クレーム対応の基本の流れ|受け付けから記録と再発防止まで


この記事のポイント
- ✓クレーム対応の基本の流れを
- ✓の4つの手順で整理しました
- ✓電話・メール・窓口での違い
クレーム対応の基本は、相手の話を最後まで聴き、事実を確かめ、できることとできないことをはっきり伝え、そのやり取りを記録に残して次に生かすことです。クレームは、商品やサービスへの不満や、期待とのずれをお客様が伝えてくれるものです。受け止め方しだいで、お客様を失うきっかけにも、信頼を深めるきっかけにもなります。
とはいえ、実際に強い口調で苦情を受けると、何から話せばよいのか分からなくなったり、早く終わらせたい気持ちから余計な約束をしてしまったりしがちです。この記事では、どんなクレームにも使える4つの基本の手順、電話やメールなど経路ごとの注意点、言ってはいけない言葉、記録の残し方、社内での共有と再発防止の進め方を順に説明します。受け付けたクレームを担当と状況つきで記録し、返信まで同じ画面で回せるHalictも、記録の仕組みを作る道具の選択肢の1つとして紹介します。
クレームはなぜ起きるのか
クレームの多くは、お客様の「こうなるはずだった」という期待と、実際に起きたことのずれから生まれます。ずれの原因は、大きく分けると次の4つです。
| 原因 | 例 |
|---|---|
| 商品やサービスそのものの問題 | 届いた商品が壊れていた、作業の仕上がりが約束と違った |
| 説明の不足 | 料金の条件や納期が伝わっていなかった、注意事項を知らされていなかった |
| 対応の問題 | 返事が遅かった、たらい回しにされた、言葉づかいが失礼だった |
| お客様側の思い違い | 説明を読み違えていた、別の商品と取り違えていた |
注意したいのは、4つ目の「お客様側の思い違い」であっても、最初からそう決めつけないことです。思い違いを生んだ原因が、こちらの説明の分かりにくさにあることも少なくありません。また、最初は商品の問題だったクレームが、対応の遅さや言葉づかいで大きくこじれることもよくあります。クレーム対応で最初に意識したいのは、いま起きている不満に、これ以上「対応の問題」を重ねないことです。
クレームは、ないに越したことはありませんが、どれだけ気をつけても必ず起きます。不満を感じても何も言わずに離れていくお客様もいるので、声を上げてくれるお客様は、改善の手がかりをくれる貴重な存在だと考えることもできます。
お客様の気持ちを知ることから始める
クレーム対応の手順に入る前に、お客様がどんな気持ちで連絡してきたのかを考えておくことが大切です。会計ソフトの弥生が運営するメディアで、同社のカスタマーセンターの担当者は、次のように話しています。
我々もクレーム対応を行うときは企業側の立場ですが、普段はユーザー側として商品やサービスを使っています。しかし、その気持ちを企業側の立場からは、なかなかイメージしにくいものです。「お客さまはどうしてお電話をくださったのか」といった部分に注視して、自分自身で考えてもらうことによって、だんだんイメージができてくるような感じですね。 出典: media.yayoi-kk.co.jp
クレームを伝えてくるお客様の気持ちには、次のようなものがあります。
- 困っているので、早く解決してほしい
- 嫌な思いをしたことを、分かってほしい
- 同じことが二度と起きないようにしてほしい
- 自分が損をした分を、取り戻したい
同じ「商品が壊れていた」というクレームでも、明日使う予定があって困っている人と、贈り物にするつもりで気分を害した人とでは、求めていることが違います。前者には交換の早さ、後者には気持ちを受け止めることが、まず必要です。相手が何を一番求めているのかを、話を聴きながら見極めることが、対応の出発点になります。
クレーム対応の4つの基本の手順
研修会社のインソースは、どんなクレームにも当てはまる基本の手順を4つに整理しています。相手の心情を理解してよく聴く、何が問題になっているか事実を確認する、解決策や代わりの案を示す、そして再度のお詫びと感謝で締める、の4つです。ここでは、この4つの手順に沿って、具体的に何をするかを説明します。
手順1:相手の気持ちを受け止めて、よく聴く
最初の手順は、相手の話を途中で遮らずに、最後まで聴くことです。インソースのコラムでは、聴く時間について次のように書いています。
忙しいと、つい「早く済ませてしまいたい」と思いがちですが、そういう気持ちはすぐ相手の方に伝わってしまいます。 相手の方には気の済むまでお話しいただくのがポイントです。 ですから、まずは、最低"3分間"お客さまのお話を聴きましょう。 出典: insource.co.jp
聴いている間は、「はい」「さようでございますか」と相づちを打ち、相手の言葉を短く繰り返すと、きちんと聴いていることが伝わります。こちらに言い分があっても、相手の話が一通り終わるまでは口をはさみません。話の途中で「それは違います」と言うと、相手は「話を聞いてもらえない」と感じ、怒りが強くなります。
このとき、最初に伝えるお詫びは、相手が嫌な思いをしたことや、手間をかけさせたことに対するものにとどめます。「ご不便をおかけして申し訳ございません」「お手数をおかけしております」といった言い方です。原因がどこにあるかが分からないうちに、「すべてこちらの責任です」と言い切らないよう気をつけます。
手順2:何が問題なのか、事実を確かめる
話を聴き終えたら、何が起きたのかを具体的に確かめます。確かめることは、次のような点です。
- いつ、どこで、何が起きたのか
- どの商品、どのサービス、どの注文のことか(注文番号や契約の内容)
- いまどんな状態になっているか(壊れたまま、使えない、届いていない など)
- お客様は何を求めているか(交換、返金、説明、謝罪 など)
質問するときは、責めているように聞こえないよう、「確認のためにお聞きします」と前置きしてから尋ねます。相手の記憶があいまいなときは、注文の記録や過去のやり取りを見ながら一緒に確かめます。その場で事実が分からない場合は、「確認して、〇時までにご連絡します」と、いつ、どの方法で答えるかを伝えて、いったん話を区切ります。
手順3:解決策や代わりの案を伝える
事実が分かったら、こちらでできる解決策を伝えます。ここで大切なのは、できることとできないことをはっきり分けることです。
- できること:交換する、修理する、返金する、作業をやり直す、説明の文書を送る など
- できないこと:契約の範囲を超える対応、根拠のない金銭の支払い、担当者個人の判断での特別扱い など
お客様の希望どおりの対応ができない場合でも、「できません」で終わらせず、代わりにできることを示します。たとえば、「全額の返金は規定で難しいのですが、同じ商品を本日中に発送し、返送の送料はこちらで負担いたします」のように伝えます。
解決策を伝えたら、それでお客様が納得しているかを確かめます。納得していない場合は、どこに不満が残っているのかを改めて聴きます。
手順4:改めてのお詫びと、感謝で締める
最後に、改めてお詫びを伝え、連絡してくれたことへの感謝を伝えます。「このたびはご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。ご指摘いただいた点は、今後の改善に生かしてまいります。ご連絡いただき、ありがとうございました」といった形です。
感謝を伝えるのは、形だけのものではありません。お客様が声を上げてくれたおかげで、ほかのお客様が同じ思いをする前に問題に気づけた、という意味があります。
場面ごとの対応の例
4つの手順は、どんなクレームにも使えますが、実際の場面では、相手が何を一番求めているかによって、力を入れるところが変わります。ここでは、よくある場面を5つ取り上げて、対応の進め方の例を紹介します。
例1:注文した商品が届かない
届かないことへの不満は、「いつ届くのか分からない」不安から生まれることがほとんどです。まず注文番号を確かめ、配送の状況を調べて、分かっている事実をそのまま伝えます。届く日が分からない場合でも、「配送業者に確認し、本日の17時までに状況をお知らせします」のように、次に連絡する時刻を約束します。お客様が使う予定の日に間に合わないことが分かったら、別の便での再発送や、キャンセルと返金など、選べる対応を示して、お客様に選んでもらいます。
例2:届いた商品が壊れていた、作業の仕上がりが違った
商品の不具合や仕上がりの違いは、こちらに原因がある可能性が高い場面です。どの部分がどのような状態かを確かめ、可能なら写真を送ってもらいます。写真を求めるときは、「お手数ですが、状況を正確に確認するため」と理由を添えます。原因がこちらにあると分かったら、きちんと謝罪し、交換、修理、作業のやり直しなど、できる対応を伝えます。返送の手間や送料をお客様に負担させないことも、気持ちを落ち着けるうえで大切です。
例3:料金や契約の条件が違うと言われた
料金の行き違いは、こちらの説明の分かりにくさが原因になっていることがよくあります。まず、お客様がどの説明を見て、どう理解したのかを聴きます。そのうえで、契約の書面や申し込みの画面を一緒に確かめます。お客様の思い違いだった場合でも、「分かりにくい表示で申し訳ございません」と伝え、記録に残して、説明の文面を見直すきっかけにします。
例4:返事が遅い、たらい回しにされたと言われた
対応そのものへの不満は、もとの問題とは別のクレームとして受け止めます。まず、返事が遅れたことや、何度も説明させたことをお詫びし、この先は自分が窓口として最後まで対応すると伝えます。担当がはっきりするだけで、お客様の不安は大きく減ります。記録を見ながら経緯を確かめ、お客様に同じ説明を繰り返させないようにします。
例5:「責任者を出せ」と言われた
「責任者を出せ」と言われたときは、すぐに断るのも、すぐに代わるのも避けたい対応です。まず、「責任者にも必ず共有いたします。そのうえで、このまま担当としてお話を伺い、責任を持って対応いたします」と伝え、話を聴きます。それでも求められる場合や、内容が担当者の判断を超える場合は、責任者に引き継ぎます。引き継ぐときは、それまでの経緯を責任者に伝え、お客様に同じ話をさせないようにします。
電話・メール・窓口での対応の違い
クレームは、受け付ける経路によって、気をつけることが違います。
電話での対応
電話は、声の調子で気持ちが伝わりやすい一方で、言った言わないの行き違いが起きやすい経路です。
- 名乗ってから話を聴き、相手の名前と連絡先を最初に確かめる
- 話の要点をメモし、最後に「〇〇の件で、〇日までに〇〇いたします」と復唱する
- その場で答えられないことは、折り返しの時刻を約束して、いったん電話を終える
- 折り返しの約束は、必ず守る。遅れそうなら、約束の時刻の前に一度連絡する
メールや問い合わせフォームでの対応
メールやフォームは、やり取りが文章で残るので、記録としては扱いやすい経路です。一方で、文章は表情や声の調子が伝わらないため、こちらの書き方しだいで冷たく受け取られることがあります。
- 届いたら、まず「受け付けました」という返事を早めに送る
- 返信では、相手の書いた内容を要約して、正しく理解していることを示す
- 結論、理由、今後の対応、連絡先の順に、短い段落で書く
- 決まった文面をそのまま貼り付けたように見えないよう、相手の状況に合わせて書き直す
窓口や訪問先での対応
対面では、言葉だけでなく、表情や姿勢も見られています。
- 立ったまま話を聞き続けず、落ち着いて話せる場所に案内する
- メモを取りながら聴き、内容を確かめるときにメモを見せる
- 1人で対応しきれないと感じたら、ほかの人を呼ぶ
どの経路でも共通するのは、最初の返事を早くすること、約束した期限を守ること、そしてやり取りを記録に残すことです。
言ってはいけない言葉と、言い換えの例
クレーム対応では、何気ない一言が相手の怒りを強めることがあります。よくある例と、言い換えの例を紹介します。
| 避けたい言葉 | なぜ避けるか | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「でも」「ですが」 | 言い訳から入ると、話を否定されたと感じる | 「おっしゃることはよく分かります。そのうえで、確認させてください」 |
| 「規則ですので」 | 理由の説明を放棄しているように聞こえる | 「〇〇の理由から、このような決まりにしております」 |
| 「担当ではないので分かりません」 | たらい回しにされたと感じる | 「担当の者に確認し、〇時までにご連絡いたします」 |
| 「普通はそんなことは起きません」 | お客様の扱い方が悪いと言っているように聞こえる | 「ご不便をおかけしております。状況を詳しくお聞かせください」 |
| 「たぶん大丈夫です」 | あいまいな約束は、あとで新たな不満になる | 「確認のうえ、確実なことをお伝えします」 |
| 「落ち着いてください」 | 気持ちを否定されたと感じる | 「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」 |
弥生のメディアでも、同社の担当者が、クレーム対応はお客様の気持ちに寄り添うことを一番に考えるよう話しています。
クレーム対応は、お客さまの気持ちに寄り添うことを一番に考えてください。「クレームにきちんと向き合ってくれている」と感じると、お客さまの気持ちは落ち着きます。 出典: media.yayoi-kk.co.jp
言葉づかいの正しさ以上に、「この人は自分の話に向き合ってくれている」と感じてもらえるかどうかが、クレームが落ち着くかどうかを左右します。
記録の残し方
クレーム対応で、あとから大きな差が出るのが記録です。記録が残っていないと、同じお客様から再び連絡があったときに経緯が分からず、担当者が代わるたびに同じ説明を求めることになります。また、同じ原因のクレームが何度起きているのかも分からないので、再発防止につなげられません。
記録しておく項目
1件のクレームごとに、少なくとも次の項目を残します。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 受付日時 | 最初に受け付けた日時 |
| 経路 | 電話、メール、問い合わせフォーム、窓口、SNSなど |
| お客様 | 名前、連絡先、注文番号や契約の内容 |
| 内容 | 何が起きたのか、何を求めているのか(できるだけ相手の言葉どおりに) |
| 分類 | 商品の不具合、説明の不足、対応の問題、配送など |
| 担当 | 誰が受け付け、誰が対応しているか |
| 対応の内容 | 何を確かめ、何を伝え、何を約束したか |
| 状態 | 受付、確認中、回答済み、完了など |
| 原因 | 確かめた結果、何が原因だったか |
記録で気をつけたいのは、感想ではなく事実を書くことです。「とても怒っていた」ではなく、「交換品の到着が遅れたことに強い不満を示し、明日までの到着を求めた」のように書くと、あとで読んだ人も同じように状況を理解できます。
記録には、お客様の名前や連絡先などの個人情報が含まれます。見られる人を対応に関わる人に限る、使い終わった記録をいつまで保管するかを決める、個人のパソコンや私物のスマートフォンに写さない、といった扱いの決まりも、記録の項目と一緒に決めておきます。
記録の場所を1つにする
記録が、担当者ごとのメモ帳、個人のメールの受信箱、チャットの会話に散らばっていると、誰が何を約束したのかを追えません。共有の表や、問い合わせを管理する仕組みに、1件ごとにまとめておくのが基本です。
件数が少ないうちは、共有のスプレッドシートに上の表の項目を列として作るだけでも十分に回ります。ただし、件数が増えると、メールやフォームで届いた内容を表に写す手間がかかり、写し忘れや、返信したかどうかが表に反映されていない、といったずれが起きやすくなります。
受け付けから返信までを1か所で回す道具
クレームの受け付け、担当の割り振り、状態の管理、返信を1か所で回す道具の選択肢の1つが、Halictです。公式サイトによると、Halictはフォームで受け付けた1件ごとに担当と状況(ステージ)を残し、返信も同じ画面から送れて、開封まで記録されます。届いた回答を表で管理し、担当や状況の列を手で埋め、返信はメールソフトで送る、という作業を1つにまとめる道具として作られています。
クレームの受け口に使う場合、たとえば次のような使い方ができます。
- 問い合わせのフォームに「ご用件の種類」「注文番号」「発生した日」「ご希望の対応」の項目を作り、最初から事実を聞き取れる形にする
- 届いた1件ごとに担当を決め、「受付」「確認中」「回答済み」「完了」のような状況を付けて、対応の漏れを防ぐ
- 自動返信で、受け付けたことと、返事の目安をすぐに伝える
- 返信を同じ画面から送り、誰がいつ何を伝えたかを1件の記録として残す
料金は、1人で使うなら無料で、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限です。自動返信とCSVの書き出しは無料のプランから使えます。メンバー3人まで使えるスターターのプランは月額2,980円(税抜)で、Googleスプレッドシートとの連携が加わり、10人まで使えるチームのプランは月額7,800円(税抜)で、Slack、Teams、Chatworkへの通知などが加わります。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
電話や窓口で受けたクレームも、対応したあとに同じ場所へ記録しておくと、経路が違っても1件の経緯としてまとめて追えます。どの道具を使う場合でも、記録の項目と状況の分け方を先に決めておくことが大切です。
最初の返事を早くする仕組み
クレームがこじれる原因として最も多いものの1つが、最初の返事の遅さです。お客様は、不満を伝えたあと、相手が受け止めてくれたのかどうか分からない時間が長いほど、不安と怒りを強めます。解決そのものに時間がかかる場合でも、「受け付けました」「いつまでにお答えします」という最初の返事だけは、できるだけ早く届ける仕組みを作っておきます。
具体的には、次のような方法があります。
- 問い合わせの受け口を1つにまとめ、届いたものが必ず誰かの目に入るようにする
- 受け付けたことを知らせる自動の返信を設定し、返事の目安の日時を書いておく
- その日の受け付けの担当を決め、担当が不在の日の代わりの人も決めておく
- 営業時間外や休日に届いたものは、次の営業日の午前中に必ず最初の返事を送ると決める
小さな会社では、問い合わせのメールが代表者の個人の受信箱に届き、忙しい日には何日も開かれない、ということが起きがちです。受け口を共通の窓口にし、複数の人が見られるようにしておくだけでも、最初の返事の遅れはかなり防げます。
社内での共有と、再発防止の進め方
クレームは、1件ずつ解決して終わりにすると、同じ原因のクレームが繰り返されます。記録を見返し、原因をつぶしていく作業を、決まったリズムで続けることが大切です。
月に1回、記録を見返す
月に1回ほど、その月に受け付けたクレームの記録を、分類ごとに並べて見返します。見るのは、次の3点です。
- どの分類のクレームが多かったか
- 同じ原因のクレームが、何度起きているか
- 返事が遅れたり、約束を守れなかったりした件はないか
たとえば、「配送が遅い」というクレームが毎月同じ時期に増えているなら、その時期の発送の体制を見直す必要があります。「料金の条件が分からなかった」というクレームが続くなら、料金の説明の文面を書き直します。
原因に手を打つ
原因が見えたら、誰が、いつまでに、何を直すかを決めます。説明の文面を直す、注意事項をWebサイトの目立つ場所に載せる、確認の手順を1つ加える、といった小さな改善でも、同じクレームが減れば十分な成果です。直したあとは、翌月以降に同じ分類のクレームが減ったかを確かめます。
質問と答えの一覧を公開する
同じ質問から始まるクレームが多い場合は、その答えを質問と答えの一覧としてWebサイトに載せておくと、お客様が自分で答えを見つけられ、不満が大きくなる前に解消できます。
対応した人を守る
強い言葉を受けた担当者は、気持ちが疲れています。対応のあとに短い休憩をとってもらう、責任者が声をかける、といった配慮も、続けて対応できる体制を作るうえで欠かせません。
返信の文面の例
メールや問い合わせフォームでクレームに返信するときの文面の例を紹介します。商品の不具合について、交換で対応する場合です。
件名:ご注文の商品についてのお詫びとご対応のご案内
〇〇様
このたびは、ご注文いただいた商品に不具合があり、ご不便をおかけして申し訳ございません。お送りいただいた写真を拝見し、外箱の角の部分が破損していることを確認いたしました。
本日、新しい商品を発送いたしました。明後日の午前中にお届けの予定です。お手元の商品は、同封の返送用の伝票でお送りください。返送の送料は、こちらで負担いたします。
今回の破損は、梱包の際の緩衝材が不足していたことが原因と考えております。今後は梱包の手順を見直し、同じことが起きないよう努めてまいります。
ご連絡いただき、ありがとうございました。ほかにもご不明な点がございましたら、このメールにご返信ください。
この例のように、お詫び、確かめた事実、こちらの対応、原因と今後の改善、感謝の順に書くと、読み手が必要なことを順に受け取れます。決まった文面を使う場合も、確かめた事実の部分は、必ずそのお客様の状況に合わせて書きます。
クレーム対応のマニュアルの作り方
クレーム対応を担当者個人の経験に任せていると、人によって対応がばらつき、担当者が休んだときに対応が止まります。小さな会社でも、最低限のマニュアルを作っておくと、誰が受けても同じ水準で対応できます。
マニュアルに書いておきたいのは、次の5つです。
- 基本の手順:話を聴く、事実を確かめる、解決策を伝える、お詫びと感謝で締める、の4つと、それぞれで言う言葉の例
- 担当者が判断してよい範囲:交換や返金をどこまで担当者の判断で決めてよいか、金額の上限など
- 引き継ぎの決まり:どんなときに責任者に引き継ぐか、責任者が不在のときは誰に連絡するか
- 記録の項目と場所:何を、どこに記録するか
- 返事の期限:最初の返事と、回答までの期限の目安
2つ目の「判断してよい範囲」を決めておくことは、特に大切です。範囲が決まっていないと、担当者はすべてを責任者に確かめなければならず、返事が遅れます。逆に、範囲を決めずに担当者に任せると、人によって対応が違い、ほかのお客様との間で不公平が生まれます。
マニュアルは、一度作って終わりではありません。月に1回の記録の見返しで、新しい種類のクレームが見つかったら、その対応の例を書き加えていきます。
通常のクレームと、悪質な要求の見分け方
クレームの多くは、誠実に対応すれば落ち着きます。しかし、なかには、どれだけ説明しても要求がエスカレートし、通常の対応の範囲を超えてしまうものもあります。いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)です。
厚生労働省は、2026年(令和8年)10月1日から、働く人を雇う事業主にカスハラへの対策を義務づけています。厚生労働省の職場におけるハラスメントの防止のページで案内されているリーフレットでは、お客様からの苦情のすべてがカスハラにあたるわけではないとしたうえで、要求の内容が許される範囲を超えるもの(理由のない要求、契約を大きく超える要求、不当な損害賠償の要求など)と、手段や態度が許される範囲を超えるもの(暴言、脅迫、土下座の強要、長時間の居座りや拘束、しつこく続く言動など)を、典型的な例として挙げています。
通常のクレーム対応から切り替える目安としては、次のようなものがあります。
- 解決策を十分に説明しても、同じ要求が何度も繰り返される
- 要求が、商品やサービスと関係のない内容に広がる
- 大声、暴言、脅しなど、手段や態度が許される範囲を超える
- 担当者個人への攻撃や、長時間の拘束が続く
こうした状態になったら、担当者が1人で抱えず、責任者に引き継ぎます。最初から決めつけずに通常のクレームとして対応し、目安を超えたら社内の決まりに沿って対応を切り替える、という順番が大切です。
仕事の種類ごとに見る、クレーム対応の力が生きる場面
最後に、クレーム対応の力がどんな仕事で求められるかを見ておきます。
病院や診療所の受付や会計の仕事では、患者さんやご家族からの苦情に向き合う場面があります。医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)では、医療機関の受付や会計の仕事に必要な知識を確かめる資格を紹介しています。待ち時間や会計の金額への不満の背景には、病気への不安があることも多く、話を最後まで聴く姿勢が特に大切になります。
問い合わせへの返事を早くする方法として、よく寄せられる質問への回答をAIで自動化する取り組みもあります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業の業務にAIを取り入れる支援の仕事を紹介しています。ただし、クレームにあたる連絡は自動の回答だけで済ませず、人が判断する経路に必ずつなぐ設計が必要です。
クレームがSNSで広がり、会社の評判に関わる事態になることもあります。不祥事・炎上対応のプロ!クライシスマネジメントの費用と対応ステップ【2026年版】では、そうした事態に外部の専門家の力を借りるときの費用と進め方を紹介しています。クレームの原因が会社の仕組みそのものにある場合は、中小企業診断士のような経営の専門家に、業務の流れの見直しを相談する方法もあります。
2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、発注した側と受けた側のトラブルが大きくなるのは、作業の中身そのものより、返事の遅れや、約束の範囲があいまいだったことがきっかけになる場合が目立ちます。仕事を始める前に範囲と納期と修正の回数を文書で確かめ、やり取りを1か所に残している人ほど、不満を伝えられたときも落ち着いて事実を確かめ、解決策を示せています。仲介の手数料がかからない直接の取引では、間に入る窓口がない分、こうした記録と返事の早さが、そのまま信頼につながります。
よくある質問
Q. クレーム対応で最初にすることは何ですか?
相手の話を途中で遮らずに、最後まで聴くことです。こちらに言い分があっても、一通り話が終わるまでは口をはさみません。最初のお詫びは、相手が嫌な思いをしたことや手間をかけさせたことに対するものにとどめ、原因がどこにあるかは、事実を確かめてから伝えます。話を聴きながら、相手が一番求めていることを見極めます。
Q. クレームを受けたら、すぐに謝ったほうがよいですか?
相手が不快な思いをしたことに対しては、すぐにお詫びを伝えます。ただし、原因が分からないうちに「すべてこちらの責任です」と言い切ると、あとで事実が違った場合や、要求が大きくなった場合に対応しにくくなります。気持ちへのお詫びと、責任の範囲を伝えることを分け、事実を確かめたうえで、こちらに原因があれば改めてきちんと謝罪します。
Q. クレームの記録には何を残せばよいですか?
受付日時、経路、お客様の情報、起きたことと求めていること、分類、担当、対応の内容、状態、原因を1件ごとに残します。感想ではなく事実を書くのがこつです。記録は担当者ごとのメモに散らさず、共有の表や問い合わせを管理する仕組みにまとめておくと、担当が代わっても経緯を追え、再発防止にも使えます。
Q. どこからが通常のクレームではなく、悪質な要求になりますか?
十分に説明しても同じ要求が繰り返される、要求が商品やサービスと関係のない内容に広がる、暴言や脅し、長時間の拘束が続く、といった状態が目安です。苦情のすべてが悪質なわけではないので、最初は通常のクレームとして対応し、目安を超えたら担当者が1人で抱えず、責任者に引き継いで社内の決まりに沿って対応を切り替えます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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