CCPMとは|バッファで納期を守るプロジェクト管理の方法


この記事のポイント
- ✓作業ごとの余裕を取り除いてプロジェクトの最後にまとめて持たせ
- ✓そのバッファの減り方で進み具合を管理する方法です
- ✓クリティカルパスとの違い
プロジェクトの納期がいつもぎりぎりになる、余裕を持って計画したはずなのに結局遅れる、という悩みを抱えている人は少なくありません。CCPMとは、クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメントの略で、作業ごとに持たせていた余裕を取り除き、プロジェクトの最後にまとめて持たせ、そのまとめた余裕(バッファ)の減り方で進み具合を管理する方法のことです。この記事では、CCPMの考え方、従来の管理方法との違い、遅れが生まれる理由、導入の手順、バッファの決め方、進み具合の見方、小さなチームでの使い方までを順に説明します。作業と担当と期限をチームで共有する道具として、プロジェクト管理ツールのPinatecaにも後半で触れます。
CCPMの基本の考え方
CCPMは、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラットが提唱した制約理論(TOC、仕事の流れ全体の成果は、最も弱い1か所によって決まるという考え方)を、プロジェクトの管理に当てはめたものです。ゴールドラットは1997年に、この方法を小説の形で紹介した『クリティカル・チェーン』を出版しました。
CCPMの考え方は、次の3つにまとめられます。
- 作業ごとの余裕を取り除く:一人ひとりの作業の見積もりに含まれている「念のための余裕」を外し、順調にいけば終わる時間で計画する
- 余裕をまとめて持つ:取り除いた余裕の一部を、プロジェクトの最後に「プロジェクトバッファ」としてまとめて持たせる
- バッファの減り方で管理する:個々の作業が予定どおりかではなく、全体のバッファがどれくらい減ったかを見て、手を打つかどうかを決める
作業ごとに余裕を持たせる従来のやり方では、余裕は作業の担当者の手元に分散しています。CCPMでは、余裕をプロジェクト全体の共有の財産として1か所に集めます。早く終わった作業の余りも、遅れた作業の不足も、同じバッファの中で相殺できるため、全体として納期を守りやすくなります。
作業ごとに余裕を持たせても遅れる理由
CCPMが生まれた背景には、「作業ごとに十分な余裕を持たせているのに、なぜプロジェクトは遅れるのか」という問いがあります。主な理由は次の4つです。
学生症候群
締切までに時間があると、作業を始めるのをぎりぎりまで先延ばしにしてしまう傾向のことです。試験の前日になってから勉強を始める学生にたとえて、こう呼ばれます。見積もりに余裕を持たせても、その余裕は作業の開始の遅れで使われてしまい、実際に作業を始めたときには余裕が残っていません。
パーキンソンの法則
仕事の量は、使える時間をすべて満たすまで膨らむ、という考え方です。5日の見積もりの作業が3日で終わりそうでも、残りの2日を使って細かな手直しを続け、結局5日かかってしまいます。
早く終わっても報告しない
予定より早く作業が終わっても、次の作業の担当者にすぐ渡さず、予定の日まで自分の手元にとどめておくことがあります。早く終わったと報告すると、次回から見積もりを短くされるのではないか、という心配があるためです。この結果、早く終わった分の時間は次の作業に引き継がれず、遅れた分だけが積み重なります。
掛け持ちによる切り替え
一人の担当者が複数の作業を同時に進めると、作業を切り替えるたびに、前の作業を思い出す時間や準備の時間がかかります。複数の作業を少しずつ進めると、どの作業も終わるのが遅くなります。
これらの理由は、担当者の怠けや不誠実さから生まれるものではありません。締切が先にあれば他の急ぎの仕事を先に片付けたくなり、時間があれば品質を高めたくなり、見積もりを短くされるのを避けたくなるのは、ごく自然な心の動きです。CCPMは、こうした人の自然な動き方を前提にして、計画と管理の仕組みの側で手当てしようとする方法だといえます。
このような理由で、作業ごとに持たせた余裕は、プロジェクト全体の納期を守るためにほとんど役立っていない、というのがCCPMの出発点です。
クリティカルパスとクリティカルチェーンの違い
従来のプロジェクトの管理では、クリティカルパスという考え方がよく使われます。クリティカルパスとは、作業の前後の関係をたどったときに、最も時間がかかる作業のつながりのことです。この経路の作業が1日遅れると、プロジェクト全体が1日遅れます。
クリティカルチェーンは、このクリティカルパスに、人や設備などの資源の取り合いを加えて考えたものです。たとえば、作業Aと作業Bは前後の関係がなく同時に進められるはずでも、両方を同じ担当者が受け持つなら、実際には順番に進めるしかありません。この資源の制約まで考えたときに、最も時間がかかる作業のつながりがクリティカルチェーンです。
違いを整理すると次のとおりです。
| 項目 | クリティカルパス | クリティカルチェーン |
|---|---|---|
| 考えるもの | 作業の前後の関係 | 作業の前後の関係と資源の制約 |
| 余裕の持ち方 | 作業ごとに持つ | まとめてバッファとして持つ |
| 進み具合の見方 | 各作業が予定どおりか | バッファがどれくらい減ったか |
| 担当者の掛け持ち | 前提として許される | できるだけ避ける |
クリティカルパスの考え方が間違っているわけではありません。CCPMは、クリティカルパスの考え方に、人の動き方と資源の制約を加えて、より実際に近い計画を立てようとする方法だと考えると分かりやすくなります。
CCPMの3種類のバッファ
CCPMでは、目的の違う3種類のバッファを使います。
プロジェクトバッファ
クリティカルチェーンの最後、つまりプロジェクトの完了の直前に設けるバッファです。クリティカルチェーン上の作業の遅れを吸収し、プロジェクト全体の納期を守るためのものです。CCPMのバッファの中心になります。
合流バッファ
クリティカルチェーンではない作業のつながり(枝分かれした作業)が、クリティカルチェーンに合流する直前に設けるバッファです。枝分かれした作業が遅れても、クリティカルチェーンの作業の開始が遅れないようにするためのものです。
資源バッファ
クリティカルチェーン上の作業を担当する人や設備が、必要なときに確実に使えるようにするための備えです。時間の余裕ではなく、「次の作業が近づいたら担当者に知らせる」といった仕組みとして持つことが多く、作業の前の作業が終わりそうになったら、次の担当者が準備を始めるようにします。
CCPMの導入の手順
CCPMは、次の手順で計画を立てます。
ステップ1:作業を洗い出す
プロジェクトに必要な作業を洗い出し、作業の前後の関係を決めます。作業は、担当者が1人で受け持てて、数日から2週間程度で終わる大きさに分けます。作業の分け方が粗いと、見積もりの精度が落ち、バッファの計算も不正確になります。
ステップ2:作業ごとに2つの見積もりを出す
作業ごとに、「余裕を含めた見積もり」と「順調にいけば終わる見積もり」の2つを出します。後者は、確率50%、つまりその時間で終わる場合と終わらない場合が半々くらいの見積もりとされることが多くあります。
システム開発の分野の解説記事は、この「ぎりぎりの計画」の立て方について、次のように説明しています。
精度の高い「ぎりぎりの計画」を立てるコツはWBSをきちんと分解することです。分解された個々のタスクを“順調に行ったとして”と仮定して計画を立てることにより、全体の予定が“ぎりぎり”となるのです。 出典: products.sint.co.jp
WBSとは、プロジェクトの成果物や作業を、段階的に細かく分けて一覧にしたもののことです。作業を細かく分けるほど、一つひとつの作業の「順調にいけば」の見積もりが立てやすくなります。
ステップ3:資源の取り合いを調整する
同じ担当者が同時に複数の作業を受け持つことにならないよう、作業の順番を調整します。この調整をしたうえで、最も時間がかかる作業のつながりを、クリティカルチェーンとして特定します。
ステップ4:バッファを設ける
クリティカルチェーンの最後にプロジェクトバッファを設け、枝分かれした作業がクリティカルチェーンに合流する場所に合流バッファを設けます。バッファの大きさの決め方は、後の節で説明します。
ステップ5:作業の進め方の決まりを作る
CCPMでは、計画の立て方だけでなく、作業の進め方の決まりが大切です。主な決まりは次のとおりです。
- 前の作業が終わったら、すぐに次の作業を始める(リレーの走者のように、バトンを受け取ったら走り出す)
- 作業が終わったら、予定の日を待たずにすぐに報告する
- 担当者は、できるだけ1つの作業に集中し、掛け持ちを避ける
- 担当者は、作業の残りの日数を毎日報告する
特に大切なのが、「早く終わったら、すぐに報告する」という決まりです。この決まりを守ってもらうには、早く終わったことを理由に、次回の見積もりを一方的に短くしない、と管理する側が約束する必要があります。
見積もりの出し方のこつ
CCPMの計画の質は、作業ごとの見積もりの質で決まります。担当者が「順調にいけば」の見積もりを出しやすくするには、次の工夫が役立ちます。
- 作業を十分に細かく分ける:2週間を超える作業は、中身が見えにくく、見積もりがぶれやすい。数日で終わる大きさまで分けると、順調にいった場合の姿を思い描きやすくなる
- 過去の実績を参考にする:似た作業に実際にかかった日数の記録があれば、それを出発点にする。記録がなければ、今回のプロジェクトから記録を始める
- 2つの見積もりを同時に出してもらう:余裕を含めた見積もりと、順調にいけば終わる見積もりを並べて出してもらうと、担当者が自分の見積もりの中の余裕を意識できる
- 見積もりを担当者に任せる:管理する人が一方的に短い見積もりを決めると、担当者の納得が得られない。見積もりは作業をする本人が出し、管理する人は根拠を一緒に確かめる役に回る
見積もりの精度は、プロジェクトを重ねるごとに上がっていきます。実際にかかった日数と2つの見積もりを毎回記録しておくと、次のプロジェクトで「この種類の作業は、順調にいっても見積もりの何割増しになりやすいか」が分かるようになります。
バッファの決め方
バッファの大きさの決め方には、いくつかの方法があります。よく紹介されるのは、作業ごとに取り除いた余裕の合計の半分を、プロジェクトバッファにする方法です。
たとえば、クリティカルチェーン上に5つの作業があり、それぞれ余裕を含めた見積もりが10日、順調にいけば6日だったとします。作業ごとに4日ずつ、合計20日の余裕を取り除いたことになります。その半分の10日をプロジェクトバッファにすると、計画の全体は「6日×5作業+バッファ10日=40日」になり、余裕を含めた見積もりの合計の50日より10日短くなります。
前述のシステム開発の分野の解説記事は、正規の計画からぎりぎりの計画を差し引いた分をバッファとして準備する手順を紹介したうえで、余裕の見積もりの難しさについて次のように書いています。
どの程度を余裕とみなすかは人に依存しますので、人に依ってはほとんどバッファが出てこないケースがあります。そのため、当社では正規の計画から一律20%を余裕としてスコーンとバッファにまわすという荒っぽいやり方を採っています。 出典: products.sint.co.jp
人によって余裕の見積もり方が違うため、正規の計画から一律に20%をバッファに回す、という簡単なやり方も、現場では実際的な選択肢になります。バッファが大きすぎると、計画の全体が長くなり、学生症候群やパーキンソンの法則が再び顔を出します。小さすぎると、少しの遅れで赤になり、手を打つ場面ばかりになります。最初のプロジェクトでは目安の方法で決め、終わったあとに実際に使ったバッファの量を振り返って、次のプロジェクトの決め方を調整していきます。
大切なのは、バッファの計算の厳密さより、バッファをチームの共有の財産として扱い、その減り方を全員で見ることです。
合流バッファは、合流する枝分かれの作業について、同じ考え方で余裕の半分程度を目安に決めます。
計画の例
小さなWebサイトの制作のプロジェクトを例に、CCPMの計画を立ててみます。作業と担当と見積もりは次のとおりとします。
- 要件の整理(担当A):余裕を含めて10日、順調にいけば6日
- デザインの作成(担当B):余裕を含めて10日、順調にいけば6日
- 原稿の作成(担当C):余裕を含めて8日、順調にいけば5日(デザインと並行して進める枝分かれの作業)
- ページの組み立て(担当D):余裕を含めて12日、順調にいけば7日
- 確認と修正(担当A):余裕を含めて6日、順調にいけば4日
クリティカルチェーンは、要件の整理、デザインの作成、ページの組み立て、確認と修正のつながりです。順調にいけば合計23日で、余裕を含めた見積もりとの差は15日です。その半分を目安に、プロジェクトバッファを8日とします。原稿の作成はデザインの作成と並行して進め、ページの組み立ての前に合流するため、取り除いた余裕3日の半分程度として、合流バッファを2日とします。
この結果、社内の計画は「23日+プロジェクトバッファ8日=31日」になります。余裕を含めた見積もりをそのまま積み上げた場合の38日より、7日短い計画です。発注者には、31日にさらに数日の余裕を加えた納期を伝え、社内では31日での完了を目指します。
進めていく途中で、デザインの作成が2日遅れたとします。このときは、個々の作業の遅れを責めるのではなく、「クリティカルチェーンの進み具合に対して、プロジェクトバッファを2日(25%)使った」と捉え、3色のどこにいるかを確かめて手を打つかどうかを決めます。
バッファの減り方で進み具合を見る
CCPMの進み具合の管理では、個々の作業が予定どおりかどうかではなく、「プロジェクトの進み具合に対して、バッファがどれくらい減ったか」を見ます。
3色で判断する
よく使われるのが、プロジェクトの進み具合(クリティカルチェーンの作業がどれだけ終わったか)と、バッファの消費の割合(バッファのうちどれだけを使ったか)を比べる方法です。比べた結果を、次の3色で判断します。
- 緑:バッファの消費が、進み具合に比べて少ない。そのまま進める
- 黄:バッファの消費が、進み具合に比べてやや多い。遅れを取り戻す手を準備する
- 赤:バッファの消費が、進み具合に比べて大きく多い。すぐに手を打つ
たとえば、プロジェクトの進み具合が50%のときに、バッファを30%しか使っていなければ緑、60%使っていれば黄、80%使っていれば赤、というように判断します。どこで色を分けるかは、チームで事前に決めておきます。縦軸にバッファの消費の割合、横軸に進み具合をとったグラフに、毎週の状況を点で書き込んでいくと、傾向が一目で分かります。このグラフは、その形からフィーバーチャート(熱の上がり下がりを記録する体温表にたとえたもの)と呼ばれます。
遅れへの手の打ち方
黄や赤になったときは、次のような手を打ちます。
- クリティカルチェーン上の作業に、人を応援に回す
- 担当者が掛け持ちしている作業を外し、クリティカルチェーンの作業に集中してもらう
- 作業の順番を見直し、並行して進められる部分を探す
- 発注者と相談し、作業の範囲を調整する
進み具合とバッファの消費の割合は、毎日でなくても、週に1回か2回、決まった曜日に記録すれば十分です。担当者から毎日報告してもらう「作業の残りの日数」をもとに、クリティカルチェーンの進み具合を計算します。完了した割合ではなく残りの日数で聞くのは、「8割終わった」という報告が、残りの2割に予想以上の時間がかかって当てにならないことが多いためです。
3色で判断する仕組みの良いところは、小さな遅れにいちいち反応しなくて済むことです。緑の間は、多少の遅れはバッファが吸収してくれるため、管理する人も担当者も落ち着いて作業に集中できます。
複数のプロジェクトを並行して進めるとき
実際の職場では、1つのチームが複数のプロジェクトを同時に抱えていることがほとんどです。CCPMでは、こうした場面について次のように考えます。
まず、チームの中で最も忙しい人や設備、つまり仕事の流れを決めている制約を見つけます。たとえば、デザインの担当者が1人しかおらず、すべてのプロジェクトでその人の作業を待っているなら、その人が制約です。
次に、各プロジェクトの開始の時期を、制約になっている人の作業が重ならないようにずらします。すべてのプロジェクトを同時に始めると、制約の人がすべての作業を掛け持ちすることになり、どのプロジェクトも遅れます。開始をずらすと、一見すると始まりが遅くなりますが、制約の人が1つずつ作業に集中できるため、全体としては早く終わります。
さらに、プロジェクトごとのバッファの状況を一覧にし、赤や黄のプロジェクトから優先して人を回します。どのプロジェクトを優先するかの判断が、担当者や管理する人の勘ではなく、バッファの状況という共通の物差しで行えるようになります。
CCPMのメリットとつまずきやすい点
メリット
- 納期を守りやすくなる:余裕を1か所に集めることで、作業ごとの遅れと早まりが相殺される
- 計画の全体が短くなる:作業ごとの余裕の合計より、まとめたバッファのほうが小さくて済む
- 管理の判断が分かりやすい:バッファの減り方の3色で、手を打つべきかどうかを判断できる
- 担当者が作業に集中できる:掛け持ちを避け、1つの作業に集中する決まりで、作業の効率が上がる
つまずきやすい点
- 見積もりを短くすることへの抵抗:担当者は、余裕を取り除いた見積もりで評価されることを心配する。「順調にいけば」の見積もりで終わらなくても責めない、という合意が欠かせない
- 掛け持ちをなくすのが難しい:小さな会社ほど、一人が複数のプロジェクトを受け持つ。完全になくすのではなく、同時に進める作業の数を減らすところから始める
- 発注者への説明:社内の計画ではバッファを持つが、発注者には余裕を含めた納期を伝える、という二重の計画になる。前述の解説記事でも、「ぎりぎりの計画(内部目標)」と「正規の計画(外部公表値)」の両方を見積もることが勧められている
- 道具の不足:一般的なプロジェクト管理ツールの多くは、バッファの消費の管理を標準の機能として持っていない。表計算ソフトで補うか、専用の道具を検討する
導入の前にチームで合意すること
CCPMは、計画の立て方を変えるだけでは効果が出ません。チームの働き方の決まりを変える方法なので、導入の前に次の点をチームで話し合い、合意しておきます。
- 見積もりの扱い:「順調にいけば」の見積もりは、約束ではなく目安であること。超えても個人の責任を問わないこと
- 早く終わったときの扱い:早く終わったらすぐに報告し、次の人に渡すこと。早く終わったことを理由に、次回の見積もりを一方的に短くしないこと
- 掛け持ちの扱い:同時に手をつける作業の数の上限を決めること。上司や他の部署から急な仕事を頼まれたときに、誰が優先順位を判断するかを決めること
- 報告の方法:作業の残りの日数を、いつ、どの方法で報告するかを決めること
これらの決まりは、管理する人が守る約束でもあります。担当者に早い報告を求めるなら、管理する人は早く終わった分を評価する側に回る必要があります。導入の初めの数か月は、決まりがうまく回っているかを週に1回チームで振り返る場を設けると、定着しやすくなります。
小さなチームでCCPMを使うには
CCPMは、大きなプロジェクトだけのものではありません。数人のチームや、個人で複数の仕事を受けている人にも、考え方は応用できます。
まずは考え方の一部から取り入れる
いきなりすべての手順を取り入れるより、次のような一部から始めると、無理なく効果を確かめられます。
- 作業ごとの見積もりを2つ出す習慣をつける
- 早く終わったら、すぐに次の人に渡す決まりを作る
- 同時に手をつける作業の数を、1人あたり2つまでに絞る
- プロジェクトの最後に、まとめた余裕の日数を確保し、その減り方を週に1回確かめる
道具の選び方
CCPMの計画と進み具合の管理は、規模が小さければ表計算ソフトで十分に行えます。作業の一覧に、余裕を含めた見積もり、順調にいけば終わる見積もり、実際にかかった日数の3つの列を作り、バッファの残りを計算する列を加えれば、基本の管理はできます。
一方で、複数人で作業を受け持ち、担当と期限と進み具合を共有したい場面では、プロジェクト管理ツールを使う方法があります。代表的なツールの1つのBacklogにはガントチャートの機能があり、公式ブログでは2027年1月1日にプランを改定し、現行のプランの新規契約は2026年12月31日までで終わること、フリープランのユーザーの上限を10名から5名に変えることが告知されています。カンバン形式のTrelloの無料のプランは、公式の料金ページによると、1つのワークスペースあたり10人まで、ボードは10枚までで、カレンダーやタイムラインの表示は上位のプランの機能とされています。
選択肢の1つとして、ボードで仕事を進めるプロジェクト管理のPinatecaもあります。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料のプランから使えます。ガントのボードでは、カードの期間が横棒で並び、今日の線で遅れている作業が一目で分かり、担当者別に絞り込めます。人やチームごとに負荷の偏りを見るリソースボードもあり、CCPMで大切な「担当者の掛け持ちを減らす」ための確認に使えます。カードには見積もりの工数などの項目を自由に追加できるため、「順調にいけば」の見積もりと、余裕を含めた見積もりを、カードごとに記録できます。公式の料金ページでは、5人までのチームなら期限なしで無料、ボードは10個まで、クレジットカードの登録は不要とされています。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(税抜)です。バッファの消費の割合の計算や3色の判断は、表計算ソフトなどで別に行い、Pinatecaは作業と担当と期限の共有に使う、という分担が現実的です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
他の管理方法との組み合わせ
CCPMは、ほかのプロジェクトの管理方法と組み合わせて使うこともできます。
WBSとは、先に触れたとおり、成果物や作業を段階的に細かく分けて一覧にしたものです。CCPMの計画の出発点になる作業の洗い出しは、WBSを作る作業そのものです。WBSを丁寧に作るほど、作業ごとの見積もりの精度が上がり、クリティカルチェーンも正しく見つけられます。
短い期間の区切りを繰り返して少しずつ成果物を作るアジャイル型の開発では、区切りごとに作業の範囲を見直すため、CCPMのように最初に全体の計画を固める方法とは考え方が違います。ただし、発売日などの動かせない期日がある場合は、区切りの回数の全体に余裕を持たせ、その余裕の減り方を見る、というCCPMの考え方を部分的に取り入れることができます。
カンバン方式(作業をカードにして「未着手」「作業中」「完了」などの列で動かし、作業中の数に上限を設ける方法)は、掛け持ちを減らすというCCPMの決まりと相性がよい方法です。作業中の列に入れられるカードの数を1人あたり2枚までに決めると、担当者が同時に手をつける作業の数を自然に絞れます。
CCPMが向いているプロジェクト
CCPMが特に効果を発揮しやすいのは、次のようなプロジェクトです。
- 納期の遅れが大きな損失につながるもの:製品の発売日が決まっている開発、決まった日に始まる行事の準備
- 作業の見積もりのばらつきが大きいもの:システムの開発、研究、新しい製品の設計
- 同じ人や設備を複数の作業で取り合うもの:専門の技術者が少ない開発、検査の設備を共有する製造
反対に、作業の内容と時間がほぼ決まっている繰り返しの仕事では、CCPMの効果は小さくなります。毎月同じ手順で行う作業であれば、標準の手順と時間を決めて管理するほうが向いています。
医療や介護の分野でも、施設の新しい開設や、記録のシステムの入れ替えなど、決まった日に向けて多くの作業を進めるプロジェクトには、CCPMの考え方が役立ちます。介護や福祉の事業所の記録のデジタル化については、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化で詳しく説明しています。
プロジェクト管理の力を仕事に生かす
CCPMのような方法を理解し、チームの計画と進み具合を管理できる力は、多くの仕事で求められます。システムの開発の分野では、情報処理推進機構(IPA)が国家試験としてプロジェクトマネージャ試験を実施しており、プロジェクトの計画と管理の力を確かめる目標になります。経営の視点から事業の計画と管理を学びたい人には、国家資格の中小企業診断士の解説も参考になります。
在宅ワークや業務委託の仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、外部の人に仕事を任せるプロジェクトほど、納期の遅れの原因は作業そのものより、受け渡しの待ち時間にあることが多いようです。作業が終わったらすぐに知らせる、受け取ったらすぐに始める、というCCPMの決まりは、発注者と受注者の間でもそのまま役立ちます。仲介の手数料が乗らない直接の取引であれば、やり取りの手間も費用も小さくなり、浮いた予算を余裕として持たせることもできます。アプリやシステムの開発を外部の人に任せる仕事の内容は、アプリケーション開発のお仕事で紹介されています。
よくある質問
Q. CCPMとクリティカルパス法の違いは何ですか?
クリティカルパス法は、作業の前後の関係から最も時間がかかる作業のつながりを見つけ、作業ごとに余裕を持たせて管理します。CCPMは、作業の前後の関係に人や設備の取り合いを加えてクリティカルチェーンを見つけ、作業ごとの余裕を取り除いてプロジェクトの最後にバッファとしてまとめ、その減り方で進み具合を管理します。
Q. CCPMのバッファはどれくらいの大きさにすればよいですか?
よく紹介されるのは、作業ごとに取り除いた余裕の合計の半分をプロジェクトバッファにする方法です。見積もりの出し方が人によって違う場合は、余裕を含めた計画の全体から一律に20%程度をバッファに回す、という簡単なやり方を採る現場もあります。計算の厳密さより、チームでバッファの減り方を定期的に確かめることが大切です。
Q. CCPMは小さなチームでも使えますか?
使えます。作業ごとに2つの見積もりを出す、早く終わったらすぐに次の人に渡す、同時に手をつける作業の数を絞る、プロジェクトの最後にまとめた余裕を確保してその減り方を週に1回確かめる、といった考え方の一部から取り入れると、無理なく効果を確かめられます。規模が小さければ、表計算ソフトで管理できます。
Q. CCPMを導入するときに最も気をつけることは何ですか?
余裕を取り除いた見積もりで計画することへの、担当者の抵抗です。「順調にいけば」の見積もりで終わらなくても責めない、早く終わったことを理由に次回の見積もりを一方的に短くしない、という合意をチームで作ることが欠かせません。この合意がないと、担当者は見積もりに余裕を隠し、CCPMの効果が出ません。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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