、規模が大きくなる予定の方はマネーフォワードかfreeeを選んでおくと安心です。

また、ビジネススキル系の資格を持っていると、確定申告書類の作成・取引先とのやりとり・契約書チェックなどの周辺業務もスムーズになります。たとえばビジネス文書検定は、請求書・見積書・契約書の作成精度を上げる基礎力として、フリーランス全般に有効です。技術系ではCCNA(シスコ技術者認定)を取得しているエンジニアは、企業案件での単価相場が上がる傾向にあり、確定申告で扱う売上規模・経費規模も大きくなります。

最後に、初めての方が確定申告で最もつまずきやすいポイントを3つ挙げておきます。1つ目は「開業届と青色申告承認申請書を出し忘れて、初年度は白色申告のまま終わってしまった」。2つ目は「事業用と私用の口座を分けずに、年末に分類作業で2週間溶けた」。3つ目は「電子帳簿保存法対応を怠り、紙で保管していた電子取引データの保管要件を満たせていなかった」。この3つを最初の数か月で潰しておけば、初めての確定申告は「面倒な手続き」ではなく「事業の数字を可視化する重要な機会」として活用できるはずです。

確定申告は、フリーランスにとって「税金を払うための義務」というより、「1年間の事業の成果を客観的に振り返るための機会」です。売上の月別推移、経費の配分、利益率の変化を眺めることで、翌年の経営判断(どの案件を強化するか、どの分野から撤退するか、どこに投資するか)が圧倒的に明確になります。初めての方は、12ステップを順番にこなすことから始めて、来年・再来年と回数を重ねるごとに「自分の事業の地図」が手元に積み上がっていく感覚を、ぜひ体験してみてください。

公的機関・関連参考情報

本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。

よくある質問

Q. フリーランスの副業で確定申告が必要になる基準は?

副業による所得(売上から経費を差し引いた金額)が年間20万円を超えた場合に、所得税の確定申告が必要となります。ただし、20万円以下であっても市区町村への住民税の申告は必要です。

Q. 利益が 20万円 以下なら確定申告は不要ですよね?

所得税の確定申告については、会社員で副業の雑所得が20万円以下であれば不要というルールがあります。しかし、 「住民税」にはその20万円ルールの特例はありません。 利益が 1円 でもあれば、お住まいの市区町村役場へ住民税の申告を行う法的義務があります。これを怠ると、後に発覚して無申告加算税の対象となります。

Q. 同業者(フリーランス仲間)との飲み会は経費になりますか?

「情報交換会」としての実態があれば交際費として認められます。ただし、ただの愚痴の言い合いや友人としての飲み会はNGです。「〇〇業界の最新動向について情報交換し、今後の協業について協議した」という明確なビジネス目的が必要です。

Q. 確定申告をすると家族の扶養から外れることはありますか?

はい。配当所得を確定申告して「合計所得金額」が増加すると、配偶者控除や扶養控除の判定基準を超えてしまい、扶養から外れる可能性があります。還付金よりも扶養控除による減税額の方が大きい場合が多いため、注意が必要です。

Q. 無料プランだけで確定申告を完了できますか?

freeeのスターターやマネーフォワードの無料プランは、機能制限があり、青色申告決算書の作成が不可または制限付きです。有料プラン(年11,000〜15,000円)で完全対応になります。

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丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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