簿記2級の専門ライターの仕事


この記事のポイント
- ✓簿記2級を持つ人が会計・経理分野の専門ライターとして働くための実務ガイドです
- ✓求められる根拠の示し方
- ✓実務経験がない場合の埋め方までを具体的に整理しました
「簿記2級は持っているんですが、文章を書いた経験がありません。それでもライターの仕事はできるでしょうか」
このご相談、本当によくいただきます。そして、答えははっきりしています。できます。むしろ、会計や経理の分野では、文章がうまい人より、内容を間違えない人のほうが求められています。
理由は単純です。この分野の記事は、読者が実際にお金を動かす判断に使うからです。表現が多少ぎこちなくても、仕訳が正しく、数字に出典が付いていれば、記事としては成立します。逆に、読みやすくても勘定科目が間違っていれば、その記事は公開できません。
この記事では、簿記2級を持つ人が専門ライターとして仕事を受けるときに、何を求められ、どう根拠を示し、どうすれば単価が上がっていくのかを整理します。文章術の話は最小限にして、内容の作り方に絞ってお話しします。
会計分野のライターに、実際に求められていること
まず、依頼する側が何を期待しているのかを見ておきましょう。
会計や経理のテーマを扱うメディアには、共通の悩みがあります。書ける人が足りない、ということです。文章を書ける人はたくさんいます。会計を分かっている人もいます。ただ、その両方を持っている人は多くありません。
そのため、多くのメディアは「ライターが書いた原稿を、有資格者が監修する」という二段構えで運用しています。ただ、この形はコストがかかります。ライターへの報酬と監修料の両方が発生し、やり取りの往復も増えます。
だから、最初から会計を分かっているライターに書いてもらえるなら、そのほうが圧倒的に安く、速い。ここに、簿記2級を持つ人の居場所があります。
この点について、副業市場を扱う媒体でも同じ整理がされています。
簿記2級を取得していれば、副業市場においても高度な会計知識を有していることの証明になるため、経理の実務経験がなくても活躍することが可能です。 出典: lotsful.jp
実務経験がなくても、という部分に安心された方もいると思います。ただ、ここには少しだけ補足が必要です。実務経験がなくても始められるのは本当ですが、その代わりに「調べて確認する手間」を自分で引き受ける覚悟は要ります。分からないことを、分からないまま書かない。この一点だけは、経験の有無にかかわらず求められます。
どんな案件があるのか
案件の種類を整理しておきましょう。
会計ソフトを提供している会社のメディアが、件数としては最も多い分野です。ソフトの使い方、確定申告の手順、経理業務の効率化といったテーマで、継続的に記事が発注されます。1記事あたりの文字数は3,000字から8,000字程度が中心です。
税務や労務を扱う情報メディアも大きな発注元です。ただ、税務判断に踏み込む記事は税理士が書くか監修に入るため、ライターが担当するのは制度の解説や手続きの流れが中心になります。
経理職の転職メディアも安定した分野です。経理のキャリア、必要な資格、職務経歴書の書き方といったテーマで、簿記の知識と職場の実感の両方が求められます。
企業のオウンドメディアもあります。法人向けのサービスを提供している会社が、見込み客に向けて経理や財務の記事を出すケースです。単価は比較的高く、専門性の要求も高くなります。
会計事務所や税理士事務所のブログを代筆する仕事もあります。この場合、最終的な確認は事務所側が行うため、ライターの責任範囲は限定されます。始めやすい分野です。
どの分野に進むにしても、まずは書く仕事全体の相場観を持っておくと判断しやすくなります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場に職種別の統計がまとまっているので、自分の提示額が市場からどれくらい離れているかを確認する材料になります。
求められる根拠の示し方
ここからが、この記事の中心です。
会計分野のライティングで評価が分かれるのは、文章の巧拙ではありません。根拠の示し方です。ここを丁寧にやるだけで、他のライターとの差がはっきり出ます。
一次資料に当たる習慣をつける
制度や手続きについて書くとき、他のメディアの記事を参考にするのは危険です。その記事が古い制度のまま更新されていない可能性があるからです。
確認先は、原則として発行元です。税務であれば国税庁、社会保険であれば日本年金機構、中小企業向けの制度であれば中小企業庁。まずここを見る癖をつけてください。
一次資料は読みにくく、時間もかかります。でも、この手間を惜しまない人は、編集部から見るとすぐ分かります。原稿に出典が付いていて、その出典が発行元である。それだけで、確認の工数が大幅に減るからです。
数字には、出典と時点を必ず添える
会計や税務の数字は、制度改定で変わります。だから、数字を書くときは「いつ時点の情報か」をセットにします。
たとえば控除額や適用要件を書くとき、何年分の申告に適用されるものなのかを明記する。これがないと、読者が古い情報を今年のものとして使ってしまいます。
この習慣は、記事の寿命にも効いてきます。時点が書いてあれば、制度が変わったときにメディア側が更新箇所を特定できます。書いていないと、記事全体を読み直すことになります。更新しやすい原稿を書ける人は、長く重宝されます。
断定しない領域を、自分で決めておく
これはとても大事なところです。
税理士法は、税務代理、税務書類の作成、税務相談について、税理士でない者が業として行うことを制限しています。記事を書く行為がこれに直ちに該当するわけではありませんが、個別の事例について「この場合はこう申告すべきです」と断定する書き方は、線を越える可能性があります。
安全な書き方は決まっています。制度の内容を説明し、判断が分かれる部分では「税務署または税理士への確認が必要です」と書く。読者を突き放しているように感じるかもしれませんが、これが誠実な書き方です。
同じことは、会社法や労働法の解釈にも言えます。自分の資格でどこまで踏み込めるのかを考えるとき、行政書士の資格ガイドが参考になります。根拠となる法令と業務範囲の対応が整理されているので、資格と業務の関係を考える枠組みとして使えます。
仕訳例を出すときの作法
簿記2級を持つライターの武器は、仕訳を自分で書けることです。ここは遠慮せずに使ってください。
ただし、いくつか作法があります。
前提条件を必ず書きます。どんな取引で、いつ発生し、金額はいくらか。前提が曖昧な仕訳例は、読者を混乱させます。
借方と貸方を表で示します。文章で説明するより、表のほうが圧倒的に伝わります。
そして、なぜその科目を使うのかを一行添えます。仕訳だけを置いて終わると、読者は自分の状況に応用できません。
この三つを守るだけで、記事の質は目に見えて上がります。実際、仕訳例をきちんと書けるライターは多くないので、ここが差別化の中心になります。
単価が上がるのは、どんな書き方か
報酬の話をしましょう。
会計分野のライティングは、1文字あたり1円から5円程度が中心の帯です。幅が広いので、何がこの差を作るのかを整理します。
| 単価帯 | 求められる仕事の範囲 |
|---|---|
| 1文字1円前後 | 構成が渡され、その通りに書く |
| 1文字2円から3円 | 構成案の作成、一次資料の確認、仕訳例の作成まで担当する |
| 1文字4円以上 | 検索意図の設計、図表の作成、監修者とのやり取りまで担当する |
この表を見ると分かる通り、単価を上げているのは文章力ではありません。引き受ける工程の数です。
構成案から作れるようになると、単価は上がります。会計のテーマは、説明の順序を間違えると読者が理解できなくなります。何を先に説明すべきかを判断できる人は、それだけで編集部の負担を減らします。
図表を自分で作れることも効きます。仕訳表、比較表、フローの整理。これらを原稿に含めて納品できれば、編集部は制作の手配をしなくて済みます。
そして、監修者とのやり取りを減らせることが、実は最も大きい要素です。監修で指摘が多く返る原稿は、編集部の手間になります。最初から根拠が付いていて、断定を避けるべき箇所が避けられている原稿は、監修がほぼ素通りします。この差は、編集部にとって金額以上の価値があります。
単価の上げ方をもう少し体系的に知りたい場合は、Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップに段階ごとの進め方がまとまっています。分野を問わず共通する部分が多いので、会計分野に当てはめて読むと整理しやすくなります。
実務経験がないときの、埋め方
「経理で働いたことがないのに、経理の記事を書いていいのだろうか」
このためらいも、よくうかがいます。大丈夫です。埋め方があります。
一つは、自分で手を動かして確かめることです。会計ソフトの無料プランに登録して、実際に仕訳を入力してみる。記事に書く手順を、自分で一度なぞってみる。これだけで、記述の解像度がまったく変わります。画面を見ないで書いた記事は、読めば分かります。
もう一つは、範囲を絞ることです。最初から法人経理の全領域を扱おうとせず、個人事業主の記帳、青色申告、会計ソフトの基本操作といった範囲に絞る。狭く深く書けるライターは、広く浅い人より信頼されます。
三つ目は、実務経験のある人に確認してもらう関係を作ることです。原稿を出す前に、経理職の知人に読んでもらう。それだけで、実務とずれた記述はかなり潰せます。
そして、応募のときには経験がないことを隠さないでください。隠して受注すると、あとで苦しくなります。「実務経験はありませんが、簿記2級の範囲で確認できることと、確認できないことを区別して書けます」と正直に伝えるほうが、結果として信頼されます。
最初の1件を取るまで
実務経験がない状態からの応募について、率直な数字を残している記録があります。
私の場合、「簿記2級取得、実務経験なし」という状態で応募したので、最初は10件応募して1件しか受注できませんでした。ただ、最初の1件で実績を作れば、次からは受注率が上がります。 出典: note.com
10件で1件。この数字を見て落ち込む必要はありません。書いた実績がない状態では、これはむしろ普通です。
大事なのは、その1件をどう扱うかです。最初の案件は、報酬より実績として考えてください。丁寧に仕上げて、掲載されたURLを保存しておく。次の応募でそれを提示できれば、通過率は一段階上がります。
応募文に何を書くかも整理しておきます。保有資格、書ける分野、書けない分野、参考として提示できる原稿。この四つがあれば十分です。長い自己紹介は必要ありません。
案件を探す段階では、フリーランス 案件紹介 ライター 案件獲得の全技術!2026年最新ガイドに、ライターが案件を見つけて獲得するまでの流れがまとまっています。会計分野に限らない一般的な手順ですが、最初の1件までの動き方を確認するのに向いています。
執筆の進め方と、時間の配分
受注してからの流れも見ておきましょう。
5,000字程度の記事を書く場合、時間配分はおおよそこうなります。
資料の確認と構成に2時間。執筆に4時間。仕訳例や図表の作成に1時間。見直しに1時間。合計で8時間前後です。
慣れないうちは、この倍かかることもあります。それで構いません。むしろ、資料確認の時間を削らないでください。削ると、監修で戻ってくる指摘が増え、結局そこで時間を使うことになります。
見直しでは、必ず三つを確認します。数字に出典と時点が付いているか。断定してはいけない箇所を断定していないか。仕訳の借方と貸方が合っているか。この三点のチェックリストを作って、毎回同じ順で見る。それだけで差し戻しは減ります。
在宅で書く生活を、続けられるかたちにする
もう一つ、お伝えしておきたいことがあります。
「在宅で書く仕事を始めたら、生活のリズムが崩れました」というご相談も、実はとても多いのです。会社勤めをしながら夜と週末に書く方は、とくにそうなりやすい傾向があります。
対処法はいくつかあります。
書く時間をあらかじめ決めておくこと。「空いた時間に書く」という決め方だと、空き時間は永遠に来ません。曜日と時間帯を先に確保してください。
一度に長時間書かないこと。会計の記事は資料を確認しながら進めるので、集中の消耗が大きくなります。90分を区切りにして休憩を挟むほうが、結果的に進みます。
そして、受ける本数の上限を決めておくことです。断ることに慣れていない方ほど、依頼を全部受けてしまいます。月に何本までと決めて、それを超えたら次の月に回す。この線引きができると、続けられる形になります。
働き方そのものを見直したくなったときは、キャリア・副業・人生相談のお仕事に、副業やキャリアの相談にかかわる案件がどう募集されているかがまとまっています。書く側だけでなく、相談を受ける側の仕事もあることを知っておくと、選択肢が広がります。
テーマ別に、押さえておきたい確認先
会計分野といっても、テーマごとに確認すべき先が違います。よく依頼が来るテーマについて、どこを見に行けばよいかを整理しておきます。
確定申告や所得税に関する記事は、国税庁の公表資料が起点になります。手続きの流れ、必要書類、控除の要件は、ここに書かれている内容が正になります。他社の記事を横に置いて書き写す形は、古い制度が混ざる原因になるので避けてください。
社会保険や年金に関する記事は、日本年金機構の資料を確認します。加入要件や保険料の計算は改定が入りやすい領域なので、記事に書く前に必ず現行の内容を見ます。
補助金や助成金を扱う記事は、中小企業庁や各制度の事務局が発表している募集要領を見ます。この分野は締切と要件が毎年変わるため、時点の明記が特に重要になります。
会計基準そのものに触れる記事では、基準の名称と適用範囲を正確に書きます。中小企業が実際に採用している処理と、上場企業に適用される基準は違います。この違いを曖昧にしたまま書くと、読者が自社に当てはまらない処理を採用してしまいます。
インボイスや電子帳簿保存法のような、比較的新しい制度を扱う記事は特に注意が必要です。移行期間中の取り扱いや経過措置が複雑で、解説記事の間でも書き方が割れています。こういうテーマこそ、発行元の資料に戻ることが効きます。
確認先を最初に押さえておくと、執筆のたびに探し直す時間がなくなります。自分用のリンク集を作って、テーマごとに整理しておくのがおすすめです。これは一度作れば、ずっと使えます。
検索から来る読者が、何を知りたがっているか
もう一つ、単価に効いてくる視点があります。読者が何を検索してその記事にたどり着いたのかを、書く前に考えることです。
会計や経理のテーマで検索する人は、たいてい困っています。締切が近い、処理の仕方が分からない、上司に聞けない。そういう状態で検索窓に言葉を入れています。
だから、記事の冒頭で結論を出すのが親切です。「この場合はこう処理します」を先に書いて、理由や背景は後に置く。順番を逆にすると、読者は途中で離脱します。
そして、読者が次に何を知りたくなるかを想像します。仕訳の方法を調べた人は、その次に決算のときの扱いを知りたくなります。この流れを記事の中で用意しておくと、滞在時間が伸び、メディアの評価が上がります。
こうした設計ができるライターは、単に文字を埋める人とは別の扱いを受けます。検索を意識した記事の作り方については、SEO対策・MEO対策の副業で稼ぐ方法|必要なスキルと案件相場に、検索経由の集客をどう設計するかがまとまっています。会計分野に限らず応用の効く考え方です。
ただ、ここで一つだけ注意していただきたいことがあります。検索を意識するあまり、内容の正確さを犠牲にしないでください。読まれるために断定を強めたり、要件を単純化しすぎたりすると、この分野では事故になります。読者が実際にお金を動かす記事だからです。
契約の前に確認しておきたいこと
受注が決まりそうになったら、その前に確認しておくべき項目があります。ここを飛ばすと、後で困るのは書く側です。
修正の回数です。何回まで無償で対応するのかを決めておきます。決めていないと、際限なく戻ってくることがあります。二回までを標準として、それ以降は別途相談、という形が一般的です。
著作権の扱いです。納品した原稿の権利がどちらに帰属するのか、実績として公開してよいのかを確認します。実績として提示できるかどうかは、次の案件の獲得に直結します。公開できない契約の場合は、その分を単価に反映してもらう交渉ができます。
監修が入るかどうかです。監修者が付く記事なのか、自分の原稿がそのまま公開されるのか。後者の場合、責任の重さが変わります。断定を避ける書き方が、より重要になります。
支払いの時期です。納品から入金までの期間を確認します。月末締めの翌月末払いが一般的ですが、案件によっては遅い場合もあります。副業として続けるなら、入金のタイミングは把握しておいたほうが安心です。
そして、報酬から源泉徴収されるかどうかです。原稿料は所得税法上の源泉徴収の対象になることが多く、支払額から10.21%が差し引かれて振り込まれる場合があります。確定申告で精算されるので損をするわけではありませんが、想定より入金が少ないと驚くので、事前に確認しておいてください。
これらを一つずつ確認するのは、気が重いかもしれません。でも、最初に聞いておくほうが、後で言い出すよりずっと楽です。きちんと確認する人は、雑に扱われにくくなります。
会計以外の知識も、少しだけ必要になる
最後に、会計の知識に加えて持っておくと楽になるものを挙げておきます。
一つは、表計算ソフトの基本操作です。仕訳例の作成、比較表の整理、数値の検算。これらを手早くこなせると、執筆時間そのものが短くなります。関数を使いこなす必要はありません。四則演算と表の整形ができれば十分です。
もう一つは、原稿を渡す形式への慣れです。ワープロソフトで納品するのか、共有ドキュメントに直接書くのか、専用の入稿画面を使うのか。案件によって違います。指定された形式に合わせられると、それだけで扱いやすいライターだと思われます。
三つ目は、画像の扱いです。会計ソフトの操作画面を記事に入れる場合、スクリーンショットの撮影と加工を依頼されることがあります。個人情報や金額が写り込まないように処理する必要があるので、簡単な画像編集はできたほうが安心です。
これらは、どれも短期間で身につきます。会計の知識を積み上げるほうがずっと大変です。すでに難しいほうを持っている皆さんにとって、残りは仕上げの部分だと考えていただければと思います。
書き始める前に、決めておくと楽になること
執筆を続けていく上で、最初に決めておくと後が楽になる項目があります。どれも一度決めれば、案件ごとに考え直す必要はありません。
対応できるテーマの範囲です。個人事業主向けの記帳と確定申告まで、法人経理と決算まで、原価計算と管理会計まで。どこまでを引き受けるかを決めておくと、案件の可否を即答できます。即答できるライターは、それだけで扱いやすい存在になります。
一週間に確保できる作業時間です。会社勤めをしながらなら、平日の夜と土日でどれくらい取れるのかを実測してみてください。想像より少ないはずです。実際に測った時間をもとに受注量を決めると、納期の遅延がほとんど起きなくなります。
最低単価です。これを下回る依頼は受けない、という線を先に引いておきます。線がないと、目の前の案件をその都度の気分で判断することになり、結果として安い仕事だけが積み上がります。
そして、断り方の文面です。丁寧に断る一文を用意しておくと、迷わず送れます。断ること自体は失礼ではありません。曖昧な返事のまま待たせるほうが、相手にとっては困ります。
こうした準備は、実際に書き始める前の段階でできます。むしろ、始めてからでは決められません。書く前の静かな時間に、一度整理しておいてください。
運営者として見てきた、書く仕事が続く人のかたち
在宅の仕事を仲介する立場で長く市場を見てきて、書く仕事が続いている人には共通点があります。
一つは、納品物の形が毎回同じであることです。見出しの粒度、出典の書き方、表の作り方。これが揃っていると、編集部は受け取った瞬間に処理を始められます。逆に、毎回形が違う原稿は、確認から始めなければならない。この差は、思っている以上に発注の判断を左右します。
もう一つは、修正依頼への返し方です。指摘に対して理由を聞き返せる人は、二回目以降の精度が上がります。黙って直すだけの人は、同じ指摘を繰り返し受けます。編集部が育てたいと思うのは前者です。
報酬の構造についても触れておきます。仲介手数料が乗る仕組みでは、依頼者が払った金額の一部が仲介に消えていきます。同じ予算でも、中間マージンが乗らない直接取引なら、依頼者はより多くの本数を頼めますし、書く側の手取りは厚くなる。手数料0%という形が意味を持つのは、金額そのものより、この手取りの質の部分です。文字単価が数円の世界では、この差が生活の余裕にそのまま反映されます。
そして、長く続いている方ほど、単発の記事を積み上げるのではなく「この人に頼むと確認が楽だ」という関係づくりに時間を使っています。会計の分野は制度改定が定期的に起こり、そのたびに既存記事の更新が発生します。改定のときに真っ先に声がかかる人になれば、案件は自然に継続します。
資格そのものの位置づけを確認しておきたい方は、日商簿記2級の資格ガイドに出題範囲と活用シーンがまとまっています。自分が書ける領域の輪郭を、あらためて確かめる材料になります。
書く力は、後からいくらでも伸びます。でも、内容を間違えない力は、すでに皆さんの中にあります。そこから始めれば大丈夫です。
よくある質問
Q. 経理の実務経験がなくても、会計分野のライターになれますか?
なれます。募集要項が資格を条件にしている案件が多く、実務経験を必須としないものもあります。ただし、会計ソフトを自分で操作して確認する、範囲を絞って深く書く、一次資料を必ず当たるといった手間を引き受ける必要があります。分からないまま書かないことが前提です。
Q. 文字単価の相場はどのくらいですか?
会計分野は1文字1円から5円程度が中心帯です。構成通りに書くだけなら1円前後、構成案の作成や一次資料の確認、仕訳例の作成まで担当すると2円から3円、検索意図の設計や図表作成まで含めると4円以上に上がります。差を作るのは文章力より担当工程の数です。
Q. 税金の記事を書くとき、どこまで断定してよいですか?
制度の内容説明までにとどめ、個別の事例について申告方法を断定する書き方は避けてください。税理士法が税務相談を制限しているためです。判断が分かれる部分は税務署または税理士への確認が必要だと書き添えるのが、読者にとっても安全な書き方になります。
Q. 会計分野の記事1本にどれくらい時間がかかりますか?
5,000字程度なら、資料確認と構成に2時間、執筆に4時間、仕訳例や図表に1時間、見直しに1時間で合計8時間前後が目安です。慣れないうちは倍かかることもありますが、資料確認の時間を削ると監修で指摘が増え、結局同じだけ時間を使うことになります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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